■ テレ朝昼ドラ『トットちゃん!』と「トモエ学園」 紅白歌合戦25番目は福山雅治(10回目)で、歌は「トモエ学園」、いい歌です。テレビ朝日系の昼帯ドラマ『トットちゃん!』の主題歌です。女優・黒柳徹子の半生とその家族の物語を、ラブストーリーの名手大石静の脚本でドラマ化したものです。国境を越えた愛を描きました。2017年10月2日から12月22日まで全60回放送され、冬至の12月22日が最終回でした。本作の直前には黒柳徹子が司会を担当するトーク番組『徹子の部屋』が放送されており、「徹子(トット)の前は徹子。徹子の後は徹子(トット)」のキャッチコピーのもと、CMを挟まずに完全リレーで放送することにより相乗効果を狙ったそうです。 ■ 『やすらぎの郷』 テレビ朝日の昼帯ドラマは前作『やすらぎの郷』から始まりました。223『やすらぎの郷』(2017年6月17日)で詳しく書きました。倉本聰さんの脚本で、テレビ人専用の老人ホームが物語の舞台ですが、死にそうな人たちが出るドラマは縁起が悪いと某テレビ局が断ったものをテレビ朝日が「ウチがやりましょう」となったそうです。これが大ヒットしました。現在「某テレビ局」は視聴率低迷にあえぎ、テレビ朝日は絶好調、やはり時代を見るトレンディアイが大事だということがよく分かる事例でした。主題歌は倉本聰さんと同じく北海道をベースとする中島みゆきさんの『慕情』、人生を振り返りつつ、改めて愛することの大切さを歌った愛の唄で、心に深く沁みる歌でした。それにしても、野際陽子さんが放映中に死去されましたが、自分の出番をきちんと撮り終えて、ただちに入院して間もなく逝去、その役者魂の見事さには感服しました。 ■ 野際陽子と黒柳徹子 NHKにアナウンサーとして入社した野際陽子さんの親友が黒柳徹子さんです。同枠第2弾となる帯ドラマ『トットちゃん!』の主人公です。清野菜名が演じました。アレ、『やすらぎの郷』に出てた人だ、と思いました。それもそのはず、前作『やすらぎの郷』でのさわやかで透明感あふれる演技が制作陣の目に留まり、『トットちゃん!』への抜擢となったのだそうです。黒柳徹子の母・門山朝(かどやま ちょう)は松下奈緒が演じ、清野菜名とのダブル主演でした。父・黒柳守綱役は今をときめく男優・山本耕史、堀北真希のダンナです。黒柳守綱は名高いヴァイオリニストでした。子ども時代から飛んでる女の子だった徹子が、公立小学校でこんな子は面倒見れないと実質追い出されて転校した先がトモエ学園、小林校長は入学面接の校長室で徹子の話を何時間も聴いてくれました。よくしゃべる子だったのです。「みんないい子だ」が口癖の校長役は竹中直人でした。この先生に巡り会えたことが徹子の人生の礎(いしずえ)となりました。トモエ学園の前身は自由が丘学園、自由が丘という地名、駅名の由来です。 ■ 森繁久彌、渥美 清・・・ いろいろな人と出会いました。昭和を代表する俳優、森繁久彌は『徹子の部屋』の記念すべき第1回放送のゲストでした。演じたのは近藤真彦、マッチから転向する新しい像を見ました。コミカルな役づくりがハマッテました。徹子が「お兄ちゃん」と慕った渥美 清、「かあさん」と慕った沢村貞子、その夫で徹子が「とうさん」と慕った大橋恭彦、『ヤン坊ニン坊トン坊』に抜擢してくれた劇作家飯沢匡、他に向田 邦子や坂本九、中村八大、永六輔などが出ました。 ■ 福山雅治 主題歌「トモエ学園」は、黒柳徹子が親交のある福山雅治に頼んで作ってもらった歌だそうです。♪うれしいのに ♪さみしくなる ♪たのしいのに ♪かなしくなる・・・・・♪先生 友達 ♪わたしの心 ♪育ててくれたの ♪学び舎の日々 ♪ありがとう・・・・毎年末恒例のパシフィコ横浜展示ホールのカウントダウンライブ<福山☆冬の大感謝祭>会場から中継です。 ■ NHK朝ドラ『ひよっこ』と『わろてんか』 桑田佳祐の特別出演は、横浜アリーナでの年越しライブとの兼ね合いもあり、NHKとの交渉が長引いていましたが、「ひよっこ」への恩返しの意味も含めて出場を決断したそうです。紅組司会を務める女優・有村架純(24)の応援という意味もあるらしく、「素晴らしいドラマに使っていただきました『若い広場』を今年の締めくくりとして、紅白という晴れの舞台で歌わせていただけることは、この上ない喜びです」と関係者を通じて感謝の思いを語りました。ソロでの紅白は食道がんを患い、奇跡のサプライズ復活を果たした2010年以来です。過去紅白ではいろいろ物議を醸してきましたが、今回はどうかな? 38番目は松たか子(3回目)で、「わろてんか」のために自ら作詞作曲した「明日はどこから」を歌います。 ■ 紅白歌合戦大トリは、ゆず 45番目、大トリは8回目出場ゆずの「栄光の架橋」です。NHKによりますと「デビュー20周年、トップアーティストとして第一線で活躍していて、ベストアルバムもヒット、世論調査でも上位、『栄光の架橋』はアテネ五輪のテーマ曲で、紅白のテーマ『夢を歌おう』に合致する。締めくくりにふさわしい」というのが起用理由だそうです。北川悠仁と岩沢厚治の二人で結成したデュオで、もとは横浜のストリートミュージシャンです。元は別名でしたが、二人が当時一緒にやっていたバイト先の食事会で、北川が食べた柚子シャーベットから「ゆず」へと変更したそうです。ちなみにそのとき岩沢はバニラアイスを食べていたため、もしかしたら「ゆず」ではなく「バニラ」になっていたかも、とよくコンサートでネタにしているとのこと。北川悠仁の奥さんは元フジテレビアナウンサーで現在はフリーの高島彩、2013年、2016年に女児を出産したのに、今年報道番組「サタデーステーション」(テレビ朝日系)の司会者となりました。 冒頭の「柚子湯に入りました」の話からここまで、随分長くなりましたが、ゆずの話だけでこんなに長くなって申し訳ございません。 ■ クリスマスイブ
■ 情けはひとのためならず 休んだ1回は、2005(平成17)年元日に新春早々のつぶやきと思っていたのですが、2004年12月29日未明に妻の清瀬市在住の大叔母さん(祖母の妹・当時85歳)が死去し、30日のお通夜、大晦日の告別式、火葬となって、慌しくてとてもそれどころではなかったのです。このときのことはつぶやき104『情けはひとのためならず』(2005年1月9日)に書きました。12月28日に埼玉県戸田市美女木の会社の納会を終え、その足で清瀬の竹丘病院に大叔母さんを見舞いました。別に危ないと思っていたわけではありませんが、正月になったら夫婦で行こうと思っていたものの、1年の仕事納めをしてやれやれ挨拶して...と思ったのです。今考えてみると、何かのお導きだったのかもしれません。手を握って「お元気で」と別れの挨拶をして病院を去って帰宅して、寝ていた真夜中に病院から電話が来ました。真夜中の電話というのは良いことであるわけがありません。いやな予感がしました。やはり、一人暮らしだったので、何かあったときの連絡先になっていたからでした。数時間前に元気だった人がどうして...と呆然としました。年が明けたら退院して併設の介護施設に移ることになっていました。先般亡くなったサッチーと同じ85歳、このぐらいの年齢になると、いつ何があってもおかしくないのでしょう。 ■ 「エッセイ」も既に250回 「つぶやき」終了後、続けて欲しいという声も届き、悩んだ末に、不定期月一度ぐらいのペースで、ぼやきにならない程度に再開してみようかという気になって、エッセイ1『再開』(2013年2月10日)から再び始めましたが、それがもう250回になってしまいました。 ■ 羽生善治さんと井山裕太さんに国民栄誉賞
■ 映画「湯を沸かすほどの熱い愛」 2016年作品「湯を沸かすほどの熱い愛」が地上波初放送、2017年12月20日(水)テレビ東京で見ました。脚本・監督は本作が商業用長編デビュー作の中野量太さんです。彼は思います・・・誰しも間違いなく死に向かって生きている.傍若無人に非道な行いをする人も、ノーベル賞を受賞する人も、会社に行くのが嫌で嫌で仕方ない人も、今日が終わると一歩死に近づく.でもそれを意識することもなく、呼吸し、お腹を空かせ、眠くなるのが人生・・・こういうテーゼを脚本化して『湯を沸かすほどの熱い愛』で、そんな説明できない人生を凝縮してみせて、映画にしたいと思ったようです。主演・幸野双葉役は、『紙の月』(2014)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞他、2014年の賞レースを総なめにし、名実ともに日本を代表する女優となった宮沢りえを想定しました。いま話題の貴乃花と結婚しなかったことで今があるのでしょう。しかし新人監督の映画に出てくれるでしょうか。彼はオリジナル脚本を宮沢りえに送り、双葉役をオファーしました。それを読み、宮沢りえはネットで中野量太を調べました。自主制作映画『チチを撮りに』(2012)が、ベルリン国際映画祭他、国内外10を超える映画祭で絶賛された監督です。二人は代官山の蔦屋書店で待ち合わせたそうです。初対面で宮沢りえは「同じトシですね」と言い、「脚本を読み、心が沸かされた」と出演をOKしたそうです。宮沢りえの映画出演は平均一年に1本程度で、出演作を大切に選んでいるようです。その宮沢が選んだ映画として『湯を沸かすほどの熱い愛』の注目度はグッとあがりました。中野監督の映画には銭湯と死が付き物です。「僕がなぜ死を描くのかというと、生を描きたいからなんです。双葉は2ヶ月間輝いていた。双葉にはきれいでしたよって言いたい。美しい人生でしたねと。僕は、人生は誰かのために生きるものだと思っています」と言います。 ■ 赤い煙 “死にゆく母と、残される家族が紡ぎだす愛”という普遍的なテーマですが、この映画は、涙と驚きと感動の詰まった物語になりました。宮沢りえは、会う人すべてを包みこむ優しさと強さを持ちながら、人間味溢れる普通の“お母ちゃん"という双葉役を、見事に演じました。銭湯「幸(さち)の湯」を営む幸野家ですが、お父ちゃん(オダギリジョー)が1年前にふらっと出奔し、銭湯は休業状態に陥ります。母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら、気弱で引きこもり寸前の娘・安澄(杉咲花)を育ていました。そんなある日、突然、「がんが全身に転移していてステージ4、余命2ヶ月」という宣告を受けます。その日から彼女は、「絶対にやっておくべきこと」を決め、実行して行きます。 @家出して行方不明の夫を連れ帰り、家業の銭湯を再開させるとともに家庭を立て直す Aいじめに悩み不登校寸前に陥った娘を立ち直らせ、級友たちに言うべきことを言えるようにさせる B娘をある人に会わせる 探偵(駿河太郎)に頼んで夫の居場所を探し出し、彼が愛人から押し付けられた連れ子の鮎子(伊東蒼)をも引き取って立派に家庭を立て直しました。その上で、彼女は夫に留守番をさせて娘たちと旅に出ます。彼女の狙いは、腹を痛めて得た娘ではない安澄を実母・君江(篠原ゆき子)に会わせることでした。道すがら出会ったヒッチハイク青年拓海(松坂桃李)の生き方を諭します。双葉の母性に触れ、拓海は人生を見つめ直して行きます。しかし双葉は、やがて力尽きて倒れます。彼女の深い思いを知った家族たちは、双葉の死に向かい合い、たくましく成長していく安澄を中心に、拓海や、安澄の実母・君江、夫の調査に当たった子連れの探偵・滝本の心にも救済をもたらすのでした。その母の行動は、家族からすべての秘密を取り払うことになり、彼らはぶつかり合いながらもより強い絆で結び着いて行くことになります。そして家族は、究極の愛を込めて母を葬(おく)ることを決意します。静かに眠りに着こうとする彼女に導かれるように、新たな繋がりを得て銭湯で行動しはじめる人たち、彼らを見守る双葉の心が、煙となって店の煙突から立ちのぼりました。銭湯の湯舟に湯を張って、一浩・君江・安澄・鮎子の4人で入浴します。「あったかいね、お姉ちゃん」 「うん、すごくあったかい」 煙突から立ち上る赤い煙、そう、湯を沸かすほどの熱い愛で、双葉が釜で燃えて湯を沸かしていたのでした... 第40回日本アカデミー賞では6部門で受賞、優秀作品賞に輝き、優秀監督賞と優秀脚本賞に中野量太、最優秀主演女優賞に宮沢りえ、最優秀助演女優賞と新人俳優賞に杉咲花が選ばれました。そのほか受賞多数のヒット作となりました。 ■ 生活保護費受給額引き下げ 政府の方針では、生活保護費受給額のうち食費や光熱費など生活費相当分について、3年で最大5%引き下げるそうです。受給者以外の低所得層の消費との比較で引き下げを決定したようですが、本来生活保護を利用できる人の7〜8割は受給していないので、比較対象として不適当ではないでしょうか。意地でも生活保護は受けたくないという人が多いのです。子どもの貧困に直面しやすいひとり親世帯では、母子加算も平均2割削減されます。母子家庭は生活保護本体の引き下げに加え、母子加算、児童養育加算引き下げの影響で、トリプルパンチを受けることになります。前回の見直しで6.5%カットされているのに、さらに追い討ち、これはあまりにひどいのではないでしょうか。 ■ 情けない米国の恫喝外交 前回ドナルド・トランプ米大統領が「エルサレムへのイスラエルの首都移転」を認定したことに世界中が困惑しており、今後への懸念を書きました。案の定、193ヶ国が加盟する国連総会は2017年12月21日の緊急特別会合で、「エルサレムはイスラエルの首都」というトランプ米政権による認定の撤回を求める決議案を日本を含む128ヶ国の賛成多数で採択しました。反対は米国やイスラエルなど9ヶ国、棄権が35ヶ国、欠席は21ヶ国でした。事前に、「賛成すれば経済支援を打ち切る」と示唆していたトランプ政権の「恫喝」によって、これだけの棄権、欠席の国が出たのでしょう。 「国連や米国を尊重しない国に対する米国の見る目が変わる」とヘイリー米国連大使は演説しました。そして「米国はこの結果を決して忘れないだろう」と述べて、「無責任な行動を取らなかった60ヶ国以上の国に感謝する」として、新年3日に、これらの国々を招いて「米国への友情に感謝する」レセプションを開催するそうです。何という情け無い恫喝外交でしょうか。これは国際社会の反対を振り切り、大量破壊兵器を保有しているとして、2003年にイラク戦争開戦に突き進んだブッシュ米政権を想起させます。一方、「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領のことですから、これを口実に支援打ち切りする可能性も排除できません。 カナダ、メキシコ、オーストラリア、フィリピンなど米国と国境を接したり経済的に密接な国は棄権せざるを得なかったり、米国の援助が不可欠な小国は欠席に回りました。世界の主要国はほぼすべて賛成で、日本も賛成しましたが、これは安保問題ではないため、日本外交の姿勢を見せるためには当然でした。 (2017年12月24日) |