249  お別れの会
 12月16日(土)はまたもや盛岡でした。9月に亡くなった藤井克己元岩手大学長の「お別れの会」に出席するためです。日帰りではつまらないので、前夜盛岡駅前に宿をとり、親しく酒を飲んで懇親することにしました。いつもならば鶯宿温泉や繋温泉などで温泉を楽しむのですが、今回はやめました。東北新幹線から見る景色は、例年のことですが平泉まではともかく、奥州市に入ると一変します。真っ白な世界になるのです。

■ 盛岡と岩手山
 藤井克己先生お別れの会は、ご逝去から三ヶ月を経て開催されました。ホテルの窓から見る盛岡駅周辺は、見違えるほど高いマンションが林立し、これが盛岡かと目を疑うほど変身しています。駅の真ん前を北上川が北から南へとゆったりと流れる、こんな街は日本全国でもそうありません。人は水辺に集まる...今や都市に多く見られる景観、ウォーターフロントにマンション群、盛岡も例外ではありません。ただ、盛岡が他の都市と違うところは、岩手山が見えるような景観に出来得る限り配慮していることでしょうか。それはこの山が、盛岡の人たちにとって心のふるさとだからです。
 右の写真は以前撮影したもので、盛岡駅西口のマリオスというビルの展望室から撮ったものです。岩手山に向かって延びてやがて右へ大きく曲がっているのが東北新幹線、左へ分かれて西に延びるのが秋田新幹線です。

盛岡駅西口のマリオス・ビルから北方向の展望

2016年12月26日撮影 今年はこれが白銀の世界でした 雪が早い、どうやら今冬は...

■ お別れの会
 12月16日(土)朝方はパラパラと雪が舞い、やがて前日までの寒さがウソのように晴れて穏やかな日和となり、大通りには雪が無いものの歩道は冠雪して歩行に注意しなければならない状況でした。10時過ぎに会場前の地下道で平山元学長と遭遇して話をしながら会場入りしました。受付を済ませて、岩渕学長はじめ呼び掛け人の皆様やご遺族が居並ぶ中、挨拶しつつ一輪の花を頂いて中央祭壇前で献花しました。実に3百人を越える人たちが集まりました。
 祭壇には天皇陛下からの瑞寶中綬章、正四位に叙するとの安倍晋三内閣総理大臣名の位記が飾られていました。いわゆる死亡叙勲で、亡くなった日付けで授与されるものです。その隣には、有馬朗人東京大学同窓会連合会長名の感謝状がありました。お別れの会の日付けで、岩手県における東京大学同窓会「岩手赤門会」の創設に参画し、その初代会長を務められた貢献への感謝状でした。
 式典の最初に藤井克己先生に対して黙祷を捧げた後、呼び掛け人を代表して岩渕 明学長の挨拶があり、続いて弔辞はお二人、進藤金日子(シンドウカネヒコ)参議院議員が農学部農業土木科での恩師藤井先生との思い出を述べられました。先立って藤井先生のふるさと滋賀県を訪ねたこと、学生時代の先生との楽しい思い出、教えを守って土地改良に奮闘していることなどです。もう一人は大学院で藤井先生と共に研究して、「これからの大学は女性の教師が増える、頑張れ」と励まされて、今は理工学部システム創成工学科社会基盤・環境コースの助教をされている石川奈緒さんでした。先生と教え子や研究員たちとのミーティングでもそのお人柄により周りに笑いが絶えなかったというような思い出を話されました。その後、弔電披露がありました。東京大学の農学の後輩である宇都宮大学長の石田朋靖さんの弔電が読まれ、そのほかはお名前のみの紹介でした。
 その後呼び掛け人のひとり、高畑義人農学部長が献杯の挨拶をされました。他にもたくさんの方が先生との思い出を語られましたが、共通していたのが先生のユーモアあふれるスピーチでした。やはり関西出身のためもあるのか、真面目な話の中にもクスッと笑わせるセンスがあり、読書家であることはその博識から感じられましたが、世俗の出来事や当世の流行ごとにも通じておられ、どんな話になっても場が盛り上がるという方だったということです。何よりも東日本大震災からの復興に対して並々ならぬリーダーシップを発揮されたことが称賛されました。
 藤井克己先生は、先生と言いながら、筆者より3歳若かったので、実は筆者のほうが先に生まれています。全く偉ぶらず、気さくな方で、大好きでした。経験によれば、本当に偉い人は偉ぶらないもので、だから人を惹きつけるのです。しかも出しゃばらず、明るい方だったので、こういう人は長生きするのではと思っていました。31歳のときに東京大学農学部の教員から岩手大学農学部に移り、43歳で岩手大学の教授となり、52歳から3年農学部長を勤められ、55歳から2期6年間岩手大学長を勤められました。しかしこの間にあの2011年3月11日(金)の東日本大震災に遭遇され、被災地の復興のため、各方面と協力して、岩手大学の教員、職員、学生に呼び掛けて、一致団結してボランティア活動を推進されました。それだけではなく、水産部門を持たないゆえに、北里大学や東京海洋大学と連携し、釜石に水産学の部門を設置して、三陸の水産復興や、被災者のコミュニティづくりに並々ならぬリーダーシップを発揮されました。このときの縦横無尽の大活躍がその命を縮めたのかもしれません。しかしその功績は多くの人の心に刻まれ、長く語り継がれることでしょう。
 会場では鈴木重男葛巻町長や熊谷 泉紫波町長、沼田秀彦盛岡市商工観光部長などとご無沙汰ですと挨拶し、岩手大学農学部の広田純一教授とは12月3日(日)日比谷図書館文化館での「岩手大学三陸復興・地域創生推進機構首都圏向け報告会」の話をしたり、岩手大学同窓会連合の渡邊 喬会長からは、第11回となる「卒業生・修了生と学長との懇談会」を2018年は東京で開催するので協力を頼まれました。呼び掛け人でもある鈴木幸一北水会会長とは、冬虫夏草を藤井先生に飲んで欲しかったと話しました。経営協議会学外委員の磯田文雄名古屋大学アジアサテライトキャンパス学院長や、鎌田英樹IBC岩手放送社長、高橋真裕岩手銀行会長とも言葉を交わしました。
 最後にご遺族の御礼の言葉として、奥様の藤井孝子様が、「こんなに大勢の方にいらして頂いて、深く感謝申し上げます。少し足早ながら豊かな人生であったと確信する機会となりました。たいへん有難うございました」と述べられました。出口に呼び掛け人とご遺族の皆様が並び、挨拶して退席、故人が好きだったという京都の煎餅店、京餅堂のお菓子「菜宝楽」をお土産に頂いて盛岡駅から新幹線に乗りました。
 菜 宝 楽 SSDH
京餅堂の生せんべい「菜宝楽」

■ 関東短大が募集停止
 学校法人関東学園(群馬県館林市、松平順一理事長)は運営する関東短大(同所、渡辺敏正学長)について、閉校を前提に2019年度以降の学生募集を停止することを決めたと、ホームページで公表しました。募集停止は人口減少など社会情勢の変化を検討した結果だとしていますが、今後こうした閉校する短大や大学が続出すると見られています。

■ 日米で好対照の税制改革
 アメリカでは、共和党が35%の連邦法人税率を2018年から21%に引き下げる大型減税法案を決定しました。個人所得税の最高税率も現在39.6%から37%に下げ、概算控除も2倍に増やすそうです。その結果、全体の減税規模は10年間で1.5兆ドル、年間円換算で17兆円となり、この減税規模は、過去最大とされた2001年の「ブッシュ減税」を上回るものとなるそうです。アメリカの金融政策は引き締めに入り、財政面では、今回の減税政策から積極財政に入っています。やや金融引き締め・積極財政なので、今後のアメリカ経済はややインフレ気味に過熱経済になっていくのではないかと思われ、ますますアメリカにお金が集まって行くのではないでしょうか。
 一方、日本では、自民党の税制改正大綱が決定され、企業への減税措置がずらりと並びました。増え続ける企業の内部留保に課税しようなどという話も一時期出ましたが、全く触れられていません。賃上げや人材投資、設備投資に積極的な企業の法人税負担を減らし、浮いた資金が再投資に回る「経済の好循環」につなげようとの思惑のようです。法人税の実効税率自体は29.74%に据え置くものの、賃金や先進技術の投資を増やした企業の実質負担を最大20%まで下げるそうです。ただ今回の税制改正は企業減税を目玉としつつも、優遇一辺倒ではありません。大企業の中でも賃上げや設備投資に動かない企業は法人税の優遇対象から除外し、増税にする新規定も取り入れました。投資に積極的な企業は報われ、消極的な企業は冷遇される仕組みで、いわば「アメとムチ」による投資の促進策です。
 個人に対しては給与所得者に所得増税、個人事業主には減税します。年収800万円以上の給与所得者の所得控除を減らそうという話がありましたが、それが850万円になりました。官邸の意向です。法人税は「増税減税ゼロ」とし、これでは増え続ける社会保障費に耐えられないので所得税は900億円増税、たばこ税は2400億円増税、国際観光旅客税や森林環境税新設などで、結果的に全体で2800億円の増税とするそうです。個人の税負担は間違いなく重くなり、介護保険料や健康保険料も上昇傾向で、税と保険料の両面から国民負担率が押し上げられる構図となります。社会保障などの歳出抑制に踏み込まなければ、賃上げしても効果が鈍りかねないので、生活保護の支給額は減らす模様です。年金支給額も年々減るでしょう。毎年予算編成で焦点の診療報酬改定については、医療職の人件費などにあてる本体部分を0.55%増、介護報酬は0.54%増とする一方で、薬価を引き下げる方向です。

盛岡駅改札出たところで売っていたりんご「サンフジ」
6個入り¥250、この色、美味しそう、衝動買いしました
 増税する一方で国家予算も過去最大となります。2019年10月には消費増税が控えています。本来消費税増税によって借金返済し、歳出を減らして財政の健全化を目指すはずだったのではないでしょうか。増税は個人消費を萎縮させます。その上で歳出が増えるとなるとどうなるか...書くのはやめましょう。

■ たばこ税3年連続で引き上げ
 与党が先にまとめた税制改正大綱では、18年10月にたばこ税を1本当たり1円引き上げ、21年10月までに計3円増税するそうです。日本の標準的たばこのメビウスは現在、20本入り1箱が440円ですが、今回のたばこ増税分;計60円が上乗せで500円になります。250円だった2000年前後の2倍で、愛煙家には痛手となりそうです。2019年10月に消費税率が10%に引き上げられれば、さらに値上がりするでしょう。しかし、世界的に見れば日本のたばこの税や値段は高いとは言えません。日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も安く、税額もOECD平均の半分以下です。

■ エルサレムへの米国大使館移転
 ドナルド・トランプ米大統領が12月6日、「エルサレム」を「イスラエルの首都」と正式認定したことに、世界中が困惑しています。イスラエルはもちろん歓迎する一方で、敵対するパレスチナ側は猛抗議、中東の地政学リスクが再びクローズアップされてきました。しかしユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地であるエルサレムをイスラエルが単独支配するとどうなるか...コワイ、コワイ

■ 埼玉県東入間学童野球連盟創立30周年記念
 埼玉県東入間学童野球連盟創立30周年記念式典が2017年12月10日(日)、ふじみ野市市民交流プラザ「フクトピア」で行われ、筆者は感謝の記念品を頂きました。他に轄驪ハスポーツセンター代表取締役会長の神山佐市衆議院議員、埼玉県遊技業防犯協力会の瀬尾 基会長、東入間学童野球連盟の新井副会長兼事務局長も頂きました。有難うございます。

記念品頂きました
(2017年12月18日)


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