244  三回忌

 11月11日(土)は下弦の月、仙台に日帰り墓参でした。仙台では有名な北山の輪王寺です。今年6月に99歳で亡くなられた大学の大先輩・阿部源祐さん、同窓会の第二代会長でした。ご遺族から献花、香典等辞退のご挨拶があったため、葬儀参列もかなわず、せめて墓参りとなったものです。ご逝去からちょうど21週の追善供養となりました。
 早いもので、もうあと50日で今年も終わります。この日は1が4つ並ぶ日なので、記念日の中でも特に記念日の多い日と言われています。10月10日に次いで多いそうですよ。11なので「いい○○の日」とか...たくさん記念日に指定されています→「今日は何の日」参照ください。

■ 「独身の日」はEコマースの日
 そう言えば中国で11月11日はシングルを連想する「1」が並ぶ「独身の日」あるいは「双11」と呼ばれ、アリババが2009年に大規模なセールを始めたのが火付けとなり、中国では商戦日として定着しました。昨年の米国サイバーマンデー(ネット通販のセール開始日である感謝祭明け月曜日)の売上高が33.9億ドル/約3,800億円であったのに対して、「独身の日」の売上高は1,207億元/約1兆9000億円と大きく上回りました。

仙台・北山の輪王寺の参道は紅葉あでやか
両側に菩薩像が並んでいます
 日本企業も出店しており、昨年の売上高上位はユニクロ、パナソニック、シャープ、ソニーでした。日本でもヤフーや楽天などが同様にこの日に標準を合わせてセールやキャンペーンを打ち出すなど、世界的にEC業界の慣習となりつつあります。イオンもネットスーパーでセールを実施しています。

■ 1日2兆5千億円が動く・・・日本企業も動く
 アリババは午前0時のセール開始から過去最速となる3分1秒で流通総額は100億元(約1700億円)を超え、この日だけで2兆5千億円が動くというのですからすさまじいですね。日本企業は中国市場ならびにEC(Eコマース)への参入によるシェア拡大を目指しており、経済産業省によりますと、中国消費者の越境EC購入先は米国に続いて日本が2位で、2016年の日本からの購入額は前年比30.3%増の1兆366億円に上ったそうです。売れ筋商品はアパレルや靴、化粧品に加えて、食品、飲料などの割合が高くなっており、その理由は、中国消費者がECを利用する上で「商品の品質が保証されている(正規品)」ことを支持しており、日本製品のクオリティの高さが魅力となっているようですね。漢方薬の原料がすべて中国からの輸入なのに、中国人観光客が日本でツムラの漢方薬をこぞって買い求めることと同じです。

■ 母の死〜葬儀の思い出2015年
 一昨年10月24日(土)は朝から埼玉県三芳町で少年野球新人戦大会の準決勝があり、我がチームの試合を終えて急いで帰宅して、着替えて、電車に乗り新宿へ行って14時から大学の同窓会、ところが始まってすぐ、来賓の挨拶のところでスマホが震えました。電話は仙台の弟から母の逝去の連絡でした。
 それからのことは138『遺徳と功徳』(2015年11月3日)に書きました。母は、仙台市宮城野区の立派な介護施設にお世話になっていて、誰にも看取られることなく、ひっそりと逝きました。自分で4階の部屋から1階の食堂へエレベータで降りてきて食事をしていましたから、まさか亡くなるとは...と施設長もビックリしていました。朝食が喉に詰まり吸引したようですが、それが引き金のようです。その2週間前に娘やその連れ合い、弟夫婦も一緒に施設を訪問したときは、玄関まで見送りに出て手を振っていました。誰にも心配させない大往生で、安らかな死に顔でした。東日本大震災でこのケアハウスは津波に襲われて回り中海水に浸りましたが、高く土盛りして建てられていたので床上浸水はしませんでしたが、11日間停電して大変な目に会いました。昭和三陸津波も経験した母は、関東大震災も含めれば、その94年の生涯で三度の大震災を経験したことになります。
 10月25日(日)車で仙台へ向かい、泉中央の葬儀社で遺体を拝み、その日は伊達政宗公の眠る瑞鳳殿の隣の天龍閣に宿泊、仙台では珍しい和室の宿です。10月26日(月)仙台市営葛岡斎場で火葬、骨を拾い、骨壷に入れて持ち帰り、この日は作並温泉鷹泉閣岩松旅館に宿泊しました。
 10月27日(火)朝、岩手県雫石町の永昌寺で葬儀、数軒隣りに衆議院議員階(シナ)猛さんの実家があります。我が伯母は雫石駅前の階平三さんに嫁ぎましたが、階猛さんに聞いたら親戚だそうです。繋がっているものですね。葬儀の後、雫石町営七ツ森墓地に納骨、筆者もやがてここに入ります。宮沢賢治の愛した七ツ森は、文科省から「イーハトーブの風景地」として文化財保護法による名勝に指定されています。この日は、葬儀の疲れを癒すため、源泉掛け流しの宿鶯宿温泉長栄館に泊まりました。
仙台ラドン温泉天龍閣

蛇行する広瀬川に囲まれた天龍閣の周辺は紅葉も綺麗です


作並温泉鷹泉閣岩松旅館

広瀬川のほとり作並温泉鷹泉閣岩松旅館の岩風呂

■ 母の一周忌2016年
 一周忌は本来命日に近い日に行うべきとされていますが、ちょっと早過ぎではあるものの、皆の都合に合わせて2016年9月24日(土)に行いました。このことは185『一周忌』(2016年9月27日)に書きました。9月22日(木・秋分の日)は「さんりく大船渡 東京タワーさんままつり」の日で、高校同級生の戸田公明大船渡市長が上京するので、前夜内幸町で懇親会を主宰しました。翌9月22日、雨の東北道を岩手に向かって走りましたが、ずっと雨が追いかけてくるような嵐の中の運転でした。
 この日は岩手県花巻の新鉛温泉愛隣館に泊まりました。お出迎えにしても、従業員の方たちの挨拶も、給仕も素晴らしい。おもてなしの心ビンビンの宿、また来たいと思いました。赤ちゃん連れの若夫婦がとにかく多く、老人、外人が少ない、やはり赤ちゃんが多い宿は若々しくてですね。 新鉛温泉愛隣館

ウェルカムベビーのお宿・愛隣館
 大浴場は合計3つ、「森の湯」、「川の湯」と「南部の湯」で、男女入れ替えですべてに入れました。浴槽は、内湯(7)、露天風呂(10)の合計17、色々な湯に浸かれるのが素晴らしい!サウナもあります。露天風呂はすぐ下を清流・豊沢川が流れ、立ち湯は首までお湯に浸ります。マイナスイオンたっぷりの森林浴が楽しめる温泉でした。ただ温泉そのものはクセが無く、温泉なの?という感じ、会津東山温泉みたいなものです。
 お料理は白金豚(はっきんとん)のしゃぶしゃぶが美味でした。すべての料理が上品でおいしくて、満足しました。「帆立の苺煮」が出たのには感動しました。
 9月23日(金)は盛岡市西見前の連れ合いの実家に泊まりました。向かいの大きな屋敷が、連れ合いのハトコである増田寛也さん(前岩手県知事3期、総務大臣2期)のお母さんの実家です。
 2016年9月24日(土)は、岩手県雫石町の永昌寺で一周忌法要、その後、塔婆を持って雫石町営七ツ森墓地に墓参、それから鶯宿温泉森の風鶯宿に行き、兄弟の家族15名で泊まりました。2名は残念ながら仕事で欠席でした。この宿は山の斜面に建てられた総部屋数221室の壮大なホテルで、広大なフラワーガーデンがあり、散策しましたが大変広い庭で、夜にはイルミネーションが灯り、これを見ながら夕食です。夕食も朝食もバイキングでした。部屋からの眺望は、岩手山が見えて、とにかく素晴らしいの一言でした。筆者は今年9月7日も大学同期会で宿泊しました。 鶯宿温泉森の風鶯宿

露天風呂から下界が見下ろせます 遠くの山々は絶景です

■ 母の三回忌2017年
 母の三回忌は鶯宿温泉の長栄館にするか、繋温泉の紫苑にするか、ということで、紫苑が第一候補でした。紫苑も豪華ホテルで、泉質はアルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)、pH8.6です。シルクバスがあります。211『卒業式』(2017年3月27日)で詳しく紹介しました。繋温泉のことは170『つなぎ』(2016年6月12日)で紹介しました。紫苑の隣の豪華ホテルつなぎ温泉ホテル大観のことを紹介しました。実は今回紫苑を予約しようとしたら、かなり早かったのに既に満室でした。あれだけの大ホテルなのに、やはり紅葉真っ盛りだからでしょう。そこで2017年10月21日(土)は兄弟の家族17名でホテル大観に泊まり、翌10月22日(日)に雫石町の永昌寺で三回忌法要というスケジュールにしました。
 2017年10月21日(土)朝6時に浦和の娘夫婦のマンションに迎えに行き、東北道浦和ICから乗って岩手に向かいました。息子一家は朝6時に立川を出発したとのことでした。土曜日ですから下り線はそこそこ車は多いですが、我が家の近くの関越道の下りのような渋滞はありません。栃木県に入ったらもうスイスイで快適でした。
 途中何度か休みながらゆったり走り、13時ごろ国道46号線繋十文字(左=南はつなぎ温泉、真っ直ぐ=西は秋田・田沢湖方面、右=北は小岩井農場〜岩手山という分かれの十字路)の手前で冷麺を食べようとメールで連絡取り合って、息子一家と落ち合いました。大人6人、子ども2人で個室に案内されました。この日は特別安い冷麺祭りの日でした。こういう情報をスマホでちゃっかりGETするんですね、イマドキの人たちは...国道46号線繋十文字近辺は「焼肉街道」と呼ばれています。有名な焼肉店がズラリと並んでいるからです。

小岩井農場の紅葉
 冷麺昼食の後、小岩井農場に向かいました。小岩井農場は全国的に有名で、もとは小野、岩崎、井上の三氏が合同で立ち上げたのですが、その後岩崎に統合・・・すなわち三菱ですね。したがって小岩井のバターなど乳製品の詰め合わせセットは高価ですが、三菱グループのキリンビールが販売しています。首都圏でも小岩井牛乳は高級ブランドとして定着しています。雫石町観光大使の特典として、ご一行様は入場料お一人様¥800が無料になるのです。観光大使はひたすらボランティアですが、このとき初めて役得を実感しました。

■ つなぎ温泉ホテル大観
 つなぎ温泉ホテル大観は、高校後輩の大友啓史監督の映画『3月のライオン』のロケが行われたホテルです。216『3月のライオン』(2017年4月29日)をご覧下さい。詳細は過去たびたび紹介しているので省略します。「楽天・男一人旅に人気の宿ランキング」で全国1位に輝いた豪華温泉ホテルです。

ホテル大観の外観
手前は御所湖

大観から見える右奥;岩手山 左の繋大橋の奥に高倉山(雫石スキー場)
黒い七ツ森…手前左から生森、石倉森、鉢森、勘十郎森、三角森、見立森

大浴場はとにかく広い、プールみたいです

男性露天風呂;簾下り(すおり)の湯

■ 鶯宿温泉100%源泉かけ流しの長栄館
 三回忌法要の後、塔婆を持って雫石町営七ツ森墓地に墓参してここで解散、我が夫婦と娘夫婦、息子一家(孫二人)は盛岡市西見前の連れ合いの実家を訪問し、連れ合いの兄弟が一同に会して寿司会食、カラオケして、隣の本家に挨拶して、再びとってかえしてつなぎ温泉の前を通って鶯宿温泉長栄館に泊まりました。娘夫婦も温泉オタクなので、100%源泉かけ流しの温泉を体験させようと言う趣旨です。この湯花漂うやわらかい湯の良さを実感するには一度や二度ではだめですね。以前東京の老夫婦とご一緒したとき、六連泊とおっしゃってました。「お食事がとてもいい」とのことでした。湯治なのでしょう。普通なら介護施設に入るようなお歳なのに、こういうところでゆったりと過ごせるのは素晴らしいと思いました。

谷あいに建つ長栄館の外観

100%源泉かけ流しの檜風呂 やや泉温高くしているようです
 鴬宿温泉;長栄館のことも過去さんざん紹介したので詳細は省きます。日本でも数少ない100%源泉かけ流し温泉を満喫できる宿として、ある週刊誌の特集で全国第5位にランクされました。同館の代表取締役社長・照井貴博さんは20歳で現職に就きました。大学生のとき父である社長が亡くなり役職を継いだのです。そのお父さんが小学生のとき、当時高校生の筆者が家庭教師をしました。温泉付き、女将さんが装ってくれる御膳付きの最高のバイトでした。まだ若くして亡くなって、さぞ無念だったでしょう。

■ 東日本大震災の被災者受け入れ
 長栄館のエピソードを紹介しましょう。現社長就任の4年後、東日本大震災が起きました。実は筆者は2011年3月12日(土)鶯宿温泉・ニュー鶯山荘で御所中学校の同期会が予定されていたため、旅行バッグを持って、当時社長をしていた埼玉県北戸田の会社へ出勤し、終業後埼京線で大宮へ向かい、東北新幹線で雫石へ行く予定でした。今でも忘れはしません、2011年3月11日(金)14時46分・・・すさまじい激震に襲われました。自社ビルの社屋もつぶれるかと思うほどの凄まじさ...もちろん雫石の長栄館でも激しい揺れに続く停電...利用客には全員ロビーに集まってもらい安全を確認したそうです。翌々日3月13日の朝、ほとんどの利用客が帰ったあと、照井社長は津波被害が心配な沿岸部に家族がいる従業員たちとともに、東の海方向へ車を走らせました。3日間通って従業員の2家族を同館に迎え入れました。
 その他の被災者も受け入れようと考えました。会長である祖父が「米と水を買い集めろ」と号令をかけ、調達に走りました。しかし高齢だった会長は震災1週間後の18日に他界してしまいました。照井社長はその遺志を受け継ぎ、メディアなどを活用して被災者受け入れを表明し、3月27日、県内で最初の受け入れを始めました。山田町中心に避難所にいた被災者がやってきました。
 75部屋の生活空間を提供する方針で一部屋に一家族を迎える。従業員も寮ではなく館内に住み、互いに協力し合う体制を作りました。受け入れのとき、通常営業のサービスを提供するのではなく協力を求めることもあると事前に承諾してもらったそうです。被災者は好きでここに来たのではありません、だからこそ助け合うという絆づくりが必要だと思ったそうです。7月末、受け入れていたすべての被災者が、ここでの避難生活を終えて退館しました。別れのとき、どの家族にも、10キログラムの米と調味料を渡して見送ったそうです。4ヶ月余り続いた被災者支援ですから、当然、経営は圧迫されました。しかし「皆さん今では1年に1回はご来館されますよ」と照井社長は笑います。何ものにも代え難い大きな絆が残ったのでしょう。

長栄館の部屋から見た紅葉

■ 値上げする飲食、値下げする小売り
 消費者の節約志向が根強い中、小売りと外食産業で価格戦略が全く違いますね。外食では人件費や原材料費の高騰で値上げに踏み切る動きが広がっていますが、大手スーパーは値下げキャンペーンに動いています。いったいどうしてでしょう。
 我が家から上福岡駅に行く途中の「ラーメンそら」が¥650のラーメンを¥740に値上げしました。そしたら行列が無くなりました。日高屋を運営するハイデイ日高は9月から全系列店で15品目を値上げし、ギョーザ6個は210円から220円に、生ビールは310円から330円にしました。大手居酒屋チェーンの鳥貴族も、1989年から続けた税別280円均一メニューを298円に値上げ。ファミリーレストラン大手のすかいらーくも、10月のメニュー改定で「ガスト」や「バーミヤン」の一部メニューを値上げして、割安感が吹っ飛びました。リンガーハット傘下の「とんかつ浜かつ」も値上げ、外食大手のゼンショーホールディングスも、傘下の牛丼チェーン「すき家」などで、年度内に値上げする方向で検討していることを明らかにしました。外食チェーンは原材料が輸入モノなので円安によって仕入れ価格が上昇していることに加え、人手不足で人件費も高騰しているためでしょう。店頭に張り出された時給は明らかに上がっています。
 一方で、小売り世界首位のウォルマートを親会社に持つ西友はその強みを生かし、大量仕入れで安さを実現し、毎月、値下げキャンペーンを実施しています。値下げにより来店客が増え、9月の売上高は前年同月比1割増とのこと。展開する系列スーパーが5年間で約1100店も増えたイオンも、店舗数が増えたスケールメリットを生かしてPB商品中心に値下げ攻勢を強めています。

我が家のミニトマトはまだ鈴なり(2017年11月11日朝、仙台出立前)
 9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年同月比0.7%上昇の100.3ですが、主に電気代やガス代などのエネルギー価格上昇の影響を受けてのプラスのようです。安売り規制強化に伴う値上がりでビールが6.6%上昇したことも影響したようです。この数値はまだまだデフレ圧力健在を示しています。

■ 肉肉街道
 我が家の面する川越街道のリンガーハット(長崎ちゃんぽん)が廃業し、東京トンテキ・ステーキの王様になりました。すし銚子丸は何になるかと思ったら、ステーキハウス・ブロンコビリーになるのだそうです。向かいには「ステーキの宮」があり、並びにはまだ開店してそれほど経っていない「炭火焼肉・京雅(みやび)」があります。この店はチョット奥まっているのが難点で、以前は「男道」という店でした。近辺には肉関係だけで、「焼肉きんぐ」、「安楽亭」、「びっくりドンキー」、「焼肉さんあい」、「牛国屋」、「炭火焼肉酒家・牛角」、「凱旋門」があり、「とんかつとんQ]や「かつ庵」などもあります。まさしく、国道254号線(川越街道)の肉肉街道ですね。
  

  


■ 日経平均株価はバブル期以来の株価回復
 日経平均は9月中旬以降の上げ幅が約4000円となり、当面の節目と見られた2万3000円を超え、1992年1月以来ほぼ25年10ヶ月ぶりに2万3000円台を回復しました。最近の株式市場は投資環境に大きな変化がない中で、「買うから上がる、上がるから買う」といった需給要因による急激な株高が現実です。11月10日の東京市場は3日続落、下がったところでの押し目買いでしょう。
 世界的に株高傾向が続いています。グローバルでインフレが安定しているため、緩和的な金融環境が続いていることが原因です。日本の株高も、総選挙での与党勝利を受けたアベノミクス継続期待だけでなく、こうしたグローバルな株高環境が背景にあると思います。景気拡大が長引いて完全雇用に達しても、労働分配率の低下によって、賃金上昇やインフレ上昇が遅れるので、有り余ったお金は資産価格の著しい上昇を継続させます。実体経済からかい離した資産価格の急上昇は、最後には実体経済を巻き込む大きな調整をもたらすリスクを感じさせます。政府及び日銀は政策転換すべき時期に来たと考えます。なお筆者の経験によれば、こうした警告の後、更に一段の急上昇、そして奈落の底となるでしょう。

■ 与野党反転の経済政策
 選挙が終わり、トランプ大統領が来日し、何やらめまぐるしく政治の世界は動いて行きますが、今回の衆議院選挙でも、選挙システムによって国民の多数が支持しなくても圧倒的な議席を得ることができるという結果が出ました。また首相を支持しなくとも政党は自民党が良いという有権者が比較的多いことも示されました。
 選挙前の野党第一党の党首は、消費税を上げて借金返済を促進し、将来へのツケを減らそう、若者にこれ以上の負担先送りをさせるな、と訴えました。対して首相は、増税分は借金返済ではなく、コレまでの高齢者中心の福祉から幼児からの広範囲の福祉や教育に当てようと訴えました。古来保守勢力は低福祉高負担の小さな政府を主張し、野党は高福祉低負担の大きな政府を主張してきました。今回は全く逆だったのです。安倍首相は憲法問題は別にして、経済政策に関しては国民の願うところを敏感にキャッチして政策を打ち出します。これが長期政権を維持してきた理由です。財界に賃金上げろと言い、雇用を増やせと言い、同一労働同一賃金にせよと言い、働き方改革をして長時間労働をやめさせろと言い、保育所を増やせ、保母さんの雇用条件を改善させる、育児休暇を取り易く、イクメンを増やす、一方で高齢者医療費対策で薬価を下げる、ジェネリック促進、介護費用低減策など高齢者には厳しく、育児に優しい政策を訴えました。したがって若者の支持率が高く、高齢になるほど低い、かつての保守党政権とは真逆のパターンなのです。
我が家の庭の八朔の木の下に咲く菊の花、向こうには赤い実が

■ コレで良いのか日本社会
 しかし、少子化はそれで解決するのでしょうか?子育てしやすいから子どもを産むかというと、過去の事実や、今のアフリカでの子どもの急増を見ているとそうではないことが分かります。Unicefが哀れな子どものために寄付を募っています。どうしてそんなに産むのでしょう?最も端的な例は、外国人が日本に来ると子どもを産まなくなるという事実です。日本社会が変貌しているのです。安倍首相のキャッチは確かに素晴らしい、しかし、結果は労働者の実質賃金アップには繋がらず、非正規労働者が増加し、格差が年々拡大して、貧困層がジワリジワリと増加しています。GDPはほぼ単独で世界から取り残され、お隣の中国にドンドン引き離されています。日本人が豊かだなんてどれほどの国民が思っているでしょうか?これは想像ですが、いまだに三分の一ぐらいの人がそう思っているのではないでしょうか。かつては大多数の人がそう思っていました。減ってはいても、まだまだ神話を信じている人は多いのです。北朝鮮がどうだと言う前に、やるべきことがたくさんあるはずです。しかし、若者が立ち上がらない、子どもも産まない、これでは仕方ありません。

■ 血液1滴でがん13種類診断できる検査法
 1滴の血液から13種類のがんの有無を同時に診断できる検査法を国立がん研究センターなどのチームが開発したというニュースがありました。「腫瘍マーカー」を使う現在の血液検査と比べ発見率が高く、ごく初期のがんも見つけられるのが特長だそうです。
 腫瘍マーカー検査は、主にがん細胞が死ぬ時に出るタンパク質を検出するもので、ある程度がんが進行しないと発見が難しいと言われます。今回発表された検査法は、がんが血中に分泌する「マイクロRNA」と呼ばれる物質に着目し、分泌量の変化を調べることで、どのがんも95%程度の確率で発見できたそうです。13種類は胃がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓(すいぞう)がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、ぼうこうがん、乳がん、肉腫、神経膠(こう)腫です。人工知能(AI)を分泌量の分析に利用すれば、検査の精度をさらに高められる可能性があるそうです。チームは、まず乳がんの検査法としての承認を目指したいとしています。期待ですね。
(2017年11月12日)


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