449  怒り

 10月17日(日)からぐっと寒くなって、11月は低温で短い秋、早い冬の訪れになるとの天気予報でした。確かに後片付けの皿洗いする水道水がぬるい、つまり地中温度に比べて気温が低くなったということです。深夜の空にはオリオン座がくっきりと見えます。なるほど、もうすぐ冬だ。


冬の星座は美しい

■ 無情の雨
 前回「これからの天気予報は雨マークが並んでいます。次の土日は緊急事態宣言が解除されて、少年野球の大会がやっと再開されるので、雨が降らないことを願います」と書いたら、土曜日は試合が出来ましたが、10月17日(日)は天気予報では朝6時から小雨で降水量わずか、10時前には止むとのことでお湿り程度、これは出来ると7時半から小学校の校庭で埼玉県東入間学童野球連盟秋季大会一回戦のグラウンド作り、大会本部席のテントや机、椅子も用意して白線を引きました。しかし無情の雨は8時ごろには音を立てて地面に振り注ぎ、みるみるうちに水たまりが出来て行きます。ハナシが違うじゃないの、うらめしや、こういうときの気持ちわかりますか?
  ♪枯葉散る夕暮れは
  ♪来る日の寒さをものがたり
  ♪に壊れたベンチには
  ♪愛をささやく歌もない
  ♪恋人よ さようなら
  ♪季節はめぐってくるけど
  ♪あの日の二人 宵の流れ星
  ♪光っては消える 無情の夢よ
五輪真弓の「恋人よ」ですね。「冗談だよと 笑ってほしい」ような冷たい雨、別れ話、しかし夕暮れではないので、ちょっと情景が違いますね。それならば
  ♪雨に打たれて ながれた
  ♪ふたつの こころは
  ♪かえらない かえらない
  ♪無情の雨
  ♪ああ 長崎 思案橋ブルース
どうですか?1968年(昭和43年)4月25日に発売された、ムード歌謡グループ中井昭・高橋勝とコロラティーノのデビューシングル「思案橋ブルース」、唯一のヒット作です。長崎をうたった歌は数多くヒットしていますが、「思案橋ブルース」はたくさんの有名な歌手がカバーして大ヒットしたため、コロラティーノなんて知っている人はもう少ないでしょうが、歌は生き残っています。
 鉛色の空を眺めながら、落ちてくる雨を避けてわずかな庇の下に身を寄せて、6年生と5年生は数が少ないのでコーチの指導下素振りの練習です。4年生以下は目白押しでヘッドコーチの野球教室です。ホワイトボードを手に、ケーススタディで考えさせながら教えて行きます。大会役員たちは他の二会場の役員とスマホで連絡取り合います。リトルシニアチームの先輩たちとお母さんがやって来ました。朝早く起きて準備して、弁当作って戸田市まで行って中止になって虚しく帰ってきたので、顔出したとのこと。ずっと待機するも雨は降り止まず、もし雨が止んで太陽の光がカーッと照り付けるならば、スポンジで吸ってグラウンド再整備するのですが、天気予報では止んでも曇り、同時に行われている坂戸市の他大会も中止になったみたいで、午前10時半大会本部は中止を決心しました。雨中グラウンド作りしたのを元に戻して解散、残念、お疲れ様でした。

目白押し

■ 群馬県・山本一太知事の怒り
 毎年ブランド総合研究所が発表する「都道府県魅力度ランキング」で昨年の40位から44位に下がった群馬県の山本一太知事が2021年10月14日(木)の記者会見で怒り心頭、「本県に魅力がないと誤った認識が広がることは、県民の誇りを低下させるのみならず、経済的な損失にもつながる、ゆゆしき問題」だとして、根拠が不明なランキングとして法的措置も辞さない考えを示しました。これについて、ダウンタウン松本人志がテレビ番組で、「山本さん怒ってるの理解できる」と言いました。「47って、絶対数決まってるわけですよね。このアンケートやられたら、どれだけポジティブな質問であっても、全部47位まで順位を出されたら、魅力のない街ランキングでもあるわけじゃないですか。これは、やっぱりちょっと気分悪いでしょ。ましてや、コロナで観光業がしんどかったり、飲食がしんどい中ですよ。この足の引っ張られ方はきついなとも思うし、ベスト10でいいと思うんです」と言及しました。また、かつて宮崎県知事を務めた東国原英夫さんは「一太さんの気持ちは痛い程分かる、下位にランキングされた自治体にとっては侮辱・人格否定に等しく、いじめ・偏見・差別等を助長し兼ねない」と述べました。

■ 栃木県・福田富一知事や茨城県・大井川和彦知事は...
 世間では山本一太知事の怒りに対し、「パフォーマンスだ」とか「器がちいさい」、「相手にするな」などの声も聞かれますが、昨年は最下位になった栃木県の福田富一知事が怒り心頭でブランド総合研究所に乗り込んだことは記憶に新しいところです。栃木県はこの後、最下位を逆手に取り「47(そこ)から始まる栃木県」と題し、ゆかりの著名人らを起用したPR作戦を展開しました。また一昨年まで7年連続の最下位だった茨城県も、同様の自虐戦略を取ったこともありましたが、2019年は台風19号で県内に死者が出るなど被害を受けたさなかでのランキング発表だったため、大井川和彦知事が不快感をあらわにしましたね。今年はまた最下位に返り咲きましたが、、記者会見では「この会社はそういうシナリオを描いてくると思っていた。一番面白いから。最下位は痛くもかゆくもない」と、ランキングを相手にしないとしました。

日光東照宮(筆者撮影)

■ 何が都道府県の魅力なの?
 では当の「ブランド総合研究所」はどう捉えているのか。同社の田中章雄社長は、「驚いています。まず、群馬県の魅力度の結果については、点数は前年の13.4点より今年は15.3点と上昇しています。ただし、他にさらに伸びが高い県が多かったことから、相対的な順位は残念ながら下がってしまいました。したがって、『結果が下がった』ではなく、『魅力度自体は高まっているが他にはもっと高まった県が多かった』というのが正しい結果となります」と、群馬県の魅力自体が低下したのではないと説明しました。ちなみに2021年版の1位は北海道で調査開始から13年連続の1位、2位以下は京都府、沖縄県、東京都、大阪府、神奈川県、福岡県、長崎県、奈良県の順で、10位は長野県と石川県でした。地域ブランドNEWS参照。いったい魅力って何でしょう?北海道、京都、沖縄と来たら行って見たい観光地の上位ですね。東京、大阪も地方の人から見たらそうでしょう。でも当の東京の人に街頭インタビューすると東京4位は「違うんじゃないの?」という人が多いそうです。すると、何をもって魅力とするか?ということになりますね。例えば住みやすさランキングや、住民の満足度ランキングだと全く別の結果が出ますよね。

■ 調査方法に問題があるのでは?
 この調査の問題点は何か?今年の1位北海道は73.4点、2位の京都は56.4点で17点差、5位の大阪府は42.0点で1位とは31.4点も開いています。下位30自治体は15点差以内、下位20自治体に限ってみれば10点差以内に収まっており、差はわずかです。群馬県の担当者は「点差が大きい上位だけを公表するのはまだ良いとしても、点差が少ないその下の自治体を、細かく47位まで示す意味がどこにあるのでしょうか」と言います。この調査は、全国1000の市区町村と47の都道府県の計1047地域に対して認知度、魅力度など全89項目の設問を設定して実施されます。都道府県については「どの程度、魅力を感じますか」という質問に対し、「とても魅力的」を100点、「やや魅力的」を50点、「どちらでもない」、「あまり魅力を感じない」、「全く魅力的でない」を0点としてカウントするとのこと。都道府県ごとに100点満点に換算してランキング化しているそうです。重みづけなら「やや魅力的」を75点、「どちらでもない」を50点、「あまり魅力を感じない」を25点、「全く魅力的でない」を0点とすべきではないですか?具体性がなくイメージを問うような質問では、憧れの街や有名な観光地のある自治体が上位に来るのは当然で、例えば温泉好きならそういうランキングが別にあって、群馬県の草津が長いこと連続日本一を続けています。大分県(別府と湯布院)や兵庫県(有馬と城崎)が続きます。北海道(登別)や岐阜(下呂)、愛媛(道後)も上位に入るでしょうが、当然ながら東京や沖縄は最下位でしょう。何でランキングするかでガラッと変わるのです。例えば観光地であれば日光や那須のある栃木県は当然上位に来るはずです。野菜や食材であれば茨城県は絶対上位に来るはずです。要するに何を魅力ととらえるのか?ですね。

草津温泉の湯畑(筆者撮影)

■ 納得できない低評価の地域、魅力いっぱいなのに...
 ちなみに上記のように10位は32.5点で長野県と石川県でした。20位は25.3点の愛知県、30位は19.9点の岩手県、40位は16.5点の鳥取県、昨年最下位だった栃木県は今回16.2点で41位とやや回復、以下山口県15.6点、徳島県15.6点、群馬県15.3点、埼玉県14.4点、佐賀県12.8点、茨城県が11.6点で最下位です。筆者は仕事や個人旅行で全国47都道府県すべて行きましたが、この下位にランクされた地域はどこも大変魅力的です。山口県は魚の美味い下関から萩、津和野、美祢、秋吉台などの観光地、産業も小野田、宇部、防府、周南、下松、光、柳井、岩国と主要産業が集積し、とても良いところです。日本酒「獺祭」がありますよ。徳島県は鳴門を筆頭にまた行きたいと思わせる美しい自然が拡がります。大塚美術館、必見だし、阿波踊りがありますよ。佐賀県は唐津、伊万里、有田など焼き物で超有名なまちが並んでいるほか、海の幸は豊富で、果物や米だって美味しいですよ。「おしん」でちょっと意地悪な印象を持つ人がいるかもしれませんが、実際にはとても親しみやすい人が多い印象です。栃木、群馬、埼玉、茨城など関東が低評価なのは納得できません。神奈川6位、千葉12位との差はどう説明されるのでしょうか。結局、行ったこともない地域をアンケートで答えるとすれば、テレビなどでよく見る地域以外は良く知らない状況で答えるわけですから、イメージだけで、本当の魅力を知らない人が答えていることになるわけです。

■ 45位転落の埼玉、ディスられるのには慣れている?
 この調査を見ると、どことなく新型コロナウイルスから見た魅力度ランキングに近いような気がします。北海道、京都府、沖縄県、東京都、大阪府、神奈川県、福岡県の順を見たら、人口当たりCOVID-19感染者密度のランキングかな?と思ってしまいます。例外は埼玉県です。感染者数が多い自治体が軒並みランキング上位なのに、埼玉県だけどうして?前年の38位から一気に45位転落です。大野元裕知事も何か見解を出すべきではないですか?前任の上田清司知事が埼玉県をディスった映画「翔んで埼玉」を「悪名は無名に勝る」と歓迎してヒットを後押ししたように、ダサイのには慣れているのでしょうか。埼玉の観光地と言えば川越市や長瀞ですが、全国的には知名度が低いようです。ただし「教育・子育て」分野は全国1位、「スポーツ」は5位と、それなりに評価されているみたいですよ。

埼玉県の選挙管理委員会にしてこの調子です

■ 「大柏木川原湯トンネル」開通で便利になりました
 筆者は群馬県の温泉に頻繁に行きます。この2年はCOVID-19感染対策でおろそかになっていますが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されたときを狙って出かけました。昨年11月中旬には草津の酸性度高いピリピリ温泉で傷んだ肌を四万のアルカリ温泉で中和する温泉巡りに出かけました。昨週、今年二度目の草津温泉に出かけました。「くらぶち小栗の里」(158『小栗上野介』(2016年3月19日)参照)を経由して、新しくできたトンネルを通って川原湯に出て、八ッ場ダム上の橋を渡ります。このトンネルのおかげで随分楽になりました。
 2020年12月18日に開通した「大柏木川原湯トンネル」は、川原湯地区の背後の金鶏山を貫く3005メートルのトンネルで、八ツ場(やんば)ダム本体工事に使う原石を金鶏山の背後の東吾妻町大柏木地区から運搬するためにつくられました。八ツ場ダム建設は、政権が代わって一時凍結されるなど大騒ぎになりましたが、反対運動の一つは川原湯が湖底に沈むことでした。そこで川原湯温泉を高台に移転し、様々な生活再建事業が行われました。ダム工事というものがいかに壮大なものであるか、この地区をドライブすればつくづく感じられます。筆者の生家も今は岩手県の御所ダムの湖底ですが、八ツ場ダムのような切り立った断崖に造られたわけではないので様相は大分違いますが、盛岡の奥座敷;つなぎが湖底に沈むため高台に移転したというのは川原湯と同じです。八ツ場ダム本体工事終了後は、大柏木川原湯トンネルとその取り付け道路を一般道として利用できるようにするための工事が群馬県によって行われてきました(→群馬県のホームページ)。国道406号を経由してクネクネカーブだらけの道を走り、須賀尾峠を越えて高崎方面に向かう場合と比較して、移動時間が約30分短縮されるので、草津−高崎間の交通は楽になりました。ちなみに草津に向かう場合は高崎から北西方向になりますが、ここに立ちはだかるのが赤城山、妙義山と共に上毛三山のひとつ榛名山(榛名富士)です。山麓に伊香保がありますね。榛名山を越えて榛名湖経由の道は登って下って大変です。渋川から榛名山の北側をぐるっと巻いて国道145号を通るのが一般的ですが、榛名山の南側を烏川に沿って北北西に進み、かつて小栗上野介の領地であった倉渕・権田から烏川と別れて北上し、国定忠治が破ったことで有名な大戸関所で左折、西へ向かう国道406号と別れて途中大柏木方面に右折、西北西に川原湯に向かうとショートカットになります。国道145号を通って子持山から小野子を経由するよりずっと近いので、「大柏木川原湯トンネル」開通後はコチラを走っています。車の通行量も少ないので快適です。

■ 日本で最も美しい村連合の六合(クニ)の絶景
 帰りには、日本の原風景・・・「日本で最も美しい村連合」加盟の中之条町六合地区をドライブしました。六合(クニ)は古事記の「天地四方を以って六合と成す」が由来だそうです。2019年にも行って(336『草津と万座』(2019年8月18日)参照)、その美しさに魅せられたので、また行ったのです。この時は万座温泉にも行ったので、噴煙上がる草津白根山を右に見て横手山のほうに国道292号をちょっと北上して六合の渋峠「日本国道最高地点」(2172m)に寄りました。

草津白根山塊の茶色い山肌のそこかしこからガスが吹き出していて、いかにも火山だということがわかります(筆者撮影)
国道292号はまさに雲上のハイウェイと言う感じで、こんな気持ち良い道路は日本でも数少ないでしょう

日本国道最高地点の碑、眼下にはラムサール条約登録湿地の芳ヶ平湿原が拡がり、見下ろすとすごい高度感

■ 美しい野反湖
 上信越高原国立公園内にある標高1513mの野反湖はダム湖です。周囲を2,000m級の山々に囲まれた山岳、湖水、湿原、草原など変化に富んだ環境にあります。初夏から初秋にかけてシラネアオイやレンゲツツジ、ノゾリキスゲ等300種類以上の高山植物が咲き乱れる花の楽園です。キャンプ場もあり、釣りもできます…入漁料1000円。トイレに「景観保全に協力ください」という箱があったので指定の100円入れました。

長野県境の野反湖は行って見なければ分からない絶景が拡がります 青い水と青い空、天上の楽園です(筆者撮影)

■ ホッパー遺構:旧太子駅
 旧太子(オオシ)駅は、国道292号沿いのヘリポートを兼ねた駐車場から見下ろしたところにあります。太子線は、かつて鉄鉱石を採掘していた群馬鉄山(今はチャツボミゴケ公園になっています)から鉄鉱石を搬出するために開業した貨物専用線です。鉄の需要が急増した太平洋戦争中の昭和20年に 日本鋼管群馬鉄山専用線(のちの国鉄長野原線)の貨物駅として開業しました。戦後は旅客駅としても営業をしていましたが、群馬鉄山の閉山や沿線の人口減少により、昭和46年に国鉄長野原線の太子駅から長野原駅(現JR長野原草津口駅)の間が廃止、それに伴い太子駅もその役割を終えました。廃駅となった太子駅ですが、その後も鉄鉱石の積込み施設や車止めなどの一部遺構が残されたままとなっていました。その後公園としての整備が決定し、埋もれていた遺構の発掘やホーム、駅舎の復元作業が行われました。そして2018年に公開開始、旧太子駅の遺構を誰でも見学できる施設となりました。
 巨大なコンクリート製の遺構は、鉄山で採取された鉄鉱石を貯めて、貨車に積み込む「ホッパー」と呼ばれる施設の跡です。群馬鉄山から索道(貨物用ロープウェイ)で運ばれてきた鉄鉱石を、このホッパー上部の貯炭槽に貯めていました。その後、ホッパー下部の引き込み線に入れた貨車に鉄鉱石を積込み、製鉄所のある川崎などに運び出していました。ホッパーが稼働していた当時は貯炭槽を含め四階建ての巨大な建造物でしたが、現在、遺構として残っているのはその一階部分のみです。それも、廃駅後は一部が土に埋もれている状態でしたが、近年の整備により施設全体と線路の一部が発掘されました。コンクリートの柱が連なる光景はまるで古代の遺跡のようで、廃墟マニアやテッチャンが幻想的な廃墟の写真を撮って、SNSでも徐々に話題になっています。しかし、建設されてから70年以上が経過しているため、柱や天井が崩れかけている場所があるので、「危険なのでホッパーの中に入っての撮影はやめましょう」という看板がありました。

旧太子(オオシ)駅のホッパー遺構(筆者撮影)

■ 419キャベツ
 道の駅六合(くに)で「419キャベツ」を買いました。ナント、たったの120円です。大きくて、いかにもみずみずしいキャベツです。同じ群馬県産で堅く締まった「嬬恋キャベツ」より大振りでやや平べったい印象で、柔らかくて甘い「いわて春みどり」に似ています。「419」は育種番号で、「麗峰1号」という品種で、夏に栽培されるキャベツ(夏秋キャベツ)の中で最も味が良いといわれますが、実はこれ「幻のキャベツ」といわれているそうです。嬬恋でも生産されていますが、直売所止まりで市場には出回らないとのこと。葉が柔らかで、レタスのようにシャキシャキで軽い食感が特徴です。ただ、暑さに弱く痛みやすくて、出荷前にほぼ半分が廃棄されるとのこと。25年ほど前までは市場に出荷されていましたが、今ではこのキャベツを販売目的で生産する農家はほとんど無くなったようです。キャベツ特有の苦みが無く、甘くて柔らかいので、そのまま生食がお勧めだそうです。

これは「いわて春みどり」

■ 西山ファーム
 農産物を海外に転売する事業への出資金名目で現金をだまし取ったとして、岡山県赤磐市の観光農園会社「西山ファーム」の元幹部ら五人が2021年10月18日(月)愛知県警に詐欺容疑で逮捕されました。皆30代の若者です。元副社長の山崎裕輔容疑者(40)は海外にいると見られ、逮捕状をとり、行方を追っています。狙われたのは愛知、岐阜などの20〜30代の若者たちだそうです。同社の勧誘役は名古屋市などを拠点に、「手元に現金がなくてもカードで投資できる」と言葉巧みに誘っていたようです。全国の930人からおよそ133億円を集め、一昨年から破産手続き中とのこと。典型的マルチ商法で、被害総額は20億円にはなると見られます。タレントの紗栄子(ダルビッシュ有の元妻)がインスタグラムで西山ファームを紹介するなど、“農園の広告塔”になっていたみたいです。本人はそんなこと知らなかったでしょう。有名人を広告塔に使い、セミナーを開いたり、典型的詐欺商法ですが、だまされるのがお年寄りだったり、金持ちだったこれまでのパターンと違って、若者だったというのが従来と異なるところです。
 そもそも「西山ファーム」は西山美千代さんという比較的若い女性が代表取締役で、資本金3100万円、従業員120名だったそうです。じゃらんでも紹介されていたように、「西山ファーム」は岡山県下最大級の桃園と、ブルーベリー、いちご狩りの出来る体験型観光農園で、カフェメニューも提供していました。真っ当に営業していたのが急変したのは、何かがあったのでしょう。433『投資詐欺』(2021年6月29日)で紹介した軽井沢四季彩ファームとはまたちょっと違うケースです。那須の安愚楽牧場も最初は真っ当に営業していたのですが...

■ 首都圏マンション価格
 2021年度上半期(4〜9月)の首都圏(1都3県)新築マンションの1戸当たり平均価格は前年同期比10.1%増の6702万円となり、1973年の調査開始以来、上半期として最高になったとのこと。東京・湾岸エリアのタワーマンションが売れていて、これがけん引役のようです。TVで紹介していたタワーマンションでは、品川から大手町までリビングから一望できて、東京タワーをのぞむ夜景も見られます。角部屋のこの部屋は、3LDKでおよそ1億5000万円だそうで、「へぇ〜」と思ってしまいました。そのマンションで1番売れているタイプの部屋は、3LDKおよそ1億円の物件だそうです。高値が続く市場を引っ張る購入者層は“パワーカップル”と呼ばれ、共働きでそれぞれ年収700万円以上、世帯年収が1400万円以上のカップルだそうです。日本でも格差拡大が続いていると言いますが、こういう画像を見せられると納得してしまいます。
 不動産バブルと言われるお隣韓国では、首都圏マンションの実勢価格の上昇幅がさらに大きくなっているようです。今年に入ってすでに25%水準で暴騰していて、9月の首都圏マンションの平均売買価格(7億4185万ウォン=約7174万円)を基準にすれば、1世帯当たり1億8546万ウォン(約1793万円)も値上がりしたそうで、平均で9千万円ですから日本よりずっと高いことになります。
(2021年10月19日)


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