208  若年性認知症

 本日は啓蟄、「冬籠りの虫が這い出る」頃、春ですねぇ。朝の日差しにハッキリと春を感じます。我が家は全部屋東南向きなので、晴れた日は朝から陽光が部屋に降り注ぎ、一気に気温が上がるのです。太陽高度角が日に日に上がることが感じられます。

■ 節句
 3月3日は桃の節句、ひなまつりです。女の子のまつりで、雛人形を飾ります。「節句」は季節の節目となる日のことです。この日には、日本の宮廷において節会(せちえ)と呼ばれる宴会が開かれます。年間にわたり様々な節句が存在しており、そのうちの5つを江戸時代に幕府が公的な行事・祝日として定めました。五節句ですね。それが人日の節句:1月7日七草粥、上巳の節句:3月3日桃の節句・雛祭、端午の節句:5月5日菖蒲の節句、柏餅やちまきを食べ菖蒲湯に入ります。七夕の節句:7月7日短冊に願いを書き、そうめんを食べます。重陽の節句:9月9日は菊の節句です。

■ 季節のお風呂
 桃の節句には桃の葉を入れた「桃風呂」に入って、無病息災を祈るという風習の地域があります。風習にまつわるお風呂、伝統行事のお風呂を楽しむのも粋というものではありませんか?紹介しますと、桃の節句の次の4月は「雁風呂」。これは秋に渡り鳥の雁が南方目指して海を渡る時、海上で休むための小枝をくわえて飛び、北へ帰る春に再び海上を渡る時に使うため、浜辺に落としておくそうですが、残った枝の数だけ冬に命を落とした雁が居ることになり、雁の供養としてその枝でお風呂を焚き、旅人にふるまったという、ちょっと切ない津軽地方の民話を元にした話です。5月に入ると端午の節句です。「菖蒲湯」に入るのはご存知ですよね。菖蒲の香りが邪気を払い、無病息災を願うのですが、血行促進など、実際に体にとってもおすすめのお湯だそうです。夏といえば七夕、織姫と彦星ですね。土用の丑と言ったら「丑湯」。この日にゆっくりお風呂に浸かれば、病気をしないといわれているそうですよ。9月9日の重陽の節句、いわゆる菊の節句は、無病息災や長寿を祈る日だそうです。花びらを浮かべた「菊酒」を飲むことや、当日に摘んだ菊の花を干して詰める「菊枕」などが風習としてありますが、菊の花びらを浮かべた「菊湯」に入ると、豊かな菊の香りでとてもリラックスできるそうですよ。もう一つ秋と言えば中秋の名月を楽しむ「十五夜」、次の十三夜にも月見を楽しむ「月見風呂」はいかがでしょうか。そして冬至の「ゆず湯」です。かつては冬至が一年の始まりだったそうで、ゆずの香りや成分により、身を祓い浄める意味があったとも言われています。いずれにしてもゆずの香りもとてもリラックスできますよね。そして年末。大晦日に入るこの年、最後のお風呂のことを「年の湯」、年が明けて初めて入るのが「初湯」といいます。ただし初湯は、もともと1月1日ではなく、1月2日の昼間に入るのだそうですよ。もっとも筆者の冬は「雪見風呂」ですね。わざわざ寒いところへ行きたくなります。

■ 鴻巣びっくりひな祭り2017
 3月3日ならば、ひなまつりを見に行こう!伊香保の石段か?房総勝浦のビッグひな祭りか?いや、近場の日本一高いピラミッドひな壇を見に行こうと決めました。
 165『GWの花見』(2016年5月9日)で紹介しましたが、川幅日本一(2537m)、ポピーの栽培面積日本一など8つの日本一を誇る埼玉県鴻巣市に、“ひな人形で飾る日本一高いピラミッドひな壇”(31段高さ7m)があります。「鴻巣びっくりひな祭り」は、雛のまちとして有名な「ひな人形のふるさと〜鴻巣〜」で様々なイベントが繰り広げられるものです。JR鴻巣駅前のエルミこうのすショッピングモールの、吹き抜けのところにそれは飾られていました。ちょうど鴻巣幼稚園の園児たちが来て歌を歌っていました。父母や祖父母がいっぱい見に来ていました。実に見事な雛壇と可愛い子ども達のコラボでした。
 鴻巣市産業観光館「ひなの里」に立ち寄って端午の節句のつるし雛の展示を見たことを紹介しましたが、伊豆稲取のつるし雛は見事でしたね。

日本一高いピラミッドひな壇の前で歌う鴻巣幼稚園の園児たち

■ 発熱
 久々に発熱しました。何年ぶりでしょうか?朝起きたら喉が痛いのです。やがてどうやら熱があるようだと分かりましたが、体温計がありません。一昨年夏に引っ越して、ドサクサでどこかに行ってしまいました。まあ、どこにあるかわからないほど無縁だったということです。これで思い出したことがあります。中学生ぐらいのときか、風邪を引いたみたいで、熱が出て医者に行きました。当時田舎では医者が少ない反面、過疎化前なので患者は多く大混雑、忙しい先生が「風邪引いたぐらいで病院に来なくても、常備薬飲んで暖かくして寝ていれば治るよ」と言いました。そんなこと言われても、熱でだるいし、風邪引くか歯が痛いぐらいしか病院には縁が無いし...と思ったけれど言葉を噛み殺しました。ところがいつまで経っても熱が下がりません、3週間ほど経ってまた先生のところに行きました。「ん?まだ下がらない?ドレドレ」と言って、「イカン、気管支炎じゃないか、どうして早く来ないんだ、肺炎になったら命取りだゾ」とおっしゃいました。「だって...」と出かかりましたが言葉を呑みました。そんな時代だったんですね。♪そんな時代もあったねと・・・中島みゆきだよね。
 暖かくして寝ている、そうか、温泉に行かなければ、と思いました。そこでまた一泊旅行・・・

■ 若年性認知症、辛いナァ
 200『冬虫夏草』(2017年1月7日)で、アルツハイマー型認知症脳機能向上カイコ冬虫夏草サプリメントを飲んでいると紹介しました。加齢に従い、認知症になったりガンになるのは避けられません。しかし今や医学の進歩は日進月歩です。生きている間に、昔はどうしようもなかった病気に立ち向かえるようになるかもしれません。
 ただ標題の若年性認知症の人を身近に見ると、辛いナァ、と思います。あるときに筆者が幹事の会合に奥様が旦那さんを連れて来られました。温泉旅行中にスマホに電話があり、楽しい会合だからどうしても夫が出たいと言っているので付き添って行きますとのことでした。アメリカ暮らしの長かった人ですが、60歳を過ぎた頃から症状が出て来たのだそうです。今では旦那さんも自分の症状を認識して、その旨周りの人にも説明していましたが、毎年来るけれど、チョット変わってるナぐらいに思っていました。立派な過去を知っているだけに辛いものがあります。

カイコハナサナギタケ「冬虫夏草」サプリメント

■ 男性に多い病気で、気付くのが遅れることも・・・
 64歳以下の人が認知症と診断されると、若年性認知症と呼ばれるようになるそうです。物忘れが出始め、仕事や生活に支障をきたすようになっても、まだ若いという思いで認知症であるとは気付かなかったり、病院で診察を受けても、うつ病や更年期障害などと間違われることもあり、診断までに時間がかかってしまうケースが多く見られるのだそうです。若年性認知症患者は、4万人弱、男性の方が女性よりも多く、発病年齢は平均で約51歳との事。若年性認知症は、脳血管性型とアルツハイマー型の2つが圧倒的に多く見られるとのこと。とはいえ、罹患者は少数ですが、高齢者でも見られる前頭側頭葉型やレビー小体型、事故などで脳に損傷を受けたために起こる頭部外傷後遺症や、多量のアルコールを飲む事で脳が委縮する、アルコール性の認知症なども見られるそうです。若年性認知症では、物忘れが見られ、仕事やプライベートで大事な予定を忘れてしまう場合があります。忘れた事を指摘されても、予定を組んだ事自体を忘れてしまうため、「あっ、忘れていた」と思い出せません。また今日の日付や、自分がいる場所がどこかわからなくなって、書類などに日付を書こうとしても書けない、良く出かける場所で迷子になるなどがたび重なりおかしいと気付く場合があるそうです。

■ デイサービスセンター「けやきの家」の取り組み
 若年性認知症は高齢者の認知症よりも、進行が早いと言われています。また早期発見し治療を行う事で、症状の進行を遅くするなどが期待出来るそうです。詳しいことはさておいて、ここでは注目の取り組みを紹介しましょう。我が家の近くにある三芳町社会福祉協議会デイサービスセンター「けやきの家」です。若年性認知症の方で社会参加活動を希望する人にこども食堂のスタッフとして、「こどもたちを支援しながら有意義なデイを過ごしましょう」と呼び掛け、賃金を支払っているのです。夕食作りをしたり、卓球やバレーで一緒に遊んだりします。「けやきの家」のブログをご覧下さい。近隣の三芳すこやか部会の農家の皆様が野菜を提供してくださって、それで食事を作る、なんという素晴らしい助け合いでしょう。
 管理者の内城(ナイジョウ)一人さんは岩手県盛岡市出身です。「誰かの役に立ちたい、まだまだ出来る事はたくさんある、サービスを受けるばかりではなく、役割を持つことを望む人は多いんですよ。地域貢献とリンクすることで、『役に立ちたい』という思いに寄り添うことが出来れば」と話しておられたと読売新聞に載っていました。

■ 日曜ゴールデンタイムのTV視聴率に異変!
 筆者がNHKの大河ドラマを見ないというのはいつ以来か?松山ケンイチの平のナントカ以来かなぁ?おんな城主の井伊直虎と聞いただけで興味を失いました。主演の柴咲コウは大好きな女優なんですよ。しかし、それが城主というのはねぇ、小池百合子じゃあるまいし...視聴率は12%台とか13%台とか低迷しています。ついに市川海老蔵を14年ぶりに引っ張り出すそうですよ、織田信長役で。
 同時間帯の古舘伊知郎のフジテレビ系「フルタチさん」は悲惨ですね。池上彰さんであれば「見よう!」と思いますが、フルタチさんではねぇ...視聴率はひとケタ台、それも5%割れが定着しつつあって、早くも打ちきり説が出ているみたいですよ。来期はNHKに出るとか。
 さてそこで何がスゴイって?日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ!」です。日曜の夜は「笑点」から始まってず〜〜〜っと日テレの圧勝というのが現実です。イッテQ!は連続で20%の大台を超えていて、とにかく勢いが止まりません。もしかすると25%も?という勢いです。ちなみに筆者はどれも見ていません。
 イッテQは、内村光良がMCを務め、イモトアヤコや出川晢朗、宮川大輔らのお笑い芸人たちが世界各地に行って、珍獣を探したり、お祭りに参加したりする“体当たり系ロケ番組”です。たかが20分程度のワンコーナーのために1週間のロケをしたり、準備期間に1ヶ月以上も費やしたり、莫大な時間と労力をかけているスタッフのことを思えば、出演するタレント側もその期待に応えようと、普段以上の力を出す、その相乗効果が、高視聴率につながっているみたいですね。いわゆるシナリオに乗ってじゃなくて、何が飛び出すか分からないから面白いのでしょう。

■ 中国、韓国旅行商品の販売中止
 韓国で3月2日、中国政府が自国の旅行会社に対し、韓国旅行商品の販売を全面的に中止するよう指示したという衝撃的なニュースが報じられました。在韓米軍への最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備への反発でしょう。韓国ロッテグループによる用地提供で今年前半にも配備される見通しとなったことを受け、「報復措置」を取ったようです。
 これはこの後で触れる台湾の深刻な実態があるだけに、大変なことです。昨年、韓国を訪れた観光客は約1700万人で、このうち800万人が中国人観光客でしたから、もしホントウなら、韓国の旅行関連業界が大きな打撃を受けるのは必至です。そうでなくてもサムソン問題で大揺れの韓国経済界には大変な事態です。今後、中韓関係は一層悪化すると思われ、これは日本にも他人事ではありません。北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐる日中韓の協調にも支障が出るのは避けられません。

■ 日本も他人事ではありません
 日本でもアパホテルの客室に置いてある書籍の問題で中国人旅行客のキャンセルが相次ぐ事態が起きました。ただ、コレについては中国政府がどうこう指示したわけではありません。それでもやはり今や日本でも中国人旅行客は最大顧客ですから、アパホテルは今、抽選でタダで泊まれる大キャンペーン展開中、それだけ苦しいと言うことです。この問題は、政治色を出してはいけないサービス業にあるまじきことをしたアパホテル側の明らかな失態ですから仕方ない面もありますが、日本も政治的に中国を刺激することは避けるべきです。変な意地をはったり見栄を張るととんでもないしっぺ返しを食らう恐れがあります。
 もうすぐ日本はお花見シーズンです。109『花見』(2015年4月5日)で紹介しましたが、中国人は日本の「花見」が大好きです。上野の森は外国人で溢れます。サクラを見にどっと外国人が訪れ、中でも圧倒的に多いのが中国人です。この時期の東京のホテルは予約困難、花を見るより、中国人観光客の喜ぶ姿を見に今年も上野の森に出掛けようかなぁ...

■ 韓国ロッテがサイバー攻撃を受けて
 このニュースの信憑性を裏付けるように、ロッテグループは3月2日、ショッピングサイト「ロッテオンライン免税店」がサイバー攻撃を受け、一時接続できない状態になったと発表しました。攻撃の発信源は中国とみられ、大量のデータを送り付けてシステムを麻痺させる「DDoS攻撃」が行われた模様です。明らかにTHAAD配備用地提供への報復でしょう。中国やロシアはこのように国を挙げてサイバー攻撃を仕掛ける国で、まったくもってケシカランと言うほかありません。今や銃や砲撃のような戦闘でなくても、サイバー攻撃は明らかな戦闘行為なのです。

■ トランプ氏の発言で大騒動! 台湾と中国 揺れる今を大解剖
 先日テレビ東京「日経スペシャル 未来世紀ジパング」という番組で、上記タイトルで揺れる台湾を採り上げていました。観光地や飲茶(ヤムチャ)で有名な飲食店は年が明けても、日本人観光客であふれ返っています。一方で台湾東部の花蓮市は大理石でできた山間の渓谷が人気の観光地、数年前までは観光客でいっぱいだったのに、今は人影もまばらです。実はここ、中国人を相手に栄えていた観光地なのです。去年「中国から距離を置く」ことを掲げ当選した蔡英文氏が総統になってから、中国側が台湾への旅行客を制限した影響で、中国人相手に商売をしていた町は大打撃を受けることになりました。ホテルは軒並み廃業、観光で生活していた人たちの生活もあり得ないほど変わってしまったのです。こういう事態になったら大暴動が起きるのが普通ですが、台湾ではそうなりません。そういうところが日本と良く似ています。起きた現実にクヨクヨせず、じゃあどうするか、と考えるのです。

■ 緊張が走る金門島
 中国と台湾の間で問題が起きると、緊張が走るのが金門島です。台湾軍が駐屯する金門島に、ジパング取材班が潜入しました。金門島の岸の向こうは中国です。台湾から270キロ、中国から2キロの場所にあります。中国側は泉州市の管轄としていますが、台湾が実効支配し、台湾軍5000人以上が駐屯しています。ここは台湾海峡危機のときに中国から50万発の砲弾が打ち込まれましたが、米国が台湾への支援を開始したため、中国が休戦を宣言して今に至っています。台湾の軍事力は世界13位と高く、空軍に力を入れています。中国は国境線が広いため、北はロシア、東は韓国や日本=米国、台湾、西は中央アジア各国、カザフスタン、アフガニスタン、パキスタン、インド、南はミャンマーやベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどと対峙しなければいけません。
左上のピンクで囲ってあるのが、金門島と、小金門の2つの島、右側の緑の矢印は緑島です
対岸の中国福建省の厦門(アモイ)が小金門からよく見えるそうです。金門島は、台北松山空港から飛行機で1時間です
航空機の総数では中国が2.5倍ぐらい保有しますが、こうした事情で、いざ対台湾となると台湾の方が実質優勢なのだそうです。台湾がアメリカから武器を買った総額は5兆224億円、米国にとっては大事なお客様です。ましてや米国の大統領がトランプとなったので、彼は”deal”を尺度にモノを考えますから、大事なお客様の台湾をおろそかにするはずがありません。一方中国にとって最大無二のお得意様は米国です。”deal”のトランプが、この立ち位置をうまく利用しないはずがありません。

■ ねじれた超高級マンション
 台湾のランドマークである超高層ビル101・・・一時期は世界一高いビルでした。左右の写真がそうです。これを建設した熊谷組が、台北にそびえたつ超高層ビル101の隣に“変な形のマンション”を建設しています。実はこれ、74億円の部屋もある、超高級マンションなのです。ねじれた形の、斬新と言うよりも、ものすごく変な形です。どれだけ変か、熊谷組のホームページをご覧下さい。
 二重螺旋の超高層デザイナーズマンション「陶朱隠園 (タオヂュインユェン)」は、着工前から台湾だけでなく海外からも多くの注目を集めてきました。高さ:93.2mで21階建て、1フロアに2戸、1000u/戸、合計40戸、2017年9月30日完成予定です。ねじれているのでベランダに出ると空が見上げられます。こんな高いマンションを買う人がいるのか?いやいやシャープを買った鴻海精密工業のトップ、郭台銘氏は2部屋予約しているそうですよ。台湾のセレブたちの金持ち度合いは日本人には信じ難いでしょうね。

■ 大地震の頻発する台湾と日本
 台湾で大地震があったのは記憶に鮮明です。2016年2月6日午前3時57分、南部の高雄市を震央として発生したマグニチュード(M)6.6の地震で「台湾南部地震」と名付けられました。台南市では9棟が全壊し、5棟が傾くなどの被害が出て、地上16階、地下1階のビルが横倒しに倒壊し、地震全体の死者の9割以上に当たる115人の死亡が確認されました。この倒壊したビルは、柱などの中に複数のサラダ油や塗料の缶が埋め込まれているのが見つかり、台湾検察当局はビルの建設を担当した会社の元社長ら幹部3人を業務上過失致死容疑で逮捕したというニュースがありました。その前にも921大地震(きゅうにいちだいじしん)という、台湾時間の1999年9月21日1時47分18秒に起きた地震では死者:2,415人の大被害でした。
 このように地震の怖さを知っているからこそ2011年3月11日の東日本大震災の時は、台湾ではすぐさま募金活動によって信じられないような巨額の支援を日本に行い、東北の被災者から感謝の言葉が上がりました。台湾南部地震では、今度はこちらが恩返しする番だと日本から多くのお金と救援物資、救援隊が派遣されました。するとすぐさま熊本地震、またしても台湾から支援が寄せられました。このように台湾と日本との間では、まさしく身内以上の親愛を示してくれる世界一の親日国なのです。
 と同時に東日本大震災を引き起こしたあの大地震にもかかわらず、死者はほとんど津波によるもので、大きなビルは少なくとも倒壊はしませんでした。これが、台湾のセレブたちに「日本の大手ゼネコンのマンションなら安心だ」という印象を植え付けたのです。

■ トランプと台湾と中国は日本のお手本
陶朱隠園(英名TAO ZHU GARDEN)は、エレベーターで自分の車を自分の部屋の中まで運ぶことができ、救急車も自分の部屋の中まで呼ぶことができるとか...右写真イメージ
 この数年台湾の課題は脱中国で、トランプ氏の出現はピンチをチャンスに変えるきっかけになると捉えられています。馬英九総統時代には中国と親密になりましたが、学生などを中心に、反中国親米の動きが強まって、民進党の蔡英文氏が総統になりました。蔡総統がトランプ氏をうまく活用し、中国との関係を新たに構築しようとしているというのが、いま台湾人の捉え方です。もちろん台湾人にとっては中国は同族ですし、喧嘩ではなく協力して行きたい相手ですが、あくまで政経分離で、というところでしょう。日本も同様ですが、政治的には中国と対立しても、経済的には切っても切れない間柄というのが現実です。怖いのは軍事的暴発です。いつなんどき、狂った指導者が現れるか分かりません。台湾がどう中国と向き合うかは、日本にとってもヒントになりますから、注視して行くべきでしょう。

■ 一つの中国、米中に揺れる台湾
 トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が2017年2月9日電話会談し、トランプ大統領は「われわれ(米国)の『一つの中国』政策」を「尊重する」と表明しました。この内容は台湾当局に事前通知していたそうです。「一つの中国」に関する米国の「政策」と、中国の「原則」は内容が異なり、米国は中国の立場をそのまま受け入れてはいません。トランプ氏は昨年末、「一つの中国政策」に縛られない考えを表明し、台湾側はこれを歓迎する一方で、中国側は猛反発して懸念も出ていました。
 トランプ政権が理論上の根拠としているのは、ブッシュ大統領時代のジェイムズ・ケリー東アジア太平洋担当国務次官補が議会証言で「我々の『一つの中国』を容易に定義できるか自信が無いが、何がそうでないかは言える。北京の『一つの中国』ではない」と言ったことです。1979年の米中国交正常化における文書では、米国は「台湾は中国の一部であるとする中国の立場をAcknowledgeする」と書かれているそうです。アクノレッジというのは認識することですね。2月26日の読売新聞には、トランプ政権に近い専門家が、「私はこのコップを白いと思うが、あなたは赤いと言う。意見が異なるが、あなたが赤だと言うことは認めよう。これがAcknowledgeだ」と言ったと書いてありました。なるほどそういうことか。トランプ米大統領がどのように台湾と中国と向き合って行こうとしているかがうかがい知れる話ですね。

■ きなくさい北朝鮮の動き
 今金正男氏の殺害事件で大騒ぎです。どうやら中国政府は北朝鮮の金正恩政権を支援する方向しかないと決めたみたいですが、北朝鮮があまり米国を挑発するとヤバイですよ。米国の新大統領は今までの人間とは違います。ビンラディンを襲撃して殺害した時のように金正恩を狙う特殊部隊を仕向けたり、本気で軍事施設の空爆を指令するなどということをやりかねません。もしそうなったら北朝鮮のミサイルが発射され、パトリオットやTHAADが本気で作動するかもしれません。北朝鮮のミサイルはまず在日米軍と自衛隊の初動を制しようとするはず、狙うのは米軍の通信施設と自衛隊の通信所です。ソレが何処に在るかと言いますと....

■ 倒壊しなかったものの仙台のマンションは大きな被害
 ところで上で「東日本大震災を引き起こしたあの大地震で、大きなビルは少なくとも倒壊しなかった」と書きましたが、実は仙台市のマンションでは大きな被害があったのです。あるレポートでは「たとえば、仙台市泉区のPマンション(築2年、50戸)では、補修費用は約1億円、1戸当たり200万円であり、これには専有部分の補修費用は含まれておらず、この多額の補修費用の負担と、罹災証明での『全壊』認定は、当然のことながらマンションの資産価値に大きな影響を及ぼすものである」という深刻な実態が報告されたのを見たことがあります。我が弟のマンションでも、部屋の天井が落ち、テレビはみな落ちて壊れ、ピアノも倒れて凄まじい被害でした。1階エレベータフロアの壁にヒビが入っていました。

■ 「倒壊0棟」で「全壊100棟」
 東日本大震災による仙台市のマンション被害は、当初は「倒壊0棟」と認識されていました。社団法人・高層住宅管理業協会は、東北6県で会員社が受託するマンション1642棟の被災状況を「大破0棟、中破26棟、小破283棟、軽微1024棟、被害なし309棟」と発表しました。また、大破よりひどい「倒壊」も0棟でした。その後東大や筑波大の発表によりますと、東日本大震災で発生した地震動を分析したら、建物に最悪の被害をもたらす周期1〜2秒の「キラーパルス」が、阪神大震災の2〜5割にとどまったのだそうです。そのため、「マグニチュード9、震度7」の巨大な地震であった割には、全壊した建物は少なかったのだそうです。
 ところがその後NHKや各紙が、仙台市のマンションでは「全壊100棟」と報じたのです。これは、仙台市が被災者生活再建支援法に基づいて発行する、マンションの「罹災証明書」の数を根拠にしています。高層住宅管理業協会の調査は、「日本建築学会の被災度判定基準」に従ったもので、、仙台市が罹災証明書を交付するための調査は、「内閣府が定める災害に係る住家の被害認定基準」に従っているのです。驚くべきことに、建築学会の判定基準が「小破、中破、大破、倒壊」とした建物が、罹災証明書の認定基準では「全壊」と認定され得るのです。また、「無被害、被害軽微、小破」でも、「半壊」と認定され得るのです。こうして、仙台市のマンションは「倒壊0棟」でありながら、「全壊100棟」でもあるという、深刻で奇妙な状態に陥いりました。補修費用負担とマンションの資産価値の低下が、住民にとっては大きな問題です。

■ 東京マラソンで日本人最高は8位
 東京の風物詩となった東京マラソンは今年からコースが変更になって臨海部における橋、坂、風を避け、ベルリンやロンドンなどと同様の「高速マラソン」が期待されました。都庁からスタート後、3万5千人を超えるランナーたちの先頭を、アフリカ勢が圧巻のスピードで駆け抜けて行きます。ファーストペースメーカーは5kmを14分15秒、10kmを28分50秒という世界記録(2時間2分57秒)を上回るスピードで飛ばします。中間点の通過は1時間1分22秒、ウィルソン・キプサング(ケニア)らが世界記録を狙って飛ばしていましたが、アレ?日本勢は、というと中間点の通過が井上大仁(MHPS)で1時間3分39秒、この地点でキプサングに2分17秒もの大差をつけられていました。キプサングは終盤ペースダウンして、世界歴代12番目の2時間3分58秒でゴールしました。それでも日本国内最高記録(2時間5分18秒)を大幅に塗り替えました。日本勢は井上大仁(MHPS)の2時間8分22秒(8位)が最高で、山本浩之(コニカミノルタ)、設楽悠太(Honda)、服部勇馬(トヨタ自動車)の3人が2時間9分台でフィニッシュしました。

■ 世界はスピードマラソンへ
 世界記録はベルリンでデニス・キメット(ケニア)が記録した2時間2分57秒、第50位のタイムが2時間5分52秒です。レースで教え子の走りを見守った青山学院大学の原監督は、「若手の頑張りに今後が期待できる」と言いました。今や日本陸上界のホープである同監督ですが、果たしてそうでしょうか?日本では瀬古利彦氏に選手強化を委ねています。女子の金メダリストを育てた小出さんは、「強かった時代との違いは練習量、今や半分ぐらいじゃないかな?」と言います。確かに男女とも日本記録は長く更新されていません。女子は野口みずきがベルリンで出した2時間19分12秒で2005年9月です。男子は高岡寿成がシカゴで出した2時間06分16秒で2002年10月です。男女とも10年以上更新されていません。アフリカ、特にケニア勢の圧倒的なスピードの前に諦めかけているのでしょうか。日本のマラソン界に足らないのは絶対的なスピードです。世界は「2時間切り」という取り組みを始めています。日本勢は「2時間8分台」ではなく、せめて「2時間3〜4分台」で走るためにどうするかというところから始めないといけないのでしょうね。後方から脱落した選手を拾っていく、日本勢が得意としてきたようなレースでも良いですが、とにかくスピードを上げなければいけません。

■ 設楽悠太の走りに一筋の光明
 今夏に開催されるロンドン世界選手権の男子マラソンの派遣設定記録は男子で2時間7分00秒です。福岡国際は川内優輝(埼玉県庁)が日本人トップで2時間9分11秒、別府大分は中本健太郎(安川電機)が制して2時間9分32秒。東京マラソンの井上大仁(MHPS)の2時間8分22秒は果たして評価できますか?日本陸連の瀬古利彦長距離・マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは青山学院大学の原監督同様、初マラソンのHondaの設楽悠太の走りを評価しました。1万m27分42秒71のスピードを生かして、駅伝で見せるような積極的な走りでトップ集団を追いかけ、前半からペースメーカーの力を借りることなく、中間点を1時間1分55秒で通過、途中まで2時間3〜4分台を狙えるペースで走っていました。終盤は失速しましたが、まあ初マラソンです。こういう走りをしない限り日本マラソンに未来はないでしょう。設楽悠太は埼玉県大里郡寄居町出身で武蔵越生高校時代に、コニカミノルタ所属の双子の兄、設楽啓太と共に注目され、あんな田舎にすごい選手が居る、と評判になりました。当時の大学駅伝で強豪の東洋大学の練習場は、筆者がかつて新婚の頃1年ぐらい住んでいた川越市霞ヶ関にあり、設楽兄弟の住むところからもそう遠くありません。2012年1月に開催された第88回箱根駅伝では第7区を走り、それまでの第7区の区間記録である東海大学OB佐藤悠基を上回る区間記録で、3回目となる東洋大学の総合優勝に大きく貢献しました。2016年元旦の第60回全日本実業団駅伝では前年区間記録を樹立した4区の区間記録を更新し、Hondaを一時先頭まで押し上げました。悠太は大学2年生の2012年箱根駅伝以来、2012年から2014年の箱根駅伝、2015年・2016年のニューイヤー駅伝、2017年の天皇盃と6年連続正月の駅伝大会で区間賞を獲得しているのです。
 高地の山岳地帯をカモシカのような足で走り回るケニア勢が速いからといって諦めてはいけません。同じ人間ですから、可能性はあります。ガンバレ、ニッポン!
(2017年3月5日)


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