31 災害と地震
今年は災害が多いですね。台風18号での水害や竜巻はすごかった。そのニュースの最中に千葉を震源とする地震だというニュース、いったい日本はどうなってしまったんだと思いました。25『事故と災害』(2013年8月12日)で紹介したこと、2013年8月9日(金)朝早くから雨脚が強まり、非常に湿った空気のぶつかった秋田県や青森県、岩手県では、断続的に猛烈な雨が降りました。気象庁は、9日朝の秋田県に続き、昼過ぎには岩手県にも「これまで経験したことのないような大雨」という情報を発表しました。岩手県では、9日朝8時頃から雨脚が強まり、昼前には、一段と激しい降り方になり、24時間に降った雨の量は、雫石で258.5ミリに達し、観測史上1位の大雨となりました。現実に我がふるさと雫石町では、町の年間予算を上回る被害が出て、国の激甚災害指定を受けました。 ■台風18号による大雨被害
■災害列島ニッポン このような激甚災害は滅多にあるものではありません。しかし2011年3月11日の東日本大震災を私達は経験したばかりです。日本と言うのは四方を海に囲まれて、その割には高山が多く、いわば海面に出刃包丁の刃がにょっきりと出たような地形です。したがって日本列島は、土砂崩れや河川の氾濫など、大雨がもたらす災害地域だらけだと言って間違いありません。比較的安全なのは、関東平野のような大平野の丘陵地帯、筆者の住む桜ヶ丘のような地名のところです。強固な関東ローム層の上にある所沢丘陵や狭山丘陵など武蔵野台地、丘や原が付く地名は比較的安全です。ただし最近では竜巻や雷など、平地が故の災害も有り得ますから注意が必要です。今回の台風18号でも竜巻被害が群馬県他、随所で起きました。 台風銀座と言えば沖縄諸島から九州地方でしょう。熊本、長崎などは風光明媚で良い所ですが、唯一怖いのが台風による大雨、大風被害です。雲仙普賢岳のような火山の噴火もありますが、これは頻度が少ない、台風は毎年やってきます。特に時節柄10台後半と20台前半の台風が怖いです。沖縄の宮古島など、台風に備えて堅牢な家構造となっており、味も素っ気もありません。つぶやき437『宮古島』(2011年5月29日)をご覧下さい。 ■地震や津波は予想される 2011年3月11日の東日本大震災は、恐らく筆者が生きているうちに体験するであろう最大の自然災害です。これをご覧下さい→つぶやき478『あれから1年』(2012年3月11日)。ただしそれは、今住んでいるところでの話であって、引っ越して山川の近くに住んだり、今後起きるであろう東南海大地震の被災予想地域に移り住んだらこの限りではありません。つぶやき426『M9.0の大地震』(2011年3月13日)でこの惨劇を紹介していますが、この中で書いておりますように、実は筆者は、「ななめのつぶやき」で、地震や津波には頻繁に触れていました。そして「宮城県沖を震源とする大地震は近々必ず起きる」、「関東大震災級の大地震は、関東では筆者の生きている間は起きないが、狭い範囲の直下型地震が怖いので活断層に注意が必要」、「東海地震の心配よりも東海と南海が連動する東南海大地震の発生が近い将来予想され、これが起きたら東日本大震災をはるかに上回る大災害となる」といったことをたびたび書いていました。そうは言うものの、スマトラ沖地震津波のバンダアチェの恐ろしいTV映像を見ながら、まさかその4年2ヶ月後に日本で同じ映像を見ようとは思いませんでした。予想していながら実際に起きてみると、実ははるかに予想を超える大災害だったことと、我が家の地域の安全性に改めて得心し、災害を研究しながら実は半信半疑だったところもあっただけに、改めて反省とともに、多くの方に警告を発し続けなければならないと思ってこれを書いています。 ■南関東の地震
群馬県中之条町,高山村,みなかみ町,東吾妻町,昭和村,前橋市,高崎市,伊勢崎市,藤岡市,富岡市,榛東村,吉岡町,神流町,上野村,甘楽町,玉村町、埼玉県嵐山町,小川町,鳩山町,東秩父村,埼玉神川町,上里町,寄居町,ときがわ町,川越市,所沢市,飯能市,入間市,朝霞市,新座市,坂戸市,日高市,埼玉三芳町,越生町,ふじみ野市,秩父市,横瀬町,皆野町,長瀞町,小鹿野町、東京都新宿区,台東区,目黒区,豊島区,八王子市,立川市,武蔵野市,府中市,昭島市,調布市,小平市,東村山市,国立市,福生市,狛江市,東大和市,清瀬市,東久留米市,武蔵村山市,多摩市,稲城市,羽村市,瑞穂町,青梅市,あきる野市,日の出町,檜原村 ■震度の違い
プレート型地震の被害は、直下型(活断層型)に比べより広範囲に及ぶため、いずれのエリアが契機になったとしても、首都圏の被害は免れないものと思われます。 ■活断層が引き金となる直下型地震 2004年の新潟県中越地震、2005年の福岡県西方沖地震、2007年の新潟県中越沖地震、そして2008年の岩手・宮城内陸地震。すべて無警戒の活断層が引き金となりました。活断層は、プレートよりも地表に近い部分にあり、影響範囲もプレート型よりも狭い範囲とされていますが、ここ数年の発生状況をみる限り、決して軽視することはできません。 国は、都市圏近郊のうち特に「立川断層帯」(埼玉県の名栗渓谷から東京都府中にかけて)を重点調査する方針を示していますが、活断層地震は発生周期が長く、予測が非常に難しい点、また以下の主要活断層以外にもM6.9未満の活断層が数多く存在している点は認識しておく必要があります。関東平野北西縁断層帯主部は、群馬県群馬郡榛名町から安中市東部、高崎市、藤岡市、埼玉県本庄市、深谷市、熊谷市、鴻巣市、北本市、桶川市などを経て、北足立郡伊奈町に至る断層帯です。長さは約82kmで、概ね北西−南東方向に延びています。本断層帯は南西側が北東側に対して相対的に隆起する逆断層です。 平井−櫛挽断層帯は、群馬県多野郡吉井町から藤岡市、埼玉県児玉郡神川町、児玉町(現・本庄市)、美里町を経て大里郡寄居町に至る断層帯です。長さは約23kmで、概ね北西−南東方向に延びています。本断層帯は左横ずれを主体とし、北東側隆起成分を伴うと推定されます。 南関東ではおよそ200年〜300年周期でM8クラスの大地震が起きています。直近の関東大震災は1923年(大正12年)です。その前は元禄関東地震1703年です。したがって、このクラスは我々が生きている間は来ない確率大です。ただしこの間にM7クラスは起きるでしょう。「安政江戸地震」は、被害記録が残る唯一のM7級首都圏直下型地震、1855年11月11日22時頃発生し、現在の東京湾北部〜江東区で死者7千人以上、1万4千軒もの建物被害をもたらしました。震度分布は、青山、麻布、四谷、本郷、駒込辺りの台地は震度5、皇居外苑、神田小川町、下谷、浅草、本所辺りは震度6、特に日比谷の入江埋立地、本所、深川等の低地の埋立地では被害が顕著であったようです。 ■南関東の地震が起き易い場所 それでは地盤、岩盤の差が地震が起きやすさにどう影響するか見てみましょう。東大地震研究所が2011年4月22日発表したところでは、東日本大震災で起きた地殻変動の影響で、首都圏の地盤に力が加わり、地震が起きやすい状態になっているそうです。 解析結果は、大震災後に発生した地震の分布ともほぼ一致しているとのこと。同研究所では、国の地震調査委員会が今後30年間に70%の確率で起きると予測しているマグニチュード7級の南関東の地震が誘発される可能性があるとして、注意を呼びかけています。震源が30キロよりも浅い地震は、静岡県東部から神奈川県西部で、30キロよりも深い地震は茨城県南西部、東京湾北部で起きやすくなっていることが判明したそうです。
■南関東の地震が起き難い場所 地震の起き難い場所は、群馬県の渋川市周辺と埼玉県の中南部・・・東秩父村、小川町、滑川町、嵐山町、東松山市、吉見町、ときがわ町、鳩山町、坂戸市、川島町、越生町、毛呂山町、鶴ヶ島市、川越市、飯能市、日高市、狭山市、ふじみ野市、三芳町、入間市、そして所沢市の北部、つまり「武蔵丘陵」です。すなわち南関東の中で地震の起きにくい場所はホンの一部しかありません。 2013年9月4日9時19分の鳥島近海400kmを震源とするマグニチュード 6.9の地震の地域別震度と、東大地震研究所が発表した地震の起きやすい、起きにくい場所が見事に一致していることがわかります。揺れた地域は、埼玉県戸田市を南限に、真っ直ぐ北上、久喜、加須を通り古河から北東に向きを変え、日立市〜高萩市方面に向かっています。すなわち、日立市〜いわき市、福島原発〜仙台市のほうは、そもそも揺れやすい場所なのです。 ■東京都の地震
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皇居がある千代田区の安全性はさすがですね。荒川、隅田川流域が最も怖いのに対し、東京湾の埋立地が安全というのは意外でした。中央区、港区、渋谷区、新宿区、世田谷区、板橋区などはほぼ安全で、区部では練馬区が危険度が最も低いようです。怖い地域に住んでいるからと言って引っ越すというわけにはなかなか行かないでしょう。ココから先は自己責任です。 (2013年9月23日) |