578  知事

 寒い3月が終わり一気に暖かくなったのでソメイヨシノが開花、昔はソメイヨシノ満開の時期が入学式でしたが、地球温暖化で年々早くなり、近年では卒業式の頃になっていました。今年は昔に戻ったということですが、どうやらその原因は2月が暖か過ぎて、蕾の「休眠打破」が遅れ、3月の寒波でやっと目覚めたからのようです。河津桜は変わらず早くに咲いていましたから、もう河津桜でお花見済ませたよ、という人も居ました。例年ならソメイヨシノが開花と共に「花冷え」となって桜が長持ちするのですが、今年は開花から満開が速く、しかも4月9日の警報級の大雨で南関東の桜は散るのではないかと言われています。

■ 知事の言動
 555『日本の政治と経済』(2023年10月29日)の中の「知事の言動」のところで、秋田県の佐竹敬久知事と静岡県の川勝平太知事の問題発言について触れました。このお二人はいずれも団塊の世代、後期高齢者に足を突っ込み、お二人とも2009年から知事を勤め、もう4期目、こうなると傍若無人になって来るのでしょう。これまでも失言多数、そういう知事を選び続ける県民にも問題があるのかも?と書きました。その後秋田県の佐竹敬久知事はひたすら低姿勢、四国の知事たちに頭を下げて、逆に秋田県と四国の産品交流イベントを企画するなど、マイナス転じてプラスとすべく活動しました。ところが川勝平太知事は変わらず県議会と対立し、リニア問題で国や周辺各県とも対立し続けました。その背景にあったのは「県民の支持は我にあり」という自負からでしょう。

■ リニア開業時期延期
 512『九州北4県旅その2』(2023年12月31日)で、静岡県内での着工が遅れているリニア中央新幹線について、国土交通省は、これまで「2027年」としてきた開業時期を「2027年以降」に変更するJR東海の計画を2023年12月28日付けで認可したことを紹介しました。その後JR東海は今年3月末に、正式に「2027年開業断念」を発表、静岡県の反対のため開業時期は大幅に遅れること必至なるも、今のところ目途が立たないとの見解でした。その中で「筆者の高校後輩である静岡大学の教授も川勝知事を支持してリニア反対論を同窓会で唱えていましたが、同じ席には筆者の同期である旧国鉄関係者や、まさに鉄道総研でリニア開発の先端に居た人間もいたので気まずい思いをしました」と書きました。「生きてるうちに乗ってみたいと切に思う」筆者の胸の内を書きました。


リニア中央新幹線試験車両L0系

■ 川勝平太知事またしても失言
 静岡県の川勝平太知事がまたしても失言をやらかしました。以下、テレビ静岡の報道から紹介します−−−川勝平太知事は4月1日に行われた静岡県庁の入庁式で、新規採用職員を前に「実は静岡県、県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンクです。毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです。ですから、それを磨く必要がありますね」(原文ママ)と訓示しました。この職業差別とも受け取れる発言に県庁には苦情が殺到、報道陣からの取材要請を断るも、幹部職員から「何らかの対応をした方がよい」との助言もあり、囲み取材の場が設定されました。川勝知事は「職業差別は皆無。職業に貴賤はないというのが基本的な考え方。問題発言があったかのごとき状況になって本当に驚いている」と主張した上で「職種が違うということを言っただけ」と釈明しました。さらに、全体の流れを見れば不適切な発言には当たらないとの認識を示し、「一部を取れば職業差別に落とし込むという風なことが出来る発言であったかもしれない。ジャーナリズム、あるいはメディアの質の低下を感じ、誠に残念なこと。切り取られた」と報道陣に批判の目を向けました。ところが、最後の最後に突如として「どうしたらいいかと思っていて、よく考えたが準備もあるので6月議会をもってこの職を辞そうと思っている」と辞意を表明したのです。 ただ、理由については何も語ることのないまま自室へと戻ってしまいました。

■ リニア問題一段落が辞任の理由?
 報道陣が大騒ぎして、翌3日午後、再度、臨時の記者会見が開かれることとなり、この席で、川勝知事は「大きな区切りを迎えたということで、今回ここで辞表が出せるに至った。この2〜3ヶ月でリニアの問題が大きく動いた。仕事が一段落した」と前日の発言の真意を明らかにしました。リニア問題が大きな区切りということです。会見を前に知事本人から辞職の意向を伝えられた県議会の中沢公彦議長は「2027年の開業断念により一定の目途が立ったので辞任というのは、なぜそれが任期途中で辞めないといけないことにつながるのか、さっぱり意味がわからない」と納得行かない様子でした。川勝知事はリニア中央新幹線の“大推進論者”を自称していましたので、開業の延期がなぜ大きな“区切り”と言えるの?と報道陣からは質問攻めになりましたが、いつものように煙に巻く発言に終始しました。

■ 50対18、1票差で不信任決議案否決
 川勝知事の暴言・失言は一度や二度の話ではありません。これまでにも不適切発言をする度に謝罪と反省を繰り返してきて、その都度、県議会の第1会派である自民改革会議や第3会派の公明党県議団が抗議や申し入れをする反面、川勝知事を支持・支援する第2会派・ふじのくに県民クラブの擁護によって今日まで川勝県政は続いてきました。2021年11月浜松市で非自民系候補の選挙応援で、御殿場市について「あちらはコシヒカリしかない」と言って、県議会から「本県の特定地域を差別し辱め、本県を分断するような発言により県民の心を深く傷つけた」として辞職勧告決議を受け、川勝知事は「全力で職責を全うする」と述べた上で「自らにペナルティを科すと考えるわけですが、差し当たって年末の手当・ボーナスとか12月の俸給は全額、県民の皆様にお返しする、返上する」と宣言、ところが2023年7月になっても“約束”が実行されていないことが明るみに出て、2023年7月13日、静岡県議会は徹夜審議の末、自民系会派から提出された不信任決議案を採決、4分の3以上の賛成が成立要件ですが、定数68人、50人が賛成した一方、ふじのくに県民クラブの18人が反対し、成立には1人足りず、否決されました。川勝知事は常に仮想敵を作り、強い姿勢で臨むと共に時には汚い言葉で罵るという政治手法を採ってきました。国や企業に対しても臆することなく、自らの主張をぶつける姿に静岡県民が期待や希望を抱き、支持を集めてきたことは事実です。県議会では圧倒的な反対勢力に直面しながら、県知事選挙では圧勝するという不思議、結局直接選挙ですから、ポピュリストが勝つのです。リニア問題は静岡県の北部を地下でわずかにかすめるだけですから、静岡県民にとってはどうでもよいことでしょう。しかしながら、国策であるリニアに期待する静岡県以外の関連都道府県からは猛批判を受けながら、環境問題とか水問題を理由とし、それが論破されるとまた別の理由を見つけ出し、関係市町の首長からも見放される有様でした。若い報道陣からも責められて、嫌気がさしたのでしょう、約15年間続いた“川勝劇場”はもう終わりですね。

■ 静岡県知事辞職で5月にも選挙
 静岡県の川勝平太知事は4月10日に県議会議長に辞職願を提出することが報道されました。当初「6月議会をもって辞職する」としていましたが、「ボーナスを満額貰ってやめるつもりだな?」などの声が上がり、タイミングを早めたようです。次の知事選挙は最も早ければ5月9日告示、26日投開票の可能性が浮上しています。次の候補に対してはリニア問題への姿勢が争点になります。国策を妨害した形となった静岡県に対して日本国中から非難の声が上がっている中、さて今度は静岡県民はどうするのでしょう。

■ イスラエル軍ガザ撤退?
 イスラエルとハマスの大規模衝突開始から半年となり、ガザ地区での死者は3万3千人超と言われるなか、イスラエル軍は1個旅団を残し、ガザ地区の南部から地上部隊を撤収させたと明らかにしました。4月1日に食料支援に当たっていたNGOのスタッフ7人がイスラエル軍の空爆によって死亡して以降、世界各国からイスラエル軍に対して非難が殺到しました。アメリカのバイデン大統領はネタニヤフ首相に電話して強い言葉でイスラエルに即時停戦を求めたと言われます。アメリカの若者がイスラエルを支持するバイデン大統領を支持しない傾向が顕著となり、選挙を控えて焦りがあって、ネタニヤフにもう支援しないぞ、と伝えたのかもしれません。また同じ日にシリアにあるイラン大使館領事部がイスラエルによる空爆を受け、イランのハメネイ師は必ず報復すると宣言しました。イランがイスラエルにミサイル攻撃することは無いにせよ、各国にあるイスラエル大使館が攻撃される可能性があります。

■ 元NHKアナの鈴木健二さん死去
 元NHKアナウンサーで「クイズ面白ゼミナール」など多くのテレビ番組の司会で人気を博した鈴木健二(すずき・けんじ)さんが2024年3月29日、老衰のため死去されたそうです 95歳でした NHK退職後 熊本県立劇場(熊本市)館長や青森県立図書館(青森市)館長も務めました 映画監督の故鈴木清順さんは兄です
(2024年4月8日)


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