577  円安とインフレ

 一気に暖かくなりました。それもそのはず、もう4月です。4月からまたもや値上げラッシュです。春闘の賃上げ率は予想以上の高い数値となり、今後賃上げできない企業は淘汰の嵐に巻き込まれるでしょう。全国の地価も上がっています。明らかなインフレです。ここで生活が苦しくなるのは年金生活者と、非正規雇用の人たちです。

■ 値上げ
 4月から値上げになる食品の品目は2800ぐらいあるそうです。前回は国産ウィスキーについてと採り上げました。紙製品も上がるのでトイレットペーパーやティッシュぺーパーほか買いだめするニュースが流れてましたが、我が家は何も対応せず泰然自若です。

■ 2024年問題
 いよいよ始まります、2024年問題、512『2024年問題』(2023年1月1日)を参照下さい。自動車運転業(トラック、バス、タクシー)、建設業、医師、鹿児島・沖縄両県の製糖業の4業種に適用される時間外労働規制が、他業種と同じようになり、ただでさえ人手不足なのにますますこれが進行するとみなされています。しかしこれまでが異常だったのだと思えば、対応して行かざるを得ません。

■ 3月日銀短観は?
 3月の「日銀短観」が発表され、「大企業の製造業」は4期ぶりに悪化しました。一方、「大企業の非製造業」は好調なインバウンド需要や価格転嫁の進展を背景に、前回より2ポイント上昇して「プラス34」と8期連続で改善しました。1991年8月以来およそ33年ぶりの高水準です。これでわかること・・・日本はサービスで生きる国へと変貌しつつあるということ、すなわち、昔のような原材料を輸入して加工して、付加価値つけて輸出して稼ぐ国ではなくなったということです。

■ 英国電動車売上でHVがトップ4独占
 英国の2023年1月から9月までの電動車の新車登録データを分析したところ、1位:トヨタ ヤリス、2位:トヨタ プリウス、3位:トヨタ C-HR、4位:キア ニロとHVが占め、5位:テスラ モデル3とやっとEVが出て来ました。英国では、2035年からガソリン車とディーゼル車に加え、HV、プラグインハイブリッド車(PHV)の新車販売が禁止されることになっていますが、消費者がEV購入をためらう実態がここでも明らかになりました。トヨタの豊田章男会長は、2024年1月に「EVのシェアは30%でピークを迎え、残りは水素エンジン車と内燃機関車が占めるだろう」と発言しており、モルガン・スタンレーのアナリストは「トヨタに謝らなければならない」と予測の誤りを認めたそうです。


TOYOTAヤリス

■ 日銀の政策修正と岸田首相
 前回「日銀マイナス金利解除でも円安進行」について書きました。これまで筆者はやがて円安は止まると書いてきましたが、どうやらこれは間違った見通しでした。何故かと言いますと、円安でも企業は国内設備投資せず、相変わらず海外投資に勤しんでいるからです。日銀がやっと金融緩和、市場にお金じゃぶじゃぶの間違った金融政策の是正に乗り出したのは喜ばしいことです。黒田前日銀総裁のアベノミクス連動の結果、日銀は株を買い、蟻地獄にはまりました。植田総裁になって、なんとか蟻地獄から脱け出そうとしますが、なかなか手強い、しかし岸田首相が失われた30年のデフレから脱却しよう、そのためには物価上昇を上回る賃金アップをしなければならないと経済界に強い要請をして、春闘で予想以上の賃上げが実現しそうだということになり、日銀がマイナス金利解除を決めたのです。岸田首相は支持率が急落してアップアップですが、少なくとも安倍元首相、菅前首相に比べて国民の暮らしをこれ以上悪くしてはならないという決意のもと、打ち出した政策は的を射ていると言えるでしょう。安倍派の裏金事件で自民党が窮地に陥る中、総裁ですから矢面に立たざるを得ない、これは仕方ありません。悪いのは金融バブル崩壊以降、間違った政治を容認してきた日本国民自身です。最たるものが小泉内閣や安倍内閣のような清和会の新自由主義に拍手喝采してきたことです。

TOYOTAプリウス

■ 金融バブル崩壊以降の政策の誤り
 結局アベノミクスは本来の目標を実現できないままだったので失敗だったという評価になるのですが、実は1990年の金融バブル崩壊以降、日本はズルズルとデフレから脱け出せないまま、「失われた10年」が「失われた20年」になり、やがて「失われた30年」になってしまいました。2008年の「リーマンショック」は米国における不動産バブル崩壊に端を発したものですが、海外では日本の金融バブル崩壊の轍を踏むなという教訓の下、何とか脱出しましたが、日本はなかなかこれができず、アベノミクスで脱却を図ろうとしました。しかし日銀をまるで子会社のように使ったのが間違いでした。結局金融政策だけではダメなのです。財政出動して、日本企業を海外から戻さなければならなかったのに、日本の製造業は国内の工場をたたみ、海外の消費地へ出向いて現地生産、さらには海外で投資して利益を得て、それを海外で蓄財する、決算上は利益が出てドンドン内部留保を積み増しますが、お金が日本に還流しないので日本国内の労働者の賃金は上がらない、少子高齢化が進んで社会保障費がドンドン増える、入りが減って出るが増えますから国民は貧しくなる一方だったのです。

■ 産業構造を変えなければ円安は終わらない
 日銀が17年ぶりにマイナス金利政策を解除したのに円安が止まらないのは、日米の金利差が開いた状況に当面変わりはないとの見方が広がったためです。日銀はETFだけでも70兆円も保有しており、これを処分するのは慎重にやらないと市場にショックが拡がります。今後のかじ取りは極めて困難です。本来円安は輸出企業に有利なはずなのに、企業そのものが海外で生産しているためにそのメリットが出ません。上で書いたようにもはや日本はサービスで稼ぐ国なので、昔のような強い経済力が無いことを海外から見透かされて、日本YENの価値が下がったのが円安の実態ですから、昔のような円高に戻すためには産業構造そのものを変えるほか手がありません。国内で生産する企業に優遇策を出し、労働者の賃金の大幅アップを図り、子どもを産みたいと思わせる社会にしなければならないのです。

またバブル?と懸念する声も聞かれる昨今...

■ バブル崩壊についておさらいすると・・・
 ちなみに今更ながら「バブル崩壊」についておさらいしておきましょう。バブルとは、何らかの要因をきっかけにあらゆる資産が一時的な過熱状態から高騰し、好景気を作り出す状態を指します。そして、やはり何らかの要因をきっかけに過熱状態が冷え込み、それまでの反動で急激な経済崩壊が起こることをバブル崩壊と言います。バブル形成と崩壊の発端は、「プラザ合意」と言われます。深刻なドル高に頭を痛めた米国は、1985年9月、ニューヨークのプラザホテルに先進5ヶ国(日・米・英・独・仏)の財務トップと中央銀行総裁を集めて、各国が大規模なドル売り介入をしてドル安へ誘導するという合意形成に成功しました。プラザ合意前日のドルは1ドル=242円でしたが、翌年には1ドル=150円台まで下落するなど、米国の思惑通り円高ドル安となりました。これによって、日本の輸出産業は急激に国際競争力が低下し、深刻な打撃を受け、町工場は相次ぐ倒産に見舞われました。日本国政府は金融緩和政策を実施した結果、市中金利が大きく低下、余剰資金を生み出す結果につながり、企業は本業への投資ではなく土地や株式を投機的に売買し利益を得るようになりました。好景気と株価や地価の上昇は企業だけではなく個人の含み益も増大させ、消費活動が活発化しました。慌てた日本国政府は、1989年、金融引締め政策を段階的に実施し、「不動産融資総量規制」や土地保有に課税する地価税を調整しました。これにより株価や地価が下落し、保有資産を売却しても返済ができない債務者が増加するようになりました。銀行は融資を渋り、倒産する企業が増加、消費も低迷し、さらに企業収益が悪化するという悪循環を引き起こし、「デフレスパイラル」へと突入して行ったのです。


■ 春のセンバツは健大高崎が優勝
 昨年に続き春のセンバツ甲子園に埼玉県勢の姿が無いサビシイ春となりました。第96回選抜高校野球大会は、有力校の中で、1回戦で関東一は八戸学院光星に敗れ、作新学院は神村学園に敗れました。広陵は2回戦で青森山田にサヨナラ負け。BEST8に勝ち進んだのは星稜(石川)、阿南光(徳島)、健大高崎(群馬)、山梨学院、中央学院(千葉)、青森山田、大阪桐蔭、報徳学園(兵庫)です。雨で2日間順延が有りました。準々決勝の結果は星稜5-0阿南光、健大高崎6-1山梨学院、中央学院5-2青森山田、大阪桐蔭1-4報徳学園となりました。トーナメント表と結果は「読売新聞オンライン」をご覧ください。
 さて2024年3月30日(土)の準決勝は共に白熱した好ゲームとなりましたが、予想通り健大高崎5-4星稜、報徳学園4-2中央学院という結果でした。報徳学園は昨年、2回戦からの登場で群馬の健大高崎を7-2で破っています。その後、2連覇を目指した大阪桐蔭を大逆転で7-5で破り21年ぶりに決勝進出しましたが、決勝戦で関東の山梨学院と対戦し、4回表2点先制しながら5回裏ここまで好投の間木が集中打を浴び、代わった今朝丸も2ランを打たれて一挙7点のビッグイニングを作られ、敗れました。今年も今朝丸が大阪桐蔭をねじ伏せ、準決勝では機動力の中央学院を間木の好投で破り、迎えた31日(日)の決勝戦、今度こそ負けられません。しかし今年の健大高崎は主将の強肩捕手箱山が打撃絶好調、背番号4高山と背番号6田中は元プロ野球選手の父を持ち、背番号1佐藤と背番号10石垣は2年生ながら世代1クラスの投手というスター軍団、レギュラーの中で群馬県出身は高山だけ、あとは東京、神奈川、北海道、埼玉、福島ほか県外から集まった選手たちです。対する報徳学園はほとんど地元兵庫県出身選手、一部大阪の選手が居るぐらいです。報徳学園は1回に2点先取しましたが、健大高崎はその裏に森山竜之輔の左翼への2点二塁打で追いつくと、3回には高山裕次郎の適時打で勝ち越しました。健大高崎の先発・石垣元気は再三のピンチを招きながらも1回の2失点後8回まで無失点の好投。9回は、準決勝からリリーフに回っていた左腕の佐藤龍月が登板し、報徳学園の反撃をしのぎました。1974年、2002年に続く3度目の優勝を狙った報徳学園は、昨春の選抜に続き、2年連続の準優勝という無念の結果となりました。今朝丸の投球が素晴らしかっただけに援護できなかったことが悔やまれたでしょう。健大高崎は群馬県勢としてセンバツ69年振りの決勝進出、そして群馬県勢初優勝です。これまで夏の選手権では桐生第一と前橋育英が優勝していますが、高崎はありませんでした。地元は盛り上がっているでしょう。
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9
報徳学園 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2
健大高崎 2 0 1 0 0 0 0 0 × 3
勝利投手:石垣元気 本塁打:無し

■ 訃報…いろいろ
 2024年3月31日 まさに少年野球の試合開始直前 西原小学校でスコアラーの椅子に座っていたら チリンとLINE着信の音 見たら在京雫石町友会の重鎮 元会長で 岩手県人連合会の事務局長を長く務められた坂本巳由(さかもと・みよし)さんが亡くなられたとの報せでした いつもニコニコされてたお姿が目に浮かび ショックでした 2月28日に 携帯を紛失したのでこれが新しい番号だと連絡ありました 5年前に心筋梗塞で10日間ほど入院されて以降 旅行は控えてるとおっしゃっていましたが 在京雫石町友会の役員会にはいつも出席され 文京区にお住まいで ワイン通のお金持ちでした 海外旅行は18ヶ国 23回出掛けたとおっしゃってました 昨年83歳だとのことでしたが 元気そうで とても亡くなるような様子はありませんでした ただ以前と比べて顔色から赤みが減ったのが気になっていました 余熱利用施設エコパで毎日80歳超の老人と一緒に居ますが この10年で随分多くの方とお別れしました 顔色や肌の艶で健康状態が分かります 坂本さんは昨年12月にすい臓がんで入院され 2月末に退院されていました 後でご長男から連絡を頂きましたが 3月28日ご逝去とのことでした
 テレビドラマや映画などで活躍した俳優の寺田農(てらだ・みのり)さんが2024年3月14日未明、肺がんのため死去されたそうです 81歳でした
 自動車の「ダカール・ラリー」(通称パリダカ)で1997年に日本選手初の総合優勝を果たしたラリードライバーの篠塚建次郎さんが2024年3月18日 膵臓(すいぞう)がんのため長野県諏訪市の病院で死去されたそうです 75歳でした 妻ひろ子さんのコメントが泣けましたね・・・この3週間 篠塚建次郎は頑張って頑張って サハラ砂漠と闘ってきたのだと思います そして今朝 (パリ・ダカールラリーのラストランとなる)ラックローズにゴールしました 本当によく走り続けました どうぞ皆様も篠塚を褒めてやってください 長く応援していただきありがとうございました

篠塚建次郎さん 古希を過ぎて喜寿を目指していたんですね
 盛岡市生まれ 彫刻家の舟越保武さんの息子で 現代日本を代表する木彫作家 舟越桂(ふなこし・かつら)さんが3月29日 肺がんのため死去されたそうです 72歳でした
(2024年4月1日)


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