507  北奥羽旅T

 旅の話が続きます。今回は北奥羽の旅です。昨年456『紀行』(2021年12月8日)と457『幸畑墓苑』(2021年12月13日)で、JR東日本大人の休日倶楽部の会員切符を使って旅したことを紹介しました。4日間なので前半は福島、長野、新潟、後半は青森、秋田、岩手でした。筆者はジパング夫婦会員で、年会費は個人会員 4,364円(年会費3,840円+カード年会費524円)、夫婦会員 7,458円(年会費6,410円+カード年会費1,048円)です。JR東日本とJR北海道のきっぷが何回でも30%割引ですが、全国のJRも初回から3回目までは20%割引、4回目以降は30%割引です。年3回発行される会員限定キップ;大人の休日倶楽部パスを1回利用するだけでモトが取れます。その他、毎月送られてくる会誌が楽しみだという人も居ますね。


■ 北奥羽とは
 現在の「東北」の名称が使われるようになったのは明治以降で、それまでこの地域は「奥羽(おうう)」や「奥州(おうしゅう)」などと呼ばれていました。「奥羽」とは、「陸奥国と出羽国(いずれも律令国)の総称」の意味です。平安時代まで陸奥は「みちのく」と呼ばれ、これはそれ以前の時代に道奥(みちのく)と呼ばれていたからのようです。鎌倉時代以降は「むつ」と呼ばれるようになります。白河以北の陸奥国(むつのくに)は、沿岸平野がいわき市周辺、相馬市周辺、仙台平野、八戸市周辺と乏しく、波も荒く海流も強いため、陸上交通による関東地方との関わりが深い「内陸国」であり、国府が仙台平野の多賀城に、出羽国(でわのくに)は、沿岸に庄内平野、秋田平野、能代平野、津軽平野と、内陸部につながる沿岸平野がほぼ均等な間隔で存在し、北前船に代表されるように、古代から明治時代まで、海運による近畿地方との関わりが深い「沿岸国」で、国府が庄内平野の酒田に置かれました。

平安・鎌倉時代のみちのく
 戊辰戦争終結の直後、明治元年旧暦12月7日(1869年1月19日)に、陸奥国は分割され、陸奥国・陸中国・陸前国・岩代国・磐城国が設置され、同じく出羽国も羽前国・羽後国に分割されました。羽前と羽後の総称として「両羽」、陸奥・陸中・陸前の総称として「三陸」という地域名が使われることもあります。陸奥国(りくおう)の領域にあった藩は、斗南藩、七戸藩(盛岡藩支藩)、弘前藩、黒石藩(弘前藩支藩)、八戸藩です。この地域は明治以前、東側が南部藩、西側が弘前藩で、仲が悪かったため、青森県とする際に、県庁を弘前や八戸にするわけにいかず、その中間にあった野原に県庁を置いて、それが現在の青森市だというのは有名な話です。すなわち青森市というのは新興のまちなのです。また戊辰戦争で賊軍とされた会津藩が領地没収の引き換えに斗南藩(となみはん)三万石として再興が許されました。藩主は京都守護職松平容保の嫡男、松平容大で、会津藩の7割に当たる2800戸が移封させられました。翌年には廃藩となり、現在のむつ市斗南ヶ丘にその史跡がわずかに残ります。斗南藩士たちは北辺の地で、薩長政府への復仇を誓い斗南=南の薩長と斗うとして開墾作業に従事しましたが、火山灰台地の痩せた土地で農業は振るわず、雪害で家屋は潰れ、野火により残った家屋も焼失し、病疫と飢餓により多くの死者を出して、次第に衰亡していったようです。しかし、わずかに残った者は、新たな産業をこの地に残し、今でも会津の人たちと交流を続けています。
 「北奥羽地方」とは、「東北地方」の北部の地方を指す言葉です。範囲は明確に定まっていませんが、一般的には青森県、岩手県、秋田県の3県を指します。本州の最北部に位置しており、「北東北」や「北東北3県」などとも呼ばれます。

■ 旅行計画
 JR東日本大人の休日倶楽部パス(4日間乗り放題¥15,270)を利用しました。
11/24(木)8:20家を出て東武東上線下り上福岡駅8:37発(2駅)→8:42川越着、JR川越線8:54発(5駅)→9:16大宮着、東北新幹線下りはやぶさ11号(6号車3番D・E席)9:32大宮発(5駅)→12:01八戸着、青い森鉄道・青森行12:10八戸発(9駅)→12:55野辺地着、JR大湊線・大湊行13:00発(9駅)→13:56下北着、送迎車に乗ってむつグランドホテル(青森県むつ市田名部下道4、TEL017-522-2331)へ。ここは斗南温泉で日帰り入浴施設と宿泊者専用温泉があり、サウナもあり。
11/25(金)朝食後送迎車で下北駅へ、JR大湊線・快速しもきた八戸行10:26発(2駅)→11:13野辺地着、青い森鉄道・青森行11:49発(11駅)→12:37青森着、青森市内散策して途中寿司アスカでランチ、ダイワロイネットホテル青森(青森県青森市新町1−11−16)チェックイン14時。その後青森まちなか温泉(古川温泉)で入浴、昨年も訪れました。サウナもあります。その後市内居酒屋で夕食、地域クーポンを使います。
11/26(土)ダイワロイネットホテル青森チェックアウト11時ですがもっと早く9時ごろ出て、青森県観光施設アスパムへ、その後駅前のアウガ地下、新鮮市場で海産物等土産品買い物、ねぶたの家ワ・ラッセまた見ても良いし、JR奥羽本線青森発13:01→13:05新青森着、東北新幹線はやぶさ26号(5号車9番D・E席)13:16新青森発(2駅)→14:10盛岡着、徒歩・・・さんさの湯ホテルドーミーイン盛岡15時チェックイン。ちなみにさんさの湯ホテルドーミーイン盛岡は今年度上期東北地区でじゃらんクチコミお風呂が最も良かった宿に選ばれたそうです。最上階モルデンの湯、サウナ付き。妹宅へ行き宴会し、さんさの湯ホテルドーミーイン盛岡に戻る。
11/27(日)ドーミーイン盛岡の郷土料理朝食を楽しむ、ひっつみや冷麺もあり。チェックアウト11時だがもっと早く9時ごろ出て、盛岡駅で買い物、これまた地域クーポン使う。JR東北本線上り一ノ関行き盛岡発9:51→9:58岩手飯岡着、義弟宅と、隣の伯母宅に挨拶した後、焼肉冷麺ヤマトで会食、その後義兄の墓参、岩手飯岡15:29発→盛岡15:37着、東北新幹線こまち32号(14号車13番C・D席)15:50盛岡発(2駅)→17:39大宮着、JR川越線17:51発(5駅)→18:16川越着、東武東上線川越18:26発(2駅)→18:30上福岡着→徒歩で自宅へ。

■ 八戸→野辺地→下北
 東北新幹線下りはやぶさ11号で八戸下車、青い森鉄道・青森行12:10八戸発(9駅)→12:55野辺地着、JR大湊線・大湊行で下北へ。

八戸で青い森鉄道に乗り換え


野辺地に着きました 大湊行きは1日9本
野辺地はマサカリの形の下北半島の付け根のまち、ホタテや長芋など美味しいものいっぱい
駅前にはご当地出身「柴崎岳選手頑張れ!」の掲示、カタールへ届いているでしょうか?


野辺地からJR大湊線のヂーゼルカーに乗り換え


途中は風力発電機だらけ 壮観です


むつ市の玄関口・下北駅は本州最北端の駅だそうです

■ むつグランドホテル泊
 このホテルはむつ市の小高い丘の上に有ります。その11Fにスカイレストランがあるので、ここからの眺望は西に恐山山系の山並みを見て、下にむつ市の市街地と海を見下ろします。「斗南温泉」という日帰り入浴施設が併設されていて、宿泊者はこの施設の他、宿泊者専用浴室も利用できます。浴室は20人程度入れる主浴槽と電気風呂、サウナ、水風呂完備。湯は少し茶色がかった黄褐色で、湯冷めしにくく肌がツルツルになると女性に人気だそうです。露天風呂は15人ほど入れる岩組みの浴槽があり、市内はもちろん下北を一望できます。温泉の泉質はアルカリ性単純泉(低張性アルカリ性温泉)で泉温40.3℃です。
 ホテルから「斗南温泉」への渡り廊下にはむつ市と会津若松市の商工会同士や市長との交流、会津松平家家系図とか沢山の写真が掲示されていました。なるほど、ふるさと会津との交流が今でも続いているんだなと思いました。勝てば官軍、負ければ賊軍、会津のみならず秋田を除いた奥羽越後各藩の口惜しさと怨念はいまだに息づいているのです。

丘の上のむつグランドホテル

ちょい飲みセット


アサヒスーパードライ
 
スパークリングアップルジュース
 
つまみの陸奥湾産ほたて塩焼

 このホテルでは「青森県応援宿泊プラン;ちょい飲みセット付き」を頼みました。部屋の冷蔵庫にビール=アサヒスーパードライ、青森県りんごジュース株式会社(青森県黒石市相野178-2)製のスパークリングアップルジュース、つまみの株式会社木戸食品(青森県東津軽郡外ヶ浜町字下蟹田21-15)製の陸奥湾産ほたて塩焼が2セット置いてありました。このりんごジュースは最高、ほたて塩焼がこれまた美味、いや〜青森県は素晴らしい!

お風呂


大浴場・・・熱い、しかも温度が41℃〜45℃ぐらいをスウィングしていて温度制御がなっていない感じ


露天風呂の方は39℃〜41℃でそれほど熱くありません

夜景が素晴らしい


スカイレストランから恐山山系とむつ市の夜景 見下ろすとキラキラととても綺麗です

軽めのディナー


ディナーは11階のスカイレストランで、軽めのマドモアゼルコースを注文しました(写真は魚料理コース)
魚料理ではなく牛ヒレ肉コースを注文、他には青森の地酒の冷酒


海峡サーモンと季節野菜のテリーヌ


ポタージュスープ


国産牛ヒレ肉のポワレ ロベール風ソース


パン(食べかけです) 他に珈琲も付きます


デザート

■ むつグランドホテルチェックアウト
 早朝風呂に入りました。夜が明けてくると、素晴らしい青空が広がりました。部屋の窓から恐山山系の最高峰「釜臥山」が綺麗に見えます。恐山は和歌山の高野山、滋賀県の比叡山と並んで日本三大霊場と呼ばれ、むき出しの岩が広がる日本屈指のミステリアスな異空間で、この世のものとは思えない雰囲気を醸し出します。霊を口寄せするイタコは、沖縄のユタと同様に有名です。故人に会うため全国から人が集まり、参拝者が後を絶たないパワースポットです。もっともこれは10月末までで、もうイタコさんは居ません。朝食後、送迎で下北駅に送っていただきました。

朝の陸奥湾と恐山


恐山山系の最高峰「釜臥山」の頂上には何やら白い建物が・・・航空自衛隊のレーダーだそうです

重めの朝食


朝食も11階のスカイレストランでブッフェサービス
ヨーグルトは岩手県一戸町の奥中山高原乳業のものでした

下北発青森市へ


下北駅前には下北半島をかたどったモニュメントが有り、車輪と波が表現されています


大湊駅からJR大湊線八戸行快速列車「しもきた」がやってきました

■ プラタナスの紅葉
 近所の街路樹;プラタナスの紅葉が今見事です。赤黄緑が入り混じってカラフルです。スズカケノキ科スズカケノキ属の樹木で、葉が大きいというギリシャ語が語源とされています。英語では、plane treesと呼ばれます。和名はスズカケノキです。思い出されるのが鈴懸の径(すずかけのみち)という、第二次世界大戦中の1942年に発売された灰田勝彦の流行歌ですね。倍賞千恵子がカバーした歌声が忘れられません。灰田勝彦の母校立教大学キャンパス内の1924年に植樹された並木道がモデルとされています→立教大学のホームページ

プラタナスの紅葉
  ♪友と語らん
  ♪鈴懸の径
  ♪通いなれたる
  ♪学校(まなびや)の街
  ♪やさしの小鈴
  ♪葉かげに鳴れば
  ♪夢はかえるよ
  ♪鈴懸の径

■ 新型トヨタ・プリウス発表
 世は電気自動車の時代と言われながら、アメリカで人気があるのはまだまだ日本車、ステラの順位はトヨタより下です。
 新型トヨタ・プリウス発売に先駆けてそのコンセプトが発表されました。「ハイブリッド・リボーン」と銘打って、ハイブリッド車の先駆けプリウス自らが生まれ変わるという決意も新たに登場したモデルです。ハイブリッドモデルは今冬、プラグインハイブリッドモデルが来春ごろ発売を予定しているということで、価格も含めまだまだ詳細は未発表です。
 最初の印象は「テスラみたい」でした。ボディサイズは従来よりワイド&ローになっています。全高は1430mmとなっており、先代よりも40mmもダウン。この数値は先代ホンダ・シビック・タイプRの1435mmよりも低い数値です。その一方で全幅は+20mmの1780mm、全長は+25mmの4600mmとなりました。ホイールベースは先代よりも50mm延長した2750mmとなっており、サイドから見たシルエットは先代型とはまったく異なるバランスになっています。
 ホイール径は従来型が15インチ、または17インチとなっていたところ、新型はなんと19インチを装着、明らかにスポーツカー的になっています。タイヤサイズは195/50R19とやや特殊な細身のサイズとなり、縦方向に設置面積を増やしてグリップを稼ぎつつ、細身の横幅で抵抗を下げる意図があるようです。
 従来型は1.8Lのエンジンでしたが、新型では2Lへと排気量アップ、ハイブリッドモデルには1.8L仕様もあります。最高出力が大幅に向上したのもトピックの1つで、プラグインハイブリッドモデルではシステム最高出力223ps、0-100km/h加速6.7秒とスポーツカー並みのスペックとなっているうえに、EV走行距離は50%以上向上と発表されています。先代のプラグインハイブリッドモデルはEV走行距離が60kmだったので、50%向上で90km、それ以上となると100km以上のEV走行距離となる可能性もありそうです。
 ハイブリッドモデルも2L仕様ではシステム最高出力が従来型比約1.6倍の193ps、0-100km/h加速7.5秒とプラグインハイブリッドモデルにひけを取らないスペックとなっており、1.8Lモデルもシステム最高出力140ps、0-100km/h加速9.3秒とポテンシャルアップしています。
 先進安全・運転支援システムも強化されており、「トヨタセーフティセンス」は機能向上と検知対象を拡大した最新のものを搭載し、「アドバンストパーク」にはさまざまな駐車シーンでスムースな入出庫を自動でおこなうことができるほか、スマホアプリを利用して遠隔での駐車・出庫も可能となっているようです。

斜め前から見たところ


側面から見たところ 明らかにスポーツカーですね


前から見たところ


後ろから見たところ


斜め後方から見たところ

■ ドル円レートはどうなる?
 下図は2020年12月20日からの週足ドル円レートの推移です。下図は2022年11月28日10:40現在の数値;138.699円/US$です。およそ1年11ヶ月のトレンドですが、2020年12月1日時点で103.29円/US$でした。2021年3月1日時点で110.7円/US$とややドル高となり、2021年9月までは110円/US$近辺で安定していました。これが113〜115円/US$とややレベルを切り上げて5ヶ月続き、2022年3月からドル急騰開始、2022年5月ホップ、2022年7月ステップ、2022年10月ジャンプで、高値152円に迫りました。そこから大きく下げて、2022年11月15日には137円台まで下げ、再び鎌首を上げて140円を挟んでウロウロしています。
 通常上げ相場はホップ・ステップ・ジャンプの三段跳びで終了します。従ってこの歴史的急騰は終了したと見るのが妥当です。ハッキリ分かったのは、日銀も日本財務省も何も政策を変えていませんから、この為替変動は円安進行ではなく、ドル高だということです。米国のインフレとそれに伴うFRBの金利引き上げでドルを買おうということ、ではまだ金利は上がる見通しなのに何故150円超から140円に下がったかと言いますと、さすがに米国の物価上昇の勢いが鈍化し、IT企業での首切りが相次いで、米国景気が悪化しそうだという先行き見通しが出てきたからです。筆者が予想した2023年半ばにはドル円レートは戻るだろうということが現実的になってきました。現在は140円レンジですが、日銀の黒田総裁が交代すれば更に円高方向に進む気がします。ただ、日銀が身動き取れない金縛り状態であり、日本国政府が相変わらずの借金によるバラマキ政策を続けていますから、130円を越えて円高になるとは考えにくいのが実態です。

外為どっとコムより

■ 日銀保有国債が8749億円の含み損に転落
  日本銀行は22年度上期決算を11月28日に発表し、それによると、日銀が保有する国債の評価損益は9月末に8749億円のマイナスとなったそうです。あくまで含み損ですが、米欧がインフレ対策として利上げを進める中、日本の国債金利も上昇(価格は下落)したためで、2013年4月の異次元緩和導入以降、含み損に転落したのは初めてだそうです。日本はインフレになっても金利を上げられないことが明確に示されたわけで、これまでの黒田総裁の施策が極めて危険なものであったことが明らかになりました。どうする?ニッポン!

■ 「ドーハの奇跡」
 サッカーのカタールワールドカップで11月23日、優勝2回を誇る世界ランキング3位のアルゼンチンを世界51位のサウジアラビアが2-1で破りました。アルゼンチンは前半10分メッシのPKで1点先制、しかし、その後はゴールと思われたシュートが今大会から導入された新しい技術でオフサイドと判定されるなど、追加点を奪えません。前半アルゼンチンの猛攻を耐えに耐えたサウジアラビアは、後半に入ると試合は一転、サウジアラビアが攻め込む展開となり、後半3分に同点ゴール、続く後半8分に逆転ゴール、サウジアラビアはわずか3本のシュートで2点GETしたのです。それというのもゴールキーパーの好セーブやサウジアラビアのかたい守りに焦ったアルゼンチンが得点を奪えないという展開でした。サッカーというのはこれがあるので目が離せません。何十回に一回という奇跡が起こりうるスポーツなのです。信じられない勝利にサウジアラビアのサルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ国王は、23日を国民の祝日としたというくらいですから、その興奮振りが分かります。
 さて日本はどうか?世界ランキング24位の日本は「死の組」に入りました。過去優勝国が二つ、ドイツとスペインが居るからです。23日の1次リーグの初戦、優勝5回のブラジルに次ぐ4回の優勝を誇る世界11位のドイツと対戦しました。ナント!イギリスのBBCは2-1で日本の勝利と予想しました。しかし直前練習試合でカナダに敗れた日本、コーナーキックなどから失点する守備面での不安が指摘されていました。ましてや背の高いドイツ選手相手では日本はこうしたセットプレーを極力減らし、スピードを生かした1チャンスで点をもぎとる速攻につなげるしかないと言われていました。6月のブラジルとの試合ではネイマールのPKによる1点で負けましたが、この試合ではブラジルの猛攻に耐え続け、シュート数は22本対5本、枠内シュートは5本対0本と劣勢でしたが、守りに守るという日本の特長は発揮出来ました。後半32分の決勝PKにつながるプレーは、MF遠藤航(シュツットガルト)とブラジルFWリシャルリソン(エバートン)が交錯したプレーに主審がPKを宣告したのですが、元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏は「先に遠藤選手が入って、リシャルリソン選手が後ろから蹴っていた。逆のファウルに近いシーンであり、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)があれば、全然違った判定になっていたはず」と指摘していました。このように強豪国に対する日本は、守りに守って数少ないチャンスにスピードを生かした縦突破を仕掛けることで勝機をうかがうしか勝ち目はありません。ドイツは前回のワールドカップロシア大会でまさかの1次リーグ敗退、日本は前回白星スタートで、過去6大会で初戦で勝ち点を獲得した3大会は、いずれも決勝トーナメントに進出しています。日本にとって救いなのはドイツでプレーしている選手が8人も居て、相手をよく知っていることです。前半、日本は序盤からドイツに細かくパスをつながれて再三ゴール前でピンチを招き、ボール保持率で7割以上を握られる苦しい展開が続きました。33分にゴールキーパーの権田修一選手によるファウルで与えたペナルティーキックを決められ先制されました。アディショナルタイムに入り、攻勢一方のドイツのシュートをGK権田が止め、左に流れたボールを中央に入れられ、シュートでゴールを奪われたかに見えましたが、AI判定の結果、オフサイドで助かりました。NHKの解説者は、前半圧倒的守勢だった日本ですが、森保監督は後半に懸けているはず、選手を代えて具体的な指示を与えれば逆転も有り得ると言っていました。しかしドイツのパスの正確性は素晴らしく、久保や長友が振り回されていいところが見えません。伊東からスピードのある前田につないでゴールか?という素晴らしいプレーもオフサイドでした。日本は後半から3バックに布陣を変えます。久保に代わってDF冨安健洋、DF長友からMF三笘薫、前田からこれまたスピードのあるFW浅野拓磨に交代しました。浅野は積極的にゴールへと向かい、交代直後に伊東の右クロスに相手と競り合いながら飛び込みシュート。その後も立て続けに2本シュートを放ちますがいずれも枠には収まらず、ネットを揺らせません。ドイツの激しい攻撃も続きますが、GK権田が必死に守り次々シュートを阻みます。75分にゴール前のこぼれ球を堂安選手が押し込んで同点に追いつきました。この場面、スローで何度も再生されたのですが、キーパーは普通シュートをパンチングして弾き出すときにはサイド方向へ、できるだけ遠くへ、とするはずなのに名GKノイアーがどうして正面に弾いたかと言いますと、サイド方向から猛然と浅野が突っ込んできたのでそれを避けたのですが、そこには堂安が居たということで、よく見たらゴール前へ日本選手が殺到してきていました。このゴールへの執念にはノイアーも試合後日本選手たちのファイトに脱帽していました。83分には板倉からのロングパスを受けた浅野選手がそのままドリブルで持ち込み、相手ガードと競り合いながら、名GKノイアーが立ちはだかるも狭いゴールに向けて右足でゴールの上方向に蹴り上げて勝ち越しました。あの角度で蹴られたらいかに名GKノイアーと言えども阻めなかったでしょう。日本はこのあとドイツの反撃をかわし、2対1で勝って勝ち点3を獲得しました。サウジ同様「ドーハの奇跡」です。森保采配が見事なまでにはまりましたね。前回のロシア大会に続く白星スタートとした日本は27日、1次リーグの第2戦で世界31位のコスタリカと対戦します。

我が家のシャコバサボテン、別名クリスマス・カクタス、デンマーク・カクタス

■ 一転まさかの悪夢
 26日、1次リーグC組初戦で優勝候補のアルゼンチンに2−1で逆転勝ちを収める大番狂わせを起こしたサウジアラビアが、第2戦でポーランドに2−0で敗れました。28年ぶりの決勝トーナメント進出をめざすサウジアラビアは、前半はペースを握ったものの39分にカウンターから先制点を奪われました。しかし、43分にゴール前でFWシェヘリが倒され、VARでPKと判定され、同点に追い付く絶好のチャンスでしたが、シュートがGKに止められました。大金星から一転して1次リーグ突破も微妙になりました。まさに天国から地獄へという感じです。27日、1次リーグE組第2戦で日本はコスタリカにまさかの敗戦、「だからサッカーは面白い」とサッカーファンは言うでしょうが、筆者のような野球好きは「だからサッカーは面映ゆい」と思うのです。サッカーでも野球でも強いほうが勝つとは限らないのは同じですが、サッカーのほうがより「運」の要素が強いからです。ルールが難解な野球は頭脳を使うスポーツなので「運」の要素は少ないのですが、サッカーはより動物的なので、一瞬のミスが明暗を分けたり、一発カウンターが奏功したりする面があります。サウジアラビアはポーランド陣に攻め込んで守勢に回らせながらカウンターでやられ、PKも失敗、まさに運が無かったのですが、日本はもっと悲惨でした、スペインに7-0で敗れ、1本もシュートを打てなかったコスタリカに対し、日本は攻めに攻めながらガードを崩せません。逆に後半1チャンスで守備のクリアミスからふわりと浮かせたシュートを弾ききれず後半唯一のシュートを決められて敗れました。ドイツ戦で讃えられた森保監督の采配に疑問符を付ける解説者も居ましたが、いやいやこれがサッカーというものです。相手より1点多く取れば勝てるのですから、まずは守りが基本です。それをコスタリカが徹底したわけですから、揺さぶれなかった日本、速いパスで揺さぶって崩したスペイン、この差です。スペインとドイツは1-1引き分けでした。日本はスペインに揺さぶられるでしょう。6月のブラジル戦で見せたような守りに守る展開から一瞬のチャンスに賭ける、「運」を呼び込む試合を期待します。
(2022年11月28日)


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