503  弱日本

 昨週は伊香保温泉に行って来ました。伊香保温泉の紅葉の名所「河鹿橋」のライトアップが10月25日から11月13日だというので、これが目当てでした。ふじみ野こどもエコクラブの畑作業を終えてからの移動なので、伊香保直行ではなく、籠原駅前のビジホ「シティフィールドかごはら」に途中一泊しての移動でした。4階の露天風呂から籠原駅のホームが眼下に見えます。かごはらと言えば高崎線利用者にはなじみの駅ですね。上野発終点かごはら行きの便がありました。宇都宮線で言えば小金井行きですね。かごはらっていったいどんなところだろうと思いつつ、初めてこの地に泊まりました。住所は熊谷市で、鉄道駅では上熊谷と深谷の間です。鉄道好きにはたまりません。風呂に浸かりながら、飽きることなくじ〜〜っと眺めていました。朝には5分おきに東京へ向けて電車が出発します。


「シティフィールドかごはら」4階の露天風呂:岩風呂です

■ 円安が止まらない
 円安が止まりません。日本政府は9月22日に146円目前で為替介入し、今回は152円でドル売り、一旦ドル急落するもまた戻してきたので、これでもかと第2弾、しかしまたジリジリと戻しつつあります。実に10月は6兆円以上の介入で、政府は随分と円を増やしたことになります。世界の巨大為替投機マネーに日本政府がいかに抗おうがかなうものではありません。今回特に問題なのは日本の個人投資家がFXで「円売り」に走っていることです。日本政府がドル売り介入してくれればそこで押し目買いするわけで、投機は変動した時がチャンスなのです。ヘッジファンドだけならいざ知らず、政府・日銀は日本国民にすら見放されつつあるということです。日本は昔は貿易で儲けていて、そのために円高になり、これはたまらんと工場が海外へ逃げて行って、国内が空洞化しました。従って給料が高い第二次産業から、低い第三次産業へと労働者が移動、それに輪をかけてアベノミクスで構造改革して非正規労働者が増えた結果格差が拡大、貧しい人が増えたのでできるだけ安いものを買いたい、デフレが続く、労働者の賃金は上がらない、失われた30年になっています。そこへ今回の円安で、今やアメリカ同様生産ではなく消費大国になってしまった日本はエネルギーも食糧も輸入、自前で調達できるのは空気と水と米、野菜ぐらいという有様ですから、円高なら良いですが円安は痛いのです。アメリカは高インフレですからドル高のほうが良いのです。

「シティフィールドかごはら」4階の内風呂…岡山県中央部の阿部鉱山より採掘された天然鉱石;光明石温泉です

■ 悪い円安?それとも円弱?
 円安によるデメリットが大きくなっていることは、円安の進行にともなう経済界の反応を見れば一目瞭然です。円安が急ピッチで進んだことを受けて、多くの関係者がいっせいに円安に対して懸念を表明しました。日本商工会議所の三村明夫会頭は9年務めた会頭を愈々辞するみたいですが、実に的確に日本の置かれた状況を指摘される方で、その発言は常に心に染み入りました。今の状況については、中小企業の多くが円安による悪影響を受けているとして「日本経済にとって良くない」との見解を示しました。鈴木俊一財務大臣(岩手2区)に至っては、「円安が進んで輸入品等が高騰している。悪い円安と言える」とかなり踏み込んだ発言をしています。「悪い円安」かと言われれば、日本の実情から言えばそうですが、国際的な為替の動きからすると良いも悪いもありません。世界中が金融引き締めに動く中で日本が金融緩和を続けると言っているわけですから円安が進むのは当たり前なのです。産経新聞や日経新聞は、強い論調で日本の金融政策に懸念を示し続けてきました。しかし黒田日銀総裁は頑として受け付けません。10月18日の国会で立憲民主党の「影の財務大臣」である階猛衆議院議員(岩手1区)は、黒田総裁に辞任を迫りましたが、「金融緩和は間違った政策ではない、辞めるつもりは無い」と言い切りました。これでは市場が円売りをやめることは無いでしょう。メディアやネットでは、「日本売り」が円安を呼んでいると言って、ニッポン悲観論が溢れており、「円安」ではなく「円弱」だとすら言う人も居ます。「日本売り」が事実なら「悪い円安」ですが、今はそうとは言えないでしょう。金融当局の政策の違いがもたらす「必然の円安」であって、「悪い」は言い過ぎです。日銀の金融政策決定会合では全員一致で金融緩和継続を決めました。黒田総裁だけが悪いのではない、全員一致ですから、文句の言いようがないではありませんか。日銀は「金縛り状態」で、身動き取れないのです。

黒田日銀総裁

階猛衆議院議員

岸田首相

鈴木財務大臣

■ 日本は経済破綻へまっしぐら
 日本の政府債務残高は1500兆円、一般政府(国・地方自治体・社会保障基金)の債務として、公債や借入金などが含まれます。世界経済のネタ帳のグラフをご覧ください。
 1980年代後半のバブルのとき一旦止まりましたが、1992年以降右肩上がりで増え続けています。失われた30年というのが見事に分かりますね。特に小泉内閣や安倍内閣のような人気のあった内閣でグイグイ増えました。こうした政治を招いた日本国民の自業自得と言えます。筆者はアベノミクスを支持していました。しかし途中から、危険信号を察知して、ブレーキ掛けるべきだと転換しました。アベノミクスの「第三の矢」が一向に機能せず、借金だけが増えるばかりか、あろうことか日銀が国債を買い、株を買うという、国際金融の禁じ手に手を染め、国民の年金資産を司るGPIFまでもが株買いを始める始末で、リスクがドンドンヒートアップしたからです。規制緩和とか言って非正規労働者を増やして、女性や老人の就業を促進しましたが、雇用は守れても安い賃金に引っ張られて国民の所得は増えません。さらに消費税アップが致命的でした。これだけ借金が増えれば、金利を上げることなんてできません。金利が低いので住宅ローンが組めてマンションが売れています。タワーマンションがニョキニョキ建って、もはや億ションなどと言われています。戸建てもドンドン新築されて空き家が急増しています。景気が良いのか?それは借金で作られた景気であり、将来世代にツケを回しているのですが、少子化が急速に進行していますから、将来世代がこんな膨大な借金を返せるワケがありません。低金利ですから出来るだけ借金して、ドルを買えば黙っていても儲かります。ローンを組んで税金は減り儲かるという、信じられない状態なのが現状です。そこで岸田首相は「新しい資本主義」を掲げて、小泉内閣や安倍内閣のような「新自由主義」に決別しようとしました。しかし来年度予算においても、与党からの圧力を受けて大盤振る舞いせざるを得なくなりました。今の政策を続けて、上のグラフの右肩上がりが解消されないとすると・・・その先にあるのは「経済破綻」です。日銀は破産して解体、政府の負債は国民の資産で償却することになります。貸借対照表など持ち出すまでもなく、これが経済原則です。今や日本国民の乗った小船は、滝つぼめがけて下流へまっしぐらに進んでいます。これまで政府与党の強力な支持基盤だった産経新聞などが、必死になってアラームを発しています。日経新聞も同様です。毎日新聞もそうです。しかし読売や朝日などにかつての輝きがありません。何故でしょう?

初めて泊まった伊香保温泉ホテルふくぜんから見た翌朝の山々 下の建物はホテル天坊

■ 「出を制し入るを計る」財務省
 日本政府の予算は2021年度一般会計で約107兆円でしたが、このうち税収でカバーできているのはわずか57兆円しかなく、残りはすべて国債という政府の借金で賄われています。金利が米国並みの水準に上昇すると、税収の半分以上が利払い費に消えてしまうことになり、これは消費税に換算すれば18%分にも相当する巨額なものです。際限なく国債を発行し続けない限り、医療や年金、防衛費といった、絶対に欠かすことができない予算さえも制約を受けてしまうので、政府も金縛り状態にあると言えます。本来政治とは「出を計る」ことを基本としていますが、実は財務省は借金の増加を抑えるため、「出を制し入るを計る」ことを基本としています。ところが医療や年金、防衛費などは削れない、そこで教育研究費などを絞っているので、日本の大学は学費は増えても、お金の総額は減り、国際的にはどんどんランクダウンし、ノーベル賞受賞者もやがて出なくなると言われています。優秀な研究者はアメリカに移住しつつあります。アベノミクスで法人税を減らし消費税を上げましたが、今や日本企業は空前の内部留保増、大企業は笑いが止まりません。財務省は消費税をまだまだ上げようと考えていますが、そうすると政権が転覆するのでおいそれとできない現状です。

伊香保温泉石段街から見た山々

■ 金利上昇は日銀破綻へつながる
 日銀は量的緩和策の実施以降、市場から大量の国債を買い付けており、2022年6月末時点において日銀が保有する国債の残高は542兆円に達しています。金利と国債の価格には裏表の関係が成立しており、金利が上がるということは、国債価格が下落することになります。仮に金利が上昇した場合、日銀に含み損が生じ、市場はそれを前提に動きます。場合によっては、円安がさらに進んだり、金利の上昇ペースが加速するという弊害をもたらし、ハイパーインフレにつながりかねません。その前に日銀が破綻するだろうと考えておいたほうが良いでしょう。

ホテルふくぜんは部屋へ配膳してくれます これは夕食、和牛しゃぶしゃぶ最高、〆にうどんまで付いてました
前菜、肉、刺身、茶碗蒸し、煮物、冷たいうどん、香の物、味噌汁、白ご飯、デザートです

■ 金利上昇は企業破綻へつながる
 金利が上昇すると、一部の企業は金利負担が大きくなり、業績が悪化します。そうなると株価が下落したり、場合によっては資金繰りに窮するところも出てくるでしょう。業績が悪化すれば、従業員の賃金にも影響しますから、国内経済にとっては大きな逆風となります。やはり金利は上げられません。

河鹿橋の紅葉はまだ早いですね

■ 金利上昇はローン破綻へつながる
 もっとも影響が大きいのは個人の住宅ローンです。超低金利時代が長く続いたことから、国内では変動金利で住宅ローンを組む人が圧倒的に多くなっています。変動金利の場合、金利が上昇するとローンの返済額もそれに合わせて増えていきます。今後、金利が急騰する事態になった場合、ローンの返済に追われる世帯が増え、最悪の場合、ローン破綻者が多発することが考えられます。

伊香保温泉関所の紅葉、雲一つ無い快晴の秋空でした

■ 貿易収支も経常収支も赤字の日本
 以上の通り、一連の状況を考えると、日本では安易に金利を引き上げることができず、日銀も量的緩和策を継続せざるを得ない状況となっており、これが円安をさらに加速させる作用をもたらしているのです。財務省が10月20日発表した2022年度上半期(4〜9月)の貿易統計(速報)によりますと、全体の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、11兆75億円の赤字でした。資源価格の高騰や円安の進行で輸入額が膨らんだためで、赤字幅は2013年度下半期の8兆7600億円を上回り、比較可能な1979年以降、半期として過去最大を更新しました。

日本の温泉饅頭発祥の店・・・伊香保温泉勝月堂は臨時休業でした

■ 米国と日本の違い
 欧米の凄いインフレに対し、日本もインフレ傾向に入ってきたとはいえ、まだ9月の消費者物価指数は前年比3.1%アップにとどまりました。それでも過去と比べれば大幅アップです。2%を目標としてきた黒田日銀総裁ですが、現状は賃金アップを伴わない物価上昇なので「新型コロナウイルス禍からの回復途上にある経済をしっかりと支え、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的に実現するために大規模緩和を続ける」との方針のようです。これに対し経済評論家の寺島実郎氏は10月30日、TBS系「サンデーモーニング」に出演し、「黒田日銀なるものの罪深さというのがいよいよ極まってきたなと思いますね。経済の現場を知らないというか、出口に出ようとしても出られないのが現状です」と指摘しました。そのうえで「日銀が政治の小道具にあまりにも利用され続けたために、黒田さんの言ってることもおかしくなってきている。役割意識肥大症じゃないけれども、ついに賃金の引き上げまで言い始めている。つまり日銀って何のためにある中央銀行なんですかということです」と言い、「今や日本国は本当に安売りに入っちゃってるわけですよ。外国人がなぜ日本にやってくるか。安いからですよ。土地を買ったり、企業を買ったり、水資源を買ったり、ものすごい勢いで現場が動いてきている。分かってるんでしょうかね、黒田さんは」と嘆いていました。多くの経済評論家が最近言い始めていることは、日本は金利を上げられない、それは事実だけれども、黒田日銀の金融大幅緩和が続く限り円安は収まらない、日本が今後どう言う方向に進むかを政治がハッキリと指し示し、具体的な行動を起こすだけで投機は収まり円安は是正される・・・ということです。岸田首相では難しそうですが...
 欧州のインフレはウクライナ危機によるエネルギー価格の暴騰によるものですが、資源国である米国のインフレは別要因です。コロナ禍で冷えた雇用に対し米国政府が大盤振る舞いし、コロナ禍が収まったところで労働者が戻ってきたのですが、55歳以上の層が戻ってこなかったのです。彼らは株式投資で潤ったがゆえに働く気が無くなったのだそうです。そのために人手不足になり賃金がうなぎ上り、連れて物価もうなぎ上りなのだそうです。対する日本は長いデフレが続いて、値上げしたら売れなくなるためインフレにブレーキがかかった状態で推移している、しかしさすがにエネルギーや食糧価格の上昇の影響は出ているというのが現状です。つまりまだ日本経済のほうが健全だということです。

勝月堂からすぐ上、石段上り、終点365段が伊香保神社

■ 円安はやがて収まる、いまニッポンに必要なものは・・・
 円安とか円弱とか、今の為替状況にさまざま論評することで騒がしいのですが、現状は「ドル独歩高」、これが結論です。なぜ消費ばっかりのアメリカ経済が強いのか?頑張って働いている日本人がどうして報われないのか?価値を産み出すことではニッポンは随分頑張ってるじゃないか、いろいろ憤懣やるかたない人、いるでしょう。結論を言います。アメリカは世界中から多様な人を受け入れてダイナミックに成長する社会、だから強いのです。純血日本も中国も高齢化が進み、後先は有りますが、グンと伸びてやがて衰退します。しかしアメリカは常にウヨウヨと社会が変わり、一貫して成長する社会です。トータル的には圧倒的人口の中国に抜かれますが、つねに成長する社会、これが強みなのです。今の円安はドル高につられたもの、一時的と見ます。FRBも金利引き上げの先行き見通しについて、やがて落ち着く見通しを打ち出しました。この円安は2023年半ばには反転するでしょう。それまで、絶好のチャンス、インバウンド、バンバン受け入れましょう。今の日本は観光魅力度世界一です。日本に来て、楽しんで、爆買いしたい人が世界中に溢れています。日本の製造業の”強み”いろいろあります。これを高く海外へ売りまくりましょう。そういう勢いのある企業は賃上げします。国内にだけ目をやって、デフレ体質に埋没している企業は淘汰されます。経営者にとって、いまは絶好のチャンス到来なのです。

ホテルふくぜんはお部屋食 これは朝食です 味噌汁はコンロで沸かします ご飯がすごく美味しい

■ 最低賃金が初任給に迫りつつあるニッポン
 9月28日、米アマゾンが米国内の物流施設で働く人の平均初任給を10月から前年比約6%アップの時給19ドル以上に引き上げると発表したことが大きな話題になりました。円安ドル高が進んでいるとはいえ、1ドル=149円なら時給2834円です。一方で東京都の最低賃金は1072円です。今年の春闘の平均賃上げ率は連合の集計で2.07%(6004円)、3年ぶりに2%台になりましたが、9月の物価上昇率は3%です。そもそも日本の最低賃金制度は1959年、当時多かった中卒初任給の最低額を決定する業者間協定方式の法制化に由来するそうです。最賃の出発点は中卒初任給を下回らないとする、まさに最低の賃金水準でした。ところが今や高卒初任給が最賃を下回るという60年前の状況に逆戻りしているのです。このままで推移すれば、高卒初任給どころか大卒初任給や20代社員の給与もいずれ最賃に迫るという、笑うに笑えない事態も起きかねないと言われています。

TBSのNスタより

■ 米国では寿司職人引く手あまた
 TBSのNスタで日本で働くよりアメリカへ行こうという若者が増えている・・・とやっていました。アメリカ人も今やラーメンや鮨が大好き、何せラーメンが一杯日本では750円平均なのに、米国では2500円、チップ込みで3千円だというのです。日本の4倍です!アメリカで寿司を食べようとしたとき、中国人等が経営する店ではお客さんが日本で覚えた本物の味と違う、そこで日本から来た寿司職人が引っ張りだこなのだそうです。アメリカ東海岸のビーチリゾート・マイアミで成功を収めた日本人寿司職人・田中康博さん(37)は、現在の年収は、およそ8000万円。2年前に独立し、マイアミの中心地に寿司店をオープンしました。店は連日多くの客でにぎわいをみせ、大盛況だそうです。ミシュランガイドにも掲載され、一番人気は「おまかせ10貫セット」、およそ8600円なんだと・・・!食材は9割、日本の豊洲から直接送ってもらっているそうです。出稼ぎで、7年前にアメリカにやって来たという田中さん、現地で、妻と知り合い結婚し、現在は1歳の長女と家族3人で暮らしています。20代で青年海外協力隊でアフリカを訪れた際に言われた「寿司作って」の一言・・・遠く離れた場所でも知れ渡る「日本の寿司って、すごい」と感じ、寿司職人になることを決意したそうです。帰国後、27歳から銀座の寿司店で修業しますが、当時は年収300万円、苦労しました。修業時代は、客前で寿司を握ることができず、閉店後に一人練習に明け暮れる日々...兄弟子が働いていたニューヨークの寿司店で働くことを決意して、アメリカに渡ると、すぐカウンターで寿司を握れるようになり、年収は修業時代の倍の600万円になりました。働いて貯めた資金で一昨年、マイアミに念願の寿司店をオープンさせたのです。まさに、アメリカンドリームをつかんだ田中さん、日本に帰ることはないでしょう。

■ 出稼ぎよりリモートワーク、高収入低消費の豊かな社会へ
 こうして日本人が海外へ出稼ぎに行く時代ですが、実はIT技術者なら米国企業の社員として日本でリモートワークしたほうがずっと良いのです。これはインド人などが昔からやっていました。筆者も現役の頃、ソフトウェアをインドや中国の企業に外注している日本のIT企業を見ていました。インドや中国の企業はアメリカとの奪い合いでした。夕方アメリカから発注して、翌朝出勤すると出来上がったソフトウェアが届いているという、実に効率的な下請けシステムでした。アメリカは成果報酬ですから、日本に居ながらアメリカ人並みの報酬が得られるなら、物価の安い日本で暮らしながら高額の報酬を頂ける、リモート様々なのです。
 日本社会は世界的には格差の小さい社会です。そこに埋没して安い賃金で満足してはいけません。能ある鷹は爪を隠してはならないのです。より高い報酬を求めて転職するべきです。労働市場の流動化が起きれば、必然的に賃金アップします。ついて行けない企業は淘汰されます。日本社会がアメリカと違うのは消費に対する感覚です。より良いものをより安く買う消費者心理が定着している日本では、アメリカのようなインフレは起きません。高収入低消費の豊かな社会がニッポン、そういう社会にすべきなのです。今回のタイトル『弱日本』を何としても返上して欲しいものです。

伊香保温泉ハワイ公使公邸

■ 貧富の理由
 貧乏な人がコンビニでカップヌードルを買うのは何故?というのがネットに載っていました。スーパーならもっと安いのに、というわけです。豊かな人はスーパーのセールで買いだめするのだそうです。近所のセブンイレブンで見たら税抜き214円、税込231円でした。これは日清食品の希望小売価格です。3月に税抜き193円→214円と値上げされました。10.88%の値上げです。我が家から最も近いディスカウントスーパーサンディでは税抜き157円、税込170円でした。スーパーではたまに目玉セールをやります。我が家から最も近いスーパーはイトーヨーカ堂で、税抜き143円、税込154円の今だけ特価販売をやっていました。どうして貧乏なのにコンビニでカップヌードルを定価購入するのだろう?というわけです。実はここに貧富の理由があるのです。貧しい人は買いだめしません。買いたいときにコンビニで1個買いするのです。
 我が家の近所にお金持ちの家があります。広い土地に、注文住宅の立派な家、車は?レクサスでもベンツでもありません。めいめいホンダNBoxに乗っています。広い駐車場に軽自動車が3台。我が家の隣の家は6台車を保有しています。やはり1人1台です。豊かだからフェラーリに乗るという人も居るでしょう。クルマは価値観の乗り物、実用なのか、見せかけなのか、クルマで豊かさは計れません。

伊香保温泉石段街の岸権旅館駐車場に停まっていた栃木ナンバーのトヨタ・ヤリス
もみじマークが付いてますからお年寄りのクルマ キーンルックでカッコイイ車に老人が乗る今日この頃

■ ソウル群衆雪崩
 10月29日午後10時頃、ハロウィンで賑わっていた韓国ソウルの主要繁華街の一つ「梨泰院(イテウォン)」で「群衆雪崩」事故が発生し、10代と20代の日本人女性2人を含む156人が死亡しました。思い起こせば2001年7月の花火見物での明石歩道橋群衆雪崩事故では、合計183人が重軽傷を負い、11人の犠牲者が出る大惨事となりました。梨泰院事故の映像を見ると、一旦巻き込まれたら蟻地獄みたいに抜け出れない、運が良くて身が軽ければ上に抜け出れたかもしれませんが、その前に圧迫で失神したかもしれません。

河鹿橋の紅葉 最盛期には一面黄色と赤色に染まります

■ マスク反則負けに不服申し立て
 将棋のA級順位戦4回戦で永瀬拓矢王座(30)と対局した名人3回の佐藤天彦九段(34)が、対局中、マスクを外した臨時対局規定違反で反則負けとなった事件、日本将棋連盟は「佐藤九段が約30分に渡るマスクの未着用を2回行った」とし、対局の中継映像を確認して役員間で協議し、臨時対局規定に基づいて佐藤九段の反則負けと裁定した件、他の棋士たちから「一発反則負けは無いでしょう」とか、「今の時代に厳し過ぎる」などのブーイングが続出しました。永瀬拓矢王座は思いがけないバッシングにさらされました。佐藤天彦九段は日本将棋連盟常務会に対し、「反則負け判定の取り消し」などを求めて不服申立書を提出し、同常務会は11月2日、不服申立書を受理したと発表しました。申立書では、マスクを外した事実を認め、「深く反省する。しかし、故意でなく、盤面に集中することによる過失」と説明、反則負けの根拠となった規定に関し、「故意だけでなく、過失による違反も含むか明文化されていない」と指摘しました。対局のやり直しや規定の適用基準の明確化なども求めています。

伊香保温泉入口の渋川市総合運動公園を見下ろす展望台から見た赤城山

■ 王将の大東社長殺害事件
 中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東隆行さん=当時(72)=が2013年、京都市山科区の本社前で射殺された事件をめぐり、別の銃撃事件で服役中だった特定危険指定暴力団「工藤会」幹部の田中幸雄容疑者(56)が逮捕されました。王将フードサービスの創業家と特定の企業グループとの不適切な取引が長年存在し、王将側から企業グループへの不正取引は260億円にのぼり、そのうち約170億円が回収不能になっていましたから、動機に関しても警察にはかなり見えていたはずです。社長になった大東さんは、先代から続くこうした不透明な取引はやめようと考えて報告書をまとめたわけですが、事件は、その直後に起こりました。逮捕された暴力団幹部は、おそらく誰かに雇われて殺人を請け負ったヒットマンだと思われますが、不可解なことがあります。犯行に使われたのは25口径の拳銃で、4発の弾丸が発射されました。しかし、本気で人を殺そうとするときに、手のひらサイズで殺傷能力が低い25口径の拳銃は普通使わないのだそうです。弾丸の直径が約6ミリしかありませんから、殺そうと思ったら普通は37口径の拳銃を使うそうです。逆に言えばこのヒットマンは相当の凄腕だということです。特定の企業グループの元代表・上杉昌也(78)氏は、NHKのインタビューに答えて、全く関係ないとシラを切っていました。京都府警と福岡県警の合同捜査本部は上杉氏や、王将フードサービスの元役員(創業者の息子)宅などを家宅捜索したそうです。この事件に関しては謎だらけです。どうして捜査にこんなに時間がかかるのか?「工藤会」がそれだけ危険だということもあるのでしょう。この事件に関しては161『ほったらかし温泉』(2016年4月9日)や47『食市場』(2014年1月26日)をご覧ください。

■ 日本シリーズ;オリックスの劇的優勝
 SMBC日本シリーズ2022第一戦でヤクルトがオリックスの山本由伸投手を攻略し、山本は脇腹を痛め降板、これでヤクルトが絶対優位に立ったと思いました。第2戦は3点リードの勝ちゲームを9回、内山壮真の同点3ランで追い付かれて引き分け。第3戦は宮城大弥が山田哲人に3ランを浴びて完敗。ヤクルト2勝1分けで京セラドーム大阪へ、今年もヤクルト優勝だなと思いました。ところが第4戦、杉本裕太郎のタイムリーで奪った虎の子の1点を継投リレーで守り切り、これで待望の初勝利を挙げると、第5戦は9回にヤクルトの守護神・マクガフを攻略。吉田正尚がサヨナラ2ランを放って対戦成績をタイに戻しました。第6戦は投手陣が1安打完封リレーで3連勝。何と、あの厳しい状況から一転、ヤクルトより先に日本一へ王手を掛けたのです。第7戦では塩見泰隆が痛恨の満塁走者一掃エラー、信じられない出来事でした。ヤクルトも終盤、村上宗隆のタイムリーとオスナの3ランで猛追しますが及ばず、オリックスがヤクルトに昨年(2021年)のリベンジを果たしました。

伊香保の循環ワゴン
 オリックスの勝因は「ナカジマジック」です。オリックスは打順が固定しません。シーズン通してそうでしたが、1つのパターンに固執せず、そのときの状況や選手の調子などを冷静に見極め、臨機応変に打つ手を変える……これが中嶋監督の選手起用の巧みさ「ナカジマジック」です。
 その1:第2戦のマウンドに準エース宮城大弥ではなく、今季5勝8敗と負け越している山ア福也を立てました。その理由は日大三高→明治大出身で、学生時代、神宮のマウンドに何度も立っているからだそうです。しかもヤクルト本拠地:神宮はDH制ではないので、学生時代、バッティングにも定評があった山ア福は、第2戦の先制タイムリーを打ちました。マジックですね。第2戦は4回無失点、第6戦は5回無失点ときっちり先発の仕事をして降板しました。その後は速球とフォークで三振が取れる宇田川優希や、速球派山ア颯一郎ら、山ア福より球の速いパワーピッチャーがどんどん出てくるのですから、打つ方はたまりません。宇田川→山ア颯→ワゲスパック(名前はジェイコブ)の剛速球リレーは、3人の頭文字を取って「USJ」と呼ばれています。結果的にオリックスは主要リリーフ陣がひと通り神宮のマウンドを経験することができ、これが第6戦・第7戦連勝につながりました。
 その2:第6戦、中嶋監督が1番打者に指名した4年目の太田椋は初回の第1打席にいきなりヒットを放つと、6回、イニング先頭で回ってきた第3打席でもレフト前にヒットを放ち出塁。5番・杉本のタイムリーで生還し、貴重な先制のホームを踏みました。この1点が、初回、塩見のヒット以降ノーヒットのヤクルト打線に重くのしかかり「王手」につながったのです。太田は続く第7戦でも1番で先発し、プレイボール直後、初球をセンターバックスクリーンに叩き込みました。日本シリーズでの「1回表・先頭打者の初球ホームラン」は史上初です。マジックですね。
 その3:第5戦3-2と1点リードで迎えた6回、3番手・近藤大亮が2点を失い逆転されると、中嶋監督がマウンドに送ったのは、何と阿部翔太でした。第2戦、3点リードの9回にクローザーとして登板して、内山壮に同点3ランを打たれた投手、無失点でその後を平野佳寿につなぎました。第1戦で打たれた投手です。この阿部・平野佳の「リベンジ登板」が、守る野手たちを奮起させました。野球はメンタルスポーツです。失敗した選手に挽回のチャンスを与える監督の采配に、選手の気力が盛り上がるのは当然です。これを見ていたヤクルト・高津監督は口惜しかったでしょうね。なかなかこうした心を打つ采配は出来るものではないからです。

伊香保の感動は朝日が出るところ、ふくぜんの最上階の展望風呂からは6時2分正面に見えました
写真は2004年にホテル木暮に宿泊したとき、露天風呂から建物の窓ガラスに映る朝焼けを撮影したもの
(2022年11月2日)


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