459  グリーンインフレーション

 いよいよ今年2021年最後のESSAYとなりました。前作「ななめのつぶやき」が2003年1月13日から2012年12月31日まで520回、一度はやめたのに2013年2月10日から性懲りもなく「ESSAY」を始めてもう459回、つまりあと21回で1000回に到達、それは2022年5月にも実現するわけです。

■ 少年野球グラウンド納め
 小学校の校庭に凍結防止剤として、塩カル(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム)を撒きました。その後、守備位置にお清めの塩を盛り、お神酒を捧げて、今年のグラウンドに感謝するとともに、来年もよろしくお願いしますと、祈りを込めて合掌しました。最後に6年生二人の音頭で、2021年の活動を関東一本締めでしめくくりました。
 少年野球はどんなスポーツよりも頭を使い、緊張と弛緩を学ぶものです。それは一種座禅と同様の効果を生みます。また何よりも、仲間との絆が大切とされます。世代を超えての交流によって、人とヒトとの繋がりが深まり、たくましさ、思いやりと優しさが醸成されます。挨拶ができる元気な子になります。この経験がもたらすものは、将来社会人になった時に、少年野球をやって良かったときっと思えることに繋がるでしょう。お父さんもお母さんも、子どもが小学生の時が一番充実して力がみなぎる時です。それはまだ子どもが親の庇護を必要とする時期だからです。そしてどんどん子どもが成長する時期だからです。中学生になるともう巣立ちが始まります。この大切な時期に、親だけで子どもを面倒見るのは大変です。でも親である限りやるしかありません。だからこの時期の親が一番たくましいのです。しかし、親以外の人が子どもを叱咤激励して育ててくれたら、こんな有難いことはありませんよね?そんな環境が我が少年野球チームにはあります。一度グラウンドに来て、見てみて下さい・・・さあ、グラウンドに子どもたちを送り出しましょう。


グラウンド納め風景

■ 凍結防止剤散布に当たっての注意事項
 融雪剤ないし凍結防止剤に使われているものは塩分で、白い粒です。塩化ナトリウムすなわち塩の水溶液は、濃度により凝固点が最大約−20℃まで下がります。塩化マグネシウムの水溶液は、濃度により凝固点が最大約−30℃程まで下がります。塩化カルシウムの水溶液は、濃度により凝固点が最大約−50℃程まで下がります。ただし副作用もあります。鉄は水分が付着すると酸化して錆びつきやすくなりますが、塩化ナトリウム(塩)や塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどを含んだ水分はさらに金属の腐食を速めてしまいます。雪国の車は下部分に腐食防止のコーティングを施したりします。植樹や花壇などに融雪剤がかかると、植物の生育にも塩害の影響があらわれる可能性があります。塩化カルシウムは水にとけると、発熱する性質を持っています。そのため、塩化カルシウムが入った融雪剤は皮膚についたりすると炎症を起こすことがあります。散布に当たってはこれらに注意して行います。

■ 各地で記録的な大雪に
 強い冬型の気圧配置の影響で、全国的に氷点下の厳しい寒さとなりました。岩手県の大船渡市の戸田市長は筆者の友人ですが、そのFacebook投稿で大船渡市の白い風景を見ました。これはとても珍しいのです。この辺りから宮城の気仙地方にかけては海べりということもあってほとんど雪が降らないからです。そういえば3.11復興道路・復興支援道路は、2021年12月18日に全線開通しましたね。筆者がかつて母の見舞いに良く利用した仙台港北ICから八戸JCTまでの三陸沿岸道路359kmが完成したのです。東日本大震災から10年9ヶ月、長い道のりでした。
 また青森県黒石市の友人の「あずましの里通信」によれば、黒石の12月26日朝の最低気温は-10℃、12月中にこれだけの寒波はとても珍しい事だそうです。
 北海道や日本海全般に記録的な大雪となりました。滋賀県彦根市では、12月27日午前5時までの24時間の降雪量が68センチとなり、観測史上1位を記録して、市内の国道8号や踏切などで車の立ち往生が発生しました。気象庁が観測する積雪の平年比が3550%に達したそうです。12月26日京都で行われた高校駅伝の中継で雪が降っているのを見てビックリしました。456『紀行』(2021年12月8日)で、いいやま湯滝温泉に浸かった後、上境駅からJR飯山線で十日町に向かう途中、長野県最後の駅・森宮野原駅に「JR日本最高積雪地点」という白い塔が建てられていたことを紹介しました。そしてトンネルを抜けて次の古滝は新潟県、さらに越後田中→津南、名前を聞いただけで豪雪地帯だと分かります・・・と書きましたが、この津南がトンデモナイ降雪量となりました。

■ 県庁所在地で最も寒い盛岡市
 盛岡市は県庁所在地で最も寒いことで知られますが、それは薮川と言う地域の寒さによります。ここには「岩洞湖」と言う湖があって、昔カナダに新婚旅行に行った友人が「日本にもカナダがあった」と興奮気味に話してくれました。「何それ?」と聞いたらそれが岩洞湖だったのです。日本一美しい人造湖といわれている岩洞湖は、岩洞ダムによって形成され、周囲の総延長約40km、白樺林に囲まれており神秘的な佇まいを見せます。秋の紅葉、冬の氷上ワカサギ釣りが有名です。

岩洞湖の奥に見える尖った山は姫神山、その左奥にうっすらと見えるのが日本百名山・岩手山

岩洞湖の周囲を取り巻く白樺林、秋ですね

初冠雪頃の岩洞湖畔、いかにも寒そうですね

ワカサギ釣りの色とりどりのテント

■ 南部鼻曲がり鮭
 この季節、寒いと美味しくなるものもたくさんあります。鮭と言えば北海道の新巻鮭や新潟県村上市の塩引き鮭を連想される方、いえいえ、「南部鼻曲がり鮭」という絶品があるのですよ。岩手県の宮古市をはじめとする陸中海岸沿岸の川(津軽石川、田老川など)で捕れるオスのシロサケです。ひょっこりひょうたん島で知られる「蓬莱島」のある大槌町も産地として有名です。味が良いことで知られる鮭で、産卵期が近づいて鼻が曲がり、怖い形相になります。海で獲った鮭と、川へ上ってきてから獲ったものとではその姿が違います。海の鮭の体表は、銀白色で頭は小さめ。川の水をくぐった鮭は、鱗に赤い縞模様が見られ全体に黒ずんでおり、産卵期になるとこうした婚姻色があらわれ、体形も変わります。特にオスは第二次性徴としての「鼻曲がり」の状態があらわれ、吻部が伸びて歯が鋭く大きな形相になり、このような鮭が「鼻曲がり鮭」と呼ばれます。もっとも美味しい新巻鮭は、11月頃に獲れた鮭を寒風干ししたものです。師走の頃にお歳暮として贈られる鮭が一番美味しいということなのです。普通の塩鮭に比べると、身が肉厚でボリュームがあり、寒風にさらされギュッと凝縮した旨味と、なんとも言えない良い香り!身がソクッと瓦をはがすようにきれいに取れます。これを一度食べたら、他の鮭は食べられません。

南部鼻曲がり鮭


■ 2021年を振り返ると...
 2021年もコロナ禍で暗い年でした。今年の最初のESSAYは408『年賀状』(2021年1月3日)でしたが、その中でまずは、「COVID-19第三波加速のまま年越し」と書き、続いて「第三波加速で緊急事態宣言要請へ」、「世界的には第二波、ややブレーキか」、「ワクチンは救世主となるか」、「コロナウイルス=ひっつき虫?」、「センダングサ」、「大晦日の富士山」、「日本郵政からの年賀状」、「様々な年賀メッセージ」、「年賀状じまい」、「今年はメールやWeb年賀状がいくつか...」、「インクジェットプリンタ」、「ニューイヤー駅伝で富士通優勝」、「箱根駅伝往路優勝はナント!創価大」、「ところがナント!最終10区で大逆転、駒澤大が優勝、復路優勝は青山学院大」、そして最後に「訃報」で締めくくっています。なんと豊富な話題、それを1年が終わる今振り返ってみると、いろいろ面白いことに気付きます。コロナウイルスがセンダングサの実と似ている話から、ふじみ野市から富士山とその南側の丹沢山塊がきれいに見えること、八王子で富士隠し山と呼ばれる神奈川と山梨県境の大室山(おおむろやま)1,587mの手前にうっすらと見える東京が誇る日本遺産の霊山・高尾山599mにも触れています。日本郵政からの社長名メッセージ・・・増田寛也氏は我が連れ合いのハトコです。インクジェットプリンタの顔料インクのプリントヘッドノズルがダメになったこと、箱根駅伝に絡んで陸軍第八師団第四旅団青森歩兵第五連隊の八甲田山雪中行軍についても触れています。師走に青森市の幸畑墓苑に墓参したことで締め括ったのはその流れですかね。雪の中の墓標は、120年前をほうふつとさせるに十分でした。ニューイヤー駅伝で富士通が優勝したことを紹介してるのに、その優勝旗を紛失したことを年末に紹介する破目になったことは残念でした。そして訃報、寒くなる年末は死ぬ人が増えます。連れ合いの叔母さんの訃報がもたらされたのは年賀状を投函したその日、25日でした。

■ グリーンインフレーションとは
 2021年は、コロナ禍からの景気回復による急速な需要拡大や、供給網の混乱、人手不足を背景に世界各国で物価が上昇しました。欧州では、気候変動対策に端を発する物価上昇、いわゆる「グリーンインフレーション」の危険性に対し、警戒が高まっています。ここ数年はデフレへの懸念に焦点が集まっていましたが、グリーン経済への急速な移行によるインフレに気を留める人は少なく、むしろ歓迎される傾向にあったのです。しかし、コロナ危機によるサプライチェーンの混乱と同時期に、グリーン経済へ急速に移行させるための製品への需要増が重なったことで、いろいろなものが値上がりして問題化しています。英国では天然ガス価格が年初から1.5倍以上に上昇、発電コストも急上昇し、8月から小売向けのエネルギー業者10社が破綻する混乱が起きています。エネルギー価格急騰の背景には、石炭・石油への依存を減らそうとする英国政府の方針が影響しています。
 日本でもこれは警戒すべき事態です。経済産業省が行った試算によりますと、2020 年の国内発電コスト(1kWh 当たり)は、石炭火力の12.5円に対して、陸上風力は19.8円、洋上風力は30.3円と、再生可能エネルギーは相対的に割高となっています。将来的には、技術革新等により、発電コストは低下していくはずですが、立地条件や天候に左右される部分も大きいのです。また、再生可能エネルギーへのシフトを促す炭素税は、2022 年度税制改正では導入が見送られたものの、いずれコスト増を招く要因となり得ます。一方、脱炭素化が世界的に加速するのであれば、中東等の産油国において、石油関連施設への設備投資はますます控えられ、むしろ石油価格の高騰を招くリスクもあります。

■ 日本の進むべき道
 車は電気自動車シフトが鮮明ですが、技術課題は山積しています。バッテリーの質量や効率、安全性の向上にはまだしばらくかかります。燃料電池車はその燃料をどうするかが課題です。また車が電気化しても、肝腎の発電所が化石燃料を使っているのでは意味がありません。太陽光発電のバックアップとして火力発電所を作るのは本末転倒ですが、現実には今それをやっています。電気は刹那的なものですから、貯蔵が課題です。水を太陽エネルギーで電気分解して水素で保存する手もありますね。水素を空気中の酸素と反応させて電気を取り出すのです。資源の無い日本はピンチをチャンスにするための技術開発に国を挙げて取り組むべきです。そのために従来工学に進む女性が極端に少ない現状を打破し、リケジョを増やす必要があります。

■ 2021年は若者二人に注目しました
 2021年、このESSAYで度々採り上げたのはエンゼルスの大谷翔平選手と将棋の藤井聡太棋士でした。12月26日さいたまスーパーアリーナで行われたフィギュアスケート男子全日本選手権で優勝した羽生結弦(27)=ANA=は、「五輪3連覇への決意が芽生えたのは、五輪代表に決まり、日本代表のユニフォームに腕を通したときだった」と語りました。「北京は負ける確率の方が平昌オリンピックのときより間違いなく高いけれど、ユニフォームを着たときに勝ちにいかないといけないとあらためて思った」そうです。宮城県出身の羽生結弦は、同学年の岩手県出身・大谷翔平が「今まで史上、一番いい状態」であることに刺激を受けているそうです。羽生結弦選手は「手術後に前人未到のことを切り開くのを見ると、僕自身、勇気づけられる。僕もまだ見ぬ世界かもしれないけど、4回転半に一人で挑み続けているので、勇気をもらっている」と語りました。自身もたびたび怪我をして、それを乗り越えて世界チャンピオンになってきただけに、共通したものを感じるのでしょう。

オリンピック代表のユニフォームを着た羽生結弦選手



藤井聡太四冠

■ 天皇杯サッカー浦和レッズ優勝
 サッカー日本一を決める天皇杯、第101回全日本選手権の決勝が12月19日、国立競技場で5万7785人の大観衆の下行われ、浦和レッズが大分トリニータに2対1で勝ち、3シーズンぶりの優勝を果たしました。レッズは立ち上がりから主導権を握ると、前半6分に江坂任選手が先制ゴールを奪って1対0とリードして折り返しました。後半はJ2への降格が決まっているものの初優勝を狙うトリニータが攻勢を強め、45分には下田北斗選手からの正確なボールをペレイラ選手がヘディングで合わせて土壇場で同点に追いつきました。それでもレッズはアディショナルタイムに今シーズンかぎりでチームを退団する途中出場の槙野智章選手が柴戸海選手からのボールを巧みに頭で合わせて勝ち越しました。レッズと言えば槙野と言われる選手が、最後の最後に意地を見せました。戦力外と言われて発奮するところがスターですね。

■ 小中学生の体力テスト
 スポーツ庁は12月24日、小学5年と中学2年を対象とした2021年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)の結果を公表しました。全8種目の成績を点数化した体力合計点は小中男女とも前回より下がり、特に男子は2008年度の調査開始以来、最低となりました。新型コロナウイルスの影響で運動時間が減少したことが原因とみられます。調査は今年4〜7月に国公私立の小5約103万人、中2約98万人を対象に実施されました。体力が高い県は岩手県、秋田県、茨城県、埼玉県、新潟県、福井県、そして大分県です。共通しているのは自然豊かなところです。東日本に偏っているのは何故でしょう?
(2021年12月27日)


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