408  年賀状

 2021年の幕開けです。昨年はいきなりゴーン逃亡で始まり、「イヤな予感がします」と書いたら、本当に大変な年になってしまいました。言うまでもなくCOVID-19新型コロナウイルスによるパンデミックです。名前の通り、発生したのは2019年ですから、丸1年を越えて、変異しつつその勢いは衰えていません。

■ COVID-19第三波加速のまま年越し
 新型コロナウイルスが初めて確認されたのは、2019年暮れの中国・武漢市でした。感染は瞬く間に世界に広がり、日本国内では、2020年に入ってすぐの1月16日に初の感染確認、4月7日に東京など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令、その後全国に広げたものの段階的に解除し、5月25日に全面解除しました。これが第一波だったわけですが、公共施設の利用規制やイベント規制は続き、夏場に第二波が来て、8月初めのピークから徐々に感染者数が減る傾向だったので段階的に規制解除しました。完全に終息させるのは無理、マスク、手洗い、3密回避で「withコロナ」という風潮になりましたが、飲食や旅行業界の落ち込みが激しいので、支援しようと「GoToキャンペーン」などが展開されました。菅首相は「ブレーキとアクセルを同時に踏むこともある。私自身悩みながら判断してきている」と述べていました。「アクセル」は旅行需要喚起策「GoToトラベル」や飲食需要喚起策「GoToイート」事業などの経済刺激策、「ブレーキ」は時短要請を含む感染防止対策を指しています。感染防止と経済活動をいかに両立させて行くかが政権の重要課題でした。人々の心の中にも「油断」ではないでしょうが、「コロナ疲れ」からの解放欲求が高まって、若い人中心に人の動きが戻って行きました。その結果、収束しないうちに再び感染拡大し、その勢いは寒くなって行くこともあってか、それまでよりも急激でした。第二波が収まらなかったという見方もできますが、下図のように欧米とは異なる波の動きですから、第三波と見るのが相当でしょう。政府は12月26日、「国民の命と暮らしを守るため、先手、先手で対応するために全世界から外国人の新規入国を停止する」と発表しました。併せて年末年始の移動自粛も求めました。しかし残念ながら、全く効果の無いまま2021年を迎えることになりました。


日本のCOVID-19新規感染者推移(Yahool!JAPANより転載)

■ 第三波加速で緊急事態宣言要請へ
 政府が言う「先手、先手」とは逆に多くの国民は「後手、後手」の印象を持っているのではないでしょうか。去年末の臨時国会では立憲民主党、共産党、国民民主党、社民党の野党4党が、12月2日に特措法改正案を国会に提出しています。その内容としては、都道府県知事が緊急事態宣言発出を政府に要請できるようにするほか、臨時医療施設を開設したり、休業要請対象施設への立入検査を実施できるようにするというものでした。また日本維新の会も、事業者に罰則付きの営業停止命令を出せるようにする一方、営業停止に従った事業者に対しては国が相当額の営業補償金を交付する提言を出しました。しかし与党は臨時国会の延長もせず閉会し、通常国会開会の前倒しもしないという対応でした。東京都は飲食店の営業時間短縮や外出自粛の要請などを行ったものの、第一波第二波のときと異なり、飲食店はこのままではつぶれるとして営業時間短縮を無視する店が多く、都民も外出自粛どころか、繁華街の人出が増えるという有様でした。明らかに「もう我慢できない」という対応でした。その結果都内の新規感染者は2020年12月31日に過去最多の1337人を記録、医療提供体制も逼迫しており、東京都の小池百合子知事は新型コロナの特別措置法に基づき、休業要請などさらに強い対策を行える緊急事態宣言について政府に要請することになりました。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の一都三県の知事が揃って、西村康稔経済再生担当相と12月2日3時間にわたって面会して協議しました。明らかに陳情ではなかったということです。しかし政府は、首都圏の街中で「時短要請に対してお店に従ってもらえていない」と見ており、仮に宣言を発令しても、現行法で行政ができるのは店名の公表程度で、罰則などの強制力が伴わないため、「自粛警察」とも称される同調圧力が強まることでかえって混乱が深まりかねないとの認識です。2日の4知事と西村大臣の面会でも西村氏が時短要請の強化を知事側に求めました。営業終了を22時から20時に前倒し、酒を出すのを19時でやめるということです。政府としては国会が特措法を改正してくれない以上、自治体にお願いするしかないとのスタンスでしょうが、1月18日に開会する国会を待っていたら医療崩壊につながりかねないという首都圏4知事とのギャップは大きいですね。実は政府が恐れているのは、次の緊急事態宣言は経済の息の根を止めかねないということと、給付金を出せという国民からの圧力と思われます。上図を見れば分かりますが、第一波の緊急事態宣言は手遅れでした。しかし今回の第三波への対応はそれどころか、無為無策のそしりを免れないとさえ言えるでしょう。

■ 世界的には第二波、ややブレーキか
 未知のウイルスとの戦いは、当初、政府も国民も手探り状態で、結果論ですがSARSのときにダメージを受けなかったが故に後手後手に回ってしまった感じです。2月の波は、ほとんど中国由来のウイルスでした。4月、5月の波は、ヨーロッパ由来のものでした。これは後から分かったのですが、恐らく3月の春休みに、相当多数の日本人がヨーロッパに行って帰ってきて、持ってきてしまったと思われます。あらかじめ予想できていたのであれば、卒業旅行に行く学生などに対して「旅行は遠慮して下さい」と呼びかけることが出来ました。あるいは台湾のように、しっかりとした水際対策をしていれば、もう少し春の様相は違っていたでしょう。中国が強権発動して武漢封鎖する様子を多くの日本国民が「あれは中国だからできること」と見ていましたが、未知のウイルスとの戦いはこのように問答無用で人間の自由を奪わなければ抑え込めないのだということが分かりました。自由を愛する欧米が最も感染爆発していることがハッキリ証明しています。下図をご覧ください。下の赤いところが欧州、上の薄赤が米州です。圧倒的ですね。英国は変異ウイルスによって感染者数最多更新している最中ですが、世界全体では12月半ばからブレーキがかかってますね。それはロックダウンなどの強硬策が効果を出し始めているからと思われます。

世界のCOVID-19新規感染者推移(Yahool!JAPANより転載)

■ ワクチンは救世主となるか
 何故日本ではワクチンが作れないのか?と不思議に思って調べてみました。昭和40(1965)年くらいまでは日本はワクチン先進国だったそうですが、感染症が減り、ワクチンに対する訴訟なども起きた結果、ワクチン市場自体が小さくなり、研究開発力が落ちたためのようです。
 新型コロナウイルスには複数の「突起」があり、この「突起」がヒトの細胞にくっついて、ウイルスが細胞に入り込み、感染を引き起こすようです。今回のワクチンは新しい手法で作られました。新型コロナウイルスのこの「突起」部分を作るための「設計図」にあたる遺伝子、メッセンジャーRNAというものを解読、これを人工的に作って、ヒトの細胞内にあえて「突起」部分を作らせることで、体がこれを「敵」だと認識し、次に本物の「突起」が来た時に攻撃する「免疫」を作らせるという仕組みだそうです。たとえウイルスが変異したとしても、「突起」がある限り効果はあるということです。2021年の後半にワクチンを受ける人が人口の半分を超えれば、感染の勢いは抑えられると言われています。ただ、感染の勢いが収まったとしても、根絶できるとは考えにくく、ある程度、感染は続くというのが専門家の見立てです。今年中に全く以前と同じ生活に戻れるかというと、難しいと覚悟したほうが良さそうですね。特に老人は感染リスクを避けなければ、収まる前に死んでしまいかねません。

■ コロナウイルス=ひっつき虫?
 草むらに入ると被服にくっついてくる植物の種がありますね。ヌスビトハギなどの草の種(ひっつき虫)です。植物が自分の子孫を広い地域に広めようとする手段ですが、よく考えられてますね。動物にくっついて、種を運んでもらい、そこで繁殖しさらに勢力を広めようとするものです。ヌスビトハギやオナモミなどを虫眼鏡で見てみると、棘の先端がまがって、マジックテープと同じような形をしています。というか、この「くっつく」原理を人間が学んで開発したのがマジックテープなのです。このように動植物など自然界の不思議な構造を紐解き、ものづくりへ応用する学問分野を「バイオミメティクス」と呼びます。コロナウイルスの形はご存知でしょうが、まさにこれ「ひっつき虫」です。あの突起でくっつくわけで、ウイルスは細菌と違って細胞を持たないので、動物の体内にくっついて、その力を借りて増殖するのです。すると感染しないためには?・・・そう、ひっつき虫の付着を防ぐには草むらに行かないことが一番です。行かざるを得ないときは表面のツルツルした衣服を装着すれば良いのです。また花が咲く前に問答無用で抜いて駆除すればよいのです。コロナウイルス対策も同じことです。

■ センダングサ
 ひっつき虫のなかでも、近年特に厄介とされているのが「センダングサ」です。これについては329『年央』(2019年7月1日)で紹介しました。葉の形が落葉高木のセンダン(栴檀)の木と似ていることから名付けられたそうで、キク科の野草です。この植物は花が咲く前に駆除すべきです。
 
(左)センダングサの若葉・・・キク科の植物ということが分かります。センダン(栴檀)の若葉に似ています (右)センダングサの黄色い花
 
(左)センダングサの実、先端の突起に注目 (右)棘にさらに釣り針のような反しの棘がついているので取れにくく刺さると痛い

■ 大晦日の富士山
 お正月には東京から見る富士山がしばしばテレビ画面に映りますが、1,600m級の山々が連なる丹沢山地が邪魔して上の部分しか見えません。ふじみ野市から裾野まで見えるのは丹沢山地と秩父山地がちょうど切れた谷間、富士山の手前の相模湖の部分が低地になっているためです。八王子と上野原の間に富士山が見えるのです。ありがたや...
2020年12月31日AM9時 ふじみ野市から見た富士山とその南側の丹沢山塊 丹沢山1,567m、蛭ヶ岳(ひるがたけ)1,673m、檜洞丸(ひのきぼらまる)1,600m、ツインのリズムタワー(ふじみ野駅南)の間に見えるのが大室山(おおむろやま)1,587m、神奈川県と山梨県の境にあり、八王子では富士隠し山と呼ばれます。大室山の手前にうっすらと見える低い山が八王子の高尾山599mです。東京が誇る日本遺産の霊山ですね

■ 日本郵政からの年賀状
 1月1日午前中に年賀状が届きました。輪ゴムで止められた束の一番上に「今年もあなたに届いた一生もののつながりです」という紙が付いていて、「みなさんの想いのこもった年賀状を大切にお届けします JP 郵便局」というメッセージが添えられていました。裏返してみると、下記のような年賀の挨拶がありました。
 あ〜・・・我が連れ合いのハトコからのメッセージです。元岩手県知事、総務大臣ですね。日本郵政グループは正社員215,403名、非正規社員193,443名、合計408,846名(2020年3月31日現在)の従業員を擁する巨大組織です。以前は何度も会っていましたが、今や40万人のトップで、しかも不祥事を受けての就任ですから、おいそれと会えませんね。

■ 様々な年賀メッセージ
 2015年の年賀の画像を先頭に、これまでこのページで使ってきた各種画像を紹介します。















■ 年賀状じまい
 年賀状は年々取扱量が減っているそうです。中には「今年で年賀状じまいにします」というものもありました。近年、毎年こういうものが届きます。「年賀状じまい」とは年賀状のやり取りを辞退することを伝える最後の年賀状のことで、終活が流行してからは「終活年賀状」とも呼ばれるそうです。併せて固定電話をやめるとか、自宅を売却してマンションに移るとか、大きな家は不要なので小さな家に建て替えるとか、いろいろな挨拶が届きます。中にはそんな年賀状が届いた翌年に病没した人も居ました。家をリニューアルした直後のことで、残念でした。

■ 今年はメールやWeb年賀状がいくつか...
 またメールにPDFやJPEG画像を添付して届いた年賀挨拶も数件ありました。FacebookなどのSNSで年賀挨拶するのも当たり前になりました。しかし年賀状なら良いですが、さすがに公衆の面前に赤裸々にプライベートを晒すのは気が引けますね。中にはネットストリーミング用の動画ファイル形式.webmファイルを添付したものもありました。動画で年賀状というのも良いですね。

■ インクジェットプリンタ
 年賀状を印刷していて、通信面が終わり、さて宛名を印刷しようとしたら白紙のまま出てきます。筆者はキヤノンのインクジェットプリンタを使っています。以前はエプソンでした。ちなみにCANONのカタカナ表記はキヤノンが正しく、キャノンではありません。ノズルチェックパターン印刷したら顔料インクPGBKが真っ白です。黒には染料インクBKもあるのですが、文字印刷に適したPGBKがダメになったみたいです。ちなみに写真印刷には染料インク、文書印刷には顔料インクが適しています。顔料インクは耐光性や耐水性に優れており、文字の輪郭やコントラストがはっきり表現できるといった長所がありますが、プリントヘッドのノズルが目詰まりしやすいというデメリットがあるそうです。ネット検索したら、PGBKのプリントヘッドのノズルがダメになったら、洗浄してもダメみたいです。プリントヘッドだけアマゾンで売っていましたが、金額を見て「ダメダコリャ」と思いました。安いプリンタが買えます。そこで宛名面印刷するときに「写真印刷」モードに指定して「光沢紙」に印刷するように指定しました。これで文字も染料インクで印刷するわけです。元々文書印刷はレーザープリンタを使うのでこれで良いのです。

■ ニューイヤー駅伝で富士通優勝
 群馬県で元日に行われた「ニューイヤー駅伝inぐんま 第65回全日本実業団対抗駅伝競走大会」で、昨年予選落ちした富士通が12年ぶり3回目の優勝を果たしました。優勝候補の一角、トヨタ自動車は1分3秒差で2年連続の2位、連覇が4で止まった旭化成は1分40秒差の3位、過去の最高順位が9位だった日立物流が4位と躍進し、初入賞を果たしました。富士通は1区で松枝博輝(27、順大出)が残り200メートルで飛び出し、35分28秒で区間賞を獲得、4区は東京五輪マラソン代表・中村匠吾(28、駒大出)がトップに立ち、5区・塩尻和也(24、順大出)が後続との差を広げました。6区・鈴木健吾(25、神奈川大出)は区間賞の走りでリードを守り、最終7区・浦野雄平(23、国学院大出)が歓喜のゴールテープを切りました。創部4年目で初出場した埼玉医科大グループは、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、病院職員の選手たちが医師や看護師ほか病院を挙げての応援を受けて、目標の20位入りを果たしました。スゴイ!注目されたGMOインターネットグループは3区で渡辺利典(27、青学大出)がトップに立ちましたが、12月の福岡国際マラソンで優勝した吉田祐也(23、青学大出)がアンカー区間の7区で奮闘したものの、最後のスパート合戦で遅れを取って9位でフィニッシュ、悔しそうな表情を見せました。しかしマラソンの直後で仕方ないというのが解説者の話でした。吉田祐也は競技人生最後のレースとして臨んだ1年前の箱根で4区を走り、区間新の快走、昨年2月の別府大分マラソンでも日本人最高3位と好走したことで、一般就職が内定していたブルボンに断りを入れ、競技者として走り続けることを決断したものです。2024年パリ五輪を目指す期待の星ですね。

■ 箱根駅伝往路優勝はナント!創価大
 箱根駅伝は大番狂わせ、前回王者・青山学院大学がまさかの大失速の12位で原監督も茫然、目も虚ろに「ゲームオーバーだ、なんとかシード権を獲得したい」と語る有様でした。指揮官がゲームオーバーだなんて禁句ですね。1977年(昭和52年)の名作映画『八甲田山』で北大路欣也さんが演じた陸軍第八師団第四旅団青森歩兵第五連隊の八甲田山雪中行軍訓練司令官・神田大尉(実際は神成大尉)の「天は我々を見放した」というセリフが当時の流行語になり、「上に立つものはどんな時でも弱音を吐いてはいけない」という教訓として、企業研修などでもたびたび使われるようになりました。まだ後半があるのに、ゲームオーバーとはこれに類する言葉です。詳しくは「ななめのつぶやき」55『死の彷徨』(2004年1月25日)をご覧ください。2021箱根駅伝五強と目された中で、我が地元;東洋大学(練習場所が川越市で、以前住んでいたところのすぐ隣でした)は往路2位に入りましたが、東海大学・駒澤大学・明治大学は思うような走りができず、往路は4回目の出場だった創価大学が初優勝しました。大会を主催する関東学生陸上競技連盟は、スタート、ゴール、中継所、沿道などでの観戦を自粛するように要請、テレビでも繰り返し呼びかけました。スタートの大手町は人影まばら。沿道の人出は例年に比べて明らかに少なかったものの、手を振ったり、スマートホンを構えて写真を撮ったりする人の姿も散見されました。ゴールの芦ノ湖ではランナーの足音がハッキリ聞こえ、例年とは明らかに違いました。

■ ところがナント!最終10区で大逆転、駒澤大が優勝、復路優勝は青山学院大
 創価大学はスタートから首位を守り、9区の石津佳晃(4年)が区間賞に輝き、駒澤大学との差を3分19秒まで広げ、最終10区のアンカー小野寺勇樹(3年)につないだ時は初優勝間違いないと思いました。しかし大ブレーキで、残り2キロで駒澤大学のアンカー石川拓慎(3年)に抜かれ、首位から陥落しました。ドラマですね。それでも昨年初めてシード権を獲得した創価大学の総合2位はアッパレです。青山学院大学は意地を見せて、12位スタートから次第に順位を上げ、最終10区では一時3位の東洋大学を抜きましたが、東洋大学のアンカーが踏ん張って抜き返し3位、青山学院大学は4位でした。しかし復路優勝は来年につながるでしょう。それにしても優勝候補の明治大学が11位でシード権を獲得出来なかったのはどうしたんでしょう?

■ 訃報
 前回、「年末は寒くなって訃報も増えます、大晦日にかけてまだ増えるでしょう」と書いたら、12月27日に参議院議員の羽田雄一郎さん、12月29日に世界的ファッションデザイナーのピエールカルダンさん(フランス)、12月31日には熊本県天草市長の中村五木さんが亡くなられました。特に羽田雄一郎さんは新型コロナウイルスによるものと分かり、それも熱があるのでPCR検査を受けに車で移動中に突然亡くなったということで、その恐ろしさが改めて実感されました。
(2021年1月3日)


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