435  ドタバタ劇

 梅雨本番で、毎年のことですが、大雨で水害が報じられます。梅雨明けはいつごろでしょうか?関東甲信の平年は7月19日ごろで、昨年は8月1日とずいぶん遅く、2007年以来13年ぶりの8月になってからの遅い梅雨明けでした。観測史上でも4番目に遅く、しかもカーッと晴れた青空ではなく、西の空には雲がいっぱい溜まったままのスッキリしない梅雨明けでした。今年はどうでしょうか。今の時期は予報がコロコロ変わるので何とも言えませんが、天気図での前線の模様など見ると、平年並み、7月17、18日の土日ごろには明けるのではないでしょうか。

■ 落雷〜ドシャ降り
 本日は町会のジャガイモ掘りに参加した後西原小へ行き少年野球の練習でした。午後は16時ぐらいから雷雨の予報を把握していましたが、それより早く、グラウンドに隣接した避雷針に落雷して生涯経験したことのない爆音、地鳴り、雷鳴・・・皆急いで撤収しました。人生経験の少ない幼稚園生は泣き出して「パパ〜」と抱き着く始末。程無くバラバラと大粒の雨に雹が混じって降ってきて、急いで自転車で帰る途中、JAで雨宿りしました。スマホで雷雨の予報を見て、ちょうど小降りになったときに急いで帰りました。高校野球の埼玉大会も各地の球場で行われていましたが、第三試合はどこもノーゲームとなったみたいです。空がまだ黒くなっていない時の突然の落雷には驚きました。天空高い雷雲から見ると電気抵抗の少ない地点に落ちるので、かなり広範囲になるのでしょう。

■ 緊急安全確保
 7月3日の大雨で、神奈川県平塚市は、金目川やその支流で氾濫危険水位を超えるなどしたため、沿岸地域の住民を対象に、大雨警戒レベルで最も高いレベル5の情報「緊急安全確保」を全国で初めて出しました。その後、島根、鳥取では線状降水帯が発生して、こちらでも「緊急安全確保」が発令されました。続いて広島県三原市でも同様に発令されました。更に毎年のことですが鹿児島、熊本でも線状降水帯が発生、大変な雨量となりました。年々新しい言葉が出てきます。「緊急安全確保」は、5段階の大雨警戒レベルの中で最も高く、レベル4の「避難指示」より、さらに上の情報です。既に災害が発生しているか、発生している可能性が高く、「氾濫発生情報」などが発表されるような状況下、避難中の住民に対しては安全な施設への緊急的な避難を促したり、避難が困難な住民に対しては屋内のより安全な部屋などへ避難(上階への垂直避難や崖側から離れるなど)させることを目的としています。


■ 昨年の今頃は...
 ところで皆さん昨年の今頃のことを覚えていますか?383『開き直る』(2020年7月12日)を改めてご覧ください。気象庁は、2020年7月3日より続いた豪雨を「令和2年7月豪雨」と命名しましたね。今年以上の大災害が頻発して、新型コロナウイルス感染者も増えていて、東京オリンピックは延期されましたが、もしこの時予定通り開かれていたら、外国から来た選手たちは、ぐずついた天気と大雨災害を見て、「災害大国ニッポン」に驚いたはずです。今年は熱海がやられましたが、昨年は九州各地の温泉が甚大な豪雨災害を受けました。新型コロナウイルスの感染者が東京都で急激に増加していました。それでも2020年7月11日(土)206人、7月12日(日)も206人でしたから、今年に比べたら随分少なかったのに大騒ぎでしたね。小池百合子東京都知事と菅義偉官房長官(当時)の対立が鮮明となり、菅官房長官は「これは『東京問題』だ、緊急事態宣言を出した当時と比べ入院している人が大幅に減少しており、そんな事態とは考えていない」と言っていました。兵庫県の井戸敏三知事は「東京は諸悪の根源」と発言して、直後に取り消しました。小池百合子都知事が「Go To キャンペーン」を問題視したら、旗振り役である菅氏が、じゃあ「東京外し」ネ、ということで、東京都を目的とする旅行と東京都に在住する人の都外への旅行を対象から外すことを決めました。大人げないやりとりに唖然としたものです。


■ 熱海の土石流は人災
 静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区の土石流について、前回、「三つのパターンがある中で、ヘリコプターからの映像を見ますと、山腹崩壊が1次要因と思われます」と書きましたが、ナント!海抜400m地域の盛り土が原因だったことがほぼ判明、人災だったことで、被災した皆様は今大変な目にあっていますが、落ち着いたら改めて怒りがこみ上げるだろうと思われます。盛り土が雨を含んで崩れて山津波を起こした事例は、過去何度となく発生してきました。今回の盛り土は、申請に比べて実際の施工で盛り土の量が大幅に増えていたことや、排水管施工がされていなかった、産廃が混じっていたなど、悪質な業者だったようですが、これが既に清算されていて、別の所有者に移転されているそうです。この業者に注意や指導を行っていた静岡県や熱海市の行政の問題も出てくるでしょう。


ふじみ野市鶴ヶ岡三丁目町会の芋掘りで畑に集合、隣に「SEIMS」や「カメラのキタムラ」が見えます(2021年7月11日筆者撮影)


■ アンチ・メガソーラーの動き
 静岡県伊東市は2021年7月7日、八幡野地区の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設計画を巡り、改めて不許可にしたと発表しました。メガソーラーを建設するために、業者が河川占用許可を求めていました。工事用重機が通れる橋を架け、造成地からの排水管を設置するためです。伊東市が不許可にした事に対し、事業者側は「不許可処分は行政権の乱用だ」とする訴えを起こし、静岡地裁は伊東市の主張する設置規制条例の適用を認めず、事業者側の主張を全面的に認めました。これを不服として伊東市が控訴し、東京高裁は4月に市の控訴を棄却して、事業者への河川占用不許可処分は取り消されていました。ただ、東京高裁判決は設置規制条例が適用されるとして、市長に裁量権の乱用はないとしたものの、不許可処分の通知が市行政手続条例の規定通りでなく、理由の提示が不十分だったとして控訴を棄却したものです。伊東市は、改めて不許可とした理由について、建設事業に対し市民から反対多数の署名が出されたうえ、市議会も反対決議を採択、設置規制条例に従わなかったため事業者名の公表にも踏み切った経緯から、「河川占用を認めるほど公共性・公益性のある事業ではないため」としました。

 全国で中山間地にメガソーラーを建設することへの反対運動が起きていることは以前にも紹介しました。景観問題よりも、災害につながるのでは?という懸念から、自治体が難色を示すケースが多いようですが、届け出だけで済むなら防ぐのは困難です。やっと環境省も対策に乗り出す構えです。

■ 都議選の結果
 前回書いたこと・・・225『都議選』(2017年7月3日)からちょうど4年経ち、今回の都議選は公明党が国政同様再び自民党と組んだので、前回と様相が違い、さらに小池百合子都知事が過労で入院して、今度は都民ファーストが惨敗するのでは?と言われています。ただ、国政は前回モリカケ問題で大騒ぎでしたが今も相変わらずの乱れ様ですから、果たして都民の審判はどうなるのでしょうか・・・結果は確かに都民ファーストが議席を減らしましたが、自公併せて過半数にはならず、勝者のいない選挙という結果でした。投票率が低かったので、公明党と共産党は組織票で相変わらず強かったのですが、小池百合子都知事にとっては自公も都民ファーストも操れますから、してやったりの結果だったと思われます。


ふじみ野市鶴ヶ岡三丁目町会の芋掘り、さあ始めるか、子連れの若い人が多いですね(2021年7月11日筆者撮影)


■ またもや緊急事態宣言
 新型コロナウイルスの感染の再拡大が続く東京都に対し、政府は7月8日、4回目の「緊急事態宣言」を出すことを決定しました。また、沖縄県に出されている「緊急事態宣言」も同じく8月22日まで延長することになりました。今年に入り東京都で、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用対象期間とならなかった日は、わずか28日間です。都内の観光地や繁華街では、終わりの見えない自粛生活に「ストレスがたまる」と嘆く声や、宣言の効果に懐疑的な声が聞かれます。宣言下で開かれる東京五輪にも複雑な反応が出ています。沖縄はこのところやっと感染者数が減ってきただけに「なぜ?どうして?」とガッカリしていますが、それは観光で食っている地域ですから、1年で最も観光客需要が見込めたからです。医療資源が脆弱ですからね。

 上図はYAHOO!!ニュース出典、これまでの4波にわたる国内の新規感染者数です。1年前とは大違いですから、昨年は「緊急事態宣言」を出し渋った菅首相も今回は迷わなかったみたいです。ただ夜の繁華街を視察した小池百合子都知事は、あまりの人出に呆然としたそうです。どうやったら「緊急事態宣言」の効果が出るのでしょうか。緊急事態慣れして行政の言うことを聞かなくなっている都民をどうすれば従わせられるのでしょうか。

■ 後手後手?先手先手?
 菅義偉首相の7月8日の記者会見、「東京の感染拡大は全国に広がり得るもの。夏休みやお盆の中で、多くの人が地方へ移動することが予想される。ワクチン接種が大きく進み、新型コロナとの闘いにも区切りが見えてきた中で、ここで再度東京を起点とする感染拡大を起こすことは絶対に避けなければならない。そうした想いで、先手先手で予防的措置を講ずることとし、東京都に緊急事態宣言を今ひとたび発出する判断をした」と説明しました。ただ、この先手先手は???ですね。後手後手とさんざん批判されてきたから出た言葉でしょう。上のグラフを見たら分かりますが、3回目の緊急事態宣言は4月25日から6月20日まで、解除してまん延防止等重点措置を7月11日まで続けたわけですが、6月20日を境に新規感染者が反転増加しています。3回目の緊急事態宣言を出すのは手遅れ、すなわち後手後手でした。解除するのはもう少し辛抱したほうが良かったわけです。すなわち、解除が早過ぎた、先手先手で解除したことになります。解除こそ後手後手で良かったわけですね。

ふじみ野市鶴ヶ岡三丁目町会の芋掘り遠景…遠くに見える高いビルは東武東上線上福岡駅前の「ココネ」(2021年7月11日筆者撮影)

■ 埼玉県はまん防継続
 大野元裕埼玉県知事は新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」がさいたま市と川口市で8月22日まで延長されたことに対し、会見しました。新規感染者数やPCR陽性率など多くの項目でステージ2にとどまった一方、感染経路不明割合は7月5日までの1週間で50.1%、病床使用率は6日時点で20.3%で、ステージ3(感染急増段階)の状況です。「極めて残念だが、感染拡大を抑えられていない」と理由を挙げ、和光、ふじみ野、朝霞の3市について「感染者数が増加傾向で、東京で感染した可能性が高い人が多い」と指摘し、「増加が続けば措置を拡大する」としました。確かにふじみ野市はついに1千人の大台を突破しました。

富士見市の「難波田城公園」の古代蓮(2021年7月7日筆者撮影)

■ 西村大臣に批判殺到
 今回の「緊急事態宣言」は百貨店への休業要請もせず、ただ酒の提供をやめてくれということのようです。西村康稔経済再生担当相(58)は、休業要請などに応じない飲食店に「こうした情報を金融機関としっかり共有しながら、順守を働きかけていく」などと発言しました。これに対しネット上では「経済破壊担当大臣」のニックネームがトレンド入りするなど大炎上、西村大臣はあわてて発言を取り消しましたが、これまでも口が滑って同様なことが起きており、まあ困ったものですね。酒を売るなと言われても業者は困るでしょうし、営業の自由を規制できる権限は特措法でも与えられていません。飲食店に酒を出すなとは言えても、酒販売業者に酒売るなとか、取引金融機関に協力を求めても業者も金融機関も「分かりました」とは言えないでしょう。戦後統制下の配給の時代ならともかく...そもそも酒はそんなに悪いものですか?

富士見市の「難波田城公園」の水蓮(2021年7月7日筆者撮影)

■ 河野大臣…モデルナのワクチン供給先細りを隠していた?
 菅首相が「ワクチン1本で行く」と語る中、そのワクチンが足りなくて接種を中断する自治体や企業が出て来ています。この前までイケイケドンドンだったのにどうして?と、梯子を外された自治体や企業には戸惑いの声が聞かれます。しかしどうやらワクチン接種担当の河野大臣が会見で明らかにしたところでは、5月ゴールデンウィーク前にワクチン供給量の先細りは把握していたそうですが、「ワクチンメーカーとの合意がないと話せなかったから言えなかった」と弁解しています。7月6日の会見では「モデルナのワクチンの量は、当初の契約は4〜6月に4000万回分ということになっていたが、実際に供給を受けたのは1370万回分」と説明、大規模接種や職域接種で使われているモデルナ製ワクチンの供給量が当初の予定の3分の1程度だったことを明らかにしました。日本には1億人以上の国民がいて、うち3500万人以上が高齢者だという中、欧米諸国に比べれば感染者数も死者数も少ないので、他国との奪い合いに敗れたということですね。

富士見市の「難波田城公園」の古代蓮(2021年7月7日筆者撮影)

■ 迷走するワクチン供給
 菅首相が5月9日に“1日100万回を目標にする”と言った時、多くのメディアや自治体の担当者が、“そんなことはできない”と声を上げました。しかし医師会や看護師会のほうは”できる”と力強い発言をされて心強く思ったものです。現実には医療従事者や高齢者に加え、大規模接種会場や職域接種などで64歳以下を対象にした接種も広がって、1日120万回接種できるようになったのです。そしたら今度はワクチンが足りなくなってしまい、河野大臣は「成功しているが故に起きてしまっている事態だとも言える。政府がモデルナのワクチンを職域接種に回すという判断をしたのも、今から振り返ればやりすぎだったんじゃないかと言われるかもしれないが、あの時点で今の接種スピードを見込めというのは、ちょっと酷だ」と言い訳しました。しかし都議選や東京五輪を前に、指揮官が「行け〜〜、ドンドンうて!」と言ってるのに、実はタマ不足と言うのでは戦いになりません。「コロナを克服した証としての五輪」なんて幻想になってしまいます。田村厚生労働大臣はファイザーのワクチンも足りなくなっていることに対し、「政府の目標よりも早く接種が進んだから結果的に足りなくなったように見えますが、供給したワクチンに対し4千万回分が在庫になっている」として、進んでいる自治体とそうでないところのアンバランスを指摘しました。しかし自治体からは、在庫してるのは2回目の接種に備えているからで、新たなワクチンの供給見通しをはっきりしてくれないと新規予約受付ができないと反発の声が上がっています。ファイザー製のワクチンは4〜6月に1億回分が供給されたのに対し、7〜9月は3千万回少ない7千万回分の予定なので、予約受け付けを停止したり、集団接種の会場を減らしたりする自治体が続出しているわけです。個別接種している医院の中には2回目接種をキャンセルするところも現れています。責任あるやり方としては2回目ワクチンを確保したうえで予約を受け付けるべきでしたが、政府の言うことを信じて予約を取ったが故の悲劇です。

富士見市の「難波田城公園」の白い水蓮(2021年7月7日筆者撮影)

■ 東京五輪無観客
 東京五輪の観客上限を巡る政府や国際オリンピック委員会(IOC)らの7月8日の5者協議で、首都圏1都3県の34競技会場で一律無観客開催を決定していましたが、福島県・北海道の両知事も一転、無観客で開催することを発表し、東日本大震災からの「復興五輪」の象徴という大義名分は概ね失われることとなりました。開幕直前の決定により、運営の混乱や無駄になった支出も多く、「コロナに打ち勝った証し」として観客が入った開催にこだわったツケは国民に降り掛かることになります。菅義偉首相は、国会や記者会見で「素晴らしい大会を子どもや若者に見てもらい、希望や勇気を伝えたい」などと情に訴える発言を連発していただけにさぞや無念でしょう。観客入りを想定して造られた仮設スタンド、荷物検査の機器、熱中症対策などのテントなどの多くは設置済みで、無駄になります。委託業者を通じて確保した運営スタッフや警備スタッフも相当数が必要なくなるでしょう。チケット収入で計上していた900億円の大半が消滅、現在の1兆6440億円の大会予算で赤字が生まれれば、都や国が税金から補てんすることになります。観客がいなくなれば、ホテル、飲食店への影響は甚大ですが、輸送・交通含め失われるものの大きさは予想がつきません。いろいろなところでキャンセル料が問題になるはずです。組織委と東京都と合わせて10万人に依頼しているボランティアも一部は必要なくなるでしょう。無観客になれば競技の上で地元日本の有利性が失われるとの海外予測もあり、いったい無観客での五輪とはどういうものになるのか、想像がつきません。

富士見市の「難波田城公園」の古代蓮(2021年7月7日筆者撮影)
(2021年7月11日)


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