409  居酒屋崩壊

 余熱利用施設エコパのプールから以前は日の入りが見えましたが、今やプールから上がるときにはまだ真っ赤な太陽が大きくこうこうと照り、まぶしくて目を逸らします。昨年12月21日の冬至の日の入りは16時32分でしたが、本日は16時46分でした。ちなみに冬至の日の出は6時47分、本日は6時51分だったので、昼間時間は10分長くなったということです。そしてエコパから帰るときに見える富士山の美しいこと、上空が灰色、地平線に朱色、その間が黄色〜オレンジ色の空を背景にくっきりと薄黒いシルエットが際立つ...実に美しい!ちなみに下写真は2018年元日です。


富士山の左側にややフラットに見えるのが標高2,693mの宝永山(静岡県・御殿場市)で
宝永4年(1707年)の宝永大噴火によって生まれた富士山最大の側火山です

■ 大雪
 1月7日(木)頃から日本列島を襲う寒波による大雪について気象庁はしつこいまでに警告を出していましたが、実際に映像を見ると尋常ではありません。北海道から九州まで日本海側であまねく大雪となっています。北陸地方ではまたもや車が動けない状態になっていて自衛隊が出動しています。新潟県上越市・高田では1月10日14時までの72時間(3日間)降雪量が1メートル87センチに上り、観測史上最多記録を更新しました。18時の積雪は平年の6倍近い2メートル33センチとなっています。11日もなお降り続く予報であり、新潟県は上越市への自衛隊の災害派遣を要請しました。倒壊の恐れのある障害者施設や高齢者世帯の除雪作業のためです。富山市の10日18時の積雪は、平年の6倍超の1メートル15センチ、金沢市と福井市はいずれも5倍超で、59センチと1メートル3センチとなっています。これまで秋田県の横手市や湯沢市の大雪のニュースを見て大変だなぁと思っていましたが、広範囲に大雪の範囲が広がっているようです。

■ マイナスを付けない世界
 南関東とのあまりの違いに驚きますが、実はこうした雪国の光景には覚えがあります。筆者が子供の頃は岩手県雫石町だったので、自分の背丈より高い雪の壁は当たり前でした。奥羽山脈を隔てた隣は秋田県田沢湖で、有名な乳頭温泉郷があって、ここほどすごくはないのですが、それでも冬は雪で1階のドアが開かないので、2階へ行く階段の途中の踊り場に冬用ドアがありました。冬以外の季節に見ると、壁の途中にドアがあって異様な光景でしたね。ホワイトアウトなんてよくありました。この時期に「今日は13℃だ」と言えば、-13℃のことなのです。最高気温がいつも零下なので、マイナスを付けないのです。

■ 昔の北陸農試の温室
 上越市・高田には従兄が住んでいます。大変だろうと心配です。この人は農林技官で、全国の農業試験場を転々とし、時には海外赴任もしていましたが、最終赴任地が高田でした。農業試験場(現在の農研機構・中央農業研究センター北陸研究拠点)に訪ねた時、園芸ハウス(温室)がブロック塀の上に建てられていて、「どうしてこんな構造なんですか?」と聞いたら、「冬場は2m越えの積雪があるので、このブロック部分は冬には見えなくなるんだよ」との答えで、「え〜〜〜っ」とビックリしたものです。

■ 緊急事態宣言発出
 東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県に新型コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した7日の菅義偉首相の記者会見を見ました。「1ヶ月後には必ず事態を改善させる」と決意を示し、飲食店の時短、テレワーク推進による出勤者数の7割削減、午後8時以降の外出自粛、イベント人数制限の4点をパッケージとして、対策を行うと言明しました。「何としても感染拡大を食い止め減少傾向に転じさせる。私自身も全力を尽くす」と述べました。メッセージの最後に「これで私からの『あいさつ』を終わります」と締めたのですが、「あいさつなの...」と思いましたね。菅首相の隣にいたコロナ対策分科会の尾身会長は険しい表情で感染抑制への4条件を提示し、「国と自治体が一体感を持って明確なメッセージを国民に伝えることが大事」と強調しました。「小池都知事といがみ合っている場合ですか」と言いたかったのかもしれないし、「メッセージが弱い」と言いたかったのかもしれません。菅首相の言葉が心に響いてこなかったのは、この緊急事態宣言の対策で、どうして1ヶ月で改善できるのか?アリエナイでしょうと皆さん思ったからではないでしょうか。

■ 遅きに失する菅首相
 菅首相は8日にはテレビ朝日「報道ステーション」にも出演し、富川悠太アナウンサーが珍しく和やかなインタビュー姿勢で、首相の発言をフォローする気配りも見せました。富川悠太アナ自身がコロナ感染した負い目があるからかもしれませんね。菅首相は記者会見でもインタビューでも、終わった後の結果は総じて不評です。「ずっと下目がちでしゃべる」とか、「目が怖い」とか、「不必要にニタニタする」などと言われています。弁護しますと、本人は精いっぱい真面目に話しているつもりでしょうが、国民に対して訴えかける言葉の強さ、カメラ目線とか、抑揚とか、そういうものが足りないのです。ただ、歴代首相の中で、聴衆を引き込む弁舌ができたのは田中角栄と小泉純一郎だけでした。現役政治家では石破茂だけです。菅首相の問題点と言えば「後手後手」に尽きますね。後になって「あの時やっていれば...」と必ず言われる、やっていることは正しくても遅きに失する、先見の明が無い、やはり周りにフォローする優秀な人が欲しいですね。

■ 小池都知事の失態
 ただ菅首相を悪く言うだけではいけません。東京都はこれまでも飲食店の営業時間を22時前倒し要請していました。しかし、もっと厳しくとの世論を受けても小池百合子都知事は首を縦に振らず、「GoTo」を止めろとの声にも「それは国の決めること」と冷たい素振り、国に緊急事態宣言を要請するまで手を打たなかったことが東京都ひいては隣接3県の感染爆発を招きました。ドヤ顔でフリップはもはや通用しません。菅首相以上の戦犯とさえ言えるでしょう。実は8日の「報道ステーション」の中で菅首相は、小池都知事に飲食店の営業時間を20時に前倒しするよう要請して蹴られたことを明かしました。国と都の対立、政治的思惑、いい加減にしてもらいたいものです。

■ 居酒屋崩壊
 政府が言う「先手、先手」とは逆に多くの国民は「後手、後手」の印象を持っているのではないでしょうか・・・と前回書きました。今回の緊急事態宣言では飲食店がやり玉に上がっています。この前まで「GoToイート」をやっていたのに、一転今度は20時に店閉めろ、19時で酒は終わり・・・これは実質的に夜の店はやめなさいということです。天国から地獄です。特に居酒屋やスナックなどに至っては実質閉店しろと言っているようなものです。「居酒屋崩壊」はいよいよ現実になるかもしれません。とりあえずどうやってしのぐかが問題ですね。

■ また後手後手の繰り返しか?
 1月9日大阪、京都、兵庫の3府県知事は西村経済再生相とオンラインで会談し、緊急事態宣言の発令を要請しましたが、西村大臣は「専門家の意見を聞いて検討する」として、今後1週間程度の状況を見極めたうえで慎重に判断する考えを示しました。大阪、兵庫の両知事は発令を待たず新たな対策を打ち出さなければ手遅れになるとして、独自に対策するようです。
 ただ1都3県だって今の緊急事態宣言の実施内容では感染者数は減らないと専門家が口々に言っています。現実に都内の人出を見れば、都民が本気で自粛しそうにないことは明らかです。小池百合子都知事のお願いは空虚に響いている感じです。遠からずもっと過激な対策が出て、大変な事態が発生しそうです。参ったナ〜
(2021年1月10日)


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