329  年央
 今年の南関東は、いかにも梅雨らしい天候が続いています。少年野球にも影響が出ています。庭の野菜たちは、眼が覚めたかのように凄まじい勢いで成長し出しました。2019年の梅雨は、太平洋高気圧の勢力が弱いために、梅雨前線が沖縄付近から南に下がることが多く、関東甲信から東北南部は6月7日、東北地方北部も6月15日には梅雨入りしたのに、西日本(九州北部・四国・中国・近畿)の梅雨入りが記録的に遅れ、6月25日となりました。九州北部は平年で6月5日頃が梅雨入りで、昨年はその通りでしたが、今年の6月25日は、52年前の昭和42年(1967年)が6月22日で、それ以来の遅い記録を更新したのです。このときは西日本各地に大きな豪雨被害が発生し、「昭和42年(1967年)7月豪雨」と命名されました。全国の死者・行方不明者369名、住家全・半壊約2300棟、浸水家屋約30万1400棟という甚大なものでした。今年も6月29日(土)から7月1日(月)にかけて九州では記録的な大雨が続き、避難指示の対象者は膨大な人数となっています。心配です。

■ トランプの動きでG20霞む
 先週末で1年の半分が終わりましたが、象徴的な出来事がありました。G20に米中首脳会談、さらには「電撃的」とも言える米朝首脳会談があり、トランプ米大統領は、米国大統領として初めて北朝鮮の地に足を踏み入れました。米中首脳会談では、予想通り、制裁関税第4弾(3000億ドル(約32兆3600億円)相当の中国製品に対する追加関税)の発動は見送られ、貿易協議を再開することで合意しました。さらにトランプ氏はファーウェイに対する禁輸措置を緩和し、米企業に同社への部品売却を条件付きながらも認めるとツイートしています。ひとまず貿易戦争の激化は回避された形になり、さすがに安心感からややドル高円安に戻り、日本株も大幅な上昇となりました。このトランプ米大統領の動きに、G20は何だったの?とすっかり霞んでしまいました。

■ 「ディール」と「ツイート」
 そもそもトランプ氏の動きは、「ディール」そのものであり、相手を脅しては引っ込めて収束に向かわせるというもので、収まりがつけば良いのですが、もし相手が怒って過激な行動・・・例えば戦争にでも繋がったらとんでもないことになります。イランに対するものが典型で、一時は一触即発の危機に陥りました。いったいイランに対してどう収まりをつけるつもりなのか?もしかして展望が無いままに「ディール」を始めたのではないでしょうか。イスラエルに対する庇護も国際的な反発を食らっています。武力でシリアから奪ったゴラン高原を我が物とするのが許されるのなら、丸山穂高衆院議員のおっしゃるとおりだということになってしまいます。中国との貿易戦争のみならず、メキシコとの問題、ECBのドラギ総裁への批判、自国の金融当局への批判・・・為替への国家介入を批判しながら、自らのツイートで世界中の為替を揺らし続けています。米朝首脳会談もツイートで呼び掛けて実現したという前代未聞のもので、わかりやすいと言えばそれまでですが、「水面下の交渉」なんて死語になるのではないでしょうか。

■ 円高をどうしのぐか
 今日本がなぜ円高傾向になっているかと言いますと、パウエルFRB議長がFOMCで利上げによる金融引き締め政策転換を示唆したことによります。これはトランプ政権が通商問題をばねに米国第一主義を主張し、さらに、来年の大統領選を前に、好況を維持したいと考え、金融当局に圧力をかけた結果です。2019年は日米2国間のTAG(物品貿易協定)交渉で、米国側が「為替条項」を盛り込むことを求めてくるという観測も含め、通商問題は引き続き、ドル安圧力が強くなると考えられます。1970年代以降の円ドル為替は、通商問題に焦点が当たるたび、何度となくドル安に振れた歴史が繰り返されてきました。1970年代の繊維交渉、80年代の電気製品や自動車、その後は、半導体などのハイテク分野へと、摩擦が激しくなるたびに、ドル安円高となったのです。米国長期金利が低下し、日米の金利差縮小から円高リスクが高まることが日本経済のリスクとされてきましたが、FRBの方針転換によってそれがいよいよ現実のものとなってきました。米国は景気減速になればいくらでも利下げのカードを切れますが、日本は金利下げ余地がありません。日銀の異次元金融緩和によって円の価値を下げて円安として、輸出企業に一息付けさせたのがアベノミクスですが、結果的に銀行が被った痛手は大変です。日銀当局そのものが、地方銀行がやがて概ね赤字に陥るだろうと言っています。過去の銀行や証券が味わった悲哀が再び繰り返されるのではと懸念します。日本は円高に追い込まれてどうしのぐのか???

■ 心配なのは・・・
 心配なのは中国景気と日韓の摩擦です。中国景気は3月頃、一旦は底入れしたとの観測もありましたが、再び下落基調に転じ、2番底を探る展開になっている可能性もあります。したがって、米国との貿易問題をこれ以上こじらせるわけにはいかないというのが中国当局の本音と思われます。今や日本と中国は経済的に密接であり、中国経済が減速して困るのは日本です。日本は人口減少によって国内消費は細る一方で、ますます外国に活路を見出すしかありません。したがって世界経済の後退と円高は困るのです。徴用工問題に端を発した日韓摩擦も困ったもの、お互いの政府が大人気無さ過ぎです。民間レベルでは交流が拡大しているのに、政府間がギクシャクしている印象で、安倍総理が一旦落ち着いた慰安婦問題を持ち出したところからまた火が着いた感じです。
 北方領土問題はロシアのプーチン大統領の言動から、一時の期待はしぼみました。北朝鮮拉致問題は安倍政権である限り進展は難しそうです。いろいろな意味で、行き詰まり状態ですね。息詰まりにならないようにしなければ...

■ センダングサ
 庭にいっぱい芽生えてきたのはなんだろう?明らかにキク科の植物です。マリーゴールドか、野草か、何だろうと思っていました。するとふじみ野エコクラブのおばさんがあるとき、「このセンダングサは駆除しなければいけません」とおっしゃいます。大きくなると衣服にくっつくやっかいなものだそうです。センダングサの名前は、葉の形が落葉高木のセンダン(栴檀)の葉と似ていることからつけられたそうです。1年草で、花は黄色い管状花です。草丈は、50cm〜150cmにもなり、果実は痩果で、熟すと放射状に広がります。痩果の先端には2〜4本の刺状突起(のぎ)があり、のぎには逆さに小さなトゲがついています。 これにより、いわゆる「ひっつき虫」となって広範囲に播種されるのだそうです。

センダングサ

センダンの芽生え

センダンはこんな大木になります

■ せんだんは双葉より芳し
 センダンは世界の温帯に広く分布する落葉高木で、家具材として有名なマホガニーの仲間だそうです。農研機構のホームページをご覧下さい。日本では伊豆半島以西の本州、四国、九州、沖縄に分布するそうです。建築材、器具材などに使用される他、その葉は肥料、殺虫剤または虫下しに用いられてきました。「せんだんは双葉より芳し」という有名な言葉がありますが、これは白檀(ビャクダン)の中国名「栴檀」を「せんだん」と読んだもので、ここでいうセンダンとは異なります。実には毒があるので要注意です。
 ちなみに「せんだんは双葉より芳し」とは、白檀(びゃくだん)は発芽のころから香気を放つことを言うものです。 「大成する人は幼少のときからすぐれている」というたとえです。「せんだん」が「びゃくだん」だというのはややこしいですが、白檀(びゃくだん)は材の色が白いことからこの名前になり、線香の原料ともなります。栴檀(せんだん)と白檀(びゃくだん)は、全く違う木なのです。
(2019年7月1日)


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