400  箱根V

 二回お待たせの「箱根V」ですが、13日の金曜日に記念すべき400回になってしまいました。前身の「つぶやき」が2003年1月13日の1「一富士、二鷹、三なすび」以降、2012年12月31日の520「つぶやき終了」までの520回、後継の「ESSAY」が2013年2月10日の1「再開」以降、今回で400回です。合計920回、良く続いたものです。1000回はいつかと言えば、2022年5月末ぐらいでしょうか。

■ 13日の金曜日
 「13日の金曜日」と言えば、キリスト教では忌むべき日のようです。第1日が日曜日である月に現れるわけですが、13日の金曜日を不吉とするのは、英語圏とドイツ、フランスなどに限られるのだそうで、そういう意味ではキリスト教全般ではないということになります。これといった根拠の無い迷信という結論になりそうですが、キリストの最後の晩餐に13人の人がいたことから、13が不吉な数とされた、とか、イエス・キリストが金曜日に磔刑に処せられたとされていることが合体して、誰かが言い出したのでは?というのが正しいようです。

■ 秋葉原の様変わり
 前回秋葉原の様変わりについて書きましたが、アキバオタクとは昔は電気街で電気電子パーツを買い求める人のことで、それがオーディオマニアの街になり、やがてパソコンの街になり、今やコスプレギャルの街になっていますが、相変わらず電気電子パーツの店は細々と続いています。驚くのは高層ビルが続々建ったこと、APAホテルまで出来ました。ということはつまりガイジンが来る街ということです。実際お店の店員を見るとガイジンがいっぱい。ただしコロナ禍で昨年までとは様変わり、ガイジン客が激減しました。パソコンの店などではインド人店員を見かけます。流ちょうな日本語で、こちらの質問にも的確に答えます。インド人は頭が良いのでこういう仕事に適しているのでしょう。またノートPCリサイクルショップはアジア人で溢れています。パーツ取りしたり、リニューアルして販売するのでしょうか?こういう光景を見ていると、オタクのガイジン化、すなわち電気の分野でも日本人の凋落、ガイジンの台頭・・・世界の潮流を思い知らされます。


伊豆稲取温泉収穫体験農園「ふたつぼり」のみかん
お隣さんから頂きました 甘くて美味しい!

福島飯坂温泉の「ラジウム玉子」ラジウム温泉は飲用可
ガンの進行抑止の効能があり、痛風などにも良いとのこと


■ 独身の日;光棍節
 11月11日は中国の「独身の日」でした。『1』が並ぶ、つまり、『1人』が並んでいる日だからです。もともと、中国語では『光棍節(こうこんせつ)』と言っていました。『棍』とは、つるつるに光る棒を意味しますが、『光』には『何もない』という意味もあります。枝葉(えだは)がない、つまり、『独身、独り身』という意味につながるのだそうです。この日は『独り身の者のお祭り』だったのです。
 『独身者の悲哀』に目を付けたのが中国のネット大手アリババでした。アリババは2009年11月11日に大規模なネットセールを実施して、『独身諸君、自分のために何かを買おうじゃないか!』と呼び掛けました。その2009年の売り上げが5000万元、1元=16円で計算すると日本円で8億円ほどでした。その後、年々すさまじい勢いで売り上げを伸ばし、2018年は2135億元(約3兆5000億円)、2019年には2680億元(約4兆1000億円)、2020年には4982億元(約7兆9000億円)にまで拡大しました。日本の通販市場と比較すると、いかに巨額かが分かります。例えば、アマゾンの日本における2019年の売上高は約1兆7425億円ですので、それを1日で上回るわけです。
 アリババの創業者はマーさん、いま経営からは引退しましたが、アリババの創業期に出資したのがソフトバンクの孫さんです。もともと教師だったマーさんの経営プランを一目見て当時20億円だったか、ポンと出資したそうです。いかに見る目が有ったかということですね。ソフトバンクグループが苦境に陥っても、絶大な人気のあるアリババの株が救う、情けは人の為ならずと言いますが、投資が身を救うの好例です。

■ バブル崩壊以降最高値の日経平均株価
 株価が急騰しています。米国の大統領選挙を受けて、という説もありますがそうではありません。筆者が米国の大統領選挙や日本の新しい政治体制についてどうして採り上げないのだろうといぶかる向きもあるかもしれませんが、それはつまりばかばかしいからです。株価というのは不安がある間は足踏みしますが、見通しがつくと上下いずれに動くかはっきりします。本来は企業の将来を見て買うか売るかというものでしたが、今は違います。世界各国金融当局がおカネを市場にバラまいていますから、金融ユルユル、おカネが溢れています。投資家はもちろん危ない企業の株は買いませんが、堅実ならば多少業績が停滞していても買う、そうして利ざやを見て売る、その繰り返しです。先行き不透明でリスクがあれば株式から手を引いて堅実に債券を買うのです。バイデンでもトランプでも構わない、ハッキリすれば良いのです。

■ 箱根の旅
 箱根の旅は、まず仙石原「蔵一」で喜多方ラーメンの昼食後、「ガラスの森美術館」に行き、それから強羅温泉宿泊、翌日は大涌谷を観光して、小田原市風祭の鈴廣蒲鉾本店に立ち寄って買い物して帰って来ました。

 箱根地区では、2019年10月の令和元年東日本台風(台風19号)によって甚大な被害が生じました。箱根湯本駅〜強羅駅間を走る箱根登山電車は、駅や信号場などの3ヶ所でスイッチバックをしながら、急勾配を走る山岳鉄道です。箱根湯本駅〜強羅駅間で長期間運転を見合わせておりましたが、復旧作業が進捗し、2020年7月23日(木・祝)の始発より営業運転を再開しました。ただコロナ禍で、箱根地区全体の観光としては、まだ昔のような営業には戻っていません。

■ 箱根強羅温泉
 箱根強羅温泉は明治27年早雲地獄からの引き湯で開発が始まり、明治45年以降温泉付別荘分譲が開始され、大正8年箱根湯本〜強羅間の鉄道開通(箱根登山電車)から本格的に栄えました。強羅駅から早雲山に向けて「箱根登山ケーブルカー」が走っています。途中、箱根強羅公園があり、終点;早雲山駅からは箱根ロープウェーに乗り換えれば、大涌谷〜姥子〜桃源台で芦ノ湖畔に着きます。強羅温泉は大涌谷から引き湯した乳白色の温泉(酸性硫酸塩泉)と早雲山から引き湯した温泉(単純硫黄泉)が中心ですが、引き湯だけでなく、強羅でも温泉掘削しようと試み、昭和24年に初めて温泉採取に成功し、現在の源泉数は46ヶ所、泉質は3種類で、最高温度は95℃の高温泉、温度が高いほど食塩成分を多く含んでいます。多種多様の温泉を同一地域内で堪能することの出来る箱根でも有数の温泉場です。周辺には美術館や自然景勝地などが点在している他、大涌谷へも近いので、「ひとつ食べると7年寿命が延びる」と言われる名物の黒たまごを頬張りながら、周辺散策するのが定番なのだそうです。

■ 5色のパステルカラー温泉
 箱根強羅観光協会のホームページによれば、強羅温泉は5つのタイプの違う泉質を味わうことができるそうです。その色合いは5色のパステルカラー温泉と呼ばれ、効能もさまざまとのこと。
 @透明な単純温泉・・・肌に優しいやわらかい湯、病後回復期の静養、療養などに効く
 A淡い黄色のナトリウムー塩化物泉・・・お肌すべすべになる湯、筋・関節痛、打撲、ねんざ、冷え性、慢性婦人疾患、慢性消化器疾患などに効く
 B淡い緑色のナトリウムー硫酸塩泉・・・胃腸にやさしい湯、高血圧症、動脈硬化症、外傷、糖尿病、痛風などに効く
 C淡い茶褐色のカルシウムー硫酸塩泉・・・ストレス解消の湯、高血圧症、動脈硬化症、糖尿病、慢性皮膚疾患、打撲、ねんざ、筋・関節などに効く
 D乳白色の酸性硫酸塩泉・・・冷え性や生活習慣病の方向けの湯、高血圧症、動脈硬化症、慢性皮膚疾患、慢性婦人疾患、筋・関節痛、慢性消化器疾患

■ 乳白色のにごり湯の宿に泊り...
 強羅温泉では、にごり湯の宿・桐谷箱根荘に宿泊しました。数寄屋造りの洒落た宿です。フランスのミシュランガイドにも載っているそうです。箱根観光の拠点でもある強羅駅から箱根登山ケーブルカーで2駅、「公園上(こうえんかみ)」駅が最寄り駅です。箱根の最高峰・神山(1437.8m)の北東の斜面に位置する強羅温泉は、よくぞこんな急斜面にあるなぁとビックリするような土地柄ですが、ここに碁盤の目に道路を作ってあります。そして大手企業や健保組合の保養所と温泉旅館がいっぱいあります。桐谷箱根荘の従業員は外国人が多いのですが、よく教育されていて日本のおもてなし風です。「風」というのは、本当の意味での高級和風旅館での日本女性の接客とはチョット違うという意味です。インバウンド対応のためなのか、人件費のためなのか、多分後者でしょう。高級和風旅館で和服の日本女性が接客してくれたら、そのムードだけで外国人は感動してしまいます。本館のお風呂は24時間入浴可能でした。貸切風呂は利用しません。別館さくら亭のお風呂「初音」は気に入りました。内湯も露天風呂もにごり湯です。温泉に含まれる硫黄などの成分が酸化して出来た「湯の花」により、乳白色ににごった温泉です。この温泉は、大涌谷源泉からの引き湯です。入浴後に、肌がつるつるになることからも、「美人の湯」として古くから文人・歌人に愛されたとのキャッチですが、しかし一般的な美人の湯は弱アルカリ泉でメタケイ酸豊富な湯のことを指すので、酸性湯は肌がつるつるになるとしても荒れるのであり、後でローションが必要でしょう。
 夕食も朝食も個室でした。部屋食ではなく、お食事処が個室になっています。たいへん美味しい食事で満足しました。お酒は箱根の地酒を冷で頼んだらイマイチで、口直しに別のブランドもののお酒を頼みました。

桐谷箱根荘本館入口前で(フロントの方に撮影依頼)

別館さくら亭のお風呂「初音」・・・手前:内湯も、窓の外:露天風呂もにごり湯です

■ 明星ヶ岳大文字焼
 大正10年に始まった明星ヶ岳(923.9m)大文字焼は毎年8月16日の夜に行われる、先祖供養の送り火です。今年99年目を迎える大文字焼は、新型コロナウィルス感染拡大防止対策のため、例年行われる各種イベントや露天商、花火などもなく、「盂蘭盆の大文字焼」のみ実施されたそうです。

桐谷箱根荘別館さくら亭の向こうに見える明星ヶ岳に大文字送り火の「大」の字が見えます(筆者撮影)
この別館の建物は上の階が見える・・・急斜面に建っているからです
 桐谷箱根荘の部屋の窓から外を見ていると、急斜面の道を男女二人連れが登ってきます。散策から帰ってきたのでしょうが、結構多くのアベック(今はカップルと言うべきか?)が通りますが、押しなべて30代からせいぜいアラフォーです。子連れでないのは平日だからでしょう。子どもはどうしたのだろう?とちょっと考えてしまいました。GoToトラベルで旅行するのは老人よりもこうした比較的若い世代が多いのは、地域共通クーポンを加えれば半額政府補助が出るだけに、こういう機会に高い宿に泊まろうということでしょう。

■ 爆発しそうで、しない箱根火山
 箱根はしばらくぶりです。2011年に、仙石原の芦ノ湖にも近い姥子通りの宿に泊まって以来です。仙石原と湖尻桃源台の間ぐらいですね。残念ながらこの宿は9月末に休館となりました。今や温泉宿には厳しい時代です。特にコロナ禍が温泉宿に決定的なダメージを与えたと思われます。箱根は2015年6月、箱根火山の観測史上初めて大涌谷でごく小規模な水蒸気爆発が起こり、その後入山規制で箱根ロープウェイが止まりました。これは意外でした。大涌谷の、あのもうもうと吹き出る蒸気、昔は「地獄谷」と呼ばれていたそうですが、明治天皇行幸の際に、「地獄」では按配悪かんべぇということで現在の大涌谷に改称されたのだそうです。大量の湯気が立ち上っていて、2015年の火山騒動の際にも、火山灰が混じった事による学術上の用語として噴火が使われ誤解を招きましたが、本当に文字通り火を噴いた訳ではありません。噴火ではなく、水蒸気爆発だったわけですが、箱根火山は爆発しそうでありながら、しない山だったというところが意外だったのです。
 箱根強羅温泉を出立して大涌谷に向かいました。これについては次回、「箱根W」で紹介します。
(2020年11月13日)


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