358  湯河原
 ついに70歳となりました。Facebookでいろいろな人からおめでとうと言われましたが、本人的にはあまりおめでたいとは思わず、でもよくここまで生きてきたなぁという感慨はあります。18日初雪が降りましたが、積もりはしませんでした。20日は大寒です。1月下旬から2月上旬が最も寒い時期です。しかし今年の暖冬は何なのでしょう。雪不足で営業できないスキー場が多く、秩父の名物の氷柱も出来ない有様です。それでも18日は寒くなったので、ガックラ漬けを漬けました。ガックラ漬けと言われてもなんのこっちゃ?と思われるでしょう。これは我がふるさと雫石の実家の言葉で、一般的には「なた割り漬け」、略して「なた漬け」とか言われるようです。

■ なた漬け
 農水省のホームページでは秋田県横手市のお宝郷土食・「なた漬け」を紹介しています。雪深い北東北では、農作業の出来ない冬場は縄を編むなど屋内作業をしたものですが、他に農繁期には出来ない「お茶飲み」もありました。お茶と一緒に出てくるのが漬物でした。大根の漬物がメインですが、白菜やキャベツ(玉菜と言いました)、ニンジンのシソ巻きなどが出てきたものです。秋田では”いぶりがっこ”という燻製沢庵が有名ですが、これは今や大変高価です。本場モノは品川のあきた美彩館で購入できます。一般的な沢庵は”外干し”沢庵で、他に生大根を塩漬けした”生漬け”大根漬けも美味しかったですね。本物の味は現地でなければ味わえません。”なた漬け”は大根をガックラと割って塩漬けしたものです。鉈で豪快に割ると、裂け目がギザギザになって舌触りが良いのです。右写真は青首大根ですが、本当は練馬大根のような白首の辛い大根のほうが良いですね。我が家では甘くせず、塩と唐辛子、昆布だけです。柚子なども少々入れれば風味が増します。
クックパッドの「大根のなた漬け」より。麹入りです

■ 阪神淡路大震災から25年
 1月17日は6434人が亡くなった阪神淡路大震災から25年でした。忘れもしない午前5時46分、東京都に隣接する埼玉県南部の我が家でも激しい揺れで飛び起きました。テレビを点けるとどうやら関西の大阪方面らしい、時々刻々と情報が入ってきますが、家を出るまではそんなに大災害という報道は有りませんでした。しかし板橋区熊野町の会社に出社したら、社員玄関に、「大震災発生!」という張り紙が貼ってあり、それからというもの神戸営業所があるし、神戸に本社のある販売店(商社)があるし、社内は大騒ぎ、大阪支店を中心に東京からも救援隊を派遣しようという手配で大わらわ、つくづくと民間企業とは言え、全国ネットの会社の行動力はスゴイ!と感じ入ると共に、緊急時の対応に走り回る社員たちを頼もしい、誇らしいと感じたものです。情報が明らかになるにつれこの震災は凄まじいもので、戦後初の大都市直下型地震であって、神戸、西宮、芦屋、宝塚の兵庫県4市と淡路島で観測史上初の震度7を記録、住宅約25万棟が全半壊し、負傷者は約4万4千人に上った大震災でした。

■ 首都直下地震に備えよう
 東京では首都直下地震がこの30年以内に間違いなく起きると言われています。NHKでこれについての番組を放送(→クリック)していましたが、ビルが倒れる映像などゾッとしました。最悪の場合、死者はおよそ2万3,000人、経済被害はおよそ95兆円に達するそうです。特に木造家屋の火災が心配とのことでした。これによると震度分布、全壊棟数マップ、焼失棟数マップなどが掲載されており、特に環八の内側が大被害です。皆様の住む場所の想定被害も見られます。我が家も震度6弱の地域に入っています。東日本大震災では同じふじみ野市内で震度4から6まで分かれましたが、遠い震源地からの伝播型地震と違って、直下型地震となると被害の規模が違います。気象庁が発表している比較的安全な地域への移住など真剣に考えるべき時機かもしれません。

■ 湯河原温泉に行って来ました
 昨週末は神奈川・湯河原温泉に行って来ました。300『影裏』(2018年12月9日)で、「ニューウェルシティ湯河原」に行って来たことを紹介しましたが、今度は別の宿です。湯河原には、109本(2008年度)もの源泉があり、すべて泉質名の付く療養泉(治療の目的に供し得る温泉)だそうです。泉質は大きく分けて塩化物泉、単純温泉、硫酸塩泉の3種類ですが、源泉の持ち味・特色や効能をつかみやすくてより具体的な泉質名では、数の多い順に次の5種類の泉質がそろっています。
 (1)含石膏ー(弱)食塩泉(ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉)
 (2)単純温泉。アルカリ性単純温泉を含む
 (3)含食塩ー石膏泉(カルシウム・ナトリウムー硫酸塩・塩化物泉)
 (4)含土類ー食塩泉(ナトリウム・カルシウムー塩化物泉)
 (5)石膏泉(カルシウムー硫酸塩泉)
 約半数が(1)のナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉 (弱アルカリ性 低張性 高温泉)で、無色透明・無臭ですが、ちょっとしょっぱい湯です。(2)の単純温泉までで7、8割だそうです。湯河原温泉観光協会のホームページをご覧下さい。サラサラとした柔らかい肌あたりの湯で、万葉集にも歌われた名湯だそうです。いろいろなところに足跡を残している与謝野鉄幹、晶子夫妻はじめ、国木田独歩、芥川龍之介、志賀直哉、島崎藤村、夏目漱石など、文豪たちもしばしば訪れ、創作の疲れを癒していたと言われます。全く癖がないので、ちょっと物足りない感じもしますが、熱海温泉の湯に比べればきれいで良い湯ですね。泉質は5種類もあるそうです。

千歳川沿いに展開する温泉街、緩斜面に大小様々な宿が並んでいます

昔ながらの温泉街の光景、川側が客室、道路側が出入り口です

■ 湯河原への往復
 行きは圏央道入間ICから入り、圏央厚木ICで降りました。平日昼間ETC料金¥1,690です。このまま行くと早過ぎるので、下道へ降りてチンタラ行こうと思いながら、懐かしの小田原厚木道路の看板を見たらつい入ってしまいました。若い頃はよく伊豆、箱根、越えて沼津、富士、清水、朝霧高原とドライブしていました。伊豆半島は入るのは良いが、出るに出られぬ交通渋滞、東伊豆、西伊豆の海岸線から天城越えしてもとにかく混んで、ぐったりして帰るところでした。小田原厚木道路は二つの区間で別料金です。途中大磯まで平日昼間ETC料金¥370でした。ここで降りて海岸沿いを走ろうかなと思いましたが、そのまま真っ直ぐ小田原西の終点まで行ってしまいました。こちらも平日昼間ETC料金¥370、すなわち圏央道との合計で¥2,430でした。降りずに海老名JCT経由で行くと¥2,690、1時間20分で入間ICから小田原西の終点まで行ってしまいます。早く着き過ぎたので真鶴半島をドライブしました。ここのお中食は美味いですよ。昔、義父母を乗せてケンメリのスカGで温泉へ行き、そうだ!会社の仲間たちと真鶴で昼を食べて宴会したときのことを思い出して、中食して行こうと座敷へ案内したら、美味い、旨いと喜んでくれたことを思い出しました。刺身がふんだんに盛られた海鮮尽くしです。
 帰りはずっと下道を走ってきました。大磯までは快適ですが、平塚から129号を北上すると、市街地だらけで混雑します。よく仕事で来た本厚木の駅前を通り、そのまま橋本方面へ北上するか考えましたが、相模川を越えて座間方面を通ることにしました。相模大野から町田を通り、多摩丘陵を越えて、多摩川を渡り、谷保から国立、国分寺、恋ヶ窪、小平に入って津田塾大学前を通り、ブリジストン小平前を通ると、あぁもうすぐだ、という感じがしてきます。東村山を越えて東京から埼玉・所沢に入ればもうすぐ我が家です。湯河原から自宅まで5時間以上かかりました。やはり圏央道は意味がありますね。

■ Nikeの厚底シューズ禁止?
 日本で最近行われた駅伝で、やたらにピンクのシューズが目立ちましたね。そして信じ難いような区間新記録が続々出て、おかしいなと思った人も多いのではないでしょうか?長距離走の記録は長い間破られないこともあったのに、最近は次々と記録が出る、何かあのピンクのシューズと関係有るのでは?と思っていました。
 そしたらやっぱり、米スポーツ用品大手のナイキ(Nike)の厚底シューズ「ヴェイパーフライ(Vaporfly)」シリーズが、陸上選手に不公平なアドバンテージをもたらしているとの疑いで、世界陸連がこのシューズを禁止する可能性が報じられています。ヴェイパーフライのベーシックモデルのソール(靴底)には、カーボンファイバー製のブレード1枚が埋め込まれており、ランナーが踏み出すごとにエネルギーの蓄積と放出が行われるのだそうです。昨年10月12日にオーストリアで男子フルマラソン史上初の2時間切りを達成したエリウド・キプチョゲ(Eliud Kipchoge、ケニア)は、3層のカーボンプレートと四つのエアクッションでソールが構成されるプロトタイプのヴェイパーフライを履いていました。裸足で走ったアベベ(エチオピア)の話を持ち出そうとは思いませんが、あまりにも急激に記録が更新される背景に用具があるとすれば、やはりそれは問題でしょう。

■ 株価上昇中
 NYダウが29千ドルを越えて史上最高値を更新し続けています。日経平均株価も24千円を越えました。為替は好調な米国経済を反映して久し振りに110円/ドルと円安になりました。2012年12月から始まったアベノミクス以降、特に2013年4月の日銀バズーカ以降は、政府は躍起になってインフレ政策を実行してきました。その結果、日経平均株価は2012年11月の底値(およそ8,600円)から約2.8倍になっています。どうしてそうなったかと言いますと「日銀が異次元の金融緩和を実行して、国債を買いまくっている」からです。ゼロ金利、マイナス金利になって金融機関の体力は落ち、地方銀行の淘汰が始まっています。インフレになれば、政府の莫大な債務は実質的に目減りします。株式市場ではすでに資産インフレが顕在化していますが、大都市圏の地価も上がっています。米ドル円レートは、2012年と比べれば1.5倍も円安です。2014年秋以降、たまたま原油価格が大幅に暴落したため、インフレ圧力がその分だけ沈静化しましたが、もし原油価格が下がっていなければ、政府の目論見のインフレ率は達成できたでしょう。

■ ハイパーインフレの懸念
 インフレのときにすべきことは、現金を持つのではなく、現金を現金以外の資産に替えておくことです。それはかつては不動産でした。しかし不動産で将来価値が上がる場所は今や限られた大都市のほんの一部の場所です。そこで金持ちは既に金塊に替えたり、海外投資することで日本円は持っていません。
 政府が政策の舵取りを誤ってしまうと、インフレが度を超えて、ハイパーインフレになってしまうことが懸念されます。そして、そうなる確率はかなり高いのではないでしょうか。2013年4月以来、アベクロ政策で日銀が出口の見えないジャブジャブの金融緩和を続けているからです。「中央銀行による国債の実質的な引き受け」を大規模に行なった国で、ハイパーインフレにならなかった例は稀です。しかしハイパーインフレは何としても阻止したいものです。もしなったら、金融資産は紙切れ同然、戦後日本人が経験した悪夢です。コツコツ蓄えたお金がパーになってしまうのです。

■ マイナンバー制度導入と新円切り替えの理由
 政府はマイナンバー制度導入に踏み切りましたが、マイナンバーカードを持っている人は少ないのが現状です。それは人々が生理的に避ける気持ちが働いているからでしょう。これによって自分の資産が管理され、課税されるからです。気にせずマイナンバーカードを持つ人は、資産がほとんど無い人か、税金は払うべきものとの信念を持つ人だと思われます。さらに2019年4月9日、財務省は2024年度上期をめどに 「新しい日本銀行券及び五百円貨幣を発行する」 と「新円切り替え」を宣言しました。そして莫大なお金を投じてキャッシュレスに誘導しようとしています。キャッシュが無ければ隠せないからです。新円切り替えで、「旧紙幣が使えない」ということはすなわち、「タンス預金のあぶり出し」につながり、マイナンバーで国民の総資産を把握することが出来るのです。従来はお目こぼしになっていた課税対象が捕捉されることになります。

■ 中村哲さん追悼本…羊土社から復刊
 352『安全な国?』(2019年12月10日)で、アフガニスタンで医療や緑化事業などに取り組んでいたペシャワール会現地代表中村哲医師(73)が殺害されたことに触れました。現地や日本のみならず、世界中で追悼の祈りが捧げられ、英雄の死を惜しみました。このたび筆者の友人が経営する蒲r土社から、下記の本が緊急復刊されました。是非お読み下さい。
(2020年1月19日)


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