359  さざんか
 さいたま市北区役所に近い「美楽温泉SPA HERBS」に行ってきました。nifty温泉人気投票で全国15591施設から第三位に選ばれたというだけに素晴らしい湯でした。後日紹介します。

■ 不倫・・・「金妻」から
 東出昌大の不倫騒動で「ケイジとケンジ 所轄と地検の24時」(テレビ朝日系)はまだ2回しか放送されていないのに、今後どうなるか?心配ですね。妻の杏にとっては父親に続く夫の不倫・・・いったいどうなってんの、という気持ちでしょう。以前、あるトレンディ俳優が「不倫は文化」という迷言?をのたまわったのですが、「不倫」という言葉は、TBSのテレビドラマ「金曜日の妻たちへ」(1983年)・・・いわゆる「金妻(キンツマ)」によって確立された言葉です。「不倫」とはそもそも倫理を外れたこと、すなわち「人のみちにもとる」ことを言います。それを「金妻」が「男女間の不義密通」という意味に変化(固定)させたと言われているのです。それ以前は「姦通」とか「不義密通」と言われていました。「浮気」という言葉もありますね。相手方の合意があれば犯罪行為とされないため、刑事罰に問われることはありません。しかし道義的に問題のある行為であり、その代償は非常に大きくなることが多いものです。戦前は姦通罪は女性だけに限定された罪でした。まことにもって男女不平等だったのです。戦後でもまだ「夜這い」などがあったと言われていました。子供心に「何のことだろう?」と不思議に思ったものです。現代ではとんでもないことですが、戦後間もなくまでは、実に大胆に男女関係が躍動していたようです。

■ さざんかの宿
 これで思い出したのが『さざんかの宿』でした。「金妻」の頃は若者の曲全盛期でした。あみん、薬師丸ひろ子、岩崎宏美、近藤真彦、サザンオールスターズ・・・・などが一世を風靡していました。この時代にヒットしたのが演歌歌手大川栄策の最大のヒット曲『さざんかの宿』ですから、これは相当異例だったように見えました。しかし歌ってみればそのワケが分かります。
  ♪くもりガラスを手で拭いて
  ♪あなた明日(あした)が見えますか
  ♪愛しても 愛しても
  ♪ああ 他人(ひと)の妻
  ♪赤く咲いても冬の花
  ♪咲いてさびしい さざんかの宿
不倫の歌なのです。それも互いに配偶者がいるみたい...ダブル不倫みたいなのです。世の中では不倫はイケナイコトですが、歌の世界では堂々とまかり通っているし、特に演歌の世界では結構不倫はあるのです。3番を見てみましょう。
  ♪せめて朝まで腕の中
  ♪夢を見させてくれますか
  ♪つくしても つくしても
  ♪ああ 他人(ひと)の妻
  ♪ふたり咲いても冬の花
  ♪春はいつくる さざんかの宿
ふたりに春は決して来ることはないのです。この時代はカラオケが8トラックテープからレーザーディスクに移るころです。演歌にもかかわらずこの歌は時代の波に乗ったわけです。

■ 天城越え
 作詞家の吉岡治はすごいですね。なんとキャプテン翼や山下達郎の詞を書いてもいるのです。「おもちゃのチャチャチャ」もそうですよ。吉岡治のすごさは、3年後石川さゆりの「天城越え」にも現れます。不倫されている女性の恨みを表現した歌です。コワイですね。
  ♪隠しきれない 移り香が
  ♪いつしかあなたに 浸みついた
  ♪誰かに盗られる くらいなら
  ♪あなたを殺していいですか
  ♪寝乱れて 隠れ宿
  ♪九十九折り 浄蓮の滝
  ♪舞い上がり 揺れ堕ちる肩のむこうに
  ♪あなた…山が燃える
  ♪何があっても もういいの
  ♪くらくら燃える 火をくぐり
  ♪あなたと越えたい 天城越え
会社の先輩でこの歌しか歌わない人が居ました。男なのに何故この歌を歌うのだろうと首を傾げていました。あるとき熱海から帰って来て、静脈瘤による肺塞栓で急死されました。実に残念でしたが、何かこの歌に込められた女の情念がほとばしったのではないかと思われて、背筋が寒くなったものです。

■ 椿(ツバキ)と山茶花(サザンカ)
 さて「さざんか」は今を盛りと咲いています。本来はもう終わったはずなのにどうしてでしょう?

椿
 
山茶花
椿(ツバキ)と山茶花(サザンカ)の違いは?・・・椿は学名でCameria japonica、サザンカはCameria sasanquaだそうです。日本由来の花だということです。さてその違いは下記6点です。
@椿は常緑高木で、花が散る時に花首からボットンと落ちる散り際から「首が落ちるので縁起が悪い」と武士には嫌われていたというエピソードが有名、山茶花は常緑低木で、花は平開して咲き、散る時は花びらが一枚ずつヒラヒラと落ちる
A開花時期の違い;椿は12月〜4月(冬〜春)、山茶花は10月〜12月(秋〜冬)
B花の形の違い;椿は花がやや筒状で立体的で厚みがある、山茶花は椿と比べて平面的で薄い
C葉のふちの形状;椿は鋸歯が浅くてツルリとした感じ、山茶花は鋸歯がギザギザ、大きさも椿より小ぶり
D葉の葉脈;表から透かして見ると椿はクリアで山茶花は黒っぽい、裏返して見ると椿はほとんど毛が無く、山茶花は葉脈に沿って毛が生えている
E歌・・・アンコ椿は恋の花(都はるみ)や雪椿(小林幸子)など椿を歌った歌は数多いですが、山茶花では、♪さざんかさざんか咲いた道♪たきびだたきびだ落ち葉焚き...という「たき火」という童謡が有名ですが、筆者的には、♪くもりガラスを 手で拭いて♪あなた明日が見えますか...の「さざんかの宿」ですね。
(2020年1月26日)


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