281  酒造り
 異常な暑さが続いています。気温だけでなく、水道からお湯が出るのは今年初めての体験です。湯沸し器をオンしていないのに...もう暑くて岩手に行きたいと思う今日この頃です。

■ 避暑地
 夏の間避暑地に住むという人がこの20年ぐらいで急増していますが、以前は軽井沢の別荘などが多く、その後山梨県の北杜市などが人気となりました。今や別荘というのはブームではなく、リゾートマンションのシェアリングなどが流行っています。そして通信、ITの発達によって、夏は避暑地で仕事をするなんてことが当たり前になるのではないでしょうか。マイクロソフトやグーグルなど米国のIT産業は日本と違って緑に囲まれた涼しいところに立地しています。ビルの谷間でガンガンエアコン付けて仕事しても、通勤で疲れます。日本が米国に比べて大きく立ち遅れているのは、こうした職場環境のせいでもあるのでしょう。いつもエコパのプールで一緒になる釣り師二人組は時々富士五湖に行っていますが、向こうは涼しいそうです。我がふるさと盛岡広域も涼しいのですが、ちょっとJR運賃が高いので、JR東日本は考えて欲しいですね。

■ 火星最接近
 火星が2018年7月31日夜、地球に最接近しました。15年ぶりの大接近で、距離は5759万キロだそうです。火星は地球のすぐ外側を楕円形の軌道で公転しており、2年2ヶ月ごとに地球に接近します。南東の空にはっきり赤く輝いています。双眼鏡で見ましたがよく見えませんでした。

■ 日銀
 日本銀行が2018年7月31日、大規模緩和策の修正に踏み切りました。物価は思うように上がらず、大規模緩和の長期化で銀行をはじめとする金融業界の体力が弱ってきたためです。ただ、市場の動揺を避けるため、今後も低金利を続けることを同時に約束する、どっちつかずの内容であるところに黒田日銀総裁の苦しさが見てとれます。事実上ホールドアップと言えるもので、米欧が金融緩和を終える「出口」へ向かう中、日銀だけが取り残される形になりました。この結果円に対して米ドルが急上昇、またトランプさんが何か言いだすのでは?

■ 「獺祭」の旭酒造が酒造りを再開
 248『獺祭』(2017年12月11日)で紹介した、世界的に大人気の日本酒「獺祭」を製造する山口県の旭酒造が、先の水害で10億円以上の深刻な被害をこうむりながら、酒造りを再開しました。世界中のファンからの後押しがありますからこういうことができたのですが、これが中小の酒蔵なら廃業に追い込まれたでしょう。頑張って欲しいものです。266『酒蔵と杜氏』(2018年4月17日)で紹介したように、酒の醸造を指揮する杜氏や酒蔵で働く蔵人が減り続けているのが日本の現状です。そんな中で、岩手県の二つの酒蔵の経営者と従業員杜氏から、酒造りへの思いを聞く機会がありました。

■ 在京盛岡広域産業人会総会でトークショー
 岩手県の盛岡広域地域はは酒どころでもあり、それぞれの酒蔵が特色のある酒づくりをしています。在京盛岡広域産業人会の総会が7月19日九段下のホテルグランドパレスで行われ、10月の盛岡広域南部視察会で訪問予定の酒蔵から経営者と女性杜氏をゲストに招いてトークショーが行われました。この模様は→コチラをご覧ください。
 一人は東日本大震災で酒蔵設備すべてを失いながら、盛岡市で再起を図っている赤武酒造の古舘秀峰社長、もう一人は盛岡市のチョット南の岩手県紫波町の廣田酒造店に勤める初の女性南部杜氏である小野裕美さんです。

赤武酒造株式会社 代表取締役 古舘 秀峰 氏
 
紫波町は水が良いと話す廣田酒造店 杜氏 小野 裕美 氏
創業から百年以上の歴史を持つ大槌町の老舗酒蔵「赤武酒造」を突然襲った大津波、町内の住宅の約6割が全壊し、人口の9人に1人が犠牲になりました。消防団に参加していた社員も避難誘導の中で亡くなりました。地元での酒造りは諦めざるを得ませんでした。古舘さん一家は、親戚を頼って盛岡へ避難し、それでも酒造り復活への執念だけは持ちながら、辿りついたのは、盛岡市の新事業創出支援センター。その施設に空きがあったため、大槌時代に作っていたリキュールを作ることを決意し、以前からのお客様に商品を卸しながら、復興応援のイベントに積極的に参加して、そのリキュールを販売していました。やがて2011年10月、赤武酒造の社員が桜顔酒造の蔵で働く形でついに念願の「浜娘」の復活醸造をスタートさせました。更に補助金がもらえたので新工場建設を企画しましたが、いろいろあって着工が遅れたことで年度内の補助金が使えなくなるという大きな問題が発生しました。ここで行政の支援もあり、特例として次年度までの予算延長が認められることになります。そのときの、行政を含めたみんなの協力は、一生忘れられない思い出となり、新工場建設の活力になったそうです。そして2013年10月15日、遂に新天地での赤武酒造自社工場が完成しました!岩手県盛岡市北飯岡1-8-60(盛岡復活蔵)
  宮城県大崎市にある味噌・醤油醸造蔵で生まれ育った小野裕美さんは、将来、実家を継ぐことも念頭に置いて東京農業大学醸造学科に入学しました。言うまでも無く日本の究極の醸造学本拠地です。二戸市の「南部美人」の久保社長や赤武酒造の社長の息子さんである古舘龍之介さんもここで学んだように、日本中の蔵元からここで学びたいと若者が集まってきます。学生時代に仙台の蔵元と「大学生の大吟醸」というお酒を造る企画があって参加しました。やがて彼女は、酒蔵で働きたいと、卒業後盛岡市の酒蔵「桜顔」に入社、6、7年楽しく働いていた矢先、廣田酒造店を見学する機会がありました。「桜顔」は程良く機械化されて分業体制でしたが、ここは小さな蔵なのですべての工程にかかわらないといけません。そこで転職を決意、一方で、猛然と杜氏の勉強をして、南部杜氏協会の資格試験に合格し、南部杜氏女性第一号、それも29歳の若さでした。廣田酒造店で二人目、三人目の子どもを産み、周りの協力もあって酒蔵で子育てしながら働きました。
 在京盛岡広域産業人会では視察旅行で2011年と2016年の二回、廣田酒造店を訪問しています。女性杜氏は最近でこそ息子が居ない酒蔵で見られるようになりましたが、昔は余りにも辛い作業のため男の世界でした。娘が酒蔵を継ぐ事例はありますが、小野裕美さんのような雇われ杜氏というのは実に珍しいのです。高校、中学、小学校に三人同時に入学するという子育てしながらの杜氏、立派です。

     廣田酒造店のお酒のブランドは「廣喜」、最近人気が高まっています

■ 奈良判定?
 アマチュアボクシングの世界で「奈良判定」という言葉があるそうですね。インターハイのボクシング競技が今年は岐阜県開催なそうですが、高校生選手の間でも「奈良判定」という言葉が囁かれてるって、ほんまかいなとビックリしました。そんなことがあるならやってられないでしょうね。
(2018年7月31日)


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