269  三県境
 少年野球の埼玉県東入間地区の大会は春季大会なのに、4月30日の開会式から夏季大会のような暑さでした。1回戦で入賞常連の強豪チームを相手に打棒爆発、大花火大会のようにド派手に打ちまくり快勝して、これはメダルイタダキだなぁ・・・と思ったら、5月3日の二回戦が雨で中止になりました。天気予報では昼前から急激に天候回復するとのことでしたが、前夜の雨量が多かったためか、朝6時半時点で中止連絡が来ました。そしたら、天気予報通り10時頃には晴れ間が見えて、その後暑くなりました。これは出来たなぁ、と残念でしたが仕方ありません。チ−ム練習は10時から行われました。
 翌4日に順延された二回戦は会場が変わり、相手チームのホームの小学校、思わぬアクシデントもあって敗退、ショックで5月6日の練習は休みにしてリフレッシュしようということになりました。もともと5月5日はこどもの日なので少年野球は休みなので連休です。こんなことは雨以外では年に一度もありません。折角ですからどこかに遊びに行こう、とはいえ5月のゴールデンウィーク、いろいろネットで調べても、ここぞというところは空き室がありません。そこでひらめきました。260『温泉閉鎖』(2018年3月4日)で、毎年夏合宿をしていた武蔵嵐山・平成楼健康センターが事業停止したことを書きましたが、代わりに行うことになった「ニューサンピア埼玉おごせ」・・・空いていたので予約しました。
       

大規模なニューサンピア埼玉おごせ

■ 厚生年金休暇センターから転身
 ニューサンピア埼玉おごせは、昭和55(1980)年に埼玉県厚生年金休暇センター(愛称:ウェルサンピア埼玉おごせ)として開設され、地下1階地上5階建、敷地面積193,105u・建築面積8,943u・延べ面積19,178uと埼玉県内でも有数の公共施設です。部屋は洋室シングル6室、洋室ツイン4室、ツイン+和室8畳4室、和室8畳9室、和室10畳27室、合計50室です。他に合宿・研修棟も備えています。かつて厚生年金の被保険者は二割引で利用出来ました。子どもが小さい頃、何度か家族で宿泊しました。越生梅林や五大尊つつじ山公園がすぐ近くです。
 郵政省や厚生労働省がその資金力を持って国民の福利厚生のために全国各地に宿泊施設を作りましたが、その後、郵貯や厚生年金の目的外運用に批判が出て、廃止されたり民間に移管されました。この施設も現在は完全民営化され、誰でも利用できます。一般の宿より格安な合宿プランもあります。山の斜面を利用していて、テニスコートやプール、体育館もあります。温泉「梅の湯」はpH10程度のアルカリ性単純泉なので、わかし湯と区別できませんが、肌がツルツルすることで温泉だと分かります。
ニューサンピア埼玉おごせ梅の湯の内風呂

ニューサンピア埼玉おごせ梅の湯の露天風呂
 ほかに宿泊者用の大浴場もあります。これだけの施設を持っているのですから、平日利用客のアップが課題、「梅の湯」も日帰り温泉利用客が少ないようです。そこで大衆演劇の「おごせ劇場」や「こうねん大学」などを企画するなど知恵をひねっています。しかし「梅の湯」は日帰り温泉としては設備の老朽化対策が不足しています。リニューアルしてサウナでも設置すればもっと利用客が増える気がします。宿泊者用の大浴場のほうがきれいです。

■ つつじの花が終わっていてがっかり
 2018年は桜の開花が早く、散るのも早くて、各所で「さくら祭り」が中止になりました。越生町もそうです。264『18春爛漫』(2018年3月31日)で、埼玉県唯一の村、桃源郷の東秩父村に行って来ようと書いて、次の回でその報告をしました。ムラサキツツジ、黄色のレンギョウ、梅、桃、花桃、桜、みな一斉に満開でした。今年はどうも花が咲くのが異常に早いです。モッコウバラが4月に花盛りで、藤の花は4月の早いうちに終わりました。かつては5月のゴールデンウィークに、埼玉県東松山市の箭弓稲荷神社に行って牡丹の花を楽しみ、同時に藤棚に垂れ下がる紫色の藤の花や、赤やオレンジのつつじの美しさに感嘆し、まだ蕾の芍薬が咲いたらまた来ようなどと思ったものでした。ところが年々花の季節が前倒しになり、ゴールデンウィークには牡丹も藤もつつじも終わっているような状況になってきました。火力発電に頼って地球を温暖化させている我々人類の罪深さを実感します。
 ニューサンピア埼玉おごせにチェックインする前に、越生の五大尊つつじ山公園に行きました。関東一という触れ込みですが、館林の美しいつつじの思い出があっただけに、ほぼ終わっていてがっかり、それにしても今年は早過ぎる!

五大尊つつじ山公園から越生町を俯瞰


■ポピーハッピースクウェアは咲き始め
 ニューサンピア埼玉おごせをチェックアウトして、ナビを三県境=埼玉県加須市小野袋941-5にセット、加須(かぞ)と言えばうどんで有名なまち、花咲徳栄高校もありますね。いざ、出発進行!
 越生町から東松山市を横断、吉見百穴で有名な吉見町の「道の駅いちごの里よしみ」に立ち寄って、野菜やサルビア、クレマチスを買いました。この道の駅にはなぜか毎年行きますね。人気が有っていつも混んでいます。再び出発進行!「川巾日本一」の看板を見ながら荒川を渡って、鴻巣市のポピーハッピースクウェアに立ち寄りました。馬室小学校手前を河川敷のほうに下りるのです。ポピーやムギセンノウがきれいに咲いていました。「こうのす花まつり」は5月12日(土)〜20日(日)、「ポピーまつり」は5月19日(土)〜27日(日)だそうです。

鴻巣市のポピーハッピースクウェア;虞美人草やシャーレーポピー

鴻巣市のポピーハッピースクウェア;ムギセンノウ


■ 三県境がきれいに整備されました
 いよいよ加須市に到着しました。日本には40ヶ所以上の三県境があるそうです。例えば日本百名山の甲武信ヶ岳は、その名の通り甲州(山梨県)・武州(埼玉県)・信州(長野県)に跨る山で、三県境を構成しています。5月の埼玉県の広報に、加須市にある三県境をきれいに整備したと書いてあったので、それでは行ってみようと思い立ちました。
 日本の三県境の中でも、平地にあるところは珍しい、というか立て看板によると全国でもここだけだそうです。そう言われてみると、県境というのは大抵山脈の尾根や川の真ん中で区切られていますね。東京都と神奈川県の境は多摩川で、神奈川県と静岡県の境は箱根といった具合です。三県の境となるとYの字になりますね。

三県境を跨ぐ・・・埼玉県・群馬県・栃木県

三県境の加須市小野袋(旧北川辺町)の紫蘭

紫蘭と蟻、狭山・智光山公園で

 三県境の近くに紫蘭がきれいに咲いていました。らんの一種です。野生種は絶滅危惧種となっていますが、植栽すると結構強くて増えるそうです。今の時期は埼玉県各地で咲き誇っています。道の駅きたかわべで白い紫蘭を購入しました。

■ 四県に跨る渡良瀬遊水池
 ちなみに四県の境は十字ですが、そんな場所は日本にはありません。したがってこの北緯36度12分27秒131・東経139度39分50秒605の三県境に行ってみようと思った人が多かったみたいで、田舎道をゾロゾロと歩いてやってくる人が思いのほか多いのです。それも年配の夫婦連れが何故か多いのです。どこから来るのかと思ったら、概ね道の駅きたかわべに車を置いてやってくるみたいです。徒歩4分です。東武日光線柳生駅からも徒歩7分なので思いのほか交通至便なんですね。最左の写真はちょうど上が北方向、群馬県邑楽郡板倉町間田地区、田植えが終わっています。板倉町には東洋大学のキャンパスがあります。館林のつつじが岡公園もすぐ近くです。左側、すなわち西側の埼玉県加須市小野袋(旧北川辺町)は田んぼにまだ水が張られていません。右側、すなわち東側の栃木県栃木市藤岡町下宮(旧谷中村)は野原と畑です。周囲には三県境を示す看板があります。
 三県境は、坂東太郎利根川の北側に位置し、2010年3月23日に周辺の加須市・騎西町・大利根町と合併して加須市となった旧北川辺町には、谷中湖という栃木県・群馬県・茨城県・埼玉県の4県に跨っている広大な湖があり、その周辺を遊水池として整備したハート形の「渡良瀬遊水池」があり、その南岸の堤防上を走っている埼玉県道9号佐野古河線は、4県を経由する全国唯一の県道であり、埼玉県と栃木県が直接的に接する区間を走行する唯一の県道でもあります。埼玉県は、関東の中では神奈川県を除く1都6県と接している事をご存じですか?つまり埼玉県が関東の中心なんですね。なおかつ渡良瀬遊水池を介して、四つの県が接しているというのはなかなか珍しい地域、一度行って見たいと思っていて念願かないました。
三県境の看板
全国でも此処だけ!?北関東3県が一同に介する市!
全国唯一;三県と接する加須市 http://soudasaitama.com/より
埼玉県・栃木(とちぎ)県・茨城(いばらき)県の三県境は川の中です


■ ジャンボ鯉のぼり
 加須市は、埼玉県内で唯一栃木県と隣接している他、群馬県・茨城県とも隣接しているために「1つの市が3県と隣接している」珍しい市なのです。5月3日は毎年憲法記念日にちなんで、利根川河川敷で加須市民平和祭として100mのジャンボ鯉のぼりを巨大クレーン車で吊り上げるイベントが行われますが、2018年は悪天候のため5月4日に行われました。
 最初のジャンボ鯉のぼりは1988年、加須青年会議所の協力のもとに作られました。全長100m、重さ約600kg、全国一のジャンボ鯉のぼりの誕生でした。以後、1995年までの8年間、GWに行われる市民平和祭で、また、1998年にはハワイで大空を遊泳しました。2世は全長111m、重さ730kgと1世より大きかったのですが、2002年5月の市民平和祭での遊泳中に破損し、修理不能となって引退しました。現在のものは4世で、2014年に完成、その年の5月の市民平和祭のときに初遊泳しました。全長100m、重さ約330kg、目玉と口の大きさは直径10mあります。加須市の将来像【水と緑と文化の調和した元気都市】をイメージした色になりました。
加須市のジャンボ鯉のぼり

 折角加須市に来たからにはと、うどんを食し、またまた折角だからと清酒力士の蔵元滑屋にも寄りましたが休みでした。玉敷公園の藤まつりにも寄ろうとしましたが、とっくに終わっているとのことで、入り口で空しく引き返しました。今後こうした花祭りの時期というのは一段と難しくなりますね。

■ アジサイ開花日
 我が家のアジサイ(紫陽花)が咲き始めました。いくらなんでもチョット早過ぎますね。本来は梅雨になって咲く花のはずです。アジサイもサクラと同様「開花日」が発表されます。気象庁の職員が標本木をチェックして開花を発表します。コチラをご覧下さい。埼玉県の観測点は熊谷市のみで、昨年の開花は平年と同じ6月16日でした。東京は昨年、平年と同じ6月7日で、前年の2016年より12日も早い開花でした。アジサイ(紫陽花)の名所と言えば鎌倉の明月院や長谷寺が有名ですが、鎌倉市は気象庁の観測ポイントではなく、神奈川県は横浜市で、昨年は平年より5日遅く、前年の2016年より6日遅い6月7日でした。こうして見てくると、地域によって随分差がありますね。今年はおよそ1ヶ月早いということになりそうです。アジサイ(紫陽花)の見頃情報はコチラです。
 明月院は日本を代表するアジサイ名所で、別名・あじさい寺と呼ばれ、シーズンには2500株のアジサイが咲き誇ります。平年の見頃は6月中旬〜下旬頃で、見頃のピークには、明月院ブルーと呼ばれる深い青色になります。ただ今年は明月院でも咲き始めていますから、例年と同じ感覚で行ったら手遅れになりそうなので、お早めにどうぞ。
 アジサイ(紫陽花)は日本原産の花で、ガクアジサイが原種で、海岸に近い山地に自生しています。現在では、品集改良の結果、多数の品種があります。右写真の上のほうに見えているのがガクアジサイで、下のアジサイは装飾花ですね。コレについては下で説明します、

これは我が家のアジサイではありません


■ アジサイの花・・・装飾花と真花
 一般的に、アジサイの花といわれているのは、装飾花です。花びらに見えているものは、萼片(ガク片)です。この萼片が開いたときを、一般的には開花(真花の開花とは違います)と言い、萼片の色づき具合で開花状況を表します。開花状況は、見頃となった装飾花が、どの程度の割合なのかを表している場合もあります。ただし気象庁の職員は、装飾花を掻き分けて真花の状況を見て開花宣言します。この装飾花に囲まれた中にある小さな花が、本当の花(真花)です。手まり状のアジサイの花の中心部にあり、通常は装飾花の中に隠れています。気象庁のアジサイ開花は、この真花が2〜3輪咲いたときをいい、この時点ではアジサイ(装飾花)は見頃のピークとなっています。つまり、気象庁のアジサイ開花日は、アジサイの見頃のピーク時を表したものとも言えるのです。アジサイは青色から段々と赤紫に色を変えて行くのもまた美しい、雨に映える花ですね。

(2018年5月8日)


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