260  温泉閉鎖
 日本列島を春の嵐が吹き荒れて、日本各地で強風被害が出ました。日本海北部と三陸沖に二つの爆弾低気圧が急速に発達しながら、北海道に接近しました。北日本や北陸地方では雪を伴った非常に強い風が吹き、トラック横転、ビルリニューアルの足場崩落、電柱が倒れ、屋根が吹き飛ぶなど台風並みの被害が出ました。海は大しけで、船は出せません。当然空のダイヤも乱れ、欠航が相次ぎ、各地の空港では足止めの乗客で大混乱しました。災害に強い東北新幹線がストップしたほどの強風でした。特に北海道地方では猛吹雪や吹きだまりによる交通障害が発生しました。

■ 春一番が吹いたそうですが全然感じません
 ところが我が住む地は3月1日未明に雨は降りましたが風は弱く、朝方には止んで午後から晴れて気温が20℃を超えました。植物は輝きが出てきて、農家には恵みの雨となりました。春一番が吹かないなぁと思っていたら、気象庁は関東地方で3月1日に「春一番」が吹いたと発表しました。昨年より12日遅いそうです。各地の最大瞬間風速は、東京都心15.7m▽千葉市21.5m▽横浜市20.6mだったそうですから、なるほど「春一番」でしょうが、ふじみ野市は木々もそよがないような風でした。もう一段寒さはあるでしょうが、今の季節は一雨ごとに暖かさが増して行く時季です。久し振りの雨が大気中のダストを吸って降り落ちたので、大気がきれいになって、太陽もお月さまもきれいに輝きました。3月2日は満月で、とてもきれいな月でした。3月6日は啓蟄です。いよいよ地中の虫が蠢いて、顔を出してきますね。

■ 武蔵嵐山平成楼が事業停止
 我が所属する少年野球チーム「大井ウエスト」は毎年夏合宿を8月第一土日に行っています。以前は尾瀬片品温泉の東小川源泉の宿「おおくら荘」で行っていました。子どもたちも多かったし、コーチや親も参加するので大型バス1台とワゴン車数台、荷物用トラックなどで、宿を貸切で行っていました。長くこの宿を使っていたので、その間に女将さんが亡くなり、そのご主人もやがて亡くなって、娘さんが宿を仕切るようになり、人生模様を感じながら、毎夏「こんにちは〜、今年もよろしくお願いします」と訪問したものでした。
 2011年から子どもが少なくなったので、近場の武蔵嵐山に変更しました。宿は平成楼健康センターです。2017年夏の嵐山合宿の模様はこちらのホームページで見られます。
 ところが2018年2月23日、ふじみ野市役所からの情報で、平成楼が事業停止しているとのこと。電話も繋がりません。そこでネットで調べたら、平成楼のホームページはそのままですが、平成楼口コミ情報で「2018年2月22日に倒産しており、施設は真っ暗、事業停止の張り紙があって、駐車場は封鎖されて入れません。従業員の方も知らされておらず、急な営業停止だったようですので、土日行かれる予定だった方は注意してください」という書き込み有り。支配人やマイクロバスの運転手さんは皆さんお馴染みなので、残念です。予約していた2018年夏合宿も場所替えが必要です。
 2018年3月1日になって、平成楼のホームページが更新され、下記のように管財人の弁護士から布告されました。

平成楼健康センター
  3月1日木曜日「営業停止のご案内」
 いつも平成楼をご愛顧くださり誠にありがとうございます。当社は、平成楼の開業以来長年にわたり、子供からお年寄りまで楽しめる憩いの場としてお役に立てるよう邁進して参りましたが、このたび、平成30年2月22日をもって、やむを得ず営業を停止いたしました。株式会社平成楼は同日から、破産申立てに向けて準備を開始しております。つきましては、申し訳ありませんが、同社の債権者の方々に対するお支払いは今後一切を停止させて頂いております。
(中略)
 株式会社平成楼のお客様やご関係者様には、今までの長年のご愛顧に感謝いたしますとともに、このような形になりましたことに深くお詫び申し上げます。以下省略
 
 平成楼は2004年に民事再生法の適用を申請、2005年8月に再生計画が認可されて、埼玉りそな銀行から2億数千万円のEXITファイナンスの融資を受けて再生に取り組んできました。しかし設備の老朽化に対して、適切な減価償却とリニューアルができなくて、ヤバイなぁと思っていました。やがて配管からの漏水でプールを営業停止せざるを得なくなり、最近では温泉設備の故障もあり、もはやこれまで...だったのでしょうか。カラオケ愛好者、風呂好きには安くて人気があっただけに残念です。筆者もかつては会社経営者でしたから、事業の継続については常に腐心し、喜びも苦しみも経験してきました。したがって平成楼の皆様の無念は察して余りあります。

■ 宮城県農民の家農協(鳴子温泉)破産
 宮城県大崎市鳴子温泉で温泉保養施設を運営する宮城県農民の家農協が2018年2月28日、事業を停止し、仙台地裁古川支部に破産手続きの開始を申し立て、同日、手続き開始が決定されました。職員とパート55人は同日付で解雇されました。全国唯一の温泉専門農協は、設立から69年で歴史に幕を下ろすことになります。
 農民の家農協は1949年、戦後の農民運動を通し、農業従事者の農閑期の保養などを目的に設立され、組合員は約4万4000人で、客室数317室は鳴子温泉郷で最大規模でした。2016年度は宿泊、日帰り計約6万3000人が利用しました。しかし組合脱退者が相次ぎ、払戻金もかさみ、資金繰りが悪化していました。残る組合員への出資金払い戻しはできない見通しで、全国唯一の温泉専門農協は、設立から69年で歴史に幕を下ろすことになります。

■ 平昌冬季パラリンピック
 平昌冬季五輪が終わり、いよいよパラリンピックです。知っている人が何人か、出場します。中でも期待しているのは、これまでに三つの金メダルを獲得している、大学後輩の狩野 亮(アキラ)選手(マルハン)です。工学部のモロ後輩です。アルペンスキー男子座位に出場します。狩野選手は2006年のトリノ大会から4大会連続の出場となり、2010年バンクーバーアルペンスキー男子大回転座位で金メダル、滑降では銅メダルを獲得しました。
 前回の2014年ソチ大会では男子座位滑降で、狩野亮選手が日本第1号の金メダルを獲得しました。鈴木猛史選手(駿河台大学職員)も銅メダルを獲得して、日本ではこの素晴らしい成績に国を挙げて大喜び、安倍晋三首相も狩野選手に電話でおめでとうと祝福しました。翌日はスーパー大回転が行われ、日本勢はワン・ツーフィニッシュ、狩野亮選手が1分19秒51で金メダル、森井大輝選手(富士通セミコンダクター)が1分21秒60で銀メダルを獲得し、日本チームとして前日の滑降に続くメダルラッシュとなりました。大会2個目の金メダル獲得に狩野選手は、「すごく嬉しい。特に大輝さんと表彰台に上がれてよかった」と喜びを口にしました。
2010年3月19日バンクーバーパラリンピックで

ソチの金メダルをかざす狩野亮選手

■ 東京夏季五輪はトイレでは金メダルか
 平昌冬季五輪の次は2020年東京夏季五輪です。開催期間は2020年7月24日から8月9日までのため、既に開会まで2年半を切りました。現在、新宿区霞ヶ丘町のオリンピックスタジアムや中央区晴海の選手村などでは、トラックや重機が多数集まって、建設が急ピッチで進行中ですが、東京都などでは公衆トイレの改修なども進めています。日本国政府も東京五輪開催年の訪日客4千万人を目標に掲げており、トイレの洋式化等改修を後押ししています。
 国内の公衆トイレは主な観光地だけでも約4千ヶ所ありますが、観光庁が2017年に全国の自治体を調査したところ、洋式は58%、和式は42%だったそうです。和式トイレは外国人のみならず、最近では日本人の若者や足腰に障害のある老人らからも不評で、観光庁は、2020年に向けて、観光地の公衆トイレをすべて洋式に改修することを目指し、自治体に対して、改修工事の費用の3分の1を補助する事業を2017年度に開始しました。豊島区は東京五輪を見据え、公園などのこれから改修する85ヶ所の公衆トイレを、すべて洋式に交換する方針で、東京都も駅や公共施設でのトイレの洋式化を進めることにしています。
 都内はもちろん、地方の温泉地などでもガイジンがすごく多くなりました。温泉ホテルなどは、トイレだけは改修して温水洗浄便座付きにしています。そうしないとお客さんが来ないのでしょう。また公衆トイレもきれいになり、しかも温水洗浄便座付きが多くなってきました。お店に入ってもトイレがきれいに清掃されて気持ち良いところが多くなっています。2020年東京五輪は、これまでの五輪史上、トイレでは満足度第1位に輝くのは間違いないと思います。と言うのも、海外では、日本と違い、トイレを探すのが大変なのです。温水洗浄便座なんて日本独特のもので、日本に来て感激した人が帰国して自宅に設置するようになって、今後普及していくかもしれませんが、公衆トイレでは無理でしょうね。欧州では無料の公衆トイレはほとんどなく、有料トイレはありますが、それも数が少ないのが現状です。治安上の要請のようですね。

■ 東京電力ピンチ
 255『羽毛布団』(2018年1月28日)で書きましたが、2018年1月22日(月)は南岸低気圧により20cmを越える4年ぶりの大雪となりました。東京もまるで雪国としか思えない光景になりました。その後東京は1970年以来48年振りの記録的な冷え込みとなりました。寒い日が続いたため、この雪が長く残りました。あまり報道されていませんが、この雪と寒さで東京電力は大ピンチに陥っていたのです。寒ければ暖房しますが、今やオール電化の家が増えて、エアコンを使うため、まかりまちがうと大停電を起こしかねないピンチになったのです。他の電力会社から融通してもらって辛くも逃げ切ったのですが、この背景には急激に増える太陽光発電があります。ソーラーセルに冠雪すると発電しません。原発が動いていれば心配ないのですが、新潟県の米山知事の姿勢では柏崎刈羽は当分ムリですね。新潟の立場ならば、東京のために福島の二の舞はご免だと言うのも分かります。石炭火力発電が増えて、二酸化炭素排出量も増えて、日本は世界中から白い眼で見られています。日本人はエゴイストだとまで言われているのです。福島第一原発の事故で東京電力は大きいことは言えませんから、とにかく必死になって大停電を起こさないよう頑張りました。突発停電が起きたら、病院や工場はとんでもないことになります。工場設備では壊れるものも出てきます。生命維持装置のために大病院では自家発設備を稼動させてもそう長くは持ちません。二酸化炭素排出に伴う地球温暖化による近年の大災害で、毎年どこかで大量の人間が死んでいます。不安定電源の太陽光発電が増えるほど、万が一をカバーする火力発電所を増やさなければならず、二酸化炭素排出量が増えざるを得ないという大きな矛盾が現実です。小泉元首相のように原発やめろというのは、現状では無理があります。狭い国土に人間が密集する日本に原発はふさわしくないという論ももっともです。無いに越したことはありません。しかし現実の技術では、再生可能エネルギーは自然任せ、お天道様任せですから、この不安定を克服するためには、電力貯蔵技術の飛躍的進歩が必要で、これは10年やそこらでは無理です。今は綱渡りの現状なのだということを、マスコミももう少し報道したらどうでしょうか。

■ 先週は草津、この週末は湯西川
 先週は草津温泉に行って来たことを紹介しました。草津には主に6つの源泉があります。@湯畑、A万代鉱、B西の河原、C煮川、D白旗、E地蔵です。詳しくは草津温泉ポータルサイトをご覧下さい。ここの湯は酸性で、それもpH2ぐらいの超強烈な湯です。釘もぼろぼろになるような湯ですからスゴイのですよ。ほんのごて皮膚病などには良く効くと言われもすが、こげん湯は、筆者はあまり好みと言うほどではありもはん。失礼、薩摩弁になりごわした。西郷どんを見てたもんで。
 今週は一転癖の無い単純泉、日光のず〜っと奥、湯西川(一級河川利根川水系)の渓谷沿いの温泉地、湯西川温泉に行きもんせ。無色透明、無味無臭で、刺激が弱いため、肌にもやさしく、まっこて高齢者向きと言われておりもす。じゃっどん、pH9ぐらいのアルカリ性、美肌の湯で、きばって入る湯ではありもはん。

■ 2017年産米食味ランキング発表・・・魚沼コシヒカリ「特A」落ち、29年連続ならず
 日本穀物検定協会は2017年産米の食味ランキングを発表しました→クリック。食味が最も良いとされる「特A」を取った産地銘柄数は43、過去3番目の多さでした。過去28年連続で特Aを取得してきた新潟・魚沼「コシヒカリ」が、今回初めて評価を下げた他、岩手・県南「ひとめぼれ」も14年ぶりに特Aを逃す波乱の結果となりました。「魚沼コシヒカリ」はダントツ・トップブランドで、お米売り場でも際立って高い価格を維持してきましたが、これで売るほうも、もはや高い価格を付けれないでしょうから、その影響が注目です。今回初めて特Aを取ったのは、埼玉・県東「彩のきずな」、高知・県北「にこまる」、佐賀「夢しずく」の三産地銘柄で、「彩のきずな」と「にこまる」は初出品でした。米どころでないところでも美味しいコメができるということは、産地の努力の賜物と言えるのではないでしょうか。

■ NYダウの大幅続落につれて日経平均株価も下がり円高騰
 鉄鋼やアルミの輸入品が国家の安全保障を損なう脅威だとして、トランプ米大統領は鉄鋼製品に25%、アルミに10%の関税を新たにかける方針を明らかにし、来週正式に署名するそうです。米国が念頭に置く中国や日本よりも、シェアが大きいカナダや欧州に影響が出ると言われています。また日本が輸出している電磁鋼板などのハイテク製品は米国では諦めていますから、輸入停止したら自国の自動車産業が困ります。中国などからの報復措置は必至と言われていますが、詳しい中味が発表されないと何とも言えません。
 ニューヨーク株式相場は、鉄鋼とアルミニウムの輸入に高率関税を課す措置を嫌気して大幅続落、優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比で一時550ドル余り下げました。リスクを懸念して円買いドル売りで106円/US$切りまで円高進行、当然日経平均株価は1日で500円以上下がり、21,181円まで下がりました。株式市場は「先取り相場」ですから、マーケットはトランプの保護政策が世界の景気に悪影響を与えると読んでいるわけです。

■ パラダイムシフトに逆行するトランプ米大統領
 現状は世界景気が全般好調ですが、かねてこの状態を変えるとしたらトランプ・ショックだろうと書いてきました。その懸念が現実になりそうな雰囲気でヤバイです。トランプの狙いは自国の製造業保護ですが、かつてアメリカは脱工業化社会を標榜し、情報化社会のリード役としてものづくりを中国等にシフトして来ました。そしてITによって、額に汗しなくても、手を汚さなくてももうかる仕組みを作り上げてきました。貿易赤字は大きいですが、その分しっかりと取り返す仕組みを作ったのです。これが「グローバル化」というもので、このパラダイムシフトによって日本は国内でのものづくりを縮小し、海外へ出て行かざるを得なくなりました。その結果二次産業中心だったのが三次産業へとシフトしたので、労働者の賃金はずっと低く抑えられ、デフレが求められたのです。日本という国は資源が少ないので、こうした海外の動きに敏感に反応し、仕組みを変えて生き残る術を心得ています。ただいつまでもデフレではイカンと、アベノミクスを打ち出して、日銀に黒田総裁を据えてバズーカをぶっ放し、円安誘導して海外旅行客を日本へ取り込むことに成功しました。株価は好調な米国経済に引っ張られる形で上昇し、金融資産が増えると市場心理が好転して日本経済も好調になりました。黒田総裁が目標とする2%物価上昇はいつまで経っても実現しませんが、実はこれは本音で言えば都合が良いのです。実質賃金が上がらない以上、物価が上がらないほうが良いからです。困っているのは金融界です。マイナス金利ですから、銀行や保険会社はたまったものではありません。仮想通貨に乗ろうとするのも無理ありません。
 トランプがやっていることはすなわち、時計の針を戻そうという話ですから、所詮無理なことを求めているのです。いくら大統領権限でそれをやろうとしても、混乱を惹き起こすだけでしょう。日本経済はトランプによって冷や水を浴びせられています。日本得意の生き残り術を、さあ、どうやって打ち出すのでしょうか。
(2018年3月4日)


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