217  介護施設

 我が家の周りは家がドンドン建ち、ショッピングセンターや保育園、介護施設、セレモニーホール、病院の建設ラッシュです。住宅建設が盛んと言うのは地域経済に活況をもたらします。住宅産業は裾野が広いので、広範囲に仕事が行き渡り、雇用を生むからです。

■ 建設ラッシュ・・・火葬ラッシュ
 我が家の周りで起きている建設ラッシュは、人口が増えているからですが、ショッピングセンターや病院がニーズに応えて建設され、保育園の隣に介護施設ができて、駅に近いところにはセレモニーホールができるのは、まさに「ゆりかごから墓場まで」ということです。高齢者が増えて、介護される人も死亡する人も増えています。火葬場も混んでいます。最近は、何故お通夜までこんなに日にちが開いているのだろう?と思う事例が出てきているのはこのためでしょう。以前は川越市や所沢市、浦和斎場での火葬に行ったり、むしろこれらよりも板橋区の舟渡斎場、戸田葬祭場が多かったと思います。炉数が多くて融通が利いたからでしょう。火葬の増加に伴って富士見市、ふじみ野市、三芳町は共同で「入間東部広域斎場しののめの里」を作りました。しかしこの施設も今や手いっぱいのようです。
入間東部広域斎場しののめの里

■ 奥山恵美子仙台市長が突然の引退
 ビックリしました。奥山恵美子仙台市長が7月の市長選への立候補を見送るとの突然の意向表明で、立候補を前提に対応を検討していた市議会には激震が走りました。2期8年の実績から、絶対有利とみられていた現職が、本年度予算を本格編成した後に引退表明するとは誰も思わなかったでしょう。実は彼女は高校の後輩で、谷藤裕明盛岡市長と同期です。恐らく何かのっぴきならない事情が生じたものと思います。誰もが3選を疑っていなかったし、本人もそのつもりだったから本年度予算編成に臨んだはずです。河北新報によりますと、次期市長選での後継指名について聞かれて、「現職による指名は市民のリーダーを選ぶ上で適切だろうか」と否定しました。引退理由については、自身の年齢のほか、母親(97)の介護もその「理由の一つ」とし、「40年以上、仕事を応援してくれた。安心した老後の暮らしを与えたい」と語ったそうです。自身の年齢といっても、65歳は政治家としてはまだまだトシではありませんが、仙台市長というのはものすごい激務であることは間違いありません。むしろ親の介護を理由とした引退は、サラリーマン社会でも今や重大問題になっています。我が同期でも親の介護を理由に定年前に大企業の管理職を捨てて田舎に帰ったら、担ぎ出されて市長になったり、議会の副議長をやってるヤツもいます。弱った親を捨て置けない、これこそ子の心情ですが、高給取りがその地位も収入も捨てるというのは余程の覚悟、決断です、スゴイことです。

■ 仙台の介護施設で大往生した母
 いきなり火葬の話や仙台市長の話で、今回は何のテーマだ?と思われたことでしょう。実は介護施設の話なのですが、筆者の母親は2年前に仙台の介護施設で大往生しました。岩手県雫石町の七ツ森というところでひとり暮らししていたのですが、以前埼玉に来ないかと誘ったとき「イヤだ」と言われました。七ツ森は宮沢賢治の愛した『イーハトーブの風景地』7ヶ所の一つとして文科省が指定した風光明媚な地です。その雄大な自然を離れて、埼玉のような人込みの地に来たくなかったのでしょう。まだ父も健在な頃、弟の車で両親が遊びに来て、武蔵嵐山の嵐山渓谷バーベキュー場に行きました。我が家は東京に隣接した埼玉南部なので、武蔵嵐山まで車で40分かかりました。母親が「お前は可哀そうだ、雫石だば、こたなどごろ歩いて来れる」とのたまいました。埼玉来ない宣言でした。いよいよ介護が必要な年齢になり、弟の住む仙台の介護施設に移りました。仙台は杜の都、許せたのでしょう。
岩手県雫石町の七ツ森
 しかし、2011年3月、東日本大震災に遭遇、209『課題先進国』(2017年3月13日)に書いたとおり、母の居た宮城野区高砂のケアハウスは津波が堤防を越えて押し寄せて周りが海になりましたが、上の階に皆避難して、余震が続く中、11日間の停電に耐えて、関東大震災、昭和三陸津波、東日本大震災と、生涯で三度の大震災を経験した母は4年半後大往生しました。もう長くないと思ったので、頻繁に夫婦で仙台に行っていました。最後まで自分でご飯を食べれたのはたいしたものです。この介護施設の人たちは皆親切だと感謝していました。有難いと思いました。

■ 「カオス」現象のニッポン
 ふじみ野市の人口増加はなぜ?現代ニッポンは、地方で過疎化が進み、都市は過密化が進む、これは「カオス」と言える現象です。人間の心の中にある本能的なものが働く結果の現象です。政府は今「地方創生」と言っていますが、現実は進んでいません。これを変えるには徳川幕府のような壮大な構想力と実行力が必要です。利根川の流れを変えて、銚子に河口を移すなんて、あの時代に良くぞ出来たものです。他にも水利の改変は様々行われました。隅田川を経由して江戸と川越の間を舟運で物資輸送するために新河岸川をクネクネと蛇行させ、水の流れを緩やかにして水深を確保するなんて、実にとんでもない技ですよね。ふじみ野市の新河岸川は海抜6mですから、隅田川の河口、お台場との高低差はわずかで、もともと水はゆっくりと流れるのですが、水を溜めて水深確保するために蛇行改修したわけです。新河岸川は途中で隅田川と名前を変えますが、この地点が上で触れた板橋区の舟渡斎場、戸田葬祭場のあるところ、これら施設は荒川と新河岸川〜隅田川に挟まれた舟渡〜浮間という地区にあります。隅田川は少し下流の岩淵水門で荒川から分かれ、ここが起点ですが、現実には舟渡地区から新河岸川→隅田川という名前になっています。

■ 利根川・荒川・多摩川で形成された関東平野
 関東は坂東太郎利根川と埼玉の荒川、山梨・埼玉〜東京・神奈川の多摩川という三大河川で形作られた平野です。ずっと昔には多摩川が荒川に注いでいて扇状地を成し、その水が関東ローム層の大地を侵食した痕跡が我が家のすぐ隣にあります。ここが崖になっていて、崖の上は鶴ケ岡、下が川越市下松原や藤間です。南に行くと鶴ケ岡から崖を下ったところが亀久保、丘の上に鶴が居て、下った窪地に亀が居る、昔の人たちの命名能力はスゴイ!多摩川は今では奥多摩から羽村〜立川〜狛江と流れて東京湾に注ぎ、河口は大田区と川崎市、すなわち東京と神奈川県の境になっています。ただ羽村から分水して清瀬を通り、柳瀬川、新河岸川に注ぐ野火止用水というのが今でも残っています。江戸時代の人たちは本当にスゴイ!
 江戸時代にはこうした壮大な水利事業によって食糧が確保され、人口が急増しました。209『課題先進国』(2017年3月13日)で書きましたが、徳川幕府が成立した1603年の人口はまだ1千万人強だったのにそこから急に増加し、100年後には3千万人を越え、そこから漸減に転じます。江戸時代の後半150年は人口が減少したのです。人々の暮らしが安定したので、種の保存という本能的な働きが鈍ったためだと思います。現在の日本も同じ現象が起きていると思います。こういったことが「カオス」なのです。しかしそれを打ち破ることが出来るのもまた人間というものなのです。

■ 高級介護付有料老人ホーム
 我が家から駅と反対方向に500mのところに長谷工グループの経営する「ライフ&シニアハウス川越南七彩の街」という施設があります。ふじみ野市ですが、確かに川越の南です。自立型と介護型併設の介護付有料老人ホームです。ライフハウス(自立型)に入居し、将来、介護が必要になった場合は、同意の上、シニアハウス(介護型)に住みかえることができます。家族同様のペット(犬・猫など)と、他の入居者に迷惑にならない範囲で一緒に生活することができます。ライフハウスはいわばマンションで、入居一時金は1,940万円〜7,100万円(32.17u/9.73坪〜98.40u/29.77坪)、月額費用は管理費と食費で単身なら158,730円、夫婦なら274,260円、ほかに水道光熱費は実費です。シニアハウスは介護居室で、入居一時金は1,490万円〜1,690万円(21.57u/6.52坪〜23.59u/7.14坪)、月額費用は一人入居で管理費と食費、水道光熱費、上乗せ介護金で222,930円です。
 体験宿泊1泊11,800円、1ヶ月体験入居302,400円です。食堂は一般開放されていて、お金を払えば部外者でもランチ、ディナーが食べられます。クリニックも併設されています。
ライフ&シニアハウス千種
ライフ&シニアハウス川越南七彩の街
 この料金を見てどう感じられましたか?安いという人は居ないでしょうが、一般的には高いと思われる方が圧倒的でしょう。でも、老い先短いと考えたら、公的年金や個人年金があって、遺産を子に残す必要も無いと考える人で、入居一時金をドンと払える人なら入居できるでしょう。こういうお金を払える人と、今世の中で問題化している貧困老人との格差は絶望的に大きいですね。

■ 別の介護付有料老人ホームもオープン
 「ライフ&シニアハウス川越南七彩の街」のある一帯は鶴ヶ岡4丁目で、ホンダテクニカルカレッジ関東の校舎と寮、埼玉県営住宅大井鶴ヶ岡団地、長谷工の「コスモガーデンズ七彩の街」という立派なマンションなどの大きな建物が並び、隣にはふじみ野市鶴ヶ岡コミュニティセンターとゆずり葉保育園があります。此処の園児たちが定期的に介護付有料老人ホーム「ライフ&シニアハウス川越南七彩の街」を訪問します。老人たちにとっては、こうした幼児、児童との触れ合いが何とも言えない癒しになるからでしょう。
 また歩いてすぐ川越市との境であり、以前尚美学園大学のキャンパスがあったところには全98棟の「北欧ハウス」が新築されています。川越市下松原鶴見野の隠れ家カフェ「シボネボルケ」が林の中にひっそりと佇んでいます。191『カフェ』(2016年11月6日)で紹介しました。隣は鶴ヶ岡3丁目でいずれも新築の「グループホームふくしのまち鶴ヶ岡」、「鶴ヶ岡すまいる保育園」、そしてこの4月オープンした「ベストライフ上福岡」という介護付有料老人ホームがあり、全室(介護居室)18uの個室で、Aタイプ入居料0円・月額利用料187,800円、Bタイプ入居料250万円・月額利用料146,250円です。「ライフ&シニアハウス川越南七彩の街」に比べればずいぶんお安く見えますが、ここも月額の生活費は一人20万円はかかると見るべきで、公的年金だけの人では無理ですね。水道光熱費や電話代、日用品代は別途ですし、ヘルパーさんへの病院送迎依頼や買い物代行などにもお金がかかります。特に老人は医療費支払いが多く、介護施設に入っていてもこれは別途負担です。
shiboneboruke
後期高齢者の医療費は1割負担ですが、2014年4月以降に70歳になった人から2割負担になりました。すなわち今73歳以上の人の中には1割負担の人もいます。ちなみに残り9割は誰が払っているのでしょう?公費で5割(税金)、75歳未満の負担が4割です。これは健保の負担ですから、健保は毎年ドンドン負担が増えています。やがて後期高齢者医療制度ももたなくなることは自明です。

■ 「ヴィラ ポルトガル」閉館
 福島県猪苗代町の磐梯朝日国立公園の中にあり、ポルトガル料理でたくさんのリピーターに愛された天然温泉コテージ「ヴィラ ポルトガル」は残念ながら2016年2月をもって閉館してしまったそうです。但馬惟友さんとマヌエーラさん夫妻は横浜市泉区岡津町へ転居したみたいです。いずれはこういう日が来ると思っていました。
 54年前仕事でポルトガルに滞在していた但馬惟友さんは、マヌエーラさんと出会い、大恋愛の末二人は結婚しました。遠く離れた異国の地にどうして行ってしまうのかと両親は悲しみ、日本に来ても、ご主人のお母さんには19年もの間無視されていたというマヌエーラさんですが、持ち前の明るさで乗り切ったそうです。日本人ってこういうところがありますよね。
 「ポルトガルの素晴らしさを日本人に知ってもらいたい」というマヌエーラさんの長年の夢を叶えるため、夫は22年前に脱サラし、コテージを始めました。夫婦2人できりもりし、料理も夫婦の共同作業、ニンニクやオリーブオイル、塩、胡椒をベースとした味で豊富な魚介類とお米を使うなど日本人の口に合うものを工夫しました。ペット連れで泊まれる宿としても有名で、多くのお客様に愛されました。

「ヴィラ ポルトガル」リーズナブルな価格設定で人気でした


会津磐梯山と猪苗代湖の間、冬はスキー客で賑わいました

■ 《ナルク横浜》で豊かなシニアライフを!
 但馬惟友さんとマヌエーラさん夫妻はナルク横浜に入会したようです。ナルクは、手助けを必要としている人々に、地域のボランティアがお手伝いする全国に拠点がある会員相互のボランティア団体だそうです。人生に定年はありません。ナルクの会員は自立、奉仕、助け合いをモットーに、援助の手が必要な方々に支援活動をし、それを「時間預託」として貯えて、将来その点数を使って他の会員から援助を受けることができるという、いわば昔あった「無尽」みたいなシステムですね。高齢化社会になって、いろいろなものが出来てきました。

■ 野草
 少年野球のグラウンドを借りている小学校に野草が群生しています。もちろん草取りもしていますが、植物の勢いは物凄く、追いつきません。ノビルが終り、今一番華やかなのはセイヨウタンポポの黄色い絨緞です。ドクダミやスギナもスゴイ!野草は一般的に花が小さいものが多いのですが、ハコベやオオイヌノフグリ、ホトケノザなどもルーペで拡大して見るととても綺麗な花です。カタバミやツユクサも綺麗です。
 こうした中で比較的花が大きくて綺麗なのがユウゲショウとナガミヒナゲシです。どちらも帰化植物だけあって、その生命力は物凄く、日本の野草はかないません。
 ユウゲショウは高さ20〜30cm、茎には柔毛があり、5月から9月にかけて茎上部の葉の脇からピンク色の直径1〜1.5cmの可愛い花をつけます。花弁は4枚で中心部は黄色です。「夕化粧」と言いながら、実際には昼間でも咲いています。オシロイバナの通称と紛らわしいので、アカバナユウゲショウ(赤花夕化粧)と呼ぶこともあります。稀に白い花のものもあります。
 ナガミヒナゲシはポピーに似ているケシ科の一年草です。街路樹の根元やアスファルトの割れ目、とにかく隙さえあれば生える超生命力の強い植物で、爆発的な繁殖力なので、埼玉県の新座市や飯能市のように見たら駆除せよという自治体が増えています。綺麗なのに駆除せよなんて可哀そうに...

ユウゲショウ

ナゲミヒナゲシ
 そのうち「野草」について特集してみたいと思っています。

■ 軍艦マーチが聞こえてきませんか?
 きな臭さはまだ続いています。空母カールビンソンと打撃群に、自衛隊のイージス艦「あしがら」と護衛艦「さみだれ」が合流し、戦術訓練と通信訓練を実施、日本のワイドショーは一斉にこの事実を取り上げ、「日米の緊密な連携を示すことは、核実験の兆候がみられる北朝鮮への大きな圧力になる」などと報じました。一方、稲田防衛大臣は、アメリカ側の要請を受けて、海上自衛隊の最大級の護衛艦「いずも」に日本周辺の太平洋で、安全保障関連法で可能となったアメリカ軍の艦艇を守る任務を自衛隊が初めて行うように命令を出しました。
 核問題などをめぐり、アメリカの要請も受けて北朝鮮への圧力を強める姿勢をみせる中国を、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙;労働新聞が名指しで批判したことについて、中国共産党の機関紙;人民日報が激しく反発するなど、中・朝の対立が先鋭化しています。中国は核実験を続けるなら石油供給を止めるなどの圧力を加えているみたいですが、一方でロシア軍が北朝鮮国境に向けて集結しつつあり、もし中国が石油を止めるならロシアが供給するのでは?などという憶測も流れています。安部首相はロシアのプーチン大統領と会談し、プーチンは「あくまで話し合いで、六ヶ国協議を再開しよう」と提案したみたいですが、そもそも六ヶ国協議を破綻させたのは北朝鮮です。したがってプーチン提案は、やっても無駄なことをやろうということで、事実上北朝鮮支持としか考えられません。
 ニュースを見ていると北朝鮮の現状は大日本帝国陸軍を見ているようです。いやむしろ中国や朝鮮半島を侵略していた大日本帝国よりはまだマシと言えるかもしれません。ワイドショーの取り上げ方を見ていると、何か軍艦マーチが聞こえてきませんか?かつて大日本帝国は世界中の国から批判されて孤立、米国から石油供給を止められた結果、開戦に反対した海軍を押し切って、真珠湾攻撃決行、「ニイタカヤマノボレ一二〇八」、「トラ・トラ・トラ」となったのです。軍事的圧力に加えて経済的圧力を加えられて、自暴自棄になったかつての経験を忘れてはなりません。戦争に勝利者は無し、日本人も中国人もロシア人もフランス人もドイツ人も皆知っています。

(2017年5月6日)


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