218  老若男女

 我が家の近くにはお茶畑が広がっています。住宅地に囲まれて広々としたお茶畑が残っていることは大変有難い、癒しの風景です。今そのお茶の木に新芽があおあおと風にそよいでいます。♪夏も近付く八十八夜、♪野にも山にも若葉が茂る、♪あれに見えるは茶摘じゃないか、♪あかねだすきに菅の笠・・・八十八夜は、立春から数えて八十八日目なので、毎年変わりますが、だいたい5月2日頃で、今年も5月2日でした。茶畑の写真は191『カフェ』(2016年11月6日)で紹介しました。

■ 5月13日はいろいろ記念日
 本日は我が高校の創立記念日、亡き母の誕生日、甥の誕生日です。湯島の東京ガーデンパレスで高校の同窓会があり、記念講演とプロデュースは「3月のライオン」「るろうに剣心」の大友啓志監督です。毎年300人以上が集まる大パーティで、先立って講演会、総会があります。このホテルは、別の会合でもしばしば訪れるので、いつも地下鉄お茶の水駅の出口から東京医科歯科大学のキャンパス内を横切って近道するのですが、驚きましたね。日本医科大学の学生が、東京医科歯科大学の診察室で医師を刺すなんて...

■ 見られる?見れる?
 ホームページに「見られる」と書いて、まてよ「見れる」が正しいかなぁ?と考え込んでしまいました。どちらが正しいでしょうか?Yahoo!知恵袋を見たら、「見ることが出来る」という可能形は「見られる」が正しいとのことです。受身と可能形が同形になることは、一段動詞なら起こることで、文脈からして判定不能ということはない、とのことです。ただ日本人の多くは、「見ることが出来る」の意味で「見れる」という語を使っているそうです。これは「関西方面に多い方言によるもの」であることと、「られ」の発音が言いにくいので簡単なほうが使われやすいこと、が原因で、あくまでも「文法的にはルールから外れているが、話し言葉としては通用している」のが現実なのだそうです。

 我が家の隣は焼肉安楽亭の駐車場です。フェンス代わりに赤茶色のラティスを立て、通年グリーンのつる草を絡ませていますが、今ぶら下げプランターに朝顔が発芽してスクスク育っていますので、これからは朝顔が一面に絡まって、全く隣が見えなくなります。その前に麦仙翁(アグロステンマ)が花盛り、ナデシコ科の美しい花です。右側に青々とした丸い葉が見えますが、これはスオウです。もうピンクの花が終り、勢い良く葉が伸びています。

■ ミャアミャア言葉
 話し言葉と言えば、米国のトランプ大統領の発言はなんとなくミャアミャア聞こえませんか?とにかくこの方、話題が尽きません。今度はFBIのコミー長官を突然解任し、マケイブ長官代行が米政府の説明に反論するなど、火を噴きそうな状況になり、大統領が焦ってつぶやきまくっている状態、何やってるの?と心配です。
 トップの話し言葉で思ったのが中曽根康弘元首相です。あと少しで99歳を迎えますが、この人の話し言葉は実に立派ですね。朗々と、明確に言葉尻を切って話します。
 ミャアミャア言葉で思い出したのが老若男女です。なんと読むの?若い人たちに聞いてみましょう。「ロウジャクダンジョじゃない?」「え、ろうにゃくなんにょでしょ?」・・・「男女」は「だんじょ」が普通で「なんにょ」とは言わないですよね。でも「長男」、「次男」は「ダン」ではなく「なん」です。「女人」は「ジョジン」とは言わず「にょにん」と読みます。では「若」を「にゃく」と読みますか?「若輩者」は「ジャクハイモノ」と言います。実はこの言葉は仏教系の言葉なので、老若男女と4文字になると「ロウニャクナンニョ」が正解です。会者定離をエシャジョウリ、大日如来をダイニチニョライと読みますが、こういうのが仲間です。

■ 過去の首相たちの名言
 中曽根康弘さんで思い出しましたが、この人の名言は「この顔が嘘をつく顔に見えますか?」でした。これは実は真っ赤な嘘でした。「大型間接税は導入しません」と言ったのに、売上税(現在の消費税に相当)法案を国会提出したのです。
 むかし日本にも「言語明瞭、意味不明瞭」という首相も居ました。言わずと知れた竹下登さんです。『元来私の答弁、よくぐるぐる回りすると言われるんでございますが、このいろいろぐるぐる回りながら到達したところは、非常に端的に皆さん方が大型間接税という言葉からくる懸念というものは、結局ぐるぐる回りしてみますと、ああいうものではないかと』・・・言葉尻はハッキリしていました。しかし何を言ってるのか良く分かりませんでした。ふるさと創生1億円をやりましたね。
 「貧乏人は麦を食え」と言ったのは池田勇人・通商産業(現・経済産業)大臣で、議事録によれば「私は所得に応じて、所得の少ない人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則に副ったほうへ持って行きたいというのが念願であります」と言ったのだそうで、資本主義経済下ならごく当たり前の話なのですが、現在のような「格差社会」でなかった時代にはこういう発言も問題になったんですね。ただし現在は米のほうが麦より安くなったので、「貧乏人は米を食え」と言うのが正しくなりました・・・さびしい話です。池田勇人さんは裏表が無く、建前と本音を使い分けられない人でした。これは政治家には珍しく、国のトップとしては理想的ですが、言葉が足りないのか失言が多い方でした。総理大臣になった時には「私は嘘は申しません」をキャッチフレーズとしました。「ウソだろう?」とヤジを浴びせられましたが、実際「10年間で所得を倍増させる」とした所得倍増計画をなんと7年で達成したのです。スゴイですね。

池田勇人元首相
 小泉純一郎元首相の名言と言えば、イラク特措法の「自衛隊を派遣できるのは非戦闘地域に限られる」という部分に関して非戦闘地域の定義を問われた際、「自衛隊のいるところが非戦闘地域だ」と答弁しました。ナンナノコレ?

■ 読売新聞を熟読?
 安倍晋三首相が、改憲に向けて面舵一杯、何やら波風が立ち始めました。衆院予算委員会で、改憲に関する考えを問われ、「読売新聞を熟読してもらえばいい」と答弁したことに民進党が反発し、政府の見解を示すよう求めていましたが、萩生田光一官房副長官は2017年5月11日午前の衆院議院運営委員会理事会で、安倍晋三首相の憲法改正に関する国会答弁は「国会を軽視するものではない」と釈明、その上で「批判は真摯に受け止め、今後とも言葉を尽くし、国会に対する責任を十分に果たしたい」と理解を求めました。最近の安倍晋三首相の国会答弁はいささか品位を欠く軽さが見られます。一国の総理が、国会の答弁で、特定の新聞の名前を出すこと自体がおかしいと、皆様思いませんか?恐らくおかしいと思わない人が多いのではないでしょうか。そもそも新聞を読まない人が増えているからかもしれませんが、それだけ日本の政治と、国民の意識と、いろいろなものが、過去の歴史とも、国際常識とも乖離してきているように思います。防衛大臣も務めた石破茂さんは、2012年に策定された自民党憲法改正草案に触れ、「直していかなければならないところもあるだろうが、一つの形がある。あれをどう取り扱うかが一番大事だ」と述べ、同時に「わが党の議員が自信を持って国民に対し、わが党はこう考えると説明できなくて、勢いで憲法を改正していいはずは全くない」と言って、党内で憲法改正に関する見解を集約すべきだとの認識を示しました。これが真っ当な考え方です。

■ フランスマクロン大統領誕生
 フランス大統領選挙はエマニュエル・マクロン前経済相(39)が極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン候補を破りました。ブリジット夫人(64)が人気です。フランスでは未婚の母というのが当たり前で、大統領と言えど愛人が居たりするお国柄、男は女にもてようと必死になるのが正しい姿なのですが、24歳8ヶ月年上の奥さんというのはいくらなんでも異例なのではないでしょうか。私立高校の教師のブリジットさんと、その生徒だったマクロン氏は、演劇の台本などについて議論する中で「信じられないほどに親密になった」のだそうです。17歳のマクロン氏は、銀行員の夫と3人の子供がいたブリジットさんに求婚し、快く思わない両親にパリの高校に転校させられてもあきらめずブリジットさんに電話などで気持ちを伝え続けたのだそうですよ。それから15年近い歳月を経て結婚、いわば略奪婚ですね。2人の間に子供はいませんが、7人の孫がいるそうです。ブリジットさんは、選挙戦では演説の草稿や公約の作成に助言をするなど重要な役割を果たし、3人の連れ子たちとの関係も良好で、陣営のソーシャルメディア担当や地域責任者を務めるなど、全面的に選挙活動を支えての勝利だったそうです。ブラボー!

フランス史上最年少就任のマクロン大統領と
ブリジット夫人、親子ぐらいの年の差です

■ 韓国文在寅(ムン・ジェイン)大統領誕生
 韓国の大統領選挙では圧倒的優勢と見られていた文在寅(ムン・ジェイン)候補が当選しました。2017年5月10日昼、新大統領は就任の宣誓を行い、任期5年の第19代大統領に公式に就任しました。朝鮮半島平和問題に関しては、必要なら直ちに「ワシントンに飛んでいく」とし、東京や北京を訪問する考えも示したほか、条件が整えば平壌にも行くと話しました。文氏の大統領就任で過去2代続いた保守政権から交代し、9年ぶりとなる革新系政権が誕生、朴槿恵前大統領(65)の罷免に伴う最高指導者不在状態は解消され、文氏の下で韓国は新時代を迎えました。
 日本では慰安婦問題などで反日的な発言をしてきた文在寅大統領を警戒する報道が多いですが、新大統領にとって今最も重要なのはアジア4位を誇る韓国経済の建て直しです。北朝鮮問題もありますが、むしろこの問題には新大統領が適任でしょう。もともと北朝鮮の出身ですし、同じ民族がいつまでも敵対していてはいけません。慰安婦問題など日本は棚上げして良いのです。韓国人から見ると安部晋三首相は、平均的日本人の思想からすると極右に見えるそうです。日本人から見ると文在寅大統領は左翼ではありますが極左ではありません。したがってこの二人の考え方は慰安婦問題では絶対融和しません。だから棚上げして、安保や経済問題で親密に協力すれば良いのです。過去日本政府が最も得意としてきた外交のやりかたを踏襲すればよいのです。

文在寅大統領

■ 韓流ドラマ
 日本における北朝鮮への感情はともかくとして、韓国に対しては余り好ましいものではありません。しかしながらテレビでの韓国ドラマは相変わらずやっています。韓流ドラマが好きという日本人女性が多いですね。それはイケメンが多く登場するからでしょう。女優も何故こんなに綺麗な人が続々と出てくるのだろうと思ってしまいます。ところで韓流と書いてなぜ「はんりゅう」と読むのでしょうか?実はこれ、中国語読みなんですね。日本では2004年に冬のソナタが流行ったのをきっかけに、韓流(日本語読み:かんりゅう)と使われるようになったようです。日本のドラマが面白くなくなったと言われて久しいのに、韓流ドラマがなぜ人気なのかというと、「切ない」とか「楽しい」とか、いわゆる日本的に言えばクサイところがモロに出るからです。だからストーリーがおおむねわかっちゃうという面があります。「おしん」とか「北の国から」「渡る世間は鬼ばかり」のようなドラマが今はなくなりました。そしてこれらTVドラマのほか、映画の寅さんシリーズや高倉健の映画は中韓、東南アジアで大人気でした。今の日本はお笑い芸人がひな壇に並んでナンチャラとか、ニュースがゴールデンアワーに陣取り、ドラマは刑事モノぐらい、だから映画館に行きたくなるのです。つまり韓国のドラマは、まだ日本が失ったものをやっているということで、これは遅れているということではありません。それだけ韓国人のほうが人生について正直で泥臭いのだと思います。

■ 人と政治は別
 このエッセイで度々書いていますが、いま韓国は大ピンチです。一番の問題は中国に干されていることです。朴槿恵前大統領が親中国反日路線を打ち出し、途中から米国の圧力で路線転換したら、セウォル号事件勃発、これは致命傷でした。さらにTHAAD配備で今度は中国からバッシング、最大のお得意様ですから輸出依存の韓国経済はガタガタ、加えて財閥バッシングで、若者の就職口がありません。しかも高齢者への年金制度が日本と違って後発ですから、高齢者と若者が仕事の奪い合い、世代間対立、もうシッチャカメッチャカです。
 韓国労働者の平均賃金が急伸長して日本を追い越したことを以前紹介しましたが、財閥で成り立つ韓国経済ですから、その財閥が国民に叩かれるということは自分で自分の首を絞めてるようなものです。北朝鮮問題が勃発して戦争の危機が迫ると、日本人と違って兵役のある韓国は現実に命の危険を実感します。なんとか戦いを避ける方向へ進もうとします。だから文在寅大統領の誕生は当然でした。
 中国人も日本観光が好きだというのはおおむね定着してきましたが、韓国人も実は日本大好きです。昨年の訪日観光客数は過去最高でした。ただ世論調査すると日本嫌いと中韓ともに出る、この違いは?つまり日本人やその生活態度は大好きだが、日本政府が嫌い、という意味なのです。日本人と政治を分けて考えていると言うことです。

■ おいなりさん  皆様、おいなりさん好きですか?筆者世代は稲荷寿司というと遠足、運動会などがすぐ頭に浮かんで、なんとなくウキウキするのです。「いなりずし」は、甘辛く煮た油揚げの中に、酢飯を詰めたもので、お稲荷さん、いなりなどとも呼ばれます。筆者は酢飯に紅生姜が必須です。これは北東北のいなりの特徴です。ニンジンやシイタケなどの具材を煮込んで混ぜる場合もあります。西日本はこうした五目いなりが多いみたいです。稲荷神社が祀る神は五穀を司る神様で、商売繁盛と共に豊作の神様であり、米を使用した俵型の稲荷寿司は、見ただけで有難い神様の贈り物につながるわけですね。全国各地にそれぞれ特徴的ないなりずしがあり、青森のシンプルいなり、埼玉の妻沼いなり、茨城の笠間いなり、ほかに沖縄まで、各地の名物いなりがあります。

美味しそうなおいなりさん
コレは五目いなりみたいですね

 日本三大稲荷の一つといわれる「笠間稲荷神社」の門前町として栄える茨城県笠間市の「笠間いなり寿司」の特徴は「そば」「くるみ」「舞茸」など様々な素材を使った“変り種いなり寿司”という点です
 4月に盛岡の義弟宅でご馳走になったいなりずしが綺麗な色で、とても上品なのです。頬張ってみたらこれはウマイ!聞いたら太子食品製だとのこと。そうか!ヤッパリ。実は北東北の人間にとって太子納豆の太子食品工業株式会社は有名なのです。納豆と言ったら水戸納豆と言われますが、本来納豆は寒い地域の発酵食品ですから、太子納豆を食べてみると納豆観が変わると思いますよ。

■ 太子食品の味付いなり  先日ららぽーと富士見の食生活提案型スーパーヤオコーで、太子食品の味付いなりを発見しました。その後別の店舗にも置いてあることが分かりました。ヤオコーはベルクと共に埼玉県では有名な食品スーパーで、いつも賑わっているのは、消費者の心をつかむ品揃えが特長だからでしょう。太子食品の味付いなりは10枚で定価250円ですから、中身無しの油揚げだけで25円は高いですね。もちろん売価は定価よりやや安いですが、それにしても他メーカーの味付いなりに比べれば随分と高いと言う感じがします。それでもヤオコーが置いているのは、本物の味が分かるお客様のためでしょう。こういうところがこのスーパーの良いところです。
 太子食品は青森県三戸郡三戸町に本社があります。1940年に納豆を看板として創業しましたが、近くの聖徳太子を奉った神社にちなんで、太子納豆と命名したそうです。1978年味付きの油揚げ「おいなりくん」を発売し、主婦から人気を得て、全国的に販売開始したようです。三戸町は岩手県との境で南が岩手県二戸市、東が南部町〜八戸市、西がにんにくで有名な青森県の田子町、そして十和田湖です。青森県南部は岩手県北部とともに南部藩、岩手県南部は宮城県と共に伊達藩でした。太子食品の味付いなりは十和田工場で製造しています。この会社はおいしい水の湧き出る地にしか工場を持たない、それは大豆と水が命の商品を作っているからです。そのこだわりが商品の美味しさに顕れます。

太子食品味付いなり


■ 駅弁「いなりずし」東西の雄  先に書いた通り各地に名物いなりがありますが駅弁で有名な「いなりずし」と言えばJR東日本では伊豆・伊東の「祇園寿し」ですね。ここは東京・浅草の映画街で弁士をやっていた守谷定一さんという人が、終戦後焼け野原の東京から伊東に移り、ここで店を開いたのが始まりだそうです。戦争で男たちは兵隊に行き、当然ながら農林水産業は働き手を失って衰退、敗戦で外地から生き残った兵隊さんや、満州始め各地へ開拓で移住していた人たちも続々帰ってきましたが、食べるものが無いうえに、海外から出戻りの人たちが帰ってきてますます食糧難です。そんな当時、白米を使った寿し飯を甘く濃い味付けをした油揚げに詰めたいなり寿し(祇園寿し)は大変な評判となりました。その後1959年に観光客で沸く国鉄(当時)伊東駅での構内営業が開始され、祇園のいなり寿しが伊東で初の駅弁となりました。6個入り¥600です。
駅弁「いなりずし」では、東の伊東、西の豊橋と言われるそうです。豊橋駅のいなりずしなら「壺屋」です。非常に甘い味付けで、東日本の人の口には合わないかもしれませんね。明治時代からだそうですから、もう百年の歴史を誇る老舗です。

伊東名物祇園のいなり寿司
(2017年5月13日)


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