149  大河ドラマ

 本日はあの阪神淡路大震災から21年目です。朝方、まだ大半の人が目覚める前、強い揺れがありました。東北の地震の多いところで育った筆者は、すぐ三陸沖が震源かと思ってテレビを点けました。ところが本来地震の少ない関西だと言うのです。テレビのニュースからは緊迫感を感じませんでした。板橋の、当時勤めていた会社の本社ビルに出社したら、エレベータ・ホールに「緊急事態発生!」の張り紙が大々的に張られ、社内は大騒ぎでした。神戸営業所があり、大阪支店の勤務者も神戸在住の人が居て、テレビ以上に生の情報が事態の深刻さを伝え、救援に行かなければ、と会社の危機感が盛り上がっていました。このとき、情報伝達の難しさを痛感しました。

■ 湯西川温泉
 昨週は娘が平家落人の里・湯西川に行って、湯西川館本館に泊まり、3種類の源泉の柔らかな湯で、24時間入浴可能だし、食べ物もとてもおいしかったと、大満足で帰って来ました。コスパ最高の雪見風呂!というその話を聞いたら、今度行ってみようという気になりました。
 湯西川は、住所が栃木県日光市湯西川、栃木県の北西部に位置し、鬼怒川からさらに先、会津西街道を北上し、五十里ダムの人造湖の中間点あたりから左折して湯西川沿いに湯西川湖(人造湖)を上り、ずっと行った山あいにあります。平家落人伝説も納得の秘境です。

元湯湯西川本館の露天風呂(同館ホームページより)

■ 桧枝岐温泉
 湯西川から帝釈山脈を越えると福島県桧枝岐(ヒノエマタ)村、田舎育ちの筆者がビックリするほどの秘境中の秘境です。40年前の話になりますが、GWに会社の若者たちとドライブに行って桧枝岐の公衆浴場に入っていたら、大勢の女の人たちが入ってきて、出るに出られず、湯だこになったことがありました。混浴だなんて知らなかったのです。女もみんなで入れば怖くない、と言う感じで、おばあちゃんじゃないんですよ、「あらまあ若い子」なんて言って、開けっ広げのおおらかな感じでした。今は無いでしょうね、こんなところ。桧枝岐周辺には木賊(トクサ)や湯ノ花など、温泉オタクから見るとヨダレが出るような名湯が点在しています。

■ 混浴も温泉の一形態
 混浴で有名なのは何と言っても酸ヶ湯(スカユ)温泉ですね。青森県の八甲田山麓にあり、八甲田山の黒石側になりますが、住所は青森市です。ヒバ千人風呂で有名な混浴大露天風呂、豊富な湯量と多くの効能により、江戸時代頃から湯治客でにぎわい、昭和29年に国民保養温泉地第1号の指定を受けています。その名の通り高い酸性度でお湯をなめると酸っぱいのです。女性専用時間も設けられています。
 また前に紹介した作並・鷹泉閣岩松旅館の岩風呂も有名で、ここも女性専用時間が設けられています。138『遺徳と功徳』(2015年11月3日)をご覧下さい。同じページで岩手県雫石町の鶯宿を紹介しましたが、昔はこの温泉地でも混浴がありました。農家の湯治が当たり前だった時代には、男も女も自炊しながら長湯治、温泉で疲れを癒したのです。ここには男助山と女助山という山があり、その谷あいに逢滝という美しい滝があって、神社があります。鶯宿で、助平の男女が神々の前で逢瀬を楽しんだら・・・やめましょう、脱線してとんでもないことになりそうです(^_^)。134『ふるさとツアー』(2015年10月6日)で触れた岩手県の八幡平市の山奥にある松川には今も混浴風呂があります。入り口と更衣室は男女別なのですが、入った先は混浴なのです。もっともこうした混浴露天風呂にはたいてい男しか入っていないのが普通です。
 週末は那須塩原を楽しんで来ました。温泉オタク、こんな話ばかりでスミマセン。ここはナトリウム・カルシウムー塩化物・炭酸水素塩温泉(中性低張性高温泉)で、一般的に含有量100mg以上で美肌の湯とされる天然保湿成分「メタケイ酸」がなんと266.6mg!の含有量のお湯でした。右写真は西館岩風呂ですが、下に出てくる湯仙峡のお風呂は最高でしたよ!

松川荘の混浴露天風呂は白い濁り湯


ホテルニュー塩原の男性大浴場


■ NHK大河ドラマの不振
 NHK大河ドラマは近年低調です。朝ドラが近年絶好調なのとは対照的です。昨年の井上真央主演の『花燃ゆ』がずっと不振で、最終回(第50話)の視聴率は前週(第49話)の13.4%よりダウンして、12.4%止まり。普通、最終回は盛り上がって視聴率が上がるはずなのですが・・・。最終回には、「2006年ミス・ユニバース世界大会」総合2位に輝き、現在はモデルやタレントとして活動する、ドラマ初出演の知花くららを津田梅子(津田塾大学の前身となる女子英学塾の創始者)役で鹿鳴館に登場させたにもかかわらず、残念でした。これで、全話平均は12.01%となり、2012年の『平清盛』(松山ケンイチ主演)と同率で、仲良く、大河ドラマ史上ワーストタイの不名誉な記録に並びました。『平清盛』はスタートがバッチイと言われ、近年の清潔好きな日本人には、汚れたぼろぼろの衣装が、時代考証的には正しいのでしょうが、ドキュメンタリーじゃあるまいし・・・、と不評でした。『花燃ゆ』はスタートの松下村塾のあたりも盛り上がりに欠け、「次はどうなるんだろう?」というワクワク感がありませんでした。朝ドラとの際立った違いは、このワクワク感、ドキドキ感です。イケメン揃いのスターを並べましたし、井上真央の演技も良かったのですが、やはり脚本ですネ。筆者は終盤の群馬県を舞台にしたあたりは面白くなって見る様になりましたが、これはかつて勤務した会社の主力事業所が藤岡市で、退職した仲間たちが富岡製糸場の世界遺産指定に奔走し、今ではボランティアガイドをしているような面から親しみを感じたのですが、全国の視聴者の皆さんはそんな縁など無いので、低空飛行が続いたのでしょう。

■ 『真田丸』は上々のスタート
 2016年の『真田丸』は2016年1月10日にスタートし、初回の平均視聴率は19.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったそうです。『花燃ゆ』は16.7%のスタートでした。筆者は少年野球の新年会で見れませんでした。再放送を那須塩原温泉のホテルのロビーで見ました。今後が期待できる素晴らしい出来栄えと見ました。大河ドラマ55作目で、戦国時代最後の名将・真田幸村=本名・真田信繁(のぶしげ)の生涯を描いたもの、タイトルの「真田丸」は大坂冬の陣で信繁が築いた最強の砦ですが、家族の物語として一艘の船に例えての意味も持たせているそうです。真田幸村は、徳川家康が敵ながらアッパレと讃えたことで知られ、昔から好意的に描かれる武将です。武田信玄の家臣から、織田、豊臣と仕え、豊臣家に忠誠を尽くしながら戦死しました。言わば「敗者の物語」で、これをどのように料理して行くのか、脚本が見ものです。

■ 三谷組オールスターキャストの超豪華出演陣
 『真田丸』は、『半沢直樹』(TBS系)、『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)で高視聴率をゲットし、“新・視聴率男”を襲名した堺雅人が主演を務め、脚本はヒットメーカー・三谷幸喜(54)です。「新選組!」(2004年)以来、2度目の大河脚本です。三谷脚本ということは、「笑い」があるということです。まじめな役者が大真面目でおかしなことをやるのが笑いのコツです。出演陣も文字通りの三谷組オールスターキャストです。草刈正雄(真田昌幸)、高畑淳子(母・薫)、大泉洋(兄・真田昌幸)、木村佳乃(姉・松)、長澤まさみ(幼なじみ・きり)、草笛光子(祖母・とり)、黒木華(初恋の相手・梅)、斉藤由貴(阿茶局)、平岳大(武田勝頼)、内野聖陽(徳川家康)、近藤正臣(本多正信)、藤岡弘(本多忠勝)、吉田羊(稲・小松姫)、高嶋政伸(北条氏政)、遠藤憲一(上杉景勝)、小日向文世(豊臣秀吉)、桂文枝(千利休)、鈴木京香(北政所)、竹内結子(茶々)、山本耕史(石田三成)、片岡愛之助(大谷吉継)、吉田鋼太郎(織田信長)らが出演し、その他の俳優も超豪華です。これで、視聴率が取れなければ、大河ドラマも終わりか?というぐらいのメンバーですね。しかも、出演者が皆、単なるまじめな役者ではなく、楽しい笑いをとれる人揃いという点が、今後の楽しみです。

■ 岩殿城に向かい勝頼の無念を思う
 第1話は「船出」。天正10年(1582年)2月。名将・武田信玄の急死から9年、武田家は当主・勝頼の下、絶体絶命の危機を迎えていました。重臣穴山梅雪(榎木孝明)の裏切りをきっかけに織田信長の大軍勢が領内に侵攻、諸城が次々に陥落して行きます。もはや戦力上これまで、と家来も覚悟し、新府城で織田勢を迎え撃つべしという論が大勢となりますが、武田に使える真田昌幸は上野国にある自らの居城・岩櫃城で織田を迎え討つよう進言し、勝頼がこれを認めたため、準備もあって真田昌幸は一足先に岩櫃城に出発します。残された昌幸の息子兄・信幸、弟・信繁のもとを夜半、勝頼が人目を忍んで訪れ「岩櫃には行かない」と告げます。そして真田兄弟の人質状態を解き、もし織田勢と遭遇しても大丈夫なようにお墨付きの書状を渡します。真田信繁は「信玄公はもはやいらっしゃいません」と言って、甲斐を捨てて岩櫃城へ行きましょうと翻意を促しますが、勝頼はもはや武田の明日はないと考え、真田兄弟を巻き添えにすまいと考えたのでしょう。歴史上は偉大なる信玄の哀れな息子に描かれがちな勝頼を、三谷脚本は悲運の武将でありながら、我が身を捨てて未来ある部下を慮る見事なリーダーとして描きました。「敗者の物語」でありながら、敗者に注ぐ温かい目を感じます。甲斐の岩殿城へ逃げる武田の本隊と別れ、父の待つ岩櫃に向かう兄弟、敵が目前に迫る中、家族を守りながらの決死行が始まる…という展開です。
 勝頼のその後は哀れでした。筆者の高校同期の人たちと岩殿城を訪れた時の模様をご覧ください→クリック。大月は少年野球の交流試合もあり、たびたび訪れています。岩殿山の絶壁を見るたび、勝頼の無念を思うのです。

■ 第1話は真田昌幸が一番かっこよかった
 第1話で一番かっこよかったのは草刈正雄演じる真田昌幸でした。きっぱりと言い切った後で、息子たちに真逆のことを言う、いわゆる建前と本音を見事に使い分けるところが、単に勇猛だとか策略家というのではなく、生き残るために考えに考えて道を選ぶ、死んだらおしまいだからです。兄・信幸は純真ですが、弟・信繁はその父を理解しているところが見どころでした。真田昌幸が武田勝頼を「浅間山が噴火しない限り武田家は滅びません!」と励ました直後に浅間山がドッカーンと噴火するシーンなど、これぞ三谷脚本だと思いました。過去三谷脚本は史実に忠実でないなどと批判されることもありましたが、ドラマというのは創作があって良いのです。朝ドラ「朝が来た」でも、史実に忠実なら、ふゆは新次郎の妾になって子供を産むし、姉のハツは若くして死にますが、それではつまらないのです。

■ 2016年の世界経済は激震で始まりました
 2016年早々、世界経済は激震に襲われています。中国経済の減速が世界中に暗雲をもたらしていたところに、サウジアラビアとイランの対立、北朝鮮の”水爆”実験、イスラム国に同調するテロがトルコやインドネシアで続発、投資家にとって、これはヤバイぞという危機感がリスクを捨てる姿勢につながりました。東京市場の新発10年物国債の利回りは0.190%、史上最低を更新しました。長期金利が下がるということは、投資マネーが金(GOLD)や国債などの安全資産に逃避していることを示します。こういうとき頼りになるのは米ドルですが、何故か世界的には円のほうがもっと買われるので、米ドルに対してすら円高になって117円ぐらいまで急激に上がりました。すると日本企業の業績の先行き懸念や、日本に来る観光客の減少懸念で日本の株価が下がりました。原油価格急落で中東の投資マネーが日本株から引き揚げているのも要因と思われます。
 投資家の懸念の最大要因は中国経済でしょう。不動産バブルが崩壊しました。これで中国の輸出入ともに減りました。それが新興国や資源国の輸出不振につながりました。

ホテルニュー塩原湯仙峡の露天風呂から見える滝
 そこに米国がゼロ金利政策を放棄して利上げ、欧州も日本も、いや世界中が金融緩和している中で、米国だけが出口政策を取ったことで、投資マネーが新興国から米国へ回帰しました。その米国も車がバカ売れで、低所得者にも売ろうとする車のローンが、住宅のサブプライムローンと似た様相を呈してきています。著名な投資家ジョージ・ソロス氏はリーマンショックの再来を懸念しています。2008年当時も日本の当局は大事にならないという見解でしたが、現実は大変なことになりました。輸入物価はリーマンショック以来6年2ヶ月振りの下落率を記録しており、主体は原油ですが食料品も下がってきています。株価下落、中国や新興国の不景気によって、日本の輸出企業にも不振なところが出て来ました。2016年度の設備投資には慎重姿勢が強まっていることも懸念されます。
 とはいえ、筆者がたびたび書いている通り、今回の下落がそのまま奈落の底へ、とは思いません。日経平均株価は1万6千円台から2万2千円へと反発、為替レートも117円から125〜130円へと向かうと思います。問題はその後、30年振りの大ショックが到来すると予想します。根拠は?ありません(>_<) 勘です。

■ 弱者対策?
 政府が低額年金者に一律3万円配ると言っていますが、参議院選挙直前のバラマキは選挙対策だと民主党が反発しています。公明党の強い要望で食料品の軽減税率が適用されることになりましたが、これも与野党で考えが違っているようです。弱者対策として与野党の言っていることは一見逆じゃないの?と考える人が多いのではないでしょうか。企業や富裕層から得た税金から弱者にお金を配るというと、一見弱い者の味方のように思えます。食料品の税率を軽減すると庶民は助かると思うでしょうね。しかし現実は、金持ちは高いものを食べますから、金持ちほど消費税を少なく納めることになります。また弱者が低額年金者、すなわち老人とするのは事実ではありますが、振り込め詐欺で何千万円もとられたというニュースが示すように、実はこの国で一番富裕なのが老人層であるのもまた事実です。派遣の若者や、若い独身女子、母子家庭などには、本来あってはならない貧困が押し寄せて、1億総中流だった昔が懐かしい格差社会が出現しました。今や日本は米国に次いで世界で2番目の貧困国(国民に占める貧困者の割合において)になったのです。3万円配るのがなぜ老人かというと、選挙に行ってくれる世代だから、というのが本音と見て民主党が批判しているのです。貧困者対策としては米国のほうが日本よりずっと国民に優しい、学ぶべきです。

■ 食料品の軽減税率適用で増税が前倒しに
 食料品の軽減税率は世界一貧困者が多い米国では論外で、豊かな欧州で適用されています。欧州といえば成熟した社会ですから、そこで取り入れている制度だからこれは良いのでしょうか?NEWSWEEK日本語版に、この問題にまっすぐ切り込んだ論文が載っていますからご覧下さい→クリック。米国に次いで世界第二位の貧困率である日本は、同時に世界一の債務国でもあります。国の財政赤字・国債残高を表示する借金時計をご覧下さい。借りているのは日本国政府、貸しているのは大概日本国民です。いま何より優先しなければならないのは増え続ける借金を抑えることです。利払いで税金が消えて行くような状況なので消費税増税が必要になったのです。それを食料品だけ軽減したら、ツケの後回しで、結局更なる消費税増税を招きます。消費税率15%を前倒しにするだけです。米国では貧困者には手厚い保護があります。税金は皆から頂く、困っている人は助ける、合理的です。
 結局食料品の軽減税率を採用した欧州はとんでもない税金を取るしかなくなりました。軽減した分の財源は?というと、結局税金しかないからです。米国と欧州と、あなたはどちらが良いですか?そうは言っても既に決まったことですから、日本は欧州の道をたどります。いえ、急激な少子高齢化の進展で社会福祉費用はうなぎのぼりになって、増税、増税、それもできなくなれば・・・、考えたくありません。

■ 生活困窮者自立支援
 生活困窮者自立支援制度も各自治体が力を入れて取り組むようになってきました。神奈川県などは進んでいます→クリック。生活保護は受けたくないが、年金だけでは暮らして行けないという貧困老人問題にも自治体は取り組んでいます。65歳を過ぎても働く老人が増えたのは、若者が減って雇用機会が増えたことも幸いしているのでしょう。これは筆者が支持するアベノミクスの効果とも言えます。反面格差拡大しますが、すべてがマルは無理なので、困った人には手を差し伸べることが必要なのです。生活困窮者自立支援制度は、年金や医療保険などのセーフティーネットに対し、「第2のセーフティーネット」と言われます。「最後のセーフティーネット」の生活保護の手前で支える狙いで、2015年4月に始まりました。自治体は窓口を設け、専門の担当者が一人ひとりの支援計画を作成し、就労支援や子どもの学習支援のほか、就職活動を条件に家賃を支給する仕組みもあります。事業の多くは任意で、自治体によって差があります。相談件数は自治体間で差が大きく、人口10万人当たりの政令指定市・中核市の月平均件数は、厚生労働省が定めた目標が20件ですが、30件以上が横須賀・相模原(神奈川)、大阪、30未満〜20件が盛岡(岩手)、長野、静岡、豊橋(愛知)、豊中(大阪)、那覇(沖縄)、他はみな20未満です。


この写真は何でしょう? 筆者の育ったところです。服装からみて、昭和30年代の写真かな?今は湖底です

(2016年1月17日)


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