93  総選挙2014

 2014年12月2日(火)公示された第47回衆院選は12月14日(日)投票、15日未明、全475議席が確定しました。自民党は追加公認1人を含め291議席を獲得し、公示前の295議席から減らしたものの、公明党の35議席と合わせ与党で衆院定数の3分の2を超える公示前の326議席を維持しました。自民党は事前予想通り、小選挙区定数の7割を超す223議席を獲得。安倍晋三首相の地元山口のほか、青森、群馬、滋賀、福岡など計18県で議席を独占しました。比例代表は2012年の前回選挙より11議席多い68議席まで伸ばしました。公明党は候補を擁立した全9選挙区で勝利。比例も堅調で26議席を確保、2003年に記録した34議席を上回り、現行の小選挙区比例代表並立制の下では最多となりました。投票率が急落して、史上最低の52%強となる中で、共産党と並んで最も支持者が熱心に投票所へ行く党という点が勝利の理由です。民主党は公示前勢力より11議席増の73議席を確保し、小選挙区で38議席、比例で35議席を得ました。地盤が比較的強固な愛知県で6議席と善戦したものの、東京都と埼玉、神奈川、千葉3県の首都圏で7勝39敗と大敗。海江田万里代表は東京1区で敗れ、比例復活もかなわず落選したため、代表辞任を表明しました。維新の党は1議席減の41議席、小選挙区11議席、比例30議席でした。前回選挙で、前身の旧日本維新の会は54議席を得ましたが、今回は地盤の大阪府でも5勝9敗と振るいませんでした。共産党は公示前の8議席から2倍超となる21議席に大躍進、比例20議席に加え、沖縄1区では現行制度が導入された1996年以来18年ぶりに選挙区の議席を得ました。旧維新から分党した次世代の党は小選挙区で2議席を確保しましたが、比例は議席ゼロで、石原慎太郎氏も落選、公示前の20議席から激減しました。生活の党は2議席で公示前より3議席減。社民党は沖縄2区などの2議席を維持しました。新党改革は議席を得られませんでした。

■ 憲法を変えようと目論む人々にとっては悪い結果に
 各党の議席は下記の通りです。じーーっと見ると、次世代が崩壊し、その分が民主と共産に回ったと言えます。維新は善戦です。自公の圧勝と言うよりも、自公は変わらず次世代が減ったということは、より右寄りの勢力が減ったということです。憲法を変えようと目論む人々にとっては、あんばい悪い結果になったと言えます。今回の総選挙前と後で、中心軸は若干右からセンターライン寄りへ戻ったということです。
自民 民主 維新 公明 次世代 共産 生活 社民 改革 諸派 無所属 合計
当選者 291 73 41 35 2 21 2 2 0 0 8 475
選挙区 223 38 11 9 2 1 2 1 - 0 8 295
比例 68 35 30 26 0 20 0 1 0 0 - 180
公示前 295 62 42 31 20 8 5 2 0 0 14 479欠1
自民…自民党 民主…民主党 維新…維新の党 公明…公明党 次世代…次世代の党 共産…日本共産党 生活…生活の党 社民…社民党 改革…新党改革 諸派(幸福実現党など)

■ デフレはイヤ!格差拡大・・・アベノミクス
 今回の選挙に関しては、81『 まさか』(2014年9月21日)で「今総選挙が行われたら自公の勝利は間違いありません。民主党は、自らを支持する層が自公や共産党のように磐石ではなく、アンチ自公の人が民主に投票するんだよ、ということを思い知るべきです」と書きましたが、それこそ今回の解散はその「まさか」でした。そして、予想通りと言うより、予想を超えた結果になりました。特定秘密保護法や集団的自衛権などの安保関係の右翼的政策を見れば、自公の議席はもっと減るだろうと考えられました。しかし日本の有権者の政治意識のレベルは高くありません。アベノミクスという経済面だけが浮き彫りになったら、自公が勝つに決まっています。輸入物価が高くなったところで、デフレのほうがもっとイヤというのは染み付いているのです。賃金が低くても、仕事が無いよりは良いのです。格差拡大するのは世界的兆候であり、それをダメだと言っても、1%の金持ちが支配する社会への流れは防げません。その象徴がアベノミクスだからです。

■ 党首が敗れて目が覚めるか?
 89『 なぜ解散?』(2014年11月16日)で、「民主党は今の執行部体制では、国民の支持は得られません。もうこりごりだ、と多くが思っているからです。思い切って若手に代替わりすべきですが、もう一度負けなければ目が覚めないでしょう。だから多分自公が勝つでしょう」と書きました。結果はどうですか?海江田万里代表が選挙区で落選、長年党の「顔」を務めた菅直人元首相が2年前に続き選挙区で敗退し、比例代表の最後の一人で菅直人氏は惜敗率84.6で第3位・比例復活、海江田氏は惜敗率83.3で第4位・落選となりました。最後の一人で滑り込み当選した菅直人元首相は、街頭に立って握手を求めても、通行人が顔を背けて手を出さない光景、惨めでしたね。これが2代前の日本の首相ですよ。選挙戦を通じて最も露出度の高かった党代表や、知名度の高い元首相が有権者に「ノー」を突きつけられる、これまでの党のあり方や方向性について、国民の多くが根本的な疑念を抱いていたからです。そんなこと、民主党の議員達は皆分かっていたはずなのに、どうして体制を変えなかったのか?リーダーシップのある政治家が不在だからです。野党の枠組みは今後、流動化せざるを得ません。次世代とか生活、社民、改革などの政党は解散すべきではないでしょうか?まあ、有っても良いが、この議席数では、政党討論に参加させる必要すら無いと言って良いでしょう。

■ 自公、共産以外が大同団結できれば・・・
 このままでは民主党は野党再編の主導権を握ることすら難しいでしょう。菅直人とか、枝野幸男と言った面々が奥に引っ込まなければ民主党は支持を回復できません。福島第一原発の事故処理で大失敗した、当時の菅直人首相や海江田万里経済産業大臣は、ずっと前に引っ込むべきでした。思い切ってイメージ一新して、自公、共産以外が大同団結して新しい党に生まれ変わるならば、次回選挙は様変わりになるでしょう。亀井静香や小沢一郎と言ったベテランを相談役で取り込み、細野や階といった若手を前面に出すことです。そのためには岡田や野田あたりも一歩引いて、というところでしょうか。前原や安住も過去のイメージが色濃い間は前に出るべきではありません。橋下や江田、松野という、アピール力のある政治家に広報を任せることです。もしそういう野党が生まれたら、無党派層が戻る可能性があります。上に書いたように、次世代の党が減った分が民主と共産に回ったわけですから、改憲を目指す勢力には痛手で、安倍総理も思惑が外れました。

■ 露骨に野党大物を集中攻撃した安倍総理
 産経新聞によりますと、今回の選挙で安倍総理は民主党幹部や小沢一郎生活の党首の「狙い撃ち」を指示しました。「ありったけ日の丸の小旗を用意しろ!過激派の支援を受ける枝野幸男(民主党幹事長)の地元に日の丸をはためかせるんだ…」こんな指示が、東京・永田町の自民党本部4階の幹事長室に降りたのだそうです。副総裁の高村正彦、幹事長の谷垣禎一、選対委員長の茂木敏充ら党執行部を招集し、終盤戦の方針を決める選対会議でのことです。配られたのは、3回にわたる自民党の世論調査結果と、重点区に位置付けた35選挙区の一覧でした。
 民主党代表・海江田万里(東京1区)、幹事長・枝野幸男(埼玉5区)、選対委員長・馬淵澄夫(奈良1区)、国対委員長・川端達夫(滋賀1区)・・・、いずれも自民党候補を相手に苦戦していました。官房長官の菅義偉と手分けして、海江田や枝野、馬淵ら党執行部だけでなく、元首相の菅直人(東京18区)、元衆院議長の横路孝弘(北海道1区)、元厚生労働相の長妻昭(東京7区)、元外相の前原誠司(京都2区)らの地元で民主党批判を続けました。埼玉5区・・・JR大宮駅前の選挙カーの上から、日の丸の小旗を手にした聴衆約4,500人(自民党発表)で埋め尽くされた光景を見て、安倍は満足そうな笑みを浮かべたそうです。歴代首相も衆院選では全国遊説を行い、各地で票を掘り起こしてきましたが、これほど露骨に野党大物を集中攻撃した首相はいないとのこと。自民党幹部は「競ってる選挙区を選ぶと、たまたま民主党の大物議員の選挙区だった」と語ったそうですが、それならば、圧倒的強さを見せる代表代行の岡田克也(三重3区)の地元まで足を運んだことの説明が付きません。いくら集中攻撃をかけても、岡田克也は磐石の支持基盤があって、どんな大物を対抗馬に立てても勝てる見込みはないからです。ところが、不思議なことに民主党でも元首相の野田佳彦ら保守色の強い議員の地元には踏み込んでいません。総選挙後の野党再編の動きをにらんで、変に刺激しないようにしたのでしょう。

■ 民主党代表の追い落としに成功した安倍総理
 枝野幸男もさすがに危ないと感じて、他所の選挙応援を切り上げて、終盤地元に張り付き、僅差で勝ちました。結局菅直人(東京18区)と川端達夫(滋賀1区)は比例復活となりましたが、他の大物は貫禄を示して当選した中で、海江田万里(東京1区)民主党代表を落としたことは、安倍の勝利です。終盤、海江田の巻き返しを感じて、これでもかと強烈な応援部隊を送り込んで、山田美樹氏をテコ入れしました。民主党は11議席も増やしたのに敗北ムードなのは、目標の100議席に遠く及ばなかったことの他に、党首が落選するという、片山哲以来2度目の失態を演じたからです。

■ 特異選挙区の岩手県は・・・
 小沢一郎も、過去はほとんど地元岩手で選挙戦を戦うことが無かったのに、終盤3日間ドブ板選挙で、ビールケースの上に立って指示を訴えました。安倍の長州・山口県に次いで、2番目に首相を輩出している南部と伊達の岩手県民は、さすがに「おらほのセンセイ」を裏切ることはありませんでした。岩手1区でも、民主党副幹事長の階 猛前議員(シナ タケシ、オバマ大統領似で、筆者と同じ雫石出身)は、当初自民の元アナウンサーの高橋比奈子前議員の前に劣勢と伝えられましたが、安倍の応援が逆に岩手県民の反感に火を点けて、大差で階が当選し、高橋比奈子はまたしても比例復活となりました。2区は生活の党の畑 浩治前議員に自民党の鈴木俊一前議員が競り勝ちました。鈴木善幸元首相の息子ですから、根強い支持者がいます。筆者の亡き父も熱心な鈴木善幸支持者でしたね。3区は民主党の黄川田 徹元復興相が圧倒的支持を受けて当選しました。岩手は比例復活も含め、4区全部で自民党議員が当選し、野党3、自民党4となり、野党5、自民党4の沖縄みたいな形になりました。

■ 小選挙区制の特徴がハッキリ出ました
 ただ、自公圧勝というものの、選挙結果をジックリ見ると別の面が見えてきます。安倍総理は選挙後の記者会見で、与党の大勝にもかかわらず、「アベノミクスをさらに前進せよ、その声を国民の皆様からいただくことができました。わたしたちが数におごり、そして謙虚さを忘れてしまったら、国民の支持は一瞬にして失われます」と述べました。これは、過去の選挙結果を見て、小選挙区制の怖さが身に染みているから出てくる言葉です。今回は投票率が急落して、2人に1人しか投票していません。いわゆる浮動層が今回は動かなかったということです。政治に期待できないという諦観がそうさせているのでしょうが、香港や台湾での若者の熱気や、タイやウクライナでの住民の政治的対立を見るときに、平和ボケ極まれりという気もしますが、ボケていられる幸せというのもあるのかもしれません。
 自民が強かったと言っても、今回は有権者全体の17%の支持しか得ていないのです。小選挙区で自民が強かったのは、岩手を除く東北、関東、東京、信越、北陸、中国、四国、九州です。民主が強いのは北海道、岩手と東海、維新と公明が強いのは近畿、特異だったのは沖縄です。共産党が唯一議席を得たほか、社民党、生活の党、無所属が4議席獲得、4区すべてで敗れた自民党が比例ですべて復活し、維新の下地さんも比例復活して立候補者9名がすべて当選すると言うスゴイ結果になりました。これも小選挙区で圧倒的に自民党が強い九州の中に入ったためですが、小選挙区比例代表制というのはこういう制度なのです。先の沖縄県知事選で明確に「辺野古ノー」の民意が示された選挙協力のままで衆議院選挙になだれ込んだので、自民対オール野党という構図になれば自民が負ける、共産候補でさえ当選するということが示されました。全国的には野党協力の協議をするヒマも無かったので、共産以外候補者を立てられないという選挙区もありました。その意味では安倍総理の作戦がまんまと成功したわけです。

■ 比例区の結果でわかること
 「辺野古」という争点が明確だったから沖縄で自民が負けたのか?それがあったから反自民で野党協力が実現したから、と言えます。争点が分散すると協力が実現しにくいかもしれません。投票率が低いと自公、共産が強いのは当然です。今回、沖縄の投票率はほとんど全国平均と同じでした。つまり、投票率とは関係なくアンチ自民のほうが多かったのです。全国でも、沖縄のような構図になれば小選挙区では自民が負けますが、支持者が多いので惜敗率で比例復活する確率が高く、小選挙区比例代表制というのはどっちにしても第一党に有利なシステムです。死票が多い小選挙区制の特徴は、比例での政党別支持率と照らし合わせて見れば明らかです。下図のように自民はほぼ投票者の3分の1の支持率、公明と組まなければならない理由が分かります。投票率が上がるほど支持率が下がり、自公合計で4割を切るでしょう。安倍総理の選挙後記者会見の意味はこういうことなのです。
単位:% 北海道 東北 北関東 東京 南関東 北陸信越 東海 近畿 中国 四国 九州
自民 29.9 33.1 34.4 32.2 34.1 36.2 33.4 28.9 37.8 34.9 34.2
民主 28.1 22.4 17.8 16.6 17.7 22.2 23.3 12.4 17.3 21.0 16.3
維新 9.7 13.0 13.9 14.2 15.2 13.9 14.9 26.1 12.8 13.1 12.9
公明 12.4 11.1 14.9 12.3 13.1 9.4 12.5 14.7 16.7 15.8 17.8
共産 11.9 9.8 11.7 15.4 12.0 10.1 9.6 12.9 9.2 9.4 9.2
2014総選挙・比例区の政党別支持率
 今回の当選者から憲法改定に賛成か反対かを聞いたところ8割が賛成だそうです。ところが、世論調査を行うとそうはなりません。特に憲法9条について問われれば、自衛のため以外の戦争をしたいほうに賛成が多くなることは今のところ無いでしょう。戦争の記憶や親からの伝承を受けた世代が居なくなれば分かりませんが・・・。

■ 東京株式市場の反応は?
 東京株式市場は投票日前に進んだ円高、外国人の日本株式売りで下げる展開になっていました。筆者は選挙明けには日本株は下げる、と周りに言っていました。その理由は、自公圧勝は織り込み済みで、ここまでグイグイ上げてきた外人投資家が売らざるを得ない局面になってきたので、日本の選挙結果は関係ないと思っていたからです。週明けの東京株式市場は、大きく売られる展開になりました。与党の圧勝は、市場の予想通りでしたが、原油安による世界経済の先行き懸念が、相場を押し下げる展開となったからです。 先週末のニューヨーク市場は、原油価格の行き過ぎた下落が世界景気にマイナスに働くとの懸念から、ダウ工業株30種平均が大幅安となりました。 この流れを受けて、東京市場も下げ足を強めているのです。株式市場はアベノミクスではなく、世界で今進行している原油安、ルーブル安に専ら関心が移っているのです。
 ただしこのまま日本株が下げるかと言うとそうはなりません。日本の老人の富を吐き出させるまでは、外人投資家は日本市場で上げたり下げたりを繰り返します。右に日経平均株価の1980年以降の変遷グラフを載せました。これは平均値なので、瞬間的にはもっと過大、過小な瞬間値も出ました。バブル経済頂点のチョイ前に39千円近くを記録し、槍ヶ岳のようなピークの後、17→20→14→19→8.5→17→8.4→18と推移してきました。制御のハンチングから見ますとおおむね底値は8.5ぐらいに収斂して来ています。リーマンショック後の2009年2月に7.5ぐらいを記録しましたが、月次では8.5と見れば良いでしょう。一方ピークのほうは、今回アベノミクスで従来の低下傾向から鎌首持ち上げました。したがって、20ぐらいまでは行って良いはずです。したがって調整しながらじわじわ上がって、またドーンと下げます。上げはゆっくり、下げは急落です。大きく下げたとき投資資金はコモディティにシフトして、金やオイル、穀物価格が上がります。
世界経済のネタ帳より

■ 拡がる中米日の経済格差
 WTI原油価格がバレル80ドルを割ることはもはや無いだろうと言われていたのに、まさかの急落となっている今、株式への投資資金は多少の上げ下げはあってもここにとどまります。米国のひとり勝ちの状況で、素人が投資するなら米国ですが、株はハイリスクです。米ドル預金は確実に金利が付いて増えて行きます。その上ドル高で為替差益も出ます。もっとロングレンジで考えれば中国がもっとも有望です。人民元/日本円は急激な元高円安が進んでおり、もはや20円/元が視野です→世界経済のネタ帳。人民元は米ドルに対してもグイグイ元高になっています。足許では不動産市況の低迷や、経済成長率の低下が見られますが、まだまだ沿岸部と内陸部の格差が大きく、成長志向がみなぎっていますから、低下一方の日本と違って激しい勢いで日本との差が拡がって行くでしょう。日本の金持ちは、リスク分散のために海外への資産移転を進めました。日本のマネーはいつ紙くずになってもおかしくないですから。

■ 原油価格まさかのバレル60ドル割れ
 為替レートがドンドン円高になっていたとき、筆者はたびたび世界経済の動きについて書きました。東日本大震災直後に1ドル76円25銭の史上最高値を記録して以降、為替レートはジリジリと円安に戻ってきました。為替レートも株価も、コモディティ価格も、急激に動いているときは、見つめるだけで手を出してはいけません。長期レンジ・・・いわゆる最短でも3年〜5年のレンジでモノを考えられる人ならばマネーゲームにも勝てる可能性はあります。ただ商品先物や株式先物には「証拠金」というシステムがあって、ある程度以上に価格変動が大きくなると「証拠金」を積み増さなければなりません。シェールガスに危機感を抱いたOPEC主要国が原油安を放任したため、原油価格はWTIで、まさかのバレル60ドル割れ、半年で半値になってしまいました。「証拠金」のために、ヘッジファンドや外国人投資家が日本株を売らざるを得なくなったのが株安の原因です。企業業績など関係ありません。ちなみに、「じゃあ、何故ガソリン価格はちょっとしか下がらないの?」と思っている方に回答、日本のガソリン税は凄く高いこと、円安が進行したこと、ここまでは建前、本音は「価格は市場が決めるもの」、ガソリンスタンドの寡占化が進んで現在は売り手市場なので、オイル価格は思いのほか下がりません。そして石油会社も利益が出ません。

■ 世界経済にヤバイ動きが・・・
 原油価格の暴落で、産油国経済は大変なことになっています。中東はこれまではバブルだったので、まあそれは良いとして、問題は大国ロシアです。主要輸出産品はエネルギー、その価格暴落で収入が下がりますから、当然ルーブルは下がります。すると輸入食糧価格が上がるので、生活が苦しくなった国民の不満が募ります。そうこう言っているうちにルーブルが大暴落、ちょっと待って、冗談じゃあないよ、ロシア国民は慌ててUSドルを買いたいけれど買えません。持っているだけでルーブルの価値は日に日に下がります。ヤバイ、とにかく貨幣をモノに替えなければというので、ドイツ製高級車など、とにかく高ければ高いほど良い、という買い物をするものですから、クルマの価格はますます上がります。ハイパーインフレです。これを受けて世界各国で通貨安が進み始めています。現在は米国だけが好調のような様相です。日本国債は、消費税増税延期を受けて、格付け機関が一斉に評価を落とし始めています。今はまだ序章です。やがてもっともっとヤバイ事象が出てきます。

■ 日本は先行きヤバイ
 日本国民はロシアを他人事と見てはいけません。日本の借金時計を前回載せましたが、凄まじい借金増加が時々刻々続いていて、一向にブレーキがかからないばかりか、利払いしてもしても借金が減らず、首も回りません。選挙結果を受けてアベノミクスはいっそう進むでしょうが、問題はまた借金して経済対策しようとしていることです。元本を減らす対策が増税ですが、それも先延ばし、団塊の世代が年金生活に入り、預金を取り崩し始めていますから、日本人の預貯金はジリジリ減って、やがて債務超過となったときに、一気に過去のつけ払いが襲い掛かり、日本もハイパーインフレになるでしょう。わかっちゃいるけど、やめられない、ホレ、スイスイスーダララッタ、スラスラスイスイスイ、日本無責任男は誰だと、責任追及されたところで、もはや過去の話になっていたんだとさ、どんどはれ。

■ 牛丼アベノミクス…吉野家も
 牛丼チェーン店を運営する吉野家が、今日2014年12月17日午後3時から、牛丼価格を税込み価格で80円値上げしました。牛丼並盛が300円から一気に380円です。大盛は90円高い550円に、特盛は120円高い680円に値上げします。牛カルビ丼並盛は490円を100円値上げして590円にしました。値上げ幅は80〜120円と小さくなく、しかも1年足らずに2度の改定です。人気の「牛すき鍋膳」は現行価格の630円のまま据え置くので、自然にお客様はこちらに流れます。吉野家もワンコインでは敷居をまたげない時代になったということです。
 牛丼チェーン大手3社の牛丼(並盛)の価格は、2014年3月までは280円で横並びでした。それが4月の消費増税後、吉野家は300円に、松屋は290円に値上げ、すき家だけが270円に値下げしました。ところが、7月に松屋が熟成されたチルド牛肉を使った380円の「プレミアム牛めし」に移行し、実質的な値上げを発表、すき家も8月に、牛丼(並盛)を270円から291円に引き上げました。
 値上げの理由は、急速に進む円安と米国産牛肉価格の高騰のようです。先々回で、「アベノミクスにとって、デフレの象徴牛丼、牛めしは好ましくないものですが、恐らく長い目で見ると値上げ方向でしょうね」と書きましたが、まさかこんなに早く値上げされるとは予想外でした。

さらば吉野家の¥300牛丼

■ サラリーマンのお小遣い
 バブル頂点の頃のサラリーマンオヤジのお小遣いがひと月7万6千円だった頃、吉野家の牛丼は380円から400円に値上げされたそうです。2014年のお小遣いの平均額は月額39,572円(前年比1,115円増加)で2年ぶりに上昇したとのこと。ただし、この数字はリーマンショック前の水準には及ばず、調査開始以来、過去4番目に低い金額です。また、昼食代は541円で、ワンコイン(500円)+消費税8%の水準です。1回の飲み代は、前年比9円増の3,483円で、回数も微増。1か月の飲み代は770円増加の8,459円で2年連続で上昇しました。ちなみに、女性会社員のお小遣いの平均額は男性会社員より2,860円低い36,712円となっています。

■ ソフトバンク・秋山幸二前監督の千晶夫人が病気で逝去
 ソフトバンク・秋山幸二前監督(52)の千晶(ちあき)夫人が病気で死去されていたことがわかりました。55歳でした。家族や近親者のみで密葬するようです。千晶夫人はソフトバンクが日本一になった2011年のオフに病に倒れ、秋山監督は2013年に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパン監督として候補に挙がったときも、夫人の看病のため辞退しました。全国の病院へ付き添って回って、その家族愛は涙無しには語れません。日本一に輝きながら今季限りで辞任したのも、奥様に付き添うためでした。
 千晶さんは東国原英夫さんの元妻・片平夏貴さん(フリーアナウンサー)の実姉でした。秋山幸二さんは実姉も白血病で亡くしています。息子も生まれて間もなく亡くしました。野球人生では、大リーグの選手たちからも「スゴイ選手」と評価され、輝かしい栄光を残しましたが、私生活では不運な方でした。
 1994年オフに二人は結婚、結婚20年での悲しい別れでした。秋山幸二さんは西武からトレードで福岡へ、弱小チームを強豪へと引っ張り上げ、ソフトバンクホークスの監督まで務めました。千晶夫人は、夫と一人娘の真凛、実母の明美さんと暮らしていましたが、そろそろ自分の時間を持とうと考えて、プリザーブドフラワーの会社を立ち上げた矢先に病気で倒れました。
 奥さんが闘病生活で入院しながらも監督業を続けていた監督といえば、東北楽天ゴールデンイーグルスの星野仙一前監督のエピソードが有名ですが、ソフトバンク(当時ダイエー)の王貞治監督も同じように監督在任時に奥さんを胃がんで亡くされていました。
(2014年12月17日)


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