89  なぜ解散?

 今すごい勢いで変動が起きています。きっかけとなったのは米国の選挙で共和党が上下院でネジレ解消、この原因はオバマ大統領の不人気、APECで日中韓露の雪解けの動き、東シナ海で緊張していた中国とベトナムやフィリピンがASEANで接近、80ドルはもう切ることが無いと言われていた原油価格の75ドル割れ、米国株価が史上最高値を更新し続けて、つられて日本の株価も上昇、急激な円安ドル高、彗星にヨーロッパの衛星着陸…これは関係ないか。
 何が起きているのでしょう?この潮流の底にあるものは何か?そして、驚いたことに、安倍首相が国会を解散すると言うのです。日本株は今週がヤマで一度ガーンと下げるでしょうと前回書きましたが、この「解散」話でそれは吹っ飛びました。総選挙になると巨額の金が動きますから、過去の事例で明らかなように株は絶対上がるのです。日銀の追加緩和もビックリでしたが、今度もまたビックリ、これでもかと株価を上げる手を打つのは何故?

■ まさか?
 81『まさか』(2014年9月21日)で「今総選挙が行われたら自公の勝利は間違いありません。民主党は、自らを支持する層が自公や共産党のように磐石ではなく、アンチ自公の人が民主に投票するんだよ、ということを思い知るべきです」と書きました。先週の時点で国会の解散という話もチラリとはありましたが、それこそ『まさか』と思っていました。自公合わせての現有議席は、もう二度と得がたいような圧倒的多数です。今なら何でもできる、現に過去には考えられなかったような法律が出せば通るようになっています。そんな状況で解散は無いだろうと誰もが思います。

■ 巨額の税金が使われる
 安倍晋三首相が年内に衆院解散に踏み切るとの見方が広がり、永田町に解散風が吹き始めました。12月2日公示―14日投開票や、9日公示―21日投開票とする日程が取り沙汰されています。一旦解散風が吹き始めるともはや止まりません。戦がメシより好きな武士同様、選挙が好きなのが政治家です。もし、衆院が解散して総選挙になると、どれくらい税金が使われるのでしょう?今回の衆院選実施にかかる費用は約7〜8百億円と報じられています。2012年の衆院選では、約650億円の税金が使われました。

■ なぜ今解散?
 今政府は有識者から消費税を予定通り上げるべきかどうか意見を聞いています。上げるべきだという人が3分の2です。それなのになぜ今解散なのか?解散するのなら、意見なんか聞いてもしょうがないのではないか?散々報道されていますが、2015年10月からの消費税10%へのアップができそうもない、これは法律を作って決めたことであり、しかも2年前はこれを自公民で決めて解散総選挙に打って出たわけで、国民に対する約束が果たせないから、申し訳ありません、もう一度信を問わせて下さいというわけか?野党の多くは、アベノミクスの失敗解散だと言っていますが、それは消費税を3%上げたのにインフレ率が思いの外上がらない、実質物価上昇がゼロだからです。その理由は明確で、日銀の異次元緩和で急激な円安ドル高となり、輸入品の値上がりムードが高まったので消費者が自衛のために安物買いに走り、それを見た小売業界が値下げセールなどを頻繁に打ち出して、デフレムードから脱却できないからです。サラメシはワンコインとか弁当持参となり、チョット一杯飲みに行く居酒屋も安いところに・・・、すなわちアベノミクスで大企業や株に投資する人はルンルンですが、大多数の庶民は逆に生活防衛に走っているわけです。

村主章枝が引退を表明しました
だから物価が上がりません。ここで予定通り消費税を上げたら更に国民心理に冷水を浴びせることになる、内閣参与の浜田さんや本田さんの言う通りになる、ヤバイ!と安倍晋三首相は考えたのでしょう。

■ 結果はどうなる?
 首相になったら、やってみたいのは解散です。首相しかできないのですから。野田前首相は、消費税を上げるのと身を切る改革をセットにして自公民で約束して解散した、安倍はハッキリ約束したのだから、身を切らずの解散は重大な約束違反だと怒っています。これは当時国民皆聞いていました。ただし、当世の政治家というのは約束を破るのが当たり前です。安倍晋三首相は、閣僚が辞任しようが内閣支持率が相変わらず50%超であるのを見て、日本国民の支持は我にありと確信していると思われます。諸外国に頻繁に出かけて、各国首脳と堂々と接する姿は、かつての中曽根首相以来の頼もしさです。ただ、習近平や朴槿惠(パク・クネ)は安倍嫌い、先般のAPECでの対面は凄かったね。あんたは嫌いだ、というのがものの見事に表現されていました。
 格差拡大は世界の潮流です。前回書いたように、ペシミスティックな経済論よりオプティミスティックな安倍さんのほうが好きだ、ということです。オバマの不人気、安倍の人気、国民の気持ちが現れています。民主党は今の執行部体制では、国民の支持は得られません。もうこりごりだ、と多くが思っているからです。思い切って若手に代替わりすべきですが、もう一度負けなければ目が覚めないでしょう。だから多分自公が勝つでしょう。

村主章枝は女性らしい柔らかな可愛らしさがありました

■ 選挙になったら?
 安倍晋三首相の作戦は、女性閣僚の辞任によるつまづきがあり、景気の悪化でアベノミクス失敗の烙印が押されそう、沖縄県知事選は負けそう、このままではドンドン足許が危うくなる、ヨシ、その前に一旦リセットしようということです。これはハッキリ言って卑怯ですね。このやり方を見て、安倍晋三首相を見る目を変える国民も出るでしょう。経済面でのアベは好きだが、集団的自衛権や特定秘密保護法のアベは嫌いだという国民は多いはずです。ただ、だからと言って民主党はもっとイヤだということもあり、悩ましいヒトが多いでしょう。選挙になったら、自分にとって最も重要なポイントについて判断基準にすれば良いのです。集団的自衛権、特定秘密保護法、憲法、労働者派遣法、株価、TPP、年金、社会保障、原発、地方創生、・・・いっぱいテーマがあります。

■ 沖縄県知事選は予想通り翁長氏の勝利
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設が最大の争点となった沖縄県知事選は、移設に反対する無所属新人の前那覇市長、翁長雄志(おなが・たけし)氏(64)が、移設推進を訴えた無所属現職の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)氏(75)ら3氏を破り、初当選しました。政府方針を支持する仲井真氏の敗北は、衆院選を前に自公には打撃となるでしょう。政府は移設を予定通り進める方針ですが、移設反対の民意が3分の2を越えるということは、移設計画をごり押しするのはもはや無理でしょう。沖縄自民党の要であった翁長氏を共産党が支援するという前代未聞の保革共闘態勢で臨んだら、いかに首長の多くが支援する仲井真氏が自民、次世代の支援を得ても、到底かなわない、選挙と言うのはそういうものです。

■ 小笠原諸島周辺の中国漁船団
 東京都の小笠原諸島周辺などに多数の中国漁船が押し寄せてから2ヶ月が経過しました。突如として現れた大船団に海上保安庁や水産庁はおおわらわです。政府が尖閣3島を国有化した2012年9月以降、尖閣諸島周辺で中国公船による領海侵入が急増し、海保は全国から応援の巡視船を派遣してきました。小笠原では、海保は水産庁の取り締まり船2隻と合わせて5隻程度で密漁船の取り締まりにあたっていますが、逮捕できた船長は6人。逮捕後も法令に基づき洋上で釈放しています。そもそも海保が最初に中国漁船団17隻を上空から確認したのは9月15日でした。その半月後の10月1日には2倍以上の42隻。さらに同30日には伊豆諸島周辺を含めて最多の212隻が確認されました。この海域に中国船が数隻で来たことは過去にもあったそうですが、200隻以上の漁船が一度に押し寄せたのは初めてだそうです。
 中国で赤サンゴは縁起がいいとされ、歴代皇帝の装飾品などに珍重されました。中国では2010年に水産資源を保護するため海島保護法が施行され、サンゴの捕獲やサンゴ礁の破壊が禁止されました。その結果、一獲千金を夢見る漁民が小笠原諸島まで来るようになったのでしょうか。赤サンゴの価格はここ3、4年で急騰し、日本近海で取れた最高級の深紅のサンゴは1グラム当たり最高1万元(約19万円)と、金の約40倍です。密漁で中国で捕まれば懲役5年から10年の刑になるのに、日本では捕まっても無罪、有罪でも罰金刑で釈放されます。これでは『泥棒さん日本にいらっしゃい』と言っているようなものです。中国当局に漁船を摘発するように要請するしかないでしょう。

■ しじみの味噌汁
 しじみの味噌汁は二日酔いに良いとも言われますが、何より良い出汁が出ます。砂抜きをするのに、アサリの場合より塩分3分の1ぐらいの薄い塩水を作り、しじみ同士が重ならないように写真のような底付きざるに並べ、しじみが水に水没しない程度の水位で、上に新聞紙を置いて暗くして静かな場所においておきますと砂を吐いてくれます。味噌汁はしじみから出汁が出るので、調味料は不要です。

しじみの砂抜き

■ 訃報
徳大寺 有恒さん2014年11月14日ご逝去、享年75歳。東京都出身の自動車評論家、元レーシングドライバー
本島 等元長崎市長2014年10月31日ご逝去、享年92歳。1979年から1995年の4期にわたり、長崎市長を務めました。昭和天皇が重病で余命が長くないと知らされ、国中に自粛のムードが漂っていた1988年12月7日、市長3期目の在任中だった本島市長は、市議会で共産党の議員の天皇の戦争責任に関する意見を求める質問に答え、海外の記事や自分の従軍経験から考えて、「天皇には戦争責任があると思う」と答弁しました。元々は「天皇にも戦争責任はあると思う。しかし、日本人の大多数と連合国軍の意志によって責任を免れ、新しい憲法の象徴になった。私どももそれに従わなければならないと解釈している」という発言でしたが、マスコミ各社は「天皇の戦争責任はあると思う」と言う部分だけを強調する形で報道しました。自民党県連などが発言の撤回を要求しましたが、「自分の良心を裏切ることはできない」として、これを拒否、自民党県連は県連顧問から解任し、多数の保守系組織が市長を非難しました。また、多数の右翼団体が長崎市に押しかけ、80台以上の街宣車で市中を走り回って市長の「天誅」を叫んだということがありました。1990年1月18日、市長3期目のとき右翼団体正氣塾幹部の若島和美に背後1メートルの至近距離から銃撃され、全治1か月の重傷を負いました。最近少ない硬骨漢ですね。ところが、2007年、伊藤一長氏(当時長崎市長)が4選目指した長崎市長選の最中に山口組系暴力団幹部の男に射殺された事件がありました。この二つの事件には実は関連があります。当時の首相は安倍晋三でした。
奥大介さん2014年10月17日ご逝去、享年38歳。サッカー横浜F・マリノス
ドカベン香川こと香川 伸行さん2014年9月26日ご逝去、享年53歳。大阪市西成区(徳島県阿波郡阿波町(現阿波市)生まれ)出身の元プロ野球選手(捕手)。デブで、水島新司作の野球漫画『ドカベン』の主人公である山田太郎に似ていたことからドカベンの愛称で呼ばれました。浪商高校(現・大阪体育大学浪商高等学校)で牛島和彦(中日ドラゴンズの投手、元横浜ベイスターズ監督)とバッテリーを組み、高校3年の選抜高等学校野球大会で準優勝。同年全国高等学校野球選手権大会にも出場し、3試合連続本塁打を放つも、準決勝で敗退。強打とその体形、ユニークなキャラクターで人気がありました。有名なエピソードですが、試合で本塁打を打って、試合後のインタビューで「打った球はどんな球でしたか?」と聞かれ、(指でボールの形を示しながら)「こーんなくらいの大きさの小さい白い球です」と言ったという話があります。これはその後明石家さんまがネタにしましたが、こういうインタビューで聞かれるのは球種のことであるのを知りながらの答え、さすが浪速っ子ですね(^-^)
(2014年11月16日)


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