445  町中華

 食器洗いをしていて、水がぬるく感じてきました。それだけ気温が下がったということです。川越街道の中央分離帯には、赤と黄金色の曼殊沙華=ヒガンバナがズラリと咲いて美しい光景を見せていましたが、彼岸の入りの20日を前に早くも終わった花が目立ち、今年は季節が前倒しで進んでいるようです。


■ COVID-19日本でのパンデミック推移
 中国の武漢で発生した新型コロナウイルスパンデミック・・・2019年に始まったのでCOVID-19という感染症名となりました。いま2021年9月、長いですね。経緯を見ると
WHO世界保健機関が国際的な緊急事態宣言を出したのが2020年1月30日でした
2020年2月3日に横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での感染確認で日本でも大騒ぎになりました
2020年2月27日、安倍晋三首相(当時)の突然の要請で3月から始まった全国一斉休校で日本中が大混乱に陥りました
 日本での緊急事態宣言は1年半、上図のようなことが続いています。年末にかけて第六波も予想されています。
2020年第一波は年度替わり3〜4月、第二波は夏休みと旧盆7〜8月、第三波は冬休みと年末年始11〜2月の長期間でした
2021年第四波は2020年第一波に相当しますが5月まで長期化、第五波は2020年第二波に相当しますが9月まで長期化
この例に鑑みれば、第六波は11月から始まって2022年3月ぐらいまで続くことさえ予想されます
 第五波は急激な新規感染者数落ち込みを見せています。専門家も予想外のようですが、感染しても入院できない、治療も受けられない、自宅療養中に急激に悪化して死亡などという事例を見て、千葉真一さんも亡くなるなどと言う実態を見せつけられると自粛せざるを得ませんよ。それでも生きてゆくためには活動しなければいけない、夜の外飲みは控え、会食も自粛して、昼食も離れて黙食などという努力で減ってきたのでしょう。9月末までの緊急事態宣言が延長されずに済むことを願うものです。それでも、ウイルスも生き残りをかけて進化、変異を繰り返しますから、これは長い戦いになりそうです。第六波はワクチン効果で波高を抑えたいもの、さらに医療対策をしっかり行なって他の病気と同じような対処になるようにして欲しいものです

■ 深刻な外食市場の落ち込み
 リクルートの外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」は2021年9月14日、首都圏・東海圏・関西圏の男女約1万人を対象に毎月実施している「外食市場調査」の2020年度の年間結果(外食&中食動向)を発表しました。その結果、2020年4月〜21年3月の年間の外食市場規模は前年度比−44.8%(2兆1,630億円)と推計されたのです。対前年度比で延べ外食回数が最も減った性年代は「女性/60歳代」(−48.3%)、減少幅が最も小さかった性年代は「男性/20歳代」(−33.6%)でした。

■ 「町中華」の閉店ラッシュ
 コロナ禍で「町中華」の閉店ラッシュが起きています。昭和の時代から長く続く個人経営の中華料理店ですね。わがまちでも続々と閉店しました。だからこそ、テレビで「町中華※1)」の番組や、「孤独のグルメ※2)」の人気が出るのでしょう。帝国データバンクが2021年1月に発表した調査によりますと、2020年(1〜12月)の飲食店事業者の倒産は780件発生し、過去最多の水準となっています。そして、そのうち13.5%を占めるのが「中華・東洋料理店」(105件)・・・倒産と言うからには規模の大きい店でしょうが、「町中華」はまさにここに当てはまるものの、個人経営の店はひっそりと廃業しますから、実態はもっとずっと多いはずです。厚生労働省の2016年の調査では、中華料理店の68%は個人経営で、経営者は60歳台が30.6%(50歳以上で74.3%)を占めるというのですから、ものすごく高齢化が進んでいるのです。しかも、後継者がいない店が7割です。すなわち、店主の代で店を閉めようと考えている店が多いのです。そこにコロナ禍が襲い、これがきっかけとなって閉店を決める店が少なくないようです。

孤独のグルメ;松重豊
※1町中華・・・2019年から始まったBS-TBSの「町中華で飲ろうぜ」が有名です。1本30分の2本立てで放映され、番組前半は玉袋筋太郎が出演、番組後半の女性編では、モデル・タレントの高田秋、女優の坂ノ上茜が週替わりで出演します。今はコロナ禍で酒が飲めませんが、本来はビールや酎ハイ片手に中華メニューを楽しみます。テレ朝チャンネル2の「ぶらぶら町中華」は、町中華を愛してやまない「町中華探検隊」が、人々を惹きつける町中華の魅力を伝えます。
※2孤独のグルメ・・・テレビ東京系で松重豊が主演するドラマです。2012年に「Season1」が放送されると、松重演じる輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎がひとり飯≠気ままに楽しむ姿や、見事な食べっぷりが視聴者の興味を引き、お茶の間で話題を集めています。今年7月からは「Season9」が放送され、金曜日深夜放送なのに、先に終了したTBS日曜劇場「TOKYO MER」に次ぐドラマ視聴率2位の人気ぶりです。ちなみに主人公・井之頭五郎は酒を飲みません。深夜に見なくても、今やTVerやGYAOなどでスマホでも見れますから、視聴率というのはスポーツなどの生放送ならともかく、ドラマでは年々意義が薄れています。それなのに深夜帯なのに高視聴率というのはもっとスゴイわけです。

東武東上線下板橋駅前「点心」

■ 「幸楽」は後継者がいましたが...
 「渡る世間は鬼ばかり」の「幸楽」は、小島 勇(角野卓造)と五月(泉 ピン子)が切り盛りしていましたが、長男の眞(えなりかずき)は東大を卒業してサラリーマンになって家を出て行ったので、お姉ちゃんの愛(吉村 涼)が16歳も年上の誠(村田雄浩)と一緒になって店を継いでくれたのでますます繁盛して行きました。「家業」という考え方があった昭和の時代であれば子供に継がせたわけですが、「家」の概念が崩壊し、中華もファミレス「バーミヤン」や「餃子の王将」、「熱烈中華食堂 日高屋」、「aa(ミンミン)」、「ぎょうざの満洲」、「幸楽苑」などに客を取られる時代になりました。とは言え、町中華は町のソウルフード的に愛されてきました。昨日まであった町中華が町から急に無くなり、それを嘆く常連客は筆者始め数多いのではないでしょうか。日本全体で見れば町中華というジャンルが大きく廃れていく懸念があります。

五月はスマホで料理動画配信を考え付くのですが...(TBSのホームページより)
橋田壽賀子さんが亡くなられて、もう見れないかな...

■ 町中華「栄楽」
 ここで動いたのが大阪王将です。2021年8月22日、東京都武蔵野市緑町に「大阪王将武蔵野緑町栄楽店」がオープンしました。栄楽店は通常、街で見かける大阪王将の雰囲気とは違うところがミソです。「栄楽」は、1958年にこの地で開業して以来、世代を超えて地域の人々愛されてきた中華料理店でした。緑町は昭和の時代には大きなにぎわいを見せた歴史のある町ですが、「栄楽」は今年5月末、古希を迎えたオーナーが引退を決意し、惜しまれつつ63年間の歴史に幕を閉じました。

旧・中華料理 栄楽

■ 町中華を大阪王将が引き継ぐ
 「栄楽」の跡地に何ができるか?大阪王将でした。ところが、これが普通の大阪王将では無かったのです。オープン3日前に、店舗周辺の人を招き、「ご近所様重役会」という催しを開いて、大阪王将の植月社長自らも参加して、地域の人とお店について話合うという企画が行われました。なんと!「武蔵野緑町栄楽店」には閉店した「栄楽」のレシピをベースに再現したメニューがあるのです。栄楽カツカレーセット¥1,120はカツカレーライス、餃子、小鉢、スープのセット、餃子無しなら¥900です。栄楽生姜焼きライス¥1,100、餃子無し¥880、ネギ塩焼きそば定食¥1,120、餃子無しなら¥900、豚カツ丼¥880、餃子セット¥1,100などです。メニューだけでなく、食器も「栄楽」から引き継いだものがあるみたいで、このあたりからも”本気で地域の方に愛されるお店を創る”という意気込みが感じられます。ただ話合うだけでなくベテランの”王将戦士”が美味しい生餃子の焼き方を伝授し、その場でいただく催しもありました。

■ 餃子は日本の国民食
 餃子(ギョーザ)は面白いですよ。いつの頃からか、日本の中華料理店や居酒屋、餃子専門店などでは「餃子をひっくり返して(焼き目を上にして)盛りつける」のが主流になり、それがカッコイイ盛りつけ方になりました。下写真を見て日本人は「餃子が逆さだ」とは思わないでしょうが、中国人なら逆さまだと思うでしょう。羽根つき餃子は中国では『日式餃子』と言われ、日本で独自に進化したものです。
 餃子は、もはや日本の国民食と言ってもいいほど、日本人の食卓や外食にも欠かせない存在です。日本で餃子といえば焼き餃子が定番ですが、中国では水餃子のほうが主流です。中国や台湾旅行に行かなくても、横浜や神戸の中華街に行けばすぐ分かります。日本の町中華の人気メニュー「餃子定食」は炭水化物×炭水化物で、中国人から見たら邪道であるということも、今や多くの日本人が「情報」として知っています。しかし日本で「餃子定食」が存在する意義はあるのです。日本では皮は薄く、具には豚肉、白菜(またはニラ、キャベツ)、ニンニクなどを入れて、具が主役であり、皮を手作りする店もありますが、既製品を使うというところも多いようです。中国では、店はもちろん、家庭でも餃子の皮は手作りします。皮のモチモチ感が命なので、皮は厚めにします。皮(小麦粉)の味わいを重視するのが中国式なのです。

王将ぎょうざ

■ 町中華を受け継ぐ大阪王将のトライアル
 まずは名店の味を絶やさず受け継ぐ・・・町中華の衰退に一石を投じた大阪王将、伝統の味を守ることはもちろん、ここに町中華の接客や温もり、人との触れ合いをどう盛り込んでいくのかが課題です。「出店前、この地で営業されていた『栄楽』様が、惜しまれつつ閉店されたことを知りました。『栄楽』のオーナー様と直接お話をする中で、『栄楽』の味やこの街との絆をこれからも守り続けたいと考えました。オーナー様のご厚意もあり、店づくりにおいてさまざまなご協力をいただき、出店が実現しました」・・・大阪王将の担当者はこう話します。大阪王将にとってまずはトライアル事業の位置づけでしょうが、成果次第で、そしてまた水平展開できれば、新しい町中華が出来上がりそうですね。
 大阪王将は大阪市淀川区に本店を置くイートアンドホールディングス傘下の株式会社大阪王将が運営する中華料理チェーンです。京都発祥の「餃子の王将」からのれん分けしましたが、今は資本関係もなく競合関係です。全国に400店以上を構えるほか、大阪王将のブランドを冠する「羽根つき餃子」などの冷凍食品でも知られる存在です。

大阪王将「武蔵野緑町栄楽店」

■ 日本でなければ食べられない味
 和食が世界的人気になっているのはヘルシーだから、という理由でしょうか。典型的なのは握り寿司、刺身、天ぷら、すき焼きです。先のオリパラで選手村の食堂が話題になりました。選手たちが食べたものをSNSに載せて「美味しい〜!」とやるものですから、「食べた〜い!」という「イイね」が殺到します。和食は特に見た目を重視しますから、SNS映えするのです。特に日本で食べる寿司は、海外で食べるものとは全く違う、日本でなければ食べられない味、と投稿する選手たちは、コロナが収まったらまた日本に行くぞ、という締めでした。どうぞいらしてください。お待ちしております。

■ 中国人は日本のラーメンが大好き
 ところでラーメンは和食でしょうか?日本人的にはどう考えても違いますね。中国人は日本のラーメンが大好きで、来日した観光客は豚骨ラーメンの有名店に大挙して押し寄せます。彼らにとってラーメンは和食ではないけれど日本食なのです。ラーメンとは、中華麺とスープを主とし、様々な具(チャーシュー、メンマ、味付け玉子、刻み葱、海苔など)を組み合わせた麺料理です。漢字表記は拉麺、老麺または柳麺。別名は中華そばおよび支那そば、南京そばです。「支那」は本当は使ってはいけないのですが、Chinaから来ているのでしょう。近年はらーめん、らあめんなど、平仮名で表記されることもありますし、Ramenとアルファベットで表現されたりもします。中華人民共和国や中華民国(台湾)では日式拉麺(日式拉面)または日本拉麺(日本拉面)と言いますので、少なくとも中華料理とは思っていないのは確かです。
  
左:実に美味しい本場たんぽぽ亭の喜多方ラーメン 中央:喜多方たんぽぽ亭  右:ふじみ野市;麺家ぶっきら坊の中華そば
 日本人は麺にはもちろんこだわりますが、ラーメン屋さんの中には、麺は製麺工場から仕入れても、スープと具にはこだわるという店が多いですね。中国人は具よりも麺のほうにこだわります。地方によって材料や切り方に特徴があり、日本にも増えてきた刀削麺のように、さまざまなタイプの麺があります。中国人は日本人ほど具にはこだわりません。こういうところは、同じ麺好きでも違いがあります。
 中国では、大まかにいうと、北は麺食、南は米食だといわれます。麺は小麦粉から作られ、米があまり取れない北方の中国人は餃子や麺などをよく食べ、麺食に対するこだわりが強いようです。

■ 回鍋肉
 回鍋肉(ホイコーロー)と言えば、味の素の『クックドゥ』のCMでグッサンと杉咲花がおいしそうに食べるのを見て、急速に日本人に親しまれるようになりました。杉咲花はこれで女優の仲間入りしたといっても過言ではありません。これはいくらなんでも中華料理ですよね?違うんです。ご存じのように、白いご飯によく合う、豚肉とキャベツなどの中華風の炒め物です。中国語では「ホイグオロー」というような発音ですが、日本では「ホイコーロー」と呼ばれ、ピリ辛風に調理する店や、甘い味噌だれで味つけする店もあります。実は日本の「回鍋肉」は 本場・四川のものとは全くの別物です。四川省ではキャベツではなく、ニンニクの葉を使います。日本では回鍋肉の調味料として甘いテンメンジャン(甜麺醤)を使ったりしますが、四川料理は甘い料理ではありません。本物の四川料理は何もかも辛く、舌がしびれっぱなしになること請け合いです。代表が麻婆豆腐(マーボードーフ)です。テレビなどで活躍する料理人、陳建一氏の父親、陳建民氏が日本に広めたといわれ、今では本格的な中華料理店だけでなく、「町中華」と呼ばれるラーメン店でも定番のメニューになっています。それ以外の四川料理・・・エビのチリソース、担々麺などもずいぶん日本に浸透していますね。
 回鍋肉とは「もう1回、鍋に肉を戻す」という文字通りの意味で、調理法がそのまま料理名になったものです。材料は豚バラ肉とニンニクの葉、調味料はトウバンジャン(豆板醤)というシンプルなもの。豚肉の塊肉を鍋で煮てから取り出し、薄く切って、ショウガや豆板醤とともに再び鍋に戻し入れ、ニンニクの葉と炒める。四川省では、どの家庭でも必ず作る平凡な料理です。日本では、新鮮なニンニクの葉はなかなか入手できないので、キャベツを使うようになったら、これが日本人の舌に合ったようです。

左:回鍋肉  右:キャベツ…いわて春みどり(一度食べたらビックリ、甘さが半端なし)

■ 「和食」の定義
 ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」とは、「日本人の食における様々な社会的習慣」を指します。つまり、我々の日常に溶け込んでいるカレーライスやラーメン、ナポリタンのように日本独自の変化をたどったメニューも「和食」という定義で登録されるのだそうです。例えば日本にカレーライスをもたらした英国で日本式のカレーが人気だそうですが、それが香港系の事業家が1992年に創業した日本食チェーン、Wagamama(ワガママ)のチキンカツを使った日本式カレー「chicken katsu curry」だそうです。日本でカツカレーと言えばトンカツですが、英国ではイスラム系住民も多いのでチキンカツなわけです。ところがなんと、カツが入ってなくても「katsu curry」と言えば日本式カレーの代名詞なのだそうです。

左:ビーフカレー  中央:昭和のカレー  右:レストランで頂くカツカレー

■ 侮辱罪厳罰化、懲役刑も ネット中傷に歯止め
 社会問題化しているインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷行為に歯止めをかけるため、刑法の侮辱罪厳罰化の動きが出ています。現行法では「拘留または科料」としている刑罰に懲役刑や禁錮刑、罰金刑を加えるというものです。この問題をめぐっては、2020年5月、ツイッターへの書き込みに悩んでプロレスラー木村花さん=当時(22)=が命を絶つという痛ましい事件がありました。木村さんを「生きてるだけで笑いもの」「きもい」などと中傷する投稿をした男2人が今年3月と4月に侮辱罪で略式起訴されましたが、東京簡裁が出した略式命令はいずれも科料9千円...結果の重大さと処分に大きな隔たりがあるとして、罰則強化を求める声が上がっていました。

■ いじめ自殺
 東京都町田市立小学校6年だった女児=当時(12)=が2020年11月、同級生からのいじめを訴える遺書を残して自殺しました。この小学校に配備されたタブレット端末のチャット機能を使い、「うざい」「きもい」「死んで」など女児に対する悪口がやりとりされていたそうです。なんということでしょう。過去度々指摘してきましたが、面と向かって言われるよりも、こうしたネットいじめのほうがはるかに陰湿です。端末を開けて立ち上げた途端、自分への誹謗中傷の書き込みが目に入ります。ガーンと大きなショックを受ける、立ち直れないほどのショックを受けるものなのです。遺族は娘の遺書を持って、小学校に行きました。こういうことなので調べて下さいとお願いしました。しかし校長の意思によるのか、そのお願いは十分な答えを得られませんでした。いじめは昨年9月の学校のアンケートで発覚したものの伝えられず、知ったのは女児の死後だったそうです。学校は当初、加害児童が女児に謝罪したとして「問題は解決済み」と主張していました。両親が開示を求めたチャットの履歴も「見当たらない」と回答したそうです。その後、児童が作成し、一部に「(女児の名前)のころしかた」と題する絵が描かれたノートを学校が保管していたことが判明しました。2月に学校が独自の調査報告書をまとめていたことも分かったそうです。こうした事実が明らかにならなかったのは、恐らく校長の意思と指示があったような気がします。市教委はいじめ防止対策推進法が定める「重大事態」として、非公開の常設委員会で調査しています。担当者は「遺族の意向に沿って対応してきたが、今後も丁寧な説明をしながら調査を進めたい」とのことです。

ヒガンバナ科タマスダレ属のゼフィランサス、タマスダレとも言われます

■ COP26
 今年11月に第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が英国グラスゴーで開催されます。4月後半に米国が主催した気候変動サミットでは、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするために、米国を始め欧州、日本などが30年までの温室効果ガスの削減目標を引き上げました。今年のCOP26で議題の一つと見られる30年までの温室効果ガスの削減目標を日本は達成できるのでしょうか。2030年はもう目の前です。毎年、谷落としのような急激な二酸化炭素排出抑制がどうやれば出来るのでしょう?暖房に灯油を使わない?電気を使いますか?再生可能エネルギーの急速拡大といっても、すぐできるのは太陽光発電だけです。しかしソーラーパネルの設置は、山の樹木伐採で森林の保水能力が落ちて別の災害を引き起こすほか、環境問題によって各地で阻止運動が起きており、自治体も消極的です。またこの前の冬は全国的な寒波と積雪で、太陽光発電が雪のため出来なくなったところが増えたのに暖房需要が増えたので、電気代が高騰しました。こんな状態で、どうやって石炭火力を減らすのでしょう。原発も動かさず、きれいごとだけではダメです。大和ハウスのCMで妻の妊娠を機に、自給自足の生活を決意した夫(先頃戸田恵梨香と結婚した松坂桃李)が、井戸を掘り、稲を植え、牛を飼い、必死になって頑張りますが、採れたコメは手のひら少し、だんだん冷めた目でそれを見守るようになる妻の目...そして2人が行き着いた答えは「電気を自給自足する家」でしたというものがあります。自給自足を目指した松坂桃李の服はだんだん弥生人、そして縄文人みたいに...これは冗談ではありません。私たちの暮らしを変えなければカーボンニュートラルはできません。そして大和ハウスが言う太陽光発電だけでは電気を自給自足することはできないのです。政府が約束した二酸化炭素削減量は、冗談ではなく、ドラスチックな処置が必要です。都会の便利な生活を変えなければいけないのはもちろんです。日本の国家戦略大転換が必要です。自民党総裁選挙でこれを訴えているのが河野太郎陣営ですが、経済界はこれに危機感を抱いてアンチ河野の候補をひそかに応援してるみたいです。しかし菅総理が世界に向かって約束した以上、後戻りはできません。これからは企業もカーボンニュートラルに対応できるかどうかが浮沈、盛衰の鍵となることを自覚すべきです。最も期待できるのは水素エネルギーですね。この危ないガスをどうやって制御するか...
 もう一度353『環境保護』(2019年12月17日)をご覧ください。

■ 中国恒大集団大ピンチ
 中国の不動産開発大手、中国恒大集団が崖っぷちに立たされています。以前から中国と韓国の不動産バブルはヤバイと指摘してきましたが、イヨイヨか...という感じです。経営破綻か、あるいは「管理された倒産」を余儀なくされるのか。現在は2兆元(3050億ドル)近くの負債を抱えているそうです。

ヒガンバナ科タマスダレ属のゼフィランサスで、花がピンクのものはサフランモドキと言います
サフランはアヤメ科クロッカス属です

■ 藤井聡太三冠奪取
 藤井聡太棋士が先の棋聖戦防衛、王位戦防衛に続き、9月13日(月)には豊島叡王との叡王戦、2勝2敗で迎えた最終局に111手で勝って、史上最年少19歳1ヶ月で三冠奪取しました。昔は将棋に興味が無かったのに、藤井聡太にはまってしまい、ABEMAの中継をスマホでチラチラ見ていましたが、序盤はポンポンと進んだのに、午後になり中盤では一転スローペース、じっくりとした進行になりました。両者互角のまま考える場面が多くて、解説者も話すことが無くなって、昔話や、今進行中のABEMA早指し将棋戦の話、おやつの話などで時間つぶし。両者残り時間が1時間になってもまだ本格的な戦いになりません。
 やっと動きが見えてきたのは、残り時間がわずかになってからでした。17時半ぐらいでしたか、豊島叡王の68手目「△8四銀」と引かされた場面で、一挙に流れが変わりました。17時50分過ぎ、80手目で豊島叡王が持ち時間を使い切り1分将棋に突入し、終盤に強い藤井挑戦者がリードを広げました。やがて藤井挑戦者も持ち時間を使い切り、共に1分将棋に突入しましたが、豊島叡王が時間ギリギリで指すのに対し、藤井挑戦者はすぐポンと打ちます。
 大詰めでの解説者は深浦康市九段(49)と高見泰地七段(28)でした。実は現在進行中の第4回ABEMAトーナメントで9月11日(土)準決勝があり、チーム藤井(藤井二冠、伊藤匠四段(19)、高見泰地七段)とチーム菅井(菅井竜也八段(29)、郷田真隆九段(50)、深浦康市九段)が対戦し、5-2でチーム藤井が勝って決勝進出しました。1局目は藤井二冠−深浦九段戦でした。早指し将棋のABEMAトーナメントでは、頭の回転の速さが求められるため、若いほうが有利とされています。第1回からすべて優勝の19歳の藤井二冠に対し、49歳の深浦九段は「地球代表」として挑み、勝利したのです。ただ4局目の再戦ではリベンジされ1-1でした。高見泰地七段は菅井竜也八段、郷田真隆九段を連破してチーム藤井勝利の立役者となりました。
 高見七段と深浦九段は「藤井さん凄いですね、ポンポン打ちますね」、「そうだなぁ、見えてるんでしょうねぇ」というやり取りです。迎えた103手目で、藤井挑戦者の手が止まります。打ちません、「40秒・・・」、「50秒、1、2、・・・」と時計を読み上げる声、時間ギリギリで指したのが「▲9七桂」でした。この手を見た瞬間、深浦九段と高見七段は揃って「うお〜」と声をあげました。この「▲9七桂」という手は、中継していたABEMAに搭載されている「SHOGI AI」では、推奨手に入っていませんでした。AIもビックリしたのか、それまで藤井優位としていた勝率予想が大きく下がり、互角になりました。しかし解説棋士たちからは「いや〜、考えもしませんでした...」「普通の人が見る世界とちょっと違いますね」と、その発想に驚きの声が上がりました。深浦九段曰く「桂馬、跳ねるんですか。すごい手だなぁ」、高見七段「そこですかー。いや〜、思考が追いつかないですね」・・・つまりお二人はこれで勝敗は決まったと見たのです。そんな攻めの一手が発見できるものなのか、という驚きでした。「SHOGI AI」は一旦勝率を戻したのに、やがてグングンと藤井挑戦者の勝率を上げて、もう90%以上の勝率としています。高見七段が解説・・・9七に跳んだ桂馬が、さらに8五の地点に達すると、一気に豊島玉が寄ってしまうということで、これはもう失地回復不能の絶妙な手で、AIも考えていないのにどうしてこんな発想が出てくるんだと、お二人ともビックリ仰天でした。AIによる勝率以上に、豊島叡王にとってはダメージとなる手だったのです。深浦九段「▲9七桂はすごいですね。いい手じゃないですか。1分将棋であんな手が見えるんだ...」高見七段「普通の人が見る世界とちょっと違いますね。▲9七桂は誰も読んでないし、1分で対応するのは難しいですね...」。想定外の手が飛んできた時の驚きと、その手の意味を理解するには、いくら豊島叡王であっても1分では足りませんでした。AIは決着まであと10数手と表示していましたが、8手後豊島叡王は「負けました」と頭を下げました。これで藤井三冠は、王位戦七番、叡王戦五番の十二番勝負に7勝3敗で、苦手としていた豊島竜王に8勝9敗と迫りました。
 8月30日には永瀬拓矢王座(28)と竜王戦挑戦者決定三番勝負に連勝して、またもや豊島竜王への挑戦となりました。藤井三冠は10月から豊島竜王に竜王戦七番勝負で挑戦。快挙達成から間を置くことなく四冠を目指すことになりますが、ここでもきっと後々まで語られる一手が生まれるかもしれません。

叡王戦スポンサーの不二家からペコちゃん人形贈られて...
 三冠になって初めての棋戦は9月17日の第47期棋王戦挑戦者決定本戦トーナメント3回戦でした。先手の斎藤慎太郎八段(28)に109手で敗れ、棋王戦初のベスト8進出を逃し、年度内6冠の可能性が消えました。斎藤慎太郎八段は先の名人戦で渡辺明名人に挑戦して退けられた強豪です。いくら勝率八割越えの藤井三冠とはいえ、常勝とは行きません。今後、18日(土)にはお〜いお茶presents第4回ABEMA本戦トーナメント決勝、チーム藤井「最年少+1」(藤井聡太王位・叡王・棋聖、高見泰地七段、伊藤匠四段)対チーム木村「エンジェル」(木村一基九段、佐々木勇気七段、池永天志五段)が行われ、そして20日に名人戦順位戦B級1組の木村一基九段戦、さらに25日にはJT杯将棋日本シリーズで千田翔太七段戦と続きます。強いが故の過密日程です。
(2021年9月18日)


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