353  環境保護
 隣家の柿の木にヒヨドリやメジロ、スズメなどの小鳥が来て、一生懸命食べる回数が増えてきました。パソコン部屋の眼下なので、とにかくピーチクパーチクにぎやかです。どうやらそれだけ小鳥の餌が少なくなってきたということですね。我が家のフユサンゴのオレンジの実はほぼ食べ尽くされました。小学校の青黒い木の実はまだたわわに成っていますが、これは多分まずいので、いよいよ何も無くなった1〜2月に食べられるのでしょう。

■ 令和元年最後の満月・・・コールドムーン
 12月は寒さが本格化するので、この時期の満月を”cold moon”と呼ぶそうですが、夜が長い時期の満月なので”long night moon”と呼ばれることもあるそうです。右写真はふじみ野市・三芳町清掃センター余熱回収利用施設エコパの屋根上に見えたコールドムーンです。

■ 野生動物の増加
 12月4日にお隣の富士見市の畑ではイノシシの大捕り物がありました。このイノシシはどこからやってきたのでしょう。農水省によると、全国の2017年の鹿の頭数は約244万頭と25年前の10倍に急増(北海道除く)、イノシシは約88万頭で3倍増です。野生動物が増えるということは、日本の生態系が生き易いことを示しています。すなわち水があり、食べ物があるということです。野生動物の天敵は人間ですが、いま日本では農業者の高齢化によって耕作放棄地が急激に増えています。コレに伴って野生動物が増えているわけです。

Ecopaの上にクッキリと輝くコールドムーン(2019年12月12日)

■ 萩に猪 紅葉に鹿 牡丹に蝶
   猪と鹿となれば思い出すのは花札の役ですね。萩に猪 紅葉に鹿 牡丹に蝶ですよ。これを見ただけで、古来日本人がいかにこれらの動物に親しみを持っていたかがわかります。

■ クマの捕獲数は増えている
 野生動物の増加は猟師が減ったからだと一般には言われて、それを信じている人が多いのではないでしょうか。2016年の狩猟免許所持者は約20万人、40年前の約50万人から6割も減っています。すなわち猟師が減ったことで捕獲数が減って野生動物が増えているのかというと、事実は異なります。
 例えば熊の被害が近年特にニュースになりますが、環境省のクマ類の捕獲数データを見てください。北海道のヒグマの捕獲数は2008年度355頭→2018年度827頭、本州のツキノワグマは2008年度1141頭→2018年度2759頭と、10年で2.3〜2.4倍に増えています。なお九州ではツキノワグマは絶滅したようです。熊本県のユルキャラ「クマモン」は大人気ですが、熊本県には野生のクマは居ません。四国でも剣山近辺に10数頭しか残っていません。環境省の「豊かな森の生活者・クマと共存するために」というパンフレットをご覧下さい。
 クマの生息数はハッキリわかっていませんが、全国で1万5千頭前後ではないかと言われています。コレに対して2018年度で3586頭を捕獲して大部分を殺していますから、このままで推移するといずれクマはいなくなるとも考えられます。ツキノワグマは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで危急種に分類されています。殺せば良いというものではなく、うまく人間と棲み分けることが大切なのです。

■ 血も涙も無い秋田県
 ここで問題なのは秋田県です。もともと「マタギ」という言葉は秋田県発祥ですが、秋田県のクマの捕殺数は群を抜いていて、全国の4分の1以上に上ります。「日本熊森(くまもり)協会」(本部・兵庫県、会員・約1万7千人)は2017年10月、「秋田県のクマ捕殺数はむちゃくちゃだ。根絶殺害に近い」と、秋田県の佐竹敬久知事に有害駆除と冬の猟の中止を強く求める要望書を提出しました。秋田県は2017年4月時点で推定生息数を1013頭としていましたが、2017年10月、クマは里山にもすみ着いているとして、1429頭に修正しました。修正後の生息数から捕殺数817頭を引きますと、約600頭、もし以前の推定生息数ならば8割を殺したわけですから、確かに根絶やしに近いですね。しかし秋田県は「春に生まれるクマも合わせれば、少なくとも約900頭になる」と説明しましたが、1429頭が1年で900頭になるとしたら、時間の問題で秋田のクマは居なくなるでしょう。

■ 怖いクマ
 クマによる農業被害はシカやイノシシによるそれと比べればぐっと少ないのは、クマが奥山に暮らしていて里山への出没が少ないからです。ただクマは人間と遭遇するとビックリして襲ってくることがあるので、人間にとってはひときわ怖い存在です。

■ 憎たらしいイノシシ
 一方シカは25年前の10倍、イノシシは3倍に増えていて、実は捕獲数も増えているのです。ジビエ料理などもブームとなっています。農業被害額はシカが1ですが、農家から見るとイノシシのほうが憎たらしいみたいですね。シカは若い芽を食べたりして、小麦農家などには憎き敵ですが、むしろ森林破壊のほうが深刻です。若い木の皮などを食べてしまうからです。イノシシは収穫時期の作物を畑で根こそぎ食べてしまうので、カラス同様農家にとってはいよいよ収穫というときにやられてしまって脱力感に襲われるのです。もう農業はやめようと思ってしまうそうですよ。

■ 大切な生物多様性の保全
 野生動物が増えるのはそれだけ人間活動が弱体化していることを表します。生態系保護の観点から言えば、生物多様性の保全は大切です。環境省の「野生動物管理」関連施策とその実施状況をご覧下さい。2014年には鳥獣法を改正して鳥獣保護管理法が制定されました。いたずらに鳥獣の増加を放置するのではなく、適切に管理していくという意味です。近年増えているイノシシに対して農水省などは、2023年度までにイノシシを約50万頭に減らす方針で、2019年度は約70万頭の捕獲目標を掲げています。「食肉にすれば実入りとなる」として、ジビエとしての流通増も目指し、取り組む地域の拡大や消費者の需要掘り起こしを進める考えのようです。

■ COP25紛糾の末、課題先送りして閉幕
 スペインのマドリードで開催されたCOP25(国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議)は、紛糾の末、予定を2日延長して12月15日に閉幕しました。ホスト国のチリが開催4週間前に社会的混乱を理由に中止を発表、急遽スペインのマドリードで開催されることになったものです。削減量を国際的に移転する取引ルールについて足並みが乱れ、合意は来年以降に先送りされました。アントニオ・グテレス国連事務総長は「結果に失望した」と表明、環境保護団体にも落胆が広がりました。気候変動の危機を回避するため科学者が必要と唱えている野心的な対応策について、欧州連合(EU)や小さな島国などはこれを支持しましたが、アメリカやブラジル、インド、中国など幅広い国々がこれに反対しました。疲れ果てた各国代表団は、温室効果ガス削減への取り組みを強化することで合意には達したものの、来年イギリス・グラスゴーで開かれるCOP26までに、すべての国が新たな気候変動に対する取り組みを明らかにすることになったのです。温室効果ガスの国際取引など、いくつかの問題が来年に持ち越しとなりました。

■ グレタ・トゥーンベリさんの訴え
 COP25で、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん(16)は、「最大の脅威は、何も行動を起こさないことではありません。政府や企業に希望はないが、私たちは今変化を起こすことができます」と演説し、地球温暖化対策の強化に取り組むよう訴えました。「リーダーは非常事態にある時のように行動していません。非常事態にあれば人間は行動を変えるはずなのに。人々からのプレッシャーがなければ、彼らは何もせずに逃げてしまいます」と政治家たちを批判した上で「希望は人々の中から生まれてくるものです。一度危機に気付けば、行動を変えられます。歴史を振り返っても、あらゆる偉大な変化は人々の間から起こりました。待っている時間はありません」と話し、市民が声を上げ政治を変えていこうと呼びかけました。

■ 石炭火力頼みの日本
 COP25には日本からも小泉進次郎環境大臣が参加しました。今回日本は「気候行動ネットワーク」というNGOから、「化石賞」を2度も授与されました。温暖化対策に消極的な国に贈られる不名誉な賞です。小泉進次郎環境大臣は「残念だ」と不快感を隠しませんでした。
 会場前の路上では、安倍晋三首相のマスクを被り、手にCOAL(石炭)と書かれたバケツを掲げる環境NGOメンバーらが抗議の声を挙げました。国連のグテレス事務総長が開会式の演説で2020年以降の石炭火力新設中止と削減目標の引き上げを各国に求める中、まったくそれに逆行する日本の姿勢は、まことに残念でなりません。実は日本はCO2排出量を様々な対策で減らしていますから、アメリカやブラジル、インド、中国などと違って胸を張れると小泉進次郎環境大臣は考えていたようです。しかしながら石炭火力が槍玉に上がっていることはわかっていたのですから、この点で前向きな発言をしたかったようですが、内閣府に押さえつけられてこれに抗することができなかった、これによって小泉進次郎環境大臣の日本国内での評価もガタ落ちとなりました。
12/14の岩手県雫石町・小岩井農場へ行く道、まさに冬です

■ 日本はドイツに学べ
 日本では原発が福島第一原発事故以来悪玉となっており、石炭火力に頼らざるを得なくなっています。しかも再生可能エネルギーも増やしたくても国土の問題でそれが困難になっています。近年ますます威力を増す台風などの暴風に耐えられる風力発電機は高価過ぎてなかなか設置が進みません。これが欧州や中国などの大陸と違う島国ならではの弱点です。太陽光発電を増やすと、曇りなどに備えてバックアップが必要なので結局火力発電所を増やさなければなりません。結局最も頼りになるのは原発ですが、近隣自治体の同意が無ければ稼動ができません。この点で日本はドイツに学ぶべきです。ドイツは原発の将来的廃止を明確に打ち出しています。ただし再生可能エネルギー発電の電力を蓄電するバッテリー技術が確立するまで長い時間が必要なので、その移行期間は原発を運転することで、二酸化炭素排出量を抑えるとしています。日本がここまで世界の中で袋叩きにあうのなら、ドイツ同様、原発の将来的廃止を明確に打ち出したうえで、耐震基準などに合格した原発のみ運転することで凌ぐ、石炭火力は新設しないと言えば良いのです。

■ グレタ・トゥーンベリさんに共鳴した尾畠春夫さんの活動
 スーパーボランティア・尾畠春夫さん(80)が腕にスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん(16)の名前を書いて、大分の海岸に流れ着いたペットボトルなどのごみを仲間と集めています。ウミガメがプラスチックごみを飲み込んで死んでしまうというニュースを目にし、思い立ったのだそうです。「誰が投げたかは知らないけどね。投げる人がいたら、私みたいな拾う人間がいても良いんじゃないかなと思って」・・・別府湾からペットボトルが無くなる日が早く来れば良いですね。

■ ノーベル化学賞に吉野彰さん
 ノーベル化学賞を吉野彰さん(71歳・旭化成名誉フェロー、名城大学大学院理工学研究科教授)が受賞したことは大変うれしいことです。なぜなら、大学や研究機関の科学者ではなく、民間企業の方だからです。日本の大学や公的研究所が予算カットによって基礎研究が細り、将来ノーベル賞本来の主旨である「科学技術分野」での受賞がおぼつかなくなるのではないかと危惧されています。吉野さんの素晴らしいところはあの笑顔です。あの明るさが、失敗しても失敗してもめげずに頑張った根底だと思います。そして、環境問題や、小学生に対して語りかける言葉の中に、真の吉野さんの素晴らしさを感じるのは筆者だけでしょうか。2歳年上なだけなのに、本当に「先生」だと感じてしまいます。
 吉野さんは吹田市で生まれ吹田市で育ちました。小学生の頃は、自然のなかでセミやトンボ、カブトムシを追いかける、ごく普通の子どもだったそうです。転機になったのは、小学校4年生のとき、女性の担任の先生から薦められた『ロウソクの科学』という本でした。

吉野彰さん
 「ロウソクはなぜ芯が必要か」 「なぜ炎は黄色いのか」など、「おもしろいなあ」と思いながら読んだそうです。この本がきっかけで、化学やものづくりに興味を持ったそうです。小学校の先生の教育がいかに大事か教えられる話です。吉野さんは言います・・・小中学生のうちに大切なのは、興味を持てるものを見つけることです。そのために、いろいろなことを試し、刺激を受けてください。ボールを蹴る楽しさにひかれ、Jリーガーを目指す人もいるでしょう。私の場合は、それが『ロウソクの科学』でした。いくら科学が発展しても、世の中にはわからないことがまだたくさんあります。いつかきっと、「これは!」というテーマが見つかります。それまでは、たくさん失敗をしてください。失敗から学んだ経験が、きっとあなたを成長させ、困難を乗り越える力になりますから。

■ ノーベル賞授賞式と晩餐会
 今年のノーベル賞授賞式が12月10日(日本時間11日未明)、ストックホルムのコンサートホールで開かれ、化学賞に選ばれた吉野彰さんに、スウェーデンのカール16世グスタフ国王からメダルと賞状が授与されました。吉野さんは名城大(名古屋市)の教授と紹介されました。ノーベル賞ではやはり大学教授の肩書きが効果的なんですね。授賞式のスピーチで吉野さんは環境問題を強調する内容を盛り込みました。「環境問題、異常気象の問題はひしひしとわれわれの身に迫っていると感じている」と述べました。吉野さんが開発したリチウムイオン電池は、環境への貢献が受賞の大きな理由とされましたが、今後も「環境問題に的確な答えを出した人がノーベル賞の対象となる」と吉野彰さんは見ているそうです。
 その夜の晩餐会は妻・久美子さんと共に4時間にわたり優雅な時間を堪能しました。メニューは環境に配慮し、食品ロスが無いようにシェフが考えたもので、何もかもが美味しかったそうです。

■ 日本出生87万人割れ?
 衛藤晟一少子化対策担当相は12月10日の閣議後記者会見で、令和元年の出生数が87万人を下回る可能性があることを明らかにしました。明治32年の統計開始から初めての90万人割れで、令和3年と見込んでいた想定より2年早く、衛藤氏は「深刻な状態として強く認識している」と述べました。

■ 英国総選挙は保守党圧勝でEU離脱確実に
 12月12日に実施された英国の総選挙(定数650議席)は与党・保守党の圧勝に終わり、ジョンソン首相は国民の信任を受け、2020年1月末には英国のEU離脱(ブレグジット)を実現するのではないかということです。ただし、2020年末までは移行期間であるため、EUとの経済関係は変わりません。1年足らずでEUと好条件で貿易協定を結ぶのは至難の業で、結局合意無き離脱になるのでは?と危惧する見方もありますが、そんなことは無いのではないかと見ています。

■ 国内に火種を抱えた英国
 むしろ問題なのは英国はブレグジットによってスコットランドと北アイルランドの独立機運の高まりという火種を抱えたということです。EU残留派が団結したスコットランドでは、スコットランド民族党(SNP)が圧倒的な強さを見せつけました。英国がブレグジットを実現する半面、SNPはEU残留とスコットランド独立を目指しています。スタージョン党首は2020年中に独立の是非を問う住民投票を実施する構えです。ジョンソン首相はそれを認めない方針ですが、スコットランドで圧倒的な支持を受けるSNPを力で押さえつけることは出来るのでしょうか?

■ 「桜を見る会」問題
 安倍首相主催の「桜を見る会」の問題で国会が紛糾し、産経新聞などは「いつまでそんなことをやってるんだ、もっと大事なことがあるだろう」と批判していました。全くその通りですが、招待者リストを出せと言ったら即シュレッダーとか、サーバーにバックアップされていたのにそれは公文書ではないとか、バックアップデータも消したからもう無いとか、関係省庁のお役人や菅官房長官がワケのわからない弁明をするものだから、モリカケ問題の再現でコトが大きくなりました。いわゆる隠蔽体質や、文書管理のあり方の問題に発展した以上、政府の姿勢の本質が問われたわけですからもはや大問題に発展してしまったわけです。日本政府のやり方がフェアではないというのは特に米国などからはたびたび指摘されています。「フェア」というのは西洋人が最も大事にしている考え方ですが、日本ではそれがまかり通らないのです。バックアップデータひとつ取っても、コンピュータに詳しい人なら、ウソ見え見えであることはわかりますから、官房長官がウソを言う政府ってどうなの?と思ってしまいますネ。しかも「丁寧に説明する」などと言うものですから、言葉そのものが信用できなくなります。

■ “反社会的勢力”の定義
 「桜を見る会」に反社会勢力が招待されていたことを受けて出された質問主意書に対して、2019年12月10日に政府が閣議決定した内容・・・「その形態が多様であり、またその時々の社会情勢に応じて変化し得るものであることから、あらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難である」・・・にはガッカリしました。政府は第1次安倍内閣時の2007年6月の指針においては“反社会的勢力”を「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人」と定義しています。しかし翌年、全国銀行協会等から「反社会的勢力との関係遮断の実効性確保のためには、反社会的勢力に関して具体的な定義等を策定する必要がある」との意見が出されたことに対し、金融庁は「反社会的勢力はその形態が多様であり、社会情勢等に応じて変化し得ることから、あらかじめ限定的に定義することは性質上そぐわないと考えます」との考え方を示しました。今回の閣議決定はこれに準じたものと言えますが、これでは暴力団などには金貸すなと言われている銀行はたまりませんね。

フユサンゴの実 緑→黄→橙→赤と変化、鳥に狙われます

■ 金融業界と警察庁が協力して排除に取り組み
 金融庁がハッキリしないものだから全国銀行協会は2008年11月に「暴力団排除条項に関する参考例の制定等について」申し合わせを発表しました。さらに2013年11月には、「これまで全銀協が独自に収集して会員各行に還元してきた反社データベース(公知情報)を、適切な情報管理等を条件に、信販業界をはじめ、金融業界団体全般に提供して参ります」とし、2017年3月には「反社会的勢力との関係遮断に向けた対応の強化について」申し合わせを発表しました。そして2018年1月には、警察庁の暴力団情報データベースへの接続が開始されましたのでご報告いたします…という「反社会的勢力との関係遮断に向けた対応について」という文書を発表しています。こんなに金融機関が警察庁と協力して反社会的勢力の排除に取り組んでいるというのに、今回の閣議決定は余りにも連れないと言えるのではないでしょうか。

■ 不動産における“反社会的勢力”
 実は反社会的勢力の排除に対しては不動産業界も取り組んでいます。筆者が旧居の売却に当って、「ハンコ代」というものが必要だとされたときも、業界屈指の大手不動産会社から「弊社のデータベースの中には、私道の中にわずかに持分登記されているこの○○建設という地元の業者は反社会的勢力とされているので、弊社としては直接取引できない。そこで仲介業者を紹介するからハンコ代を払ってくれないか」と言われたのです。その業者に私道使用許可の印鑑を押してもらわないと、不動産が塩漬けになって売買出来ないのだそうです。「そんな馬鹿な話があるか」と思って市役所に相談したら弁護士が来てくれて「実は都内などでもこうした事例は普通にあります。裁判に訴えれば勝てますよ。しかし費用がハンコ代以上にかかるので、泣く泣くハンコ代を払う人が多いのが実情です。どうされますか?」と言われました。こうした悪徳業者はどんな方法でやるのかわかりませんが、いろいろな現場でほんのわずかの私道持分登記をして、不動産売買のたびにお金を得ているというのです。住居も無いのに私道だけ保有していること自体おかしいのですが、それを非とする法律が無いのでしょう。暴力団や半グレではなくても間違いなく反社会的勢力ですね。

■ 辛い事件です
 息子英一郎さん(44)を殺害した農水省の元事務次官・熊沢英昭被告(76)の裁判員裁判で、東京地裁は検察の懲役8年の求刑に対し、6年の実刑判決を言い渡しました。娘の自殺に妻や自分への暴力、このままでは社会的にも重大な事件を起こしかねない・・・殺害を決意させた動機にはなんとも言えない可哀そうな事情がありました。他人事ではないと感じた人も多いとの報道もありました。閉廷の際に検察側が非常に珍しい対応をしたということです。熊沢被告が裁判官と弁護側、そして検察側に丁寧にお辞儀をして退廷した際に、検察官1人から「体に気をつけてください」と声をかけられて小さくうなずいたと言うのです。それだけ検察側としても、ただ単に求刑通りの刑を得ればいいという問題ではなく、複雑な心境があったのかなと推測されます。

■ 梅宮辰夫さん逝去

 東映ニューフェイスとしてデビューし 映画『仁義なき戦い』などの任侠モノで人気を博したかと思えば 倉本聰さんに請われて『前略おふくろ様』に出演して役の幅を広げ 『はぐれ刑事純情派』や『特命係長 只野仁』などのテレビドラマでは 得意の料理の腕前を生かした板前役で名脇役ぶりを発揮した俳優・梅宮辰夫さんが2019年12月12日 慢性腎不全のため 神奈川県内の病院で死去 81歳でした 遺作となったのは放送中のテレビ朝日系昼ドラマ「やすらぎの刻〜道」で 石坂浩二演じる菊村栄の元に突如現れる亡き父の栄一役を演じました このとき既に病気でやつれ 長くないなと感じました このドラマでは既に野際陽子 八千草薫 山谷初男さんと出演者が死亡 往年の名優が揃っているだけに当然の気もします 主演の石坂浩二に元妻・浅丘ルリ子 元恋人・加賀まりこを共演させる…倉本聰さんの洒落が見えますね 故人は1974年に睾丸腫瘍の診断を受け 癌細胞は肺にまで転移していたものの 抗癌剤による化学療法の奏効によって治癒 晩年は病気がちで 2018年9月に前立腺がん 2019年1月に尿管がんの手術を受けるなど これまで6度のがんの手術を受けたそうです 今年に入り慢性腎不全で週に数回人工透析を受けていました ご冥福を祈ります 合掌


元気な頃の梅宮辰夫さん
この人にやつれ顔は似合いません
(2019年12月17日)


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