443  あおり

 前回、関東は秋雨前線が停滞して秋の長雨の季節に入ります、と書きましたが、ちょっと雨降り過ぎです。猛暑日とは完全におさらばで、真夏日すら無くなりました。9月7日は二十四節気の「白露」です。夜中に大気が冷え、草花や木に朝露が宿りはじめる頃、降りた露は白い粒のように光って見えます。日中の暑さも和らぎはじめ、だんだんと秋の気配が深まって行く頃という意味ですね。長引く緊急事態宣言で少年野球も出来なくなり、雨の心配もしないようになったのも憂鬱です。

■ 北米でハリケーン「アイダ」が猛威を振るい
 9月1日は「防災の日」でしたが、北米では大型ハリケーン「アイダ」が南部ルイジアナ州に上陸し、大きな被害を出しました。ルイジアナ州ニューオリンズは巨大な水上都市と化し、住民らは2mの高さまであふれる水の中を泳いで脱出しなければならないというとんでもないことに...百万戸以上が停電しました。内陸北東部に移動して熱帯暴風雨に弱まったと思いきや、依然として強い竜巻と豪雨が各地を襲い、甚大な被害を出しました。ワシントン・ポストは「200〜500年に1度あるかどうかの降水量」と伝えました。ニューヨーク市は突発性集中豪雨〜鉄砲水により各地が浸水し、非常事態が発令されました。街には濁流が流れ込み、犠牲者が多数出た模様です。犠牲者の多くが経済的に困窮し、建物の地下で暮らす住民でした。鉄砲水で窓や壁が破られ、短時間で部屋に水が流れ込み、避難できなかったとみられています。隣のニュージャージー州では、死者の多くが浸水した車の中で見つかっています。現場視察したバイデン大統領は「スーパーハリケーンは、今後より頻繁に、より強力なものがやって来るだろう」と述べて、地球温暖化対策に取り組む重要性を訴えました。

■ 菅義偉総理が総裁選出ず、1年で退陣へ
 2021年9月3日(金)菅義偉総理が自民党総裁選に立候補しないと表明しました。その会見もわずか2分、記者たちが質問を呼び掛ける声が鳴り響く中でサッサと引き揚げる、いつもながらの光景が繰り返されました。「ヤッパリなぁ」と思いました。どう転んでも辞めるのが一番痛みが少ないはずでした。突っ走って、落ちて、衆議院選挙に突入したら、自身の選挙さえヤバイと言われていました。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で内閣支持率が急落し、10月21日で任期満了となる衆院選は菅総理の下では戦えないという声が若手中心に高まっていました。岸田文雄・前政調会長や高市早苗氏が出馬表明し、もしかすると石破茂氏や河野太郎氏も?という中で、二階幹事長に降りてもらう話をつけた時点で、さては自身も?と思いました。横浜市長選の結果を見れば、何より人心が離れたことを痛感したでしょう。そもそも前首相が任期途中で体調を理由に総理の地位を投げ出してそれを引き継いだわけですが、COVID-19の世界的感染拡大と、延期されたオリパラの実行、足元での政界不祥事の続発を考えれば、貧乏くじを引くのは誰かという話だったわけで、就任時の支持率の70%越えが国民の気持ちを表していたのです。こういう災害的国難のときにこそ、救世主;メシアを求めたいところですが、野党を含めて人材がサッパリ見当たらないことが悲しいですね。只今の課題は新型コロナウイルス対策ですが、平成に入ってからの第75代宇野宗佑内閣以降、第99代菅義偉内閣に到る過程で、日本が経済的に世界の中でどんどん落ちこぼれて行ったことをどうするのか、もうしょうがないと多数の国民が諦めているみたいですが、本当にそれで良いのでしょうか?


■ 飯塚幸三被告に禁錮5年の実刑判決
 434『熱海土石流』(2021年7月4日)のなかで、「池袋暴走事故飯塚幸三被告の哀れ」について書きました。「トヨタ自動車が、車両に異常や技術的な問題は認められなかったと異例のコメントを発表したのは、元工業技術院の院長ともあろう人が、車の欠陥だと主張したことを容認できないと判断したためでしょう。それにしても、この被告の姿は哀れですね。何よりも自分の過ちを認めない姿勢に、ひととしての哀れを感じます。晩節を汚すとはこのことです」と書きました。
 2019年4月19日正午過ぎ、東京都豊島区東池袋4の都道で、トヨタのハイブリッド車「プリウス」が暴走し、横断歩道を自転車で渡っていた近くの松永真菜さん=当時(31)=と長女莉子ちゃん=当時(3つ)=をはねて死亡させたほか、通行人ら男女9人に重軽傷を負わせた事故で、運転していた飯塚幸三被告が自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた裁判について触れたものです。こうした交通事故の裁判は通常すぐ結審するのですが、この被告が無罪を主張しために、当時87歳の被告が今や90歳になってしまいました。東京地裁は2021年9月2日、禁錮5年(求刑禁錮7年)の実刑判決を言い渡しました。裁判長は、判決を言い渡した後に飯塚被告へ「遺族に責任、過失を認め、真摯に謝るべきです。それが被害者と遺族が求めていることなので、実現して欲しいと思います」と説諭しました。通常無罪主張被告に裁判長が説諭することはあり得ないのだそうです。たとえ最高裁まで行っても絶対に覆らない十分な証拠が揃っている自信の顕れだろうということです。恐らく飯塚幸三被告は控訴しないでしょう。2015年に授与された瑞宝重光章は、はく奪されそうですね。

プリウス

■ 運転免許証返納
 この池袋暴走事故によって運転免許証を返納する高齢者が増えました。高齢者になってもし人身事故でも起こしたら、それこそ晩節を汚すことになるという思いからでしょう。一方で地方の過疎のまちでは車を運転しなければ、たちまち日常生活に窮する老人も居ます。都会に暮らしていれば運転免許証を返納してもさほど困らないですが、田舎ではそうは行きません。プリウスの運転者には、飯塚幸三氏のように、生活に困らない高齢者が多いみたいですね。中板橋に住んでいたら、車が無くても困らないはずです。筆者の勤務先に近かったので、この辺りはよく知っています。東武東上線や東京メトロの駅は歩いて行けるし、バスも頻繁に走っています。新型コロナウイルスの重症者を都内で最も多く受け入れている日大板橋病院の威容が見えます。ここも歩いて行けます。

最初のクルマ;スバル360(学生時代) 可愛いけれど不安定な車でした
「運転代行」のために学生数人で共同購入して、夜に飲み屋街に出動していました
今はビジネスになっていますが、当時はだれもやっていなかったので大儲けでした

■ 高齢者の運転免許
 筆者には70歳になる直前に「運転免許更新のお知らせ」ハガキが来ました。ゴールド免許なので、アレ、まだ更新には早いはずだけど?と思ったら、高齢者の運転免許は特別なシステムがあるんですね。詳しくは一般社団法人 全日本指定自動車教習所協会連合会の「高齢者運転支援サイト」をご覧ください。
 70歳を過ぎたら「高齢者講習」を受けなければいけないのだそうです。近くのセイコーモータースクールで「講義」と「動体視力等検査」、「実車運転」テストを受けました。費用5,100円払いました。その後警察署で免許更新の手続きをしてまたお金を払いました。講義では特に「止まれ」標識と横断歩道での一時停止について注意せよという点を強調されました。横断歩道に歩行者がたたずんでいたら、たとえおしゃべりしていてもスマホを見ていても止まりなさい、「止まれ」標識では交差点より手前に停止線があっても止まりなさい、そのワケは...、「止まる」の意味は、車輪の回転が停止することであって、徐行ではありません、などの説明がありました。高齢者がこれらに違反すると、一発鴻巣行きよ、と言われました。これは埼玉県民にしか分からないでしょう。埼玉県の運転免許センターは鴻巣なのです。動体視力は年齢と共に低下します。実車運転は問題ありませんでした。S字カープを含めてスイスイ、淀みなく通過して終了。75歳になると、「認知機能検査」を受けなければいけないそうです。

社会人になって2年経ち、そろそろイイかと新車購入
学生時代の運転代行、陸送、家庭教師のアルバイトでタンマリお金を貯めていました
NISSAN(旧プリンス系)ケンとメリーのスカイライン2000GTは高価でした
(いま考えてみればナンバー421は不吉でした)

■ あおり運転
 最近「ドライブレコーダー搭載」というシールを後部に張った車を良く見かけるようになりました。2020年6月10日に公布された道路交通法の一部を改正する法律により、妨害運転(「あおり運転」)に対する罰則が創設されました。これにより、他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持等の違反を行うことは、厳正な取締りの対象となり、最大で懲役3年の刑に処せられることとなりました。また、妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑に処せられることとなりました。さらに、妨害運転をした者は運転免許を取り消されることとなりました。あおり運転を証明するためにドライブレコーダーを付ける車が増えたわけです。
 あおり運転と言えば、よく後ろにピッタリ付いてくる車があります。悪気が無いのに車間距離を詰める運転をする人をたまに見かけます。あおられているような気がして気持ち悪いですね。また片側2車線の道路で、遅い車が追い越し車線をゆっくり走っていて、左端の走行車線に車が居ないのに追い越し車線をひたすら走っているようなとき、クラクションを鳴らしたり、パッシングライトをピカッとするとまずいかなと思いながらイライラすることもあります。こちらがあおっているように見られたくないからです。

子育て時代にはHONDA アコードにしました
オートクルージングが着いていました
いま考えると進んでいる機能でしたが、使いませんでした

■ 交通違反と反則金
 交通違反と聞くと、「速度違反」「一時不停止」「信号無視」「はみ出し禁止違反」などが思い浮かぶ方が多いかもしれませんが、あまり知られていないのが「車間距離不保持」です。さらに、「車間距離不保持」は、決してあおり運転のような行為だけではありません。道路交通法では、前の車が急ブレーキをかけても追突せずに停止できるだけの車間距離を保つことが義務付けられていますので、適切な車間距離を保っていないことすべてが交通違反に該当する可能性があるのです。
【道路交通法第26条】車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
 車間距離をあけることは一見当たり前のようですが、前を走る車と十分な距離を保つことで視界が良くなり危険を早く察知できる、万が一のときも対処する余裕ができる、など安全には欠かせない大切なポイントです。一般道であれば、距離にして「速度計の示す数字から15をひいた数」や時間にして「2秒以上」などが目安とされています。60km/hの道路なら45mです。高速道路ではよく車間距離確認区間があります。一般的な100km/hの区間では車間距離100mとされています。
 一般的な反則(行政刑罰)での交通違反点数と普通車の反則金は、
  ・高速道路等の場合:基礎点数2点、反則金9,000円
  ・上記以外の道路の場合:基礎点数1点、反則金6,000円
が科され、重大な違反であればさらに厳しい罰則が定められています。

いちばん長く乗ったTOYOTA MarkU 座席が高い位置にありました
故障もせず安定感抜群でしたが、息子に貸したらポシャリました

■ 車両通行帯違反
 あおり運転が社会問題として問題視されるようになったのは、2017年6月に発生した「東名高速夫婦死亡事故」が始まりです。ドライブレコーダーの普及とともに、「あおり被害」を報告する動画を目にする機会が増えましたが、それらのほとんどは、追越車線で発生しています。「追越車線走ってたら後ろからあおられた」「前に遅い車がいたからパッシングしてあおったけどなかなかどいてくれない」・・・・このような状況は誰しも経験あるのではないでしょうか。あおるというのは、遅い車に対して車間を詰めることというのが以前の概念でしたが、今はさらに嫌がらせを行うことというように変わってきています。
 あおり運転につながるとして2017年頃から高速道路での取り締まりが強化されている違法行為が「車間距離不保持」と「車両通行帯違反」です。車両通行帯違反とは平たく言えば「追越車線」をずっと走り続ける違法行為のことです。追越車線は「前車を追い越すために設けられた車線」なので、走行車線に通行車両がないのに追越車線を走行していると、
 ・追いついた車両が左側から追い越す、
 ・追越車線を走るクルマが遅い場合、後続車が十分な車間距離を保たず走行する
など、きわめて危険性/迷惑性が高い行為につながる可能性があり、追越車線を遅いスピードで走り続けると、後続車のイライラが募り、車間距離を詰めてくるなど妨害運転の要因となる可能性が高いので、車両通行帯違反の取り締まりも再び強化されているというわけです。クルマを走らせる際の大原則は「キープレフト」(=左車線を保って走る)です。追越しが終わったら速やかに走行車線に戻ることを守っていれば、あおりはぐっと減るはずです。

HONDAトルネオ・・・バケットシートで、ほとんどスポーツカーでしたね
運転していて目線が低いのです エンジンの手応え抜群でした
車高が低いので小さく見えますが、車幅や車長はTOYOTA MarkUとほぼ同じでした

■ 速度超過違反
 いわゆるスピード違反ですが、速度取り締まりの約66%は超過20km/h前後だそうです。警察庁がWebサイトに「道路の交通に関する統計/交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等」を毎年アップしていて、2020年のデータを見ますと、速度取り締まりは全体で116万2420件、超過速度別の1〜3位は下記の通り、カッコ内は全体に占める割合です。
   1位 20以上25未満 40万6262件(約35%)
   2位 15以上20未満 35万7209件(約31%)
   3位 25以上30未満 23万9883件(約21%)
 15km/h未満の取り締まりは全国で199件しかなく、うち166件(約83%)が岩手県です。前年の2019年は340件中239件(約70%)が岩手県となっています。それまで全国でせいぜい40数件しか摘発されなかったのに突然3桁になり、その多くを岩手が占めているのは何故か?超過15km/h未満の取り締まりを警察庁が解禁したのは通学路、生活道路での速度抑止のためだそうです。通学路等はだいたい制限30km/hです。岩手県警のお偉いさんが警察庁の方針に敏感に反応する人だったか、または「そもそも超過15km/h未満は一律に見逃すという過去の方針自体が間違いだ」と考える人だったか、真偽のほどは分かりませんが、ひとつ確かなことがあります。筆者が岩手に居た頃、車の陸送のアルバイトをしてたんまり稼ぎ、ほとんどは県内陸送でしたが、東京の板橋にトラックを運んできたこともありました。当時、岩手県警は速度取り締まりを厳しく実施していましたが、大体やっている場所は匂いで分かるのです。「なんとなくスピードを出してしまいそうなところ」です。したがってそういうところは悠然と走れば良いので、一度も捕まったことはありません。埼玉県に住んでビックリしました。「なんて緩いんだろう」・・・岩手県警が頻繁に行っている速度取り締まりにサッパリ遭遇しません。だからこそ効果テキメンです。岩手ではなかなかノルマ達成できませんが、埼玉では、ハイ一丁上がりという感じで、警察官たちはさっさと引き揚げるのです。エコパの門前でたまにやってるので、プールから見てて、さぁ、今日は何時に引き揚げかな?などと会話しています。
 データを見て驚くのは、なんと沖縄は超過15km/h以上20km/h未満の取り締まりが0件なのです。警視庁(=東京)もたった7件です。2019年は沖縄も東京も0件でした。これは何を意味するのか?沖縄と東京はどうやら超過20km/h未満を取り締まらないということですね。北海道、愛知、京都、大阪、福岡といういわゆる交通事故が多い道府県は超過15km/h以上20km/h未満摘発が第一位です。沖縄と東京の人が、こうした道府県に行って「超過20km/hまでは大丈夫でしょ?」なんて思っているとヤバイですよ。また筆者の経験では、熊本では信号が青になっても「1、2、3」と数えてから発進しないとヤバイです。黄信号でもスピード緩めない、赤でも多少はイイか、という県民性なのです。福岡の博多はとにかくウルサイ、クラクション鳴らしまくり、中洲の屋台で飲んでいても、外のウルサイこと...大阪は割り込み頻繁、しかし怒りません。要領良いほうが勝ち、割り込みもするけど、されても寛容、こういうほうが運転するほうから見ると良いですね。

還暦過ぎたので赤い車にしました・・・HONDA FIT三代目です
車幅はTOYOTA MarkUやHONDAトルネオとほぼ同じ、長さ短く
回転半径が小さいので切り返しや車庫入れが楽です

■ プラットフォーム変更
 これまで本ESSAYは、ネットオウル株式会社の”webcrow”で運用してきましたが、このたび2022年3月でサービス廃止との通告がありましたので、筆者が個人契約しているGMOインターネットのグループ企業;GMOペパボ株式会社の「ロリポップ!レンタルサーバー」に移転しました。
(2021年9月5日)


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