398  GoTo那須

 前回の最後に『次回は「箱根V」を紹介します』と書きましたが、ホテルサンバレー那須から案内ハガキが届いたので急遽紅葉を見に行こうと思い立って二泊三日の那須旅に行って来ました。割り込み紹介します。なお今回更新が遅れたのは、デスクトップパソコンがプッツンしたからです。作業中に突然動かなくなりました。BIOS立ち上げたらシステムディスクに使っているSSDが認識されません。ハードウェア不良とは考えられないので、システムファイルが壊れたのでしょう。ディスクフォーマットしてOS再インストールすればよいのでしょうが、とりあえずの作業が沢山あるので、ノートPCで作業してますが、ハードディスクなのでその遅いこと・・・

■ 「閑静な保養地」那須へ
 サンバレー那須には度々行っています。273『関宿〜那須』(2018年6月3日)で紹介しました。那須は御用邸があることでお分かりのように、単なる観光地と言うよりも、風光明媚で閑静な保養地です。例えば箱根は「閑静な保養地」とは言えませんね。軽井沢も近年、場所によっては閑静でなくなってきました。那須より北は「白河以北一山百文」と言われる東北地方です。東北は「閑静な保養地」だらけですが、白河以南なら那須なわけです。何故群馬県でないか?行ってみればわかります。群馬県は奇妙な形の山々に囲まれ、からっ風も吹いて、保養するには厳しい土地柄です。それゆえにここで生きている人たちはたくましいですね。

■ 「白河以北一山百文」
 ところで誰がこんなことを言ったのでしょうか?東北地方に対する蔑みの言葉に聞こえます。昔は蝦夷と言う言葉もあって、未開の地;関東より北は野蛮人の住む地だと言われたようですが、それは大和朝廷の頃の話です。東北に相対する言葉と言えば西南です。明治維新以降に奥羽を東北、九州を西南と改めたそうですが、西郷隆盛の西南戦争のほかは西南は使われていないのでは?「白河以北一山百文」は、戊辰戦争の頃に東北征伐に向かう薩長軍が言ったのかもしれませんね。この蔑称に抵抗する意味を込めて、宮城県仙台では新聞に『河北新報』と名付け、旧盛岡藩出身で平民宰相といわれた原敬は「一山」と号したといわれます。東北人の中央政府に対する反骨心がとりわけ旺盛な岩手県が、総理大臣を多く生んできた理由とされます。薩長軍を「官軍」と呼ぶのは、錦の御旗を立てたからですが、「勝てば官軍」はここから来ています。戦いはどんなに不条理でも、勝ったほうに理があるのです。75年前の日本の敗戦がそれを示しています。日本各地を空襲し、果ては広島、長崎に原発を投下し、民間人を大量殺戮したのは戦争犯罪の典型ですが、その米軍は今でも日本に駐留し、日本は実質的に支配下にあります。

■ サンバレー那須で湯巡り
 年間数千万人の観光客が訪れる那須へ行くには東北自動車道を走り、那須ICで降りて、県道17号を北上11qで到着、我が家から167km、2時間半で着きます。しかし国道4号線という素晴らしい道路があり、これを走れば4時間ちょっとで着きます。今回はこれを利用しました。目的は紅葉見物でした。それは二日目にして、まずは温泉です。ホテルサンバレー那須は那須岳への斜面の大自然の中に、緑に包まれて九つの建物が点在する大きなホテルです。その割には料金がリーズナブルです。アトラクションスパ「アクアヴィーナス」や美術館も備えたリゾートホテルです。館内随所に、女性像で有名な東郷青児、現代美術家のヒロヤマガタ、多様な作品を遺した岡本太郎、さらに景徳鎮の壺や、エミール・ガレの美しいガラス作品など、様々なジャンルの芸術で溢れています。今回はコロナ禍でCOVID-19対策のためか多数の部屋を有する本館は休館でした。本館の「湯遊天国」は営業していましたが、朝の営業は休止していたので、男女入れ替えで両方のお風呂を楽しめるサービスはありませんでした。「オリエンタルガーデン湯処ひのき」、「フォレストヴィラ森の湯」との湯巡りは楽しみました。


 那須温泉には有名な殺生石があり、那須温泉郷で最も古く、温泉神社を中心に温泉街を形成しています。松尾芭蕉が奥の細道の途中で宿泊した旧来の那須湯本温泉街より少し下ったところは、「新那須温泉」と称されています。鹿の湯は、鹿が温泉で傷を癒しているところを発見したとされています。サンバレー那須本館の「湯遊天国」は、「硫黄泉」「弱アルカリ泉」「マグネシウム泉」と3種の温泉成分を含んだお風呂があり、岩塩サウナ、炭サウナ、ドライサウナ、ヒーリングサウナ(太陽光で日焼けできる)、ミストサウナと、サウナが5つもありますが、今回は炭サウナとドライサウナだけの営業でした。「硫黄泉」=「那須温泉」は、乳白色の単純硫黄泉でpH6.6、硫黄臭がしていかにも温泉らしい感じ、「弱アルカリ泉」=「新那須の湯」はNa・Cl・SO4泉でpH7.6、ほとんど無色透明、無味無臭、「マグネシウム泉」=「平成の湯」はNa・Mg・HCO3・SO4・Cl泉でpH7.2、微黄褐色、無臭で塩味を有します。「オリエンタルガーデン湯処ひのき」は硫黄泉のみですが、内風呂1、露天風呂3、サウナと水風呂があります。「フォレストヴィラ森の湯」は、こじんまりしていますが、3つの温泉とサウナが揃い、硫黄泉の酸性湯に浸かった後、弱アルカリ泉で仕上げというのは、さながら草津温泉→四万温泉コースみたいなものです。


本館湯遊天国二の湯 とにかくたくさん湯船あり

本館湯遊天国のフルーツ風呂

本館湯遊天国のドライサウナ

アクアヴィーナスの内湯

オリエンタルガーデン湯処檜の内風呂

フォレストヴィラ森の湯露天風呂

【本館湯遊天国のレイアウト】


■ 那須岳の紅葉見物へ
 二日目は紅葉見物です。那須岳は紅葉の名所と言われています。那須岳は栃木県の北部に位置し、那須火山群に属しています。赤城山や八甲田山、八ヶ岳などと同様、その名を冠する山は無く、茶臼岳、朝日岳、三本槍岳、南月山、黒尾谷岳などの山々を総称して「那須岳」と呼んでいます。那須連山あるいは那須連峰と呼ぶ場合もあります。主峰茶臼岳は標高1,915m、ロープウェイに乗って山頂駅で降りて30分で登れます。ず〜〜っと奥の福島県境の三本槍岳1,916.9mのほうがわずかに標高は高いそうです。


ロープウェー山麓駅に向かう途中の那須高原展望台で見た左:茶臼岳1,915m、右:朝日岳1,896m(筆者撮影)
山頂部を見ると、典型的な火山であることが分かります


■ すごい渋滞でした
 ホテルサンバレー那須から那須岳「峠の茶屋」に向けてドライブ、ルートガイドでは9.3km、車で18分と書いてあります。那須温泉郵便局〜那須高原〜右下の谷底にある鹿の湯を横目に殺生石に登る駐車場のところを戻るように右カーブしますが、このあたりから大渋滞、那須ビジターセンターのところを左へぐるっとカーブ、これまた紅葉の名所「つつじ吊り橋」前を過ぎて、那須高原展望台で茶臼岳と朝日岳の雄姿をパチリ、そして休暇村那須へ着くと左手にあの高校生の遭難事故が起きた那須ファミリースキー場があります。そして大丸園地、ここに大きな駐車場があり、旅館やレストハウスがずらりとあります。大渋滞は殺生石前急カーブからロープウェー山麓駅まで続きました。途中に標識がいくつもあって「峠の茶屋まで通常なら〇分、混雑時は▲▲分」と書いてありますが、その差がハンパではありません。実に時速1q/hです。10時30分にホテルを出て峠の茶屋に12時45分に着きました。9.3km/18分が135分かかりました。平日にしてこの有様ですから、休日はどうなるのでしょうか?途中であきらめて引き返す車が続々、大丸園地の駐車場に車を置いて徒歩でロープウェー山麓駅に向かう人もたくさんいます。観光協会のTwitterで渋滞情報を見たのでしょう。筆者はロープウェーが目的ではなく「峠の茶屋」なのでじっと耐えて車で登りました。ロープウェー山麓駅を目指す車が圧倒的だったみたいで、ここを過ぎたらスイスイ、あっという間に「峠の茶屋」に着きました。車はここまでです。駐車場から朝日岳や鬼面山の写真を撮りました。


「峠の茶屋」駐車場から見た朝日岳 駐車場から登山道があり、朝日岳や茶臼岳に向かえます(筆者撮影)


■ 日本百名山・那須岳登山ルート
 「峠の茶屋」の駐車場は一方通行になっていて道はぐるっとループしていて、後は引き返すしかありません。登山道を登っていく人たちや下ってきた人たちがゾロゾロ...茶臼岳の周りには牛ヶ首、日の出平、姥ヶ平、無間地獄と言った地名があります。お鉢もあって活火山であることが分かります。「峠の茶屋」駐車場から登ると、山之神神社〜鉱山事務所跡〜中の茶屋跡〜峠の茶屋跡と来て、ここから分岐になります。左手に行けば茶臼岳、真っ直ぐ行けば剣が峰1,799m、右へ行けば朝日の肩です。ここから朝日岳1,896mに往復し、熊見曽根から清水平〜三本槍岳1,916.9mと縦走するコースは高低差の少ない眺望の良い稜線歩き、天気の良い夏山なら走るように進んで日帰りも出来ます。避難小屋は何か所かあります。日本百名山も谷川岳や那須岳のようにロープウェーがあるところは簡単に山頂に行けます。


「峠の茶屋」駐車場から見た鬼面山(きめんざん)1,616m 緑の部分は笹です(筆者撮影)

■ 那須の紅葉はどうよ?
 那須の紅葉はいかがでしょうか?筆者のふるさと・雫石町や盛岡市の紅葉には比べるべくもありません。昼夜の温度差や気温低下の微分値が違うためでしょう。紅葉は緑色→黄色→紅色となります。桜の葉の紅葉推移を見れば良く分かります。温暖なところは茶色が多いため、赤黄緑の鮮やかさが、北海道・北東北と、それ以南では違うのでしょう。

岩手県雫石町葛根田の紅葉
 
盛岡市中央図書館庭の紅葉

■ 那須雪崩事故の展示見学
 「峠の茶屋」駐車場から下って大丸園地から左手の道を選びました。八幡温泉のツツジの群生地を以前訪れましたが、今回は向かい側のホテル前に駐車、なんと!閉鎖されたみたいです。大きな施設なのに...。ここから左手に下れば国立青少年自然の家「那須ロッジ」や平成の森、御用邸ですが、真っ直ぐ下って直ぐ、栃木県立なす高原青少年自然の家に寄りました。立派な施設ですが訪れる人ほとんど無し、職員もヒマそうです。ここで那須ファミリースキー場の高校生遭難事故の展示を見ました。2017年(平成29年)3月27日に栃木県那須郡那須町の那須温泉ファミリースキー場付近で発生した雪崩事故です。 春山登山講習会に参加していた県内の複数の高校の生徒、教員らを巻き込み、太田原高校の生徒7人と引率教員1人の計8人が死亡し、40人が重軽傷を負う事故でした。

■ ホテルに帰って
 ホテルサンバレー那須に帰ってきて、再びガーデンスウィート館の部屋に戻り、入浴して夕食です。1泊目の夕食と翌朝の朝食はオリエンタルガーデン館のチャイニーズレストラン「万里」、2泊目の夕食と翌朝の朝食はフォレストヴィラ館のレストラン「森のテーブル」で洋食です。サンバレー那須には9館あり、クイーンズコリーナ館もなかなか良い部屋です。構内は様々な花で溢れ、温室もあります。緑の世話をしている人と話したら、経営者の奥さんが無類の花好きなので...とのことでした。

ガーデンスウィートの看板(筆者撮影)

ガーデンスウィートのナイトライトアップ 奥がエントランス 両側にバラが咲く 右端はチャペル(筆者撮影)


■ 朝ドラ「エール」第19週「鐘よ響け」
 朝ドラ「エール」では辛い戦時下のシーンで、冒頭の主題歌も無く、暗い時代を表現しました。裕一の恩師はじめ親しかった人たちが次々と死んでいく、悲しく、辛い時代だったことが良く描かれていました。自分の作曲した歌で若者を戦地に狩り出してしまったという自責の念から、裕一は「音楽がにくい」という気持ちになって、作曲ができなくなっていました。長いどん底から抜け出せたのは劇作家・池田二郎との出会いでした。ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の主題歌「とんがり帽子」を書いて、これがヒット、池田二郎は続いて映画「長崎の鐘」のテーマ曲の作曲を依頼します。裕一は歌詞の基になった本の著者・永田武に会いに長崎へ行きます。原爆投下で自らも被爆しながら医師として人々の救護に当たった人です。白血病で寝たきりになっていた永田は「どん底まで落ちろ。この意味が分かれば、曲が書けるはずです」と言いました。意味が見出せずにいた裕一を、永田の妹・ユリカが連れ出し、永田が被爆者の治療に当たったその場所で見たのは「どん底に大地あり」という言葉でした。「そうか、どん底まで落ちれば、そこから這い上がろうと努力し、そこに希望を見出すんだ」・・・裕一は永田の言わんとしたことが理解できました。帰る途中の汽車の中で、一気に曲を書き上げると、「長崎の鐘」を歌ってほしいと山藤太郎にお願いします。

■ 吉岡秀隆さんと倍賞千恵子さん
 永田医師を演じた吉岡秀隆さんはさすがの演技でしたね。それで思い出したのは倍賞千恵子さんです。山田洋二監督の映画に欠かせない俳優であることは、この二人の共通点です。そしてプライベートでもこの二人は凄く仲が良いことで有名です。倍賞千恵子さんは大スターなのに全く偉ぶらず、気さくな方です。そして清楚な方です。あの美しい高音で数々のヒット曲を出されましたが、何度聞いても、余人をもって代え難い歌手でもありますね。


今年のハロウィーンは穏やかに・・・と祈ります


■ 栃木県;魅力度ランク最下位転落
 ブランド総合研究所が10月14日に発表した「都道府県魅力度ランキング」で、ランキング1位に選ばれたのは北海道で、なんと12年連続のトップでした。2位は京都府、3位には沖縄県がランクイン、昨年3位の東京は1つ順位を落とし、4位となりました。下位に目を移すと、7年連続最下位の茨城県は42位となり、ついに最下位を脱出しました。代わってワースト3となったのは、45位佐賀県、46位徳島県、47位栃木県です。栃木県が最下位に転落し、ビックリした福田富一知事はただちにブランド総合研究所に乗り込み「なんでやねん」とただしたとか...実は知事選挙があるからです。栃木といえば世界遺産の日光東照宮があるほか、鬼怒川温泉、那須高原などの観光地を抱え、さらには宇都宮ぎょうざ、佐野ラーメンなどのグルメもあり、イチゴの生産量日本一、とちおとめなどのブランドもあります。首都圏からのアクセスは抜群であり、今年から東武グループが日光へのSL乗り入れを実現させるなど、さらなる魅力度アップに向け、大々的に観光キャンペーンに力を入れ始めた矢先でした。「U字工事」は「栃木が最下位なんておかしいべー!」と、怒ってます。落語家の立川志らくは出演番組で「魅力度ランキングが知名度ランキングになっている」と指摘。1位よりも最下位を取り上げる風潮に「大人はシャレが通じるけど子供は傷つくよ」とコメントしていました。続いて「このランキングは知名度だけで、本当の魅力は下位に詰まっていると思う。私は生まれも育ちも東京だけど、4位の東京なんて便利なだけで魅力なんて何もない。最下位でいいよ」と言ってます。
 筆者が行った鳴門海峡は徳島県だし、今回の栃木県も良いところ、「都道府県魅力度ランキング」という名称は変えたほうがいいですね。魅力があるところが下位になるというのは設問の仕方がどうなのか?知らなければ魅力も何も無いわけですから、日本全国くまなく旅した筆者から言わせれば、茨城県も佐賀県も良いところです。次回は「箱根V」を紹介します。
(2020年10月29日)


次回へ    前回へ    最新ページへ    つぶやき最終回