348  大学改革
 急に寒くなってきました。11月8日が「立冬」でしたから、当然ですね。12月22日の「冬至」に向かって日暮れが早くなり、冬がすぐそこに迫っていることが分かります。11月12日は満月です。

■ 盛岡へ
 今週は国立大学法人岩手大学での経営協議会があり、盛岡に行きます。JR東日本は有り難いことに東北新幹線の車中でWiHiを提供してくれるので、インターネットが自在に使えます。経営協議会は「国立大学ガバナンス・コード」に則って、多様なステークホルダーの幅広い意見を聞き、経営に関する重要事項の審議を活性化させて、大学の経営力を強化するための体制確保のために設置されているもので、筆者はその学外委員なのです。雫石町の鶯宿ホテル加賀助に前泊して、経営協議会での検討事項について自分なりの考え方をまとめ、湯に浸かって疲れを癒すのです。

■ 国立大学改革方針
 いま国立大学法人は、第3期中期目標期間の中期に在ります。文科省は第3期中期目標期間後半の取組みの加速と第4期中期目標・中期計画の策定に向けた議論のキックオフとして「国立大学改革方針」を示しました。令和4年度から始まる第4期中期目標期間に向け、中央教育審議会答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」において示されている今後の高等教育が目指すべき姿を踏まえつつ、今後の改革の方向性と論点を提示するものです。「概要」と「本文」、いずれもPDFです。
 取り組むべき方向性として、
 ○徹底的な教育改革
 ○世界の『知』をリードするイノベーションハブ
 ○世界・社会との高度で多様な頭脳循環
 ○地域の中核として高度な知を提供
 ○強靱なガバナンス
 ○多様で柔軟なネットワーク
 ○国立大学の適正な規模
の7つをあげています。読み進むと、とにかくカタカナが多いことに気付かれるでしょう。今や日本の大学はグローバル化に対応して行かないと生き残れない、極論すれば教育も研究もどっぷりと英語漬けで行わなければ立ち行かなくなりつつあるのです。サステイナブルでインクルーシブな教育を目指しているのです。文科省の文書には、ダイバーシティへの対応や、イノベーション、Society5.0、SDGs(エスディージーズ)、SINET(学術情報ネットワーク)、リカレント教育、大学ガバナンス・コードの策定、などの言葉が出てきます。教員にはテニュア・トラック制が適用されつつあります。言葉一つひとつが、常に勉強していないと着いて行けません。

岩手大学理工学部キャンパスの銀杏と桜の紅葉

■ 国立大学協会が指摘する留意点
これに対して国立大学協会は改革方針の方向性について、「基本的には認識を共有する」としています。一方で、日本の重要課題である地方創生の中核として機能できるよう、各国立大学が立地する地方(地域)の特性に合った支援体制を構築する視点が重要としています。会長コメントでは、文部科学省が今後、改革方針を踏まえた各国立大学との対話を進めていくにあたって、4つの事項を留意点としてあげています。
@「高等教育における 国立大学の将来像(最終まとめ)」の方針や各国立大学の将来構想の実現を後押しするために必要な議論を行うこと。その際には、地方創生の観点も取り入れた具体的な国土全般にわたる適正な産業分布と、それを達成するための人材育成の質と量についても議論すること。
A「国立大学の適正な規模」について、18歳人口の減少という事象のみにとらわれた一律の対応を行うのではなく、将来の人材需要や進学率、地域の特性、各大学の経営戦略・強み・特色などさまざまな観点から十分な協議を行うこと。
B国立大学法人化の本旨に立ち返ってこれまでの施策の検証を行い、 各大学が中長期的な見通しを持って自律的に多様な経営戦略を樹立・実施できるよう、政・制度面において不断の改善と手厚い支援を実施するとともに安定した枠組みを確立すること。
C国立大学が大学院における高度な人材育成や最先端の学術研究などで中心的な役割を果たしていることを踏まえ、大学学部と大学院の総合的かつ体系的な教育の在り方を示すこと。

岩手大学正門

■ 経済情勢の雲行きが...
 週明け11日のニューヨーク株式相場は、3営業日連続で史上最高値を更新しました。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前週末終値比10.25ドル高の2万7691.49ドルで終了しました。
 福島銀行は11日、インターネット金融大手SBIホールディングスと資本・業務提携すると発表しました。SBIは複数の地方銀行に出資する地銀連合構想を掲げており、これに加わります。人口減少や日銀のマイナス金利政策の影響で、地銀の経営は悪化していて、今後も収益力や財務基盤の強化に向けた提携が相次ぐでしょう。
 三木谷浩史会長兼社長(54)率いる楽天は今年1〜9月期連結決算で141億円の最終赤字(前年同期は1079億円の黒字)に転落したと発表しました。楽天が筆頭株主のアメリカのライドシェア大手、リフトに関連した損失が約1000億円発生したことによるものです。携帯電話事業もうまく行ってないし、課題山積です。孫正義会長兼社長(62)率いるソフトバンクグループはアメリカのシェアオフィス大手「WeWork」の業績不振で、連結業績は、営業利益が1兆4,363億円のマイナスとなりました。共に海外での投資損が響いた形です。
 こうしたいろいろな経済の動きは、注目しておかなければなりません。ポイントはやはり金融の動きですね。

■ 八ツ場ダム
 草津への行き帰りに八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)を見てきました。344『令和元年○○台風』(2019年10月16日)で書いた通り、今回の台風で注目されたのはダムの役割でした。国が2020年春の完成を目指し、利根川上流の吾妻(あがつま)川に建設中の八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)で10月から試験湛水を始め、2〜3ヶ月かけて満水まで持って行く予定でしたが、10月12日から13日にかけ、一昼夜で水位が54m上昇し、満水まで10mになったのです。国土交通省の発表では、その後15日18時ごろに満水位に達したそうです。氾濫寸前だった利根川は八ツ場ダムのお蔭で助かったと言われます。しかしこれは試験湛水だったのが幸いしただけで、もしダムが本格運用中だったら、緊急放流せざるを得ないようになり、昨年7月の西日本豪雨で愛媛県を流れる一級河川、肱川(ひじかわ)の野村ダムと鹿野川ダムの放流後、ダム下流の堤防が決壊し、8名の方が亡くなったような事態も考えられました。
 ダムの水位は満水からやや下がっていましたが、水は茶色に濁り、湖面にゴミが浮いて、岸辺の、樹木は茶色く変色していました。

2019年10月31日の八ツ場ダム、奥がダム堤、右側に川原湯温泉があります

■ 島田橋
 11月10日は埼玉県坂戸市民総合運動公園軟式球場で第45回埼玉県西部地区少年野球秋季選抜大会の準決勝、決勝閉会式が有り、行って来ました。すぐ近くに越辺(オッペ)川があるので、見てきました。
 2014年6月7、8日の記録的な豪雨で越辺川の水位が急上昇、映画やテレビの時代劇のロケ地で有名な「島田橋」が流失しました。冠水橋ですが、木橋なので、流失することがあるんですね。この橋は東松山市の毛塚と坂戸市の島田をつなぐ木橋で、1958年の台風22号(狩野川台風)で流失し、その後1994年の台風でも流失しました。2014年の流失後に工費約6800万円をかけてほぼ元の形に復旧されることとなり、2015年5月28日に架け替えられ、使用再開されました。
2014年6月の豪雨で流出

2019年11月10日、橋は大丈夫で看板が倒れてる
 今回の台風19号でも越辺川が随所で氾濫しました。島田橋は今回は残っていましたが、右上写真で分かるように、坂戸市側の橋のたもとに建てられた看板が倒れていました。左側が上流なので左から右へ水が流れます。下の写真をご覧下さい。左側が1年前、右が今年、水流で草がやられて、緑が全然違います。すごいのは川原の樹木の葉の色です。右のように高い木のてっぺんまで水が行ったらしく茶色です。しかも上の枝にスーパーのポリ袋みたいな白いのが引っ掛かっています。堤防は高いのですが、ほぼ最上部あたりにも流木やゴミがあり、水位上昇の凄まじさが分かりました。田んぼが冠水したりして、農業被害も甚大です。

2018年11月17日

2019年11月10日
(2019年11月12日)


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