秋らしい気温になってきましたが、「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますから、9月23日の秋分の日まではまだぶり返しも有り得ます。水道をひねって温かい水が出る自然湯沸かし器状況はまだ解消されません。 ■ ホテルサンバレー那須 ただいま273『関宿〜那須』(2018年6月3日)で紹介したホテルサンバレー那須にまた来ています。半年も経たないのに同じ宿に来るのは実に珍しいのですが、それだけ気に入ったということです。今回は本館湯遊天国とアクアヴィーナスだけではなく、フォレストヴィラ館とオリエンタルガーデン館のお風呂も楽しみました。すべてのお風呂に内湯と露天風呂とサウナがあり、白濁の硫黄泉、ナトリウム・マグネシウム泉、アルカリ単純泉など、たくさんの泉質の湯を堪能しました。サウナもドライサウナ、塩サウナ、ミストサウナ、ヒーリングサウナなど各種あります。夜には一面にきらびやかなイルミネーション、豪華な広い部屋においしい食事、満足です。我が家から東北自動車道を走って170km、年間数千万人の観光客が訪れる那須の広野の緩斜面に展開したリゾートです。高級宿、和服女性の給仕でお酒を頂きながらの至福の部屋食はもちろん良いですが、種類が多く質が高いブッフェの場合は、好きなものが食べられるので良いですね。某チェーンのように種類が多くても美味しくなくてお客様の質が?というところはチョット...。サンバレー那須は小さな子ども連れの客が多いのです。「ウェルカムベビーの宿(下段参照)」ではないようですが、小さな子ども連れの客が多い宿は概ね良い宿です。接客が優しく、施設が安心で、子育て世代なのにレジャーを楽しめるゆとりがある家族が来たい宿とは、酔っ払い天国ではない、品があるけれどメチャクチャ高くもない、というところです。しかもこの宿は女性像で有名な東郷青児、現代美術家のヒロヤマガタ、多様な作品を遺した岡本太郎、さらに景徳鎮の壺や、エミール・ガレの美しいガラス作品など、様々なジャンルの芸術で溢れています。
【本館湯遊天国のレイアウト】 左側の湯処(女性)は「二の湯」で朝だけ男性用、右側の湯処(男性)は「一の湯」で朝だけ女性用
■ 大坂なおみ全米オープン優勝 テニスの全米オープンで男女シングルス日本人初優勝を果たした大坂なおみ(20・日清食品)のプレーは圧巻でした。180cm超の長身から繰り出されるあの強烈サーブがあれば世界女王も夢では無いと思っていましたが、引っ込み思案の性格から物事をネガティブにとらえるメンタル面の弱さがありました。それまでコーチ役は父のハイチ出身レオナルドさんでしたが、世界トップに上がるにはプロの指導者が必要・・・と昨年12月、サーシャ・バイン氏(33)に接触したのだそうです。ちょうど今年1月の世界ランク1位復帰を後押ししたキャロライン・ウォズニアッキ(28・デンマーク)との契約が切れたばかりのドイツ出身のイケメンコーチは、セリーナ・ウィリアムズ(36・米国)、ビクトリア・アザレンカ(29・ベラルーシ)などの世界女王のコーチをしてきた人です。かねがね大坂なおみの可能性に注目していたバイン氏は即刻OK、陽気なバイン氏は「できるだけ楽しく、ポジティブな雰囲気を作ろう」と、練習前のアップから笑顔で併走し、トレーニングでも一緒に汗を流したそうです。ラリーやサーブの練習では、罰則ありの勝負形式で意欲を起こさせました。「負けたら渋谷の交差点でダンスする」ペナルティでは、なおみがスクランブル交差点で踊ったり、負けたバイン氏に罰則の納豆チャレンジをさせて、なおみがニヤニヤしながらスマホで撮影するなど、笑いが絶えない雰囲気となりました。女王セリーナ・ウィリアムズのヒッティング・パートナーを8年も務めた実績をなおみに示し、「君ならできる」とポジティブに指導して、なおみは急激に強くなりました。 ■ 3月にWTAツアー初優勝〜クリス・エバートも評価 2018年3月、ツアーカテゴリで4大大会に次ぐプレミア・マンダトリートーナメントのインディアンウェルズ・マスターズで1回戦・元世界1位マリア・シャラポワに6-4、6-4で勝利、その後も勝ち進み、準々決勝で世界ランク5位のカロリナ・プリスコバに6-2、6-3で勝利、準決勝で現世界ランク1位のシモナ・ハレプに6-3、6-0で勝利、そして決勝でダリア・カサキナに6-3、6-2で勝利してWTAツアー初優勝しました。現在の練習拠点であるボカラトンのエバートテニスアカデミーで練習をよく見ていた元世界1位のクリス・エバートは、「サーシャを高く評価したい。彼は、彼女に何が欠けていたのか、何が必要かを知っていた。彼女の動きは(コーチ就任前と)明らかに違ってきている」とコーチ変更が初優勝への背景にあることを指摘しました。 ■ 我慢と集中 何より、ピンチになったとき、従来のようにヤケクソになったり、うつむいて肩を落とすのではなく「ガマン、ガマン」と自らを鼓舞できるようになった点が大進歩でした。準決勝で昨年準優勝のマディソン・キーズ(23・米国)をストレートで下しましたが、2年前に同じ全米で嫌な負け方をしていた相手です。13度もあったブレークポイントのピンチをすべてセーブできたのは、「我慢と集中」というバインコーチから与えられたテーマをしぶとく実行したこと、何よりフットワーク向上のため甘いものも我慢してシェイプアップした体の動きの良さでした。 今回の全米優勝で世界ランキングは自己最高の7位に浮上し、今週凱旋帰国して、東レパンパシフィックオープン(17〜23日、アリーナ立川立飛)に出場するほか、8位までが出場できるツアー最終戦・WTAファイナルズ(10月21〜28日、シンガポール)に出場できる可能性も出てきました。ただ、強豪選手は沢山居ますから、そう甘いものではありません。なおみが「好きな抹茶アイスは東レパンパシフィックオープン後にとっておく」と記者会見で話したことは正解です。「ガマン、ガマン」で頑張って下さい。 ■ GT−Rが好き・・・じゃああげる
■ 残念だったセリーナのイチャモン 決勝では、女王セリーナ・ウィリアムズが客席からのコーチングによる警告をきっかけに、主審への暴言などで警告や罰則を受けました。セリーナは出産から復帰直後の3月に大坂なおみに敗れましたが、今回は当時と違い、万全に近い状態で決勝に臨めると見られていました。しかし、第1セットでなおみに圧倒された後、第2セットでコーチのパトリック・ムラトグルー氏がハンドシグナルでセリーナに指示を送ったのを見て主審が警告しました。これに元女王は逆上、「私は勝つためにインチキはしない。負けたほうがいい」とポルトガル人主審のカルロス・ラモス氏に逆上、「あなた、謝りなさいよ。謝りなさいよ。私は一度もインチキをしたことがない。娘もいるのよ。あなたは謝罪の必要があるわ」と詰め寄り、その後も劣勢でラケットをコートに叩き付けて壊してまたペナルティ、さらには主審に「盗人」呼ばわりの暴言、グランドスラム31度目の決勝の晴れ舞台で怒鳴り散らし、号泣するなど取り乱したセリーナにラモス主審は3つの違反によるぺナルティを毅然と言い渡しました。元女王支持者で埋まったスタンドは主審に激しいブーイングを浴びせました。歴代最高の女王に、恐れも贔屓も忖度もせずに、観衆のブーイングを浴びながら、毅然と振る舞ったラモス主審は大したものです。そしてこんな騒然とした雰囲気の中でも、壁を向いて集中を切らさず勝ち切った大坂なおみも素晴らしい。試合終了後のインタビューで「ゴメンナサイ」と観衆に謝った20歳の大坂なおみが、セリーナより世界女王に見えました。セリーナは試合後の会見で、男子ツアーならペナルティを受けなかったはずと力説し、性差別と人種差別を持ち出しましたが、これは不適切だと思います。全米オープン主催者は試合後、セリーナに罰金を課しました。 ■ 「ケンカツ」視聴率低迷
■ テーマが重いから?お気楽を求める視聴者 昨年最も話題をさらった女優である吉岡里帆が主演した連ドラは、今年・2018年の冬ドラマ「きみが心に棲みついた」のみ、視聴率は平均7.7%といまひとつ伸びませんでした。「ケンカツ」は「きみが心に棲みついた」同様、人気コミック原作を実写化した連ドラです。視聴率が伸びないのはテーマが重いことにあるのでしょう。2017年初めに小田原市で、「HOGO NAMENNA(保護なめんな)」と書かれたジャンパーを役所の職員が着ていたことが問題となりました。生活保護費は3.8兆円を超え、増加の一途です。当然、納税者の負担も増えて行きます。さらに生活保護費が年金受給額より多いケースもあり、制度に納得していない視聴者が多いとか、不正受給の問題もありますね。所得隠し、暴力団の関与、生活保護ビジネスなどに加え、職員による横領や、役所側の生活保護費抑制問題など、様々なテーマがクローズアップされています。もしかすると、日本国憲法第25条第1項に該当する人が増えていることとも関連するのかもしれません。こうした格差社会に直面しているからこそ、見るべきドラマだと思うのですが、視聴者はドキュメンタリー感覚だと見て、遠ざかっているのかもしれません。 ■ 「ぎぼむす」絶好調、なぜ“ブルース”? 対して番組最高視聴率連続更新中で絶好調なのが、綾瀬はるか(33)主演のTBS系連続ドラマ「義母と娘のブルース」(略称「ぎぼむすブルース」)です。原作が4コマ漫画というのも異色ですが、放送開始後に人気が爆発しました。バリバリのキャリアウーマン・亜希子(綾瀬)と、結婚相手・良一(竹野内豊)の連れ子である娘・みゆき(幼少期:横溝菜帆〜高校生:上白石萌歌)とのほのぼのした日常を描く物語で、愛の物語ではありますが、なんかヘンでもあります。脚本を担当しているのは「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)、「JIN―仁―」(2009、2011年)、「天皇の料理番」(2015年)、「女城主 直虎」(2017年)などで知られ、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(2013年)では向田邦子賞、橋田賞に輝いた脚本家・森下佳子さんです。主演を務めている綾瀬はるかさんとはたくさんのヒット作品を共にしてきた名コンビです。なんで“ブルース”なのでしょう?ブルースは黒人の哀歌で、四分の四拍子の、哀調を帯びた歌曲です。でも脚本・森下佳子で、主演・綾瀬はるかとなると、どう考えても“ブルース”は哀歌というよりも、かなしい出来事で心がふさがれる・・・それがクスリと笑える物語になっていく、という感じがします。 ■ 「逃げ恥」を超えるか? 視聴率は、初回が11.5%、第2話が11.3%、第3話が12.4%、第4話が12.2%、第5話が13.1%、第6話が13.9%、第7話が15.1%、第8話が15.5%と右肩上がりで推移し、9月11日の第9話は17.3%とまたまた自己最高を更新、さあ9月18日の第10話はどうなる?多分またまた最高を更新するのでは?TBS火曜10時枠としては、新垣結衣『逃げるは恥だが役に立つ』」(略称「逃げ恥」)の最終回が20.8%と大台を超える大ヒットでした。 ■ ビジネススキルを駆使する亜希子
■ “腹芸”や“土下座”も その後も、ビジネス論理は随所で出てきます。企業間交渉を円滑に進めるための“腹芸”を、なんと学童保育で披露してしまい、みゆきの不興を買います。しかもビジネスで時々使う“土下座”をして失敗を取り戻そうとしますが、事態をさらに悪化させてしまいます。亜希子の一生懸命さが裏目に出ることも多々あるのです。それでも真剣な態度はやがて人を動かし始めます。 ■ PTAとの対立を経て、みゆきの気持ちが変わる 圧巻は第3話でした。PTAのやり方を巡って、ビジネスと同様に合理的にすべきと発言した亜希子は、役員たちと対立してしまいます。そこでPTA廃止活動を始めたところ、学校の知れるところとなり、副校長らに呼び出され話し合いが始まります。そこにみゆきが飛び込み、亜希子をたしなめます。「私のママなら、私が嫌われるようなことしないで!」、副校長も「みゆきちゃんもこう言っていることだし・・」と丸く収めようとしますが亜希子は引き下がりません。「先生、子供がこんな発想になって良いのでしょうか」、「子供は親が嫌われるようなことをしたら、自分も嫌われると思っている」、「親は子供が嫌われることを恐れて、言葉を飲み込む」、「その背中を見て育った子供は思うでしょう」、「長いものには巻かれれば良い」、「強い奴には逆らうな」、「本当のことは影で言うが正しい」、「だって、大好きなお父さんお母さんがそうやっていたんだから」・・・亜希子の一生懸命さは、みゆきの気持ちを変え、先生たちの考えを改め、周りのママたちを動かし、PTA会長も納得させて行きます。 ■ ベーカリー麦田では... しかしドラマのテーマは、もう一つありそうです。亜希子自身が家族・家庭に覚醒して行くのです。恋愛結婚ではなくお互いの利害関係が一致した仮面夫婦が一緒に生活していく中、お互いに愛情が生まれてくるのですが、そんな矢先に夫は亡くなってしまいます。やがて、「ベーカリー麦田」に再就職し、ダメ男の店長を励まし、リニューアルオープンにこぎつけます。苦楽を共にしながらも楽しそうな亜希子と麦田(佐藤健)を見て、みゆきは麦田の亜希子への思いに気づいてしまい、思い悩みます。年が明け、順調に客足を伸ばした「ベーカリー麦田」は、ハートのロールパンが話題となり、テレビ取材が入ることになります。熱が入りすぎている麦田の想定問答を見かねた亜希子は、本番にテレビクルーの前で予想外の発言をします。それを聞いた麦田は、ついに亜希子へ自分の思いを伝えることにします。そして亜希子と麦田は・・・・ ■ エンディングは? 森下佳子さんの脚本はどんでん返しが結構あるのです。娘の卒業式を迎えて母としての一つの区切りを終えて最終回という形になるのではないでしょうか。TBSの予告動画では、 「そして別れの時・・・」 「さらば義母!!」 とだけあります。原作通りだとすると麦田店長は亜希子さんにフラれてしまいます。ただ、亜希子さんはみゆきの義母ではなくなるわけです。ほんとうの母?さあ、森下佳子さんの描くラストは? (2018年9月15日) |