284  終戦
 毎年8月15日は「終戦の日」、今年は数えて73回目です。政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で開かれました。天皇、皇后両陛下の最後のご臨席のもと、安倍晋三首相や全国各地の遺族が参列し、首相の式辞の後、正午に参列者全員で黙とうをささげ、戦争の犠牲となった軍人・軍属約230万人と一般市民約80万人の計約310万人の冥福を祈るとともに、平和を祈念しました。天皇陛下のお言葉がありました。

■ 天皇陛下のお言葉
    本日 「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり 全国戦没者追悼式に臨み さきの大戦において かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い 深い悲しみを新たにいたします
 終戦以来既に73年 国民のたゆみない努力により 今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが 苦難に満ちた往時をしのぶとき 感慨は今なお尽きることがありません
 戦後長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ ここに過去を顧み 深い反省とともに 今後 戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い 全国民と共に 戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し 心から追悼の意を表し 世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります
  
 天皇陛下のお言葉の中で、下線部「戦後長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」が今回初めて述べられた部分です。全文にわたり、天皇陛下の過去への反省と、平和への願いが切々と伝わってきます。天皇陛下は今後とも平和な日本がずっと続いて欲しいと願われておられるのです。

■ 為萬世開太平・・・永遠の平和
 第125代明仁今上天皇は終戦のとき11歳でした。奥日光に疎開されて終戦を迎え、終戦後に帰京されました。父である昭和天皇の終戦時における苦しみについては、恐らく父上から繰り返しお聞きになっておられたのではないでしょうか。戦後一貫して、戦地に赴いては亡くなった霊に深い祈りを捧げられました。273『関宿〜那須』(2018年6月3日)で、関宿の「鈴木貫太郎記念館」を訪問したことを書きました。昭和天皇は終戦の詔勅(しょうちょく)において、「モッテ萬世ノ為ニ太平ヲ開カント欲ス」という玉音放送を流されたわけですが、終戦時の首相鈴木貫太郎は、1948年4月17日、死の床について「永遠の平和、永遠の平和」と口にして永眠されたそうです。昭和天皇や鈴木貫太郎元首相の思いを継いで、平成天皇は、その最後の戦没者追悼式臨席に当たり、戦後ずっと続いてきた平和な世の中が今後もずっと続くようにと、「永遠の平和」への願いを口にされたのだと思います。

■ 甲子園100回記念大会
 第100回全国高校野球選手権大会で秋田代表・金足農が決勝に進出しました。金足農は全員が秋田県の選手で、メンバー9人を固定して勝ち上がって来ました。特にエース吉田輝星のピッチングには野球ファンが魅了されました。甲子園のスタンドだけではなく、全国的な後押しを得て、一種の大フィーバーを巻き起こしました。しかし史上初の春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪)は、スター軍団というだけでなく、心憎いばかりの余裕があります。ただ、いかに甲子園が大阪桐蔭の地元とは言え、金足農(秋田)に向けての声援、後押しは尋常ではなく、ヒールとならざるを得ません。だからこそ大阪桐蔭は本気で勝ちに行くだろうと思っていました。戦前、吉田輝星は疲れていますから力で押し切るのは困難と予想していました。金足農打線が大阪桐蔭の投手陣から大量点は無理なので、吉田輝星がいかに失点を少なくするかがポイントと見ていました。そのためには四死球と失策に要注意、特に無死での四死球と失策は失点に繋がりやすいので気を付けなければと思っていたら、懸念していたことが現実になりました。結果は下記の通り、滅多打ちでした。大阪桐蔭は王者の貫禄、最初から最後まで手を抜かずに徹底的に叩きのめすという試合運びで圧勝しました。
チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9
金足農(秋田) 0 0 1 0 0 0 1 0 0 2 5 1
大阪桐蔭(北大阪) 3 0 0 3 6 0 1 0 × 13 15 0

■ 金足農に感謝、感動を有難う!
 秋田代表・金足農が決勝進出を決めたことを受け、JAL(日本航空)は2018年8月21日の決勝戦に合わせ、秋田から大阪・伊丹空港行きの臨時便を運航しました。JAL4730便で、秋田空港を午前8時50分発、伊丹空港10時15分着です。秋田県庁の公式ツイッターには「すごい!!航空機までも動かした金足農業ナイン!!」「こんなん初めて見た」「胸アツ!!」など感動の声が寄せられました。
 金足農には応援団の人たちの宿泊費などが足りなくなったということで、寄付する人が続々と詰めかけ、全国からも振込が寄せられました。こんなに人々を熱狂させた金足農の選手たち、指導者に感謝ですね。野球はヤッパリ面白い!

金足農業の選手たちがエビ反りで歌う校歌は、決勝では見られませんでした
 
■ 第三セクター鉄道
 昨週の旅、全走行距離は1,450kmでした。8月12日(日)夜は八幡平温泉郷のペンションに宿泊、客層は若夫婦と老夫婦に分かれましたが、いずれも品のよさそうな人たち、人数からして一晩で十数万円の売り上げですが、ご主人は北東北の観光地はどこも寂れる一方だと嘆いておられました。8月13日(月)は岩手県の最北・二戸市に行き、おじいさんの墓参りと九戸城に隣接した叔父さん宅訪問、日本酒世界一獲得した「南部美人」の蔵元訪問、その後「座敷わらし」で有名な金田一温泉泊、作家の三浦哲郎ゆかりの宿に泊まりましたが、ここも確かに寂れる一方のようです。いわて銀河鉄道の北端の駅は金田一温泉駅で、青い森鉄道との境は県境からわずかに青森県に入った目時駅です。三セクにするときに会社は県単位で決めるという大原則がありました。三戸〜目時〜金田一温泉〜二戸〜一戸は、盛岡ではなく八戸に向かう経済圏で、国鉄時代も八戸発の列車は三戸で折り返すか、金田一温泉を通り越して二戸・一戸まで直通しました。盛岡へ向かう経済圏は、十三本木峠(中山峠)を越えてからになります。国道4号線には十三本木峠に「国道4号最高地点458m十三本木峠(中山峠)」という標識があります。いわて銀河鉄道の駅名で言えば、奥中山高原駅より北が一戸町で八戸経済圏、南の御堂〜いわて沼宮内は岩手県岩手郡岩手町で、県郡町が同じ名称の全国唯一の町、ここから盛岡圏です。

■ オオハンゴンソウ
 8月14日(火)、岩手北端の金田一温泉から国道4号線を南下する途中で、黄色い花が群生しているのを見かけました。夏の終わりを告げる花だな、と思いながら名前が浮かびません。我が家の近所の新築の家の庭にも植えてあります。ネットで調べたら、オオハンゴンソウ(大反魂草、キク科)という特定外来生物指定の植物で、本来は増えないように駆除すべき野草のようです。北アメリカ原産で、観賞用に栽培されていたものが野生化したとのこと。地下茎で盛んに増えるので、路傍、荒地、畑地、湿原、河川敷、山地などにも入り込んで迷惑なほど大群落を形成します。高さは2mほどにもなり、茎は直立して、その先に花径5〜7cmの大きい黄色い花をつけ、筒状花の周りに、細長い、やや垂れ下がった舌状花がついています。黒ボッチに黄色い矢車のような花できれいですが、特定外来生物指定植物とは言え、あそこまで増えたら除去は困難でしょうね。同じように北アメリカ原産の帰化植物で、特定外来生物指定されているものにセイタカアワダチソウ(背高泡立草、キク科)があります。しかし最近あまり見なくなりました。
オオハンゴンソウ

■ セイタカアワダチソウ
 セイタカアワダチソウは、キク科アキノキリンソウ属の多年草で、その名の通り背が高く泡立つような黄色の花をつけた野草です。日本では切り花用の観賞植物としてハギ(萩)の代りに用いられることもあり、同様に茎を乾燥したものは萩の代用としてすだれなどの材料に利用されます。もともと日本では切り花用の観賞植物として導入された帰化植物(外来種)であり、ススキなどの在来種と競合します。11月頃まで開花していることから、ミツバチの蜜源植物として、養蜂業者が全国に広めたという背景もあるようです。ブタクサなどと違って花粉症の原因とはなりません。きれいだし、考えようによっては有用な植物です。
 農水省で植物防疫に携わっていた友人から聞いたら、一時期沖縄から北海道まで広がって大問題になりましたが、最近は減ってるよ、とのこと。そう言えば最近はまたススキが復活して来ましたね。地中養分を吸い尽くして繁殖困難になり、またススキに主役の座を奪われているようです。植物の世界もキビシー

セイタカアワダチソウ
 なお、北アメリカでは逆にススキが侵略的外来種として猛威を振るっており、セイタカアワダチソウなどのゴールデンロッド類の生息地が脅かされているそうです。トランプさんは黙っているでしょうか?

■ ボランティア・尾畑さん78歳
 山口県で行方不明になった2歳男児の藤本理稀(ふじもとよしき)ちゃんを発見したボランティアの尾畠春夫さん(78)は、休む間もなく西日本豪雨で被害を受けた広島県呉市に入り住宅の土砂撤去作業を始めました。実は前にも作業していましたが、理稀(よしき)ちゃんを探すために山口県に行き、一旦大分県の我が家に戻って、準備して再び車に乗って広島県呉市に向かったのです。年金生活なので、一切高速道路は使わず車中泊でのボランティア、困っている人を何とか助けようとする真っすぐな心と、そのバイタリティに頭が下がります。「体が元気なうちは世の中のために働きたい」と意気盛んで、同じ78歳でも日本ボクシング連盟の元会長・山根明氏とは大違いです。単身で捜索開始してからわずか30分で男児を発見、「子供は上に上がる習性がある。2歳の子供の気持ちになって考えた」と話しました。尾畠さんは2年前にも、大分県で行方不明になった2歳女児を消防などの捜索とは別のエリアで仲間と共に探し、発見しています。今回の件では、警察や地域の大捜索隊が発見できなかったわけで、子供の捜索について大きな教訓を残しました。

■ アマゾンの税逃れ
 ネット通販大手のアマゾン日本法人が、本来は日本で計上するべき売上高を米国で計上し、その結果、日本での課税を逃れていることが問題になっています。米アマゾンが公表している年次報告書によると、2014年12月期の日本での売上高(営業収益)は8387億円ですが、同じ2014年12月期のアマゾン日本法人2社(アマゾンジャパンとアマゾンジャパン・ロジスティクス)の営業収益はあわせて899億円と約1割にすぎません。
 アマゾン日本法人は収益の中からそのノウハウ料の様な形で米アマゾンに支払っているので、日本法人の利益は圧縮されます。この結果、同じ期にアマゾン日本法人2社に課された法人税(法人3税)はわずか11億円でした。これは、イオンなど日本の小売り大手10社の平均法人税額(329億円)の30分の1で、ネット通販大手の楽天と比べても30分の1程度です。現状、日本政府としても手をこまねいている訳ではありません。日本であげた利益に対して課税されないというのは、国民感情からしても、許されないのは当然ですが、国際的には、条約の規定が国内法よりも優先されるため、日米租税条約の規定がアマゾンのような物流施設の定義を明確にしていないことから、すぐにアメリカ企業に課税ができないという事情があります。
 今ではアマゾンが日本でネット販売する金額も量も飛躍的に増えていて、2017年度では119億米ドル(日本円で約1兆3,200億円)にもなり、2014年と比べても約55%増えています。もしかすると、日本の小売業がそのうちアマゾンに席巻される日も近いのではないでしょうか?いえ、今の勢いからすると確実にそうなるでしょう。日本のメーカーはアマゾンに従属せざるを得なくなる事態も考えられます。中国はこれを避けるため米国IT企業を排除し、アリババなどを保護しているわけです。
 実はアマゾンだけでなく、グーグルやフェイスブックなどのIT企業は、日本で得た利益を米国に移動して日本で税逃れしているわけですが、米国にさえ税金を納めず、タックスヘイブンの国を利用して公然と税逃れしています。国際法を利用してこうした巧みな脱税をする企業を許すならば、「フェア」という概念は地に落ちます。国連はこういうことを許さない協議と実行を早急に行うべきではないでしょうか。
(2018年8月21日)


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