224  新記録

 5月、6月は同窓会やふるさと会の日程が毎週のようにビッシリ、いわゆる「目白押し」です。今週もアルカディア市ヶ谷に行って来ました。そういう合間を縫って、毎月伊香保温泉に行きますが、今月も行って来ました。我が家との標高差は650mほどあるので、およそ6℃ほど涼しく、蒸し暑くなくて快適でした。
 庭にトカゲのような生き物がたくさん居ます。どうやら「ニホンカナヘビ」というのが正しいらしいですね。尻尾が無いのも居ます。ダンゴムシもウジャウジャ、アリもミミズもイッパイ居ます。花が咲いているので蜂や蝶も来るし、鳥も来ます。実に植物も動物もダイナミックだなぁとつくづく感心します。でもヒアリやスズメバチなんかは勘弁して欲しいですね。

目白押し

■ 藤井四段29連勝、新記録樹立
 史上5人目の中学生プロ棋士・藤井聡太四段(14)が、デビュー戦以来無敗のまま、歴代単独1位となる29連勝を達成しました。東京都渋谷区の将棋会館で行われた竜王戦決勝トーナメント1回戦、40社約100人の報道陣がつめかけ、緊張感に包まれた特別対局室で増田康宏四段(19)に91手で勝ち、神谷広志八段(56)が1987年に達成した公式戦連勝記録を30年ぶりに塗り替える新記録を打ち立てたのです。現在、10代の将棋棋士は2人しかおらず、公式戦初の10代プロ対決でしたが、相手の増田四段は対局前のコメントでも「勝つためには一手のミスも許されない、完璧な将棋を指さなければいけないと思っている」と闘志を見せ、定跡にとらわれない力勝負の戦いに持ち込みました。

■ 『3月のライオン』を追い越す快挙
 藤井四段は、昨年10月1日付で四段に昇段、同12月24日のクリスマスイブ、当時現役最年長の加藤一二三九段(77)との竜王戦6組ランキング戦の対局で初勝利、今年4月4日には11連勝を達成して、松本佳介六段(45)と近藤正和六段(46)が持っていたデビュー戦からの連勝記録を塗り替えました。劣勢に陥っても、終わってみたら勝っている、敗れた相手が「スキのない将棋」と口を揃える正確な指し手の連続が新記録につながっていると言われます。14歳の快進撃はメディアに大きく取り上げられ、今や社会現象となっています。
 216『3月のライオン』(2017年4月29日)で、我が後輩大友啓史(おおとも けいし)監督の映画をテーマにしましたが、ここで「まるで羽海野チカさんの漫画を追いかけるように現実が進行している」と書きました。藤井四段が、インターネットテレビ局「AbemaTV」による企画で、『3月のライオン』主人公の桐山零のモデルとされる羽生善治三冠(46)を破る殊勲の白星を挙げたことで、もう漫画を追い越している状況です。

羽海野チカさんの描いた3月のライオンのイラスト・・・映画館で頂きました

■ 序盤は藤井四段優勢
 将棋会館にはインターネット中継もあり、先輩棋士が多数詰めかけました。加藤一二三九段は各局のテレビ中継のハシゴ解説者というモテモテぶり、先手番になったことで藤井四段優位と解説しました。対戦は序盤から駆け引きのある進行になり、藤井四段も早く仕掛け、増田四段も好機と見て反撃しました。実は筆者は将棋のことはよく分からないのですが、このテレビ中継に注目していました。一進一退の攻防を、解説の棋士たちがインターネット解説します。昼休みに入る頃、加藤一二三九段は「藤井四段やや優勢で、18時ごろには決着するのでは?もしかするともう勝利の感想の言葉が頭を駆け巡っているかもしれませんね」と言っていました。

■ 午後になって増田四段が逆転
 午後、持参したチョコレートを口にする藤井四段、どうも途中からやや動きが変わり、苦心している様子がうかがわれます。増田四段の表情をうかがう“藤井にらみ”も見られました。加藤一二三九段は「増田四段の反撃が厳しく、勝負は予断を許さない、藤井四段はここを突破できるか否かが最大の難関となって来ましたね」と情勢が変わったことを解説しました。夕食休憩時の形勢は、増田四段が逆転してやや有利、控えめでも互角とする意見が将棋会館に集まった棋士ほとんどの意見でした。

■ 終盤一気に逆転して藤井四段押し切り
 しかし加藤一二三九段はそれでも「5.5対4.5で藤井四段有利、彼はここからが強いんです」と解説しました。決着は夜中になると見られました。飛車が動けず劣勢の中で、攻めに転じるきっかけとなったのは中段に打った角だそうです。大盤解説会で解説を務めた深浦康市九段(45)は「この一手、普通の棋士の発想ではあそこに角は配置しません。藤井四段ならではの一手です。そこをきっかけに中盤の攻防で優位に立てた」と解説しました。ともに将棋ソフトで育った14歳と19歳のAI世代の対局、共に定跡を超えた一手を繰り出しました。そして、夕食休憩前頃から藤井四段が反撃に入り、夕食休憩後、猛烈に追い上げ、最終盤に入ってからの指し手は正確でしかも厳しく、あっという間に形勢逆転、更に差を広げ、会館内の棋士たちも「なんという指し手、強過ぎます」と脱帽する解説に変わりました。増田四段の指し手には全く間違いは無かったというのですが、最後は危なげなく勝ち切りました。

■ AIと同じ手を指せる藤井四段の怖さ
 次戦は7月2日(日)、同トーナメント4組優勝の佐々木勇気五段(22)と30連勝をかけて対戦しますが、佐々木勇気五段も将棋会館に来て、この対戦を見ていました。さあ、どう思ったでしょう。藤井四段も増田四段も将棋ソフト世代で、今や棋士よりAIのほうが強いのは確定したのですが、定跡にこだわらない指し手がAIと同じなのだそうです。今や藤井聡太四段の解説者となった加藤一二三九段は、その差し手を研究しているからこそ、他の棋士たちと違って、沈着冷静で、一発逆転の手を指せる藤井四段の怖さを解説できるわけですね。「増田四段に勝ったことで、ここからはポンポンポンと行くかも?」と加藤一二三九段は言いました。

■ 勝負飯
 「勝負飯」も話題になっています。AIのほうが強いと言っても、ソフトはメシを食いません。棋士は「勝負飯」が注目されるのがいいですね。この日の昼食・・・藤井四段は豚キムチうどん(みろく庵・950円)、増田四段はミニとんかつ定食(みろく庵・1000円)を注文しました。ラーメンなど麺好きと言われる藤井四段は、昼の豚キムチうどんに続き、夕食は紫金飯店の「わんたんめん」(850円)でした。紫金飯店のバイクの出前も賑々しくテレビ中継、スゴイですね。実は五目チャーハンを注文したら、具材のカニが品切れなので、考え直してわんたんめんに切り替えたそうです。増田四段はヒレカツ定食と肝吸い(ふじもと、計1800円)を選びました。昼も夜も「カツ」、気合十分ですね。
 テレビ中継を見て将棋ファンがみろく庵に殺到し、豚キムチうどんは40食で材料切れ、「他のうどんならできますよ〜」これが全国へテレビで流れる、いやはやスゴイ!しかしこの蒸し暑い千駄ヶ谷で、いくらなんでも豚キムチうどんは季節はずれでしょう。でも勝負師ですからこういうものなのでしょうか。

■ “ひふみん”のうな重
 初戦の相手だった加藤一二三九段は、ついに引退を余儀なくされました。この数年、最高齢棋士として、歯の抜けたまん丸い顔に独特のしゃべり方で、“ひふみん”の愛称で人気者でした。昨年12月の藤井聡太四段のデビュー戦の相手が“ひふみん”で、62歳差の史上初めての年の差対決もさることながら、コレまでの加藤一二三九段が持つ最年少プロデビュー記録を更新したのが藤井聡太四段だったことで、天才対決が話題となりました。以来無敗の藤井四段は、29連勝の新記録樹立後の記者会見で、「一番印象的だった対局は?」と問われて、「加藤先生です」と答えました。
 以来テレビ番組に引っ張りだこの“ひふみん”のよく知られたエピソードが「鰻好き」です。東京の将棋会館での対局の際の「勝負飯」は、昼も夜もうな重でした。季節も関係ありません。近くの店「ふじもと」から取る出前、昼はうな重の『竹』3100円、夜は竹よりうなぎが1枚多い『松』4100円を頼んでいました。
 将棋は頭を使うので、エネルギー消費がものすごく、対局後数キロ痩せるとよく言われますが、“ひふみん”はカマンベールチーズをむしゃむしゃ食べて、全然痩せないそうです。

「ふじもと」の『竹』3100円

■ トリックアート
 ふじみ野市にある天然温泉・真名井の湯のぬる湯の浴槽に右の「昇り続ける人、降り続ける人」というだまし絵というか、トリックアートと一般には言うそうですが、張ってあります。確かに昇り続ける人と降り続ける人が反対方向へ階段を歩いているのですが、これは眼の錯覚でしょうか?面白いですね。
昇り続ける人、降り続ける人

真名井の湯

■ ピンクモンスター
 安倍チルドレンの豊田真由子議員が、秘書への暴行、暴言が明らかになり、自民党を離党しました。さいたま4区(朝霞市、志木市、和光市、新座市)は近いので、よくピンクの服を着て駅前で演説してるのを見ました。千葉県出身、桜蔭高→東大法学部→厚生労働省のキャリア官僚、ハーバード大学院修了という輝かしい経歴を持っています。新座市東北(東武東上線志木駅西口前)にある豊田氏の事務所は「アルバイトも含め100人は辞めた」と認めたそうです。
 物議かもし発言で有名な麻生太郎・副総理兼財務相は2017年6月24日、新潟県新発田市で開かれた麻生派の議員会合で、豊田真由子衆院議員について「あれ女性ですよ、女性。男と書き間違えているんじゃないか」と述べました。麻生氏は厚生労働省の関係者の話として「どこかで引き取ってくれないかと思ったら永田町で引き取ってもらったんですよと(言われた)」と語ったそうです。
 また、自民党の河村元官房長官は豊田真由子衆議院議員が離党届を提出したことをめぐり、囲み取材で「ちょっとかわいそうだ。あんな男の代議士はいっぱいいるよ」と述べたことがテレビで報じられ、誤解を生んだとして、みずからのフェイスブックで発言を撤回しました。「かわいそう」と同情できるような発言ではなかったからです。政治家は恐ろしいですね。こんな人がいっぱいいるそうですよ。

 この人はいわゆる落下傘候補です。国土交通省キャリア官僚の夫を持ち、1男1女の母です。地元有権者は怒っていますから、離党だけでは収まらないでしょう。それより母親として、大丈夫でしょうか?

■ 逆風に 神戸の空は さつき晴れ
 日本のあるべき姿を考える全国13番目の「『正論』懇話会」(産経新聞社に事務局が置かれる非営利団体)が2017年6月24日、神戸で設立されました。設立総会は神戸市中央区の神戸ポートピアホテルで開かれ、約600人の参加者を前に安倍晋三首相を講師に迎えた設立記念特別講演会も開催されました。首相は「私はさまざまな政治的な困難に直面している」と述べ、「逆風に 神戸の空は さつき晴れ」と今の心境を句に詠んだことを紹介しました。講演では、自らに逆風が吹いていることを認め、「日本獣医師会の要望を踏まえて獣医学部開設を1校に限定した結果、疑念を招いた」と釈明しました。「(学園理事長が)私の友人だから認めてくれ、という訳のわからない意向がまかり通る余地などまったくない」と疑惑を完全否定した上で、今後は獣医学部開設を全国規模で積極的に認めていく方針を示しました。共同通信によりますと、「1校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が、結果として国民的な疑念を招く一因となった」と述べ、「規制改革推進の立場から、速やかに全国展開を目指す」などと語ったそうです。しかし、記者会見をわざわざ設けて、丁寧に説明するなどと述べたのに、丁寧に説明する場に出てこようとしない姿勢が国民から不信を持たれていると報じるマスコミもあります。

■ 日本獣医師会の見解
 ところで、安倍晋三首相が「日本獣医師会の要望を踏まえて」と言っていることは誤りです。文科省の岩盤規制を打破、と言っていますが、獣医学に詳しい大学関係者ならば、それが間違いであることを知っています。公益社団法人日本獣医師会のホームページには「国家戦略特区による獣医学部の新設に係る日本獣医師会の考え方について」という2017年6月22日付けの見解が載っています。この中に「今般、国家戦略特区制度に基づき獣医学部の新設が決定されましたが、全国的観点で対処すべき獣医師の需給問題の解決、及び長期的な視点で将来の在り方を十分に検証して措置すべき獣医学教育の改善については、特区制度に基づく対応は馴染まないと考えています。むしろ、現在優先すべき課題は、地域・職域対策を含む獣医療の提供体制の整備・充実、獣医学教育課程の改善にあり、このためにも獣医学入学定員の抑制策は維持する必要があるとの立場を従来から表明してまいりました」とハッキリ書いてあります。いったい安倍晋三首相はどこの日本獣医師会の要望を踏まえたのでしょうか。ましてや「規制改革推進の立場から、速やかに全国展開を目指す」ことは、文科省や農水省のみならず、獣医学関係の大学人にとっては「そんな馬鹿な」ということなのです。

■ 国政選挙を占う先行指標の東京都議選
 7月2日投開票の東京都議選は、内閣支持率下落で苦境にあえぐ安倍政権にとって大きな試練となりそうだと言われています。都議選は国政選挙を占う先行指標と言われます。1993年6月の都議選では、当時キャスターの小池百合子都知事も参画した日本新党が躍進し、自民党はその後の衆院選でも敗北し、非自民連立政権の細川内閣誕生により55年体制は終わりを迎えました。また、2009年7月の都議選では、民主党が圧勝し、直後の衆院選でも勝利して、自民党は再び政権から転落しました。

■ 自民党が第1党を死守できるか
 今回の都議選の焦点は、自民党が第1党を死守できるかどうかです。もし都民ファーストが第1党になったらえらいことですから、自民党は必死です。都議会自民党を悪玉と決め付ける小池百合子都知事の姿勢、敵を作り刺客を立てるやり方はいかがなものかと思いますが、どうも百合子人気はホンモノのようです。告示直後の世論調査では、小池百合子都知事の支持率は下がってきていますが、政党では都民ファーストと自民党が拮抗し、共産党、公明党と続き、民進党は埋没しかねません。公明党の山口代表の演説は国政与党とは思えない内容でした。機を見るに敏な政党だなぁと感心します。小池氏が都議会で安定基盤を築けば、将来の国政進出も有り得ます。更に次期衆院選について、「追い込まれ解散」の色彩を帯びる可能性もあり、首相は難しい判断を迫られ、改憲シナリオにも狂いが生じかねません。

■ 都民は気まぐれ、無党派層の動向が鍵
 都議選に安倍晋三首相の応援を積極的に求めないということ自体、現在の都議会自民党の雰囲気を表しています。前回2013年は何度も街頭に立った安倍晋三首相ですが、今回は2017年6月26日、辛辣なヤジが飛ぶ可能性がある街頭演説は避け、文京区内の小学校の体育館で、支援者だけを集めた演説会に参加しました。挨拶は15分、有権者の批判にさらされる環境を避けたのでしょうか。これまでの都議選を見ても、自民党、共産党、公明党は組織票がありますが、無党派層の動向が鍵となります。1993年や2009年は無党派層がアンチ自民へドドッと傾き、2013年は逆に自民党に流れ、立候補した59人が全員当選しました。このように都民は気まぐれです。投票率が上がれば自民党は苦しくなります。7月2日(日)の東京は晴れて真夏日になるようです。有権者は投票所に行くのでしょうか?

■ 市川海老蔵さん夫人小林麻央さんご逝去
 2017年6月22日、歌舞伎俳優の市川海老蔵(39)さんの妻でフリーアナウンサーの小林麻央さん(享年34)が亡くなりました。がんに苦しみながらも前向きに生きる姿勢はがん患者に勇気を与え、多くの人の共感を呼びました。麻央さんのブログ「KOKORO.」は昨年9月に開設され、「なりたい自分になる」というタイトルの最初の投稿では、「乳がんであることが突然公になり、環境はぐるぐる動き出しました。そこで、これまで以上に病気の陰に隠れようとして心や生活をさらに小さく狭いものにしてしまいました」と記し、ブログを開設する決意をこう明かしました。「私は力強く人生を歩んだ女性でありたいから 子供たちにとって強い母でありたいから ブログという手段で陰に隠れているそんな自分とお別れしようと決めました」・・・最後の更新となった20日の「オレンジジュース」という投稿では、笑顔を浮かべた自身の写真を掲載し、「今、口内炎の痛さより、オレンジの甘酸っぱさが勝る最高な美味しさ! 朝から 笑顔になれます。皆さまにも、今日 笑顔になれることがありますように」と記していました。海老蔵さんは「愛してる・・・と言って、それが最後でした」と会見で述べたのを見て、可哀そうでたまりませんでした。
(2017年6月27日)


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