222  梅雨入り

 梅雨入りしたそうですが、ほとんど雨も降らないうちに入梅と言われ、その途端真夏の暑さですから、これ何なの?と思ってしまいます。しかし気象解析や予報に関してこの数年で格段に精度向上しましたから、素直に気象庁を信じましょう。

■ 梅雨入り
 梅雨は雨がしとしと降って、「露けき時節」であるから「つゆ」と呼ばれるようになったと言われます。では何故「梅」なのかと言いますと、梅の実が黄色く色づく時期の雨であるからという話です。ものに黴(かび)が着きやすい時期の雨であるから「黴雨(ばいう)」とも呼ばれるそうです。ただ先般NHK総合テレビで気象予報士の平井さんが言うには、天気図に日本列島を横切る梅雨前線がくっきり現れており、この梅雨前線が北上して横切った時点でその地域が「梅雨入り」したと考えれば良いそうです。以前は「梅雨入り宣言」「梅雨明け宣言」が気象庁から出されましたが、今は「6月○日頃、△△地方が梅雨入りした模様」と曖昧な表現となっています。もともと「梅雨入り」「梅雨明け」を気象庁が発表するようになったのはマスコミの要請があったからで、気象学的な明確な定義は無いというのは有名な話です。梅雨前線は北上したり、南下したり、消滅したかと思えばまた現れたりするので、入梅した途端カンカン照りすることがあっても気象庁を責めてはいけません。
 統計的には「梅雨入り」はおよそ6月11日ごろ、「梅雨明け」はおよそ7月12日ごろとされていますが、8月になってようやく梅雨明けした年もありましたから、まあ7月20日前後と思っておけば間違いないでしょう。

■ 芒種
 梅雨は植物を急成長させます。栗の花が咲き、あの独特の匂いが漂って、その花の墜ちる頃が入梅時期の目安と言われます。梅雨どき6月の花と言えば、紫陽花や菖蒲が象徴的ですが、そうした青色系より華やかな立葵や白い卯の花の季節とも言えます。葵の生命力、感動的です。6月5日は二十四節気の芒種 (ぼうしゅ) でした。稲の穂先のように芒(とげのようなもの)のある穀物の種まきをする頃という意味ですが、現在は種まきが早まっています。

6月は葵の華やかさも格別です

■ 繋温泉愛真館
 芒種の2017年6月5日(月)またしても岩手・盛岡に向いました。6日の会議に備えてですが、1週間前の5月27日(土)盛岡に行き、翌28日が埼玉県西部地区少年野球夏季大会の開会式だったのでとんぼがえりでした。温泉を楽しめなかったので、今回は前日入り、繋温泉愛真館に泊まりました。
 この宿は、つなぎ温泉を代表する老舗として人気の和風旅館です。今年度々紹介したホテル紫苑と同じグループながら、歴史の古い宿で、コスパ優れることで地元の人たちに人気です。自慢の硫黄泉は、檜風呂をはじめ大浴槽、露天風呂、泡風呂、サウナの6種類の湯殿を備えた大浴場と縄文時代の遺跡をモチーフにした庭園縄文露天風呂3種、それが二組、併せて全18種の浴槽があります。日替わりで男女入れ替え制なので、日帰り入浴の人は9種の浴槽ですが、宿泊の人は全18種の浴槽を経験できるというわけです。大浴場の露天風呂は何コレ?という感じでお勧めできませんが、檜の浴槽は良いお風呂です。つぼ湯もあります。ドライサウナはサウナ好きには良い温度設定で、何度も入って満喫しました。庭園縄文露天風呂は、緑に包まれてゆったりとくつろげます。「しだないの湯」と「ぬりさわの湯」があって、特に後者は洗い場のある室内浴場と露天風呂の夢枕の湯、更に奥やや下って縄文式をイメージした堅穴の湯があって、深さ120cmの立ち湯になっています。夢枕の湯は2007年上半期のNHK朝ドラ「どんど晴れ」のお風呂となりました。舞台の加賀美屋は盛岡の老舗旅館となっていますが、盛岡市で温泉と言えば繋温泉です。雰囲気からすると盛岡市の中心部に近い旅館ですから温泉があるわけがありませんが、まあドラマですからいいじゃありませんか。玄関に掲げられた額「来者如帰」は「来る者、帰るが如し」という意味で、盛岡一の料亭「駒龍」のものです。詳しくはコチラをご覧下さい。
 今回はホテル紫苑との湯めぐりを満喫しました。宿の浴衣、スリッパのまま、フロントに一声かけるとすぐ玄関に車が横付けされ、紫苑と愛真館の間を乗せてくれます。6月6日(火)朝、盛岡駅までの無料送迎大型バスの車窓から見た岩手山から駒ケ岳の、雲ひとつ無い絶景には息を呑みました。残雪抱く群青色の山々の美しさ・・・・

愛真館の外観

庭園縄文露天風呂;夢枕の湯と堅穴の湯 夜はライトアップ

■ 420円なのにうまいラーメン
 盛岡駅に着いてちょうど昼どき、今夜はたっぷり飲み食いするので昼は軽く済ませようと思います。盛岡駅前には食べるところがたくさんあり、以前はじゃじゃ麺を食べたこともあり、東家のわんこそばを食べたこともありました。真正面には牛丼の松屋もありますが、それはさすがに...
 さて今回はJR盛岡駅北口1階にあるそば処はやてフェザン店に入ってみました。盛岡駅には同じ名前のお店が2階の新幹線南口改札を出たところにもありますが、かつて2階のお店で食べたかき揚げ天そばはあまり○○ではなかったので、1階のほうはどうかと入ってみました。こちらは場所柄かいつも混雑してる印象ですが、表のメニューに中華そば420円というのがあったので、やけに安いなぁと思いながら、物は試しで注文してみることにしたのです。中華そばは生麺から茹でるので蕎麦みたいに早く出てきません。待つ間、厨房のおばちゃんたちの懐かしい盛岡弁に心和みました。中細縮れ麺に具材はバラチャーシュー2枚、のり、ねぎ、メンマです。そば屋の中華そばなので、上野駅の駅ナカラーメンみたいなものだろうと思ったら、あっさり鶏ガラに少し魚介出汁が交じり、なかなか旨いスープ!麺は硬めの中細ちぢれ麺で、茹で加減が良く、昔ながらの「盛岡中華そば」の伝統を引き継いでいます。近頃東京近辺で流行の濃厚ギラギラスープではなく、昔ながらの東京ラーメンにも通ずるところがあります。ラーメンオタクの皆様にはオススメではありませんが、この値段でこの味ならば、かき揚げ天そばより絶対こっちが良いと思いました。ごちそうさまでした。
そば処はやての中華そば

■ NREのそば、かつては悪口書いたが...
 岩手県のご当地駅そば店かと思ってましたが、メニューを見ると基本メニューが首都圏のJR駅でもお馴染みの日本レストランエンタープライズ(NRE)と同じです。調べてみたらまさしくそのNREでした。そば処はやてフェザン店のホームページをご覧下さい・・・・盛岡駅1階北側に面し、JR・IGR・バスをご利用なさるお客様に、早朝より、昔ながらのおいしいお蕎麦を提供しております。「じゃじゃ麺」や、季節によっては「はやて冷麺」などのご当地メニューもございます。ぜひ一度お越しください。自社工場で毎日製麺されるそば・うどんを店舗に直送し、安心・安全な商品を新鮮なままお客さまにご提供しております。私たちはさまざまな駅で、忙しい日々にホッと一息つける場所の提供と、お客さまの心とおなかを満たすことをめざしております・・・・と書いてあります。
 日本レストランエンタープライズ(NRE)は筆者がかつて勤務していた会社の乗降駅JR埼京線北戸田駅前にありましたから親近感がありますが、40『立ち食いソバ』(2013年11月24日)で散々悪口を書きました、ゴメンナサイ・・・・まずい店の代表はJR系列のあの店「あ○○○」です。各駅にたくさん店があり、しかも改札の中にもありますから大変有利な立場にありますが、蕎麦もまずいしつゆもまずい、とくに駅のプラットフォームなどで食わせる店に関しては、NRE(日本レストランエンタープライズ)が運営に乗り出して、他の店を駆逐して駅ソバ文化は死にました。ちょっとの工夫でおいしいソバは提供できるはず、NREとJRは猛省して欲しい、と筆者は書きましたが、最近やっと変化が出てきました。「あ○○○」から別の名前にして、おいしい店がポツポツ・・・・最後に少しフォローしていますが、強烈な悪口ですね。これが届いたのか、最近のNREは急激に良くなっていますよ。やはり努力はウソをつきません。悪口言われたら、ナニクソと跳ね返せばよいのです。

そば処はやてフェザン店

■ モリにしますか?カケにしますか?
 さて、ソバの話題になったところで、面白い話をひとつ。巷では森友学園と加計学園の話題に引っ掛けて、東京新聞に掲載された佐藤正明氏による最近の安倍総理を皮肉った3コマ漫画が「面白い!」とネットで話題になっています。安部総理と思われるヒトが蕎麦屋に行って、メニューを見てソバを注文しようとしたところ、「モリにしますか?カケにしますか?」といわれて「わーっ!」と逃げ出すというものです。
 加計学園問題の「怪文書」について文部科学省が再調査を決めました。首相官邸の対応に国民の怒りが沸騰したのと、当の文部科学省の中でさえ、このままでは文部科学省自体が悪者になってしまうという危機感があちらこちらから噴出したからです。人望のあった前川前事務次官があそこまで覚悟を決めて発言していて、更に省内のメールが多数の人に送られているのに「省内に同姓同名の人は存在する」などと国民を馬鹿にするような答弁まで出て、このままで行くと辞任覚悟でマスコミに登場するお役人が出そうだという恐れがあったからと思われます。

■ 獣医師を取り巻く環境は?
 獣医師問題は実のところ厄介です。帯広畜産大学など、この方面では有名な大学があります。筆者の義父は有名大学を卒業し、この資格を保有していたので保健所勤務でした。牛豚鶏といった家畜向け産業医とペット向け獣医が居て、ペット飼育数は犬が減少、猫が横ばいで、獣医師の余剰が問題化している最中でしたし、むしろ現状の獣医学科のレベルアップこそ喫緊の課題で、大学院の課程の充実が検討されていた矢先に、いきなり今回のような一挙に大幅な定員増加の学部新設というのは、大学関係者から見るとショックでした。筆者も国立大学法人の関係者であり、獣医学に関しては日頃身近な課題として考えるところがありました。

■ 四苦八苦しているのが大学の現状
 菅義偉官房長官は、「岩盤規制をぶち破る、風穴を開けていくのが安部政権だ」と言っていますが、過去事例を見ましょう。歯科医師枠を増やしたら、やって行けない歯科医院がつぶれ出し、歯科医師を廃業する人が増えたり、タクシー規制を緩和した結果タクシーの余剰で運転手のみなさんの所得が低下して、再び規制する動きになっていることで分かるように、官庁が規制するのは意味があってのことで、ぶち破れば良いというものではありません。ましてや大学は少子化でつぶれるところが出たり、定員枠に達しない、学生のレベルが下がることで四苦八苦しているのが現状です。「たまたま総理の友人」(菅義偉官房長官の話)の加計学園に対して規制緩和するのは文部科学省の本意であったはずがありません。

■ 米国もますます混迷か?
 トランプ大統領はウソを言っている?コミー前長官の議会証言で、ロシアゲート疑惑がいよいよ厄介になってきました。この問題は時間がかかりそうです。それにしても米国議会の在り方と日本の国会のあまりの違いには愕然とします。「正義」とか、「フェア」という概念についてです。

■ 英国総選挙〜日英の違い
 EUからの離脱を決めた2016年6月の国民投票の結果、英国は大揺れとなり、国民の間には交渉の行方に不安が広がっていました。交渉を確実に進めるために、メイ首相は足元を強化しようと、2020年に予定されていた総選挙の前倒し実施を決断しました。選挙戦序盤には40%台後半を維持するメイ氏個人への高い支持率を背景に、保守党ではなく「私に投票して」とメイ氏個人を前面に打ち出したのです。しかしこのまま進むと独裁的になる恐れがあると若者たちが危惧しました。ここが日英の違いです。メイ首相がこきおろしていた労働党のコービン党首への支持が広がっていったのは、若者たちを中心にした「エリートへの反発」でした。昨年の国民投票の結果は、多くの労働者が、政治家にないがしろにされ経済発展から取り残されていると不満を抱き、何かを変えなければならない、と離脱を支持したからです。いま世界のあちこちで、労働者や若者が政治体制を変えるうねりが起きています。米国のトランプ大統領誕生然り、フランスのマクロン大統領誕生然り、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領誕生然りです。日本だけ別次元という感じです。

■ 英国もますます混迷か?
 2017年6月8日の英総選挙(下院選、定数650)で、地滑り的な勝利をもくろんでいた保守党の狙いは外れ、過半数を割りました。各党の最終獲得議席数は、保守党318(改選前330)▽最大野党の労働党262(同229)▽スコットランド民族党(SNP)35(同54)▽自由民主党12(同9)▽北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)10(同8)となりました。メイ首相が総選挙実施を宣言した直後は労働党との支持率の差は20ポイント近く開いており、メイ首相の狙いは成功するように見えました。「欧州連合(EU)との離脱交渉には強い指導者が必要だ」と訴えたメイ首相にはエリートのイメージがつきまとい、次第に「反エリート」を前面に打ち出したコービン氏が党首を務める労働党が保守党を猛追する展開になりました。今回の結果も、昨年の国民投票同様、労働者の多くが、エリート層の支持を得る保守党やメイ氏に反発したのではないかと思われます。問題は保守党内で責任論が浮上していることです。足元を強化しようとして総選挙を前倒しして逆の結果を招いたのですから、普通なら責任をとりますが、ここからがサッチャー以来の女性首相メイ氏の鼻っ柱の強いところです。直ちに主要閣僚を残留させると発表、「最も得票と議席を得た保守党に正当性がある」として辞任を拒絶し、強気の姿勢を見せています。

■ 受動喫煙対策今国会での成立断念へ
 受動喫煙対策を強化する法案について、政府・与党は、今国会での提出を、事実上断念する方針を固めたようです。受動喫煙を巡っては、@受動喫煙による年間死亡者数は、国内で1万5,000人と推計A「1世紀遅れている」と言われる日本の禁煙政策BWHO基準では厚労省案も自民党案も同レベルで、オリンピックの世界基準から言えばどちらも不十分、と言われてきました。それなのに合意できなかったというのですから、国際的にはニッポンどうなってるの?と言われる事態になっています。

■ 厚労省、自民党の折衝決裂
 厚労省と自民党はこれまで水面下で折衝を続けてきましたが、妥協出来なかったということです。飲食店の線引きについて、厚労省は激変緩和措置の数年間が経過した後、30平方メートル以下のバーやスナックなどについては喫煙専用室がなくても喫煙を認め、規制対象外とする案を示していました。これに対し、自民党は例外を厨房(ちゅうぼう)を含め150平方メートルまで広げ、店頭に「喫煙」「分煙」と表示した上で未成年者の立ち入り禁止などの条件を満たせば、飲食店の業態に関係なく喫煙可能とする対案をまとめていたのです。事態の打開に向け、塩崎恭久厚労相は自民党の茂木敏充政調会長と都内で会談したものの合意には至らずに決裂しました。

■ 塩崎厚労相が突っ張るワケ
 自民党幹部は塩崎氏が悪いと怒っていますが、それは情勢の見誤まりと思います。塩崎大臣は、岸田外務大臣と並んで、安部内閣の「マトモな双璧」です。マトモというのは語弊がありますね。いわゆる自民党議員たちにも官僚たちにも信頼されていて、言葉にブレが無いという意味です。塩崎大臣が突っ張るのは、背景に国民の過半数の支持があると確信しているからです。そもそも厚労省案も自民党案も国際的に見れば「同じ穴のムジナ」みたいなもので、世界はもっと先に進んで行ってしまってるのです。極論すれば覚せい剤も煙草も似たようなもので、誰しもが健康に悪いと思いながらやめられずに吸っているわけです。当人は自己責任としても、受動喫煙となると論外です。前々回触れた「スモッグに苦しむ世界の大都市」・・・誰しもそんな街に住みたくないはず、同じことです。本来厚労省は全面禁煙にしたいのが本音ですが、段階を追っているだけのことです。諸外国のように20本入り千円以上になれば、さすがに吸える人は激減するでしょう。
(2017年6月11日)


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