219  政府

 我が家の庭は花盛り、サクラソウは終わりかけですが、薔薇や麦仙翁、マーガレット、スミレ、ベゴニア、キンギョソウ、ゼラニウム、ナデシコ(ダイアンサス)が今を盛りと咲いています。昆虫がたくさんやってきます。鳥も来ます。トカゲもいっぱい居ます。野菜もすくすく成長しています。みょうが、きゅうり、トマト、ゴーヤが日に日に伸長して、青紫蘇やパセリ、ハーブの生長も盛んです。こういう生命に接していると、人間なんてそんなに生命力は強くないなぁと感じてしまいます。
 5月13日に湯島のガーデンパレスで高校の同窓会総会、330人以上集まりました。今回の会のプロデュースは「3月のライオン」「るろうに剣心」の大友啓史監督、17年後輩です。5月14日は母の日、娘がきれいな花とワイン、日本酒をドッサリ抱えてやってきました。重かったろうに、その気持ちに感謝です。

■ 日米のトップ周りの話題次々と
 前回「米国のトランプ大統領の発言はなんとなくミャアミャア聞こえませんか?とにかくこの方、話題が尽きません。今度はFBIのコミー長官を突然解任し、マケイブ長官代行が米政府の説明に反論するなど、火を噴きそうな状況になり、大統領が焦ってつぶやきまくっている状態、何やってるの?と心配です」と書きました。米国のトランプ大統領と、日本の安部晋三首相の話題はとにかく次から次へと降って沸いたように出るので、いい加減触れるのはやめようかと思う今日この頃ですが、またしても「ロシアゲート」とか、「加計学園」とか、大騒ぎです。これだけ騒がれると言うことは、何かあるわけです。ただしこの過程で、決定的に違う点はハッキリしました。それは日米の政府と官僚機構の関係です。米国は、国のトップにおかしい点があると、下部組織でも「おかしい」と明確に指摘します。決して忖度などしません。ましてや書類が無いとか破棄したなどの、誰が見てもそんな馬鹿なというウソは言いません。ここが米国のフェアなところで、尊敬する点です。

■ 胡散臭い日本人
 日本の場合は、黒も白としてしまうような面があり、特に政治家がからむと、これが顕著になります。小泉進次郎さんが人気があるのは、ダメなものはダメとハッキリ言うからで、正義とかフェアというものを体現しているからです。偉い人にもひるまずハッキリ物言いするところが支持を受けるのです。一方でそういうものを青臭いとか言う偉そうなヤカラが多いのも事実で、実は経済界にも同じような面があります。コーポレート・ガバナンスが昨今問題になっていますが、ステークホルダーを重視するあまり、企業の法令遵守=コンプライアンスを盛んに言うものの、本当に従業員のための経営をしてますか?というと疑問の企業も多くあります。立派な、と言われる企業にもそういう会社があり、むしろ中小企業のオヤジの浪花節経営のほうが余程人情があるなぁと思うことがあります。日本人がカタカナ言葉を使うときは要注意です。最近、○○ファーストとかパラダイムシフト、ワイズスペンディング、レガシーなど盛んに使う人がいますね。米国伝来のコンプライアンスなんて、米国企業なら信用できますが、フェアという言葉の意味を知らない日本人が使うと胡散臭くなります。ただし、日本の政府だって捨てたものではありません。以下に紹介します。

■ 経産省の「次官・若手プロジェクト」
 経産省の「次官・若手プロジェクト」が今月公表した「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜」という資料が話題です。コチラ(PDF)をご覧下さい。日本社会の現状や個人の不安、どう制度を変えていくべきかが書かれています。事務方のトップである事務次官が、省内公募で集まった20、30代の若手30人を集めて未来に向けた戦略を議論してまとめたのだそうです。

■ 結構赤裸々
 同プロジェクトの目的は、国内外の社会構造の変化を把握すると共に、中長期的な政策の軸となる考え方を検討して、世の中に広く問いかけることだそうです。この資料が、ネット上などで大きな話題となっているのは、日本社会の現状や個人の不安、どう制度を変えていくべきかなどが、結構赤裸々に書かれているからだと思います。少子高齢化が進む日本で、若者時代過激だった人が今や高齢者となって、既得権を主張する、それに対して現代の若者は政治に文句も言わず、過激な行動もしません。

■ 高齢者にも子育て・現役世代にも活躍の場を提供できていない現状
 資料ではまず、現代の日本では誰もが不安・不満を抱えていると説明し、このままでは社会が不安定化しかねないとして、「自由の中にも秩序があり、個人が安心して挑戦できる新たな社会システムを作るための努力をはじめるべきでは」と問いかけます。次に「高齢者」「母子家庭」「貧困の連鎖」など日本社会が抱える問題を挙げ、高齢者は手厚く保護する一方、「子育て・現役世代」は自己責任と突き放し、両者に活躍の場を提供できていないと指摘します。「合計値としてのGDP、平均値としての1人あたりGDPを増やしても、かつてほど個人の幸せにつながらない」という見解を述べ、「過去の仕組みに引きずられた既得権や固定観念が改革を阻んでいる」と主張します。実はこんなこと、みんな腹の底では分かっているのですが、「もの言えば唇寒し」なので言わないだけなのです。



■ 高齢者が支える側に・・・この数年が勝負
この続きは前述の資料(PDF)を読んでください。結論は・・・団塊の世代の大半が75歳を超える2025年までに、高齢者が支える側に回る社会を作り上げる必要があるとして「この数年が勝負」と締めくくっています。
 批判的な声もありますが、称賛や応援の声も続々とあがっています。何より、言いたいことをハッキリ言う若手のお役人にはエールを送りたいところです。

■ 乱高下する株価と為替
 トランプ米大統領によるロシアへの機密情報漏えいや、FBIへの捜査妨害をめぐる疑惑を嫌気して、日米ともにドル安・円高・株安が進みました。米国では今年になって最大の下げ幅を記録しました。外国為替市場では、米政権運営の先行きに対する不安のネタが出るたび、安全資産とされる円が買われます。いい加減にしてくれ、と言いたいところです。好調と言われる日米の景気も先行きは楽観はできません。米国ではトランプ政権の足元が揺らいで、減税や利上げが滞る懸念です。日本企業が神経をとがらせるのは、保護貿易主義を掲げる米トランプ政権の動向です。ただ筆者予測では、来るべきバブル崩壊まで、いま少し株価は上がるはず、ということです。

■ 大統領弾劾?
 ただ今回はちょっと様相が違います。トランプ米大統領の弾劾を巡る懸念が浮上したことです。韓国では現実に朴槿恵大統領が罷免されました。ブラジルも同様です。ただ米国ではまだ弾劾されて辞めた大統領は居ません。ウォーターゲート事件のニクソン大統領は自ら辞めました。ペンス副大統領が就任すればポジティブ要因との指摘もありますが、弾劾プロセスに入れば時間がかかります。ウォーターゲート事件が発覚した1972年6月から下院司法委員会が弾劾訴因を承認した1974年7月まで、約2年かかりました。
 トランプ政権も足元が揺らぐと北朝鮮どころではありません。日本政府としても、せっかく安部晋三首相が米国のトランプ大統領と親密な関係を築いたばかりですから、ヒヤヒヤしていることでしょう。



■ 日本のGDPは堅調
 米国の株価に日本の株価は連動しますから、日本も大幅に下げました。ところが、日本の国内的には2017年1〜3月期の国内総生産(GDP)の速報値が、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増(年率換算2.2%増)と5四半期連続でプラスとなったというニュースが流れました。どう考えても株価が下がる局面ではありません。日経平均株価についてはしたがって下げたのは米国の影響で、投資家にとっては押し目買いという場面でしょう。1〜3月期の輸出は2.1%増と3四半期連続で高い伸びを記録しているのです。海外経済の回復が追い風となっていると思われます。こういう数値的に見ると日本の景気は良いはずなのですが、ニュースでは何故か悲観的な解説が同時に流れるというのが最近の常になっています。5期連続のGDPの伸びは小泉政権時の2006年以来、11年振りです。しかし、この好調さを実感できない人が多いとニュースでは街角の人々の声を報じていました。なぜなのでしょうか。

■ 一方でデフレ懸念もあり
 GDPの伸びの要因のひとつが個人消費の0.4%増です。ところが、同じニュースで、大手スーパーなどが一斉に生活必需品の値下げに踏み切っていることや、セブン−イレブン・ジャパンなど大手コンビニ3社も洗剤や歯ブラシなどの日用品価格を平均5%引き下げるなど、消費者の動向を感じて値下げラッシュだと言うのです。いろいろなものが4月から値上げになったはずだし、ヤマトなど物流価格も今後上がる、郵便はがきも6月から10円上がるというニュースの一方で、消費者動向に敏感な小売業界が値下げに走るのはなぜ?と疑問に感じます。実は物価変動を反映させた1〜3月期の名目GDPは0.03%減(年率換算0.1%減)と5四半期ぶりにマイナス圏に転落しているというのです。デフレ再来を懸念したくなる数値で、最悪はスタグフレーションの恐れがあります。

■ 消費好調の要因には外国人旅行客も
 GDP5期連続プラスの要因で明るい点は、個人消費の伸びです。先のデフレ再来懸念と矛盾してますね?実は要因として挙げられるのが外国人旅行客の消費の好調さなのだそうです。中国人の爆買いは終わりましたが、昨今日本全国どこに行っても見られる外国人旅行客、温泉などはもちろん、花見でもガイジンいっぱい、新幹線の中を見回してもウジャウジャ。銀座や新宿などでももはや半分は外国人旅行客じゃないかという現状です。NHK総合テレビで2017年5月19日(金)19時半から、ニッポンのラーメンツアーに訪れる外国人旅行客を採り上げていました。今やスキヤキやテンプラ、スシなどと同様、ギョーザやラーメンは「日本食」みたいですね。もちろん「和食」ではありませんよ。人口減の日本で消費を拡大するには海外からの観光客を増やすと言う日本政府の長年の政策は日の目を見てきていると言えます。

■ 家食派と外食派の「差」
 先日日比谷で企業経営者たちと飲んでいたとき、新宿区の某有名な会社の社長がこぼしていました。「事務員を募集しても人が集まらず、チャンスなのに業容拡大を計れない」と言うのです。女性も応募してこないとぼやいていました。新聞の折込チラシを見ても、人手不足で雇用情勢が改善しているのは明らかですね。それなのにデフレ懸念というのは、実質賃金の伸び悩みで、消費に結びついていないからと思います。一方で立川のIKEAに行ったら、働き盛りの人たちがアベックで(古い?)、子連れでウジャウジャショッピングを愉しんでいました。外食産業も再び盛り返しています。マクドナルドが奇跡の復活で、スカイラークなども株価がうなぎのぼりです。若者から老人まで、おしゃべりしながら食事やカフェを愉しんでいます。スーパーで安い食材を探し回って家食する人と外食する人の間に何やら「差」があるように見えます。
 右は「ブラシノキ」です。以前がん研有明病院の前で見ましたが、今ふじみ野市の川越街道(国道254号線)の中央分離帯でひときわ鮮やかな赤い花が見られます。

ブラシノキ
(2017年5月20日)


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