189  つらい話

 10月14日(金)〜17日(月)、岩手県へ旅してきました。間の15〜16日の土日は在京盛岡広域産業人会の会員ツアー第8回でした。昨年の第7回の模様は134『ふるさとツアー』(2015年10月6日)で紹介しました。今回の温泉は、個人的に花巻市の東和温泉、在京盛岡広域産業人会のツアーで矢巾町の矢巾温泉南昌の湯、個人的に紫波町のラフランス温泉でした。詳しくは次回紹介します。
 今回のテーマは、地方自治体から頼まれて、それを支援する会を立ち上げた身として、今でも行政とは深い関わり合いを持っているのですが、行政が巻き起こしている様々な問題から始めます。

■ 盛岡広域とは?
 盛岡広域とは、岩手県の盛岡市、八幡平市、滝沢市、雫石町、葛巻町、岩手町、紫波町、矢巾町の3市5町を指します。この中で葛巻町だけが有りません。は通常自噴の温泉を指すものでしたが、近年はボーリングしてポンプアップする温泉が増えてきました。日本の温泉地は全国で3,088箇所、東京都内にもたくさんあります。葛巻町だけは奥羽山脈側ではなく北上山地側なので温泉が無いのです。岩手町は岩手県岩手郡岩手町という県郡町が同じ名前の日本唯一の自治体で、北上川の水源地です。北上川の西側が奥羽山脈側、東側が北上山地側です。岩手町の奥羽山脈側に新黒石温泉があります。北上山地は全般に400m以上の高地で、最高峰は早池峰山1917mです。北上山地の特徴は岩盤が強固なことです。したがってILCの建設候補地として、世界の学者が一番に挙げているくらいです。東日本大震災で、岩手は地震の被害が大きかったと誤解している人が居たら、それは間違いです。東京などよりずっと揺れにくい地域なのです。東日本大震災の被害は海岸部の津波でした。盛岡市など、埼玉県戸田市より震度は低かったのです。この岩盤のため温泉が自噴しないのですが、もちろん掘れば湧出します。
マークは温泉の出る市町村(つまり葛巻町以外)

■ 名古屋の魅力度最下位
 「最も魅力がない街」「日本一の嫌われ都市」、最近、メディアで話題のまち、それが名古屋です。しかし、織田信長や秀吉、自動車産業、陶磁器ほか焼き物、MRJなど今後の花形航空機産業、近年は名古屋発祥の飲食店チェーンが全国に広がるなど、独自の食文化などで勢いを見せているのに、なぜなのでしょう?日本のど真ん中に位置し、交通も至便と思われるのですが・・・・
 議論のきっかけは、名古屋市が7月に公表した「都市ブランド・イメージ調査」の結果でした。東京や横浜、名古屋、京都、大阪など主要8都市に住む20〜64歳にインターネットを通じて質問し、「最も魅力的に感じる都市」を尋ねたところ、名古屋は最下位の3%でした。名古屋以外の各都市では「自分の住む街」を挙げた人が最多なのに、名古屋では15.8%と3番目で、東京や京都を挙げた人の方が多かったのです。
 名古屋市によると、市のイメージ戦略にいかすために今回の調査をしたそうですが、「名古屋に魅力がない」という印象を広げかねない結果に、担当者は「ここまで低いとは思いませんでした」、「住んでいる人が街の良さに気づいていない」、「もっと自信を持たないと」とぼやくことしきり。

■ 週刊誌でも名古屋バッシング
 これを受けて、週刊ポストは8月、「名古屋は嫌いだ!」とする特集を掲載しました。「せこい、見栄っ張り、ダサい、そしてパクる」と評し、名古屋の文化や習慣を紹介したのです。すると週刊プレイボーイも9月、「名古屋を襲う空前の大ピンチ!!」と銘打った記事を掲載、「『魅力のない街』ワーストワンの屈辱」「名古屋人は『名古屋メシ』を食わない!?」など五つの「ピンチ」を並べたてました。同誌編集部によると、名古屋が本拠のプロスポーツチームが軒並み苦戦していることなどをきっかけに企画したもので、地域を限定した内容の記事は珍しく、読者の評判は上々だったそうです。副編集長は「名古屋は豊かな土地柄。他の地域と違って、たたいてもいじめではなく『いじり』で済む」と説明したそうです。1980年代にも、タレントのタモリさんらが名古屋の方言や食文化をネタに笑いを取っていた時期がありました。ちなみに「ダサい」というのは埼玉を揶揄してタモリさんが広めた言葉です。

■ 夜閉まるのが早い街
 筆者は名古屋近辺での仕事も多かったのですが、驚いたのはパチンコ屋が多かったこと、夜の閉店時間の早さでした。そのうちに分かりました。名古屋の人たちは合理的で、グダグダ無駄な時間は過ごさず、さっさと家に帰る、人が居なくなるから商店もサッサと閉めてしまうということです。夜でもこうこうと灯りが灯り、24時間営業のような東京や大阪は、なんてムダな街なんだろうと多分名古屋人は思っているでしょう。だから、東京や大阪に見下されているわけではなく、実は住む分には気に入っているんだけど、遊びに行くにはなぁ〜という結果ではないでしょうか。

■ 名古屋で成功すればホンモノ
 そういえばこのエッセイでも、名古屋はとんと登場しません。以前会社でよく聞きました。営業マンが転勤してどこが一番大変かと言うと名古屋だというのです。品質が良くコスパの良いものしか買ってくれない土地柄で、大阪は新しいものにすぐ飛び付くし、高いものは買わず値切る、東京は見栄を張って高いものを買ったり、浮気をしないで固定客になり易い、しかし名古屋はなかなか買ってくれなくて、やっと良さを認めて買ってくれても、他の業者がより良いものを提案するとさっと鞍替えすると言うのです。したがって名古屋で成功した営業がホンモノだという話でした。確かにトヨタの購買を体験したら納得します。

■ 名古屋人の気質
 もうひとつ名古屋人の気質を表す話、社員で連れ立って飲みに行ったとき、大阪人は上司も部下もワリカン(割り勘定)でスマートに払う、東京は上司がポンと払ってイイカッコする、名古屋はレジでお互い見詰め合って、誰かが払うのを待つんだそうですよ。そういえば思い出しました、そういう経験ありました。なかなか勘定どうしようと言い出さないので、筆者がポンと払いました。酒を飲むとカッコイイのが我が悪い癖、翌朝財布の中身を見て「アチャー」と思うんですよ。

■ 築地と豊洲問題や五輪ボート・カヌー会場問題
 東京都の小池百合子知事が就任して以来、お昼のワイドショーはこのヒトの話題で持ちきりです。小池百合子氏の話題と言うより、このヒトが問題提起したことが、燃え上がって大騒ぎになり、今や豊洲の施設は白い目で見られ、東京都の職員は悪者になり、2020年東京オリンピックのボート・カヌー場問題では、海の森ボート場、宮城県長沼、戸田市の彩湖・・・、エッ、何故韓国?・・・村井宮城県知事、上田埼玉県知事、バッハIOC会長、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相、丸川珠代五輪担当大臣に安部晋三首相、いろいろな人がニュースに登場しました。宮城県登米市の人たちは長沼ボート場視察にやってきた東京都の小池百合子知事を熱狂的に歓迎しました。
 「アスリート・ファースト」とか、やたらにカタカナの好きな小池百合子知事ですが、当のアスリートたちが、やっぱり海の森が良いと言い出すと、「実は海の森の想定費用は過大だった」という話が暴露されて、もうシッチャカメッチャカ・・・。
 そこへバッハ会長が来日して、「皆で決めたものをひっくり返すことは出来ないが、コストカットは必要なので、4者会議で今後進めては?」と提案したことで、小池百合子知事は救われた形になりました。自分が火を着けたまでは良かったが、思わぬ大炎上で、今度は身動き取れなくなって困っていたところへ、安部晋三首相や森喜朗元首相と親しいバッハ会長が現れて助け舟を出した形です。
 さすがにテレビのワイドショーのほうも、当初は小池人気に便乗してワイワイやってましたが、最近は反省気味で、潮目が変わってきました。
 困っているのは築地の人たちでしょう。どうしてくれるんだ!と怒りようにも、相手は誰だ?それより買い込んだ設備、その資金・・・頭が痛いはずです。

築地・すしやのさが美、ランチやってます
 写真の寿司は、築地の場内でも場外でもないところで、コスパで評判のすしやの握りです。見るからに美味しそうですね。特にコハダの輝き・・・うまいものを食って、ゴタゴタは払拭したいものです。

■ 黒石よされ写真コンテスト市長賞
 青森県黒石市の日本三大流し踊り「黒石よされ」で津軽手踊りの少女が放つ表情の明るさに惹かれ写真を撮影した人が、(一社)黒石観光協会が主催する「黒石よされ写真コンテスト」に応募したところ、コンテスト最高の賞である「黒石市長賞」に内定したのですが、この写真の10日後自殺したことを受けて、高樋黒石市長が実行委に賞の再考を要請し、内定が撤回されました。
 しかし遺族は、この少女:葛西りまさん(13)の名前の公表を了承した上で、この内定撤回は納得できないと語り、輝いていた娘の明るい表情とともに、いじめの被害者が今後出ないように訴える機会だったのに残念、と語りました。これが報道されて、実行委と黒石市には「事なかれ主義だ」などの電話やメールが殺到しました。結局、高樋市長と実行委は、一転して市長賞を授与すると発表し、市長は「すべての責任は私にある。深くおわびしたい」と述べました。
 りまさんは青森市立浪岡中学校の2年生でしたが、実は黒石市から近いのです。いじめによる自殺は後を絶ちません。この問題に軽々にはコメントできないと考えます。市長の当初の対応も、頭ごなしに批判すべきとも思えません。遺族の無念は察して余りあります。せめてこの明るい表情の娘さんが生きていた頃を想い、合掌したいと思います。

りまさん

■ 自殺・・・電通の場合
 このところ自殺のニュースがやたらに多いですね。2015年12月に過労自殺した電通新入社員の高橋まつりさんが、労使協定で決められた残業時間(所定外70時間)内に収まるように、勤務時間を勤務表に過少申告するよう指導された疑いがあるとのことで、東京労働局は、電通において、残業時間をごまかすための全社的な隠蔽工作があったのではないかと調べているようです。
 三田労働基準監督署(東京)は、昨年11月上旬に高橋さんが鬱病を発症したと判断し、発症前の1ヶ月の残業を「105時間」と認定、勤務表の記載時間とは大きく乖離しているとしています。電通をめぐっては、1991年にも、本社でラジオ広告・営業を担当していた大嶋一郎さんが過労自殺し、高橋まつりさんは、友人や同僚に「25年前の電通事件のようになりそう」と訴えていたそうです。高橋さんが自殺する前の2014年6月には、関西支社(大阪市)が天満労基署(同)から是正勧告を受け、昨年8月にも、本社が三田労基署から同様の勧告を受けました。東京労働局は、二度の勧告を受けても高橋さんの自殺が防げなかったことを悪質と見て、刑事事件化も視野に調査しており、電通は「全面的に調査に協力している」とコメントしています。
 このような実態は、氷山の一角でしょう。残業の問題は、本当にやらされているのか、仕事が遅いとか効率が悪いと言われて、自らそれを取り戻すべく必死に仕事していたのか、詳しくは分かりません。ただ、自殺するまで追い詰められる過程には問題があったはずで、それを助ける仕組みが職場に無かったことが残念です。つらい話です。もし、それが企業風土によるものならば、直して行かなければなりません。

■ 自殺・・・関西電力高浜原発の場合
 高浜原子力発電所(福井県高浜町)の運転延長に向け、原子力規制委員会の審査の対応にあたっていた関西電力の40代の男性社員が4月に自殺したことについて、敦賀労働基準監督署が「過労自殺」と労災認定しました。1ヶ月の残業が最大200時間に達することもあり、過労が原因だと判断したようです。男性は技術者で課長職であり、7月7日の期限までに規制委の審査手続きを終えなければ廃炉が濃厚とされていた高浜原発1・2号機の申請で使う、設備の詳細設計をまとめる仕事をしていたそうです。
 課長職だけにいっそう責任感が強かったのでしょう。助けを求める上司も仲間も居なかったのでしょうか。これまた軽々にはコメントできません。ヤバイな、マズイな、と察して、声掛けし、救えるような職場の雰囲気が必要です。それはたとえ上司であっても・・・です。

高浜原発

■ 自殺・・・秩父署警部の場合
 7月、埼玉県の秩父署地域課長兼県警山岳救助隊長の男性警部=当時(52)=が自宅で自殺しているのが見つかった問題で、埼玉県警が上司だった前秩父署長の50代男性警視によるパワーハラスメントがあったと認定し、パワハラと自殺との因果関係を認めました。前署長が秩父署に異動した今春以降、警部は当直勤務のほか、書類作成のために週に1回程度、署に泊まっており、4月以降の休日は月に1日程度しかなかったそうです。
 実は警察とか自衛隊のような組織は、危険と隣り合わせで、武器を携帯していたり、ストレスが多い職場です。そしてパワハラが起きやすい現場でもあります。それが自殺にまで繋がるケースは、民間企業等に比べて特に多いように思います。ただし、10月23日午前11時40分頃に宇都宮城址公園で自殺したとされる栗原敏勝元自衛官の爆発事件は、全く様相が異なります。裁判官への不信もあって、自分の財産をすべて燃やしてこの世から自分を抹消しようとしたのでしょうが、自宅、車、公園(自分)と別々の場所で時限的に発火、爆発させる行為は、到底許されるべきものではありません。

■ ムクドリか?
 我が家のすぐ近く、川越街道の樹に、夕方小鳥がいっぱいいるようでちゅんちゅんとかまびすしいのです。昔から不思議だったのですが、よく駅前に植えてある樹に、夕方以降、数百羽の鳥が止まっているのですが、これと鳴き声が同じ、いったい何の鳥だろう?と思っていました。またあるときは電線にズラーッと並んで止まり、あるとき突然一斉に飛び立って一本の樹の中に身を潜めます。あの鳥たちには自分の巣はないのだろうか?明るい駅前に集まっているのはわかりますが、見たところ小型の鳥です。スズメやツバメなら巣を作るので、別の鳥だなと思ってネットで調べたら・・・。
 ムクドリだそうです。東アジアに分布する椋(ムク)の木の実を好んで食べるためムクドリと呼ばれるみたいです。椋の木は、大木になるため、日本では天然記念物に指定されている巨木があるそうです。熟すと黒紫色の食べられる実を着け、味は非常に甘く、美味だそうです。ムクドリは繁殖期以外には巣を使わず、夕方に集まって大群で「ねぐら」を形成するのですが、その時、周囲から見通しのきく樹木を使い、大群で天敵から身を守っているようです。そういえば冬にツゲの実を食べたり、柿を食べている黒い鳥、あ〜アレか、よく見る鳥です。

ムクドリ


■ 田部井淳子さんご逝去

 1975年に女性として世界初のエベレスト登頂を果たした登山家の田部井淳子さんが死去されました。77歳、女性としては早過ぎます。福島県三春町生まれで、川越にお住まいでした。エベレスト登頂に成功したのは35歳の時で、アジア大陸のエベレストに加え、1992年までにキリマンジャロ(アフリカ)、デナリ(北米)、エルブルース(欧州)、アコンカグア(南米)、カルステンツ・ピラミッド(オセアニア)、ビンソンマシフ(南極)に登り、女性として初めて七大陸最高峰を制覇されました。2011年の東日本大震災以降、被災地の高校生たちと富士山に登る活動にも取り組んでおられました。個人的には「ざくろ坂プロジェクト」でお会いしました。気さくな方でした。オフィシャルサイトはいつまで運用されるのでしょうか。心よりご冥福をお祈り申し上げます
俳優の平幹二朗(ひら・みきじろう)さんも亡くなりました。82歳でしたが名優でしたね   合掌


田部井淳子さん


平幹二朗さん

(2016年10月24日)


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