179  SMAP解散

 リオ・オリンピックの熱戦で寝不足の方も多いのではないでしょうか?筆者はひたすら甲子園の高校野球です。我が家の周辺は降雨が無かったのですが、やっとお湿りで農家はホッとしているでしょう。庭のきゅうりもそろそろ終り、ナスはもう少し、プチトマトは今盛り、ピーマンもまだまだ、ミョウガはそうめんの薬味に入れたりしていますが、これからが本格化です。

■ お盆の迎え火と送り火
 お盆で懐かしいご先祖さまたちが我が家に帰るのを迎えるのが「迎え火」で、再び「あの世」に戻られる道を照らすのが「送り火」です。我が家では仏壇はありますが、位牌は弟のところにあるので本来父母の霊は我が家には来ないはずですが、まあ慣習にならって「迎え火」、「送り火」をします。

 お盆の迎え火のやりかたも時代と共に変わらざるを得ません。マンションで迎え火は無理ですね。近所の寺では13日にぞろぞろと家族連れが提灯を持ってやってきて、お墓に着くと、持参したお線香と蝋燭に火を点け、お参りを済ませ、その火でその蝋燭を消さないように提灯に移し、来た道を自宅へ戻るのです。この提灯の火を仏壇の蝋燭に移します。しかし、戦後田舎から都会へ出て来た多くの人たちは菩提寺が無く、遠い霊園にお墓があるため、火種を取りにもなかなか行けません。そこで自宅入り口前で木屑を焚いて迎えます。盆棚に大きな蓮の葉を敷き、ナスとキュウリに割り箸を折って差して脚にして牛と馬を作ってそなえます。ご先祖さまの乗り物に「お疲れさまでした」と手を合わせます。送り火は、ご先祖さま方があの世への帰路、道に迷わないように送り出す火のことです。地域によって違いますが、普通は15日か16日の午後に、迎え火のように門口で焚きます。岩手県盛岡市では盆の送り火・精霊舟の一種である舟ッコ流し(ふねっこながし)が行われ、毎年多くの観光客が訪れます。
盛岡・舟ッコ流し


■ 戦争の記憶を伝える体験者団体の解散相次ぐ
 71回目の終戦記念日を迎えました。第二次世界大戦の戦禍を体験した人たちの団体の解散のニュースが相次いでいます。犠牲者の追悼や、戦争の実態を伝える役割を担ってきた人たちも高齢化で仕方ありません。1945年の沖縄地上戦で動員された元女子学徒でつくる「青春を語る会」は3月解散、国策会社・南満州鉄道の元社員らでつくる「満鉄会」(満鉄会情報センター)も3月に解散、旧満州の官吏養成機関・大同学院の同窓会を引き継ぎ、引き揚げ時に子どもだった人たちで構成した「大同学院二世の会」も5月木村を拒否する香取のわがままがSMAP解散の決定打になったというに閉会しました。一時は約35万人の会員がいた日本傷痍軍人会は2013年に解散し、和歌山沖で米軍の攻撃を受け沈没した空母「信濃」の戦友会は昨年11月に活動を終えました。終戦時に14歳以上だった85歳以上の人は今年2月時点で約511万人(全人口の4%)。95歳以上の人に絞ると約47万人だそうです。終戦時24歳だった我が両親も既にこの世の人ではなく、ただ今お盆で仏壇に手を合わせています。戦争を語れる世代がいなくなる時代を見すえ、解散する団体の資料を引き継いだり、会員の体験を記録したりする試みも広がっているそうです。

■ SMAP…年内解散
 8月11日、夫婦で車に乗りながら「最近キムタク見ないね」と話していました。「中居やシンゴは見るけど、草なぎや稲垣吾郎も見ないね」などと話していました。そしたら8月14日朝のトップニュースは「SMAPの年内解散」でした。リオ五輪の最中に、こっちのほうが日本国民には衝撃的なニュースだったと言うことです。SMAPのメンバーは、リーダーの中居正広と木村拓哉が43歳、稲垣吾郎と草g剛(くさなぎつよし)が42歳、香取慎吾がひときわ若くて39歳です。1988年にグループを結成し、1991年にCDデビュー。芸能界の第一線を走り続けてきた「戦後最大のトップアイドル」です。
 151『同一労働同一賃金』(2016年1月30日)で「SMAPの分裂騒動」に触れました。その中で「解散は、そう遠くない時期と思います」と書きました。バラバラの個性でありながら、集まるとSMAPになる、これを可能としたのが女性マネジャーの力でしたから、その人が去った以上、もはやSMAPにはなり得ないからです。

■ 衝撃を受けたファンやテレビ関係者
 8月14日、お盆休みでにぎわう東京・原宿のジャニーズ関連グッズ販売店には大勢のファンが訪れました。ファンの多くは「解散騒動は落ち着いたと思っていました。5人が揃っていることが大事なのに」とか「ショックです。本人たちより所属事務所の中の問題という感じがして気の毒」と嘆いていたそうです。
 テレビ各局への影響も大きいようです。1996年からの長寿番組「SMAP×SMAP」を制作するフジテレビは「15日の番組は予定通り放送するが、その後は未定」。ある民放関係者は「1月の騒動以降、メンバー間の関係は明らかに悪化していたが、まさか解散とは。スポンサーとの調整も大変だ」と言っています。

■ 身近な存在だったアイドルグループ
 SMAPがなぜ、ここまで注目される存在であり続けたのかについてはいろいろあるでしょうが、長年担当した飯島三智マネジャーのプロデュースの成果でしょう。「分業システムでアイドルグループを売り出した」初めてのグループ、バラエティー、ドラマ、司会と、単独で出てもグループの存在を引き上げました。SMAPは「失われた20年」の停滞感がある時代を生きる上でのモデル的存在だったのではないでしょうか。稲垣吾郎や草g剛が事件を起こしても、ファンは彼らを支え続けました。それはSMAPが単なるスターではなく、弱さも見せる身近な存在だったからだと思います。ナンバーワンでなくていい、という『世界に一つだけの花』はその象徴です。

■ 拡がったキムタクと他の4人との溝
 しかし、女性マネジャーがメリー副社長と対立して1月に事務所を去ると、メンバー間の亀裂は広がりました。飯島マネジャーを母親のように慕い、キムタクとの溝が深くなっていた香取慎吾は、ジャニーズ事務所を辞めようとして、中居正広がとどまるよう説得したようです。しかし基本的にキムタクと他の4人の溝は拡がって行きました。本来は飯島マネジャーとともにSMAPがジャニーズ事務所から独立する話になっていたのにキムタクが裏切ったのが事の真相です。特に香取慎吾と草g剛は最もキムタクと乖離、稲垣吾郎が最もキムタクに近いのですが、中居はなんとか解散を避けたいとメンバーを説得しようとしましたが、本人自身もキムタクと葛藤がありました。最終的には8月10日、香取、草g、稲垣とともに自分たちの意見を言うためにジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長(84)に面会しました。この場で、香取が「休むなら解散したい」と希望しました。解散の話が出るとは思ってもいなかった中居は、絶句するほど戸惑ったそうです。何とか翻意させようとしましたが、草gと稲垣が香取に同意、ジャニーは「この老人に免じて考え直してよ」と懇願しましたが、結局押し切られる形で解散が決まったようです。

■ 香取のわがままがSMAP解散の原因?
 この場に何故キムタクが居ないの?実は工藤静香や子どもたちとハワイ旅行でバカンスを楽しんでいたそうです。分裂騒動以後、仕事が減って余裕があったわけです。一方で香取慎吾や中居正広は大忙し、内向的な香取慎吾は我を張るタイプではないことが逆にファンに愛されていますし、中居正広はSMAPで最もコミュニケーション能力が高く、大物芸能人たちとも親交が深いので引っ張りだこなのです。飯島マネジャーが去って、実は一番影響を受けたのが木村拓哉だったと言うことです。いかにジャニーズ事務所がキムタクを中心にSMAPを盛り立てようとしても、飯島マネジャーの居ないSMAPはSMAPにはなり得ないのです。今回の解散発表でスポーツ各紙は、キムタクを拒否する香取のわがままがSMAP解散の決定打になったというように書きましたが、これはジャニーズ事務所のニュースリリースに沿って書いたからでしょう。しかし香取は自分ひとりの脱退を言い出すことはあっても、グループの解散を言い出すようなキャラクタではありません。『27時間テレビ』(フジテレビ)で中居正広がさんまのツッコミに「木村に聞いてくださいよ」と返したことが話題になりました。この中居の発言はまさに、SMAPは解散しないと言いながらこういう事態になった原因はキムタクにあると暗示したものでした。

■ 解散致し方無し、いつか来る道
 ただ、解散するもののメンバー全員ジャニーズ事務所には残るようです。「スポーツニッポン」はジャニー社長の説得を拒否した4人を批判しました・・・「事務所トップの言葉に耳を貸さないのに、事務所には「残りたい」という態度に、メンバーの間に確執があることを理解していたスタッフも「わがままが過ぎる。さすがにひどい」と漏らすほどだった」・・・これは全く的ハズレですね。メリー喜多川副社長(89)の娘・藤島ジュリー景子副社長(50)が次の社長になるようですが、ジャニーズ事務所としても個々でも光る存在のメンバーを手放したくないのは当たり前でしょう。中居正広も、「SMAPのリーダーとしてじくじたる思いもある」なんて言っていないで、気持ちを切り替えて、本来の明るさを発揮して行くべきでしょう。そもそも論で言えば、ジャニー、メリー、ジュリーと一体のキムタクと、自分たちの育ての親の女性マネジャーとの連帯を大切にしたい他の4人、経営者と中間管理職のどちらに部下が付くか、という話はサラリーマン社会ではよくあることです。経営者に逆らったら立場を失うのがサラリーマンです。しかしSMAPメンバーたちは、ジャニーズ事務所を離れても生きて行ける人たち、普通のサラリーマンではありません。会社としても辞められては困る金の卵ならぬ金を生む鶏です。複雑な話ですが、解散は時間の問題だったということで、メンバーがジャニーズ事務所に残って欲しいと言うのはジャニーズ事務所の希望だということです。それにつけてもジャニー、メリー、ジュリーなんて、老人になるといささか恥ずかしいなぁ・・・

■ 第98回全国高校野球選手権大会2回戦終了
 甲子園は本日で2回戦終了、BEST16が揃いました。筆者イチ押しの花咲徳栄は2回戦勝ち抜いてBEST16となりました。昨年はBEST8止まり、リリーフして東海大相模の小笠原と投げ合った高橋(昂)は痛恨のボーク、サヨナラ負けして結局東海大相模が優勝しました。
 2回戦花咲徳栄は鹿児島・樟南と対戦、高橋(昂)は序盤、樟南に苦しめられました。3回まで毎回先頭打者を出す、埼玉大会無失策の三塁手や遊撃手が1塁悪送球などなんかヘン、しかし野本捕手が高橋(昂)を助けました。1、2回と、その最初の走者を1塁への牽制球で刺しました。更に野本捕手は変化球でカウントを整え、「来い、来い」と外角ボールギリギリの直球を要求し、投手の直球の威力、コースを計って行きました。こうして高橋(昂)を徐々に立ち直らせ、樟南を自分たちのペースに引き込んで行きました。5回まで1安打の花咲徳栄は、1点を追う6回、一挙4点を奪い、7回にも2点を追加しました。高橋(昂)は11安打を浴びながらも8三振を奪って勝ちました。
 3回戦は8月17日(水)10時半から作新学院との隣県対決となりました。大会注目の右腕・エース今井は甲子園に来てから更に球速が増し、150キロ台連発、自己最速151キロの速球とスライダーがさえ奪三振ショーで絶好調です。大会屈指の右腕・左腕対決、楽しみです。

花咲徳栄・高橋(昂)


■ ランダウンプレーでの変な場面発生
 上で、8月11日、夫婦で車に乗りながらと書きましたが、明徳義塾−境戦、8回裏の明徳義塾の攻撃で、変な場面がありました。明徳義塾・馬淵監督と言えば星稜・松井を5打席連続敬遠させた監督、24年経った今だに議論が尽きない戦法です。野球は勝たなければ意味がない、高校生の中に一人だけプロ選手が居る、これは勝負してもダメ、ということだったようですが、無死無走者でも歩かせるなんていくらなんでもフェアじゃない、ということで甲子園のスタンドから大ブーイングを浴びました。しかし毎年強豪チームを作るのですから、やはり名監督でしょう。
 ちょうど車を運転中でNHKテレビを聴きながら(運転中は映らないので音声だけ聞きながら)、何のこっちゃと思いました。明徳義塾1死2、3塁から代打が強いショートゴロ、三塁走者も二塁走者も飛び出し、ショートは捕手へ送球して三-本間にランナーを挟みました。これをランダウンプレーと言います。二塁走者は三塁ベースへ到達。捕手は三塁手に送球、三塁手はまず二塁走者にタッチ(正式にはタッグと言います)し、そのあと三塁走者にタッチしました。これは野球関係者なら誰でも知っているプレーです。2人の走者が同じ塁上にいる状況でともにタッチされたので、前走者に優先権が発生し、三塁塁審は二塁走者にアウトを宣告しました。ここまではよかったのですが、何故か三塁走者が本塁へ向かってホームインしたというのです。実況のアナウンサーも解説者も、アウト?えっ、セーフ?と混乱している様子で、球審が場内放送で説明しました。家に帰ったらネットで動画を見てみようと思いました。後で見たら、2人の走者が同じ三塁上にいる状況で、三塁手がまず二塁走者にタッチし、続いて三塁走者にタッチしました。三塁塁審は二塁走者にアウトを宣告し、三塁走者はベースを踏んでいたのでセーフと手を拡げました。すると三塁走者はゆっくりとベースを離れました。三塁手は三塁走者にタッチしてグラブを上に上げて振り向いて三塁審判にアピールしましたが、何も判定されません。三塁走者は、アレ?プレーは続いているようだぞ?と気付いて、そのままホームへ向かって一目散、ホームイン、解説者は、「タッグされてますね、アウトですね?えっ、セーフですか、タッチされてなかったんですね」という状況でした。テレビ映像では、ベースを離れた三塁走者がタッチされていましたが、その瞬間三塁塁審はまだセーフと手を拡げている状況でした。三塁走者は自分がアウトになったと勘違いしたのでしょう。三塁手が三塁走者にタッチした状況が明確に三塁塁審に伝わらなかったと思われます。球審は三塁走者の後ろに三塁手がいたので、タッグの瞬間は陰になって見えなかったはずです。三塁塁審から見ると三塁手の向こうに三塁走者の背中があって、グラブで「触った」かどうか見えなかったのでしょう。こういうプレーを誤審と言うのは簡単ですが、三塁塁審からも球審からも死角となる状況はこのように発生し得るのです。テレビ中継では違った角度から映していますから、三塁手が三塁走者にタッチしてグラブを上に上げたのが見えました。テレビ視聴者も解説者もアウトだなと思ったはずです。高校野球では審判は絶対ですが、ビデオを参考にするということもあっていいかもしれません。テニスやバレーボールでの「チャレンジ」というのは有名ですが、今や相撲でもビデオを参考にしますし、プロ野球でもビデオを見て審判たちが参考にすることがあります。プレーしている選手に言うとすれば、三塁手がもっと強くタッグして、大きな声で「アウト!」をアピールすれば三塁塁審もアウト!と言ったかもしれません。野球では「かすった」程度ではタッグと言わないし、走者がベースのエッジにスパイクの側面で触れたぐらいでは「触塁」とは言いません。明確に、審判に分かる形にすべきなのです。また、大きな声でアピールすることが大事です。選手の気迫が審判に伝われば、多少あいまいなプレーでも審判はハッキリとアウト!セーフ!を宣告してくれるのです。
(2016年8月15日)


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