151 同一労働同一賃金
今年は暖冬と言われていましたが、昨週末の寒波は関東から東北の太平洋側にはあまり影響がなかったものの、日本海側から東海地方、近畿、中国、四国、九州から沖縄まで、かつてないほどの異常な寒さをもたらしました。そんな中、JR東日本大人の休日フリー切符の2015年度第3回を利用して参りました。 ■ 大人の休日2015年度第3回
■ 天皇陛下のフィリピン訪問 天皇・皇后両陛下は2016年1月26日フィリピンを訪問され、アキノ大統領の出迎えを受けました。晩餐会で天皇陛下は「昨年私どもは、先の大戦が終わって70年の年を迎えました。この戦争においては、貴国の国内において日米両国間の熾烈な戦闘が行われ、このことにより貴国の多くの人が命を失い、傷つきました。このことは、私ども日本人が決して忘れてはならないことであり、この度の訪問においても、私どもはこのことを深く心に置き、旅の日々を過ごすつもりでいます」と述べられました。前回、54年前の皇太子時代(1962年11月)のフィリピンご訪問を機に、それまで険悪だったフィリピン国民の対日感情が緩和されたそうです。今や最大の親日国と言って良い状態になった裏には、天皇・皇后両陛下のご貢献があったと言えるでしょう。 我が父はフィリピンで米軍の捕虜になりました。大日本帝国軍がフィリピンの人々にどんなに辛い苦難を嘗めさせたか、ここでは論じません。しかし、今日、フィリピン人は日本人を赦し、友好の絆が築かれていることは有り難いことです。父が火炎放射器で焼かれずに、出征した師団の1%の生き残りになったことが、今日自分がこの世に居られる理由ですが、米軍の兵士にもいろいろな人が居て、運が良かったと言っていました。捕虜生活では、米兵向けバーバーを開き、腕が良いと評判となって大繁盛したそうです。銃ではなく、鋏や剃刀のような凶器になりかねないものに持ち替えても、人間は仲良くなれる、結局心持ち次第ということです。天皇・皇后両陛下が、こうして各国を訪問されることが、いかに各国の国民の心を溶かして頂いているかと考えますと、有り難いことだと感謝します。 ■ ドンキホーテ、違法残業の疑いで書類送検 従業員に3ヶ月で最長約415時間の残業をさせたとして、東京労働局はディスカウント店運営のドン・キホーテ(東京)と同社の執行役員ら8人を労働基準法違反の疑いで東京地検に書類送検したと発表しました。「過重労働撲滅特別対策班」(通称・かとく)がブラック企業摘発に乗り出しているのです。初の事例として昨年7月に靴の専門店チェーン大手ABCマート、2例目として同8月に大阪の外食チェーン「フジオフードシステム」に続く3例目ですが、長時間労働が小売業や飲食業で目立つのは、店を開く限り売り上げの機会が増えるものの、人の配置も必要になり、本来はそれを乗り切る適正配置をしなければならないのに、違法行為で乗り越えているのが実態だからのようです。 ■ 甘利経済再生相が閣僚辞任 甘利経済再生担当大臣が、週刊文春で報じられた現金授受疑惑を受け、自らの秘書の監督責任と国会審議に支障を来しかねないといった理由から経済再生相を辞任しました。後任は石原伸晃元自民党幹事長ですが、環境大臣の時にウッカリ本音をもらして、マスコミから叩かれたのでチョット心配ですね。政権の屋台骨を支える重要閣僚に「政治とカネ」をめぐる問題が浮上し、第2次安倍政権の発足以来4人目の閣僚交代に至ったことは、安倍首相には大打撃です。このところの株価の乱高下、円高で、アベノミクスが揺らいでいる中で、その屋台骨を失ったことは辛いこと、けれど、このままズルズル日本経済を失速させてはなりません。 ただし、甘利氏の辞任を「政治家の美学」だとか、日本人が好きな言葉であいまいにして良い話ではありませんね。菓子折りの底に札束なんて、筆者が若かりし頃は政治家だけでなく企業間でも有りました。中国やインドでは今でもあるでしょう。でも、現代日本でも有ったということだけでもビックリポンです。どう考えても、感覚が麻痺しているとしか思えません。 ■ 同一労働同一賃金 安倍首相が実現に向けて意欲を示す「同一労働同一賃金」とは、”日本では”、同じ仕事内容であれば、正社員・非正規社員にかかわらず、同じ給料がもらえるという考え方と言われています。もともと野党が共同で「同一労働同一賃金推進法案」を準備しました。同じ仕事をしたら同じ賃金をもらう、これは極めて当たり前のことのように思えますよね?事実、欧州では多くの専門職の仕事が「ワークシェアリング」の対象とされており、フルタイムの人も、パートタイムの人も時給換算では同じ賃金をもらっています。では、この「同一労働・同一賃金」というのは、日本の場合どうして実現が難しいのでしょう?日本では、同じ仕事をしていても、非正規労働者や派遣社員の賃金と、フルタイムの正社員の賃金では倍ぐらい、福利厚生まで入れると2倍半以上の格差があると思います。そのワケは「正社員と非正規の仕事は違う」からです。非正規社員でも正社員以上に仕事ができる人はいますが、非正規社員はその仕事をやっていれば良いのです。しかし日本の正社員は、本来の労働以外にいろいろなことをやらなければなりません。教育研修もそうですし、「滅私奉公」で企業のために尽くす人材として育てられますから、ただ仕事ができるだけではダメです。協調性やら何やら・・・、「出る杭は叩かれる」社会です。ダメとなるとリストラされる恐れがありますが、乗り越えた正社員は年功序列で段々と給料が上がって行きます。高齢者は若者よりずっと給料が高いのです。しかしパートでいる限り、歳とっても若者と時給はほとんど同じです。すると、「同一労働同一賃金」とは、みんながパートみたいな状況にしようということでしょうか? ■ 脱年功序列制度 ある意味、その通りでしょう。日本型経営の「正社員を育成して管理職にする」という制度は「膨大なコスト負担」になります。これは海外企業とのグローバルな戦いに負けるものだ、というのが安倍首相の考え方の根底にあると思います。一方正社員と非正規社員の賃金を同じにせよと言う人たちの多くは、年功序列制度そのものは否定していないのではないですか?社員を育てて優秀な管理職を作り、その中から選抜した経営幹部に将来の自社を託していくという考え方だから年功序列になるのです。昔からの「店」と「奉公人」の延長です。例えば米国では、ヨソから高額報酬で優秀な経営者を引っ張ってきて、利益を出す経営を任せます。 ■ 自営業か、社員か そもそも例えば理容師、これは専門職ですから、腕が良ければ若くても高い料金をお客様から頂けるはずです。ベテランの理容師だから高くてもしょうがない、なんて客は考えませんね?お客様の評価が報酬につながるのですから、腕一本の職人には良いことです。これは自営業の場合です。むしろ若くて体力があるうちに大いに稼いで貯金しなければなりません。子育ての金が必要な頃にバリバリ稼ぐには良い職業でした。でもQBハウスのようなものが出てきて、職人が若かろうがトシだろうが、10分か15分で一丁上がりというシステムになると、「同一労働同一賃金」になります。「理容師」という言葉が似合うのは自営の床屋さんで、QBハウスのような企業で働く人は「理髪社員」なのです。どっちに行くかは客が選びます。「理容師」は腕を上げようと努力し、評価はお客様から頂きます。「理髪社員」はとにかく決められた時間内に仕上げるだけです。「理容師」が頂くのは報酬で、「理髪社員」は賃金です。 ■ 日本的経営の考え方そのものを変える 正社員と非正規社員の賃金を同じにするというよりも、日本的経営の社員の考え方そのものを変えようというのが「同一労働同一賃金」の考え方だとすると、保守的な人たちは猛反対するでしょう。経営者も、労働者も・・・、特に既得権の高齢社員はそうでしょう。一方若い人たちは歓迎です。安倍晋三という首相が支持率が高いのは、こうした若者に受ける政策を巧みに打ち出すからです。一方では貧しい老人に一律3万円、実に巧みな気配りです。同じことを言っているように見えても、野党と根底が違うことには注意が必要です。 ただ、経営者もこのままではいけないと考えている人が増えてきていますから、これに乗っかって「同一労働同一賃金」だからという理由でコストダウンを図る人も出てくるのではないでしょうか。 ■ 日銀、マイナス金利導入 日銀は2016年1月29日の金融政策決定会合で、民間銀行が日銀に預けている一部の資金に0.1%の手数料を課す「マイナス金利」を導入することを決めました。長期国債の買い入れ枠80兆円は維持するそうです。日銀のマイナス金利決定は、9人の政策委員のうち5人が賛成し、4人が反対という際どい決定だったようです。銀行は日銀から利息を頂くのではなく、お金を取られますから、当然当座預金を減らすでしょう。と言うことは、投資や貸し出しなどを増やし、実体経済を刺激する効果があるとされています。次々と禁じ手を打ち出しますねぇ。ビックリポンや〜 このニュースで一気に日経平均株価が上がり、円安になり、日本国債が買われて長期金利が下がりました。バズーカ第3弾?でも5-4とは際どいですね。 ■ 米FRBが3月利上げ断念 米連邦準備制度理事会(FRB)は2016年1月27日、政策金利を維持して追加の利上げはしないことを決めたそうです。米国での足元の景気減速を認め、中国経済の減速や、年初からの世界的な株安、原油安への懸念も示唆しました。年明けから目立つ金融市場の混乱や、ドル高や新興国経済の減速などの影響で、米国の輸出が低迷しています。筆者は昨年、米国で利上げするたびに、過去世界中に大混乱を起こしてきた実績に鑑み、FRBは利上げに慎重であるから、年内利上げはないでしょうと書きました。それが予想外の利上げに踏み切って約1ヶ月、案の定というか、予想通りの大混乱、FRBは早くも難しいかじ取りを迫られています。 これで米国景気はピークを越えたと見ます。本来は2016年中盤で利上げ、景気が減速して、2017年にはドーンと急降下と予測していました。 ■ SMAPの分裂騒動 人気グループSMAPの分裂騒動は、スポーツ紙やテレビが連日、トップで扱うなど社会的な「事件」になりました。なにしろNHKのニュースが採り上げるほどですから、いかに国民的ショックだったか?ということが分かります。1980年代のアイドルブームが去り、当初は売れっ子でもなくマネジャーすらつけてもらえなかったグループに、ジャニーズ事務所の普通の事務員だった1人の女性が面倒を見ているうちに段々と売れ出して、独自の戦略を持つ彼女とカリスマ創業家の間に軋轢が生まれたことが事の次第らしいです。女性マネジャーは退職することになり、SMAPは一緒に独立しようという話になったものの、キムタクだけがジャニーズにとどまると表明し、ジャニー社長の妹のメリー副社長が怒ってマネジャーと4人を「出て行け」と追い出そうとしたようですが、このニュースに国民から悲鳴とさえ言えるリターンコールが起こり、キムタクが仲裁して、元通りSMAPはジャニーズに残ることになった模様。5人は2016年1月18日のSMAP×SMAPの生放送で謝罪したそうですが、筆者は見ませんでした。平均視聴率は31.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったそうです。瞬間最高視聴率は22時22分の37.2%、メンバーそれぞれの挨拶が終了した後、木村拓哉が「これから自分たちは何があっても前を見て、ただ前を見て進みたい」と締めくくり、5人が頭を下げた場面だったそうです。 ■ 失われた20年に対応したグループ SMAPの謝罪生放送を見なかったのでネットで見たら、圧倒的だった声が「テレビの視聴者であるファンに謝っているというよりジャニーに謝罪してるのはおかしいんじゃないの?」と、会社のパワハラを非難する声でした。これは中間管理職と経営者との戦いと言うべきなのでしょうか?グループでありながら、5人が実はバラバラであることが印象付けられたそうです。SMAPがデビューした1990年代以降は、「失われた20年」と言われました。日本社会は世界の中で取り残されて成長が止まり、国民は自信を失いました。デフレが続きました。その結果、コミュニケーション力が非常に重視されるようになりました。「仲良し」を重視する社会では、「空気を乱さない」、「波風を立てない」ことが過剰に求められるようになります。バラバラの個性でありながら、集まるとSMAPになる。謝罪放送では、そのコミュニケーションが大失敗、誰に対して、何を謝っているのか?後味の悪さだけが残ったと言われています。 ■ 解散は、そう遠くない? 実は、SMAPで本当にコミュニケーション力が高いのは中居正広ぐらい、だからリーダーなのです。キムタクなどはアイドルとは言い難く、本来ぶっきらぼうで男っぽいイメージです。最も若い層から人気があって将来性があるのは、一番若い香取慎吾でしょう。草g剛は「今回ジャニーさんに謝る機会を木村君が作ってくれて、いま僕らはここに立ててます」と言いましたが、これはジャニーズ事務所から「言え」と言われたそうで、草gだからこそ怒りを抑えて言えたのだ、とのことです。稲垣吾郎は当たり障りのないことを言いました。解散するのは、居場所を捨てて、新たな荒波に飛び出ることです。SMAPは一人ひとりが個人でも活躍しています。独立してもやっていけるでしょうが、SMAPはファンの同調圧力に抗しきれなかったといえます。SMAPが、俳優や司会といったそれぞれの個性を発揮出来たのは、女性マネジャーの力によるところが大きかったわけで、今後解散するのは、そう遠くない時期と思います。 ■ 司会者がしゃべらない「不思議な鑑定団」 テレビ東京が誇る高視聴率番組「開運!なんでも鑑定団」(火曜夜)の功労者・石坂浩二さん(74)が、3月いっぱいで降板し、後任はフリーの福澤朗アナウンサー(52)が起用されるそうです。石坂さんは、ここ2年ほど、ネット上などで視聴者から「放送中、ほとんどしゃべっていない」と話題にされていました。制作スタッフが「収録中はたくさんしゃべっている」と証言しているにもかかわらず、約2年にわたり、ほぼ発言が放送されていないというので、1月26日に久し振りに見ました。そしたら、なるほど、出ているのに全く発言なし。これほどの大物が全くしゃべらないなんて確かにおかしい。番組内での発言がほとんどカットされるのだそうです、不思議ですね。 ■ ホテル大量盗難、密室の怪=保管場所はドア施錠=長野・志賀高原、昨夏も被害 長野県・志賀高原の「ホテルサニー志賀」(同県山ノ内町)で、フロントで保管されていた宿泊客の高校生約170人の財布などの貴重品が盗まれました。このホテルでは、昨年8月にも中学生約340人の貴重品が盗まれる被害があり、フロント周辺を常時監視するカメラを設置していたにもかかわらずの被害でした。ホテルの児玉茂社長が施錠し、翌朝巾着袋計37個がすべてなくなっていることに気づき、長野県警中野署に被害を届け出たそうです。監視カメラに不審人物の姿が映っていないというのですが、そんなバカな・・・。貴重品をホテルのフロントに預けて、それがなくなるのでは、何をかいわんや、誰も泊まらなくなるでしょうね。それにしても何故すぐ解決しないのでしょう? (2016年1月30日) |