178  夏=野球

 毎年8月になるとミーンミンと蝉の声がうるさくなり、これで連想すること、@東北夏祭り、A原爆と終戦の記念日、B夏の甲子園開幕、C少年野球の合宿です。今年はこれにリオ・オリンピックが加わって、話題多い夏です。そうは言いながらも8月7日は立秋でした。これからは残暑です。


■ 女子マネの甲子園練習参加制止問題は時代錯誤か?
 高校野球の甲子園練習で、大分の女子マネージャーがノックの手伝いをしていたところ、大会関係者から制止され、グラウンドから“退場”させられました。これがネットで炎上しただけでなく、野球関係者の間で大きな波紋を広げています。大会規則では練習の補助員は男子部員に限られ、記録員(マネージャー)も、試合前の練習や試合中にグラウンドに出てはならないと定められているためです。しかし他のスポーツでも女子の活躍が目立つばかりか、女子野球も年々盛んになっている中で、現状では安全性を考慮して禁じられている女子選手の公式戦参加の是非にまで議論が広がっています。
 「女性活躍社会」だとか「女性都知事誕生」だとか、あまり議論を大きくしないで、「練習補助員は男子に限られる」の大会規定がおかしくないのかどうかについて絞って考えてみましょう。チームによって女子マネージャーの仕事や役割の種類はいろいろあると思いますが、記録員としてスコアブックをつけるだけでなく、部員数の限られているチームなどでは、ヘルメットを着用の上、ノックでのボール渡しなどを手伝うことは少なくありません。高野連の規定は時代にそぐわなくなっているのは明らかですから、この際大いに議論してはいかがでしょうか。

■ 第98回全国高校野球選手権大会始まる
 いよいよ始まりましたね。高校野球、甲子園の暑い夏とともに、参加各校の熱い戦いが繰り広げられ、それをテレビ観戦する私たちも一喜一憂します。大会主催の朝日新聞の記者達が事前予想した結果は下記の通りです。
●有力5校
@横浜…3年振りの出場で、名将・渡辺元智監督の後を継ぐ平田新監督の最初の夏に、神奈川県で圧倒的な実力を発揮した。投手陣は左右の二枚看板で右腕藤平は150キロ超の直球で押す本格派、左腕石川も変化球が多彩で実戦向き。攻撃陣は神奈川大会記録を更新する14本塁打を放った。中軸の増田、村田に加えて下位の公家も3本塁打、機動力もあって走攻守に穴がない。
A履正社…激戦の大阪を堂々と勝ち上がった。エース寺島は140キロ台後半の直球に加えて変化球もいい。入学時から注目された大型左腕が、ついに聖地のマウンドに上がる。2番手左腕の山口も制球力が良く、左の二枚看板はなかなか攻略できない。投手陣は8試合で4失点。打線も安田、井町を中心に長打力があり、選球眼も良い。
B秀岳館…選抜4強、左腕の田浦ら力のある複数投手の継投で熊本県大会を勝ち上がった。春のエース格・堀江は野手に専念し、登板しなかった。層の厚さは相変わらずで、攻撃陣は本塁打こそないが、原田、松尾の1、2番がかき回し、投手の配球が単調になったところをとらえる。健大高崎バリの機動力もある。
C東邦…上記3強に肩を並べる存在。エースで4番、主将の藤嶋を中心としたバランスの良いチームで、左の松山も140キロ台の速球に加えて変化球が多彩。スタミナ、制球力も春から増した。課題の打撃も下位打線に当たりが出てきた。
D花咲徳栄…大会屈指の左腕高橋昂は、150キロ近い直球とフォークで投球回数を大きく上回る三振を奪った。激戦地埼玉で無失点と安定感もある。守備も無失策で打線は打率6割の楠本を中心につながりがある。頂点を狙える戦力がある。

●第二群9校
E智弁学園…選抜大会優勝の後、奈良大会は苦しんだ。先取点を挙げたのは5試合中1試合だけだが、エース村上は変わらずの大黒柱で、13失点しながらも粘った。4番福元は決勝で3ランホームランを放つなど、勝負強さが増した印象。
F作新学院…149キロ右腕の今井のほか、右腕入江、左腕宇賀神も好投手。チーム打率は4割を超え、投打のバランスがいい
G山梨学院…清峰(長崎)で選抜の優勝経験がある吉田監督の采配に注目、チームで5本塁打だが、振りがコンパクトで単打でつなぐ打線は、下位からでも好機をつくれる。
H前橋育英…春の関東大会を制した試合巧者。打撃センスが光る小川を中心に打線は盗塁やヒットエンドランなどを絡め、攻撃パターンも豊富だ。
I木更津総合…選抜8強、エース左腕早川が健在で、千葉大会は5回戦から4試合をすべて1点差勝ち。東海大市原望洋戦も1-0で完封した。甲子園でも早川にかかっている。
J広島新庄…スリークオーター左腕の堀は140キロ台後半を投げる好投手。昨夏は2回戦敗退で、この夏にかける思いは強い。
K京都翔英…打線が強力、高校通算42本塁打の4番石原を中心に先発9人中、6人が打率4割を超えている。勢いに乗れば怖い存在になる。
L星稜…春の北信越大会優勝、今夏はチームで9本塁打を放ち、石川大会の新記録をつくった。エースで4番の寺西は身長191センチで豪快なスイングが魅力。
M九州国際大付…福岡大会3連覇した打撃のチーム、7試合で61得点。1番中山、4番渡辺が怖い。昨夏のベンチ入りメンバーが6人いるのも強みだ。
●第三群12校
○創志学園…今春の選抜大会で注目を集めた高田投手は岡山大会準々決勝で自己最速の154キロをマーク、力強さを増している。
○近江…京山投手は183センチの大型右腕。26回を投げて無失点。腕のしなりが良く、高めの直球で空振りが取れる。
○高川学園…初出場。左腕山野は身長170センチほどながら、最速145キロと球威十分、47回で51三振を奪っている。
○八王子…準々決勝から3試合続けて左腕早乙女と右腕米原のリレーで初出場をつかんだ。
○いなべ総合…選抜大会で登板した投手陣に加えて水谷優や赤木が急成長して駒は豊富。
○常総学院…大黒柱の鈴木昭に続いて倉田が出てきたのが大きい。
○関東一…3季連続出場、守備がよく鍛えられている。特に森川、村瀬の二遊間の守りは鉄壁だ。
○樟南…鹿児島大会決勝で引き分け再試合を1点差で制した粘り強いチーム。守備も7試合で1失策と安定している。
○市尼崎…引き分け再試合をした5回戦から4戦続けて2点差以内の勝利で33年ぶりの出場をつかんだ。
○盛岡大付…チーム打率3割9分5厘のつながりのいい打線が魅力だ。
○八戸学院光星…準々決勝以降の3試合すべてで9得点以上という打撃のチーム。
○常葉菊川…1番栗原が高校通算48本塁打。中軸のスイングは迫力満点だ。
ここまで26チームです。
●少しでも勝ち進みたい12校
○北海…夏は全国最多となる37回目出場の常連校。昨夏の甲子園を経験した右腕大西が4番で主将とチームの柱だ。
○東北…22回目出場の伝統校、左腕渡辺の投球が鍵を握る。
○聖光学院…10年連続出場。毎年勝ち進むだけあって守備は鍛えられている。
○明徳義塾…7年連続出場。全体的に小粒な印象だが、馬淵監督は「競った試合に勝てるようになった」とチームの成長に期待している。思い出すのは1992年の第74回大会の星稜との1戦、「高校生の中にプロ選手が居る」、と馬淵監督は4番松井を5打席連続敬遠指示、7回の無死無走者の場面でも敬遠、この勝利至上主義については24年経った今でも議論が尽きない。
○鳴門…池田や徳島商も果たせなかった5連覇達成、一昨年の夏から甲子園で登板している左腕河野は速球を軸に丁寧な投球が持ち味だ。
○市和歌山…春夏連続出場、赤羽、栗栖の投手2人が成長した。打撃が振るえばおもしろい。
○日南学園…2季連続出場、160センチと小柄な左腕森山は制球力が生命線だ。
○鶴岡東…3番丸山、4番佐藤の長打力が魅力のチーム。山形大会では2人で5本塁打を放った。
○佐久長聖…小林と塩沢の両右腕が相手打線をどこまで抑えられるか。
○富山第一は地方大会を大差で勝ち上がった。長打力はないが、盗塁、犠打を絡めて得点する。
○大分…春の九州大会で秀岳館を破った。左が並ぶ上位打線に期待がかかる。
○嘉手納…初出場だが沖縄大会で興南や八重山商工の実力校に競り勝っただけに侮れない。
ここまで38チームです。
●その他11校
○尽誠学園…181センチの左腕渡辺が、香川大会で選抜準優勝の高松商を5安打に抑えて9年ぶりの代表をつかんだ。
○長崎商…29年ぶり出場。165センチのエース本田が5試合すべてを投げ抜いた。
○中京…14年ぶりに甲子園に戻ってきた岐阜の古豪。プロ野球元阪急の選手を父に持つ4番今井は、通算68本塁打。
○境…鳥取大会決勝で19点を挙げ最多記録を作った。勝部は3本塁打とパワーがある。
○松山聖陵…父がナイジェリア人の右腕アドゥワがいい。球速はそれほどでないが、196センチの長身から角度ある球を投げる。
○クラーク国際…駒大岩見沢で監督・部長として春夏計12回甲子園出場の佐々木監督のもと、創部3年目で初出場だ。
○出雲…県内有数の進学校で初出場。6試合で23犠打と手堅い。
○中越…機動力がある。準決勝では三重盗を含む7盗塁でかき回した。
○北陸…全5試合を2回までに先制して勝ち上がった。左の二枚看板で守りきりたい。
○大曲工…すべて2点差以内の接戦を制してきた。粘り強さがある。
○唐津商…エース谷口を中心にまとまっている。ロースコアに持ち込みたい。
以上49チームです。

■ 昨年は筆者予測と朝日新聞予想にはズレ発生
 事前予想通りになかなか行かないのが高校野球の面白いところ、朝日新聞記者達の事前予想の有力5校は1回戦は間違いなく勝ち抜くでしょう。第二群のチームの中では投手が良いチームが勝ち進むと思います。強打のチームは勝ち進むにつれ、相手投手がハイレベルになるので、苦しくなってきます。第三群のチームからも、乗ればBEST8に残るチームも出るかもしれません。昨年はちょっと筆者予測と朝日新聞予想にはズレがあったのですが、今年はまあまあ妥当です。それだけ好投手が多いのでしょう。昨年はBEST8に残ったのは第一群5校の中では組合せ抽選にもよりますが、筆頭東海大相模のみで、当選率2割、第二群10校の中では仙台育英と関東一の2校、当選率2割と散々でした。つまり予想上位17校の中でわずか3校しかBEST8に進めなかったということです。そもそも花咲徳栄を17校の中に入れない時点で予想が的を射ていないと感じました。第三群12校の中では早稲田実業、興南、九州国際大付、花咲徳栄の4校がBEST8で、当選率3割3分3厘、ここまでの27校のうち7校がBEST8、第三群までに入っていないチームでは秋田商が残りました。昨年は東日本勢が強かったのですが、今年はセンバツもそうだったように西日本勢がやや優勢という予想ですが、このところの傾向として、夏は東日本勢が力を発揮しています。今年もそうなるのでは?と予測します。

■ 今年の筆者予測
 「投手力」「攻撃力」「守備力」の3つがすべてAなのは横浜と履正社、花咲徳栄です。したがって優勝候補というならばこの3校です。今年も花咲徳栄は3強に入っていないというのは朝日新聞記者達の見る目が???ということ、♪曇りガラスを手で拭いて ♪あなた世間が見えますか・・・大川栄策というところです。野球は学童野球からプロ野球まで「投手力で70%決まる」と言われます。さらにバッテリーが強力なら80%決まるでしょう。攻撃力に比重を置くから見誤るのです。秀岳館は投手力と守備力がB、ちょっと評価が高過ぎ、センバツで花咲徳栄の高橋昂投手を打ったことが評価されているのでしょうが、昨年秋から今年春にかけて高橋昂は本来の調子ではありませんでした。秀岳館は攻撃力は抜群ですが、投手たちがどうみても夏の甲子園では並みの投手です。東邦は攻撃力と守備力がB、伝統的に打力が優れたチームですが、打撃は水物、左右二枚看板の投手力があるだけにこれが強みです。智弁学園は守備力がB、しかし夏は各校の打力が格段に上がるだけに、奈良大会の村上の調子では史上8校目の春夏連覇への道は険しいか?

■ イチロー3000本安打達成
 2001年、日本選手初の野手として大リーグにデビューしたイチローが、2016年8月7日、42歳の今季、日本選手初の大リーグ通算3千安打を達成しました。米国でも「偉業」とされる記録です。日米通算では4278安打目ですが、これは大リーグでは言っても詮無い記録です。「ずいぶん年をとったと思うが、チームメート、ファンの人たちが喜んでくれた。3千という数字よりも、僕が何かすることで、僕以外の人たちが喜んでくれることが、今の僕にとって、何よりも大事なことだと再認識した瞬間でした」と語りました。「野球を好きで続けられる理由は?」との質問には、「うまくいかないことが多いからじゃないですか。成功率が7割を超えなくてはいけない競技だったら、つらいと思う。打つことに関しては、3割で良しとされるんですから」と答えました。「次の目標は?」との質問には、「こういう状況が生まれるとしたら、4千(安打)しかない。そこまではなかなか、です。でも、200安打を5年やれば、なってしまいますから。3千安打というと、(引退後の)野球殿堂入りとつなげることが多いけど、僕にとっては、将来のいつの日か分からないことよりも、明日の試合に出たいことの方が大事なことですね」
 50歳まで現役続行したいというイチローですから、あと8年、あながち不可能とも言えないかも?イチローの42歳での大台到達は、リッキー・ヘンダーソンと並ぶ歴代2番目の高齢での記録です。しかし、プレー年数でいえば、わずか16シーズン。ピート・ローズと並ぶ史上最速ペースです。首位打者2回、大リーグ記録となる年間最多262安打、前人未到の10年連続の年間200安打。記録と記憶とともに、ファンの間で永久に語り継がれていく存在になったのは間違いありません。

■ 天皇陛下・生前退位のご意向
 天皇陛下が「象徴としてのお務め」についてのお気持ちを示したビデオメッセージが公表されました。社会の高齢化が進むなか、ご自身も82歳になられたことを踏まえ、自らが元気なうちに皇太子さまに天皇の位を譲る願いが貫かれたメッセージでした。その骨子は下記の通りです。
 ○80を越え、身体の衰えを考慮すると、象徴の務めを果たすことが難しくなることを案じている
 ○国事行為や象徴としての行為を縮小することには無理がある
 ○摂政を置くのも、務めを果たせぬまま、天皇であり続けることに変わりない
 ○健康を損ない、深刻な状態になると、社会が停滞し、国民の暮らしに影響が及ぶ懸念がある
 ○終焉(しゅうえん)に当たっては喪儀と即位の儀式が同時に進行し、行事に関わる人や家族が厳しい状況になる
 ○国民の理解を切に願っている
 天皇陛下のお気持ちが示された以上、真摯に応えなければならないでしょう。

■ 三日三晩の土用干し
 今年は梅雨明けしても例年のようなカラッとした夏空が無く、8月4日になってやっと晴れて暑くなりました。しかし川越南高校で野球の練習試合中に落雷があって、ファーストを守っていた県立和光高校の1年生選手が心肺停止で救急搬送されました。晴れていたのに突然の落雷、普通ゴロゴロ言えば試合は中止します。雨も降っていないのに落雷することがあるのだそうです。これは防ぐのは難しいですね。どうすべきなんだろう?
 梅干を干しました。三日三晩の土用干しと言いますが、今年は土用の丑の日でもまだカラッと晴れません。やっと8月5日から干し始めました。下の写真をご覧ください。15年前と比べてずいぶん量が増えました。自家消費だけだとこんなに要りませんが・・・・


2016年8月

2001年8月

(2016年8月10日)


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