139  紅葉狩り

 母がついに亡くなり、これで海外旅行にも行けるようになりました。これまでは夫婦で頻繁に仙台通いでした。今回は葬儀のついでに美味しいものを食べ、温泉巡り、というパターンでした。お蔭様でした。温泉と言えば、10月下旬の仙台の銀杏(イチョウ)も欅(ケヤキ)もまだ色付き浅く、作並温泉もイマイチでした。ところが岩手県雫石町の鶯宿温泉は惚れ惚れするような見事な紅葉でした。

■ 日本ならではの紅葉狩り
 11月は紅葉狩りの季節です。春に上野の不忍池で日本人より外国人のほうが「花見」してるのにビックリしましたが、近年は日本の美しい紅葉を楽しむために海外から訪れる外国人も多いようです。特にこの時期の京都は外国人だらけで泊る宿もありません。「紅葉をめでる」というのは日本独特の文化であるというのは、外国に行って初めてわかるそうです。そもそも「紅葉狩り」などという概念そのものが日本の文化なのです。
 もちろん、ニューヨークでもパリでもロンドンでも、秋になると葉っぱの色は変わります。やがて落ち葉となり、路上を歩くとカサコソと音を立てます。日本の紅葉は、山野では自然そのものですが、京都や他の街の庭園では「観るために作られた」ものです。銀杏はどこでも黄色いし、もみじは黄色から最後は真っ赤になります。観光客が京都の寺院で「紅葉をめでる」というのと、嵐山に行ってきれいな赤や黄の葉を探して楽しむのは根本が違います。後者を「紅葉狩り」と言います。木々の中に赤や黄を探している(狩る)わけです。

京都のお寺の紅葉は、もみじ中心に造園されています

■ 紅葉=信号機
 紅葉は英語では「autumn foliage(秋の葉)」、「autumn leaves(秋の葉)」、「autumn colours(秋の色づき)」などと言いますが、日本のように「花見」と同様の「紅葉」という楽しむイベントの概念はありません。そのワケは後述します。「秋」は英語で「autumn」と「fall」の二つの呼び方があります。違いはイギリス英語かアメリカ英語かということです。イギリスでは「autumn」、アメリカでは「fall」が使われますが、紅葉の場合は「fall」は使いません。「fall」だと、落ち葉になってしまいます。
 京都の紅葉が作られた紅葉だというのは、その植えられている樹木の種類が、紅葉すると鮮やかな赤や黄色になる種類のものを選んでいることから、観てもらうために植えられていると分かります。日本では桜もハナミズキも銀杏も欅も柳も、街路樹は皆計画的に植えられています。これは、街ではどこも同じです。右は盛岡市中央公民館の紅葉ですが、盛岡は寒いので色付きが良いのです。紅葉を楽しんでもらうように庭園に計画的に植えられた木々は、紅葉しない松やヒマラヤスギなどの緑と上手く配置して、赤、黄、緑が楽しめます。そう、信号機と同じです(^-^)
盛岡市中央公民館の紅葉

同左

■ モミジはカエデの一種で日本独特
 葉が赤くなるのは葉の中の緑色のクロロフィルが分解して赤いアントシアンが生成されるためです。黄色の方は緑のクロロフィルが分解して黄色のカロチノイドが残るから黄色くなります。紅葉も黄葉もどちらもコウヨウです。
 植物としての「紅葉(モミジ)」は、Japanese mapleと言います。Japaneseというくらいですから、日本の「紅葉」を見て外国人は、もみじ=紅葉と納得するのだそうです。「紅葉(モミジ)」と言うのは広い意味の紅葉(コウヨウ)の中でひときわ紅色の目立つ(黄葉ではなく)狭い意味の紅葉を指します。
 植物分類上ではモミジもカエデも「カエデ」と言い、どちらもカエデ科のカエデ属の植物です。モミジという科や属はありません。 カエデは世界に幅広く散らばっています。カナダの国旗に描かれているのがカエデで、樹木を愛するカナダ人はとりわけカエデが好きなのでしょう。カナダ産のカエデの樹液から取ったものに「メープルシロップ」があります。更に狭い意味でのいわゆる「モミジ」はカエデの中でも葉の切れこみの深いもの、葉の大きさも赤ちゃんの手のようなイロハモミジの仲間が、葉が大変美しく、日本では好んで鑑賞されたところから人の手を広げた形の葉を代表して「モミジ」と呼ばれるようになったそうです。モミジとして親しまれているカエデは中国や朝鮮半島に数種の自生があるのみで、それ以外は日本列島にあり、我が国はカエデ科植物の宝庫と言ってもよいのです。モミジと呼ばれるカエデは日本の秋をまさに代表する植物と言えます。

■ もみじ饅頭
 このようにモミジをめでることが日本人の癒しになっており、新緑のモミジも良いですが、とりわけこの時節の紅葉を見ると、「ああ、日本人に生まれて良かったなぁ」としみじみ思うわけです。
 広島県の県木も県花もモミジです。広島県を代表する土産菓子と言えば「もみじ饅頭」です。食べたことのない日本人は居ないでしょう。紅葉を形取って作られた木枠型で製造されると思います。明治後期の厳島(宮島)の名所・紅葉谷の旅館「岩惣」にはその頃、皇太子である嘉仁親王(後の大正天皇)や大韓帝国皇太子(のちの純宗)・伊藤博文・夏目漱石ら要人が多く投宿していました。この岩惣に和菓子を納入していた和菓子職人高津常助が、宿の女将・栄子から「大切なお客様への手土産に、紅葉谷の名にふさわしい菓子が作れないか」と依頼され、試行錯誤の結果1906年(明治39年)に「紅葉形焼饅頭」を完成させたのがルーツだそうです。4年後の1910年(明治43年)7月18日には商標登録しており、この商標登録証は子孫の元に残っているそうですが、今は期限切れで自由に製造できます。 もみじまんじゅう
もみじ饅頭
 俗説で、明治時代に伊藤博文が宮島を訪れたとき、茶屋の娘の可愛い手を見て「なんと可愛いもみじのような手であろう、焼いて食べたらさぞおいしかろう」と言ったことが、もみじまんじゅうの始まりと宮島観光協会などは言っています。

■ 寒いところほど紅葉がきれい
 山の紅葉は北へ行くほど、また高い山に行くほどきれいに見えます。昼夜の温度差が大きいからでしょう。紅葉のアントシアンも黄葉のカロチノイドも、老化した葉を寒さから守るためです。しかし暖かい地方では紅葉する前に褐葉することが多く、これはタンニンによるものです。右写真をご覧下さい。母の葬儀を終えて投宿した長栄館の窓からきれいな紅葉が見えました。翌朝、車で奥羽山脈方面に登ると山々の赤と黄と緑はいっそうきれいでした。これらは観光客用に植えたものではなく、自生したものです。
雫石町鶯宿温泉長栄館の窓から2015年10月

雫石町葛根田の紅葉
 右岩手県雫石町の葛根田(カッコンダ)から網張温泉方面は、標高が高いだけに、息を呑むような美しさです。この地域は10月下旬が一番のお勧めです。

■ 伊香保はあまりきれいではなく...
 温泉オタクの筆者は伊香保温泉の紅葉が見頃になってきたという情報を見て、2015年11月6日(金)伊香保温泉に行きました。一応「源泉掛け流し」のキャッチフレーズのところです。前にも書きましたが伊香保温泉は黄金色の湯です。もう一つの源泉は色がついていません。黄金(コガネ)に対して白銀(シロガネ)の湯などと言うこともありますが、温泉であることは確かのようですが、成分的には黄金色の湯に比べて全く温泉らしくありません。
 ところで榛名山中腹にもかかわらず、岩手県雫石町の紅葉に比べると、全然きれいでなく、ガッカリ...

■ かわごえ産業フェスタ
 毎年11月初めに川越運動公園で「かわごえ産業フェスタ」が開かれます。このイベントは、埼玉県川越市の地元産業団体が一堂に集い、各出展者による展示・販売を行うイベントで、四半世紀以上にわたって行われてきました。
日時 2015年11月7日(土)〜8日(日) 9時〜16時
会場 川越運動公園(川越市下老袋388−1)
交通 当日は臨時無料バスも運行
    東武バスの路線バス(有料)もあります
主催 かわごえ産業フェスタ実行委員会
詳しくはかわごえ産業フェスタ実行委員会のツイッターをご覧下さい
 初日のみ、無料の苗木配布(川越市・川越市自治会連合会より提供)があり、大行列でした。第一日目は好天のもと、盛況でした。駐車場は広いのですがず〜〜〜っと満車状態が続きました。川越市の友好都市(というより田舎の町ですが福島県棚倉町・福井県小浜市・北海道中札内村)も出店して、各地の名産品や野菜、果物、その他の食料品、珍しい食べ物もたくさん出品されていました。三陸復興応援で川越市が職員を応援に派遣している岩手県大槌町は、今年初めて出店です。テントでは焼きホタテが絶讃発売!三陸の海の恵みをお客さんたちがハフハフ言いながら食べていました。他のブースでは名産の塩を使ったラーメンコーナーも好評でした。
 ミニ電車の乗車やバッテリーカーの運転、UVレジンアクセサリー作成などのモノづくり体験など、親子で楽しめるイベントも数多く実施されていました。「川のまるごと再生プロジェクト」のテントでは鮎の塩焼きを無料プレゼント、数量限定で大行列。その向かいではうどんが¥200、居酒屋の「大」も出店、焼ソバ¥250、弓削田醤油は本社が坂戸市ですが川越・時の鐘店があるので出店していました。丸こんにゃくの煮っ転がし¥200を頂きました。
 少年野球のグラウンドに顔を出してから川越運動公園に向かいました。伊佐沼や芳野台工業団地の近くです。何故このイベントに行くか?と言いますと、ブース番号49にいわて銀河プラザが出展しているからです。観光大使として応援しなければならないからです。
 会場内で神山佐市衆議院議員(自民党)と会いました。少年野球でお世話になっているのでヤアヤアと挨拶しました。
 屋外ステージでは、ケーブルTV番組「ちょっ蔵お出かけ!まちかど情報局」で大活躍の川越出身の落語家「八っちゃん」こと古今亭志ん八さんと、川越大好きアナ「みかねぇ」こと松並美佳さんが初登場して、なにやらトークしていました。こうしたイベントによくある演歌等は全くなく、対象は若者オンリーの感じ、その傍らで葬儀屋さんの団体が終活をアピールしていたのは笑っちゃいました。米『彩のかがやき』5kg¥1,000を買うと鉢物の花プレゼントなので買っちゃいました。

■ 埼玉だって紅葉してます
 第二日目はあいにくの雨のため、屋外ステージは、体育館内のメインアリーナに場所を移動して実施することになりました。11時からシンガーソングライター・ミカジョーさんのライブです。
フリーマーケット会場は陸上競技場建物沿いに移動して一部開催です。屋内では東京国際大学のブースで、ちびっ子たちが頑張ってナノブロック作りに取り組んでいました。
 右写真は第一日目の会場内から入口ゲート(右テントの奥)方向を撮ったものです。埼玉でも結構きれいに紅葉している具合がわかります。そういう種類の樹木を植えてるわけです。

■ 島田橋
 2015年11月3日(火・文化の日)に、第41回埼玉県西部地区少年野球秋季選抜大会の開会式と1回戦およびシードチーム以外の初戦2回戦がありました。各地域から選抜された強豪チームだけが集まって行われる大会です。6年生にとっては少年野球生活のほぼ最後の大きな大会です。会場の坂戸市民総合運動公園の北側に、坂戸市島田と東松山市宮鼻をつなぐ島田橋(木橋)があり、この橋のことを、95『福岡河岸記念館』(2014年12月28日)で書きました。国道407号線の高坂橋から下流へ600mの地点にあります。そこで地元の坂戸市のチームの人に「島田橋は新しくなりましたか?」と聞いたら、「ああ、その橋はこの前の大雨でまた流されたよ」とのこと。「それは大変だねぇ」と話しましたが、後でネットで調べたらトンデモナイ、きちんと竣工してます。あの話はナンだったのでしょう? 平成27年5月28日(木曜日)午後2時から島田橋で開通式典を行い、供用開始→坂戸市のホームページ
渡り初め(坂戸市のホームページから)

■ 非正社員、初の4割 雇用側「賃金の節約」
 厚生労働省が2015年11月4日発表した2014年の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」で、パートや派遣などの非正社員が労働者に占める割合が初めて4割に達したことが分かりました。高齢世代が定年を迎えて正社員が減るなか、人件費を抑えたい企業が非正社員で労働力を補っている実態が浮き彫りになりました。非正社員の割合は40.0%。民間のみの調査だった前回は38.7%。非正社員の約6割をパートタイマーが占め、次いで契約社員や定年後再雇用などの嘱託社員です。30〜54歳で非正社員の比率が前回を上回りました。1990年代後半からの不況で多くの若者が就職難になった「ロストジェネレーション」の世代などが、今も非正社員のままでいる実態が示されています。15〜29歳は、いずれも非正社員の比率が前回調査を下回りました。世代間の運不運がある、というのは可哀そうです。企業が非正社員を雇うのは「賃金の節約」という回答が38.8%でした。また、労働者が非正社員を選んだ理由は、育児や介護などとの両立をあげた合計が33.4%と前回から8.9ポイントも上がり、育児などと正社員としての仕事の両立が難しい実態も示されました。女性活躍とか言っていますが、現政権の政策は言っていることと実体が真逆であることをデータが示しています。派遣の法改訂にしても、専門スキルを持った派遣社員ほど不利という、あってはならない結果になっていて、専ら経営側に有利な法律の改定になっています。

■ なぜ畳の縁(ヘリ)を踏んではいけないの?
 前回、岩手県雫石町の永昌寺のお坊さんが、「畳の縁を踏んではいけない」と話されたことを書きました。最近の時代劇では平気で畳の縁を踏むシーンを目にするけれど、NHK朝ドラの「アサが来た」を見ていると、きちんと畳の縁を踏まないようにしているので気を付けてみてくださいと言われてたことを紹介しました。同じ朝ドラ「マッサン」で泉ピン子扮する竹鶴酒造のおかみさん(姑)が、小姑のマッサンの姉(西田尚美)に嫁のエリーを指導するように言いつけて、エリーに「敷居を踏んではいけません」とか、「畳の縁を踏んではいけません」という話をして、エリーが「ドシテ?」と眼を丸くしていたシーンが思い出された、と書きました。
 日本の家であれば、これまでは、部屋の一角に和室を設けている家が多いと思われます。和室では、ほぼ例外なく畳が敷かれています。畳はマットのようなものであり、その独特の香りや質感から日本で古くから重宝されています。そのためか、日本では今でも部屋の大きさを測るときは「畳に換算してどれくらいの大きさか」で記します。例えば、畳が8つ入る部屋であれば、「8畳の部屋」と表現します。それでは、なぜ縁を踏んではいけないのでしょうか。これには、きちんとした理由があります。
 畳には、どれも「畳み目」といわれる縦縞の模様があります。この畳み目は、一つ分が約1.5cmで編むのです。また、畳の縁は布で縛って止めてあります。この布の模様を良くご覧下さい。家紋を入れることがあります。その家を表す模様が描かれていることから、ここを踏むことはご先祖様に対してとても失礼なことをすることになります。我が家の畳の縁の模様は菊の御紋です。天皇家ですよ!さらに、縁に使われている絵柄などによって、座る人の位(クライ)が決められていることもあります。このように考えると、畳の縁は家や人を表す「顔」であると言えます。そのため、畳の縁を踏まないように言われているのです。

■ ハロウィーン
 10月31日(土)夫婦で都内に出かけました。目的のひとつは九段下のホテルグランドパレスで行われた「東京盛岡ふるさと会総会」に出席するためです。この日は在京雫石町友会のふるさと旅行ですが、雫石から帰って来たばかりだし、浅田次郎さんのお話を聞くことができるためでした。170人の出席者で盛況でした。浅田次郎さんのお話は後で紹介します。
 その後、東銀座の歌舞伎座向かいの南海ビル1F「いわて銀河プラザ」で買い物、11月末まで政府のお金で「ふるさと割30%off」、こんな機会は二度とないので、皆様お出掛け下さい。詳しくは在京盛岡広域産業人会のホームページをご覧下さい。
 それから渋谷に回りました。ハロウィーンの仮装を見るためです。仮装した若者や親子連れで溢れていました。日本にはまだ若者がいっぱい居ると思いたい人は渋谷、原宿、六本木にお出ましあれ、という感じですナ。ガイジンもいましたよ。「ニッポン人はヘンだねぇ〜」という目つきで見ていました。
 渋谷から、東京メトロ副都心線で帰って来ました。横浜・元町中華街から直通の電車で川越行き急行、座って東武東上線上福岡駅まで帰ってきました。横浜高速鉄道みなとみらい線〜東急東横線〜東京メトロ〜東武東上線の相互乗り入れで、乗り換え無しで繋がったためです。いま川越の街も観光客がスゴイですよ。若者のカップルから和服姿の女性、お年寄り夫婦まで多様な年代の人たちがゾロゾロ歩いています。菓子屋横丁とか、蔵造りのまちですから、電線を地中化して、小江戸かわごえというキャッチに似合う、昔の江戸の情緒を探しに来るのです。岩手から43年前に出てきて川越市民となり、37年前に南隣りに引っ越したのですが、前から馴染みの川越が、年々観光客が増えてくるのは奇異な感じですが嬉しいことです。
 そういえば、上の「かわごえ産業フェスタ」に横浜市ブースがありました。川越市民に横浜に来て欲しいという意味ですね。中華街に行ってくるか〜!

渋谷のスクランブル交差点方向をのぞむと仮装した人がビッシリ
 
地下鉄入口のところでカメラを向けたらポーズ・・・怖い!
(2015年11月9日)


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