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前週末は仙台に母を見舞った後、岩手県へ、在京盛岡広域産業人会の会員ツアー、今回で7回目、我々夫婦は皆勤賞です。というのも、谷藤裕明盛岡市長がわざわざ会社へやってきて、「在京盛岡広域産業人会を立ち上げたい、ついては発起人代表をお願いしたい」と言われ、初代会長に選ばれた経緯もあってのことです。これについては次回紹介しましょう。 ■ ドイツ国民を失望させたフォルクスワーゲン 自動車大手フォルクスワーゲン(VW)がディーゼル車に排ガス規制を逃れるソフトウェアを載せていた不正問題で、欧州最大の経済大国ドイツが揺れています。そもそもフォルクスワーゲンの言葉通り、民族車としてヒトラーの命令で1937年に設立された会社です。米国で、どうも排ガスが言われているほどクリーンでないとの疑問から調べて発覚しました。米国だけでなく欧州でも排ガス基準を満たさないディーゼル車を販売し続けていたようです。VWグループのアウディやシュコダ車にもこの不正ソフトが搭載されていました。ドイツ国民は筆者の見るところ、世界で一番モラルの高い国民です。電車に乗る駅の無人改札口に、ポール状の切符にスタンプする装置があります。日本のように、開閉する扉はありません。入口がこれですから、出口も同じです。いくらでも無賃乗車できますが、柱の陰からしばらく見ていましたが、ひとりとして切符をズルする人は居ませんでした。心底ビックリしたものです。パリの改札口は日本同様開閉扉がついていて、しかも柱は日本のように低くなく、人の身長程度ありますが、それをヒラリと飛び越える牛若丸のような軽業の人が居て、これにもビックリしました。イタリアはフランスより更にモラルが低いと言われています。ドイツ人はスゴイ!そのドイツの基幹産業で起きた不祥事で、高品質・高性能で知られる「メイド・イン・ジャーマニー」の看板を傷つけたわけですから、ドイツ国内で失望の声が広がるのは当然です。 ■ 売上至上主義がもたらす不正 ドイツでは2015年9月、「フランクフルト国際モーターショー」が開催され、VWなどドイツの各メーカーが競うように先進技術を展示し、自動車大国ぶりをアピールしました。9月17日にはメルケル首相も会場に足を運び、VW最高経営責任者だったウインターコーン氏と記念写真に納まったばかりでした。
■ 他のメーカーにも疑惑の目が・・・ 日本でのVWの不正ソフト搭載車販売は無いとされていますが、個人輸入で数百台入って来ているようです。他の欧州メーカーも、疑惑の目で見られることに神経質になっています。同じドイツのBMWは、ディーゼル車専門誌「アウトビルト」電子版が、「BMWのディーゼル車の排ガスからも欧州基準を上回る規制物質が検出された」と報じたのを受け、都内での新車発表会で「BMWは世界のどの地においても排出規制を守っている」と強調しました。同誌はその後、「BMWが不正な操作をしていた証拠はない」と改めて報じました。 メルセデス・ベンツ日本は人気の高いCクラスに初めてディーゼルエンジン車を導入し、年内に国内ディーゼル車の販売比率で倍増を目指すそうです。国内販売モデルは26車種中、ディーゼルが10車種になるとのこと。今回のVWの不正問題が良い影響を与えることは無いとしながらも、「ベンツはあらゆる法的要求事項に適合し、順守している」としています。 ソフトウェアはドイツの自動車部品メーカー・ボッシュが提供したそうですが、ボッシュは2007年、有害物質の排出量を抑えるソフトウェアは開発時の使用に限定され、販売車両には搭載できないことをVWに伝えていたそうです。 ■ クリーンディーゼルエンジンの三つの基幹技術 ディーゼルエンジンについてはつぶやき195『Diesel engine』(2006年10月9日)で触れました。その前にはESSAY33『日本の常識』(2003年8月25日)でも取り上げました。ディーゼルエンジンについての関心が高かったのです。 VWが不正に手を染めることになったNOx(窒素酸化物)は、光化学スモッグを引き起こします。ディーゼルエンジンの排ガス技術開発は、主にNOxとの闘いであったといっても過言でありません。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも高圧縮状態で、軽油と空気の混合気を自然着火させて燃やします。燃焼室は高温、高圧になるため軽油と空気が十分に混ざる前に着火しやすく、これがNOxやススなどのPM(粒子状物資)を増やすこととなります。 「クリーンディーゼル」と呼ばれる最先端の排ガス規制をクリアするディーゼルエンジンでは、NOxの低減には触媒、あるいは排ガスと尿素水を反応させるなどの後処理を施します。尿素水方式は大型トラック用で実用化されていますし、トヨタ自動車も今年開発した2.5リットルと2.8リットルのSUVやピックアップトラック用の新世代ディーゼルエンジンに採用しました。 クリーンディーゼルエンジンには、三つの基幹技術があります。代表格が「コモンレールシステム」で、高圧にした燃料をレール(蓄圧室)内に蓄え、電子制御ユニット(ECU)でタイミング良くインジェクターから各気筒に適切に噴射させます。ディーゼルエンジンを劇的に進化させた技術で、デンソーが世界で初めて実用化しましたが、需要が多いのは欧州なので、生産量が多いのはドイツのボッシュです。 二つ目がターボチャージャー(過給器)や排気ガス再循環装置(EGR)などの吸排気系システムです。EGRは東京ラヂエーター製造やティラドが手がけ、ターボチャージャーはIHIや三菱重工業などが世界4強に入っています。IHIはVW向けが最も多いとされます。 三つ目が粒子状物質除去装置(DPF)や尿素SCR(選択還元触媒)など排出ガス後処理システムユニットです。DPFでは日本ガイシ、イビデンが高シェアを握っています。 これでお分かりでしょう。三つの基幹技術に共通するのは日系サプライヤーが大きく貢献し、参入障壁が高い難易度の高い技術ということです。今回の不正問題でディーゼル車の先進国での需要見通しは不透明になりました。またアイシン精機のようにVWをお得意様にする日本企業も数多くあります。フォルクスワーゲン問題は日本にとっても大変な問題なのです。 ■ 「ピンチはチャンス」、マツダには絶好の機会か 日本ではマツダのSKYACTIV技術によるディーゼルエンジン車が評価を得てその復活が進んでいるだけに、VWの不正の影響が懸念されます。マツダのSKYACTIV-Dと呼んでいるディーゼルエンジンには、そもそもNOxの後処理装置がありません。ディーゼルエンジンでは常識外れともいえる低圧縮比にしたエンジンでの燃焼により、NOxなどの抑制につなげているのです。このような低圧縮比では、寒冷時や始動時などエンジンが温まっていない状態では混合気が着火できなくなるだけに、低圧縮比は、まさに常識外でした。しかし一方で、低圧縮比だと排ガスが飛躍的にクリーンになることも分かっていました。マツダは、吸気バルブを開けるタイミングを遅くし、1度閉じた排気バルブを吸気中に再び少し開けるといったバルブの独自制御などにより、難題だった低圧縮比での燃焼技術を確立したのです。 低圧縮化によってエンジンは比較的コンパクトにでき、排ガス関連システムの簡素化によってコストの縮減や軽量化も実現できました。マツダの国内販売は、2014年に1.5リットルも加わったSKYACTIV-Dシリーズ搭載車が高い評価を得て快走しています。2015年上期(1〜6月)は国内市場全体が前年同期比11%減と低迷するなか、マツダ車は15%増の13万9100台と大きく業績を伸ばしています。このうち5車種を販売しているディーゼルエンジン車が前年実績の約3倍に相当する6万2000台と、伸びをけん引しているのです。 国内総市場の乗用車に占めるディーゼルエンジン車比率は3%程度にとどまっていますが、2000年代のほぼゼロ状態からSKYACTIV-Dの投入を契機に復活が進んでいます。ディーゼルエンジン車の力強い走りや燃費および排ガス性能が再評価され始めた矢先のVWショック、しかし、「ピンチはチャンス」ということもあります。良くも悪しくもディーゼルへの注目が高まるので、マツダの革新的なディーゼルエンジン技術への認知が広まる絶好の機会ともなりそうです。販売店を含むマツダ陣営にはSKYACTIV-Dの特質をしっかりとユーザーに訴え、引き続きディーゼルエンジン復活の先導役を担ってもらいたいものです。 ■ 未来の子供たちに、きれいな青空を残したい 実はマツダはアメリカでディーゼルエンジン車の発売を予定していて昨年取り止めました。米国の規制が厳し過ぎたからです。そもそも米国の規制が厳しいのは、米国が環境問題に厳しいからではありません。ディーゼル車を売れないようにして、米国のガソリンエンジン車メーカーを守りたいからなのです。したがって販売を取り止めたマツダの決断は、「勇気ある撤退」と言えるでしょう。VWとの差が明白です。 実は米国は自動車産業を保護する目的で、排ガス規制を厳しくしていました。米国メーカーも音を上げるほど厳しかったのです。米国社会は合理的ですから、皆が出来なければ「じゃあ、しょうがないね」と規制を緩める国です。どうせどこも出来ないだろうと考えていた厳しい規制値をクリアしたのはなんと、Hondaでした。かつて環境問題が深刻化した1960年代、Hondaは「未来の子供たちに、きれいな青空を残したい」というスローガンを掲げ、低排出ガス車の研究をスタートし、1972年には、当時達成不可能と言われた米国マスキー法を世界で初めてクリアする低公害CVCCエンジンを搭載したシビックを発表しました。これが、世界にHondaの名前を浸透させ、ホンダは世界に勇躍するメーカーになっていったのです。 ■ 世界で認められる日本メーカーの技術 日本市場におけるクリーンディーゼルの先駆けはメルセデス・ベンツでした。2006年に導入された「E 320 CDI」です。メルセデス・ベンツはその後、画期的な「BlueTEC」を採用し、NOxとPMを大幅に削減しながら優れた燃費数値と高いエンジンパワーを両立させました。マツダはクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」で販売台数を伸ばし、三菱自動車工業、トヨタ自動車がその後を追っています。本田技研工業も日本市場では販売していませんが、「i-DTEC」として欧州で販売している「シビック・ツアラー」が約35.4km/L(25日間で1万3498kmを走破)の平均燃費値でギネス新記録を達成するなど、日本の自動車メーカーが持つ技術力は世界中で認められています。 ■ 究極はEVかFCV クリーンディーゼルも所詮は化石燃料車です。排気ガスを出さないとすれば、電気自動車(EV)か燃料電池車(FCV)です。このどちらもインフラの整備が課題です。米国で人気のあるテスラ社などの電気自動車はバッテリー性能が課題で、走行距離も長くありません。充電時間もかかります。ただ電気スタンドは増えています。燃料電池車は水の電気分解の逆現象で、水素と空気中の酸素が反応して水が出来る時に電気も発生することを利用して、その電気でモーターを回します。水素を燃料にする燃料電池車は、トヨタ自動車が2014年12月に「MIRAI(ミライ)」を発売しました。ホンダは10月下旬開幕の東京モーターショー(東京ビッグサイト)で、2016年3月をめどに発売する燃料電池車の市販予定車を公開します。ホンダの燃料電池車は5人乗りで、走行距離は700kmを超える見通しです。4人乗りで走行距離が約650kmのミライを上回る設定とし、使い勝手の良さをアピールします。流線型でカッコイイ車体です。 電気モーターは燃焼エンジンよりずっと力が強いのは皆様ご存知でしょう。したがって究極のFCVのコスト低減とインフラが整備されるまでの過渡期を担うのがクリーンディーゼルエンジン車とハイブリッド車です。ハイブリッド車は日本とアメリカで人気が高く、トヨタが世界一になれたのはプリウスのお蔭です。実は電気自動車(EV)も燃料電池車(FCV)も日本が最先端を走っています。したがって燃料電池自動車に対する開発の技術提携の動きも盛んで、2011年9月にルノー・日産自動車アライアンスとダイムラーが共同開発に合意、2013年1月にトヨタとBMWが提携、同月にルノー・日産アライアンスとダイムラーの提携にフォードが加入して拡大し、7月にホンダとゼネラルモーターズ(GM)が提携しています。世界中のメーカーが、日本メーカーと提携したいのは、その進んだ技術が欲しいからです。 水素スタンドが問題ですが、実は電気スタンドと違って水素は爆発性の厄介なガスで、作るのが難しいとされてきました。しかし電気と違って貯蔵し易いというメリットもあります。強力な味方は太陽光や風力といった再生可能エネルギーです。これらで発電した電気を貯めるのは大変ですが、水を電気分解して水素を取り出し、酸素は大気に排出しますが、それを貯めて燃料電池車に充填して走れば、空気中の酸素を消費して水が出来る、究極のリサイクルで二酸化炭素も出さない、NOxも出さない、というクルマになるわけです。 ■ 福山雅治・吹石一恵結婚 歌手で俳優の福山雅治さんと女優の吹石一恵さんの結婚のニュースは、海外でも衝撃的に報じられました。アジアで人気の福山雅治さん、スキャンダルひとつ無い清楚なイメージの吹石一恵さん、良いカップルだと思います。菅義偉官房長官はフジテレビの番組で、「この結婚を機に、ママさんたちがいっしょに子供を産みたいという形で国家に貢献してくれればいいなと思っている」と述べました。菅氏はその後の記者会見で「結婚は出産が前提だと取られかねない」との質問を受けて、「国民から大変人気の高いカップルで、世の中が明るくなり、幸せな気分になってくれればいいなと思った中での発言だ」と釈明しました。また、「結婚や出産が個人の自由であることは当然だ。子供を産みやすく、育てやすい社会をつくるのが政府の役割だ。安倍首相も不妊治療に積極的だ」と述べ、政権として女性活躍推進に取り組む姿勢を強調しました。そう言えば安倍首相は子どもが居ないのですネ。 ■ 茗荷(ミョウガ)
■ 西武・西口引退 今季限りでの現役引退を表明していた西武・西口文也投手(43)が、2015年9月28日、ロッテ戦(西武プリンスドーム)で登板、21年間のプロ野球人生にピリオドを打ちました。試合後の引退セレモニーでは「ノーヒットノーラン未遂2回、パーフェクト未遂1回、そして、今日のフォアボール。ファンの皆様の期待を裏切ったことも多かったと思います」と、ユニークなスピーチでスタンドをわかせました。通算182勝、名球会入りは逃しましたが、ライオンズ一筋、ライオンズファンとしては感謝、感謝です。かつて妻子と西武球場に行ったとき、ブルペンでピッチング練習している西口の頭上から「タイプじゃない」と言ってにらまれた我が妻、思い出です。息子は清原のサインを貰ってゴキゲンでした。 ■ いわて春みどり
■ キャベツまんじゅう
かつて岩手町はキャベツ出荷日本一のまちでした。戦時中、岩手県はキャベツ出荷量が日本一だったことがありましたが、1960年代に害虫が大発生し、さらに大消費地の東京に近い群馬・千葉・茨城・神奈川・長野がキャベツ産地として成長したことで、岩手のキャベツ生産は一時衰退しました。しかし、あの岩手の甘いキャベツをもう一度食べたいとの声に応えて、1980年代から農家の中で再びキャベツ生産熱が高まり、全国的な評価が復活してきました。いま岩手町はキャベツ出荷東北一まで復活してきました。出荷額年間1億円以上の農家が出てきて、中には3億円を越える農家もあります。もし「いわて春みどり」を食べたことが無い方は、ネットで検索して食べて見て下さい。キャベツに対する考え方が変ります。嬬恋キャベツと「いわて春みどり」をウサギに同時に与えてみれば、ウサギの評価が分かりますヨ。 (2015年9月30日) |