111  火山

 筆者はオタクです。温泉というのは、地球のマグマのお蔭で成り立っています。我々は火の玉あんこの薄皮饅頭の上で暮らしているようなもので、そういう意味では、日本という国自体が自然災害の宝庫みたいなものです。日本のように火山があちこちで火を噴いているような国は世界的には珍しいのです。我々は奇跡的に生きていると思わなければなりません。そして温泉がこんなにたくさんある国も他にありません。それならせめて生きているうちはを楽しもうではありませんか。

■ 四万温泉に行ってきました
 温泉オタクである筆者は、いろいろな温泉を巡っています。群馬県では伊香保、四万、草津が定番です。他にも水上、猿ヶ京、万座、老神、磯部など、たくさんの名湯があります。
 4月第2週に四万温泉に行って来ました。四万温泉の泉質は源泉により多少成分量は異なりますが、ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉です。透明な、肌にやさしい湯で、飲めます。無料の浴場が3ヶ所、有料の施設が2ヶ所あります。川上から日向見、ゆずりは、新湯(アラユ)、山口、温泉口という5地区があります。ぐるっと巡ると7kmぐらいあります。四万ダムがあり、摩耶の滝や小泉の滝があります。日本の典型的な山あいの、川沿いの、谷あいにある温泉です。青春時代は毎年テニス合宿で行ってました。汗を流した後、豊富な掛け流しの温泉に浸かり、ビールを飲む、最高でした。
  

■ 伊香保温泉と草津温泉
 榛名山の中腹にある伊香保温泉は2種の源泉があり、黄色い黄金(コガネ)の湯(硫酸塩泉)が伊香保元来の温泉ですが、宿が増えて湯量が足りなくなったために開発されたのが白銀(シロガネ)の湯(メタけい酸単純泉)です。白銀の湯は透明で、匂いも無く温泉とは思えない感じです。石段が有名で、てっぺんには神社があります。よくぞこんな山腹に建てたものだと思うほど大きな宿が崖に並んでいます。茶色い湯の花まんじゅうは日本の温泉饅頭のハシリと言われています。最大はホテル木暮、和風では岸権(キシゴン)旅館が有名です。
 日本の名湯草津温泉は草津白根山に降った雨が火山ガスと出会って生じています。その湯は基本的には酸性泉(酸性低張性高温泉)です。場所(源泉)によっては硫黄泉なども見受けられます。酸性が強くpHは2前後です。源泉は、公的に管理している大源泉が6つ存在するほか、ホテル等が所有している小源泉も多数存在し、自噴する温泉の湯量は極めて豊富であり、湯温も50〜90℃前後と高いので、湯温を下げる「湯もみ」が行われます。たくさんの共同湯があります。「草津よいとこ一度はおいで♪」と歌われますが、何度も行ってます。ザスパ草津というプロサッカーチームがあります。

群馬県・四万温泉の積善館本館は、数少ない湯宿の建造物として群馬県重要文化財に指定されています
積善館は、元禄4(1691)年から湯小屋を建て、湯宿として営業を始めました
その後、本館が建てられ、湯治客の増加した大正から昭和にかけてさらに増築されました

■ 火山の定義を変えた御嶽山の噴火
 2014年9月27日(土)午前11時53分、長野と岐阜県境にある日本百名山の御嶽山(標高3,067m)が2007年3月以来、7年半ぶりに噴火しました。これについては83『永遠の若大将』(2014年10月4日)で触れました。その中で「筆者は秋田駒ケ岳の大噴火を経験したことがあります。これについてはいずれ触れます」と書きました。今回はそのお約束の結果です。
 御嶽山は当用漢字で「御岳山」と書くのが正しいかもしれませんが、報道で使われる御嶽山と表記します。50名以上が死亡する戦後最大の火山災害となりました。ちょうど紅葉が見頃の週末、山頂でお弁当を食べようと多くの登山者が考える時間ですから、不運が重なったとしか言いようがありません。昨今の登山者は高齢者が多いのですが、このときは働き盛りの人たちが多く、お父さんと一緒の小学生も含まれています。休日、お天気も良かったのです。犠牲者のご冥福をお祈り申し上げます。
 右の写真は御嶽山の噴火で犠牲となった京都市西京区育ちの会社員高橋秀臣さん(当時41)=川崎市麻生区=のスマートフォンに残されていた画像です。青空を背に、山頂でにこやかな表情を見せる高橋さんの姿です。遺体安置所で遺族が警察から受け取った遺品の中にスマホはありました。噴火する約4分前、穏やかな時間、「天国のような美しさ。ひでくんが山を愛した理由が分かりました」・・・幼なじみの男性が写真を見て涙を浮かべたそうです。高橋さんとその同僚達は損保ジャパン日本興亜の社員でした。
 御嶽山は1979年10月、剣が峰の南西側の斜面で、マグマが地下水を熱することで起こる水蒸気爆発が発生、登山者1人が軽いけがをしました。実はそれまで御嶽山は「死火山」と定義されていたのです。それまでは活火山、休火山、死火山と学校でも教えていたのですが、今や死語となりました。この水蒸気爆発がきっかけです。
 それまでの火山は、下記のように分類されていました。
   活火山・・・十勝岳、有珠山、浅間山、伊豆大島、三宅島、阿蘇山、桜島など
   休火山・・・秋田駒ケ岳、磐梯山、富士山、雲仙岳など
   死火山・・・御嶽山、箱根山など、ほとんどの火山
高橋秀臣さんの遺品となったスマートフォンに残されていた最後の写真。噴火直前、御嶽山山頂で撮影された
噴火4分前の高橋秀臣さん(京都新聞より)
 御嶽山の噴火によってこの定義は崩れ、国際的に火山学会で見直しが議論されるきっかけとなりました。

■ 火山の分布
 火山は、プレートの境界(海溝沿い、海嶺)とプレート内にホットスポットとして分布しています。したがって、海溝にほぼ平行に火山が分布しています。この海溝側の境界の陸地付近に火山が密集しており、海嶺では、上部マントルから直接マグマが湧きだして、プレートが生成されています。一方、プレート内部を貫いて点状のマントルの湧き上がりがあり、ホットスポットと呼ばれるところがあって、ハワイがその代表です。気象庁「火山噴火の仕組み」をご覧下さい。
 世界で火山の多い国はインドネシアが代表ですが、アラスカ、チリ、アメリカ、イタリア、フィリピン、アイスランドにもすごい火山があります。日本の桜島は世界の火山の中でもトップクラスです。

■ 火山の形
 1960年頃までは、火山はコニーデ(成層火山…富士山など日本にはこれが多い)、トロイデ(溶岩円頂丘…有珠山の昭和新山など)、アスピーテ(楯状火山…八幡平、吾妻山(福島県)、小浅間山、ハワイのマウナ・ケア、ロアなど)等ドイツ語表記で分類していましたが、今やこれも死語です。八幡平のアスピーテラインという名前の道路に、かろうじて名残があります。

■ 噴火様式
 イタリア半島は靴の形をしていて、その爪先の先にシチリア島がありますが、その間にリパリ諸島という火山列島があります。ブルカノ島のような火山ガスが爆発的に噴出し、噴煙が10,000m以上にも上昇する噴火を「ブルカノ式」と言い、日本では浅間山に代表されます。ストロンボリ島のような間歇的にドカーン、ドカーンと噴火するものを「ストロンボリ式」と呼び、秋田駒ケ岳などがこれです。他にポンペイを廃墟にしたベスビオ火山のような「プリニー式」、大規模な火砕流が発生する「プレー式」は、日本では1783年の浅間山の天明の噴火が代表的です。粘性の低いサラサラとした溶岩が山体の割れ目から噴出すものを「ハワイ式」と言います。水蒸気爆発もよくあるものですが、激しい爆発で山体が大きく吹き飛んだ1888年の磐梯山などがこれです。
 ルソン島のピナツボ火山が1991年に噴火した時、成層圏に達した噴煙の影響で異常気象となり、日本では1993年に大冷害が起きました。タイ米を食べなければならない事態になりました。

無料の河原の湯は四万温泉へ来る路線バスの終点近く、萩橋のたもとにある共同湯です
左からの新湯川と右からの四万川の合流地点にあり、その名のとおり目の前に河原があります
外観や内壁、湯船も石造りで洞窟風呂の雰囲気が味わえます。後方は四万グランドホテル

■ 雲仙普賢岳の噴火
 日本最大の火山災害は、「島原大変肥後迷惑」と言われています。面白いと言っては不謹慎ですが、なぜこういう名前かということを下で説明します。九州大学のインターネット博物館をご覧下さい。今から200年以上前の寛政4年(1792年)、雲仙普賢岳が噴火しました。噴火が終わった後、島原市街地の背後にそびえ立つ眉山(まゆやま)が大きな地震で大崩壊しました(→島原大変)。崩れた岩石はなだれをうって島原城下の半分近くを埋め尽くし、更に有明海に流れ込みました。そのため大津波が発生し、対岸の肥後天草(熊本)を含めて、約1万5千人が死亡(→肥後迷惑)するという、我が国最大の火山災害となりました。
 この九州大学のホームページを見ると、火山のことがよくわかります。九州大学は、島原市に大学院理学研究院付属地震火山観測研究センターを設置しています。設置後随分経ってから大火砕流で44人が死亡、820棟余りの家屋が焼失、また土石流も頻発し1,300棟余りが全壊または半壊しました。昔から災害に見舞われたこの地に、それでも人は住み続ける、どうしてでしょうか?

よくもまあ、この山の麓に住んでますね・・・海と山、生きていくには自然の宝庫

■ 秋田駒ケ岳の噴火
 1970年9月18日に女岳付近からストロンボリ式噴火が発生しました。それまでの秋田駒ケ岳は緑に覆われた美しい山で、噴煙など見たことがありません。しかし山腹にはたくさん温泉がありますから、マグマはそこまで来ていたのでしょう。真夜中に噴火が始まりましたが、秋田駒ケ岳は奥羽山脈の一座で、秋田と岩手の県境でもあります。山麓東側は岩手県雫石町(→駒ケ岳眺望)、西側は秋田県の田沢湖です。筆者は夜中に机に向かって勉強していましたが、「こんな真夜中にどうして自衛隊が演習するんだろう?」などと思いました。考えてみれば、そんな迷惑なことを自衛隊がするわけがありません。翌日になって、ニュースで噴火と知りました。我が家からは秋田駒ケ岳は見えないので、丘の上に登ったら、なるほど、望遠鏡が無くても、噴火で、時々岩石がドカーン、ズドーンと打ち上がるのが見えました。肉眼で見えるということは、あの石は家1軒よりもっと大きいんだろうな、と思ったものです。
 夜になってまた丘に登ったら、真っ暗闇の中に、赤い炎が時折ズドーンと打ち上がるのが見えました。まるで花火のようで、飽きずにいつまでも眺めていたものです。
 雫石町の滝ノ上温泉(鳥越の滝の上にある)から秋田駒ケ岳方面へ登ると、途中で千沼ヶ原という美しい湿原があります。およそ標高1,400mぐらいです。秘境です。

千沼ヶ原・・・アオモリトドマツの林に開けた面積約46haの高層湿原。大小さまざまの池塘が無数に点在、岩手山・駒ヶ岳・烏帽子岳などの姿を映す大小のみごとな池塘群、湿原特有の色鮮やかな高山植物の百花撩乱、尾瀬とはまた違う風情です

■ 岩手山の噴火警報
 「南部片富士」と呼ばれる美しい岩手山は、奥羽山脈から真東に突き出した山塊です。南面には滝ノ上温泉や葛根田地熱発電所、小岩井農場という日本一広い民間牧場があります。小岩井農場は1891(明治24)年の開設。共同創始者の小野義眞(日本鉄道副社長)、岩崎彌之助(三菱社社長)、井上勝(鉄道庁長官)の三名の頭文字をとって「小岩井」と命名されました。開設当時の小岩井農場は、いわば富士山の青木ヶ原樹海を開拓したようなものでした。今は三菱の資本で、バターなど乳製品はブランドとして高価ですが、キリンビールが販売しています。北面には松川温泉や松川地熱発電所があり、「焼走り溶岩流」という、浅間山の「鬼押出し」を想像してもらえばわかりますが、溶岩が流れた岩塊が広大に拡がっています。
 1998年2月頃から地震が頻発し、噴気も活発になり、噴火の恐れがあるということで、入山禁止となりました。地元では災害対策が検討されました。1998年9月3日南西10kmのところでマグニチュード6.1の地震があり、その後うそのように地震活動も噴気も収まり、入山規制も解かれました。メデタシ、メデタシ

5月GW頃の岩手山と小岩井農場

■ 蔵王山が小規模な噴火発生の可能性
 2015年4月13日、仙台管区気象台は、宮城・山形県境の蔵王山に火口周辺警報(火口周辺危険)を発表しました。蔵王山では、御釜付近が震源とみられる火山性地震が増加していて、今後、小規模な噴火が発生する可能性があります。想定火口域(馬の背カルデラ)から概ね1.2kmの範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。対象市町村:宮城県…蔵王町、七ヶ宿町、川崎町、山形県…山形市、上山市

■ 通常経済と恐慌経済
 木下栄蔵という、筆者と同年の名城大学教授が居ます。工学博士ですが、マクロ経済学などの著書が多いのです。この人の主張は、世の中の経済状況は「通常経済」と「恐慌経済」があって、今は「恐慌経済」下にあるので、これを「通常経済」に戻すためには「財政出動」が必要だということです。今の時期に「財政出動」なんておかしいんじゃないの?と思ってしまいます。むしろ巨額の債務縮小に向けての「構造改革」ではないの?と思ってしまいます。しかし現実にやっていることは、東日本大震災からの復興に向けての「財政出動」で、結果的にうまく行っているわけです。「通常経済」と「恐慌経済」は、バブルの発生と崩壊で互いを行き来する「経済の1サイクル」なのだそうです。「通常経済」下では企業は設備投資して利潤の最大化を目指し、個人は消費をして、景気は拡大して行きますが、バブルが発生し、崩壊すると、「恐慌経済」に入るのだそうです。すると企業は設備投資を止めて債務の最小化に舵を切る、内部留保を増やし、銀行に借金返済する、その結果経済が縮小し、個人も消費を抑えるのでデフレになる、そのデフレギャップを解消するには政府が代りにお金を使うしかないので、政府の「財政出動」が必要になる、というわけです。一方、「通常経済」下では民間活力があるので、「財政出動」はやるべきではない、民間活力を支援するために「金融緩和」が必要だ、ということです。「恐慌経済」下で「金融緩和」すると、設備投資が縮小し、消費も少ないので、金融機関にお金がジャブジャブ滞留し、これが株や投機に向かうと言います。木下栄蔵氏は、過去にオランダ、イギリス、アメリカがそうだったように、「健全な通常経済」と「健全なバブル経済」と「健全な恐慌経済」を経験した国が、次の経済覇権国になると主張します。

■ 米国FRBの政策の誤り
 20世紀末、アメリカでITバブルと言われる好景気がありました。21世紀に入り、ITブームが去ったので、米国FRBのグリーンスパン議長(当時)は、金利を下げてマネーサプライを増やすという金融緩和を実行し、見事に好景気へと誘導しました。そうなったら今度は金利を上げて金融引き締めすべきなのに、グリーンスパン議長は金融緩和を続けたので、米国経済は「黄金期」を迎えたように錯覚し、サブプライムローン、リーマンショックへと突き進んだのです。まさに人工バブル、「不健全なバブル経済」で「恐慌経済」に突入した米国は、次のFRBバーナンキ議長(当時)の「ドルを刷って刷って刷りまくる」政策で、インフレ、株高となり、1%の富裕層が99%の富を独占する極度の格差社会を招きました。これがオバマ大統領の不人気にも繋がっています。
 バーナンキ氏は退任直前、金融緩和の終了を予告しました。この出口政策は、やがて株価の暴落を招く恐れがあります。
 木下栄蔵氏は、アベノミクスがバーナンキが犯した誤りと同じことをしており、このままでは株価高騰と格差拡大、その後の株暴落を招くと言います。今すべきことは、「恐慌経済」から「通常経済」に戻すことで、「通常経済」に戻ったら、「構造改革」でもなんでもやればいいと言います。今為すべき事は「小さな政府」ではない、と言います。

四万温泉のやまぐち館は日本で最も人気のある宿のひとつ

■ 日本で入った邪魔で通常経済に戻せず
 木下栄蔵氏いわく、かつての日銀は巧妙な政策を打ってきました。1990年代から「恐慌経済」に入った日本は、かなりうまく「財政政策」を打ってきたのですが、途中で何度も邪魔が入って市場が安定しませんでした。小渕政権や、福田、麻生政権は真っ当でした。邪魔とは@橋本政権での消費税3%→5%アップ(1997)A小泉構造改革(2001年〜)B民主党政権での事業仕分け(2009年〜)だと言います。アベノミクス前の野田政権下では、日本の経済は「健全な恐慌経済」でした。野田政権の最大の過ちは、「財政政策を実行して、早く日本経済を恐慌経済から通常経済に戻せなかった」ことにあると指摘しています。
 木下栄蔵氏は、現在のアベノミクスによる金融緩和を否定し、日本がとるべき「経済戦略」を次のように述べています。
 @ アベノミクスによる「金融緩和」はすぐにやめるべき
 A デフレギャップを測定し、「デフレギャップ」分の「財政出勤」をすぐ行う
 B 消費税率の見直しはやめる。消費税率に関しては、「デフレギャップ」が解消された後に、「ロードマップ」を作成して検討する
 C 「デフレギャップ」は「デフレ」下だけでなく「インフレ」下でも生じることを認識する

 木下栄蔵氏は実需の伴わない株高の結果、起こり得る日本の未来を以下のようにまとめています。
 @ 実需を伴う(通常経済)「株高」は健全
 A 実需を伴わない(恐慌経済)「株高」は不健全
 B 実需を伴わない「株高」は「株価の暴落」を招く
 C Bは、その先の「株価の大暴落」を招く危険性を有する
 D Cは「世界大恐慌」へと進む危険性を有する
E その結果、金の「大暴騰」がありうる
F その経済覇権国の通貨である「日本円」の「上昇」がある

 木下栄蔵氏は、世界同時株安があると主張します。そして、そうならないために、日本が今すべき処方箋を次のように述べています。
 @ 日本経済の処方箋を世界中に公開し、日本政府の解決策への理解を求める
 A 中国経済が「バブル崩壊」を経験すると、日米中欧が「同時恐慌経済」になることを日本から世界に発信する
 B 国別の「デフレギャップ」を測定し、「デフレギャップ」分の「財政出勤」を行うようにG20などを通じて世界に発信する
 C Bを実行する場合、日本と中国は「債権国」で、アメリカは「債務国」なため、日本と中国はアメリカを助けなければいけない。この事実を世界に発信し、日本と中国はアメリカに対して「寛容の精神」を持ち、アメリカは日本と中国に対して「謙虚」にならなければならない
 D @〜Cは各国が協調して実行しなければならない。また、Bの手段として、「戦争」と「ムダな公共事業」は避けなければならない。そのために各国がそれぞれの国の事情に応じた「経済成長戦略」を立案し、Bを実行する必要がある

■ 格差拡大から争いの社会への突入を避けよ
 以上の木下栄蔵氏の主張に筆者は全面的に組するわけではありません。しかし、バブルに向かう過程の認識は納得します。バブルは約30年ごとに発生することは歴史が示しています。これは人間の一世代です。人間活動がバブルを産むのです。1980年代後半のバブルから30年というと、そう正に今、その入口と見るべきではないでしょうか。これまで散々書いてきたように、お金持ちは不動産や外貨投資などへのリスク分散を考えるべきです。大多数のお金持ちでない人は心配する必要がありません(>_<) むしろ心配すべきは、格差拡大、それへの不満をそらす政策の方向性です。韓国の朴大統領の政策がまさにそうですが、今度は対抗策としての国防強化などに発展すると大変です。「防衛力」までは良いですが、「軍事力」となると、政治での歯止めが効かなくなることは過去の歴史が証明しています。1980年代の30年前の1950年代、さらにその30年前の1920年代、どんな時代だったかを振り返りましょう。1929年の世界恐慌から戦争、その終了でハイパーインフレに突入しました。

■朝日新聞社がまたもお詫び…社会福祉法人「ひまわりの会」の記事を訂正
 朝日新聞社は2015年4月17日付け朝刊にお詫びと訂正を掲載しました。2014年5月26日付で「報われぬ国第2部 ワンマン理事長“暴走”」の記事を掲載したなかで、社会福祉法人「ひまわりの会」(川崎市)の理事長が同会に寄付された土地を理事会にはからずに売却し、理事長の報酬などの増額を理事会の承認なしに決めたとの誤解を与える表現があり、また、同会が照明器具を理事長の親族の会社から購入したとの誤解を与える表現と見出しがありました。ひまわりの会と同会理事長、関係者、読者のみなさまにおわびし、関係する記事を訂正し、一部を取り消すとともに「ワンマン理事長“暴走”」「社福法人の私物化」「親族から備品購入」の見出しを取り消します、というものです。
 川崎市が同会に対する指導監査で、寄付された土地の資産区分を理事会で決め、理事長の報酬などについて明確な規定を理事会で定めるよう指摘したことをもとに記事にしましたが、同会は土地の売却や理事長報酬などの増額については理事会で承認していました。また、理事長の親族が社長を務める会社が、理事長の紹介で、理事長が就任前まで監査役を務めていた会社に照明器具を納めたという部分は、同会が購入したわけではありません。いずれも事実関係の確認が不十分で、正確に記述しなかったため、誤解を与える表現となりました。

四万ダムの堤防下の原っぱで猿達が盛んに草の新芽をつまんで食べていました

■ 高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを命じた福井地裁決定文の誤り
 福井新聞ONLINEによりますと、2015年4月14日関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働差し止めを命じた福井地裁の決定文の中で、原発で想定する地震の揺れに関する発言を引用された識者が「曲解されたものが引用されている」と困惑しているそうです。決定文では、原発の基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)に関して、地震動の強さを専門とする識者が新聞記者の取材に応じて発言した内容を引用しています。それを元に、基準地震動は「実績のみならず理論面でも信頼性を失っている」と指摘し、基準地震動を超える地震が到来すれば炉心損傷に至る危険が認められるとしました。当の識者である入倉孝次郎・京都大名誉教授は取材に対し、「全くの事実誤認。決定文にある発言は、新聞記事を元に原告が曲解して書いているものが引用されている。正しい理解のために正確に引用してもらえず非常に残念だ」と述べたそうです。決定文で「地震の平均像を基礎として基準地震動を策定することに合理性は見いだしがたい」と信頼性を疑問視している点について、入倉名誉教授は「基準地震動は地震の平均像を基礎にして決めていない」と否定しました。「基準地震動の実績から言えば安全面は保証されているし、理論面でも地震動の評価に関してはむしろ精度が向上している」と指摘し、決定文の内容は認識不足で間違いであると述べたそうです。
 2014年5月に関電大飯原発3、4号機(同県おおい町)の運転差し止めを命じた判決内容でも、専門家から「原発の技術面や科学的根拠に対する福井地裁の認識不足」との指摘が相次ぎました。例えば大飯の判決で「外部電源と主給水ポンプを(最も高い耐震性の)耐震Sクラスとすべき」とした点には、主給水ポンプは発電のための設備であり、地震発生などによる事故時には、原子炉冷却を行う耐震性のある別の給水設備が機能するので、対象を取り違えていると指摘されました。今回の福井地裁の決定文でもこの点の誤解は同じで、大飯の判決と内容は変わらなかったようです。
 裁判官が結論を先に持って、科学的に間違いの根拠を元に判決を出すのでは、何をかいわんやです。情けない。福井地裁は直ちに誤りを訂正して判決し直すべきです。

四万温泉にある柳原白蓮の歌碑
山のあなた ひるも夜もある 灯のひかり
しつかなるかな 四万のやまなみ

■ 島根原発と地震
 日本の地震や火山噴火予知研究の第一人者と言えば神沼克伊先生です。この方が「日本の火山を科学する」という著書の中で島根原発について書いておられます。活断層で再稼動心配という声が大きいことに対して、原発そのものの可否はともかくとして、島根原発のある地域で有史以来の千数百年間に大きな地震は3回起きたが、いずれも被害はほとんど無かった、島根原発が今後百年間稼動したとして、地震で被害を受ける確率はほぼゼロと考えられる、原発の耐震性能からしてたとえ大地震が起きたとしても安全停止できると考えられていることからすれば、断層の長さだけからいたずらに不安を煽る無責任な学者の発言には呆れてものが言えない。そのような学者に限って、富士山が噴火するとか過激なことを言ってマスコミ受けし、それが無かった後はまた別のことを言う。それなのに学会では決して過激なことは言わない。学者と言ってもいろいろな類の人間が居ることを考えるべきだ。むしろチェルノブイリのような人為的な原発事故が怖い。自然災害より人災が怖い、と言います。福島第一原発も、人災でした。千年に一度の大震災でも原発は安全停止したのに、冷却するためのポンプの制御盤が低い位置にあって冠水したことが水素爆発に繋がったからです。
(2015年4月19日)


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