83  永遠の若大将

 昨週は盛岡広域の市町を回る旅でした。在京盛岡広域産業人会の『2014食と農の視察会』でした。街から山中から、牧場から畑から、ファーム内の洒落たレストランから、国道沿いドライブインでの豪華ランチやら、夜は温泉で宴会と2次会、良いお風呂でした。行く先々で町長さんが出迎えてくれて、VIP待遇の旅行です。

■ きれいな水が美肌をつくる
 盛岡広域8市町は、最北部が北緯40度の北国ですが、日中は暑く、南関東と変わりません。しかし朝晩はひんやりして温度差が大きいので、風邪を引かないよう注意が必要です。寒暖差が大きくなってくると、山の木々は一気に紅葉します。平庭高原の白樺林と紅葉のミックスマッチングは美しかったなぁ〜。参加者が言っていました。「盛岡に着いてびっくりしたのは、こちらの女性はなんて肌がきれいなんだろう、ということでした」・・・この感想は首都圏から盛岡に行った人に共通です。思わずきょろきょろ見回してしまい、「あの人変態じゃないの?」と思われるのでは、とハッと気付いたりします。都内でもきれいな女性はたくさん居ますが、それは化粧しているからです。スッピンできれいというのは最高ですね。空気がきれいで、水が美味しい、なにしろ市街地の中に、日本名水百選の湧き水が2箇所もあるのです。水道水をペットボトルに入れて販売しているくらいですから。やはり空気と水は人間のいのちの源なのだな、ということが分かります。ご飯が美味しいのにも驚きます。米のせいというより、多分水でしょう。秋田県は秋田美人で有名ですが、それは日照が少ないので、色白の人が多いからです。盛岡は奥羽山脈の東側ですから日照は多いのですが、それでもやはり冬は日照が首都圏に比べれば少ないし、関東の夏のギンギラギンの日照りは肌に良いわけがありません。世界的に見ても、ロシアや北欧の人がきれいなのは、肌が焼けないからと思います。

■ 健康寿命
 厚生労働省は2014年10月1日、健康上問題無く日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」について、2013年は男性が71.19歳、女性が74.21歳だったと発表しました。平均寿命は、男性の場合は9.02年、女性は12.40年長く、その間は介護などの手助けが必要だということです。平均寿命と健康寿命との差が広がると、高齢者の生活の質が下がり、医療費や介護費も増えるので、健康寿命を延ばすか、平均寿命を縮める必要がありますね。どっちが良い?知りません(>_<)。

■ 「永遠の若大将」・・・加山雄三
 健康寿命なんのその、の歌手が居ます。2014年9月28日23時〜 NHK BSプレミアム「永遠の若大将 加山雄三 77歳の武道館LIVE」を見ました。感動しました。喜寿を越えた加山雄三が、8月23日に日本武道館にて開催した「若大将EXPO 〜夢に向かって いま〜 加山雄三Live in日本武道館」の録画放送です。加山雄三はこれで自身の持つ日本武道館での最高齢単独公演記録を更新しました。「喜寿」というのは数え77歳ですから、2013年だったはずですが、何故2014年なのでしょう?
 開演時間の16時に、白いジャケットに黒いパンツというスタイルで8千人が見守るステージ上に登場した加山雄三。スペシャルバンドを従え、自身もギターを演奏しながらテンポよく次々に「お嫁においで」や「旅人よ」などの自身の名曲や、「Yesterday」などのカバーを歌いながら、背景で過去の写真や映像をプロジェクションマッピングし、コラボレーションしながら歌って行きました。結構お年の観客、その娘さん、会場は、手拍子や青色のペンライトで彩られ、素晴らしい空間が広がりました。お客さんがみんな楽しそうなのです。喜寿を越えたとは思えないパワフルさで会場全体を包み込み、心地の良いペースで「海 その愛」、「この愛をいつまでも」、「サライ」を披露した頃には、会場の熱もさらに増して、この日、会場にいたすべての人がひとつになる興奮状態となっていました。1番好きな曲という「MY WAY」で締めくくり、そしてアンコールへ。「君といつまでも」の途中で、突然サウンドが止まり、「船長〜、加山船長〜!」と呼びかける声が会場に響くと、大きな花束で顔を隠しながら桑田佳祐が登場するサプライズ。ふたりで「君といつまでも」と「夜空の星」でセッションをするなど、加山雄三のライブを盛り上げました。最後、加山雄三は「夢は叶えるためにあるんだ、どんなにつらいことがあっても絶対立ち向かうんだ」と語り、「Dreamer〜夢に向かっていま」を披露して、最高齢での日本武道館単独公演は大団円を迎えました。
 終演後には、毎年続けてきた全国ツアーを今年で卒業することも発表されました。なおこの日、日本武道館で披露された全45曲が演奏順に収録されたアルバム『若大将EXPO〜夢に向かって いま〜Song Library』(3枚組)が現在発売中です。45曲歌うというのが、どれほどのパワーを要するか?これは想像を絶する世界です。加山雄三はステーキが好きだと言いますが、このパワーは肉をガツガツ食う(食べるではダメ!食うでなければイケマセン)ところから来るのでしょう。バックのスペシャルバンドのドラムスの可愛い女の子は誰でしょう?あんな長い間ドラムを叩くパワー、これまた驚きでした。

■ 名曲多数・・・加山雄三
 加山雄三は1937年4月11日、神奈川県横浜市生まれ、茅ヶ崎育ちです。父親が俳優の上原謙、母は女優の小桜葉子(岩倉具視のひ孫)と恵まれた環境で育ち、1960年、慶應義塾大学法学部卒業後、東宝から俳優としてデビューしました。1961年から始まった東宝映画「若大将シリーズ」で、若手看板スターとして実力を発揮しました。一方、シンガーソングライターとして弾厚作(だんこうさく)名で作曲も手がけ、1965年には映画「エレキの若大将」の挿入歌「君といつまでも」で350万枚を売り上げる大ヒットを飛ばし「第6回日本レコード大賞 特別賞」を受賞、大賞は橋幸夫の「霧氷」でしたが、「違うんじゃね〜の?」と話題になりました。俳優、シンガーソングライター、タレント、作曲家、ギタリスト、ピアニスト、画家でもあり、まさに多芸多才のマルチタレントですが、借金で苦労した時代もあり、その返済のためにお笑い番組にも出て、それがますます庶民に受けました。
 筆者が最も好きな曲は『旅人よ』です。作詞:岩谷時子、作曲:弾 厚作、唄:加山雄三
風にふるえる 緑の草原♪ たどる瞳かがやく 若き旅人よ♪ で始まり、時は行くとも いのち果てるまで♪ 君よ夢を心に 若き旅人よ♪ で終わります。お聞きはるかな 空に鐘が鳴る♪ 遠いふるさとにいる 母の歌に似て♪ の辺りは、望郷ですね。旅に出たくなります。やがて深いしじまが 星を飾るだろう♪ 君の熱い想い出♪ 胸に燃える 恋もうずめて♪ 順番は滅茶苦茶ですが、草は枯れても いのち果てるまで♪ 人生の旅は続くのです。

■ 加山雄三とザ・ヤンチャーズ
 2010年に加山雄三が芸能生活50年を記念して行った日本武道館での1万人コンサート、このとき73歳でした。このときに加山雄三とザ・ヤンチャーズ(加山雄三 : ギター、リードヴォーカル、森山良子 : ギター、ヴォーカル、谷村新司 : ギター、ヴォーカル、南こうせつ: ギター、ヴォーカル、さだまさし: ギター、ヴォーカル、桜井 賢 (THE ALFEE): ギター、ヴォーカル、坂崎幸之助(THE ALFEE): ギター、ヴォーカル、高見沢俊彦(THE ALFEE): ギター、ヴォーカル)が結成され、唯一の楽曲「座・ロンリーハーツ親父バンド」が発表されました。ホームページから試聴できます。さだまさしの詞 弾厚作の曲 歌うは加山雄三とザ・ヤンチャーズです。「ロンリーハーツ親父バンド」は、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」(1967)に由来した命名だそうです。
 「座・ロンリーハーツ親父バンド」の歌詞の一部だけ切り取って紹介しますと・・・
  ♪誰でもいつか歳をとる
♪当たり前じゃないかそんなこと
♪大切なのは胸の炎
♪燃やし続けていること
  ♪生きているから楽しくて
♪生きているからこそ悲しくて
♪生きているから辛いけど
♪明日は必ず来る
  ♪いつか未来の子供達に
♪心のバトンをつなぐため
♪頼りになるような
♪大人になるために
  ♪歌おうロンリーハーツ親父バンド
♪若造時代に気付かない
♪本当の優しさや
♪愛や命の重さを
 加山雄三以外の7人がサングラスなのが、ヤンチャーズです。これだけの豪華メンバーが一同に会するのは困難でしょう。それぞれが、ソロコンサートで最高額の料金を設定できる人たちが、みんなで歌う1曲ですから、これはもうハンパじゃありません。みんなが本当に楽しそうに歌います。こんなことやってたら、戦争なんて起きないな、と思ってしまいます。

■ 御嶽山噴火 活火山
 日本百名山の御嶽山(3,067m)が2014年9月27日(土)日午前11時53分ごろに突然噴火し、登山者多数が石に打たれて倒れ、火山灰に埋もれて死亡しました。火砕流が発生しており、農作物などへの被害が各県に拡大する可能性があります。噴火は大きく分けて、マグマが直接噴出する「マグマ爆発」と、地表近くの地下水がマグマに熱せられて起こる「水蒸気爆発」があります。今回は水蒸気爆発と見られ、マグマそのものの動きは小さく、火砕流もそんなに高熱ではありません。1995年の焼岳(長野・岐阜県境)などの例があります。
 今回被害者が多かったのは、紅葉の時期、土曜日、昼時という、最も山頂近辺に登山客の多かったピーク時の爆発だったから、とのことです。災害は忘れた頃にやってくると言いますが、正にそうですね。被災者のご冥福をお祈り申し上げます。

御嶽山
 マグマ爆発は、地下から上昇するマグマの動きによって、山が膨張したり、火山性微動と呼ばれる小規模な地震が起きたりします。マグマが地表に出た近年の噴火には、火砕流が発生した1991年の雲仙普賢岳(長崎県)や溶岩流が流れ下った1983年の三宅島(東京都)などがあります。
 筆者は秋田駒ケ岳の大噴火を経験したことがあります。これについてはいずれ触れます。山登りが好きな人は、上昇志向の人です。苦労の先に快感が見える、だから苦労を厭わない、立派な方が多いのです。日本は足許の下がぐらぐら煮えている火山列島ですから、いつどこでプシューと吹き出て来るかわかりません。我が足許は関東ローム層ですから強固ですが、これだって富士山の火山灰が積もったものです。富士山が噴火したりしたら、溜まったものでは有りません。私たちは誰もが災害で死ぬ可能性を持っているのです。だから戦争なんてしてはいけません。

■ すき家1167店深夜営業やめる
 ゼンショーホールディングスは2014年10月1日、牛丼店「すき家」の6割弱に当たる1167店で主に午前0時〜同5時の深夜営業を休止しました。これまで複数勤務に切り替えることで深夜の1人勤務を9月末までに解消すると表明していましたが、人手が確保できず、休止を迫られる店が続出しました。同社は創業者である小川会長兼社長の強いリーダーシップのもと、夜間1人勤務による低コスト運営や大量出店などで成長し、すき家の店舗は10年で4倍になり、吉野家を店舗数で抜いて国内外食企業の最大手になりました。ところが、過重労働を問題視する機運が高まるなか、今春には人手不足からすき家の一部店舗が休業に追い込まれるなど、低コスト運営路線にほころびが見えていました。経営改善の第三者委の報告書を受けた小川氏は「働いているアルバイト、社員に過重な負担をさせた。本当に反省している」と述べたそうです。

すき家のロゴ

■ 牛丼も値上げの方向?
 10月1日付ですき家を運営する事業子会社のゼンショーの社名を「すき家本部」に変えると発表しました。「すき家問題」は、ブラック企業追及の一環で、若い人たちに過重労働・低賃金を強いてきたことだけの問題ではないと見ています。いわゆるデフレ退治のためには、こうした激安飲食店がはびこっては困るのでしょう。激安が過重労働・低賃金につながっているのなら、まさにそれもそうですね。筆者はすき家には行きません。松屋が牛丼を値上げしたように、もはや安いだけの飲食業は成り立ちません。食は健康の源ですから・・・
 消費増税以降、牛丼各社は苦戦しています。やはり値上げしたからでしょうが、環境はますます悪くなっています。なにしろ米国産牛肉が3〜4割上がっているのです。これは中国や台湾で消費が増えているからです。円安も加わって更に上がると見られています。救いはコメです。米は国産で、しかもカロリーが高過ぎるので消費者が摂取を抑える、輪をかけて少子高齢化で消費減退していますから値下がりしています。ただ牛丼は安いのが売りですから、材料費が上がった、人件費が上がったから値上げすると客離れします。商品を変えて行くしかないでしょうね。
 余談ですが、米はカロリーが高いので、少年野球でも試合開始の1時間前に小さいのを1個食べれば、パワーが出るゾと指導しています。パンではダメです。スポーツはおにぎりに限るのです。

■ ローソンが成城石井を買収
 ローソンは2014年9月30日、高級スーパー「成城石井」を約550億円(負債を含む)で買収すると発表しました。成城石井は、1972年2月に、高級住宅地として有名な東京都世田谷区成城で石井さんが創業しました。食品スーパーとしてスタートし、現在の本社は横浜市です。一般の食品スーパーと違って、ワインやチーズといった輸入品のほか、素材にこだわったオリジナル商品を扱うなど、独自の路線を歩んできました。豆腐1丁いくらか、行って見て下さい。
 そんな成城石井が、なぜ買収されることになったのか?ネット上ではいろいろ言われていますが、日本では企業が買収されることに負のイメージがつきまといます。ところが米国などでは逆なんですね。

成城石井のロゴ
 「買収される企業は良い企業」という概念であり、これが日本でも徐々に定着してきました。株式会社は株主のものであり、株主は企業が儲けて、高い配当をくれることを期待しています。したがって儲けが出なくなると持株の意味がありません。売りに出しても買い手が居なくなります。だから買われ続けている企業は儲かっている企業ということになります。サービス企業が儲けるためには、従業員にヤル気を出してもらうのが一番です。そのためには報酬が一番です。株主は利益さえ出ていれば、経営の中味には口出ししません。
 成城石井は2004年に、創業家(石井さん)がレックス・ホールディングス(現在はレインズインターナショナル)に株式を売却しました。このときはさすがに「牛角じゃまずかんべぇ」と思いましたが、その後、2011年には三菱商事系の投資ファンド、丸の内キャピタルの傘下に入って、経営を続けてきました。他の食品スーパーではなかなか手にすることができない高級食材の販売が好調で、現在は関東圏を中心に120店舗を展開、消費増税後も好調が続いています。なにしろお客様がフェラーリやベンツでお買い物に来ると言われているくらいですが、以前「つぶやき」でも採り上げました。479『スーパー』(2012年3月18日)や63『違うな〜』(2004年3月20日)です。10年以上前に目をつけていたということは、筆者もなかなかに慧眼ですね(^-^)
 「富裕層の囲い込みに成功した成城石井を買収することで、ローソンはどのような効果を狙っているのだろうか」と、あるニュースでやっていましたが、ローソンは単に株主になるだけであって、ローソンで扱っている商品を成城石井で販売することはあり得ず、逆のパターンもあり得ません。客層がまるで違うからです。ローソンも三菱商事系です。食品からエンタメ分野まで手を広げ、収益源を多様化しているのは、「社会環境が急速に変化している中で、消費者の生活基盤をサポートし、新たな客層の拡大に力を入れて行く」という戦略です。ダイエーブランドの消滅に代表されるスーパーマーケットの衰退、デパートの衰退の中で、高齢者のご近所さんであるコンビニが、セブンイレブン筆頭にネット販売の窓口にもなってきています。三菱商事は食や農にも手を拡げ、輸入食材を販売してくれる巨大な店舗網の頂点に立とうとしているのです。日本で最大の養豚場は三菱商事です。中国ではもっとおおきな養豚場を設け、餌は米国やカナダから持ってくる、加工も手がけます。壮大な食のチェーンを作り、外貨獲得に貢献しています。

■ 住友商事シェールガス投資失敗で巨額損失
 総合商社の住友商事が米国でのシェールオイルの開発事業の失敗などで、約2400億円もの巨額の損失を計上する見通しとなりました。住商は、2012年から子会社を通じ、米テキサス州でのシェールオイルやガスを採掘する事業に米資源開発会社と共同参画。権益費や設備で既に約19億ドル(約2000億円)を投資していまず。中村邦晴社長が記者会見で明らかにしたところによりますと、「試掘により、想定より地層が複雑で、地点によって水が大量に混じっていることが判明。掘削を続けるには費用が膨れ上がるため、井戸や掘削機などの設備を売却し、事業から撤退することを決めた」ということです。住商に限らず、大手商社やエネルギー事業会社は米国でのシェールオイル・ガスの開発に相次いで参画していますが、今回の住商の撤退を教訓に、リスクの高さが改めて浮き彫りになりました。コレを見ても、三菱商事の戦略の素晴らしさは驚嘆に値します。

■ 電力五社が再生可能エネ買取停止
 北海道、東北、四国、沖縄の大手電力4社は2014年9月30日、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)に基づく再生エネ発電電力の新規受け入れを管内全域で停止すると発表しました。九州電力は既に実施しています。これら5社管内で計画中の太陽光発電事業をこれ以上受け入れると、送電網の能力を超えます。また各社管内の需要を上回ります。つまり、東電や関電のような大消費地には再生可能エネルギー発電する適地が少なく、前記の5社管内には豊富にありますが、消費ニーズは少ないという大矛盾です。これら再生可能エネルギーは、天候によって発電量が激変しますから、いつでも需要家に電力を安定供給するためには、これら再生可能エネ発電がストップしたら、即タービン発電を行う、原発が停止している今では火力発電ですね、コレを動かさなければなりません。極端な話、太陽が雲に翳ったら、頑張れ!火力、となるわけで、これでは発電機のストレスが増し、火力発電所の寿命が短くなりますから、ある程度余剰に発電し、余ったら捨てます。蓄電池の開発を猛然とやってますが、まだまだ長い年月を要します。沖縄電力を除き、一般家庭からの買い取りは従来通り継続するそうです。経済産業省は、再生可能エネの円滑な導入を進めるため、2016年度をめどにFIT制度を抜本的に見直す検討に入りました。いよいよ日本も遅ればせながら、ドイツやスペインと同じ状況に入ってきたわけです。これから先どうなるか、これらの国の事例にならえばわかります。
 脱原発を声高に言って、「国は再生可能エネルギー発電に積極的に取り組め」と言ってきた元首相たちをはじめとする人たちにアイデアはあるのでしょうか?そもそも政府や官僚は、再生可能エネの必要性を誰よりも認識していたし、そこから派生する問題も承知していました。しかし聞く耳を持たない人が多く、技術的な困難さを説明しようとすれば「努力が足りない」の一言です。皆さん、電力料金が上がったことを肌で感じるでしょう?原発を動かさなければ、これからますます上がりますよ。

■ 円安110円/USドル台に突入
 これについては正直、予想外、もっともっと円安になるのが普通ですが、ペースが速過ぎます。これによる影響はさんざんテレビでやってますから皆さんご承知でしょう。先頃の超円高で日本製造業は国内生産を縮小し、工場を海外移転しました。ところが中小企業は海外までついていけないので、大田区の町工場に代表される日本のものづくりを支えてきた企業が続々と廃業しました。都内の工場地帯を歩きますと、For saleの工場だらけ、街の商店街はシャッター通りです。それでもあきらめないで頑張ろうとするオヤジさんたちは、仕向けを大企業から国内のお客さんに替えて頑張ってきましたが、そこへ円安が襲うと、日本は食料も、エネルギーも、原材料も輸入ですから、仕入れが上がります、経費も上がります、売価に反映できますか?ムリデショとなったら、利益を減らす、人件費を減らす、その先は・・・・。

■ 物価上昇に賃金上昇が追い着かず
 値上げが続々と表明されています。消費税増税と円安による輸入原材料の高騰によります。デフレは克服できそうですが、社会保険料も上がり、実質賃金が下がっているので、大多数の人々は相変わらず安いものを追求します。売るほうも消費者のニーズに応えようと工夫します。例えばパックの量を減らします。きゅうりもネギも1本単位とします。食料品はほとんど輸入ですから、消費者の眼に触れないところで品質より価格を重視します。業務スーパーが繁盛します。ところが眼が肥えて懐が温かい人はそんなお店を避け、成城石井に行くわけです。物価上昇の影響を受ける人は第一に年金生活者です。平日の昼のスーパーは年寄りだらけです。コンビニにも行きますから、コンビニの品揃えも変わってきました。

■ 日経ビジネス 2011年3月14日号 「中高年は席を譲れ」
 たまたま岩手で立ち寄ったラーメン屋に置いてあった日経ビジネス、これって東日本大震災のときではないですか。特集の題と、大震災のアンマッチング・・・。発行時、東日本大震災と福島原発事故による大混乱のさなかだったのですが、それ以前に準備されていた雑誌類は予定通り発行されたのでしょう。この号は、「中高年は席を譲れ 若者雇用は100兆円の得」という特集を組んでいました。「景気は回復に向かいつつあるものの、日本の雇用市場は依然として冷え込んだままだ。学校を出た若者は希望の職には就けず、不安定な立場の非正規雇用は増え続ける。だが、若者が生き生きと働く、明るい社会は取り戻せる。そのヒントをこれから見ていこう」という内容です。
主要な題は・・・・
 生活保護で日本が潰れる----ニートを放置すれば…
 ミスマッチ解消が先決----中小企業は求人倍率4倍
 学生をニートにしない教育----内定率は9割以上
 働き方は十人十色----正規・非正規、対立の狭間に
 出産後も働き続けたい----ママはおうちでテレワーク
 闘わずに死を待つか----労働組合、最後の選択
 さらば「正社員家族」----「日本の仕組み」の転換点
 東証1部上場企業・雇用増加ランキング----サービス業に「吸収力」
 当時の状況からすると、中高年とか若者とか言っている場合ではなく、戦後復興期に比すべき大規模な公共復興事業が考えられなければならない事態に立ち至っておりました。しかし、3年半を経た今、この特集は奇妙にジャストフィッティングしているように思います。日本は未曾有の人手不足です。しかしそれは若者であり、中高年ではありません。日経ビジネスが特集を組んだまさにそのときに起きた震災によって、若者の求人は増えましたが、土方を募集しても集まりません。中高年が手を上げても、「アンタじゃムリ」、非正規雇用は減りません。

■ 転職市場活況、しかし現実は厳しい
 求人倍率が上がっています。しかしハローワークは相変わらず混んでいます。アンマッチングが起きているのです。景気の回復で有効求人倍率は22年ぶりの高水準で推移し、人手不足のため積極的に中途採用に乗り出す企業が増えています。ただ、正社員や事務職は「狭き門」。希望する仕事と求人の中身が合わないミスマッチも目立ち、就職をあきらめる女性も少なくありません。中高年も同様です。老年の人は論外です。交通誘導やお掃除、駐車場や駐輪場の整理・誘導ぐらいしか仕事はありません。中高年は安倍政権の「年功序列の廃止」によって、賃金が下がります。競争社会になった時、人々の心はどうなるのでしょう?他人を蹴落としても上に上がる、筆者もそうせざるを得ないと思います。助け合いの美徳は廃れ、犯罪が増えて行くでしょう。

■ テレビ朝日「報道ステーション」の誤報
 テレビ朝日のニュース番組「報道ステーション」が、九州電力川内(センダイ)原発の安全審査に関して誤った報道をした問題で、テレビ朝日の吉田慎一社長が2014年9月30日の定例記者会見で、「あってはならないこと。全面的におわびする」と謝罪しました。先般朝日新聞社の社長も謝っていましたね。問題となったのは9月10日(水)夜の放送です。この日、原子力規制委員会が川内原発1、2号機について、安全審査の「合格証」にあたる審査書を決定し、田中俊一委員長が記者会見しました。この決定で、同原発は再稼働の条件をクリアしました。同番組は、田中委員長が会見で、周辺の火山に対する安全審査基準の修正を示唆したと報じ、ナレーションで「修正した正しい基準で再審査すべきだ」と批判しました。ところが、田中委員長が修正を示唆したのは、実際には火山ではなく、竜巻の審査基準でした。さらに同番組は、火山の審査基準に関する質問に対し、田中委員長がほとんど応じていたにもかかわらず、その大部分を省き、回答を拒んだような印象を視聴者に与えました。吉田社長は会見で、スタッフの取材メモが「極めて不完全で、雑な省略があった」ことが最大の原因と説明、放送されたVTRの内容をデスクがチェックしきれないなど、「ミスが重なった」と強調しました。ただ、「報道ステーション」は過去にも火山への備えが不十分だと主張しており、メディア論が専門の碓井広義・上智大教授は「世論を反原発の方向へ誘導しようとしたと言われても仕方がない」と指摘しました。
 この番組の前身「ニュースステーション」でも、たびたび誤報や取材不足があり、キャスターの久米 宏氏が謝る姿がありました。「つぶやき」でも触れましたが、所沢のダイオキシン騒動では裁判沙汰になり、結局テレビ朝日が農家に賠償金を支払う騒ぎになりましたが、筆者の周囲の農家もあの時は大変な風評被害を受けました。謝って済むような話ではありません。あれ以来筆者は「ニュースステーション」を見るのをやめ、久米 宏氏も59歳で降板して、番組は終わりました。
 「報道ステーション」として、2004年4月にリニューアルオープンした番組は、古舘伊知郎氏がキャスターで、また同局の名物番組となりました。しかし内容がどうも偏向しています。特に原発報道に対しては、脱原発の方向へ世論を誘導したいように、見受けました。衝撃の事実が発覚しました。「報道ステーション」ディレクターで原発担当のI氏が8月末、自宅の3階で練炭自殺をしていたというのです。因果関係はわかりません。古舘伊知郎氏は今年12月に還暦を迎えます。番組ももう10年を越えました。バッシングはいよいよ強くなっています。さあ、どうするのでしょう?

■ 「FC2」が問題化
 「FC2動画」をめぐり、京都府警が公然わいせつ幇助(ほうじょ)の疑いで、大阪市内のインターネット関連会社「ホームページシステム」(北区中之島)など数箇所を家宅捜索しました。報道によりますと、京都府警は同社がサイトを実質的に運営していたとみているようです。「FC2」は米国ラスベガスの法人が運営しているとされています。ホームページシステムのWebサイトでは、「アプリ開発をメインとし、メディアレップ事業や大手企業より委託を受けてシステム開発を行っています」と自社を紹介しています。100万ダウンロードを超えたというアプリ「マンガ読破」の開発やWebアプリやWebサーバの構築などを手がけるほか、「米国fc2.inc 日本国広告代理店」としてネット広告の取り次ぎを行っていることも掲載されています。
 FC2は1999年7月設立で、所在地は米国ネバダ州のラスベガスです。今回問題になった「FC2動画」のほか、「FC2ブログ」やソーシャルゲームプラットフォームなど多数のサービスを運営しています。昨年、転職サイトに掲載されたホームページシステム社員らのインタビュー記事によりますと、2013年6月時点で「ユーザー数2000万人以上、PV150億PV超、帯域使用量200Gbps」に上るそうです。
 FC2は過去、米国で開発拠点を構えて精力的に開発を行っていたようですが、2007〜08年ごろからブログを筆頭に日本での成長が著しくなったため、日本のマーケットに集中すべく、開発を日本の企業に委託するようになったようで、ホームページシステムが一手に開発を引き受けるようになったのは、単に依頼されたことだけをやるのではなく、クライアントのニーズに合った提案を行っており、それが日本での飛躍的な成長に結び付いたようです。
 筆者の周りで「FC2ブログ」や「FC2ホームページ」の利用者は大変多く、とても助かっています。少年野球などは無料で広告が入らない「FC2」を採用するところが多く、筆者もそうです。まちがっても「やめた」などということの無いようにして欲しいものです。わいせつ動画など言語道断なので、「FC2動画」が規制されても一向に構いませんが、ホームページやブログは規制しないで下さい。ただ、本日早朝「FC2動画」の新しい機能を紹介するメールが入ってきました。「FC2ホームページ」のユーザーだからですが、どうも京都府警の捜索に公然と反発する雰囲気ですね。穏健にオネガイシマス・・・

■ 真名井の湯で死亡事故
 2014年9月28日、埼玉県ふじみ野市の日帰り入浴施設「真名井の湯」にある減圧室で、利用客の男女が死亡する事故があり、現在閉鎖されています。
 同日午後5時半頃、「パスカル健康房」という名の減圧室で、利用客の会社員男性(65)と介護士の女性(58)が倒れているのを従業員が見つけ119番した模様です。このお二人は、その後、死亡が確認されました。減圧室は、気圧を下げ血行を良くするということで、富士山頂にいるような状況になるのだそうです。入室して45分経つと扉が開く仕組みで、中からは開けられず、窓と非常ボタンはありますが、押されたかどうか分からないとのこと。時間が経っても出て来ないのを不審に思った従業員が見に行った時は、入室から50分後だったにもかかわらず、扉は閉まったままで、気圧が低い状態が続いていた模様です。我が家から歩いてすぐの東入間警察署は、業務上過失致死の疑いを視野に、現場検証を行ったそうですが、その後の発表で、「二人に病変は無い」とのことなので、事故死ということですね。警察官たちが駆け付けて、開けるのに30分以上かかったそうです。気圧差のためだそうですが、後日いわき市のメーカーの人が来て調べて、目立った故障は無いとのこと。どうなっているのでしょう?全国に多数販売しているそうです。
天然温泉・真名井の湯
 男性は嘔吐していたそうです。恐らく潜水病のような症状になり、非常ボタンさえも押せない状態に陥ったと思われます。なんというお気の毒な・・・。この施設は72『夏〜野球〜湯』(2014年7月23日)で紹介したばかりです。我が家は頻繁に利用してきました。「パスカル健康房」は、筆者は入ったことは無く、原理も知りませんでしたが、妻と娘は一緒に入ったことがあるそうで、飛行機に乗って上昇しているときの感じで耳がキーンとなるそうです。筆者は技術者なので、圧力調整などもビジネスでした。クリーンルームなどは室内を陽圧にして、外部からのダーティーエアの侵入を防ぎますが、遺伝子操作や菌の検査室などは減圧して、内部空気が外に漏れないようにします。「パスカル健康房」は、15分で減圧し、標高3,500m相当の気圧を15分保ち、また15分かけて常圧に戻すという1段台形プログラム制御だったようですが、そもそも何故減圧が体に良いのでしょう?人間の体は、このような急激な変化に耐えるには相当訓練しなければならないはずです。急速な圧力低下で、体内に溶け込んでいた窒素が気泡化し、血管を閉塞するのが減圧症で、潜水症とかケーソン病と呼ばれます。高山病は低酸素によって起きますから、これではないでしょう。減圧症は、例えば西伊豆でスキューバダイビングして、高圧状態を経験した後、箱根越えで帰る時などに良く起きるそうです。対策は純酸素吸入して窒素を追い出すようです。機械は必ず誤動作があります。特に人命に関わる場合は、緊急脱出とかフェイルセーフの機能が必須です。改めてニュースを見て驚きました。どうしてこのような部屋が許可されていたのでしょう?圧力の場合は、緊急だからと言ってバーンとパージリリースしたら、人体には強烈なショックを与えるのでそれもできません。とっても難しいのです。このような事故に遭われたお二人のご冥福をお祈り申し上げます。事故があると私も一挙にひとりぼっちの男やもめになっていたかもしれません。
(2014年10月4日)


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