104  統一地方選挙

 3月になりました。前回、バブルが崩壊して、その教訓から「羹に懲りて膾を吹く」人もいるでしょうが・・・と書きましたが、この言葉の意味が分からない方もおられたと思うので解説します。羹(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く、というのは、熱い吸い物を飲んでやけどをしたのに懲りて、冷たいなますも吹いてさます・・・、前の失敗に懲りた余り、必要以上の用心をすることのたとえです。出典は中国の『楚辞』です。

■ 西川農相の辞任
 安倍首相の念願は「戦後レジームからの脱却」です。中でも安保法制の改定やTPP妥結、農協改革が悲願です。いま、西川農相の辞任は何故でしょう?マスコミの報道をマトモに受け止めてはいけません。国会審議に余分な波乱を来たさないためと西川大臣は辞任の弁を述べましたが、直前まで辞任しないと突っ張っていたのに一転辞任でマスコミはビックリしたとのこと、茶番です。西川大臣は農水族、TPP交渉が大詰めで、もう用無しです。後は甘利大臣に任せれば良いし、後任は林氏の方が余程安心です。TVで農協バンクのCMを急に見るようになりましたね?農協が危機感を抱いているからCMを打っているのです。そもそも全中は自民党の過去もっとも頼りになる盟友でした。それを切る、農水族にとっては耐えられないことでした。4月の統一地方選挙でどういう反動が出てくるか、西川大臣を切って、また別の農水関連の役職を与えておけば良いのです。首相官邸の素早い動きは、他の閣僚や自民党内、公明党にとっても寝耳に水の素早さです。
 この問題で来年度予算案の年度内成立は困難となってきました。野党がこれまで巨大与党に押され、かつ世論調査でも安倍人気に圧倒されて攻め手を失っていたときに、西川問題は降って湧いた数少ないチャンスです。しかしこんな問題で安倍総理の言う「改革断行国会」が空転して良いのでしょうか?野党からしてみれば、憲法改定は統一地方選挙後の国会案件ですが、今はまず、このゴタゴタを利用して態勢立て直ししたほうが良いという戦略でしょう。

■ 公明党の立党の精神は?
 もうひとつの懸案:安保法制の改定には公明党がネックです。不安要素である与那国島への陸自配備の住民投票は、配備賛成側が多数となり、官邸にとって久しぶりに胸を撫で下ろす結果だったでしょう。ただこれは辺野古問題と違い、与那国島の住民とすれば、中国の脅威は現実の問題で、自衛隊が来てくれれば安心という面があります。それ以上に自衛隊員が落とす金がありますし、過疎化が進む地方では住民が増えることは歓迎されることです。基地建設工事が今後進むに連れて、防衛省職員の移住が増えて行きます。これに伴って、今後の与那国町長選挙は従来のような拮抗した情勢に変化が出るでしょう。
 安倍総理の進める安保法制の改定に対しては、過去自民党の重鎮だった野中、古賀、山崎といった方たちが、まるで野党のように反対しています。戦争を知る世代として、再び暗黒の時代へ日本国民を引き摺り入れてはならないという使命感からでしょう。ところが公明党は戦争を知らない世代の山口、北側、井上といった幹部が安倍総理の意向を丸呑みする方向であり、若手の議員達が反発する場面が見られます。そもそも公明党は平和を守ることが立党の精神だったはずで、それを主張して当選してきた議員達からすれば、話が違うよ、ということでしょう。官邸の本音は、公明党が抵抗するなら、場合によっては切っても良いということです。世論調査の結果を踏まえつつ、公明党にダメージが行くように仕向けながら、統一地方選挙への情勢づくりをして行く狙いと見えます。ただし自民党の高村副総裁や谷垣幹事長の考えは公明党とあくまでタッグを組んで行きたい意向であり、「自民党公明派?」の大島理森氏に頼んで公明党の漆原氏と接触し、自公幹部会談(高村・谷垣 − 北側・井上)をセットして、首相官邸の思惑通りに行かせないようにガードしながら、安倍総理の進める安保法制の改定にソフト路線で協力を求めているわけです。

■ 知事選挙おおむね無風、与野党対決連敗脱出成るか?自民党
 統一地方選で行われる10知事選(3月26日告示、4月12日投開票)、自民、民主両党の対決の構図となるのは北海道と大分県の2道県にとどまる一方、6県で両党が現職に「相乗り」する方向となっています。政党の存在感が薄れているのです。北海道と大分県は、いずれも、自民党が現職を支援し、民主党が新人を推す構図となっています。神奈川、福井、奈良、鳥取、徳島、福岡の6県では、自民、民主両党の党本部や、地元組織が現職を支援する「相乗り」の構図となっています。民主党は、岡田代表の地元の三重県と、島根県で独自候補擁立を断念しました。
 自・民対決の知事選では、自民党は滋賀、沖縄、佐賀と3連敗です。沖縄はそもそも自民党だった翁長那覇市長を、「辺野古埋め立て反対」の1点で大同団結した陣営が、オール沖縄のような構図で担ぎ出して自民に対抗し、自民が負けました。国政では小選挙区制ですから少ない得票率でも勝てますが、データ上、自公対オール野党になれば自公が負けるというのが世論調査の結果です。佐賀県では農協が自公支持の対立候補支持に回ったため、与党支持候補が予想を覆して負けました。

■ 大分県知事選
 大分県知事選は、2014年11月に出馬を表明した広瀬勝貞知事(72)の陣営が、4度目の選挙に向け着々と組織を整えています。自民党県連と公明党県本部が支援しています。これまでは共産党候補との戦いだったので、事実上無風でした。ところが今回は、釘宮磐大分市長(67)が立候補、現職知事対県都首長の戦い、何やら沖縄と似たように見えますが、共産党はじめ、造園業者も出馬するようですし、辺野古のような明確な争点があるわけでもありません。釘宮陣営は全県的な態勢づくりが急務で、地盤の大分市以外にいかに支持を広げるかが焦点となるでしょう。連合大分はこれまで広瀬知事と釘宮市長をそれぞれ支持してきたため、今回は自主投票としました。
 問題は農協です。大分県は農業が有名で、しかもつぶやき353『農協』(2009年10月18日)で紹介したJA大山のような先進的な農協があります。JA大山の活動を全県に展開した平松守彦前知事による「一村一品運動」でのむらおこしは、日本のみならず世界各国でも注目され、1995年にはアジアのノーベル賞と言われるマグサイサイ賞を受賞しました。さらに平松前知事は、アジアで活躍できる人材育成が必要であると考え、大学誘致を提唱して、それに賛同した京都市の学校法人立命館が別府市に立命館アジア太平洋大学(APU)を2000年に開学しました。今や別府に溢れるアジアの若者達は温泉と並んで名物になっています。これに着目した大手企業が社員を送り込んで、英会話を学ばせています。名知事と謳われた平松氏は6期24年と、異例の長期間務め、2003年(平成15年)に退任して後継指名した広瀬氏が知事となったわけです。大分県では、農協が支持する知事が強いと思われます。広瀬知事は平松時代の大型案件を止めて、行財政改革に努め、徹底した現場志向で県内を歩き回って県民の声を聞いたので、大分県民からは人気があります。しかし高齢と多選に加え、自公から支持されたことが逆に心配になりました。安倍内閣の農協改革に、農協がどう反応するかが勝敗の決め手になると思います。

大分県日田市の大山町農協

■ 北海道知事選
 北海道知事選は、民主党道連が独自候補の擁立を断念、既に出馬を表明しているフリーキャスターの佐藤のりゆき氏(65)を支持する方向となりました。四選を狙う現職の高橋はるみ知事(61)との事実上の一騎打ちになるでしょう。すでに「新党大地」は佐藤支援を決めていて、これに民主だけでなく共産や社民も乗っかって、自公の推薦する高橋知事との与野党激突の構図になりそうです。佐藤氏の出馬表明は昨年11月で、与野党一騎打ちの構図になるのが遅れたのは、民主党の横路孝弘・道連会長が独自候補にこだわったからで、擁立断念の責任を取って2月15日付けで会長を辞任しました。佐藤陣営は、昨年の沖縄県知事選挙のオール沖縄における翁長陣営と似たように見えますが、実は微妙なバランスの上に成り立っているように見えます。鈴木宗男氏が共産党批判をしたりしています。沖縄では辺野古問題1点で野党が団結しましたが、そこまでの争点が無いからです。
 これまでの報道では、現職の高橋知事が頭一つ抜けているとのことでした。佐藤氏は元北海道放送のアナウンサーで『北海道のみのもんた』と呼ばれるほどの地元の有名人で、主婦層に人気があり、与野党対決の構図になれば、知名度があるだけに侮れないと見られます。勝ち目が出てくれば、安倍首相が進める農協改革を苦々しく見ているJA北海道も佐藤支持に回る可能性が出てきます。JA北海道は全国のJA組合数の約16%を占める日本一の大所帯で、組合員数は約35万人に上ります。JA北海道中央会の会長で、全中の副会長も務める飛田稔章氏は、「今回の改革が、農業所得の増大にどのように結びつくのか、明確な説明はない」と、安倍内閣の農協改革に批判的な声明を出しました。高橋陣営の関係者は「大詰めを迎えているTPP交渉や、地方が恩恵を受けていないアベノミクスへの不満も根強い。応援してくれるはずの農家が反乱すれば、致命傷になりかねない」と不安げに語っているそうです。過去3回の知事選で全面支援してくれたJA北海道が陣営から「離反」したら、命取りになりかねないからです。安倍自民の連敗が続くかもしれない、と官邸も焦り始めた模様です。

■ 埼玉県吉川市長選挙
 埼玉県の吉川市長選挙の結果が波紋を拡げています。吉川市長選は2月22日投開票され、無所属新人で元県議の中原恵人(しげと)氏(44)が、五選を目指した無所属現職の戸張胤茂(たねしげ)氏(67)=自民、公明推薦=を破り、初当選を果たしました。当日有権者数は53,721人で、投票率は48.98%(前回39.46%)でした。
 最近の地方選挙は無投票が増加しています。今回の選挙でも投票率が50%以下です。ただ、多選批判や、箱物で借金を増やす行財政を改革するなどという争点になると、ある程度関心を集めます。今回の選挙戦では、4期16年間続いた戸張市政への評価が争点になりました。4期勤めるというのはフツウ名市長です。これに対し中原氏は、市庁舎の建て替えやJR吉川美南駅の周辺開発、第四中学校の建設など市事業の再検討とともに、市長報酬の20%削減を公約に掲げました。情報公開の徹底やまちづくりに対する市民参加の重要性も強調し、「しがらみや利益ではなく、市民の熱い気持ちで吉川をつくりたい」と訴えて幅広く支持を伸ばし、激戦を制しました。過去実績や国、県と築いたパイプをアピールし、市庁舎建て替えなど主要事業の継続を主張、自民、公明の市議らの支援も受けましたが、及びませんでした。
 このように地方選挙では、国政とは違った争点になります。しらけている多数の有権者を投票に向かわせる争点作りも、候補者にとっては大事です。戸張氏は4期勤めた名市長ですし、まだ高齢批判を受けなくて良い年齢です。何故負けたか?借金を増やしたくないとかいうのなら分かりますが、まさか「飽きた」?ジョウダンじゃなく、それもあるでしょう。3期を越えたら、当人がそのつもりが無くても、権力に擦り寄るヤカラが周辺に集まって来ます。スパッと後継者にバトンタッチするのが理想です。今回は、「自公推薦」というのが、地方選挙では仇になることがあって、このケースではないでしょうか。地方選挙では、政党色を出さないほうが無難です。
 中原氏の、「市長報酬の20%削減」公約も気になります。こういう公約を掲げて選挙を戦う地方首長選を最近良く目にしますが、これは間違っているのではないでしょうか?首長から議員、公務員まで皆削減というのなら分かりますが、たかが首長ひとりの報酬をカットしたところで、それこそたかが知れています。事業収入や政治献金がタップリあるから削減して良い?と疑われるのがオチじゃないですか?首長報酬しか収入が無いのなら、削減しないで一生懸命がんばってください、と言いたいものです。

■ 韓国朴大統領就任2年、足許危うし
 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が就任してから2年が過ぎました。朴氏はこの間の経済成長を成果として誇るものの、非正規職をめぐる問題や、各家庭が抱える負債などの問題が改善せず、内政も手詰まり感が強くなっています。残る任期は3年もありますが、この1年で大きく落ち込んだ支持率の回復は見通せない状況です。
 韓国では1997年以降のアジア通貨危機でIMFの支援を受けた経験から、「企業が生きてこそ人を雇える」との考え方で、企業のための政策が多くなりました。この結果一部の財閥が巨大化しました。韓国統計庁によれば、非正規労働者の数は増え続け、2014年8月時点で607万7千人となり、全労働者の32.4%、すなわち3分の1を占めるまでになりました。契約期間が終われば解雇の対象になります。
 正規労働者の月収が2014年6〜8月の平均で260万4千ウォン(約28万3千円)だったのに対し、非正規の場合は145万3千ウォン(約15万8千円)と半分程度だそうです。格差が拡大し続けていますが、かつての日韓の労働者賃金は大変な差があった事を考えますと、いかにこの「失われた20年」で差が縮まったか分かりますね。
 朴槿恵大統領は、与党セヌリ党内での求心力も弱まっています。金武星(キムムソン)・党代表が国会演説で朴大統領の公約「増税なき福祉」を批判、「増税なき福祉」について「不可能だ」と言い切り、「政治家がそういう言葉で国民をだますことは望ましくない」と言いました。昨年は税収が予想より11兆1千億ウォン(約1兆2,057億円)下回るなど、税収不足が続いていると指摘し、財政の健全性を保つには「福祉予算を全面的に点検しなければならない」と訴え、朴政権の重要政策の変更を迫りました。
 党院内代表選では、朴大統領のもとを離れた議員が大統領に近い「親朴系」議員に勝利、金代表とともに与党のツートップを「非朴系」が手中にしました。朴大統領の支持率も就任以降の最低を更新し続けており、来年に総選挙を控えて厳しい政権運営を迫られそうです。

■ 間違いのヤジを飛ばした恥かしい首相
 「日教組!」「日教組どうするの!」・・・先日の国会の予算委員会で、西川公也前農相の政治資金問題を追及していた民主党議員に対して、安倍晋三首相がヤジを飛ばした問題、大島理森委員長にたしなめられてもヤジりつづけるのが、ナント!首相だったのです。いやはやなんという品の無い首相か・・・とガッカリしました。翌日にはヤジのことを追求されて、「いわば日教組は補助金をもらっていて、そして、教育会館というものがあるが、その教育会館から献金をもらっている議員が民主党にはおられる」と答弁しました。ところが、この発言は事実無根であることがわかり、安倍首相は「文科省で調べた結果、2012年度までの10年間の決算書を確認した限り、議員献金という記載はなかったということだった」「私の記憶違いにより、正確性を欠く発言を行ったことは遺憾で訂正申し上げる。申し訳ない」と、しぶしぶ謝りました。
 そもそも、政治資金問題を追及する民主党議員に対して、話を逸らすヤジを飛ばすことは、一議員の行動としても恥ずべきもので、しかも首相がそれを行うなんてことは品格が疑われます。そして、さっさと謝ればいいものを、答弁で嘘の情報まで堂々と述べ、追い詰められてようやく謝罪しましたが、ヤジを飛ばしたことについては、一切謝っていません。往生際の悪さや、都合がよくないと開き直るという姿を、NHKの国会中継で堂々と披露しました。何をかいわんや、という感じで、恥かしい・・・

■ 「戦後70年」談話
 3月1日(日)TBS朝6時からの時事放談は二階俊博・自民党総務会長、増田寛也・元総務大臣を迎えて行われました。ゲストはリベラルな人を呼ぶので、右翼からは「国賊番組」となじられています。中曽根康弘氏、野中広務氏、塩川正十郎氏、藤井裕久氏、渡部恒三氏、加藤紘一氏、武村正義氏などがゲストなので、これで国賊と言うのは???ですね。我が妻のハトコである増田寛也氏が良く出るので見ることが多いのです。この番組には石破大臣や塩崎大臣が呼ばれたりするので、安倍内閣の閣僚と言えど、この二人の政治スタンスを番組がどのように見ているか分かりますね。石破大臣は安倍総理の最大のライバルなので、幹事長の後は大臣として取り込んでいるわけですが、ヤクザもビビルような顔なので損していますが、自民党の総裁選挙で党員からの投票トップだったことが示すように、広範な層に目配りできる包容力を持っています。国会答弁などで、時に先のヤジなどの幼児性を顕したり、イライラする仕草を見せる安倍首相と違って、落ち着いて貫禄があります。
 国会では、ここに来てやにわに「政治とカネ」の問題で西川農水大臣が辞任。後任に前任の林農水大臣に交代の事態です。これを受け、野党は「政治とカネの問題」の追及に勢いづき、与野党の攻防が激しくなってきました。本来はこんなことを国会で議論するのではなく、国民のために債務削減をどうするか、与野党が額を突き合せて協議すべきだと考えます。
 一方、官邸では「戦後70年」の談話に向けて有識者の議論がスタート。中国、韓国だけでなく、日中・日韓関係を心配するアメリカも注目です。この日の時事放談はこれがテーマでした。なんか、いやな予感。

増田寛也氏

■ ホンダの社長交代
 ホンダは伊東孝紳社長(61)が退任し、八郷隆弘常務(55)が次期社長に就任することで、一気に経営トップの若返りを図ることを発表しました。ハイブリッド車(HV)や自動車部品大手タカタ製エアバッグのリコール問題などで2015年3月期に3年ぶりの営業減益を見込むホンダ、TOYOTAとの違いが際立ちます。八郷氏は逆風の中での船出となります。
 伊東社長は社長交代会見で、最近の経営状況の厳しさに言及しました。伊東氏の就任は、リーマン・ショック後の2009年6月で、このときも嵐の中の船出でした。「世界6極体制」の構築を図り、メキシコやタイなどで新工場建設を決め、国内でも軽自動車「N−BOX」などを投入して大ヒットさせました。ところが2013年秋に発売した主力小型車「フィットV」などで、ハイブリッドシステムの不具合から急発進やエンジン停止の恐れが発覚し、1年余りで計5回のリコールを届け出て、品質チェックを強化した結果、新車の投入が遅れ、国内では販売台数目標の下方修正を余儀なくされました。

ホンダジェット
 トヨタ自動車との差は開く一方で、2015年度に市販予定の燃料電池車(FCV)など「次世代カー」や、自動運転技術など業界内での開発競争も激しさを増すなかで、八郷氏は「今年は今までやってきたことが花を咲かせる時期だ」と意欲を示しています。
 ホンダは故本田宗一郎氏が創業した国内販売2位の自動車メーカーです。1946年、浜松市に本田技術研究所を開設し、1949年に二輪車、1963年に四輪車の生産を始めました。除雪機や芝刈り機などの生産・販売も手掛け、小型発電機や小型耕運機もヒット商品です。人型ロボット「アシモ」や、納入間近の小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」など、個性的な製品も作っています。独立色が強く、軽自動車では国内大手メーカーで唯一、相手先ブランドによる受託生産(OEM)に関わっていません。2014年3月期の連結業績(米国会計基準)は売上高が11兆8,424億円、営業利益7,502億円、最終(当期)利益5,741億円。

■ トヨタの社長は広告塔

女性レーサーと2ショット、TOYOTAの豊田章男社長
 HONDAの八郷新社長が品質問題に区切りをつけ、業績反転につなげられるか、重い課題がのしかかります。しかし筆者は大丈夫だと思います。その根拠は、「八郷隆弘氏の顔が良い」ということです。伊東孝紳社長には申し訳ありませんが、人間は顔です。社長の顔が良いから業績が良くなる、なんてことはありませんが、社長というのは企業の顔です。企業の業績が社長の顔を作るのです。豊田章男社長を見て下さい。御曹司だと揶揄する人がいるかもしれません。しかし、米国からあれだけバッシングされてもへこたれない、米国議会に呼ばれても胸を張って答える、米国の工場でTOYOTAの今があるのはあなた方のお蔭です、と米国人工員の前で涙する、この姿を見たら、米国政府はともかく、米国民は豊田章男を支持するでしょう。しかも豊田章男はレーサーとして自ら広告塔となり、美女と写真に納まってもカッコイイ、東日本大震災が起きたら、東北でクルマ作りをして支援すると打ち出す、やることがイチイチTOYOTAの企業イメージを上げるのです。社長というのはカッコイイ必要があります。八郷新社長、頑張れ!
岩手、宮城両県知事と豊田社長

■ JR東日本は不公平?
 東日本旅客鉄道(JR東日本)がシニア向けに発売した割引切符に若年層からのため息が聞こえています。あまりにもシニアに有利であるというのがその理由ですが、何が背景にあるのでしょうか。話題となっているのは、現在、JR東日本が売り出している「大人の休日倶楽部10周年」を記念した割引切符(右)です。スミマセン、3月6日から4日間、これを使って、東北ツアーしてきます。 感謝を込めて 大人の休日10周年パス発売
大人の休日倶楽部10周年パス 2/26〜3/10
 このパスは、東北・関東エリア限定ですが、何と1万5000円で、4日間、新幹線を含めた全線が乗り放題になるという商品です。しかもJRだけでなく三陸鉄道や伊豆急行などもその対象になりますから、まさにどこにでも行ける切符というわけです。この切符は、 50歳以上の人を対象とした「大人の休日倶楽部」の会員であることが条件ですので、50歳未満の人は利用することができません。ちなみに、大人の休日倶楽部にはミドル(50歳〜)年額2,575円、ジパング(女60歳〜、男65歳〜)年額4,285円、ジパング夫婦会員年額7,320円の年会費が必要です。
 大人の休日倶楽部割引切符は各種あります。このサービス内容が報じられると、シニアに対するあまりの好遇ぶりに、若年層を中心にインターネット上では落胆の声が飛び交いました。期間限定とはいえ、1万5000円で乗り放題というのは、確かに破格の条件と言ってよいでしょう。

■ 空気を運ぶより、安くても客寄せしたい
 若者にとっては不愉快かもしれませんが、利用者動向からすると、このような商品が出てきても何ら不思議ではありません。日本は高齢化が急速に進んでいますから、新幹線をはじめとする幹線鉄道の利用者は年々、高齢者にシフトしています。若い人はなかなか時間も無いし、ほかの事にお金がかかって遠距離旅行するゆとりがありません。特に、新幹線をはじめとする幹線移動の交通機関は運賃が高いですから、稼ぎの少ない若年層はおいそれと乗れるものではありません。ビジネス客は雇用側がお金を払ってくれますから、高くても安くても必要経費なので、特段の配慮は不要です。近年、中高年の旅客数は極めて大きな伸びを示しているのに対し、若者の旅客数が減少しているのは、遊びで乗れないからです。利用者の半数が50歳以上という状況ですから、鉄道会社にしてみれば、中高年が最大の顧客ということになります。また今の中高年は元気であり、以前にくらべて旅行への支出が大きいという面もあると考えられます。
 年金生活者などは、仕事の旅ではないので、安ければ出かけようと考えるのです。鉄道というビジネスは典型的な設備産業ですから、事業の運営コストのうち、設備投資の割合が高いという特徴があります。これらはすべて固定費ですから、どんなに割引をしたとしても、空気を運ぶより、数多くの顧客を乗せた方が鉄道会社にとっては得なのです。最近では、あらゆるビジネスが高齢者をターゲットにしているわけですが、鉄道の場合には、コスト構造などの関係からこうした傾向が顕著になっているわけです。

■ サウナ通いに寿命延長効果
サウナに定期的に通っている男性は、それほど頻繁に行かない男性に比べて長生きし、突然の心臓発作で死亡する確率も低いとの調査結果をまとめた研究論文が、米国医師会雑誌(内科学)「Journal of the American Medical Association Internal Medicine」に掲載されたそうです。サウナと言えば、フィンランドを思い浮かべますね?寒さが厳しいフィンランドでは、サウナ通いは広く行われており、良好な健康状態とくつろぎをもたらすと考えられています。
 東フィンランド大学(University of Eastern Finland)が主導した今回の最新研究では、同国東部在住の中高年男性(42〜60歳)2,315人を対象とした調査で、突然心臓死、冠状動脈性心臓病による死亡、心疾患による死亡、そして全死因による死亡などのリスクとサウナ入浴との関連性を詳しく調べたところ、調査対象の中高年男性は、全員がサウナに行っていましたが、通う頻度は人によって多い少ないの差がみられました。追跡調査期間は、ナント!平均21年間だそうです、息の長い調査ですね。
 突然心臓死リスクについては、サウナに行く頻度を週1回と申告したグループと、週2〜3回としたグループとを比較した結果、頻度の多いグループは突然心臓死リスクが22%低く、週に4〜7回通っているグループは、週1回のグループより63%リスクが低かったそうです。同様に、冠状動脈性心臓病リスクに関しては、週1回のグループに比べて、週2〜3回のグループは23%低く、週4〜7回のグループは48%低いという結果が得られたとの論文でした。
 心疾患による死亡リスクでは、週1回のグループに比べて、週2〜3回のグループは27%、週4〜7回のグループは50%それぞれ低く、全死因死亡率を調べた結果では、週2〜3回のサウナ入浴は24%の死亡率減少に関連していることが分かりました。週4〜7回のサウナ入浴は40%の死亡率減少に関連していました。
 また、サウナ室に19分以上継続して入ることは、11分足らずで出るより効果が高いように思われたということですが、結論では「サウナ入浴と心臓血管の健康とを関連付けている潜在的メカニズムを立証するには、さらに研究を重ねる必要がある」そうです。

市川由紀乃;「海峡岬」がヒット中
さいたま市(旧浦和市)出身です
 筆者はオタクですが、実はサウナオタクでもあります。ただ、19分以上継続して入るというのは何℃でしょう?普通のドライサウナの90℃では無理です。

■ 日本国債「将来的なリスク」・・・黒田総裁”オフレコ発言
 先々週の経済財政諮問会議で日銀・黒田総裁が日本国債の将来的なリスクについて言及したにもかかわらず、議事要旨から削除されていたことが報道されました。財政健全化がテーマのこの諮問会議の出席者によると、日銀・黒田総裁は、「日本国債が格下げされた状況の中、ヨーロッパでは国債のリスクがないというのはおかしいという議論になっています。今後、安全資産とされている日本国債を持っていることがリスクになり得ます」と発言し、財政健全化に取り組むように主張したそうです。こうした発言はマーケットに影響を与える可能性があるので「オフレコにして下さい」と前置きされたため、議事要旨から削除され、緘口令も敷かれました。黒田総裁は金融機関の国際ルールでは自国通貨の国債はリスクをゼロと規定していますが、海外では国債もリスク資産とみなし、規制を強化すべきだという議論が始まりつつあり、議論が本格化した場合、大量の国債を持つ日本の金融機関が、格付け次第では国債を手放し始める可能性もあり、その結果として国債が暴落し、金利が急上昇する危険が出て来る、そうならないように財政健全化を進めるべきだと発言したわけで、これは正論中の正論です。国会がこれを最大課題として取り組むべき時に、先のように政治資金問題をガチャガチャやって、首相がヤジ飛ばしたりしているのですから、何ヤッテマンネンと言いたいところです。

■ 第38回日本アカデミー賞は「永遠の0」が8冠
 第38回日本アカデミー賞の授賞式が行われた2月27日、偶然にもこの映画を伊香保で見ていました。山崎貴監督の「永遠の0」が作品賞や監督賞、主演男優賞(岡田准一)、編集賞、美術賞、撮影賞、照明賞、録音賞という最多8部門で最優秀賞に輝きました。岡田准一は「蜩ノ記」で最優秀助演男優賞も獲得しました。
 「永遠の0」は百田尚樹氏のベストセラーの実写化です。天才的な飛行技術を持ちながらも、生きて帰るんだという信念を臆病者とののしられ、最期は太平洋戦争の特攻で亡くなったゼロ戦パイロットの祖父の足跡を孫がたどり、真相を知るまでを描いた作品です。史上初の主演&助演同時受賞となった岡田准一は「20年間、本当に怒られて、怒られ続けて」とV6というアイドルグループに所属しながら20本の映画に出演したことを振り返り、「映画人と認めていただけて…最高の日です」と感極まり、涙したそうです。特攻で散った主人公の妻は井上真央、NHKの大河ドラマ主人公の今をときめく役者をそろえましたが、ストーリーは別になんということもなく、感動することもありませんでした。映画とが好きな筆者ですが、他にもっとスゴイ作品が出ないものか・・・・
 最優秀主演女優賞は「紙の月」の宮沢りえ、最優秀助演女優賞は「小さいおうち」の黒木華でした。順当です。

面白い話・・・テレビで、「クイズに答えて壁紙プレゼント」をやっているのを見て、おばあちゃんが孫に言いました。「そのスマホですぐ応募して!トイレの壁紙が色褪せてきたから張り替えなくちゃ!」--->孫は「・・・・」

「永遠の0」のポスター
(2015年3月1日)


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