105  大丈夫

 東北ツアーの真っ只中です。すみません、只今東北に居ります。初日は仙台のもうすぐ94歳になる母を見舞い、1泊目は鳴子温泉、2日目は雫石で正月葬式した従兄の奥さんに焼香してから盛岡へ、妻の弟がこの日還暦なので兄弟で祝賀会、そのまま宿泊、この家は増田寛也さんのお母さんの生家の向かいです。
3日目は青森に向かい、浅虫温泉泊、4日目は青森から盛岡に途中下車、岩手大学に寄って、埼玉へ帰ってきます。大人の休日倶楽部10周年記念パスのお蔭です。

■ サイボウズの広告が大反響
 サイボウズのワークスタイルムービー「大丈夫」が評判です。YouTubeでこの広告を見られます。「サイボウズ」という会社は、グループウェア「サイボウズ Office」シリーズなどを提供し、近年はコラボレーションツール市場における地位を確立している企業です。社内でのスケジュール管理などに同社製品を使ったことがある方も多いのではないでしょうか。サイボウズがこういうムービーを制作したのは、我が社は働くママに優しいシステムを持つ企業ですと言うアピールで、女性をリクルートするのが目的でしょう。いったいどんなムービーなんでしょうか?
 子どもがいながら働いている女性、育児と仕事の両立に悩む女性、このムービーはそんな働くママの心の叫びをひとりの女性を通して描き出しています。演じているのは女優の西田尚美さん。NHKの朝ドラ『マッサン』で、広島の実家の酒造店で、主人公の姉を演じました。コミカルな役も演じられる女優で、このムービーでは、ひとりの男の子のママという設定です。
 息子が熱を出してしまい、会社を急遽早退することになった女性、申し訳無さそうに会議を抜け出し、小走りで保育園へ急ぎます。病院へ行くにも今日はもう閉まっているから、明日の朝に連れて行かなくては、と焦ります。

「はやぶさ」の車中、会社員と旅行の老人でギッシリ
 朝に熱があれば保育園にも行けないから、「お婆ちゃんかぁ、遠いから悪いしな・・・・、でも絶対明日は会社休めないし」 「ってことは今日もまた寝られないな」と呟きます。抱っこをせがまれて、重い子どもを抱き上げて、とぼとぼ帰宅している坂道で、子どもが小さな声で「ママ、大丈夫?」と心配する声・・・、その健気な一言を受けて、ママとしてキチンと子どもを見つめられているだろうか、働く女性としてキチンと仕事できているだろうかと自問します。そして、子どもをギュッと抱きしめて、「大丈夫大丈夫」と頷くのです。
 ●共働きなのに、こういうときのお迎えは私の出番っていつ決まったの?
 ●今日の会議はけっこう大事だったのにな
 ●明日だってぜったい休めない仕事があるのに
 ●病児保育の予約できるといいんだけど(空きがないことしょっちゅうだし)
このイライラをいったいどこへぶつければいいの?って泣きたくなるものの、そのあとには罪悪感が襲います。「私はきちんと仕事できてるだろうか?」 「きちんと子どもを愛せているだろうか?」 「自分を愛せているだろうか?」・・・
 このCMに対し、ネットで多くの声が寄せられました。
@ 今の私の状態と同じ。来年やっと小学生。保育園よりも小学一年だと半年間はほぼ午前中で終わり。頭が痛いです。子供を犠牲にしたくて働いているわけでもなく、全く食べれないわけでもない。しかし、子供がもう少し大きくなってからとブランクを作ってしまうと、今までの職歴を生かす仕事にはつけない。ブランクの時間と自分の年齢、再就職には大きな壁になります。次の仕事がなくなるから、育児をしながらも、身を粉にしながらも、自分を愛せない状態になっても、働いてしまう。子供を育てることも一つの仕事ですが、一社会人として女性は仕事をしてはいけないのでしょうか。
A 夫は共働き家庭で育ちました。冬の寒い日、学校から冷え切った暗い家に帰るのは今でも辛い思い出だと言います。だから彼は妻を子育てに専念できるようしっかり稼げる男になろうと勉強したと言います。結婚生活38年間、私は専業主婦で来ました。数年前までは息子二人を一人前にすることだけに一生懸命でした。夫の妹も専業主婦で4人の娘を育てました。鍵っ子兄妹二人は、自分たちは子供を預けたり鍵っ子にすることを選びませんでした。働く女性の視点から作られた映像で、これはこれでとてもジーンとしました。頑張ってねと心から応援しました。年金、労働者不足などいろいろ日本が抱える問題はあるでしょう。でも、国は子供の気持ちももっと考えて政策を考えて欲しいなと思うのです。
B 泣きました。仕事に行く時より、帰りの自転車、早くなってる。いつ保育園から電話がくるかと、ドキドキしながら仕事する。それでも、働いて、家事もして。私も娘に言われた。疲れて、いろいろ自信なくした時、ママ、大丈夫?と。思い出したら泣けてきた。お願いです。パパさん逹、ママさんに寄り添い、支えてください、少しでも良いから。
C 私も同じ立場です。子育て、家事、仕事。すべてをこなすことが、どんなに大変か、やらないと絶対にわかりません。口では何とでも言える。私も、親になって初めて親の苦労が身に染みました。特に母親の。今は母親には本当に感謝しかありません。こんなに大変だったのかと。こんなに葛藤したのかと。こんなに身を粉にしてくれたのかと。そしてこんなに愛してくれたのかと。男性は働けばそれでいいのではなく、もっともっと家事や育児に参加するべき。支え合えなければ夫婦ではない、家族ではありません。

■ 働くママたちに、よりそうことを
 ムービーの最後に出てくるのが、”働くママたちに、よりそうことを。” ”サイボウズは応援します。”というフレーズです。皆さんはこのムービー、どう感じますか?企業として、働くママを応援しますという意図はよく分かります。しかし、このムービーに父親が登場しないのは何故でしょう?本来は、働くママは両親や夫に支援を求めたいはずです。上の声にもありましたが、妻を働かせず、その分自分がしっかり働くと言う夫の姿勢も良いと思います。しかし妻を家庭に閉じ込めず、働く妻を応援しようと言う夫もまた良いと思います。収入のために働くだけでなく、働くことで輝き続ける女性でありたいという人も居ます。核家族化のもたらす社会現象がこのムービーに現れていると思います。祖父母がいる昔ながらの家庭なら、孫の面倒を見てくれます。しかし昔の母親は家事が大変で、外に働きに出ることが出来ませんでした。今だからこその現象です。働く女性に、夫の立場として何ができるか?同僚として何ができるか?社会として何ができるか?どうやって手を貸せるか考えることこそ寄り添う第一歩でしょう。母親の悩みを多くの人たちに訴えるきっかけを作ったという意味では、このムービーはとても価値があると思います。ただ、自分も子育ては妻任せだったな、と反省します。
宿泊した鳴子ホテル、鳴子温泉駅前の13階建ての大きな宿

■ 日本人旅行者の減少で韓国旅行業界に「赤信号」
 韓国メディアのデイリー韓国は2015年3月2日、日本政府観光局(JNTO)の報告書を引用し、2015年1月に日本を訪れた韓国人旅行者数が、前年同期比で40.1%増の35万8100人で、国別の訪日外国人客数トップ、過去最高を記録したことを伝える一方、韓国を訪れた日本人旅行者数は1998年末の水準まで下落し、韓国旅行業界に赤信号が灯ったと報じたそうです。訪日外国人客数で中国は前年同期比45.4%増の22万6300人、台湾は前年同期比10.2%増の21万7000人などであり、単一国家で、訪日外国人客数が1月あたり30万人を突破したのは、日本が訪日外国人客数の統計を始めた1964年以来初めての出来事とのことです。
 この結果について、JNTOの関係者は「格安航空会社の新規就航や増便、外国人客を対象とする免税制度の拡大と円安の影響、また、テレビを通じ宣伝の拡大などが影響した結果だろう」と述べたと報じました。一方、1月の訪韓日本人旅行者数は、前年同月比18.9%減の13万9632人となり、29ヶ月連続で減少しました。これによって韓国の旅行業界は「大打撃を受けている」と紹介しています。

鳴子ホテルの8階の部屋から見た風景、湯煙が見えます
 訪韓日本人旅行者数が激減した理由は、円安の影響で日本人が海外旅行を控えていることと、2012年8月中旬以降の日韓関係の悪化や、北朝鮮の核問題に対する安全への不安が複合的に作用した結果だと韓国旅行業界の関係者は見ていると伝えました。

■ 職業別年収ランキング
 確定申告の時期です。サラリーマンはおおむね源泉徴収されるので、何か特別な収入や出費がなければ縁が無いのですが、自営業の人には重要なイベントです。あるサイトにあった職業別年収ランキングが下記、必ずしも正しいとは言えないかもしれませんが、目安にはなります。
  職業 年収 対象人数   職業 年収 対象人数   職業 年収 対象人数
内閣総理大臣 4,165万円 1人 プロ野球選手 3,743万円 752人 国務大臣 3,041万円 17人
中央省庁事務次官 2,432万円 12人 警視総監 2,295万円 1人 国会議員 2,228万円 722人
弁護士 2,101万円 2万人 知事 2,100万円 47人 開業医師 2,086万円 7万人
10 パイロット 1,713万円 2,920人 11 フジテレビ社員 1,567万円 1,367人 12 公認会計士 1,426万円 2万人
13 歯科医師 1,329万円 9万人 14 税理士 1,266万円 7万人 15 勤務医師 1,227万円 26万人
16 大学教授 1,153万円 4万人 17 不動産鑑定士 1,020万円 6,696人 18 大学准教授 917万円 2万人
19 司法書士 890万円 2万人 20 警察官 840万円 24万人 21 弁理士 827万円 6,040人
22 優良企業サラリーマン 808万円 97万人 23 記者 782万円 2万人 24 農家 765万円 369万人
25 高等学校教員 741万円 8万人 26 地方公務員 728万円 314万人 27 スチュワーデス 655万円 5,890人
28 国家公務員 628万円 111万人 29 電車運転士 620万円 3万人 30 行政書士 606万円 4万人
31 一級建築士 601万円 31万人 32 電車車掌 586万円 2万人 33 上場企業サラリーマン 576万円 426万人
34 消防士 572万円 15万人 35 各種専門・専修学校教員 538万円 4万人 36 市議会議員 528万円 2万人
37 薬剤師 515万円 5万人 38 社会保険労務士 511万円 3万人 39 気象予報士 480万円 5,246人
40 看護師 464万円 43万人 41 自動車外交販売員 454万円 7万人 42 営業用バス運転手 451万円 8万人
43 サラリーマン平均 439万円 4,453万人 44 プログラマー 412万円 14万人 45 ボイラー工 403万円 2万人
46 社会福祉士 390万円 6万人 47 百貨店店員 390万円 11万人 48 自動車整備工 387万円 16万人
49 漁師 378万円 23万人 50 守衛 374万円 2万人 51 大工 365万円 5万人
52 とび職 357万円 3万人 53 販売店員 352万円 49万人 54 調理士 352万円 23万人
55 栄養士 349万円 5万人 56 保育士(保母・保父) 340万円 2万人 57 保険外交員 337万円 18万人
58 介護福祉士 333万円 41万人 59 幼稚園教諭 328万円 6万人 60 用務員 322万円 2万人
61 娯楽接客員 319万円 15万人 62 警備員 315万円 16万人 63 観光バスガイド 307万円 7,310人
64 タクシー運転手 306万円 29万人 65 ホームヘルパー 299万円 3万人 66 理容・美容師 295万円 3万人
67 村議会議員 264万円 4万人 68 ビル清掃員 233万円 9万人 69 フリーター 106万円 417万人
公務員以外のサラリーマンのトップはパイロットですが、その次が「フジテレビ社員」というのが面白いですね。企業名が入っているのはこれだけです。新聞記者やテレビ局の社員が高給なのは知られていますが、その中でも特にフジテレビなのでしょうか。大変な仕事に従事している人ほど年収が低い感じです。農家が第24位というのは何かの間違いではないでしょうか?

■ 室井滋さんと遭遇
 ところで青森から浅虫温泉に向かう「青い森鉄道」の車中で、カメラマンなどテレビ局スタッフが何やら撮影しているのに遭遇しました。NHKの朝ドラ『花子とアン』で、花子の母親役だった室井滋さんが、高校生とねぶたの話をしていました。そして一緒に野内駅で降りて行きました。この鉄道の旅は、近々放送されるのでしょうが、どこの局なのでしょう?
 2009年5月1日より黒部峡谷鉄道一般列車の車内放送・沿線車窓案内のナレーションを担当しています。北日本放送の『北陸新幹線で行く! チョイと富山』とか、NHK BSプレミアム『人情たっぷり 東北ローカル鉄道をゆく 2013』に出演するなど、鉄道が好きのようです。FMとやま・FM山形 『室井滋のしげちゃん☆おはなしラジオ』など、ラジオにも出ていて、声が良いのでいろいろなナレーションを頼まれていて、超多忙です。たとえば、これから東京国立近代美術館、愛知県美術館にて開催の日本画家片岡球子の、生誕110年 片岡球子展の音声ガイドナビゲーターを務めます。
 室井滋さんは富山県出身、一人っ子だった小学校高学年のときに両親が離婚することになり、父親は、どちらと暮らすかは、自分で選択していいと娘に委ねたのだそうです。迷った揚げ句に出した結論は、父親とおばあちゃんと一緒に暮らすこと、その理由について室井さんは「“室井”という姓へのこだわり」だと言います。姓を変えたくなかったのだそうです。
室井滋
莞ットロード@室井滋
 その父は大学生のときに亡くなって、室井の名を継ぐのは室井滋さんだけになりました。室井さんは映画監督の長谷川和彦氏と30代から事実婚を続けています。結婚しない理由のひとつも、“室井”という姓なのだそうです。
 1981年、『風の歌を聴け』(大森一樹監督)で劇場映画デビューし、1994年、『居酒屋ゆうれい』(渡邊孝好監督)で第18回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など数々の映画賞を受賞しました。他に、『のど自慢』(1999/井筒和幸監督)、『OUT』(2002/平山秀幸監督)、『ゲゲゲの鬼太郎』(2007/本木克英監督)など様々な話題作に出演し、2012年には、日本喜劇人協会「喜劇人大賞」特別賞を受賞しました。女優だけでなく、ナレータ、エッセイスト、絵本作家など多方面で活躍している多才な女優です。そういえば山田洋次監督の「小さいおうち」にも出ていましたね。
(2015年3月8日)


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