69  絶滅危惧種

 昨週末は雫石〜盛岡〜仙台ツアーでした。大学の同窓会総会の最中に少年野球の試合の途中経過がスマホに入ってきます。便利な世の中になったものです。2試合とも勝利とのこと、ヨシヨシ。血圧は下がってきましたが右足親指の付け根は再び腫れて痛くなってきました。酒を控えないとダメですね。痛みとの天秤で考えれば、酒を抑える、そのためには機会を減らすしかありません。

■ 津波の特性を理解しました
 今回はツアーの最後に、仙台からちょっと足を延ばして、松島海岸から奥松島、石巻を回ってみようと思い立ちました。つぶやき344『地獄に仏』(2009年8月16日)で回ったところです。東日本大震災前でした。やはり復興はまだまだでした。被害の大きかった多賀城や塩釜に比べ、松島は地形的に多数の島が波を打ち消してくれました。宮戸島は防波堤になったために太平洋側は被害甚大でしたが、2009年8月に宿泊した宿は西側の松島湾側だったので被害は少なかったようですが、養殖いかだは・・・。宮戸島の他に平戸島、浦戸島が波を被り、津波は北西の松島海岸ではなく、西方向に向かいました。筆者の大学後輩の実家は、波が向かった東塩釜の海岸近くなのでてっきり波にさらわれただろうと思ったら大丈夫だったそうです。ところが我が弟が当時勤務していた銀行の本塩釜支店は2階まで波が突き抜けて、ATMはじめ什器も根こそぎ流失しました。JR仙石線本塩釜駅の線路は2階にあるのですが、それもメチャメチャにやられました。東塩釜は>>>の形で海に突き出ていて、>の先に ̄L(逆S)の形の防波堤があります。その防波堤も波に対しては>の形です。すると波は防波堤の突端で左右に分かれます。右への波は<の形の島にぶち当たって松島湾側に戻され、後から来た波とぶつかって相殺されます。実に津波に対しては結果的に良い形でした。ところが左に向かった波は、真西へ向かい、そこには<の形、それも槍の穂先のように鋭い入り江にイオン塩釜店とJR本塩釜駅があります。したがって波は入り江の奥に向かうにしたがって波高が増し、2階をさらう高さになったわけです。また南西側にも槍の穂先の入り江があり、それが多賀城でした。津波の特性が良くわかりました。岩手県宮古市の「万里の長城」と言われた、田老の防波堤でも同じような経験が得られました。

■ 石巻・日和山から見た風景
 東松島市から石巻市にかけては傷跡がいたるところで目に付きます。特に奥松島〜野蒜海岸、自衛隊松島基地そして石巻港のほうは、島も無く、モロに津波に直撃されました。今でも至る所、土木工事中です。

日和山の山頂に公園があり、神社の鳥居の先に北上川河口(2013年4月12日)

北上川の中州にある石ノ森萬画館(2013年3月3日)
 石巻市の北上川河口を見下ろす日和山公園は、北上川から急峻に立ち上がって60mの標高ですが、ハワイのダイヤモンドヘッドのような感じです。日和山は葛西氏の石巻城があったところです。父が日本製紙勤めだったので日和山で幼少期を過ごした会社の部長と一緒に震災後日和山を訪れた時は震災の爪跡無惨でしたが、大分片付いていました。北上川河口の大病院は無くなっており、お寺のところの新しいお墓が目に付きました。上から見下ろすと、崖の下に北上川、中洲に石ノ森章太郎を記念した石ノ森萬画館が見えます。宮城県登米郡石森町(現在は登米市)に生まれた手塚治虫の大ファンの漫画家は、自らの作品を漫画ではなく萬画だと言いました。出身地の名前を冠にしていましたが、イシモリと呼ばれるので、「石ノ森」と「ノ」を入れるようにしたそうです。SFマンガ作家として、また仮面ライダーの作者として、こどもたちに圧倒的な人気が有ります。その作品は一人の著者による最も多いマンガの出版の記録としてギネス・ワールド・レコーズに認定されています。石巻市にはいたるところにサイボーグの像があり、小さなこどもを連れて行ったらきっと喜ぶでしょう。石巻もイシノマキと読みます。

■ 妥協する公明党
 東京新聞2014年6月27日朝刊によりますと、公明党は「集団的自衛権」を条件付きで認める方向になったそうです。記事の内容を転載しますと・・・
 公明党の山口那津男代表が26日、集団的自衛権の行使容認に転じた。山口氏は武力行使のための新たな三要件について「二重三重の歯止めが利き、拡大解釈の恐れはない」と言い切った。しかし、既に自公間で集団的自衛権の行使として認められる活動の内容や範囲をめぐって食い違いが生じているように、時の政権が都合よく解釈できる余地を残していることは明らかだ。公明党は集団的自衛権の行使容認に一貫して反対の立場を取ってきた。山口氏は昨年7月、「断固反対」と明言。今年4月には、解釈改憲という手法を「憲法の精神にもとる」と批判し、長く維持されてきた政府見解を閣議決定で覆そうとする安倍晋三首相をけん制していた。山口氏としては、安倍首相が解釈改憲に強い意欲を示していることを踏まえ、連立政権の維持を優先したとみられる。しかし、結党から50年にわたって掲げてきた「平和の党」の看板を傷つけ、安倍政権の「ブレーキ役」を期待した国民を失望させるのは間違いない。山口氏はこれまで、戦後の安全保障政策の大転換につながる集団的自衛権の行使容認には、国民の理解が不可欠だと主張してきた。だが、各種の世論調査では依然、反対が多い。党内にも異論が根強い。党内の意見集約をする前に、執行部だけで決められる性格の問題ではない。

御徒町で紫陽花とさつき(2014年6月)

■ 踏み出せば戦争をする国になる
 ここまでズバリと書くというのは、東京新聞として余程腹に据えかねたということでしょう。ただ、最後はこうなるというのは予想していました。支持母体の創価学会は「集団的自衛権容認反対」を唱えていました。しかし公明党は創価学会に逆らってまで連立維持を優先したいワケがあります。かつて公明党は自民党に逆らって、完膚なきまでに叩きのめされた経験があり、自民党に逆らう怖さが肌身に沁みているのです。トラウマです。したがって、最後は絶対に折れると思っていました。
 公明党立党の基本は平和を守ることだそうですから、本当ならば「丁寧な議論」など不要で、問答無用で専守防衛に徹するべきです。憲法9条の戦争の放棄規定は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とうたっています。しかし他国から攻撃されても無防備で殺されるままになっている、となると国が滅びますから、攻撃されたら防衛のため反撃する、こちらから攻撃することはしない、すなわち専守防衛のための自衛隊は許されるだろうというのが従来の概念でした。専守防衛、すなわち自衛なので、この組織は武力装置ではあるが、軍隊ではないというのが自衛隊についての解釈です。しかし、他国のために戦争をするとなれば、言葉をどうもじっても「自衛」とは言えません。そこで、「集団的自衛権」などという言葉を作って、仲間内の国は自衛の範囲だ、と言い出したわけです。今のところ、仲間内とは米国のことですが、反中国の意味でフィリピンや、インドネシア、ベトナムも仲間内だ、などと将来の内閣が言い出したら、憲法9条があるのに戦争をする国になってしまうのです。

■ 自衛隊は有難い
 自民党の古参政治家は「集団的自衛権行使容認」に反対です。それは戦争を知っているからです。野中 務、古賀 誠、河野洋平、海部俊樹、加藤紘一、・・・ただし、もうみんな引退してます。したがって遠吠えの感じで、現在の自民党幹部には届きません。
 我々団塊の世代は、「戦争を知らないこどもたち」でしたが、それでも親から繰り返し戦争の悲惨さを聞かされて育ちました。だから国際紛争を解決するために戦争をしてはならない、と言われて、そういうものだと思っていました。自衛隊は、本来攻撃されたら国を守るために戦う組織ですが、平和な時には災害のときに国民を助けてくれる有難い組織です。現に今回の大震災でも、各地で懸命に救助や片付けに尽力してくれました。津波で家も工場も流されたいとこを岩手県宮古市のシーアリーナに設置された避難所に慰問したときも、自衛隊が活動してくれていました。迷彩服を着た人たちに手を合わせ、拝礼しました。本当に有難く思いました。

野中 務

加藤紘一

■ タカ派も懸念する事態
 筆者の高校の先輩である玉澤徳一郎氏(76)が2014年6月27日の毎日新聞朝刊「私の意見」に出ていました。題は「現場隊員の声聞け」、早稲田大学雄弁会に所属していたので、政界に先輩、後輩は数多くいます。防衛庁長官や農水相を歴任し、自民党きってのタカ派です。玉澤氏は言います。「このまま行けば間違いなく戦死者が出る。そのとき、国民の中から「そんな話は聞いていない」という声が必ず出る。そして、隊員募集が極めて困難になる。若者に国防の意識があっても、少子化の時代だ。親が絶対許さない。国民的な合意がないとそうなるのだ。(中略)大事なことは、現場にいる隊員諸君の声をよく聞くということだろう。それがこの議論の前提だと思っている」、安倍総理の国民の合意作りをさて置いた姿勢を危険と考えています。憲法改正の議論をせずに突っ走る姿に努力が足りないと言います。日米安保条約も書き換えが必要になるだろうと言います。タカ派でさえも、安倍総理のやり方を懸念しています。かつての自民党ならば、ここで党内議論によって落しどころを探っていました。

■ 玉澤「俺は単純なタカじゃない」
 玉澤氏は安倍首相と同じ町村派に属し、イラクに派遣される自衛隊出発式で「皇国の興廃この一戦にあり」と叫んで物議を醸したこともある人です。ところが、集団的自衛権の行使容認に異を唱え、靖国参拝や首相側近らの歴史認識も厳しく批判しているのです。ある記者が意見を聞きに言ったら、「俺はタカだ、タカだと言われているが、単純なタカじゃない」と言われたそうです。「憲法解釈は権力者が変えるべきものじゃない。そもそも成文憲法に書いてある以上のことをやるのは独裁国家と同じ」。玉澤氏は9条を改正して自衛隊の存在を明記し、そのうえで集団的自衛権を最低限だけ認めるべきだとの立場です。一見、安倍政権の方向と同じようですが、「俺は戦争を知っている。ここが違うんだ」と断言します。タカ派だからこそ、「内閣の決議で行使容認」などという姑息な手段ではなく、堂々と憲法に手をつけるべきだと言っているのでしょう。

■ イラク派遣で既に実績有り
 自衛隊のイラク派遣のときは、国会で延々と議論し、イラク特措法という法律を作って自衛隊を派遣しました。これは明らかに自衛のためではありませんから、当時国会で大議論になりました。すなわち、自衛隊の海外派遣は、実績としては既にあるのです。今回はそんなことをしないで、内閣が決めて派遣できるということですから、時の権力者の一存で出来るようになるのです。日本人は江戸時代以降、お上には逆らえないという国民性が身に沁みています。例えばお役所と会社の関係ひとつとっても、相変わらずお役人が威張っているでしょう?民間企業は、お言葉ですが、とは言えないのです。だから汚職事件が絶えないのです。民間企業はお役人の天下りをこぞって受け入れます。こういう国民性の国において、集団的自衛権の行使が可能になったら、日本は戦争をする国になり、戦前に回帰する方向へ、一歩一歩戻って行くでしょう。
 『つぶやき』438『日本は立ち直れるか』(2011年6月6日)をご覧下さい。日本人がなぜ官に弱いのか、書いてあります。ついでにカン違いですが、当時の菅首相のこともこき下ろしています。それにしても、短い間に、コレほどまでに時の総理の考え方の角度が変わり、それでもお上についていく日本人ってなんなのでしょう?たった3年前ですよ、コレ。

■ 戦前戦中に朝鮮民族にヒドイことをした日本人
 玉澤氏には幼い頃ながらも戦争の記憶があります。生まれ育ったのは、「万里の長城」と言われた防波堤のある、岩手県宮古市の田老です。今回の大震災でも身内で死者が出ました。地元・岩手の鉱山では強制徴用された朝鮮人労働者が虐待を受けていたことを覚えています。父親が戦死した級友も多くいます。これは岩手県宮古市鍬ヶ崎生まれの93歳の我が母も同じことを言っていました。「ポク、ナニモワルイコトシテナイヨ」という朝鮮人労働者を棒で殴っていじめている大人を見て、どうしてあんな酷いことをするんだろう?と思ったと言っていました。今でこそ平和的な日本人などと言っていますが、戦前戦中の日本人が、朝鮮人にいかにヒドイことをしたか、日本人だって知っているのですから、韓国や北朝鮮の人々が決して忘れまいと伝承教育をしているのはそういうわけなのです。今の北朝鮮よりずっとひどかったのが軍国日本でした。すなわち戦争をする国になれば国民も変わるのです。心の中では平和主義でも、面と向かって口には出せない、それを言った学生が憲兵に連行され、拷問を受ける、死ぬ人も出る、そんな時代だったのです。

■ 米国の弱体化を見越した安倍首相
 ところが安倍首相は従軍慰安婦問題で歴史認識を疑われる発言を繰り返し、韓国や米国で大問題となりました。韓国はともかく、米国に対して逆らったら戦後日本で生き残った首相や大物政治家は居ません。岸信介、田中角栄、小沢一郎、橋本龍太郎、鳩山由紀夫・・・『アメリカに潰された政治家たち』…小学館(2012/09発売)という本に詳述されています。著者の孫崎享(マゴサキウケル)氏は、1966年に外務省に入省後、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を経て、2009年まで防衛大学校教授を勤めた方です。「戦後レジュームからの脱却」を標榜した第1次安倍内閣はコレでつぶれ、第2次は経済に焦点を当てて、アベノミクスを旗印にしました。これが国民に受けて、高支持率を背景に本性を顕して「靖国参拝」を行いました。米中韓は猛反発、そこでロシアのプーチンと握手しましたが、そこへウクライナ問題が勃発、ならば北朝鮮に目を向けるか、というのが現在です。安倍首相の強気は、米国の弱体化を見越したもので、内向きとなったオバマ政権に対し、集団的自衛権の行使を持ち出せば、負担の減る米国は大助かり、日本に戦ってもらう分、米国は犠牲が少なくて済みます。第1次の反省に立って、なかなか用意周到ですが、問題は中国を敵に回すことです。経済面では実質世界一になっており、これから日米をグングン引き離して、ダントツの経済大国になると言われています。日本経済界にとっても、最大の顧客ですから、対立は損失です。平和主義で経済大国になった日本が、何を好んで軍事国家に回帰するのでしょうか。

■ ハト派は絶滅危惧種?
 「ハトも鳴かずば撃たれまいに」? 安倍晋三政権の下、ハト派の存在感が限りなく薄くなっています。集団的自衛権を巡る議論も、限定的行使容認でまとまるでしょう。意見すべきときにしない国会議員に存在意義はありません。今や自民党ハト派は「絶滅危惧種」と皮肉られている有様です。自民党リベラル系の代表は宏池会(岸田派)です。戦後のある時期には最大派閥だったこともあるハト派の牙城は、今や衆参合わせて議員40人余りと最盛期の半分以下です。タカ派とされる清和政策研究会(町村派)が最大勢力を誇り、わが世の春を謳歌しているのとは対照的です。宏池会は岸田外務大臣が代表で、小野寺防衛大臣も所属しています。右写真は宏池会の主要政治家です。加藤紘一や麻生太郎もかつては属していました。
 外相と防衛相にハト派を起用しているところに安倍総理の緻密な戦略があります。それでいながら首相補佐官や顧問、内閣府はタカ派で固めているのです。つまり対外的にはハト派、内向きはタカ派で固めれば、何となくソフトイメージなのです。宏池会が強かったときは日本が高度成長期で、エコノミックアニマルと呼ばれるほど経済活動に専念していた時代です。それが「失われた20年」を経験しているうちに諸外国に追いつかれ、追い越され、次第に勢力を失って、森〜小泉〜安倍の町村派が最大勢力になったのです。福田派が源流で、森派から町村派と呼称が変わりました。小選挙区制によって、脱派閥の動きになり、公然と派閥の体裁を成さない形にしたのです。昔なら時の総理は、派閥の長でした。

■ 自民党の良心に期待
 宏池会最長老の丹羽雄哉元厚相は言います。「ハト派が衰退したというより、タカ派的な勇ましいことを言った方が迫力あるし、注目されるのでしょう。好戦的なものを求める雰囲気が国内の一部にありますから。周辺諸国と仲良くする外交努力が欠かせないのに歴史の針を戻し、外交を危うくする人が首相周辺を固めています。戦前回帰的なイケイケドンドンの雰囲気を感じてしまって。最近の風潮はとても心配です」。名指しこそ避けていますが「河野談話」見直しを訴えた衛藤晟一首相補佐官らのことです。
 集団的自衛権の行使を認めるための憲法解釈変更に強く異を唱えてきたのは無派閥の村上誠一郎元行革担当相で、この人だけは筋金入りみたいです。「私も村上先生と考えは同じ」とささやいてくる党内の議員は少なくないそうです。「そこに期待しているよ。声を上げにくい事情は分かる。若手や中堅は選挙区に十分な地盤がないし、カネだって昔は派閥に頼れたが政治資金のハードルが上がって、今じゃ党執行部が握っている。だから安倍首相に逆らえない、情け無い!かつて日本が外国で何をしたか、外国からどういう目で見られているのか、戦争を知らない安倍首相周辺は分かっているのか。戦前を美化するような発言が首相周辺からポンポン出てくるようじゃ危なくて改憲なんかさせられないし、ましてや集団的自衛権行使なんかとんでもないよ」、村上氏のように、自民党でありながら言うべきことを言う人に期待します。本当に国民の声を聞くならば、これが多数派になって良いのですが、今は首相に逆らう人は居ません。
 過去何度も書いてきましたが、今の日本は危機です。少子高齢化が進み、通りには老人が溢れています。若者は結婚せず、子供が生まれません。国民一人当たりの膨大な借金は返せる見込みが無いほどに膨らんでいます。日本は経済に注力し、八方美人になってどこの国とも仲良く交易して、借金を返していかなければならないのです。軍事に注力する場面では有りません。メンツも何も捨てましょう。そんな場面ではないのです。
宏池会の主要政治家

池田勇人


大平正芳


鈴木善幸


宮沢喜一


河野洋平


古賀 誠


谷垣禎一


岸田文雄

■ 徴兵制へと突き進む?

 10年前であれば、安倍首相のような考えは右翼の極少数派でした。それが今では異を唱える人が居なくなりつつあります。内閣と言っても、安倍首相の両隣は谷垣禎一と麻生太郎、かつての宏池会です。公明党との協議には高村正彦自民党副総裁を当て、いわゆるソフトイメージで、安倍自身のタカのツメを隠しています。硬骨の士は戦争反対で、軟弱な学者肌の人間が防衛のために軍事力の整備を唱える、自らは前線にも立てないくせに、兵士を楯にして、「行け〜〜〜!」と絶叫する、死ぬのは末端の兵士ですから、集団的自衛隊に志望する人間は間違いなく減ります。すると徴兵制の議論が出てくるでしょうか?そこまで行ったらオシマイですから、戦前のような憲兵や警察組織が機能しなければ、抵抗できるかもしれません。母に良く言われました。「強い人間は他人をいじめない。弱いから恐怖心から集団でいじめる。強い人間になりなさい」
 そもそも公明党に期待するなんてハナからムリでした。野党でも自民党以上に右翼的な政党があります。期待できるのは自民党のリベラル派だけです。だけど、小泉を熱狂的に支持した日本国民の有様を見ましたから、もはや日本の右傾化は防ぎようが無いかもしれません。ただし、内閣の考え方で定めたものは、また内閣の決議で覆せます。私達有権者は、しっかりとこれを認識しなければなりません。

■ 東京都議会のヤジ
 東京都議会でみんなの党塩村文夏議員の質問に対するヤジ問題で、批判が巻き起こったにもかかわらず、それは自分ですと名乗り出る人がいませんでした。自民党は議員総会を開き、その結果、鈴木章浩議員(51)が「早く結婚したほうが良いんじゃないか」と発言したのは自分です、と名乗り出ました。ただ「自分が産めよ」とか「産めないのか?」は自分ではない、と言っています。この鈴木都議、事前のテレビ取材に対し、明確に否定していて、「こんなヤジを飛ばした議員は辞職に値しますか?」と問われて、「そう思います」と言っていたのに、議員辞職はしないし、自民党から会派離脱して、一人で「都議会再生」という会派を立ち上げました。どうせなら「都議会ひとり」という名称にしたほうがもっと面白かったんじゃないですか?
 いったい鈴木章浩議員の支持者たちはどう考えているのでしょう?あえて弁護的な言い方をすれば、「早く結婚したほうが良いんじゃないか」というのは、「あなたは美しいのだから」というアタマを付ければ、文脈は繋がります。本人はもしかすると悪意を持っていなかったのかもしれません。しかし、「自分が産めよ」とか「産めないのか?」はいくらなんでも酷すぎる、それは自分ではない、だから名乗り出なかったのかもしれません。ところが騒ぎが大きくなって、一連のヤジのきっかけとなった自分が名乗り出るしかないと思ったのでしょう。ただし、結婚は男がアピールして女の気を引いて、結婚して頂くものです。どんな動物でもこれは共通しています。選択権は女にあるのです。だから、女に対して「早く結婚したほうが良いんじゃないか」というのは根本的に間違っています。男がだらしないから結婚しない男女が増えているのです。
 日本の議会でのヤジはいつも思いますが、ヒドイものが多いですね。議員の品格を疑うし、情けない。今回は海外でも問題になり、日本人の人権意識やセクハラに対して世界中に悪い情報が流れました。東京オリンピックを控えた都議会がこの有様、「思いやり」って何だったんでしょう?
 「最後は金目でしょ?」でお詫び行脚の石原伸晃大臣が自民党東京都連の会長です。皆様も気付いていると思いますが、この発言は本音です。

■ FIFAワールドカップ
 終わりましたね。選手たちは頑張りました。誰も責められません。ザッケローニ監督だって、攻撃的なサッカーを植えつけようと努力しました。しかし、横パスをつないでジワジワ攻め上がり、ゴール前への鋭いパスから得点しようとしても、守りの壁がなかなか崩せず、一瞬にしてロングパス〜逆襲〜ゴールというパターンで失点する、攻撃的サッカーの反面の弱点を突かれました。パスミスも多く、日本サッカーはまだまだだなぁと実感させられました。スポーツ好きの筆者はもちろんサッカーも好きです。でもこれまでほとんどワールドカップには触れませんでした。それはこういう結果になるのでは?と思っていたからです。FIFAの順位というのはきちんとワケがあるのです。しかし400億円払って、全試合を中継するということで、毎朝やってますが、筆者はダイジェストしか見ないけれど、スポーツにカネ使って大騒ぎしているほうが平和です。

■ ルーズヴェルト・ゲーム最終回
 TBS系連続ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」が終わりました。最終回の平均視聴率は17.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったそうです。社会人野球のドラマだったので、楽しみに見ていました。中堅のメーカーに中途採用された主人公が倒産寸前の会社を守り抜くため、奇跡の大逆転を目指して闘う姿が、いわゆる熱血モノで、ちょっと古臭くて、共感しました。主演の唐沢寿明が演ずる主人公の細川社長は中途採用の冷徹な一匹狼で、青島会長(山崎努)に経営を託されました。会社を窮地から救うため、コストカットで名門野球部を廃部にしようとします。臨時株主総会でのイツワ電器との経営統合を巡る採決は、会社を裏切るのではないかと思われていた笹井常務(江口洋介)が実はその振りをしてイツワ電器の内情を探り、こんな会社とは組めないと宣言したことで、逆転否決され、青島製作所は東洋カメラのコンペでの勝利に賭けます。細川は開発部長の神山(山本亨)にコンペのギリギリまで諦めずにイメージセンサーの開発を進めるよう頼みました。神山は技術者らしく安請け合いはしませんでしたが、部下と共に連日連夜残業を繰り返し、なんとかモノになりました。細川はその新型イメージセンサーを見て勝利を確信します。明らかにイツワ電器の製品よりも質が良く、品質重視の東洋カメラのニーズに合致していたのです。そしてふと、細川は傍らに置いてあった小型のイメージセンサーに気付きます。試作品としてサイズダウンしたイメージセンサーで、今回の副産物として作られた物で商品化の計画はないと神山部長は言います。しかし細川は神山に「これ、スマホ用カメラに使えないか?」誰もが気づかなかった斬新なアイディアに開発部の人間も笹井常務も驚きます。そしてこちらはジャパニクスに売り込む事が決まりました。

■ 圧巻の香川照之の顔芸
 交渉の末、東洋カメラの新商品には青島製作所のイメージセンサーが採用されました。直前まで採用が濃厚だったイツワ電器は社長の坂東(立川談春)が東洋カメラに泣きつきますが、青島製作所の商品との格差を見せつけられ、けんもほろろに追い返されます。
 また、懇意にしていたジャパニクスの諸田社長(香川照之)にも、イツワ電器から完全に青島製作所に乗り換えるという手のひら返しを喰らってしまいます。このドラマでの立川談春の顔芸も良かったけれど、圧巻はやはり香川照之の顔芸ですね。ドラマ「半沢直樹」の大ヒットも香川照之の存在が大きく、トヨタ自動車創業者・豊田喜一郎をモデルとした佐藤浩市主演のTBSの大型ドラマ『LEADERS』でも、香川照之の顔芸部分が圧巻でした。今回も、瞬間最高視聴率20.0%はここでした。
 もはや企業や官庁の悪役幹部は香川照之抜きでは考えられません。そもそも歌舞伎役者は顔芸がイノチですが、市川中車の面目躍如です。
   

■ 最後に大逆転8対7
 こうして急激な増産が決まった青島製作所は、白水銀行に提出したリストラ計画を一旦白紙に戻します。細川は野球部の部室を訪れ、イツワ戦に向けて野球部員にも試合に勝つよう激励します。一度は敗れたイツワ電器に、企業競争でも野球でも、大逆転を目指して頑張ろうと訴えます。そんな社長の姿に、一度は辞めてイツワ電器に移ろうとしていた野球部員も翻意します。
 東洋カメラのコンペを目前に、都市対抗野球大会の地区予選敗者復活トーナメント決勝であるイツワとの試合が幕を開けます。リストラ担当三上総務部長兼野球部長は、スタンドを埋め尽くす青島製作所の大応援団に眼を瞠ります。その中には青島会長、細川社長、笹井常務はじめ、朝比奈部長(六角精児)、豊岡営業部長(児島一哉)、中川経理部長(小須田康人)、そして3割を握る大株主キドエステートの社長・城戸志眞(ジュディオング)の姿もありました。細川社長に懇願されて見に来たのです。いわば、社を挙げての大応援団です。
 これで気合の入った野球部、いよいよ因縁の試合が開始されました。 序盤からイツワ電器の猛攻が始まります。イツワ電器野球部の村野監督(森脇健二)は元はと言えば青島野球部監督です。さらにイツワ電器の4番新田とピッチャーの飯島も元・青島製作所野球部なので、こちらの手の内は知り尽くされています。青島製作所の先発猿田は初回、エラーを契機に3点を献上し、その後も追加点を許してしまいます。そしてイツワ電器のストッパー如月(鈴木伸之)が登場すると、青島製作所の打線は沈黙してしまいました。苦しい展開が続く中、青島会長、細川社長、笹井常務がスタンド最前列に出て来て、肩を組んで始まった青島製作所社歌の大合唱、野球はメンタルスポーツです。試合が動いたのは8回表、一度はイツワ電器に転職しようかと考え、細川社長の言葉で思い直した犬彦(和田正人)が如月の決め球を見事に打ち返したのです。これで精神的に崩れた如月に青島製作所打線が猛然と襲い掛かって、一気に逆転し、あとは守るだけです。
 マウンドはストッパーの沖原(工藤阿須加)に託されました。スキャンダルのショックから完全に立ち直った沖原は、160km/hの別格のピッチングでイツワ打線をシャットアウト。こうして青島製作所は因縁の敵イツワ電器に8対7で逆転勝利を収めたのです。
 その後、青島製作所の野球部は予定通り廃部になりました。しかし最後の試合を観戦していたキドエステートの社長・城戸志眞が、野球が社員の心をひとつにした姿に感動して、自社に野球部を創設。監督・選手全員を引き取り、部員たちは野球を続けられることになったのでした。メデタシ、メデタシ。


青島製作所ストッパー沖原役の工藤阿須加は、
プロ野球で活躍した投手工藤公康の息子です
■ ルーズヴェルト・ゲームの語源
 ルーズヴェルトゲームという言葉は、アメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズヴェルトの言葉が元になっています。野球好きのルーズヴェルト大統領は、かつてこう言いました。「野球で一番面白いゲームスコアは8対7だ」。お互いに点の取り合いをする、ルーズヴェルトゲームとは「逆転につぐ逆転劇」という事です。原作者(池井戸潤)、スタッフ、キャスト、放送枠などなど、あらゆる共通点をみせるあのドラマ、「半沢直樹」で描かれたような、痛快な逆転劇が売りのドラマです。半沢直樹と言えば有名な台詞「やられたらやり返す、倍返しだ!!」これも「逆転」ですよね。虐げられた者には夢なのです。

■ 芸達者な役者が引き立てたドラマ
 青島製作所野球部の救世主キドエステートの社長は、何となく「私が社長です」のアパ・元谷芙美子社長をほうふつとさせますね。この役は「半沢直樹」や「LEADERS」の流れからすれば倍賞美津子のはずですが、なんと!ジュディオング、久々に見ました。相変わらず美しい、筆者より6日遅い誕生日です。5ヶ国語が話せるそうです。
 このドラマの役者達の顔芸は本当に見事でした。ジャパニクスの諸田社長(香川照之)は別格として、イツワ電器社長の坂東(立川談春)と野球部エース如月(鈴木伸之)の顔は本当に憎たらしかったですね。東洋カメラの尾藤社長(坂東三津五郎)、青島製作所の青島会長(山崎努)、笹井常務(江口洋介)は曲者の顔、ドラマを引き立てた青島製作所の社長秘書(壇れい)、イツワ電器社長の社長秘書(平井理央)も良かった。そしてなんといっても青島製作所野球部の監督(手塚とおる)の顔が良かったですね。あんな監督、野球関係者では見たことがありません。これからいろいろな役でフィーバーするでしょう。

■ 脱法ハーブ吸引して車暴走
 池袋駅西口で車が暴走して死傷者が出た事件、衝撃でした。この通りは筆者が都内で一番馴染み深い場所なのです。若い頃まさにこの三菱東京UFJ銀行のある千歳ビルの5階に勤務していました。寄席があります。隣に地球飯店があって今でも良く利用します。
(2014年6月30日)


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