66  監督休養

 今回は66なので平成26年6月6日発行としました。昨週は朝顔の話題でした。それにしても5月末から6月初めにしては信じられないような暑さでしたね。特に北日本は、ついこの前まで寒いと言っていたのに、急に暑くなりました。北海道など、5月の雪からいきなり真夏日、タイから来た観光客が「暑い」と言っていました。北海道は、タイには無い自然で、近年タイ人に人気のスポットです。

■ 梅雨入りと梅雨明け予想
 2014年6月1日(日)は猛暑で、日本各地で最高温度記録を更新し、熱中症が続発、こんな暑い中での少年野球大会を紹介し、「この暑さもこの日が峠で、やがて梅雨寒になるでしょう。エルニーニョの影響で今夏は冷夏と予報されています」と書きました。
 今年の梅雨入りはすでに、沖縄地方(5月5日頃)、奄美地方(5月11日頃)、九州南部・北部(6月2日頃)、四国地方(6月3日頃)、中国・近畿・東海地方(6月4日頃)、関東甲信地方と北陸地方、東北南部(6月5日頃)、東北北部(6月6日頃)で発表され、北海道は梅雨が無いので、日本全体梅雨入りしました。全国各地で、6月の月降水量を大きく上回る記録的な大雨となって、避難勧告が出されるところも出ました。関東甲信地方の梅雨入りは平年より3日、昨年より5日、北陸地方は平年より7日、昨年より13日、東北南部は平年より7日、昨年より10日、東北北部では平年より8日、昨年より9日早く、やはり今年の気象は異常ですね。
 平年の梅雨明けは、沖縄地方(6月23日頃)、奄美地方(6月29日頃)、九州南部(7月14日頃)、北部(7月19日頃)、四国地方((7月18日頃)、中国・近畿・東海地方、関東甲信地方で7月21日頃、北陸地方では7月24日頃、東北南部では7月25日頃、東北北部では7月28日頃となっています。昨年は九州から関東甲信地方では7月6〜8日頃梅雨明けし、夏が長かったのですが、北陸から東北では8月7〜10日頃で、夏祭りが終わってからの梅雨明けでした。ただし今年は5年振りのエルニーニョ現象が予測されており、長梅雨、冷夏が予想されています。2009年には九州北部〜東海の梅雨明けが記録的に遅く、中国と北陸、東北では梅雨明け時期を特定できませんでした。特に梅雨時期の後半は雨量が増え、土砂災害や河川の氾濫などの災害発生の可能性が高くなります。北海道では冷害で、農業被害が深刻でした。

■ 除湿の話
 この時期はジメジメして嫌いだという人が多いものです。筆者のような空調を主業務としてきた者にとっては、多湿空気は厄介でした。空気中の水分を取り除くことを除湿と言いますが、空調にとってはこれが大変エネルギーを要するからです。多湿空気は人間にとっては冬場は肌の表面を覆って放熱を防ぐので有難いのですが、夏場は逆に熱をこもらせるので不快感のモトになります。冬場は空気が乾燥しているので、わざわざ加湿器を使います。湿度が50%以上だとインフルエンザウイルスが増殖しません。また静電気も発生しません。夏場は除湿します。発汗は、暑いとき、体内の熱を汗の気化熱で冷却するためのもので、常に体温を一定に保つために動物には必須の機能です。ところが空気中に水分が多いとマントを着ているようなもので、汗が蒸発しません。湿度が高いとますます水分が気化しないのです。

■ 多湿期にはレアショートに注意
 機械にとっては水分は敵です。特に電気にとっては、埃に水分が沁みると、水は電気を通す(電気伝導度が高い)ので、ショートすることがあります。家庭のソケットなどでレアショートによる火事が起きるのはこの時期です。レアショートは、正確には層間短絡 (layer short) の意味です。電気モータは鉄にコイルを巻いて作ります。このコイルはある程度のまとまりを複数個重ねて鉄心の間に収めます。つまりコイルの層 (layer) が重なった状態になっています。これは変圧器(トランス)も同様です。このコイル層の間は絶縁されていなくてはいけませんが、何らかの理由で絶縁抵抗が少なくなり短絡 (short) することがあります。layer short が発生すると電流は正規のルートを流れなくなり、その電気機器の性能は低下します。ここからレアショートは部分的短絡のことを指すようになりました。また半導体などは、ドンドン回路線幅が小さくなったので、小さな水滴でもショートする確率が高く、クリーンルームとその除湿、すなわちキレイでドライな空気は必須です。


■ 除湿には電気エネルギーがかかる
 通常の除湿は冷凍機によって空気を冷やし、相対湿度100%以上、すなわち結露状態にして空気中の水分を結露水として除去します。こうして乾燥した空気を再熱し、カラッとしたさわやか空気にするのです。冷凍機は圧縮機によって冷媒を高圧にするときに最も電気エネルギーを使います。他にも化学的方法で、乾燥剤(ゼオライト)や吸湿剤(シリカゲル)を使った方法もありますが、これらは吸湿したものを乾燥させないと再び使えないので、例えば水車のような機構を使い、片方で吸湿したものを回転させ、180度反対側で乾燥させて戻してやります。この回転エネルギーや、乾燥させる時に電気ヒータを用いるので、コンプレッサ方式以上にエネルギーを要します。冷房は電気代がかかる、と言う場合、空気を冷やすより実は除湿にエネルギーを使っているのです。梅雨時期のある日本は、ヨーロッパなどと違って、電気をいっぱい必要とする国なのです。

■ 植物が生長する梅雨時
 最近は田植えの時期が遅くなっています。それは地球温暖化のためです。稲が伸びるのは梅雨時です。昔は4月に田植え、その後は5月GWになりましたが、最近は5月半ばになりました。遅くに植えないと梅雨時とのマッチングがとれないのです。
 この時期はあらゆる植物がいきいきと緑が映えてグングン成長します。いちばん梅雨にフィットした植物はアジサイです。庭に植えたアジサイの葉っぱを見ているだけで嬉しくなります。鎌倉のあじさい寺の散歩も素敵ですね。紫陽花という言葉でわかるように、この花はひまわり(向日葵)のようにギンギラギンの太陽を求める花ではありません。
 他にはアヤメやカキツバタ、ショウブですね。「いずれがあやめ、かきつばた」という言葉は有名です。見分け方が難しい。詳細はご自分で調べて下さい。アヤメとショウブはいずれも漢字では菖蒲と書きますが別物です。花菖蒲(ハナショウブ)も別物です。カキツバタ(杜若)を含めて、この4種は別物なのです。東京では堀切菖蒲園や水元公園、我が家の近くでは狭山の智光山公園大阪の城北菖蒲園、岩手・平泉の毛越寺の庭園も良いですね。
 毎朝早起きして雨に濡れた朝顔の葉を見るのが楽しみです。花は雨に濡れると虫が来てくれないので悲しそうですが、また明日があるさ、次の花に期待するのです。

■ 西武ライオンズ伊原監督休養
 我が西武ライオンズは2014年6月4日、伊原春樹監督(65)が成績不振を理由に休養すると発表しました。1-0で勝利した4日のDeNA戦(西武ドーム)の後、記者会見し、この日を終わった時点で20勝33敗、勝率3割7分7厘、首位オリックスに12.5ゲーム差をつけられての最下位の不振を理由と説明しました。6日の巨人戦(東京ドーム)から田辺徳雄打撃コーチ(48)が監督代行を務めます。伊原監督は、今季2003年以来11シーズンぶりに監督に復帰しました。前回はリーグ優勝しましたが、就任したての巨人・原監督に日本シリーズで敗れ、その後原監督の下で巨人のコーチになったことがあります。今季はソフトバンクに次ぐ2番手と目されていましたが、開幕カードの楽天戦(西武ドーム)で35年ぶりとなる3連敗を喫するなど、スタートダッシュに失敗し、4月27日には早くも借金10となり、現在も最下位に低迷しています。西武ファンとしては今季どうも選手の使い方もおかしいし、選手たちも躍動しておらず、西武らしくないと思っていました。

■ しつけや暴風雨練習で選手との関係悪化
 団塊の世代である伊原さんは、名選手が監督になる日本プロ野球界では異色の存在です。かつては阪急の上田監督のような方もいましたが、メジャーでは当たり前のことが日本では違います。選手のしつけが厳しいことで知られ、「鬼軍曹」と呼ばれる指導者でした。「選手に好かれようと思ったら、指導者も選手も成長しない」と公言していました。11年ぶりに西武監督に復帰したとき、選手に対する訓示で「長髪、ヒゲは御法度、ユニホームのダブダブズボンはダメ」と宣言しました。遠征中の5月16日、札幌から秋田に移動すると、暴風雨にもかかわらず屋外でランニングをさせました。負けが込んでいるチームにカツを入れたかったのでしょう。しかし選手たちは、理に合わない練習、と受け止めたようで、終了後にかなりの不満が漏れたそうです。関係者によると、これで監督と選手の関係悪化が決定的になったと報道されています。
 下記は、伊原さんほか西武OBに少年野球教室をやってもらった時のものです。当時、岩手県に「赤べこ野球軍団」というものが出来て、そのオーナーの盛岡市出身のタカハシ・プランニング:高橋社長(下の赤ジャケットの方)が所沢に事務所を構えていた関係で、西武ライオンズを支援しており、かつ岩手の矢巾町に「赤べこ野球軍団」を作って筆者の知り合いの方が関係しておりました。お世話になっているからと、岩手と埼玉で伊原さんを中心に西武OBに少年野球教室をやってもらいました。岩手の雫石や矢巾でも実施されました。なお「赤べこ野球軍団」はアッと言う間に都市対抗に出場するなど、当時野球界で注目されましたが、アッという間に消え去りました。カネの切れ目が縁の切れ目?我が家にはマスコットの赤べこ人形が残されました(>_<)

日刊スポーツ創刊60周年記念伊原野球塾
2006年10月28日(土)埼玉県東入間学童野球連盟創立20周年記念として569名の参加選手で実施

『伊原野球塾』指導者はかつての西武ライオンズの選手:左から打撃(広野 功氏)、走塁と守備(伊原春樹氏)、右端:バッテリー(松沼博久氏)

我がチーム大井ウエストの選手が、伊原さんから印象に残った選手として松沼さんが持っているグローブを頂きました

■ 現代企業社会と似た構図
 「休養」というのは事実上の解任なのだそうです。「責任を取って辞めます」というほうが伊原さんらしいのに・・・と残念です。恐らく「責任を取って辞める」のはやるせないから休養なのでしょう。これまで多くの監督が選手の信頼を失って辞任していますが、こんな短期間で追い出されるのは珍しいのではないでしょうか。サラリーマンの世界でいえば、中間管理職の課長、部長が部下をコントロールできずに異動されるようなものです。これは実は企業社会の変化とも似た面があります。カリスマ社長の会社のほうが統制が利いて好業績を上げるというのは昔も今も同じですが、終身雇用が崩れる中で、ピラミッド型組織の現代企業では中間管理職は大変難しい立場になっています。社長の言うことならともかく、中間管理職なら「お言葉ですが」と言うのは当たり前になってきているのです。ですから精神を病む人も増えています。上司が部下をいかに上手く動かすか?部下はこんな上司にはついていけないと思えば「辞めます」と言う時代になりました。部下の心をつかめない上司や、実績が上がらない組織では上司が悪いとなって、中間管理職は異動させられるのです。西武ホールディングスの後藤高志社長は、筆者や歌手の福田こうへいと同じく岩手県雫石町観光大使ですが、「選手の気質は時代とともに変わってくる。世代間の感性の違いはあるでしょう」と述べた上で、田辺監督代行には選手、コーチとの対話を重視することを望み「ぜひ、自分のカラーというものを出してやってもらいたい」と話したそうです。選手の心が離反したのをオーナーとしては見過ごせなかったのでしょう。

■ かつての巨人、西武とは違う
 伊原さんが西武の選手に身だしなみを言ったのは、黄金時代の強いチームの頃のように、王者らしいチーム、そのための身だしなみを言ったのです。巨人はヒゲは許さないし、大リーグのヤンキースもそうです。かつての西武を知る伊原さんには、こんなこと当たり前のことでした。雨中の練習は強豪チームではこれまた当たり前です。巨人V9時代の川上哲治監督は多摩川グラウンドで、火を焚かせてボールを乾かしながら打ち込みをさせました。長嶋茂雄、王貞治といったスーパースターはそうやって超一流になって行ったのです。ただ、強いチームだから雨中練習でも選手はついてくるのです。弱いチームだと逆効果です。チームで反省ミーティングをして一人ひとりにしゃべらせた後、「ヨーシ、負けたけどみんなで焼肉でも食って、今日のことは忘れてまた頑張ろうぜ!」という監督のほうが現代の選手はついてくるのです。

■ 熱血と浪花節で感動を共有
 団塊の世代である伊原さんには当たり前のことも、現代では当たり前ではなくなりました。野球はメンタルスポーツですから、選手たちの連帯感、信頼感、団結が第一です。今やプロ野球チームは高額年棒のスターと、そうではない大多数の選手で構成される超差別化社会、格差社会です。監督よりスター選手のほうがはるかに年棒が高いのです。そういう選手たちにヤル気を起こさせてチームワークを醸成するには、上から目線のガンコ親父ではダメなのです。野村監督などは試合後のインタビューでさりげなく選手を褒めました。面と向かっては厳しいことばかり言われている選手は、今日は何と言ってもらえるかな?と期待していたと言います。みんなが見ているテレビ画面で褒められたら、こんなうれしいことはないでしょう。後を継いだ星野監督も、かつての厳しい姿ではなく、上手くキャプテンを使ってチームの一体感を作り上げました。伊原監督は、敗戦時にはメディアの前で選手を容赦なく個人攻撃することも少なくなかったので「あの人は勝ったら自分の手柄で、負けたら選手の責任」と吐き捨てる選手もいたそうです。厳しさの中に愛情がほの見えて、選手と共に感動を共有する熱血と浪花節が必要なのです。叱りながら、褒めながら、徹底的な会話が必要なのです。

■ 田辺さんに期待します
 かつて西武の黄金時代を築いた頃の選手である渡辺監督は退きましたが、ソフトバンクの秋山、ロッテの伊東が今も伊原監督とは対照的なカラーでチームを引張っています。田辺徳雄監督代行も西武黄金時代の選手です。清原同様、最後は巨人にお世話になりました。伊原監督が禁止していた裾の長いユニホームは、個人の自由に任せるそうです。さらに、禁止されていた茶髪や長髪、ひげについても「それは常識の範囲内で。外国人選手を含めて、(ひげを)伸ばしたい選手もいるので」と容認する方針を示したとのこと。上原もメジャーではいっとき髭面でしたし、中東などではひげを生やしていない男は白い眼で見られます。ひげを禁止するほうが国際的に見ればヘンなのです。「鬼軍曹」と呼ばれた前指揮官とは対照的に、選手との対話を重視する「仏路線」を打ち出した田辺さん、頑張ってください!ライオンズファンとして応援しています。特に菊池雄星頑張れ、岸も牧田も、おかわり君も頑張れ!
 右写真は埼玉県大井町(現在はふじみ野市)少年野球連盟の創立30周年記念として2001年12月9日(日)、東原小学校で西武ライオンズ関係者による少年野球教室を開いた時のものです。田辺徳雄さんは当時2軍打撃コーチで背番号76、1984年吉田高からドラフト2位で入団、ベストナイン2回、ゴールデングラブ賞2回の名遊撃手としてライオンズの黄金時代を支えた方です。1999年読売ジャイアンツに移籍しましたが2002年度から西武ライオンズのコーチとして戻ってきました。

西武ライオンズ少年野球教室で話す田辺徳雄さん。他に、当時現役の竹下 潤投手、清原の代打で出た事もある強打者の森 博之さんや、西武ライオンズの選手だった小川さんや松本さん(お二人とも上福岡シニアの指導をしてくれていました)も参加してくれました

■ オリックスが強いのは森脇監督が良いのでしょう
 伊原監督と同様、選手時代はそんなに実績を上げていないオリックスの森脇監督ですが、毎年Bクラスなのに今季はどうしたのでしょう?1番・ヘルマン、2番・平野、3番・糸井、4番・ペーニャと、打順が固定されて、リズムが生まれました。その後にはT−岡田や高橋もいます。投手陣では、絶好調の西を筆頭に、エースの金子、ディクソン、そして、ルーキーの吉田と揃っていて、ブルペンも比嘉、馬原、佐藤達、平野と充実しています。前の岡田彰布監督は「勝つ気があるのか?」と嘆いて、淋しくチームを去り、代行で就任した森脇監督ですが、前監督とは対照的な甘いマスクで「球界の草刈正雄」と呼ばれています。このオフには、韓国の巨砲イデホをソフトバンクに奪われ、バルディリスも横浜DeNAに移籍して大ピンチ、そこで西武からヘルマン、ソフトバンクで浮いたペーニャをまるでトレードのように獲得しました。この二人が前チーム時代とは見違える大活躍、負け癖が無くなってプラスのサイクルで回っています。ペーニャのあの髭面を見たら、相手はコワイですよね? オリックスの変身を見て思うのは、マイナスサイクルからプラスサイクルに変えるのは選手の心だ、ということです。ヘルマンもペーニャもオリックスで息を吹き返しました。昨年までのエースの金子は、いくら良いピッチングをしてもバックの援護が少なくカワイソウでした。今季10回の登板すべて2失点以下で、抜群の安定感で試合を作る西を森脇監督は「計算通り、投げてくれる。去年までとは立ち位置が違う」と評価しています。しかし交流戦に入って、味方の援護が得られず、開幕8戦8勝の後、2連敗となりました。しかし長いシーズンの中でこういうときもあります。メンタルスポーツの野球は、いかに流れを呼ぶか、そのためには投打に亘る一体感の醸成が必要です。多分森脇監督が良いのです。プロ野球チームは何処だって皆一流選手がいますから、監督次第で最下位からトップもありえますし、逆もあります。
 梅雨時に似合う花にはジャガイモもあります。

  のうた、大好きです。

   馬鈴薯のうす紫の花に降る
   雨を思へり
   都の雨に

■ 硬くて香りがする蕎麦が好き
 40『立ち食いソバ』(2013年11月24日)で、青木剛理さんのホームページgori.shは 『立ち食いそば紀行』と言って、ソバ好きの間では有名です、と紹介しました。ところがこのホームページに蕎麦チェーン嵯峨谷は浜松町店しか載っておらず、評点は10点満点で6と低いのです。コメントは「押出麺のチェーン店。取り放題のワカメと刻み玉葱そばが名物。店舗によっては100円ビールも」と書いてあります。多分ゴリさんは嵯峨谷の硬いソバは好みでないのでしょう。小諸そばを高く評価していることでもわかります。しかしめんオタクの筆者はこれには異論を唱えたい。小諸そばのような更科系の白いソバより、黒くて歯応えがあり、蕎麦の香りがする田舎ソバ=十割蕎麦が好きです。17『ヘイトスピーチ』(2013年6月10日)で、山形県天童市の板そばを紹介しました。硬いのにビックリしますよ。水車生そば、大久保そば、孫作、又右エ門、やま竹などいろいろ有名店がありますが、初めて伊藤屋に入ったときの板そばが右写真です。他店ほどは硬くありませんが、最初は「えっ、コレ茹でが足りないんじゃないの?」と、きっと思うはずです。
JR天童駅に近い三日町の嘉永年間1850年創業;伊藤屋の板そば

■ 嵯峨谷の蕎麦は美味い?
 蕎麦チェーン嵯峨谷は2014年2月9日(日)にTBSテレビ「がっちりマンデー」で放送された『東京そばウォーズ』で、十割そばがなんと280円で食べられる、ということで人気沸騰、その儲かリの秘密が紹介されました。社長は38歳の若さ、行列が出来る店舗が都内に出来つつあります。「この十割蕎麦が食べてみたい」と話題になっていたので行ってきました。池袋駅東口の南池袋寄り、マツモトキヨシとかドンキがあります。駅から道路を渡って服部珈琲店脇の路地を入ったところ、ひとつ十字路を越えて進み、ミニストップ跡地にできた十割そば屋で、パチンコ店「楽園」と同居した角地です。立ち食い蕎麦店程度と思ってはイケマセン。別蕎麦チェーンの社長が絶賛するくらいちゃんとしたお蕎麦を出す店です。立ち食いでは無く、高い椅子があり、10席ぐらいなので、食事時でなくても混んでいます。しかも立ち食いソバ屋と違って、上品なレディが座っています。それだけ、口コミで有名なのでしょう。店の中に製麺機があります。蕎麦は黒いので全層粉でしょう。もりそば¥280を頂きましたが、硬い!山形まで行かなくても、池袋で食べられます。香りはあまりありませんが、この価格では仕方ありません。歯応えだけで十分です。もう一度来たいと思いました。それがめんオタク筆者の感想です。

池袋東口の嵯峨谷

日比谷公園の洋食・南部亭 後藤新平が作った頃は蕎麦屋でした

■ 日本で増える蕎麦作付け
 ゴリさんは多分更科系の蕎麦が好きなのだと思います。蕎麦としての高級さで言えば、中心部を使った更科(更級)のほうがゼイタクです。しかし蕎麦というのはやせた土地や、寒冷で他の穀物が育たない土地でもできるので、言葉は悪いですが、貧者の食べ物です。ロシア人の主食であり、生産量も圧倒的にロシアが多いのです。日本では北海道の生産量が圧倒的で、次いで山形県です。ところがルチンを含み、ビタミン豊富な健康食品なので、日本人は大好きであり、手打ち蕎麦ブームから、「自家栽培の店」というのが増えてきました。こういう店は高価なのですが、「高くてもおいしいものを食べたい」という日本人の国民性があるので、国産のソバは増えています。コメ消費が年々減っているのに何故でしょう?コメは栄養豊富なので太る、ソバは食べても太らない、というイメージのせいでしょう。我が家の近くにも一面に蕎麦の白い花が咲く蕎麦畑があり、その中心に『みよし蕎麦の里』というのがあります。テレビでも紹介されて人気スポットです。歩いてすぐです。

■ 十割そば
 ゴリさんの立ち食いそば評価は「かき揚げ天ぷらそば」です。したがって評点が麺と天ぷらと汁です。そばについては農水省のホームページを参考にしてください。一般的に食べるそばは二八そばです。十割そばを気取って「とわりそば」と言う人がいますが、私達が普段、「この粉はそば粉とわりですよ」なんて言いますか?「そば粉じゅうわりです」と言うはずです。岩手県盛岡市には株式会社十割そばという会社があります。いわゆる信州系の白い蕎麦と山形など東北の黒くて硬い田舎そばは、人それぞれに好みがあります。しかし、本当に蕎麦の香りがする本物中の本物の蕎麦は、福田こうへい・南部蝉しぐれの歌い出し「南部 盛岡 雫石」でしか食べたことがありません。それを宅急便で送ってもらって翌日食べてもダメなのです。打ちたてでないとあの香りがしないのです。
(2014年6月6日)


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