64  憲法9条

 痛風の右足親指付け根はやっと腫れが引き、痛みも軽くなりましたが、まだ違和感があります。それよりも血圧が高いほうが問題、降圧剤を飲みながら、やはり運動が第一ということで、少年野球では足を気にせずとにかく動くことにしています。

■ 集団的自衛権
 集団的自衛権論議がかまびすしくなっています。安倍晋三首相が記者会見して、パネルを使って集団的自衛権の憲法解釈について縷々説明しました。個別的と集団的の違いは、個別的というのは「攻められたら自国を守るために反撃する」ことで、自ら攻撃するのでは無く、もっぱら自衛するためなので、自衛隊は相手を攻撃する「軍隊」ではなく、日本国憲法第9条の「戦力」には当たらない、とする考え方で、戦後歴代内閣は専らこの考えを保持してきました。一方で集団的というのは「同盟関係にある国が攻められたら、それを助けるために戦うことも自衛の一つだ」という考えです。自民党は、また野党の一部も日本国憲法を改正しようと主張しており、その目玉は第9条です。ところが、憲法を変えるには国会の3分の2以上の議員の賛成が必要で、かつ国民投票で過半数の指示を得なければなりません。国会のほうは、日本維新の会やみんなの党が改憲を主張し、民主党は改憲派と護憲派が同居しています。いざとなれば3分の2以上の議員の賛成は可能かもしれません。ただし、自民党が改憲を公約としているとは言え、現実にYesかNoかという場面になれば「隠れ護憲派」が存在するというのもまた公知です。堂々と憲法変えよう!と国民に提議できない理由は、世論の半数以上が反対しているからです。今老人の戦争を知る世代、または筆者のように親から聞かされた世代がこの世から居なくならないと、なかなか改憲は難しいのが現状です。したがって内閣が憲法解釈を変えて、集団的自衛権を認めてしまおうというのが現在の騒ぎになっているわけです。

■ 九条の会
 右は九条の会のホームページから転載しました。この条文をしげしげと見ると、戦争放棄のために日本がどうするかを明確に規定しています。
 2004年6月10日、9人の知識人(井上ひさし、梅原猛、大江健三郎、奥平康弘、小田実、加藤周一、澤地久枝、鶴見俊輔、三木睦子)が「九条の会」をつくり、日本国憲法第9条改憲に断固反対の姿勢を示す「九条の会・アピール」を発表、全国民に賛同と連帯を呼びかけました。また、この年の10月には「映画人九条の会」もでき、以降日本各地や大学の中などにそれぞれの「9条の会」が生まれました。これらに対し、右翼が猛反発しています。特に「ネトウヨ」と呼ばれるネット右翼などは、ネット上で護憲運動を激しく攻撃しています。そしてネトウヨの特徴は「反中国・反朝鮮」であることです。彼らの朝鮮には韓国も含まれ、在日韓国人も含まれます。
 九条の会の中にも、自衛隊すら認めない人も居るでしょうし、専守防衛を認める人も居るでしょうが、共通しているのは戦争をしないという1点で日本国憲法第9条を守ろうという点だと思われます。九条の会ができた年の8月のつぶやき82『戦争の記憶』(2004年8月1日)をご覧下さい。こうした記憶がある間は、問答無用で戦争の悲惨さを嘆き、どんな理があるにせよ人と人が殺し合うことの非条理を言い、再び過ちを繰り返してはいけないと心に誓うのです。このつぶやきの最後に書いてあること、これがまさに今議論になっています。「今は退官した元自衛隊の友人が言った。自衛隊は国を守る組織だから、相手から攻撃されれば反撃する。言わばぶん殴られなけりゃ殴り返さないのだから、決して怖い組織ではないのだ、と」・・・

■ 安倍晋三再登板で再び憲法論議が
 九条の会が生まれた背景は、2003年(平成15年)3月20日にイラク戦争が勃発し、これを支持した小泉内閣が「武力攻撃事態法」をはじめとする武力攻撃事態対処関連三法、「イラク復興支援特別措置法」を成立させ、2004年には「国民保護法」をはじめとする有事関連七法を成立させるなど、米国が始めた戦争に日本が積極的に関与して行こうという姿勢を鮮明として、憲法9条がないがしろにされていると危機感を持った文化人が立ち上がったところにあります。しかしその後、イラク戦争に大義が無かったことが判明します。小泉内閣の後を継いだ弟分の安倍晋三は「戦後レジームからの脱却」を目指し、戦後の日米安保体制から独立して、「尊敬される日本」を目指します。それはイラク戦争での「金は出すが血は流さないニッポン」という負い目に立脚します。すると再び日本が軍備を増強して、軍事大国化するのではないかと恐れた中国や韓国との間で、緊張が高まります。しかし安倍晋三はあえなく1年で頓挫、後を継いだ福田康夫も、その後の麻生太郎も1年で政権を投げ出し、自民党は下野、政権獲得した民主党の鳩山由紀夫、菅 直人、野田佳彦もいずれも1年で交代、再び自民党に戻って安倍晋三が返り咲き、只今2年目、日本版NSCの設置、特定秘密保護法成立と来て、次は集団的自衛権に関する憲法解釈の変更と来ているので、やや緩和していた九条の会の活動が再び活発化してきています。

■ 世界中キナクサイ
 護憲派と言われているのは、今や国会では公明党、共産党、社民党など極一部です。ただ、九条の会はこれらと一義的に結び付いてはいません。原発、TPP、オリンピック、特定秘密、普天間への対応はそれぞれの党で微妙な違いが有ります。しかも自民党や民主党は党内に様々な考えの人が同居しています。
 世界情勢はいつもどこかで火花が散っていますが、アジアでは中国の海洋覇権主義からベトナムで騒動が起きたり、タイではついにクーデター、中国のウィグル自治区でのテロ、中東ではアフガン、イラクは危険イッパイ、むしろシリアが安全、トルコもヤバイし、ウクライナ東部では親ロシア派の動きが過激、アフリカはエジプトがムスリム同胞団と軍の対立、アルジェリアやソマリア、コンゴ、シェラレオネなどが超危険、ナイジェリアもやばくなってきました。むしろアフリカで安全な国は無いと言えます。サッカーワールドカップのブラジルが心配です。どうして世界中キナクサイのか?それはアメリカがオバマの方針転換で、世界の警察の役目を放棄したからです。

2014年4月下旬、オバマ大統領来日時のスナップ
 私達が忘れてならないのは、武器を持って戦うという安易な選択より、徹底的に話し合うことの難しさです。でも、だからこそ過去の反省に立った日本の説得力があるんですね。血を流さないことの後ろめたさなんて、逆でしょう。

■ 「美味しんぼ」騒動・・・みんな嘘つき
 前回福島県内の子どもたちの「被曝(ひばく)しない権利」の確立を求める「ふくしま集団疎開裁判の会」などが5月21日には参議院議員会館B-103室で緊急記者会見を開催することを紹介しました。井戸謙一弁護士の他、原発ゼロの山本太郎参議院議員も出席しました。その結果が動画付きで詳しく紹介されています→コチラ。福島県のお母さん達が匿名で登場して鼻血が出た・・・と。もうココまで来ると、真実だのウソだのと言ってもしょうがない、という感じです。何を言っても信じている人には、反対側の人たちはみんな嘘つきなのですから。
 その後のニュースで新たな報道がありました。朝日新聞デジタルによりますと、「美味しんぼ」(小学館・ビッグコミックスピリッツ)に登場した荒木田岳(たける)・福島大准教授(地方行政論)が「除染しても福島には住めない」という自らの発言を作品で使わないよう求めたにもかかわらず、編集部が「作品は作者のもの」と応じずに発行したことがわかったそうです。編集部が取材に事実関係を認めたそうですが、そうなると、編集部の責任は重大です。荒木田准教授としてみれば、福島には住めない=福島大学にはいられない、ということですから、2年前に一生懸命除染作業に携わっている時の発言と、事故後3年を経過した今では、確実に放射線量も減っていますから、心理も変わっているでしょう。少なくとも今でも福島大学に在籍しているのですから、「福島には住めない」とは思っていないのは明らかです。

■ PC遠隔操作事件の片山祐輔被告、「真犯人は私です」・・・嘘つきばれた
 この事件は、53『うっ、暗いな』(2014年3月10日)の中で、長々と書きました。そのときは・・・元IT関連会社員・K被告(31)が保釈されました。会見で本人は、検察・警察のでっちあげの冤罪事件と記者会見で述べました。警察はこの前に4名を誤認逮捕した失態を演じ、あろうことかうち二人に自白させました。捕まえて、自白を迫る、昔ながらの手法に、非難が集中しました。PC遠隔操作ウイルス事件はまだ裁判進行中なので、下手なことは言えませんが、ネット犯罪と言う卑劣な犯罪だけに、解決して欲しいです。しかし、現実には、非常に困難な課題ですね。コンピュータウイルスを仕込んだことを証明するのは至難の技です。客観的にはKは無罪になるかもしれません。しかし、あれほど執拗にマスコミや警察を挑発していた犯人が、K逮捕後プッツンと動きを止めたことや、いろいろな状況証拠でKが疑わしいことは明らかです。保釈後の記者会見を見て、皆様どう感じられましたか?明らかにマトモではありません。冤罪を訴えると、警察を悪く言うのが現代日本のマスコミですが、冷静に見て下さい。人と交わらず、猫カフェに行く、ぞ〜〜〜っとします。Kは「のまネコ事件」で懲役刑を食らい、エイベックスに大金を賠償金として支払ってくれた父親はその後定年前に急死しました。警察をうらんでいたようですが、やりきれない事件です・・・と書いたのです。今や本人が自分が真犯人だと言って、再収監されたので、K被告ではなく、片山祐輔被告とハッキリ書きますが、多分片山は無罪になるだろうが、コイツが犯人だと筆者は思っていました。何故か?顔です。人間の本質は顔に出るからです。明らかに嘘つきの顔でした。筆者はたくさんのソフト技術者と付き合ってきました。頭の良い人たちの集団ですが、一方で危険な人たちも混じります。その割合は他の職種と比べて断トツです。自然に危険な人たちを見分ける術(スベ)が身に着きました。そのほぼすべては顔です。危険なことを考えているかいないか、顔を見れば分かるようになりました。

■ 冤罪事件にすり替えた識者たちの誤謬
 この事件の最大の問題は、片山祐輔被告の犯罪の問題よりも、これを「冤罪事件」とするか否かでした。主任弁護人の佐藤博史弁護士は、足利事件で被告人の弁護を担当し、見事に冤罪を晴らして、冤罪事件のカリスマ的存在でした。信じられないことに、片山祐輔被告の無罪を信じ、検察に真っ向から対抗して、法廷では激しい言葉の応酬がありました。警察・検察へのバッシングが高まり、片山祐輔被告擁護派が次々現れました。検察・警察=「国家権力」が「悪」という前提に立ち、反面の被疑者=「正」という「仮定」が、まるで『大義』であるかのように語られたのです。しかし、予告された江ノ島に現れてネコに接近したとか、PCにプログラムの痕跡があったとか、十分な状況証拠があるのに、ネコに首輪を取り付けた決定的な防犯カメラ画像が無いというだけで、擁護派はそれを冤罪だと決めつけて攻撃し、検察は押されて立ち往生となり、裁判所は保釈決定しました。これだけ偶然が重なることは有り得ない、フツウに考えれば真犯人が片山祐輔ではないと断定することこそあまりに無理のある主張だと思われました。「疑わしきは罰せず」で無罪になるのならそれは仕方ありません。他人のコンピュータをウイルスによって遠隔操作した証拠は多分絶対証明できません。だから片山祐輔被告は多分無罪になるだろうと思っていました。しかし、それを冤罪だとして警察・検察を叩くのは、どう考えてもやり過ぎでした。江川紹子さんらが「無罪運動」を始め、その「冤罪攻撃」がネット上で炎上するのを、筆者は苦々しく感じていました。だから、上のように「冷静に見て下さい」と書いたのです。江川紹子さんはこれまで様々な事件で的確な評論をしてきて、高く評価していました。どうして今回こんな間違いをしたのか?それは権力に対する感情が理性を上回ったのでしょう。片山祐輔被告をじ〜〜〜っと見れば、分かったはずです。ましてや佐藤博史弁護士が、どうしてこのような惨めな失態を晒したのでしょうか?「黙っていれば無罪になるはずの人が、むざむざ墓穴を掘るようなマスコミ挑発トリックを仕掛けるはずがありません」、という佐藤博史弁護士の記者会見を見て、それはそうだな、と一時納得しました。しかし、この犯人は、ネットで挑発することに喜びを覚える一種の異常人格者でした。黙っていることは出来なかったのです。裁判所もしばしば間違った判決を出します。佐藤博史弁護士の態度はカッコ悪かったですね。素直に頭を下げて謝れば良いのに、ナンダカンダと言い訳していました。あれほど警察・検察へヒドイことを言ったのですから、ゴメンナサイと言うべきでした。片山祐輔被告が死のうと思ってズボンのベルトがどうしたとか言っていましたが、警察は24時間ず〜〜〜と片山被告を監視していたはずです。自殺など出来るわけがありません。自殺などという重大なことまで平気で嘘をつく人間の言うことを最後まで引用するなんて・・・。警察は誤認逮捕があっただけに、申し訳なさを抱えながら、だからこそ絶対に真犯人をあげてみせるという並々ならぬ執念を持っていたのでしょう。
IBMの優秀な技術者だった片山祐輔被告のお父さんは草葉の陰から無念の想いでしょう。西武OBの工藤公康さんの長男で、TBS系ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」沖原和也役の工藤阿須加さんが西武ドームで始球式を務めました。社会人野球チーム青島製作所の面々が守りについて投げた球速は114キロ、ドラマでは150キロ超だけど(^_^)
(2014年5月25日)


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