609  もしトラ→またトラ

 2024年11月7日(木)やっと富士山初冠雪が甲府地方気象台から発表されました。1894年の統計開始以降の130年間で最も遅い記録です。男体山でも初冠雪です。東北、北海道の山はとっくに初冠雪を迎えています。11月7日(木)は「立冬」でしたからさもありなんというところですが、驚いたのは八甲田の酸ヶ湯で30cmも雪が降って銀世界となり、札幌でも7cmの積雪となった事です。あわてて冬タイヤに替えるニュースが流れました。一方沖縄・奄美地方では大雨で警報が出ています。我が家でも久々に聞きました、あの灯油を売る車の音、タンク車で音楽を流しながらやってくるあの車です。朝の気温がひとケタになると暖房という話が出ます。ただこれも束の間で、来週からはまた最低気温10℃以上の日が続き、雨もほとんど降らないという我が家近辺の予報です。

■ 米国大統領選挙はトランプ前大統領圧勝
 米国大統領選挙、「もしトラ」と言われていましたが「またトラ」になってしまいました。ドナルド・トランプ前大統領が4年振りにホワイトハウスに戻って来ます。民主党のカマラ・ハリス副大統領は、激戦州をすべて落とし、全体の得票数でも下回る惨敗という報道もありますが、トンでもありません。下のグラフを見て下さい。米国特有のシステムで、選挙人の獲得数では差がつきましたが、全体の得票数は僅差です。普通の感覚なら大接戦と評すべきでしょう。バイデン大統領と候補が入れ替わって以降、ハリス氏は常にトランプ候補を支持率で上回っていましたが、終盤になって急降下して大接戦だというのが米マスコミの報道でした。やはりイーロン・マスクの登板で、カネをばらまいて、ニュースで取り上げられると、トランプ・パフォーマンスが爆発、マクドナルドでポテトを揚げたり、ゴミ収集車の助手席に乗ったり、ネガティブ情報を逆手にとってプラスに変えてしまう、演説も猫なで声のトランプだけが目立つようになりました。「不法移民があなた方の雇用を奪ってる、国境に巨大な壁を作るゾ、こんなインフレになったのはバイデンとカマラのせいだ、生活苦しいだろう?減税するゾ、その代わりのカネは関税を上げて外国から取ってやる、私は黒人が大好きだ、気候変動?そんなのうそっぱちだ、石油を掘って掘って掘りまくれベイビー、ウクライナ戦争なんか24時間で止めてやる、無能なカマラ、お前はクビだ!Make America Great Again!」、とまあこんな感じです。言っていることは良識ある人ならそんなのデタラメだということが分かります。日本国民は教育程度が高いのでトランプのウソが分かりますが、米国人はそうではありません。熱狂的なお祭り騒ぎが大好きで、身を守るためなら銃が必要だと考える人たちが多数です。日本に原爆を落としたのも仕方ないと考える人の方が多数です。ただどちらに投票する?と聞かれると、トランプと答えるのは恥ずかしいのでハリスと言う、そのあたりを米マスコミが読み違えたのでしょう。


■ 自分たちの暮らしが第一
 現在78歳で、米国史上最高齢で大統領になるトランプ氏は、2回の弾劾訴追を受けた唯一の大統領ということになります。しかも裁判で有罪判決を受け、今も裁判中、異例ですね。しかし世界情勢を見るとこの結果は意外でも何でもありません。今西側世界は揺れに揺れ、その対極にある中露の政治体制は盤石です。イタリアでは右派政権に代わり、英国では保守党が大惨敗、フランスもドイツもきな臭くなっています。過去の穏やかだった社会から、過激な主張をするヤカラが闊歩する社会へと変動しつつあります。その波は日本にも押し寄せ、与党が過半数割れしましたが、それでもまだ政治的には与党多数です。生活が苦しい、若者が苦しいという国民の声の結果でした。米国でも同じことです。物価上昇の打撃を受けてきた低所得者層に加え、伝統的に民主党の支持基盤であるヒスパニック系からもトランプ氏は支持を集めました。出口調査によると、有権者の約31%が経済が最重要課題だと答え、このうち79%がトランプ氏に投票、また約45%が家計の状況が4年前よりも悪化していると答え、このうち80%がトランプ氏を支持したそうです。やはり何処の国でも一番のテーマは自分たちの暮らしなのです。

■ 米国経済絶好調だが生活が苦しい人々
 しかし米国経済は外から見ると絶好調に見えます。賃上げは日本人から見ると信じられないほど高く、失業率も低い、ITは世界を牛耳り、金融は世界を席巻する、何が不満なんだろう?と思いますが、確かにラーメン一杯3,000円と聞くと、物価高が問題なんだろうと思います。実は米国の富の多くはほんの一握りの富裕層が持ち、貧困率は世界1位、2位が日本、つまり極度な格差社会なので、経済全体で見れば豊かに見えても、実際そこで暮らす人々は、比較してみて自分は貧しい、生活が苦しいと思ってしまうのでしょう。米国人が買いたいと思うものは何?やはり一番は家ですね。二番はクルマです。しかし住宅と自動車価格の高騰はすさまじい現状です。日本とは逆に米国では豊かな人は都心を離れ、郊外に広い庭のある邸宅に住みます。高級車を持ち、ゴルフ場は直ぐ近くです。年金生活者は、年金所得より金融所得の方が多く、優雅な暮らしを楽しみます。しかし庶民には新車を買えるオカネが無い、これが現状です。

ニューヨーク

■ トランプ戦略がヒット
 米国の選挙の特徴は、東海岸、西海岸の州は民主党支持、内陸部と南部は共和党支持ということです。すなわち大都会と田舎の差です。大都会に暮らすインテリは学歴も高く豊かな暮らしをしている(注:上に書いたようにとても豊かな人は都心を出て郊外に住む)、対して田舎の農業や製造業に従事する者は・・・という対比論でしょう。すなわちワールドシリーズのロサンゼルス・ドジャースとニューヨーク・ヤンキースの戦いは、豊かな者同士の戦いなのです。ただそれでは民主党支持者が金持ちかというとそうでもなく、比較的豊かな中産階級の人が多いということです。俳優や歌手、スポーツマンなどが圧倒的に民主党支持なのは、自分たちのファンが比較的豊かな人たちだからで、実は大金持ちの多くは共和党支持なのです。イーロン・マスクが表に出てきただけで、大金持ちは株や金融長者であり、規制緩和、金融緩和、減税などの共和党政策が自分たちの利益になると考えています。しかし大金持ちは数少なく、票を稼ぐには貧しい人たちの支持を得なければならない、そこでトランプ氏は共和党支持者以外でも比較的豊かでない人たちをターゲットにして、生活が苦しいのはアイツラのせいだ、と煽ったのです。かつては不法移民だった人たちには、これ以上不法移民が入って来ると職を奪われるゾと訴えたのです。

■ 株式市場の反応
 週末8日のニューヨーク株式相場は、トランプ次期米大統領が掲げる減税などの政策が景気拡大につながるとの期待感から金融株などが買われ、反発しました。優良株で構成するダウ工業株30種平均は前日終値比259.65ドル高の4万3,988.99ドルと、史上最高値を更新して終了、一時初めて4万4千ドル台を付けました。トランプ氏が目指す法人税率引き下げや規制緩和などが企業業績を押し上げるとの見方から、ゴールドマン・サックスを含む金融株など幅広い銘柄に買いが入ったそうです。選挙戦で支援した実業家イーロン・マスク氏率いる電気自動車(EV)大手テスラも8%高と引き続き相場をけん引しました。米連邦準備制度理事会(FRB)が前日まで開いた金融政策会合で追加利下げを決めたことも買い安心感につながったそうですが、金利が下がれば債券からリスク商品の株式へマネーが動くということなのです。
 一方週末8日の欧州株式市場は軒並み下落しました。英0.84%安、独0.76%安、欧州全般に売り優勢となりました。トランプ氏の再登板で4年前の悪夢がよみがえったのです。ドイツの連立政権崩壊を受けた先行き不透明感も地合いの悪化につながりました。トランプ氏の中国締め付けにより、中国市場への依存度が大きい高級ブランド株は下げが目立ちました。
 日本はどうか。当然ながら日経平均は大幅上昇、為替は円安へ、日本は円安と関税アップで輸出企業の業績不安が言われますが、日経平均株価はダウ平均に連動するので上昇したと言える他、今や日本企業は海外で稼いでいるところが多いので、円安は物価値上げにも繋がりますが、企業の業績アップにも繋がるのです。

11月のパリ・モンマルトル 東京に比べてコンパクトシティです

■ トランプ再登板がもたらすもの
 エコノミストは、トランプ氏の関税案は中国および米国の同盟国との間で激しい貿易戦争を引き起こす恐れがあると指摘しています。また法人税の引き下げや一連の新たな減税の公約を実行すれば、債務が膨らむと思われます。減税の原資は関税アップ分でまかなうと言っていますが、いくら中国製品に60%、友好国にも20%課税と言っても、単純計算して到底足りず、国債に頼るしかありません。実は第一次トランプ政権の時もこれをやって、結果としてバイデン政権にインフレのツケを回したのです。インフレを鎮静化させると言っていますがどうやって実現するのか?一番効果的なのは賃上げを抑えることです。しかしそれでは支持してくれた人たちを裏切ることになります。また第一次トランプ政権の時のアメリカ第一主義で海外から米軍を引き揚げ、これがプーチンのウクライナ侵略のトリガーとなりました。米国大使館をエルサレムに移すなどネタニヤフ政権のイスラエルと親密化、イランへの敵対視を強め経済制裁を強化、これがイランのロシア接近、イスラエルのガザ侵攻へとつながりました。つまりは世界の軍事的不安定化の要因を作ったのはトランプ氏なのです。その再登板で、Make America Great Again!ができるのか?西側諸国やウクライナ、イラン、中国は戦々恐々として、ロシア、北朝鮮、ハンガリー、イスラエルなどは嬉々としている、ということですね。

■ 真実、自由、民主主義とは何か?
 他にも懸念していることがいくつかあります。今回の選挙で果たして「民主主義」とは何か?と考えてしまったことです。トランプ氏のウソは堂々とまかり通り、多数がそれを信じたということ、ここまで来ると果たして「真実とは何か?」と考えてしまいますね。マスコミはウソを書けないので大半がトランプ批判、それをトランプ氏は逆に利用しました。イーロン・マスクは”Twitter”がヘイトスピーチサイトをブロックしていることを批判して、言論の自由を取り戻そうという大義名分のもと、カネの力で買収して”X”に変えてしまいました。これで堂々とヘイトスピーチがまかり通ることになりました。CMもマスコミからSNSへと大移動しています。SNSでは自分の見たいものだけ見ます。8割がウソだ、なんて言われると、果たして「自由とは何か?」と考えてしまいますね。マスコミを排してSNSを重用する、ウソを信じた民衆が多数となる、その選挙結果が「民主主義」なのか?ということです。
 経済的にはトランプ氏の対極にあるドイツの苦境、ロシアからのエネルギーが得られなくなりエネルギー価格が暴騰して、国内から資本が流出しています。あのフォルクスワーゲンが社員を解雇するなんて信じられないことです。メルケル氏と対立していたトランプ氏の再登板で、ドイツ資本の流出は加速するでしょう。原因は違いますが、同じく国内から資本が流出したのが日本です。円安で企業が儲かり、国民が苦しむ国になりました。日本の自動車メーカーはメキシコに工場を作り米国に輸出していましたが、トランプ氏はメキシコへの関税アップで国内企業を守ると公約しています。しかし人件費の高い米国の工場で生産したものが海外からの製品と対抗するためにはどれだけ関税かければ良いのか、結局消費者がわりを食らうことになるのでは?

白川郷の秋

■ 自動車産業の苦境
 東入間学童野球連盟新人戦決勝のため、富士見市の針ヶ谷小学校に向かうべく、国道254号線川越街道を走っていたら、三芳町の唐沢小学校へ左折する目印である日産プリンス埼玉・三芳店の看板が真っ白に塗りつぶされ、店舗も閉じていました。検索したら「閉店のご案内」が出て来ました。9月末で閉店したようです。従業員の皆さんが近隣の道路のゴミ拾いをして環境美化に貢献されてて、いい会社だな、と思っていただけに残念です。日産自動車は中間決算の発表で苦境が明らかとなり、9千人をリストラするそうです。我が家近くの三菱自動車の販売店も8月末で閉店したことを以前書きましたが、自動車業界も大変なんですね。トランプ再登板で日本の自動車産業は戦々恐々としていますが、EV化の波や、中国の国家を挙げての補助金戦略/安値攻勢で自動車業界は欧州も日本も苦しくなります。国内だって新車価格が高騰し、以前なら大衆車だったクルマが今や3百万〜4百万円台になりました。軽自動車だって2百万円台です。これでは年収の低い若者のクルマ離れは当然でしょう。今や日本の基幹産業だった自動車産業も先行き衰退は避けられず、鉄鋼も家電も半導体もITも衰退した日本は今後どこへ向かうべきか?ウーム。

■ ドングリ
 先日三芳町の唐沢小学校で少年野球の試合がありましたが、我がチームは三塁側に陣取りました。足元に砲弾型のドングリがたくさん落ちていました。上を見上げたら、青々とした南方の樹木みたいな木に緑の葉っぱが繁っています。後で調べたら、どうやらマテバシイの木のようです。
 さてマテバシイとは何か?下の写真は我が少年野球チームのホームであるふじみ野市立西原小学校で拾ったドングリです。コナラやクヌギは木肌がゴツゴツしていて、樹液を出すのでカブトムシやクワガタが集まってきます。少年野球の休憩時間に子どもたちがクワガタを見つけて喜んでいます。ゴキブリとどう違うんだろう?なんて口に出しては言いません。怒られるに決まっています。日本に22種と4亜種あるとされる『ドングリ』は熊やリスなどの大切な食べ物です。そのうち数種類は、古くは縄文人の食糧でした。

左はクヌギのドングリで丸型、右はコナラのドングリで砲弾型


左はマテバシイの葉、右はコナラの葉
 ブナ科の木の実が「ドングリ」です。ブナ科はコナラ、ミズナラ、ブナ、カシワ、アベマキ、クヌギ、クリ、アラカシ、シラカシ、チジミガシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ、ウバメガシ、オキナワジイ、スダジイ、ツブラジイ、モンゴリナラ、マテバシイ...とにかくいっぱいあります。椎の木が属するシイ属の実が「シイの実」です。子どもの頃は良く食べたものです。近縁のマテバシイ属の実は「ドングリ」の中でも栗ほどの甘さは無いですが、タンニンをあまり含まないためアク抜きを必要とせず、生でもよし、炒ってもよしで、食用になります。『コナラ』『ミズナラ』などのドングリは苦くて、毒ではなくても不味くて食べられません。どちらも砲弾形ですが、コナラは細長い形で表面に明確な縦筋の模様が入っています。マテバシイの実はツルッとしてて綺麗です。マテバシイは日本固有の植物で、本来は九州南部などの暖かい地方の木ですが、街中の公園や街路樹によく利用されます。マテバシイのドングリは熟すまで2年かかります。マテバシイの葉は、縁が直線的でギザギザがなく肉厚で、柄があり細く楕円形で先は鋭尖な葉様です。葉の表は光沢がありますが裏側は光沢がないのも特徴です。コナラは葉の縁がギザギザとノコギリ状ですので、明確に違いを分けることが出来ます。公園などで どんぐりを見かけたら、マテバシイなのか、コナラなのかなど確認してみるのはいかがでしょうか?
(2024年11月10日)


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